知識ゼロの区分マンション3部屋から一棟投資へ——赤字経営を脱却し再生を図った会社員の軌跡

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概要

不動産投資市場で融資の引き締めが続く中、会社員として働きながら投資戦略を大きく見直し、資産形成を進める投資家がいる。製薬会社のデジタル推進部署でフルリモート勤務を行いながら、副業として結婚相談所運営や動画制作を手がけるゆと氏である。

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同氏は投資の知識が乏しい段階で区分マンション3部屋を購入し、毎月赤字のキャッシュフローを抱える状態に陥った。しかし、家庭環境の変化を機に規模拡大へ舵を切り、区分物件をすべて売却して2026年4月には初の一棟物件購入を果たした。区分投資での失敗と反省、そこからの売却プロセス、そして一棟物件へと方針転換した経緯について、同氏の実体験をたどる。

知識ゼロで始めた区分マンション3部屋と赤字収支の実態

ゆと氏が不動産投資に関心を持ったのは2021年頃である。当時は株式投資に注力しており、同じく不動産投資を行っていた会社の先輩から業者を紹介されたことが直接の契機となった。

当時の同氏には不動産投資に関する知識がほとんどなく、不動産業者から提示された収支シミュレーションをそのまま鵜呑みにしていたという。購入したのは自身の出身地で土地勘のあった大阪府内の区分マンションである。最初に1部屋を試しに購入したところ、生活への負担を直接感じなかったことから、融資枠の上限まで買い進めようと短期間のうちに計3部屋を買い揃えた。

融資は業者の提携金融機関を利用し、1部屋あたり約2,000万円、合計で約6,000万円の借入れを行った。返済期間は35年、金利は2%台で、諸費用も借入額に上乗せした手出し資金ゼロのフルローンであった。物件の利回りは約3〜4%にとどまり、正確な利回りの意味を把握しないままの購入であったと振り返る。

3部屋を合わせた毎月のキャッシュフローは、約1万円の赤字であった。当初は所得税の還付といった節税や、団体信用生命保険による保険効果を目的としていたため、月1万円程度の持ち出しであれば生命保険料の代わりとして許容できると捉えていた。確定申告で減価償却費や経費の計上を確認する中で大家としての実感は得ていたものの、手元資金が増える構造にはなっていなかった。

環境の変化と一棟投資への方針転換

この赤字前提の投資方針に疑問を抱く転機となったのが、結婚と子どもの誕生である。将来的に地元である大阪へ拠点を戻す計画が持ち上がり、移転に伴って妻が退職すれば世帯収入が減少することが見込まれた。

家計の柱となる新たな収入源を確保する必要性に直面した同氏は、月々の収支がマイナスとなる区分マンションを維持し続けることに限界を感じた。不動産投資の学習を進める中で、安定したキャッシュフローを生み出すには一棟物件への投資が必要であると考えるようになり、区分を処分して一棟へ移行する方針を決意した。

なお、最初に区分マンションを選んだこと自体について、同氏は完全に否定的な評価は下していない。初期段階でアパート投資のリスクに踏み切れなかった同氏にとって、小さな規模から始めるスモールステップとしては機能し、一棟投資へ進むための足がかりになったと総括している。

信用毀損の解消と買取業者による早期売却

一棟物件への買い替えを決意したものの、区分マンションを保有したままでは新たな融資を受けることができなかった。一棟物件を扱う不動産業者と面談を重ねる中で、個人の与信枠を区分3部屋で使い切っている点や、保有期間約5年では元本返済がさほど進んでおらず「信用毀損」の状態にあると指摘されたためである。

新たな融資を引くためには区分の整理が不可欠となり、同氏は売却活動を開始した。売却にあたっては、売却期間を長引かせず早期に一棟投資へ移ることを最優先事項とし、一般的な仲介ではなく買取業者への売却を選択した。

仲介業者にも相見積もりを依頼し、より高額な売出価格の提示も受けたが、収益ポータルサイトで市場の利回り水準を照らし合わせた結果、仲介での高値売却は現実的ではなく時間がかかると判断した。早期処分を狙い、提示額が残債をわずかに上回った買取業者への売却を決断した。

2026年1月から2月頃にかけて3部屋すべての売却が完了し、インカムゲインとキャピタルゲインを合算したトータルの収支は約80万円のプラスで着地した。金銭的な利益はわずかであったものの、残債を完済して信用枠を身軽にできたことで、一棟投資へ向けた体制を整えることができた。

相場観の養成と一棟物件への始動

売却を終えた同氏は、一棟物件の購入に向けて市場相場の把握から着手した。SNSや動画サイトを通じて情報収集を進める中で、まずは相場観を養うことが最優先であると学び、ポータルサイトを用いた日々の物件確認を開始した。

自身が都内在住であることから投資対象エリアを一都三県に絞り込み、最初の購入物件として管理リスクを抑えるため、築年数は築15年以下を基準に設定した。新着物件情報を毎日網羅的に確認し、エリアごとの利回りと価格の相関を頭に叩き込む作業を継続した。

区分マンションでの失敗と売却の経験を経て、ゆと氏は2026年4月に初の一棟物件購入を果たすこととなる。月々の手残りキャッシュフローをプラスへ転換させ、5年以内に年間キャッシュフロー1,000万円以上を達成することを中期的な目標に据えている。