時間を買い戻す:ラミット・セティが語る「利便性ダイヤル」の5つのレベル
I Will Teach You To Be Rich翻訳元 English
ほとんどの人は、食料品の買い出し、掃除、洗濯、弁当作り、旅行の計画といったあらゆる用事を自分でこなしています。ラミット・セティは、少しのお金を使ってその時間の一部を買い戻したらどうなるか、と問いかけます。セティはその答えを、少しずつ回していける「ダイヤル」として捉えています。すべてを自分でこなす状態から、利便性や自分の大好きなことに意識的にお金を使う生き方まで、段階的に上げていけるというわけです。セティはこのダイヤル上の5つのポイント、つまりレベル1、3、5、7、10を順に取り上げ、それぞれを受講生や自身のエピソードを交えて説明しています。
レベル1:すべて自分でやるのが当たり前
レベル1では、用事も料理も掃除も自分でこなし、ほぼどんな問題に対しても答えは「自分でやればいい」です。セティはこのトレードオフを、少しのお金を節約する代わりに膨大な時間を手放すことだと表現します。そしてやがて、ある朝目覚めると、1日がこまごまとしたやるべきことや義務ですっかり埋まっていることに気づく、と言います。
セティはレベル1そのものを否定しているわけではありません。自分で選んだのならそれでいいし、今はあまりお金がなくて他に選択肢がないのならそれでもいい、と言います。セティが問題にしているのは、ほとんどの人がそれを選んだ覚えすらないという点です。お金を使って生活を楽にするという発想を、そもそも一度も持たないのです。セティの視点の転換はこうです。すべてを自分でやる必要はない。ただそれが片付くようにすればいい。自分の時間には価値があると気づけば、わずか50ドルの変化でも土曜日の感じ方が変わりうる、とセティは主張します。
レベル3:最初の実験
レベル3は、1回きりの実験です。少しお金を使って、面倒な用事をひとつ取り除きます。セティは、これはずっと続ける必要はなく、あくまでも試しにすぎないと強調します。
最初の例はマリーナという受講生です。彼女は子どもの2歳の誕生日パーティーを公園で開きました。当時妊娠中だった彼女は、約400ドルを払って招待客全員分のタコスをケータリングで用意しました。おかげで、料理や片付け、段取り、仕切りに追われずに済みました。セティによれば、彼女の家族なら決してこんなことはしなかったそうです。彼女の考えはこうでした。料理は毎晩しているけれど、子どもが2歳になるのは一度きりだ。セティの語るところでは、その400ドルで彼女は時間を手に入れ、さらに大切なことに、家族のかけがえのない思い出を手に入れたのです。
2つ目の例はもっと小さなものです。別の受講生は、テーブルの上に書類の山を3年間も放置していました。45ドルのシュレッダーを買ったところ、10分後には山は消えていました。セティはこの例を使って、問いそのものを変えるべきだと示します。「これは自分でやらなければならないのか?」「これはタダでできるのか?」ではなく、「これをやらなくて済むなら、何が返ってくるのか?」と問うのです。
ほかにも、手始めの実験としていくつか提案しています。自分で洗車する代わりに洗車サービスにお金を払う、ピラティスのクラスを受ける、食料品の宅配を利用する、などです。これを何度か繰り返すと、生活が違って感じられるようになるとセティは言います。
レベル5:自動化する
レベル3までは、すべてが手動で単発のものです。レベル5では、定期的かつ自動的に時間を買い戻します。家が汚れたときやパーティーの後だけでなく、決まったスケジュールで清掃スタッフが来てくれます。毎週同じ曜日に食料品が届き、洗濯物は決まった日に出して戻ってきます。
セティは、最初はこれが奇妙に感じられることを認めています。アメリカ人は時間を買い戻すためにお金を使うことに対して「非常に複雑な関係」を抱えている、とセティは言います。「私たちは、実際にそうすることよりも、時間を買い戻すという考え自体が大好きなのです」。そのうえで、よくある2つの反論に答えています。
- 「自分でやればいいのに」 これに対するセティの答えは、書類の山は何年もそこに放置されているのだから、50ドルを使えばいい、というものです。さらに、やり方を見せれば、他の人でも洗濯物をあなたの望む通りに畳んでくれる、と付け加えます。
- 「そのお金は他のことに使えるのに」 セティはそれは事実だと認め、多くの人はもっと貯蓄や投資をする必要があると言います。しかし、セティが勧めているように罪悪感なく使えるお金を確保しているのであれば、あなたの「リッチな人生」の一部が、月に2回ピカピカに掃除された家であってもいいのです。
ここでの例は、カルロスとその妻です。2人はお互いのバケットリストを見比べた結果、もう毎週何時間も掃除に費やしたくないと気づき、定期的な洗濯物の集配と清掃サービスを申し込みました。セティによれば、サービスが始まる前から、2人はもう豊かになった気がすると話していたそうです。
セティは具体的なエクササイズも紹介しています。カレンダーを開き、典型的な1週間の中で、いつも決まってバタバタする瞬間を見つけてください。夕食の準備が崩壊する火曜日の夜かもしれませんし、週末の予定が何もないうえに、週が始まる前に家を掃除しなければならないと気づく日曜日の朝かもしれません。次に、清掃スタッフ、食料品の宅配、ベビーシッターなど、その瞬間をなくしてくれるサービスを見つけ、申し込んで自動引き落としにします。セティの言葉を借りれば、ポイントは、一度決断すれば、二度とその決断をしなくていいと自分に許可を与えたことになる、という点です。そうすると人は、ほかに何を取り除けるか、楽しいから増やしたいことはほかに何か、と考え始めるのだとセティは言います。
なぜ人は行き詰まるのか
より高いレベルに進む前に、セティは、考え方を理解した後でも人が足踏みしてしまう理由を説明しています。頭では理解していても、実際にお金を使って生活を良くするのは難しい、とセティは言います。人は多くの場合、自分が本当にいくらまで使えるのかがわからず、次の1ドルをどこに使うべきかを示してくれる仕組みも持っていません。ガソリン、食料品、貯蓄、おやつなど、1日に20回の小さなお金の判断をしている人には、ダイヤルを動かすチャンスが20回ある、とセティは指摘します。さらに、もっとやる気を出せばいいという話ではないと主張します。やる気だけで十分なら、あなたはとっくに土曜の朝を洗濯ではなく家族と過ごしているはずだからです。必要なのは、手元にいくらあるのか、いくら使えるのか、そして時には大好きなことにもっと使ってもいいのだということを示してくれる仕組みだ、とセティは言います。(セティはこの点を、自身の有料コーチングプログラムの宣伝につなげています。)
レベル7:大きな飛躍
レベル7では、時間を買い戻すことが生活に組み込まれた本当の優先事項になります。清掃スタッフが毎週来るかもしれませんし、保育サービスに加えて予備の保育サービスまであるかもしれません。セティの言葉で言えば、家が「やることリストのように感じられなくなる」のです。
セティは、これはすべてを外注するという意味ではないと強調します。セティ自身、服のアイロンがけを外注することもできますが、それをリラックスできる時間だと感じているので、自分でやっています。大好きな作業なら、自分で続ければいいのです。セティの見立てでは、ほとんどの人には好きではない作業が山ほどあり、買い戻すべきなのはそうした作業です。セティはその根底にある原則をはっきりと述べています。お金の目的は貯めることではなく、ましてや溜め込むことでもなく、リッチな人生を送るために使うことだ、と。
このレベルでの例は次の通りです。
- シャロンは何年も前に家事代行を頼むようにし、その費用を老後の計画にまで組み込みました。彼女はセティに、家事代行の人は「精神科医よりいい」と話したそうです。
- ジェシカは四半期に1回、祖母の介護を手伝うために帰省しています。その帰省でファーストクラスに乗るようにしたところ、何年も前からそうすべきだったとセティに語ったそうです。
セティはある思考実験をしてみせます。旅行のダイヤルを7まで上げたところを想像してみてください。多くの人はこれをうまく想像できず、空港のチポトレでチキンを追加する、といった答えを出すとセティは言い、それではあまりに小さすぎると一蹴します。セティ流のやり方なら、1日早く現地入りして疲れを取った状態で到着し、空港で誰かに出迎えてもらって荷物を運ぶのを手伝ってもらう、といったものになるかもしれません。そうすれば、飛行機を降りた瞬間から旅が始まるのです。
セティは、よく耳にする「いいご身分ですね」という反応にも触れています。その答えは、ええ、確かにいいものです、というもので、謙虚に見せるためにそうでないふりはしないと言います。さらに、リッチな人生の形は人それぞれだと付け加えます。ファーストクラスが自分にとって重要でないなら、買わなければいい。しかし、ほとんどの人には、食事、旅行、フィットネス、健康などの分野で、ぜひダイヤルを上げたいと思うものが何かしらあるはずだとセティは考えています。
セティは、ここで多くの人が居心地の悪さを感じることを認めています。大金だからです。それに対するセティの答えは、確かに大金だ、そしてそれは自分の時間を優先しているということだ、というものです。誰かのコンシャス・スペンディング・プラン(意識的な支出計画)を見るとき、投資であれ、家であれ、たとえペンであれ、集中した大きな金額が割り当てられているのを見るのが好きだとセティは言います。セティにとって大事なのは、焦点を持つことです。また、誰もいきなりレベル7から始めるわけではなく、段階を踏んでたどり着くものだと強調しています。
資金をどう捻出するか
セティの方法は、過去2か月分の支出を洗い出し、3つのグループに分けるというものです。必要なもの、大好きなもの、そして買ったことすらほとんど覚えていないもの。この3つ目のグループが、ダイヤルを上げるための資金源になります。多くの人は、主に外食や細々とした買い物などで、月200〜400ドルの無計画な支出を簡単に見つけられ、それを自分にとって大切なことへの月500ドル規模の飛躍といったものに振り向けられる、とセティは言います。セティは、あるレベルを1〜2か月試してみることを勧め、多くの人が「今まで使った中で最高のお金だ」と感じるだろうと予想しています。そのうえで、それを自分のリッチな人生に取り入れるかどうかを決めればいいのです。
レベル10:ダイヤルを最大まで上げる
レベル10では、ダイヤルは最大まで上げられています。このレベルのお金は「ほとんどスピリチュアルなものにもなりうる」とセティは言います。だからこそ、その道のりを歩み、お金との関係を心から愛することが大切だとセティは考えています。そうでなければ、レベルを上がっていくことは決してなく、ただお金や自分自身、自分の人生を恨むだけになってしまう、と言います。
人がレベル10に到達するのは焦点を持っていたからだ、とセティは言います。収入と貯蓄を増やし、おそらくはこのダイヤルを上げるために他のダイヤルを下げてきたのです。セティが挙げる例は、スペインへの3週間の旅です。プライベートツアーガイドが好きな場所に連れて行ってくれ、荷造りをする前からトラベルアドバイザーがあらゆる細部を手配してくれるので、あなたはただ現地に行くだけでいい、というものです。セティは、こうした旅をする人はごくわずかで、この例は多くの視聴者にとって手の届かない価格帯かもしれないと認めています。それでも、何が可能なのかを示すためにあえて紹介しているのです。
セティ自身のレベル10は健康です。セティにはパーソナルトレーナーがいて、そのトレーナーは栄養士と連携し、さらにその栄養士はセティの食事を作るシェフと連携しています。この3人が連携することで、セティの生活はデフォルトで可能な限り健康的なものになっています。
セティは最後に、より大きなルールを示して締めくくります。利便性があなたのダイヤルでないなら、それでも構いません。自分にとって大切なことには惜しみなくお金を使い、そうでないことには容赦なくコストを削ること。セティの最後の問いかけは、自分にとって重要でないものを見極め、そのお金を重要なものへと振り向けてほしい、というものです。
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