医療ミスを防ぐ一番の心がけは「人を信用しない」こと:高須幹弥氏が語るケアレスミス対策
高須幹弥(高須クリニック)高須クリニックの高須幹弥氏が、自身が医療ミスを起こさないために心がけていることを語った。対象は主に医師、看護師、医療事務などの医療従事者だが、ほかの仕事をしている人にも参考になればという。同氏の結論ははっきりしている。医療ミスを防ぐうえで最も大事なのは「人を信用しない」ことであり、最終的な責任は医師である自分が負うという覚悟で、自分自身が最後のチェックをすることだという。
ニュースになる医療ミスの典型
高須氏はまず、最近特にニュースになりやすい医療ミスの例を挙げる。脳外科の手術で脳腫瘍を取るはずが別の部位や神経を取り除いてしまい、後遺症が残った例。腎臓の腫瘍で片方の腎臓を摘出する手術で、誤って反対側を摘出してしまった例。肺の手術で、切除すべきでない側の肺を切除してしまった例。こうした左右の取り違えは昔から結構あるという。
患者の取り違えも古くからある問題だ。手術室で別の患者が本来受けるべきでない手術を受けてしまった、別の患者の薬を投与されてしまった、といったケースである。これについては、現在ではほとんどの病院で入院中の患者がネームバンドを着け、看護師などが毎回名前を確認するようになり、取り違えはかなり減ったと同氏は述べる。
薬の間違いも昔から多い。薬の種類、量、単位を誤るミスで、特にmLとmgの取り違えは大きな間違いにつながる。そのため、薬の量を伝えるときは必ず単位まで言わなければならない。それなのに、医師でも看護師でも「10ミリお願いします」「5ミリお願いします」のように、ミリリットルなのかミリグラムなのかを言わない人が今もいる。高須氏はこうした医療従事者を「三流」だと考えており、日頃から単位を正しく言う癖をつけるべきだと強調する。「そんな細かいことを言われても」と受け流す人がいるから医療ミスはなくならない、というのが同氏の見方である。
輸血の間違いもある。違う血液型の血液製剤を投与して強い反応が出て大変なことになる、というものだ。高須氏は、これらはすべて注意不足から生じる「ケアレスミス」であり、絶対にあってはならないと位置づける。
ケアレスミスと合併症は別物
一方で同氏は、人間である以上、ケアレスミスは一定の確率で起きてしまうとも言う。おっちょこちょいな人もいれば、発達や知的な特性からミスが多くなる人もいる。几帳面でしっかりした人でも、ひどく疲れているときや忙しいときにはミスをする。ケアレスミスがゼロの人は基本的にいない、というのが同氏の前提である。
これと区別すべきものとして、高須氏は合併症を挙げる。手術後の感染、出血による血腫、傷が開くことなどだ。糖尿病の人など傷の治りが悪い人ではどうしても起こりやすい。人工関節などの人工物を入れる手術では、どれだけ滅菌管理を徹底しても多少の雑菌は入りうるし、患者の免疫力が落ちていることもある。感染は、どんな名医でも確率は低いものの一定の割合で起きる。臓器移植での拒絶反応や、血管吻合部からの漏れで再手術・再吻合が必要になることも合併症にあたる。
合併症には、手術技術の未熟さが原因になるものもある。例として同氏は、背骨の手術でドリルで骨を削る際に神経を巻き込み、後遺症が残るケースを挙げる。技術不足、不器用さ、勉強不足で起きることもあるので、日頃から解剖を勉強し、手術のトレーニングをすべきだという。適性がないなら外科をやめる、臨床から離れて基礎医学に進むという選択もありだと同氏は述べる。
ただし、この日の主題は合併症ではなくケアレスミスのほうだ。
最も大事なのは「人を信用しない」こと
ケアレスミスをどう防いでいるのか。高須氏は、気分を害する人も多いかもしれないと前置きしたうえで、「人を信用しないこと」が一番大事だと言う。手術や治療は周囲の医療スタッフの力がなければできない。しかし、人間である以上誰でもケアレスミスをする。だから人を信用しない。
その裏側にあるのが、医師である自分が最終責任を負うという考え方だ。看護師、助手の医師、医療事務などが何かを間違え、それが原因で医療ミスが起きたとしても、最終的には担当医・執刀医である自分が全責任を負う。この強い覚悟を持って、誰も信用せず、最後は自分でチェックする。これが最も大事だと同氏は考えている。
腎臓摘出の例:言われたままに手術しない
高須氏は具体的な場面を想定して説明する。美容外科以外でも、救急の現場などで手術が次々に入り、多くの手術をこなさなければならない非常に忙しい状況がある。そこで助手や看護師、事務が「次の手術です。この患者さんは左の腎臓の摘出です」と伝え、執刀医が言われるままに左の腎臓を摘出したとする。後で見たら病変は右側で、健康な腎臓を摘出してしまっていた。「誰だ、左と言ったのは」と責めても、取り返しはつかない。
だから、手術の直前にはどれだけ忙しくても、カルテをしっかり調べ、CTやMRIのデータを見て、この患者は左腎の摘出だと自分で確認してから「今から左腎摘出術を行います」と始めるべきだという。誰かが左右を取り違えて伝えたとしても、最後の責任は担当医にある。人に言われたままにやることがよくない、というのが同氏の主張である。
美容外科での例:眼瞼下垂、ヒアルロン酸、ボトックス
同じことは美容外科でもよく起こると高須氏は言う。「次の患者さんは左の眼瞼下垂の手術です」と言われ、患者と直接確認しないまま左側を手術し、後から反対側だったと気づく、ということがありうる。美容整形は局所麻酔の手術が多く、全身麻酔や静脈麻酔の場合でも、麻酔がかかる前に患者と直接「今日は予定通りこちら側の眼瞼下垂の手術をします」「このデザインでやります」と確認し、カルテもチェックすれば、ミスは起こらない。ところが看護師や助手、事務の間違いをそのまま実行すると、ミスが起きてしまう。
手術以外の施術でも同様だ。「ほうれい線にヒアルロン酸2本です」と言われてその通りに打ったら、実はこめかみだった。「目尻のボトックスです」と言われて打ったら、本当はヒアルロン酸の予定だった。看護師が準備した薬そのものが間違っていることもある。だから最終的には医師が患者と一緒に「ここにヒアルロン酸を何本、ここは何をやりましょう」と確認し、準備された薬が違っていれば「これは違うよ」と指摘する。そうすれば、その場で正すことができる。
トリプルチェックで確率を下げる
そのうえで高須氏は、医療行為では基本的にトリプルチェックをすべきだと考えている。同氏のクリニックの流れでは、まず医師がカウンセリングを行い、その後、医療事務が書類の確認、同意書の記入、会計などの事務手続きを進める。医療事務がその内容を看護師に伝え、看護師が薬や手術の準備をし、最後に医師が施術する。医療事務、看護師、医師の3カ所で、それぞれが厳重にチェックする仕組みである。
同氏はこれを確率で説明する。仮に普通の人間が10分の1の確率でケアレスミスをするとすれば、1人だけのチェックでは10分の1の確率でミスが起きる。ダブルチェックなら10分の1×10分の1で100分の1、トリプルチェックなら1000分の1まで減らせる。きちんとトリプルチェックをすれば、現実にはそれ以上にゼロに近づけられるという。逆に医師が最終チェックをしなければ、1000分の1ではなく100分の1程度に戻ってしまう。
最後の医師が間違えることもありうるが、その前段階の看護師や医療事務が間違えないようにすれば、全体としてのミスの確率はやはり下がる。だから最低でも3段階のチェックが必要だ、というのが同氏の考えである。
職場にはさまざまな人がいる
高須氏によれば、医療は本来、しっかり者で几帳面な人がやるべき仕事である。しかし実際には、どの病院にもいろいろな人が働いている。医師にも看護師にも医療事務にも、知的なグレーゾーンの人、ADHD傾向や発達の傾向がある人、非常におっちょこちょいでミスが多い人、仕事がまだおぼつかない新人もいる。大きな病院になるほど、どこでミスが起こるか分からなくなる。
非常にいい加減な人もいる。同氏は「うちではいないけれど」と断ったうえで、美容外科の例を挙げる。乳房縮小術(バストリダクション)と乳房吊り上げ術(マストペクシー)の違いが分からず、マストペクシーの予定なのに軽々しく「リダクションです」と伝える。医師が言われたままにリダクションを行い、後から実はマストペクシーだったと分かる。こうしたミスはよそのクリニックで結構聞く話だという。
フェイスリフトにも、小さなミニリフト、中間のミディアムリフト、後ろまでしっかり切るフルフェイスリフトといった段階がある。本来は間違いなく伝えなければならないのに、「フェイスリフトの方です」とだけ言ったり、ミディアムリフトなのに「ミニリフトです」と伝えたりすることがある。そこで医師が「この人は違う、この手術だ。次から間違えないように」と正し、患者とも確認すれば問題はない。しかし医師もいい加減で、いい加減な看護師の言う通りにやれば、違う手術や違う注射をしてしまう。
誰でもミスをするし、いい加減な人も紛れているし、人のせいにする人や非常に図太い人もいるかもしれない。だからこそ、前段階でのダブルチェックに加えて医師が最終チェックを行い、人を信用しないことが本当に一番大事だと同氏は繰り返す。
「信用していない」とは口に出さない
ただし高須氏は、この考え方を職場で口に出すことは勧めない。「あなたの言うことは信用していない」「最後は自分でチェックする」とあまりに言いすぎると、今の世の中ではパワハラやモラハラと言われかねない。「私たちのことを信用してくれないんですか」と反発されることもある。心がけとしては誰も信用せず、最後は自分で責任を取るべきだが、それは口にせず内に持っておくほうがよい、というのが同氏の助言である。
それでもチェックしきれない部分
どれだけ他人を信用せずに最終チェックを心がけても、医師が確認しきれない部分はあると高須氏は認める。たとえば薬の中身だ。医師の指示で看護師が薬を調製する場合、点滴の中身や、ボトックスを眉間、額、エラなど部位ごとの量に合わせて生理食塩水で溶かして準備したものが、本当に指示通りの量で正しく溶けているかは医師には分からない。局所麻酔にしても、本当に局所麻酔薬なのか、実は消毒液なのではないか、というところまでは確かめられない。バイアルや容器ごと準備されるヒアルロン酸のようなものなら判別できるが、溶かして準備する薬は中身までチェックできない。
こうした部分は看護師同士のダブルチェックに頼るしかなく、医師は正しい量の正しい薬が入っていると信じて使うしかない。それでも、準備された薬が間違っているかもしれないということを頭の片隅に置いておくくらいのほうが本当はいい、と同氏は言う。
忙しさと流れ作業がミスを招く
医療ミスが起こりやすい状況として、高須氏はおっちょこちょいな人がいる場合に加えて、忙しいとき、そして流れ作業になってしまうときを挙げる。同じ手術や同じような治療ばかりを行うクリニックや病院、診療科では、流れ作業になりやすい。
同氏は、同じ製品を作る仕事なら流れ作業でよいと考えている。車をラインで作る、弁当やケーキを作るといった仕事では、ベルトコンベア式のほうが効率的で合理的で、利益も出せる。それはそれで素晴らしい仕事だという。しかし医療は人間を扱う。同じ薬を使っても反応は人によって違い、同じ手術でも元の体が違うため、まったく同じ手術をするわけではない。
それでも「はい次、はい次」という流れになると、いつも通りにやればいい、さっきの人と同じことをすればいい、という感覚になる。実際には患者ごとにやり方やデザインが違うことがあるのに、そこを見落としてしまう。だから流れ作業になりそうなときでも、患者一人ひとりについて確認し、相当に神経を使わなければならない。常に人を疑っていると疲れるが、医療とはそういうものなので仕方がない、と同氏は述べる。
新人もベテランもミスをする
最後に高須氏は、経験とミスの関係に触れる。不慣れな人は最初のうちにミスを起こす。やがて慣れてくるが、慣れたら慣れたで流れ作業になり、「いつも通りやればいい」と注意力が落ち、いい加減になってミスが起こる。つまり、初心者も、慣れたベテランもミスを起こす。医師でも看護師でも医療事務でも、新人でもベテランでも、誰もがミスをしうることを常に頭に入れておかなければならない。
もちろん、人によってミスを起こす確率には差がある。しっかりした人もいれば、うっかりしていていい加減な人もいる。だから「この人は雑だな」「おっちょこちょいだな」と感じる相手については、特に注意深く見なければならない。これが自分の考えだとして、高須氏は話を締めくくった。
はい、こんにちは。今回なんですけれども、私が医療ミスが起こらないように心がけていることというテーマで僕のお話をさせていただきたいと思います。お医者さんとか看護師さんとか医療事務さんとか、医療従事者の方は特に僕の意見を参考にしていただければいいと思いますし、それ以外の仕事をしてる人でも、よかったら参考程度にね、僕の話を聞いていただければいいと思います。
というのはですね、最近特に医療ミスがニュースになるじゃないですか。昔からそういうニュースはあったわけなんですけど、例えば脳外科の先生が手術の時に、脳腫瘍を取るのを、別の部位を取り除いてしまった。神経を取り除いてしまった。それで後遺症が残ってしまったとか、あとは昔からよくあるのが、例えば腎臓の手術、腎臓の腫瘍とかで片方の腎臓を摘出する手術で、間違えて反対側を摘出してしまったとか、あるいは肺の手術でも、肺の腫瘍でね、切除するのを間違えて反対側の肺を切除してしまった。左右の間違い。これね、昔から結構あるんですよね。
あとは患者さんの取り違い。手術室で違う患者さんが、本来やるべき手術とは違う手術を受けてしまったとか、違う患者さんのお薬を投与されてしまった。患者さんの取り違い。これも昔から結構あって問題になって、今ではほとんどの病院でネームバンドをしているんですよね。で、もう毎回毎回看護師さんとかが患者さんの名前をネームバンドでチェックする。入院中はずっとこのバンドをつけてるっていう感じになって、だいぶ患者さんの取り違いっていうのはなくなったと。
あとは昔からある、薬を間違える。使う薬の種類を間違える。あるいは薬の量を間違える、あるいは薬の単位を間違える。よくあるのがmLとmgの違い。これすごく大きな間違いなんだけれど、だから必ずね、お薬の量を言う時は何mgとか何mLって単位を言わないといけないんだけど、これ未だにね、ダメな医療従事者、医者でも看護師でも「10ミリお願いします」とかね、「5ミリお願いします」ってね、グラムとかリッターとか言わない医者、看護師がいます。これも僕は三流だと思います。こういうことするから医療ミスが起こるのに、日頃から単位をちゃんと言うっていう癖をつけないといけないんだけど、やっぱり「そんな細かいこと言われても」とかいう人がいるんですよ。だから医療ミスってなくならないんで、必ずね、ミリリッターとかね、ミリで終わらないようにしましょう。ミリで終わる医者、看護師もみんな僕は三流だと思ってます。
あとは輸血の間違い。違う血液型、例えばA型の人にO型のMAPを投与してしまって、強烈な反応が来て大変なことになってしまう。こういうのはケアレスミスなんですよ。注意が足りないからミスしてしまう。こういうのは絶対あってはならないと思います。ただ、人間である以上、必ずケアレスミスって一定の確率で犯してしまうわけです。それはね、おっちょこちょいの人もいれば、例えば発達とか知的なものもあってミスが多い人っていうのもいるわけですし、あるいはすごくしっかり者で几帳面な人でも、ものすごい疲れてたりとか忙しい時なんかに、やっぱりちょっとミスを犯してしまうってことがあるわけであって、誰でもケアレスミスっていうのは起きてしまうわけです。ゼロの人って基本的にいないと思います。
で、そういうケアレスミスとはまた別で、合併症ってありますよね。例えば手術の時に感染してしまう、出血して血腫になってしまう、傷が開いてしまう。例えば糖尿病の方とか傷の治りが悪い人なんかはどうしてもそうなってしまうとか、あるいは人工関節とかね、人工物を入れる手術で、どんだけ滅菌管理下でやっても多少なりとも雑菌が入ってしまうとか、あるいは患者さんの免疫力が低下してるとかで、感染っていうのはどんな名医でもやっぱり一定の確率で、名医ほどそういう確率は低いんですけど、起きてしまう。それは合併症ですね。これも注意深く合併症が起こらないようにやりましょうっていうことですよね。ケアレスミスとは違うわけですよね。
あとは臓器移植で拒絶反応が起きてしまうとか、血管吻合するんだけど漏れてしまう、リークしてまた再手術で再吻合するとかっていう合併症ってあります。それは手術の技術が未熟だから起こるっていうのもありますけれど、どんな名医でも一定の確率で起きてしまう。例えばね、背骨のね、脊髄のところをドリルバーで骨を削る時に神経を巻き込んでしまって後遺症が残ってしまう。こういうのも手術技術が未熟だから、稚拙だから、不器用だから、勉強不足だから起きてしまうってのもあるし。そういうのを防ぐためには、常日頃勉強しましょう。解剖の勉強しましょう。手術のトレーニングしましょう。あるいはもう、適性がないんだったら外科をやめるとかね、なるべく臨床をやめるとかね、基礎医学に行くとか、そういうのもありかなって思いますね。
という感じで、今回僕がお話したいのはケアレスミスですね。これをどうやって僕は防いでいるかと言いますと、結論から言いますと、これ言うと気分を害される方が多いかもわかんないけど、これが一番大事です。言います。もう人を信用しないっていうことですね。周りの医療スタッフと一緒に仕事するわけです。で、みんなの力が必要なわけですよ。何か手術をするとか、治療するとか。だけど人間である以上、誰でもケアレスミスしますんで、人を信用しないっていうこと。これが一番医療ミスを防ぐ上で大事だと僕は思っています。
で、人を信用しないと。で、最終的には医者である自分が最終責任を負うと。だから仮に看護師さんとか助手のお医者さんとか、あるいは医療事務さんが何か間違えて、それが原因でケアレスミス、医療ミスが起きたとしても、最終的には担当医である、執刀医である自分が全責任を負うっていう、この強い覚悟のもとに、誰も信用しなくて自分で最終的にチェックする。これがね、僕は一番大事だと思います。
例えばね、手術する時、ものすごい忙しい時ってあると思うんですよ。美容外科以外でも救急の現場とか、あるいはもうものすごい救急の手術がわーっと来て、たくさん手術をこなさないといけないっていう場合。で、例えば助手さんとか看護師さんとか事務さんが「次の手術です。この患者さんは左の腎臓の摘出手術です」って言って、「はい」ってね、執刀医が言われたままに左の腎臓を摘出して、で、後で見たら「あれ、この人悪いの右じゃん。あ、健康な方の腎臓を摘出しちゃった」って言って、「うわあ、誰だよこれ左って言ったやつ。お前のせいで間違えて左の健康な方の腎臓を摘出してしまったじゃねえか」っていうことだってあるかもわかんないですよね。だから最終的に手術する直前にね、この患者さんはカルテもしっかり調べてね、CTとかMRIとかデータ見て、「この人は左の腎臓の摘出だな。では今から左の腎臓摘出術を行います」って、最終的にね。どんだけ忙しくても人に言われたままにやるっていうこと、これは良くない。もう最後は自分で責任取らないといけない。誰かが違う側の腎臓摘出ですって言ったとしても、右と左を間違えたとしても、最後は担当医である自分に責任があるわけです。ということなんですよね。
これ美容外科でもよくあるわけであって、「次の患者さんが眼瞼下垂の手術です。左の眼瞼下垂の手術です」って言って、「はい、分かりました。じゃ、左側やりましょう」って。例えばね、その患者さんとコンタクト取らなくて、そのまま左側やって、よく見たら「あ、間違えて反対側やっちゃった」ってなっちゃうことだってあるわけなので、美容整形の手術する場合でも、局所麻酔の手術が多いですし、全身麻酔とか静脈麻酔でやる場合でも、麻酔がかかる前に患者さんと直接「じゃあ今日は予定通りこちら側の眼瞼下垂の手術をしますね。こういうデザインで予定通りやりますね」って医者は患者さんと確認して、カルテもチェックすれば、それでミスは起こらないんですよ。だけど看護師さんとか助手さんとか事務さんが間違えて、その通りにやるとミスが起きてしまう。
手術以外でも、例えば「ほうれい線にヒアルロン酸2本です」って言われて「分かりました」って言って、「あれ、ほうれい線じゃなくてこめかみだったじゃねえか。間違えちゃった」とかさ、「目尻のボトックスです」って言われて、言われたがままにやって、「あ、違うじゃん。間違えて、本当はヒアルロン酸なのにボトックスやったじゃないか」って。言われたままにやっちゃダメなんですよね。お薬を準備してお願いしますって、その看護師さんがお薬を準備して、その準備したお薬が間違ってるってこともあるんで、最終的に医者が患者さんとチェックして、「ここヒアルロン酸何本入れて、ここ特性やりましょうね」って言って、で、準備されてるお薬がもし間違ってたら「これ違うよ」って言って、「あ、すいません」ってなるわけですよね。だから看護師さんとか事務さんとか助手さんが間違えるってことがあるわけなので、言われるがままにやるのは良くないと。もう最終的には医者が責任持つんだよっていうこと。これがね、すごく大事なわけですよね。
という感じで、僕は医療行為する時は基本トリプルチェックはすべきだと思うんですよ。まあ、うちのクリニックだったら、医療事務さんがやることをチェックして、で、それを看護師さんに伝えて。まず事務さんとかと患者さんが精算したりとか、同意書を書いたりとか、そういう流れがあるじゃん。事務的な手続きがあるわけですよね。書類チェックしたりとかでお会計していただいて、で、この手術をやることになりましたってね、ドクターが最初にカウンセリングして、その後医療事務さんが精算するわけですよね、お金とか。で、それを看護師さんに伝えて、看護師さんが薬とか手術の準備して、で、次に医者が手術するって感じだから、医療事務、看護師で最後に医者と。で、その3か所でみんながしっかりと厳重にチェックするっていうこと。
これでケアレスミスが起きる確率ってかなり低くなるわけです。例えば仮に、普通の人間が1/10の確率でケアレスミスするとします。これが1人のチェックだと1/10の確率でミスが起こるわけですね。でもダブルチェックになると、これが1/10×1/10で、ミスが起こる確率が1/100まで減らせるわけです。で、トリプルチェックにすると、これが1/1000まで減らせるわけですよね。限りなく0に近づけることができるわけです。現実的には1/1000よりも、ちゃんとトリプルチェックすれば、もっともっと限りなく0に近づくわけなんですけれど、これを医者が最終チェックしなかったら1/100とかになっちゃうわけだし。最終的に医者が「これは間違ってるよ」ってことに気づくわけです。で、そのトリプルチェックでも最後の医者が間違えるっていうこともあるわけですよね。で、最後の医者が間違える前に看護師さんとか医療事務さんが間違えないようにすれば、それでもミスが起こる確率は減らせるわけなので。なので、最低でも3段階、トリプルチェックっていうのは必要なわけですよね。
という感じで、医療従事者の方って基本的にしっかり者で几帳面な人がやるべき仕事なんですよ。だけどやっぱりどんな病院でも本当にいろんな人が働いてるわけですよ。看護師さんでもお医者さんでも医療事務さんでも、中には知的のグレーゾーンの方とか、ADHD傾向の人、発達傾向の人とかもいらっしゃるわけだし、すごくおっちょこちょいでミスが多い人とか、新人さんで仕事がままならなくてっていう人もいるわけですよね。だからどこでミスが起こるかなんてね、特に大きな病院になればなるだけ分からなくなってしまうわけですよ。
で、すごいいい加減な人だっているわけですよね。例えば、うちではいないけど、美容だったら、バストのリダクションとマストペクシーの違いも分からない。乳房縮小術と乳房吊り上げ術の違いもわかんなくて、マストペクシーの手術なのに「リダクションです」って言ってね、軽々しく言ったりとかして、で、その言われたままに医者がリダクションやっちゃって、あ、実はマストペクシーだったとか、そういう医療ミスって結構よそのクリニックで聞くんですよね。で、手術が終わってから、あ、違う手術やっちゃったってことがあったりとか。あとフェイスリフトだって段階的に、ちっちゃいミニリフトとか、中間のミディアムリフトとか、しっかり後ろまで切るフルフェイスリフトとかあるんですけど、それもちゃんと間違いないように伝えないといけないのに、なんか「フェイスリフトの方です」とか、ミディアムリフトなのに「ミニリフトです」とかね、なんかすごいいい加減に伝えたりとかして。で、そこで医者が最終的に「いや、この人は違うよ。こういう手術だよ。次から間違いないようにね」って言って、で、患者さんともチェックしてだったらいいんだけど、これで医者もいい加減なやつで、看護師さんもいい加減で、その医者がいい加減な看護師さんの言われた通りにやって、違う手術やっちゃうとか、違う注射しちゃうっていうことがあるわけなんで、やっぱり最終的には医者が最終チェックをするってことと、その前段階でダブルチェックがあるっていう。
誰でもミスするし、いい加減な人は紛れてるし、人のせいにする人だっているし、すごいおっちょこちょいの人もいるし、すごいずぼらな人だっているかもわかんないんで、最後は自分でちゃんとチェックして、人を信用しないっていうこと。これがね、医療ミスが起こらないようにする本当に一番大事なことだと思います。
だけど、その職場でね、「僕は人の言うことを信用できない。あなたの言うことも信用していない。最終的には自分でチェックするんだ」ってね、信用してない、信用してないってあんまりにも言ってしまうと、今の世の中だとそれがパワハラとかモラハラっていう風に言われちゃうんで、口には出さない方がいいと思います。「俺はもう君たちの言うことは信用していないんだ。最後は自分で責任取るんだ」っていう、こういう心がけであるべきなんだけど、残念ながら今の世の中だとそういう発言をすると「私たちのことを信用してくれないんですか」とかね、それで反発してきてしまうってこともあるんで、あんまり口には出さない方がいいんだけど、心がけとしては基本的に誰も信用しない方がいいです。もう最後は自分で責任を取るという感じですね。
ただし、それだけ他人を信用してなくて、自分で最終的なチェックをするっていう風に心がけても、やっぱりどうしてもチェックできないってこともあるわけです。例えば薬の中身ですよね。医者が看護師さんに指示を出して、看護師さんが薬を作るわけですよね。点滴の中身とか、あとは美容だったらボトックスだってね、眉間に打つ量、額に打つ量、エラに打つ量とかも、水とか生食とかで溶かして配合して注射を準備するんだけど、ちゃんと指示通りの量が溶けてるかとか、本当にちゃんと溶けてるか。局所麻酔でも本当にちゃんとこれ局所麻酔なのか、実は消毒液なんじゃないかって。バイアルごと準備する場合、ヒアルロン酸とかだったら分かるんだけど、薬を溶かして準備するっていう場合だと、その中身まではチェックできないんですよね。それはもう看護師さん同士でダブルチェックしてもらうしかないわけで、医者はちゃんと薬が溶けてるんだ、正しい量のものが入ってるんだって信じてやるしかないわけですけど、もう最悪、その準備された薬も間違ってるかもしれないっていうのを頭の片隅に入れてやるぐらいの方が本当はいいわけですよね。まあ、というのが医療ミスを起こさない秘訣じゃないかなって思います。
で、やっぱり医療ミスが起こりやすいっていうのは、おっちょこちょいの人がいる場合っていうのはもちろんあるんですけど、忙しい時、あと流れ作業になってしまう時、こういう時に医療ミスが起こりやすいので、それも頭の中に入れておいた方がいいと思います。流れ作業になっちゃうってことあるんですよね。例えば同じ手術ばっかりやってるとか、同じような治療ばっかりやってるっていうクリニックとか病院とか、そういう科になればそうなっちゃうんですけれど、やっぱり患者さんは人間なわけだし、お薬を使っても反応が違ったりとか、同じ手術をする場合でも、やっぱり元の体が違うから全く同じ手術をするわけではないわけですよね。
例えば同じ製品、ものを作るっていう作業、これは流れ作業でいいと思うんですよ。例えば同じ車をラインで、ベルトコンベアで作るとか、お弁当を作るとか、ケーキを作るとか、同じ商品、製品を作るんだったら、むしろ流れ作業で、ベルトコンベアでやった方が作業効率がいいし合理的だしね、利益も出せると思うんですよ。そういう仕事はそれで素晴らしい仕事だと思うんです。だけどやっぱり人間を扱う以上はですね、物を作るのとは全然違うんですけど、どうしても流れ作業になってしまって、「はい、次、はい、次」っていう流れになっちゃうわけですよね。そうすると、流れ作業だからいつも通りのことをやればいい、さっきの人と同じようなことをやればいいってなって、実は違ってたりとか、患者さんによってはちょっとやり方が違ったり、デザインが違ってたりとかってあるので、流れ作業にならないように、流れ作業になりそうになっても、必ず1人1人人間は違いますんで、患者さんごとにチェックして、相当神経を使ってやらないといけない。そんだけ神経使って常に人を疑えばですね、もう疲れますけれど、医療っていうのはそういうものなので、もうしょうがないです。
で、医療ミスっていうのは、不慣れな人が最初の方にミスを起こすっていうのもあります。で、だいぶ慣れてきます。で、慣れてくると、またそれはそれで流れ作業になって、いつも通りのことやればいいんだってね、注意力がなくなっていって、いい加減になってミスが起こるってこともあります。だから医療ミスって、慣れてない初心者でもミスを起こすし、ベテランでも慣れてくると流れ作業になってミスを起こすってことがあって、だからやっぱりどんなベテランでも新人でも、医者でも看護師さんでも医療人でもミスを起こすんで、常にみんながミスを起こすかもわからないっていうのを頭に入れてやらないといけない。で、もちろん人によって、ミスを起こす確率が高い人、低い人もいます。しっかり者の人もいれば、うっかりいい加減な人もいるわけなので。なので特に、ちょっとこの人雑だなって、おっちょこちょいだなっていう人なんかは、特別注意深く見ないといけないということです。というのが私の考えでございます。よかったら参考にしてください。ご視聴ありがとうございました。
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