ソニー、サンリオはなぜ「買い」なのか:窪田真之が語る、AIブームの陰で売られたエンタメ株

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概要

経済ニュースを起点に注目セクターを分析するPIVOTの番組「セクター超分析」で、エンタメ・コンテンツ産業が取り上げられた。ゲストは楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジストの窪田真之氏と、日経エンタテインメント!編集委員の平島綾子氏、番組のご意見番は杉村太蔵氏、進行は上重聡氏である。

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番組の中心にある問いは、日本のコンテンツ産業は株式投資の対象として有望なのか、というものだ。窪田氏の立場ははっきりしている。「AIがコンテンツを作ってしまう」という連想でエンタメ株が売られたのは半分は誤解で、残りはAI・半導体ブームによる市場の流れにすぎない。だから業績のよい企業が割安に放置されている今は、投資の好機だという。前編では窪田氏が買いたい5銘柄のうちソニーグループとサンリオが詳しく解説され、あわせて「今は買いたくない」2銘柄が挙げられた。

国の戦略と「いいものを持っているのに稼げない」日本

冒頭で杉村氏は、国がコンテンツ産業で2033年までに191兆円を超える経済波及効果を狙っていると紹介し、「久々にキラキラしたセクター」だと期待を語った。成長戦略に自動車が入っていなかったことにも触れ、国の力の入れ方が違うと見ている。

窪田氏の見方では、日本はアニメなどすでに良いコンテンツを持っており、これから作る必要はない。国の仕事は、それを稼げるようにすることだという。窪田氏は、日本企業にはハードウェアや電子部品、電子材料など、それがなければ世界の産業が動かないものを作っているのに十分に儲けられない企業が多いと指摘した。例として挙げたのがシャープで、液晶で世界を変えたが、大量生産の段階ではアジア勢に押されて稼げなかった。「技術で勝ってビジネスで負ける」構図である。

その根本原因について平島氏は、海外で稼ぐには海外のルールに合わせる必要があると答えた。アメリカは日本と同じルールでは動かないため、現地とうまく連携し、現地のやり方に乗ってビジネスを進めなければならない。ところが、そのための教育がなかなか浸透していないのが課題だという。

窪田氏はさらに、有形資産で稼ぐ時代から無形資産で稼ぐ時代にはっきり変わったと述べた。自動車でも発想はすでに変わっており、ハードウェアは厳しくても、バスやトラックを中心とした自動運転なら日本がブレイクするかもしれない。そうした目に見えない部分で日本が注目されていくだろう、というのが窪田氏の見通しである。

海外売上を6.1兆円から20兆円へ:経産省の5カ年計画

番組は、経済産業省が2026年8月20日に公表した「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」を取り上げた。日本発コンテンツの海外売上を2024年の6.1兆円から2033年に20兆円へ、約3倍に増やす「物語大国5年計画」である。

窪田氏は株式投資の観点から、できていなかったことができるようになる局面で株価は大きく上がると説明した。いいコンテンツを持ちながら稼げていない会社が日本には多いので、この業界は投資先として面白いという。

また、日経は2026年5月に「日経エンタメ・コンテンツ株指数」の算出を始めた。杉村氏がこれを見て上場企業が多いと感じたのに対し、平島氏は、日本のエンタメ企業で上場しているところは実はそれほど多くないと説明した。クリエイティブの現場にさまざまな注文がつくとうまくいかないこと、そもそも規模が大きくない会社が多いこと、芸能事務所でも大企業は限られることが理由だという。上場企業は映画会社やゲーム会社、それにサンリオのようなIP企業が中心になる。窪田氏も、漫画やアニメ、昭和の数々の名作などは全然活用できておらず、上場企業として表に出てきたのはまだほんの一部だと述べた。

過去の名作は「リメイク」で生きる

杉村氏が、例えば高倉健の作品は海外で受けるのかと尋ねると、平島氏は、映画祭などで過去の映画を出す動きがあると答えた。アニメ業界では「エバーグリーン」と呼ばれる過去の作品のうち、海外にまったく出ていないものが多く、漫画も同様だという。それらを翻訳して売り出そうとする動きがあり、既存の作品を活用するのが一番楽なので、各社とも収益源にしようとしている。

窪田氏は、ウォルト・ディズニーが『ジャングル・ブック』などの過去作を次々にリメイクして大ヒットさせていることを引き合いに出した。高倉健の作品や昭和のスポ根ものも、そのまま出して受けるわけではなく、現代版にリメイクすることが重要だという。平島氏は、アメリカで作られ多数の賞を取った『SHOGUN 将軍』のように、時代劇を作り直すやり方もあると補足した。

「SaaSの死」は勘違いだった

前編のテーマは「SaaSの死で売られたエンタメ株」である。窪田氏によれば、「SaaSの死」とは、AIが高度に発達すれば既存のソフトウェアはいらなくなるという見方を指す。まずシステム開発会社が「人間がプログラミングしなくてよくなる」という理由で売られ、その延長で漫画も音楽もAIが作るという連想から、コンテンツなど無形資産関連の銘柄も一緒に売られた。

窪田氏はこれを「大間違い」だと断じる。汎用AIは世界中のさまざまなものから学習していろいろなものを作るが、個別のビジネスにぴったり合ったものは作ってくれない。ビジネスのドメイン知識を学んでカスタマイズしていくプロセスが大事で、それを担うのが既存のSaaSやシステムインテグレーターである。これらの銘柄は急激に売られた後に見直されつつあり、コンテンツ関連も同じように見直され始めている。市場は「SaaSの死」の勘違いに気づき始めているのではないか、と窪田氏は見る。

創作の世界については、可愛いキャラクターを作るだけならAIでもできるが、継続的に新しい物語を生み出さなければならない点を強調した。ミッキーマウスの絵だけならAIで簡単に描けるが、ディズニーは毎年新作を出している。そのプロセス全体はクリエイターがいなければできないという。

平島氏は、日本では人口が減っているため、AIで賄えるところは賄わなければ遅れていくと述べた。各社は様子を見つつ、裏では開発などの準備を進めているのではないかという見方である。

AIはむしろ日本のコンテンツを伸ばす

杉村氏が「AIが出てきても業績が大きく悪化するわけではない」とまとめようとすると、窪田氏は「私は逆だと思う」と応じた。日本の作品は日本語であるために、英語だったらブレイクしていたはずのものが多い。AIを使えば簡単に英語化できる。ただしそのままでは面白くないので、人間が目を通して面白いストーリーに仕上げる必要がある。単純作業はAIに任せればよく、AIを使うことで日本のコンテンツ業界はさらに伸びるというのが窪田氏の考えだ。

杉村氏は成長戦略の資料から、ゲームの音声翻訳の人口カバー率について、世界的ヒット作は6割ほどをカバーしているのに対し、日本発ゲームはまだ40%程度だという数字を紹介した。AIによる自動翻訳が進めば市場はさらに広がるという見立てに、窪田氏も同意した。日本のお化けのように、ドラキュラに負けない面白い素材は日本にたくさんある。それをAIで掘り起こし、クリエイターが生かしてリメイクすることで、ブレイクする作品が次々に出てくると窪田氏は期待している。

売られたのは「テーマ」で動く市場のせい

では、エンタメ株が売られたのは「IPで稼ぐモデルは終わる」という誤解のためだったのか。窪田氏は「半分は誤解」だと答えた。残りの半分以上は市場の流れによるものだという。市場は企業のファンダメンタルズだけでなくテーマで動く。AI・半導体ブームに投資家が集中した結果、それ以外が売られた面がある。

窪田氏は、市場の目がAI・半導体だけに向かうなかで、好業績なのに売られている銘柄がたくさんあると述べ、今はそうしたセクターを掘り起こす時期だとした。杉村氏も、ブームの陰で割安に放置された良い企業を中長期で狙うのは、個人投資家にとって重要な戦略だと応じた。

窪田氏が挙げる買いたい5銘柄と円谷フィールズ

窪田氏が挙げた銘柄のうち、ソニーグループと任天堂は「王道銘柄」で、サンリオも「もはや王道になりつつある」という。一方、市場でまだほとんど認識されていない銘柄として円谷フィールズを挙げた。パチンコ・パチスロメーカーのフィールズが、経営危機にあった円谷プロを2010年に買収し、その資金で円谷プロが復活した。ウルトラマンがリメイクされ、『シン・ウルトラマン』などが日本でも世界でもブレイクし、ようやくコンテンツビジネスで稼げるようになってきた。それでもパチンコ・パチスロメーカーのイメージが強く、市場の評価が追いついていないため面白いと窪田氏は考えている。

ここでも窪田氏が強調したのはリメイクである。面白さの原点は昔の怪獣にあるが、そのままでは現代では受けない。新しい時代向けに作り直された作品が次々に出ていることで、サンリオと並んでIPで稼ぐ企業になってきたと評価した。

杉村氏は、前回取り上げた自動車セクターではPBRが0.4倍といった水準だったのに対し、コンテンツ企業の指標はまるで違うと驚いた。番組では円谷フィールズについて、PERは11倍程度とやや低め、PBRは2.7倍という数字が示された。窪田氏は会計基準の観点から、自社で創り出した無形資産はバランスシートに計上できないと説明した。製造業なら工場を建てればバランスシートに載るが、コンテンツ企業は帳簿に載らない稼ぐ資産を積み上げていくので、PBRが高くなるのは当然だという。

ソニー:製造業からエンタメ企業への転換

前編で最初に詳しく解説されたのは、窪田氏がファンドマネジャー時代から「大好き」だというソニーグループである。窪田氏によれば、日本が世界一と言われた1980年代は製造業の時代で、ソニーは松下やトヨタと並んで製造業で世界を制した。その後、製造業で稼げない時代が来てソニーは厳しい時期を経験したが、ビジネスの中身を変え続け、気づけば無形資産で稼ぐ総合エンターテインメント企業になっていた。窪田氏はこの経営力と変わり身を高く評価している。

番組のセグメント資料では、エンタメ関連の3事業が全体の約7割を占める。窪田氏は、その下にある「エンタテインメント・テクノロジー&サービス」は実は製造業で、テレビや携帯電話などを含み、テレビは撤退も含めて検討されていると説明した。1980〜90年代にはハードウェアで稼ぎ、映画でたまにヒットが出ても「映画は不安定で当てにならない」と言われていた。今は逆で、映画や音楽は安定的に稼げる一方、ハードウェアは今は利益が出ていても続けるうちに赤字になるかもしれない、という位置づけだという。

平島氏が注目点として挙げたのは、ソニー傘下のアニメ配信サービス「クランチロール」である。日本のアニメを配信しているが日本ではサービスを提供しておらず、世界200カ国以上で展開している。登録者は約2000万人で、3億人を超えるNetflixには及ばない。ただし平島氏によれば、ここにはアニメにお金を使う熱心なファンが集まっている。アニメは漫画、音楽、ライブへと波及するので、それらを一通り持っているソニーグループがアウトプット先を傘下に持つ意味は大きいという。

「行ったり来たり」だったソニーの経営

杉村氏が、出井氏、平井氏と続く経営者のもとで一貫した方向転換の流れがあったのかと尋ねると、窪田氏は、はっきりした流れがあったわけではなく「行ったり来たり」だったと答えた。ソフトウェアに向かおうとしてはハードへの揺り戻しが来る。その間の厳しい時代には金融事業で稼いできたが、金融はこれ以上伸ばせないとして縮小の方向にあり、今ははっきりと総合エンターテインメントの無形資産で稼ぐ時代になったという。

杉村氏は、家電メーカーのイメージが強い会社がエンタメに全振りするのは難しい発想だと感心した。富士フイルムが自社技術を使って新事業に転換した例はわかりやすいが、ソニーの転換はそれとも違うという。窪田氏は、日本の製造業も少しずつハードウェアのメンテナンスやカスタマイズといったサービスで稼ぐようになっており、ソニーはその大成功例だと位置づけた。さらに、ハードよりソフトのほうがコストがかからず、一度当たればあとは稼ぐだけだと説明した。杉村氏がNEC関係者から聞いた話として、システムを一件受注しても大して儲からないと紹介すると、窪田氏は、完全なパッケージソフトになると安売りに陥るので、世の中の流れに合わせてカスタマイズしながら標準化していくことが大事だと付け加えた。

2010年前後のソニーについて窪田氏は、ハードに行くかソフトに行くかで両論があったと振り返る。ゲーム事業を立ち上げた久夛良木健氏は一気にソフトで行くべきだと主張し、その後またハードへの揺り戻しがあった。後から振り返れば見事な経営だが、迷って動いた時期もあったという。

ソニーが割安だと考える理由

窪田氏は、株式投資では「変わり身が素晴らしい」と誰もが分かった企業は株価が高くなりがちだと述べる。ソニーにはまだハードウェアが残っており、撤退に伴う特別損失が出る可能性があるうえ、ソニーをハードウェアの会社だと思っている人もいるため、PERで見て割安になっている。番組で示されたPERは約18倍だった。窪田氏によれば、任天堂はゲームエンターテインメントで稼ぐ会社だと認識されているためPERが高い。ソニーはこれだけ良いものを持ち、成長するビジネスモデルを築いているのに、このPERはとても安いというのが窪田氏の評価である。

サンリオ:ようやく実現した「日本のウォルト・ディズニー」

次に取り上げられたのはサンリオである。窪田氏はファンドマネジャー時代からサンリオを「次の日本のウォルト・ディズニー」だと期待しては裏切られることを繰り返してきた。それから約20年を経て、ついに本当の日本版ウォルト・ディズニーとして成長し始めたという。株価は大きく上昇したが、その後のAI・半導体ブームでちょうど売られたところなので、見直すにはよいタイミングだと窪田氏は見る。

2022年ごろから株価が上がった理由について、窪田氏は海外のロイヤリティ収入が一気に増えたためだと説明した。投資家はキティちゃんが世界で人気だから買うのではない。人気を実際のロイヤリティ収入の大きな伸びにつなげる仕組みができ、ウォルト・ディズニー型の成長軌道にすでに乗っていることを評価しているのだという。杉村氏が円安の恩恵を受ける企業なのかと尋ねると、窪田氏は、為替は非常に短期的な要因にすぎず、重要なのは海外売上が伸びるかどうかだと答えた。以前のようにキャラクターグッズを作って売ることに主眼があった時代は評価できなかったが、配信やロイヤリティで稼ぐようになったことで評価できるようになったという。

平島氏は、サンリオは2010年代に海外でつまずいたこともあったが、ここ数年で北米戦略を大きく変えたと説明した。ポイントは「キティちゃん一本足打法」からの脱却である。以前はキティちゃんだけが有名だったが、今はクロミが人気で、Netflixではマイメロディとクロミのアニメも作られている。シナモロールなども含め、大人、Z世代、子どもとそれぞれの層に違うキャラクターを当て、複数のキャラクターのポートフォリオを持つ形に転換したことで人気が出ているという。

「売れているのにギャラの安いタレント」

杉村氏が、サンリオは持っていればいつかヒットを出すのではないかと期待させる銘柄だと述べると、窪田氏は、新しいヒットを出すというより、すでにヒットしたものをどう使うかに気づいた結果として売上が伸びたのだと訂正した。持っているキャラクターをどうマネタイズするか、という話である。平島氏は、サンリオにはキャラクターが非常に多く、年代別の事業もあり、それぞれの事業からさまざまな企画が出てくるので、今後にかなり期待できると述べた。

上重氏が「売れていないタレントをたくさん抱えているようなもの」と冗談を言うと、窪田氏は「すごく売れているのにギャラの安いタレント」を抱えている状態だと言い換えた。杉村氏はこれを受けて、新人の発掘ではなく、大御所がいるのにギャラが安かったので、大御所にふさわしいギャラをもらえるようになりつつあるのが現状だと整理した。

株価について窪田氏は、一時は過熱していたが売られて戻ってきたので、成長企業として再び面白いバリュエーションになっていると述べた。平島氏は、東京ゲームショウでサンリオが「サンリオゲームズ」を始めたことが話題になっていると紹介した。スマートフォン向けにキャラクターを使ったゲームを展開し、会場には行列ができていたという。平島氏はこれでグローバル展開がさらに加速すると期待している。

日本からディズニーは生まれるか

杉村氏に、ウォルト・ディズニーはどれほどコンテンツで稼いでいるのかと問われた窪田氏は、ビジネスのほぼすべてがコンテンツでできていると答えた。グローバルに仕組み化され、著作権侵害にはすぐ対処できる体制があり、そのうえで歴史的なストーリーやリメイク作品を作っているという。日本のディズニーのような企業がこれから出てくる可能性について窪田氏は「そうだと思っている」と述べたが、それはサンリオだけではないとした。サンリオは、日本にたくさんあるポテンシャルの一つを実現した会社だという位置づけである。

平島氏は、世界のアニメの現場では日本への期待が非常に大きいと語った。興行収入を見てもディズニーは強いが、日本のアニメが世界のトップ10に入ってきている。日本の強みは物語性にあり、学園ものや、不遇な男の子と女の子の物語などは日本独特のもので、アメリカのZ世代の若者が泣き、フランスの子どもが影響を受けているという。

杉村氏は、今年のワールドカップでも、海外の有名選手がサッカーを始めたきっかけに『キャプテン翼』を挙げていると紹介し、『スラムダンク』なども含め、海外で稼いで日本の成長に取り込むことはもっとできないのかと問題提起した。平島氏は、特に出版社がさまざまな言語に翻訳して海外に出し、反応を試していると答えた。窪田氏は、古い作品ほど権利関係が複雑で、多くの人が間接的に権利を持っているため一気に売り出せないと指摘し、それをうまく整理できればよいと述べた。杉村氏が、クールジャパン機構がそうした作品をまとめて買えばいいのではと冗談交じりに言うと、窪田氏は、それでも現代版の『キャプテン翼』や『スラムダンク』のようにリメイクしなければならないと念を押した。平島氏も、実際に多くの作品がリメイクされ始めていると述べた。

今は買わない2銘柄:フジ・メディアHDとANYCOLOR

前編の最後には、窪田氏が「今は買いたくない」2銘柄が挙げられた。1つ目はフジ・メディア・ホールディングスである。いいコンテンツは多く持っているはずだが、買いたくない理由は経営状態だけでなく株価にもあるという。問題を起こして赤字に転落したのが2025年3月期で、そこから株価は大きく上昇した。経営陣が代わることで、コンテンツや不動産の含み益を生かした経営ができるのではという期待から株価が先に跳ね上がった。番組では約2.5倍になったと紹介された。窪田氏は、業績が改善しないうちに株価が先に行ってしまったので、ここからは投資したくないと述べた。

一方で窪田氏は、テレビ局全般の株価はそれほど高くなく、稼ぐ仕組みを作り始めたと判断できれば買いたいとも話した。杉村氏が、2000年代のフジテレビは『踊る大捜査線』のようにドラマで当てて映画に展開するのが上手だったと言うと、窪田氏は、それは国内だけの話で、アメリカでもヨーロッパでもヒットしていないと返した。毎週ドラマを作っているのになぜ海外で稼ごうとしないのか不思議だ、という点で両者の話は一致した。

2つ目はANYCOLORである。窪田氏はVTuberには需要があると見ている。ただ、かつてブロガーなどのマネジメントを手がけていたUUUMの例を挙げ、マネジメントだけで利益を継続的に伸ばすのは難しいと指摘した。ANYCOLORは多くのVTuberを抱えて利益を伸ばしているが、ある程度稼げるようになったタレントが卒業や独立をする可能性もある。窪田氏は推奨するかかなり迷ったものの、継続的に成長する企業ではないと判断したという。

平島氏は、VTuberは日本では10代、20代の比較的若い層が中心で、世代的な広がりや世界への広がりがもっと見えてくれば面白いと述べた。株価は一度上がって下がり、またじわじわ上がってきているが、窪田氏は気にはなりつつも、アナリストとしてもファンドマネジャーとしても現時点では積極的に投資しにくいと結論づけた。司会は、IPを持っているかではなく、IPで稼げる仕組みを持っているかが分かれ目だと整理した。

杉村氏の中間ジャッジは「50点」

前編の締めくくりに、杉村氏は中間ジャッジを「正直まだ50点くらい」とした。サンリオのように、これまでの「大御所」がきちんと稼げるようになるにはどうすればよいのか、そして市場規模はどれくらいあるのかが、まだつかめないという。自動車なら、アジアで所得が上がれば車を持つ人がこれだけ増える、という形で需要と供給の見通しを立てられる。しかしコンテンツ分野では需給が読みにくいのではないか、というのが杉村氏の疑問である。

コンテンツ産業の需要をどう見積もるのか、世界で最も見られている日本のアニメは本当に稼げるようになるのか。この問いは後編に持ち越され、残る3銘柄の解説とともに議論されることになった。