カノックスターは「面白くない投資信託」の先に何を買うべきか 宇宙銘柄と売り時、法人資金の運用をプロに聞く

YouTubeで開く ↗
概要

売れてお金を持った芸能人に、プロがお金の増やし方を助言する番組「どっちで増やしまショー」。今回のゲストは、チャンネル登録者数216万人のYouTuber、カノックスターさんだ。投資歴3年の彼がプロに投げかけた悩みは三つある。投資信託は正直面白くないが、個別株では何を買えばいいのか。値上がりした株はいつ売ればいいのか。法人口座に貯まった現金をどう活かせばいいのか。前編では、彼が最初に買って大きく値上がりした「宇宙株」を入り口に、テスタさん、馬渕磨理子さん、そしてスペシャルプランナーの渡部清二さんが、それぞれの立場から答えた。

10分で読めます

「将来が心配すぎて」始めた投資

カノックスターさんは愛知県出身の29歳。新しい地図の3人や堀江貴文さんとのコラボ動画でも話題になり、総再生回数は13億回に達する。司会の加藤さんは彼の芸風を「話題の人を呼んで、視聴者からこんな質問が来ていますという体裁で失礼なことを聞く」と説明し、本人もそれを認めた。

投資の中身は、投資信託、自分の好きな個別銘柄、仮想通貨だ。最近はビットコインの積立も始め、3カ月目になる。始めたきっかけは将来への不安だという。当時は再生数が落ち込んでいた時期で、何か手を打ちたいと考えた。さらに最近は「収益剥奪」のような事態も起きていると明かした。動画は上げられるが、広告収益が入ってこない状態だという。YouTubeだけに頼る危うさが、投資への動機になっている。

顔で売った初期から下ネタへ、それでも変えなかったもの

番組恒例の「人生チャート」では、彼の経歴がきれいな右肩上がりで示された。2018年にYouTubeを始め、2年後には登録者100万人を突破した。最初は海外旅行が好きで旅行動画を撮っていたが、お金が尽きて食べ物系の動画に切り替えたところ、それが伸びた。当時韓国で流行していた食べる系の動画を日本でやっている人が少なく、「可愛いキャラ」で売っていたという。最初に伸びたのは、中国の偽物市場で値段交渉をする動画だ。海外で流行っていたが日本でやる人がいないと考えて撮り、100万再生ほどになった。

収入の変化も率直に語った。2018年まではアルバイトで月8万円ほどだったが、最初にバズって一気に50万円ほど入り、次は100万円と倍々で増えた。2021年に投資を始め、2023年には年収が1000万円を超え、結婚もした。結婚でファンが減ることはなかったという。その前に下ネタ路線に振れた時期があり、いわゆる「ガチ恋勢」がすでにいなくなっていたからだ。視聴者の男女比は、当初の女性8割から男性7割・女性3割へ逆転したという。

現在の体制は、編集を担当する弟、企画を一緒に考えるYouTubeコンサルタント、マネージャーの少人数だ。マイルールを問われると、彼は「初心を忘れない」ことを挙げた。再生数が気になるたちで、マンネリを感じて大きく方向を変えたとき、数字が落ちたことがある。そこで最初にやっていたことに戻すと数字が戻った。最初から使っている機材や画角は今も変えていないかもしれない、と振り返った。落ち込んでも良くはならないので、次をもっと良くしようと繰り返す。やる気がなくなることは特になく、根本的に楽しいうえに生活がかかっているからやめられないのだという。

友人の一言で買った宇宙株が数百万円のプラスに

最初の質問は「投資信託は置いておくだけで正直面白くない。そこから抜けて、どう増やせばいいのか」というものだった。投資信託はおそらく着実に増えているが、それだけでは物足りないという。

話は、彼が投資を始めて最初に買った株に及んだ。仲の良い人から「宇宙株がいいんじゃない」と聞き、その帰りにすぐ買ったという。自分で宇宙に注目していたわけではなく、調べるとむしろ怪しそうな銘柄だった。ところが結果的に1銘柄だけが大きく伸び、数百万円のプラスになった。

宇宙は「夢」から「ビジネス」の分野へ

馬渕さんは、成長産業に投資するのが一つの考え方だとして、軍事、半導体、AIなどを伸びそうな分野に挙げた。宇宙関連については、イーロン・マスク氏が手がけるスペースXが今年上場する予定なので、一段と盛り上がるだろうと述べた。時価総額が何兆円とも言われており、これまで夢を語る分野だった宇宙が、いよいよビジネスのできる分野になりそうだという見立てだ。

日本の例としては、宇宙ゴミを片付ける企業、月へ物を運ぶ企業、衛星関連を挙げた。加えて宇宙は軍事とも結びつく。アメリカ、中国、ロシアなどが対立するなかで、衛星を押さえておかなければならないという事情があり、宇宙はまだ伸びそうだと馬渕さんは話した。

銘柄を見極める手がかりとして、出演者からはこんな指摘も出た。宇宙関連はそもそも儲かりにくく、赤字の会社が多い。いまは政府が力を入れているので、補助金で売上を立てている企業が多い。そのなかで、政府の支援を受けてひとまず黒字化できている会社は、見込みがあると判断する一つの目安になるという。また宇宙事業は、実験1回でロケットを飛ばして何十億円もかかる。実験段階では売上もないため、初期の赤字が非常に大きい。事業としては大変だが、そのぶん夢がある分野だという評価だった。

テスタさんの1億円ベンチャー投資の行方

ここでテスタさんが、自身の経験を明かした。10年近く前、唯一のベンチャー投資として未上場企業に投資したことがあり、それが日本の宇宙関連企業だった。金額は1億円ほどだ。

では、その投資はどうなったのか。テスタさんによれば、10年経った今も上場していない。会社自体は存続しているものの、株は紙切れ同然になっているのかもしれない。もし上場していれば大変なことになっていた可能性もあるという。1億円の行方を淡々と語るテスタさんに、スタジオは驚いた。本人は「ベンチャー投資は難しいと思いました」と締めくくった。

渡部さんの見方:今は「理想相場」、焦点は月の水

渡部さんも宇宙関連は面白く、有望だと評価した。ただし株式相場の観点から、「理想相場」と「現実相場」を区別した。今の宇宙関連は理想相場の段階にあり、売上も利益も立っていないのに、期待値だけで株価が上がっている、というのが渡部さんの見方だ。

さらに政治的な背景があるという。先日も56年ぶりとなる月周回が行われたが、いま注目されているのは月だ。その理由として渡部さんは、月に水があると分かったことを挙げた。場所は極地で、おそらく氷の状態だという。水を電気分解すれば水素と酸素に分かれ、燃料を作れる。そうすれば月でロケットを作ることも、月から地球へレアメタルを持ち帰ることもできる。

渡部さんによれば、中国は月に原発を作って一気に進めようとしている。燃料をどんどん作ってロケットを飛ばし、先に月を押さえた国が勝つ「面取り合戦」のような状況になっており、アメリカは慌てて追いつこうとしている。しかも、アポロ計画で人を月に送った当時の技術や人材はあまり伝承されておらず、アメリカは今ほぼゼロからやり直しているという。

月の水の写真はあるのかと加藤さんが食い下がり、「ゼロからやっているなら、月面着陸は本当はなかった説もあり得るのでは」と冗談交じりに疑う場面もあった。話は脱線したが、最後は「とにかく宇宙にはロマンがある」ということで落ち着いた。

売り時が分からないのは、買った理由が曖昧だから

二つ目の質問は売り時だ。利益が出ても、この先もっと上がるのではと考えてしまい、いつ売ればいいか分からないという。

出演者の答えは、売り時が分からないのは買う理由が明確でないからだ、というものだった。「宇宙関連がいいらしい」程度の理由で買うと、宇宙が産業として成立するのはもっと先だと思えてしまい、売る判断ができない。次からは「こういう理由で買う、だからこうなったら売る」と、購入時に具体的に決めておくとよいという。

個別株で使える手法として、イベントを基準にする考え方も示された。たとえば「2年後に月へ行く」という計画があれば、その日が近づくにつれて株価は上がりやすい。結果が出る前にいったん手じまいする。成功してさらに上がるかもしれないし、失敗して下がるかもしれないからだ。イベントの手前で売れるよう、早い段階で仕込んでおくのはよくあるやり方だという。出演者からは、昔買った株が大きく上がり、もっと上がると思って持ち続けたら下がってしまい、売るに売れなくなったという失敗談も出た。そのうえで、これから自分で計画を持って買い直すなら、いったん売ってリセットするのもよいという助言があった。

法人口座に眠る約1億円をどうするか

三つ目の質問は、YouTubeの法人に貯まった資金の使い道だ。法人口座にはお金が入る一方で、有効に使えていないという。金額を問われると、大きな税金をまだ払っていない段階だとしたうえで、1億円ほどだと明かした。出演者は、現金のままでは価値が目減りしていくので危険だと指摘した。

テスタさんによると、同じような相談はよく届くという。会社の事業は好調で店舗も増えているが、積み上がった資金をどうすればいいか分からない。銀行に預けておくだけでは物価上昇で実質的に目減りするという動画を見て連絡してきた経営者たちだ。事業一筋で運用経験がないという人が多く、法人向けに助言する世界もあり得るのではと考えている、とテスタさんは話した。カノックスターさんは、テスタさんがやるなら「お願いします」と即答した。

馬渕さんは、上場企業でも内部留保の一部を国債のような安定資産で運用する例は多いと説明した。ただし上場企業には株主の目があるため運用は安定志向になる。未上場の会社なら自由に運用でき、ある程度リスクを取って急成長株に投資することもできる。それが未上場企業の良さなので、ぜひ活用したほうがいいと勧めた。

馬渕さん自身は現在2社の役員を務めている。役員の仕事は会社によってさまざまだが、地域の店舗を一緒に視察したり、次の執行役候補と面談したり、女性活躍の一環で女性社員とコミュニケーションを取ったりと、時間がかかる。株の話はごく一部だという。

投資助言にはライセンスが要る

渡部さんは、他人の資金運用に助言する「投資助言」には金融庁のライセンスが必要で、持たずに行えば金融商品取引法違反になると説明した。渡部さんは複眼経済塾とは別に、このライセンスを持つ会社を持っている。ただ、お金の絡む問題になるので、基本的には使いたくないという。一方、法人が自社の資金を自分で運用する分には、まったく自由にできる。

では、雑談で「この銘柄は良さそう」と伝えるのはどうか。渡部さんの説明では、儲かったら報酬をもらう約束をすれば100%アウトだ。お金をもらわなければ普通の会話になる。食事をおごってもらう程度はグレーだという。最終的な判断は当局が下すので、自分たちには線引きが分からない部分もあると付け加えた。スタジオでは、助言のライセンスを持つ人を雇って会社を作る案が出た。渡部さんは、ライセンスを持つ会社を買ってしまうのが手っ取り早いとも述べた。

カノックスターさんの結論:いったん売ってリセット

話を聞き終えたカノックスターさんは、まず今持っている宇宙株をいったん売りたいと話した。かなり上がっているので、下がったら怖いと感じていた。自分だけでは決められず、売るきっかけが欲しかったのだという。上がっているうちに売ってリセットしたほうがいいと素直に思った、と語った。売った後に株価が大きく上がる可能性もあるが、それは自己責任で、最後は自分で判断するしかないという点も確認された。

次回予告:3億円という目標

後編では、投資でかなえたい目標がテーマになる。カノックスターさんは、セカンドハウスや移住を考えており、なるべく早く3億円ほど欲しいと話した。予告では、馬渕さんが「負けないための投資」を早めに確立しようと提案した。高市政権が国として投資すると打ち出している「戦略17分野」の資料を示し、政権が続く限りここにはお金が入りそうだと述べた。渡部さんは、1年間で株価が2倍になった銘柄が約300社、全体の約8%あると指摘した。どんな銘柄が2倍になったのかを分かっていれば、その確率はかなり上がるという。これを受けてカノックスターさんは、改めてきちんと勉強しようという気持ちになったと語り、前編は終わった。