スリダール・ラマスワミが語る研究、Google広告、Neevaの失敗、そしてSnowflakeの経営

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概要

スリダール・ラマスワミは、自ら「AIデータクラウド」と表現するSnowflakeのCEOである。このインタビューでラマスワミは、米国での博士課程からソフトウェアエンジニアへ、Googleでの広告・コマース部門の統括、検索スタートアップNeevaの創業、そしてSnowflakeを率いるに至るまでの道のりをたどる。繰り返し語られるテーマは、仕事に意味をもたらすものは何か、優れたリーダーシップには何が求められるか、そして失敗とどう向き合って生きるかである。ラマスワミはNeevaを失敗だと考えている一方で、人は「失敗以上の存在」だと主張し、同社の破綻が現在Snowflakeで構築しているものの多くを生み出したとも語る。

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好きになれなかった博士課程から、コードへの情熱へ

ラマスワミは自身を、夫であり、ともにコンピューターサイエンティストである2人の息子の親だと紹介し、「データとコンピューティングは家系なんです」と語る。ラマスワミは主に南インドで育ち、産業界でのキャリアや、その後にどんな仕事が待っているかを考えることなく、博士号取得のために米国へ渡った。

ラマスワミは博士課程を、戸惑いを覚えるような転換だったと振り返る。ラマスワミ自身が「非常に技術重視で、超競争的だが、きわめて構造化された環境」と呼ぶところから来た身にとって、教授に何に取り組めばよいかを尋ね、「何か面白いこと」に取り組めと言われたのは不安なことだった。まだ研究というものを理解していなかった22歳にとって、その答えはラマスワミの言葉を借りれば「恐ろしい」ものだった。研究とは、既存の分野を学び、その分野がどこへ向かいうるかについて「大胆な」仮説を立て、それを追究することを意味していた。

振り返ってみると、研究はうまくいったが、情熱を注げるものでは決してなかったとラマスワミは言う。その気づきが、ラマスワミが他の人々に送る助言になった。「時間が止まるように感じられること」、つまりもっと時間を費やしても苦にならないような活動に取り組め、というものだ。約10年間研究に携わった後、ラマスワミはソフトウェアエンジニアとして自分を生まれ変わらせることを決意した。コードを書くことは今でも情熱の対象だとラマスワミは言い、「創造するという行為」や「無から何かを生み出すこと」が大好きだと語る。

ラマスワミは、Googleでの成功をその組み合わせに結びつけている。ソフトウェアやシステム構築が好きであると同時に、ビジネスへの影響にも関心があったということだ。ラマスワミの見方では、そのためにこれ以上適したチームは地球上に存在しなかった。それが検索広告であり、そこでは技術が優れたプロダクトと「莫大な額のお金」に変わり、ラマスワミのような人間に成長の余地を与えてくれた。ラマスワミは自らのキャリアを、ある部分では適切な時に適切な場所にいたこと、またある部分では心から共鳴できる仕事を見つけたことによるものだと語る。また、Googleの創業者たちや、「コーチ」として知られるビル・キャンベルといったメンターたちにも感謝している。ラマスワミの言葉によれば、キャンベルは世界がこれまで知る最も偉大なリーダーたちの何人かを指導した人物である。

どの仕事にも独自の「卓越」の定義がある

まず受け入れるべきことは、どの仕事にもそれぞれ固有の要件があるということだとラマスワミは言う。すでに知っていることもあれば、学ばなければならないこともある。たとえば、初めて上場企業のCEOになったラマスワミは、Snowflakeを担当する金融アナリストたちと仕事をした経験がなかった。彼らと知り合い、関係を築き、どう協力すればよいかを理解することは、すべて学ばなければならなかったが、ラマスワミはそれを喜んで学んだと語る。

より広い助言としては、どんな役割においても卓越とは何を意味するのかを見極めることだ。わからなくても構わない。それをわかっている人を見つけ、何が求められるのかについてフィードバックを求め、それをもとにその仕事で最も優れた人々の水準を目指せばよい。

偶然の、現場主義のリーダー

ラマスワミはSnowflakeへの移籍を「ちょっとした偶然」だと言う。当初の約束は、会社に加わって6か月間とどまるというものだった。ラマスワミは自身を、リーダーとしてのキャリアを計画したことなど一度もない「気の進まないリーダー」だと表現するが、リーダーシップが組織に大きな影響を与えるものだと考えるようになった。

ラマスワミは、あまりにも多くの人がリーダーシップを単に人を管理することだと捉えていると主張する。リーダーは、会社が何を大切にするのかの基調を定める「文化的な象徴」でもある。ラマスワミにとってそれは、リーダーが会社のプロダクトの精神を体現しなければならないことを意味する。ラマスワミは、細部を把握し、ものづくりの技を深く大切にする現場主義のリーダーであることに誇りを持っている。ラマスワミはソフトウェアエンジニアリングを、顧客のために目に見える何かを生み出す技だと呼ぶ。Googleではそれが広告主とエンドユーザーであり、Snowflakeではエンタープライズ顧客である。プロダクトの品質にとことんこだわることは、ラマスワミが言う会社の「ミッションを肌で感じる」ことの一部なのだ。

優れたプロダクトこそ最大の防御

ラマスワミが最初に挙げる原則は、「優れたプロダクトこそ最大の防御である」というもので、これほど多くのことが変化している今は特にそうだという。それは、今日何が優れているのか、明日何が優れたものになるのかを理解し、その両方に向けて構築することを意味する。ラマスワミは、非常に競争力のある価格で提供される高品質なプロダクトを「究極の防御力」と呼ぶ。

そのすぐ隣にラマスワミが置くのが、問題が起きたときに顧客を大切にすることだ。顧客は、苦しいときに誰がそばにいてくれたかを覚えているとラマスワミは言い、こうしたことが象徴的な企業を生み出す要素の一つだと語る。

意欲的で柔軟な人材を採用する

2つ目の原則は、人材を迎え入れ、その人たちが成長し活躍できるよう支援することがリーダーの最も重要な仕事だというものだ。ラマスワミは「意欲的で柔軟な」人材を求めている。意欲的であることが必要なのは、変化の速い時代には、物事をより良く行う方法を学ぶためにひと手間惜しまない人が欲しいからだ。柔軟、つまり適応力があることが必要なのは、「昨日とても得意だったことが、今日はAIモデルの方がうまくこなせるかもしれない」からだ。古いスキルにしがみつくことはできず、個人としても職業人としても学び続けなければならない。リーダーは意欲に満ちた人を見つけ、機会を与え、うまくいかないときには支え、うまくいったときには一緒に祝うべきだという。

ラマスワミは手柄を分かち合うことも強調する。「手柄は分かち合っても決して薄まらない」。優れたリーダーはチームの良い知らせを共に分かち合うが、物事がうまくいかないときには前に立ち、それは自分の責任であり、もっとうまくやれたはずだと言う。ラマスワミは、チームを育てることと守ることを組み合わせたこの姿勢が不可欠だと考えている。

だからといって、基準が低いわけではない。ラマスワミは自身を「日常的に非常に要求の厳しい上司」だと言い、チームにも自分自身にも多くを求める。それが機能するのは、その要求がSnowflakeとチームをより良くすることを目指していると全員が理解しているからだとラマスワミは言い、それによってリーダーは有能であると同時に誠実でもいられるのだという。

ラマスワミが最後に挙げる原則は、オープンさと透明性である。ラマスワミは率直にコミュニケーションを取り、率直にフィードバックを与え、率直にフィードバックを受け止めると言う。より良くする方法を指摘されて不快に思うことは決してなく、それを贈り物だと捉えている。そして、そうしたオープンな環境が物事を素早く進め、人々が素早く成長する助けになると信じている。

1,000億ドル計画とモバイルの危機

ラマスワミは、2007〜2008年ごろ、当時のCEOだったエリック・シュミットが、ラマスワミを含む数人に売上高1,000億ドルに向けた計画を書かせたことを振り返る。1つの会社が1,000億ドルを稼ぐなど馬鹿げているように思えたため、彼らはそれを「史上最高に笑える話」だと感じた。ラマスワミは、それが主に計画立案の演習であり、本気で信じないまま取り組んでいたことを認めている。

本当の試練は数年後にやってきた。人々が新しいPCを買わなくなるにつれてデスクトップの成長は頭打ちになり、それとともにGoogleのクエリ数の伸びも止まった。モバイルは急成長していたが、ラマスワミの言葉を借りれば、Googleのビジネスにとっての「恐ろしいこと」は、モバイルがほとんど収益を生まないことだった。唯一の成長はモバイル検索にあったが、その収益化の水準はデスクトップ検索のほんの一部にすぎなかった。チームはモバイルの収益化をデスクトップの水準まで引き上げるために5年間取り組んだとラマスワミは言い、それが2014年から2015年にかけて、そして「正直なところ」今日に至るまでGoogleが成長を続けられた鍵だったと語る。

外から見ると順調な道のりに見えるかもしれないが、実際は「大きな乱気流に満ちた大海原」だったとラマスワミは言う。1,000億ドルという大胆な目標を、そのまま行動に落とし込むことはできなかった。その代わりにチームは、たとえば四半期ごとにクエリあたりの収益化を5%改善しようとする仕組みを通じて地道に取り組み続けた。ラマスワミはこれを、Google全体の売上成長を牽引したものの一部だと説明している。

大きな成果は疑問も生むとラマスワミは言う。1,000億ドルといったマイルストーンに到達し、Googleの広告・コマース担当SVPになったことで、ラマスワミはやがて何か違うことをしたいと思うようになった。それは、去ることへのプレッシャーと自由の両方を生み出した。

Neevaと、欠けていた「10倍」

ラマスワミのスタートアップであるNeevaは、ラマスワミが「大胆な仮説」と呼ぶもの、つまり検索エンジンはより優れたものでありながら無料でもありうるという考えの上に築かれた。振り返ってみて最大の過ちは、Google検索の10倍優れたプロダクトという水準に基準を設定しなかったことだとラマスワミは言う。ラマスワミはGoogleの巨大な流通面での優位性を指摘し、Googleがあらゆるブラウザ、あらゆる流通チャネルに対価を支払っていることに触れる。人々に乗り換えてもらうためには、Neevaには10倍優れたプロダクトが必要だった。

AIが登場するまで、Neevaはその10倍優れたプロダクトを作る準備が本当にはできていなかったとラマスワミは言う。彼らが作ったのは「Googleより少しは優れているが、本当に10倍優れているわけではない」ものであり、その差が流通の問題の大部分であり、会社が失敗した理由の大部分だったとラマスワミは語る。ラマスワミはまた、その会社がGoogle時代ほどには成功しなかったこと、そしてそれで構わないということを率直に語る。なぜなら、単に成功すること以上に、レジリエンスと失敗に対処する力の方が重要だからだ。

創業全般について、ラマスワミはこう言う。「あらゆるスタートアップは信じるという行為です。それは狂気の行為でもあります。なぜなら、他の誰もやったことのないことを自分ならできると考えるのですから」。その信念は「ちょっと宗教的な感覚」だとラマスワミは言う。

Googleの後継者としてのChatGPT、そして「より速く、より安く、より良く」

情報という点では、ChatGPTをGoogleの後継者だと見ているとラマスワミは言う。Google検索が決して持ち得ないような細やかさで問題を解決できるからだ。一例として、ラマスワミのコーヒーグラインダーが動かなくなったことがあった。ラマスワミは写真を撮ってChatGPTに入れ、何が悪いのかを尋ねた。答えは、上部がしっかり締まっていないのだろうというものだった。締め直すと、機械は再び動いた。「それが現代の検索体験なんです」とラマスワミは言う。

ここからラマスワミは、創業者たちへのメッセージを引き出す。自分はもっと良いものを作れると信じよ、ただしユーザーが自分のプロダクトを使う説得力のある理由を必ず持たせよ、というものだ。Snowflakeでは、ラマスワミはPMやエンジニアに、基準は「より速く、より安く、より良く」だと伝えている。プロダクトが本当に成功するには、少なくともこのうちの1つを満たしていなければならず、理想的には3つすべてを満たすべきだという。

ラマスワミは、根本的な原則は変わっていないと考えている。それは、消費者であれエンタープライズ顧客であれ、価値を生み出すことだ。新しいテクノロジーがもたらすのは、その価値の生み出し方の破壊である。だからこそラマスワミは、企業が現時点で最良のモデルが提供するものを何であれ、自社のプロダクトや価値創造の考え方に取り入れることが非常に重要だと考えている。

10年後のSnowflake

もしSnowflakeが10年以内にGoogleやAWSのような象徴的な企業になれたなら、「これ以上の喜びはない」とラマスワミは言い、それを見届けるためにその場にいたいと願っている。ラマスワミはそれをチーム全体の共通の志、つまりエンタープライズに本当に変化をもたらす企業になることだと語る。ラマスワミはSnowflakeのミッションを「データとAIの力を活用して、あらゆるエンタープライズがその潜在能力を最大限に発揮できるよう支援すること」だと述べ、10年後には地球上の大半の企業に対してそれを実現する道を順調に歩んでいることを願っている。

失敗から生まれたもの

ラマスワミは失敗を軽く扱わない。「失敗はつらいものです」とラマスワミは言い、それを深い切り傷やひっかき傷にたとえる。対処はできるが、それでも痛むのだ。それに対処することで、私たちはより一層努力し、成功のありがたみをより深く感じるようになるとラマスワミは主張する。

Neevaは失敗したが、その失敗の中にはSnowflakeを「AIにおける素晴らしい企業」にするために必要な種があったとラマスワミは言う。Neevaで検索を構築したチームが、Snowflakeで検索を構築した。NeevaのAIモデルを構築したチームは、現在CortexとSnowflake Intelligenceを構築しており、ラマスワミはこれらを後継であり、Snowflakeが向かう未来だと呼んでいる。

ラマスワミの締めくくりの論点は、成功と失敗の両方をどう受け止めるかについてである。あらゆる失敗には重要な教訓があるが、同時に失敗を受け入れ、自分が人間であることを受け入れ、自分は自分の失敗以上の存在であると心に刻まなければならない。ラマスワミは、他の人々にも、自分の子どもたちにも、そして自分自身にも、「私たちは自分の成功以上の存在であり、同時に自分の失敗以上の存在でもある」と伝えていると言う。ラマスワミの見方では、自分が何者であるかという確かな感覚があれば、目的を持って行動でき、成功をより一層大切に思えるようになる。なぜなら、成功とは「素晴らしく、めったにないもの」だと理解できるからだ。