楽天証券・楠社長が語る個人投資の変化と今後、そして「どっちで増やしましょう」独立の発表

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概要

「楽天証券 27th FES in 横浜」の舞台裏を追った後編では、テスタ、馬渕磨理子、ザブングル加藤の3人がMCを務めるマネープランニングバラエティ「どっちで増やしましょう」の一行が、楽天証券の楠社長に独占インタビューを行った。話題は、口座数が1400万を超えるまでの個人投資家の変化、行動ファイナンスの本を書いた理由、楽天経済圏と投資の結びつき、米国の大型IPOへの対応、AIがもたらす変化、ネット証券の今後、社長自身の夢に及んだ。後半は会場近くのよこはまコスモワールドでのリフレッシュロケと、番組の新チャンネル移行の発表である。

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1周年から続くフェスと会場探しの苦労

社長室を訪れる前、テスタは「怖い、やめとこう、帰ろう」と冗談を言いながらも入室した。加藤が番組を見たことがあるかと尋ねると、社長は忙しくて見られていないと答え、「この後拝見します」と応じた。

フェスの狙いを聞かれた社長によると、このイベントは創業1周年から毎年続けており、今年で27周年になる。1周年の頃は口座数がまだ数万しかなかったが、それでも1000人以上の来場者がいたことを覚えているという。横浜の今回の会場を使うのは初めてだ。

毎年会場が変わる理由について、社長は大きな会場の確保に苦労しているからだと説明した。東京には大規模なイベント会場があまりなく、取り合いになる。そのため場所が毎年変わってしまい来場者には申し訳ないが、今年はこの大きなホールを確保できたという。

2000万円レポートと新NISAで広がった個人投資

新NISA以降に個人投資家が増え、楽天証券の口座数は1400万に達した。個人投資家のマインドの変化を問われた社長は、拡大の起点を新NISAよりも前の2019年に置いた。金融庁のいわゆる「老後2000万円」レポートが衝撃を与え、特に若い個人が一気に目覚め、そこから月々の口座開設がどんどん増えていったという。さらに2024年1月に新NISAが始まって火がつき、ぐっと持ち上がった。その勢いは今も続いていると社長は述べる。

マインドの面では、積立投資家の行動の変化を例に挙げた。リーマンショックの後には、当時積立をしていた人がかなり解約していた。ところが昨年のトランプ関税で相場が大きく落ちた際には、解約率がほとんど変わらなかったという。社長はこれを、積立は続けた方がいいというマインドセットがかなり定着した表れだと見ている。

馬渕が「積み立て」という言葉を昔よりよく聞くようになったと言うと、社長は、つみたてNISAがかなり普及したおかげで積立が当たり前になったと応じた。まず積立から始め、資産が少しずつ増えてきたら株にも行ってみる、という流れが典型的な動きになっているという。

行動ファイナンスの本を書いた理由

昨年、社長は行動ファイナンスの教授と共著で資産づくりの本を出している。「そんな時間ないでしょう」「ゴーストライターでは」という出演者の冷やかしに、社長は「ノーコメントです」と笑って返した。

証券会社のトップがこのテーマを選んだ理由について、社長は次のように説明した。行動ファイナンスは経済学の一分野で、個人の投資に対する態度や行動は必ずしも合理的でも正しくもなく、思い込みや様々な性が勝ってしまうことがある。それを少しでも知ってもらい、正しい行動を取ってもらいたいという狙いだという。

社長が参照したのは米国の状況である。投資が進んでいるアメリカではアドバイザーが非常に普及しており、その仕事のかなりの部分は顧客へのコーチングだという。相場がどう動くかは普通の人にはわからない。そうした状況で適切な行動を取るよう促すことが、アドバイザーの重要な役割になっている。その背景として行動経済学や行動ファイナンスが発達・普及しているが、日本を振り返るとそうしたものがほとんどない。本はその足がかりになればと考えて書いたという。

社長は具体的な失敗パターンも挙げた。「自分はよくわかっている」という強い思い込みを持つ人が意外に多く、そういう人はだいたいミスをする。また経済や政治の事件で市場が急落するとパニックになって慌てて売る人も多いが、そうしたショックの時は少しすると戻ってくることが多いので、売らない方がいい。こうした考え方を知ってほしかったと語った。

楽天経済圏と投資の結びつき

楽天証券の強みについて、社長は楽天というブランドの身近さを挙げた。楽天はインターネット上で様々なものを買い、様々なサービスを受けられる場であり、そこと投資の世界を密接に結びつけていることが最大の特徴だという。

具体例として社長は、クレジットカードでの投資信託の積立を楽天証券が最初に始めたことを挙げた。楽天カードで積立ができ、楽天市場でカードを使って買い物をする延長線上で投資もできる。ポイントが貯まり、そのポイントを投資に使える。投資でもポイントが貯まり、それを買い物にも使える。一般の消費生活との強いつながりが会社の特徴だと説明した。

加藤は、自分の家族は全部楽天の「楽天経済圏」で暮らしていると話し、フェスには「唯一呼ばれてない」と笑いを取った。楽天モバイルにしているかと問われると、「まもなく」契約すると答えた。

米国大型IPOとSpaceXの事例

今年から来年にかけて予定される米国の大規模IPOへの取り組みについて、社長は、SpaceXを扱ったように機会があれば扱いたいと答えた。ただし楽天証券自身が主幹事を務めるために、そうした企業に食い込むビジネスをしているわけではないという。

その上で社長が説明したのが、みずほグループとの関係である。楽天証券の株式の49%はみずほグループが保有している。みずほ証券は米国市場で非常に強い存在であり、SpaceXの案件ではみずほ証券が現地で引受シンジケート団に参加し、その個人向け販売分を楽天証券に回してもらうことで取り扱いが実現したという。今後もみずほと連携しながらこうした機会を狙い、SpaceXのような様々な投資機会を提供できればうれしいと語った。

AIで情報取得と判断が速くなり、コストが下がる

AIやテクノロジーの急速な進化が株式の世界に何をもたらすかという問いに対し、社長はまず、AI関連銘柄が上がるといったことはトレンドの話だと切り分けた。個人投資家にとっては、情報取得が容易になり、判断が速くなる点にAIが貢献するだろうと見ている。

社長はネット証券の登場を引き合いに出した。オンラインでリアルタイムに株価を見られるようになって投資判断が速くなったように、AIによって情報取得がもっと容易になり、判断や動きもさらに速くなるのは確実だと述べた。加えて、企業や証券会社自体のビジネス効率が上がり、顧客にとっての投資コストを下げられる部分が今後かなり出てくるのではないかという見通しを示した。

これを受けて加藤が、自分は節約のプロで節約本も出しており、節約で浮いたお金を投資に回していると話すと、社長は、楽天経済圏でポイントを貯めながら出費を最小限にし、その中で投資をして資産を増やすことも可能になると応じ、「楽天モバイルもぜひ契約を」と重ねて勧めた。

ネット証券という枠は薄れ、オンラインとリアルの融合へ

ネット証券の今後の方向性について、社長は「ネット証券」というカテゴリー自体がだいぶぼやけてきていると述べた。楽天証券は20数年前にネット専業で始まったが、実は15年以上前から全国にネットワークを持つアドバイザーのビジネスも展開している。契約アドバイザーが、ある程度の富裕層を中心にサービスを提供するモデルで、これも広がっているという。

そのため今後は、オンラインとリアルが融合した形の証券会社になっていくだろうと社長は見る。ネット証券はもともとマス層の顧客が中心だったが、1400万口座を抱えると、富裕層からマスアフルエントと呼ばれる中間富裕層まで相当な人数がいる。それぞれの顧客に適切なサービスを提供することが必要であり、それをしっかりやっていきたいと語った。

社長の夢——チャールズ・シュワブを目指す

最後に夢を聞かれた社長は、ビジネスと個人の両面で答えた。ビジネス上の夢は、日本の個人顧客にとって本当に役に立つ会社にすることであり、そのためにはネットかリアルかにこだわらず必要なことをどんどんやっていくという。目標として挙げたのは、米国の個人向け証券会社で全米ナンバーワンのチャールズ・シュワブだ。社長によれば、同社の顧客預かり資産は「確か3000兆」ほどで、1社で日本の個人金融資産を十分超えるほどの規模であり、それだけ支持されている。こうした会社をビジネスとして目指したいと述べた。

個人の夢については、この年齢になって今さらパイロットになりたいといったことはないとしつつ、世界のあちこちに仕事ではなく行きたいと答えた。プライベートで行くなら1〜2週間まとまった時間を取りたいが、それが取れないという。加藤は、自分は仕事で海外に行くがバンジージャンプのような過酷なロケばかりで、パツパツのスケジュールで動いて帰ってくるだけなので、その国に行った感覚があまりないと共感した。月に行きたいかと聞かれた社長は、宇宙には行きたくない、月は不毛の地なのであまり行きたいと思わないと答えた。

よこはまコスモワールドでの絶叫マシン

インタビューを終え、喋りっぱなしだったテスタと馬渕を労う名目で、3人はフェス会場から歩いてすぐのよこはまコスモワールドへ向かった。新しくできたアトラクションは2つあり、「極限の浮遊感、無重力体験」をうたう「グレートムーン」と、「史上最大の回転、超重力体験」をうたう「スーパーフレア」である。

悲鳴が響く中、顔がこわばる馬渕に対し、出演者からは「株価の上下なんてもっとすごい揺れですから」という言葉も飛び出した。最初のアトラクションで馬渕は恐怖のあまり絶叫し、固く目を閉じたままフリーズ。真ん中の席にしてもらったにもかかわらず震えが止まらなかったという。

続くもう一方のアトラクションには、テスタが「誰が馬渕さんを見るんですか」と言って休みを選び、加藤が1人で挑戦した。乗る前は「やめたいです」と話していた加藤は、降りた後「悔しいです」と言いつつ、1周すると逆に楽しかったと感想を述べた。その後、アイスクリームで休憩を挟んだ。

大観覧車と、加藤の観覧車の思い出

次に乗ったのは、高さ112.5メートルで世界最大の時計付き観覧車とナレーションで紹介された大観覧車で、約15分の空中散歩で横浜の景色を眺められる。赤レンガ倉庫を見つけて盛り上がる中、スタジオ以外でのロケは番組を2年やって初めてだという話も出た。

観覧車の思い出を聞かれた加藤は、19歳頃のファーストキスの話を披露した。紹介してもらった相手と、付き合っているかどうか微妙な関係の時期で、朝からキスすると決めていた。ところが頂上でキスしようとしたら避けられ、その後だんだん疎遠になったという「ダメダメエピソード」である。

観覧車からは先ほどの2つのアトラクションも見え、高さに怖がる場面もあった。馬渕は最後に、楽しかった、久々の経験ができたと言いつつ、「ちょっとトラウマになっちゃいました」とも話した。

2人がこれから発信したいこと

加藤は、社長の話にもあったように株式投資が身近になり関心を持つ人が増えていく中で、2人がどんな発信をしていきたいかを尋ねた。テスタは、自分はただの個人投資家だと前置きした上で、資産の守り方、例えば詐欺への気をつけ方、そして株の楽しみ方や勝ち方も含めて、個人として発信していきたいと答えた。馬渕は、相場の方向性を含め、相場がどのように動いているのかを淡々と解説していきたいと語った。

「どっちで増やしましょう」が新R25から独立

最後に加藤から「大事なお知らせ」があった。2024年から新R25チャンネルで配信してきたこの番組が「独立」するという。テスタと馬渕は最初、加藤が独立するのかと勘違いして「お疲れ様でした」と茶化したが、加藤が説明した内容は、新R25チャンネル内の1企画だった「どっちで増やしましょう」が新しいチャンネルを立ち上げるというものだった。

目的は、「どっちで増やしましょう」をはじめ、計画中の新コンテンツをより大きく、よりスピーディに届けるために一人立ちして挑戦することだという。独立には不安もあるとしつつ、他にもいろいろな企画を用意しており、ゆくゆくはファンとのイベントなども行いたいと加藤は話した。出演者は、新しいチャンネルに移っても変わらず登録・視聴してほしいと呼びかけ、まずはそこが第一目標だと確認し合った。一行は番組として初めての一本締めで締めくくり、新チャンネルは9月から10月にかけてスタート予定だとナレーションで告知された。