AI予算はどこまで積むべきか 安野貴博とハヤカワ五味が語る「AIが働ける会社」と個人の向き合い方

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概要

AIを使いこなす企業と使いこなせない企業の差は、どこで生まれるのか。エンジニア・起業家の安野貴博と、起業家のハヤカワ五味による対談の後編は、この問いを中心に進む。二人は、トークン費用をどう予算化するか、AIが仕事をできる環境をどう整えるかという「人事」に近い論点を掘り下げた。後半では、働く個人がいま何をしておくべきか、AIで作るショート動画の実践についても話している。

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経理業務はほぼAIで回している

冒頭、ハヤカワは経理業務を今は「完全に」AIにやってもらっていると話した。自分は忘れっぽいが、エージェントのサポートがあれば回せるという。現在はClaude CoworkとNotionを組み合わせて運用している。最後に本人がチェックするものの、大まかなフローはほぼ自動化されている。

具体例として挙げたのが月末の振り込みだ。ハヤカワは振り込み作業が苦手だというが、振り込み用のCSVをAIに生成させ、内容を確認してからネットバンキングにアップロードすれば、振り込みがほぼ完了する状態になっている。

CTOがCHROになったという噂と、人事の課題としてのAI

ハヤカワは、ある会社でCTOがCHRO(最高人事責任者)になったという噂を「今年トップの熱いニュース」と評した。AI化には人事の側面が大事だと多くの人が思っていたが、実際にそうした人事が行われたことに意味があるという見方だ。

ハヤカワによれば、人事が関わる理由は二つある。一つは評価制度だ。AIをしっかり使ってパフォーマンスを上げた人がその分だけ評価され、給与に反映される。そうした仕組みまで含めて設計することが重要だという。もう一つはコストである。Fableのような最新モデルは「バリ高い」。これまで人員配置は人間のリソースだけを考えればよかったが、今後はそこにAIのリソースをどう当てるかを考えなければならない。人数によっては莫大な費用がかかるので、人件費と、人がAIでどれだけパフォーマンスを上げるかを含めた全体の設計が必要になる。だから人事とAIは切り離せない、とハヤカワは述べた。

人件費に対してAI費用をどれだけ積むか

安野も、これは最近自分が「めっちゃ言ってる」論点だと応じた。予算の中でトークン費用、つまりAI費用をどれくらい積むべきか、という問題である。安野は自身の政党でも相当な量のトークンを消費していて、「まずい」と冗談めかして話し、無視できない額になってきていると認めた。

安野は、テック企業ではエンジニア1人がサービス全体の改修のために400万円分ほどを使ったというニュースもあったと紹介した。AI投資のROIは全体としてはまだ見えないという議論がある一方で、ソフトウェアの改修や移行については明らかに速く、コストパフォーマンスも良いという。さらにFableが登場した今、できることは増え、価格も上がっていくだろうと安野は見ている。

そのうえで安野は自身の仮説を示した。まず大まかに言えば、これまでとは比べものにならないほどトークン費用を積んだ方が、会社は加速できるだろう。ただし、そうした予算を組める会社はおそらく多くない。では「比べものにならないほど」とはどの程度か。これについて安野は「全然まだ仮説」と断ったうえで、職種によって大きく違うと考えている。エンジニア職はAIをレバレッジとして使いこなす力が高く、AIもコードを書くのが得意だ。そのため、エンジニア職なら人件費の何割という水準になりうる。他の職種はAIを使える場面が少なく、使いこなす力もエンジニアほどではない。職種ごとのレバレッジ率を掛け合わせてトークン費用を見積もっていけばよいのではないか、というのが安野の考えである。

Fableの「10日間」と、ユースケース探索のコスト

ハヤカワは予算取りの難しさをFableの件で強く感じたという。当初の予定では、Fableは最初の10日間ほどはサブスクリプションの範囲で使え、それ以降は従量課金になるはずだった。予算を確保できていない会社は、その期間が過ぎたら使えなくなる恐れがある。そこでハヤカワは、偉い人も含めていろいろな人に使ったかどうかを聞いて回った。実際に使って強さを理解してもらわなければ、Fable用の予算は取れないと考えたからだ。結局、Fableは3日ほどで使えなくなったため、この心配は意味をなさなかったという。

それでもハヤカワは、Fableだからこそ可能になるユースケースは会社の一部に確かにあると考えている。問題は、それを探す作業に非常にお金がかかるようになってきたことだ。10日間でやり切るつもりだったが、利用が止められたため検証もできていない。今後解禁されても、なし崩し的にサブスクの対象外になりそうな気がすると話した。安野は、Anthropicもどこで使えるかを探索してほしいはずだと応じた。ハヤカワは、さらに強いモデルが出るたびに探索は必要になるが、その探索費も安くないと指摘した。ユースケースを見つけられた企業と、見つけられないままサブスク外に外れた企業とで、パフォーマンスが大きく変わりそうだと今回強く感じたという。

モデルにも適材適所がある

ハヤカワは、すべての業務に最上位モデルが必要なわけではないとも強調した。たとえばカレンダーの予定調整はOpus 4.5か4.6程度で十分うまくいく。4.7や4.8になってその能力が上がったかというと、そうでもないと感じたという。

ハヤカワはこれを人材配置になぞらえた。適切な人を適切な仕事に割り当てて全体のパフォーマンスを上げるのと同じように、モデルにも得意・不得意があり、強さもコストも違う。エンジニア以外の職種ではそもそもFableが必要なのか、オープンソースのモデルやローカルで動くモデルで足りる人もいるのではないか、という点も含めて検討が要る。どこに高価なモデルを使い、どこを軽量なモデルで済ませるか。この全体設計が「めっちゃ切実」だとハヤカワは言う。この1年ほどはとにかく大量に使ってユースケースを見つけようという段階だったが、そろそろ真剣に考えないとまずいタイミングが来ている、というのがハヤカワの見立てである。

どのAIにコミットするか、ロックインの悩み

安野はさらに、会社としてどのAIにどれだけコミットするかという論点を挙げた。1年契約で大量に買えば安くなるプランもあれば、特定のアーキテクチャの上で作り込んでいく選択肢もある。

安野は最近、AnthropicのClaude Managed Agentsを使ったという。Anthropicのサーバー上に多数のコンピューターが用意され、その上でClaude Codeのようなエージェントが動く仕組みだ。使い心地は「マジで」良かった。ただしAnthropicにロックインされ、他のサービスへ引っ越しにくくなる。考えるべきことは楽しいが、判断の深刻度は増している。以前はお小遣いの範囲で使い切ってもいいかという感覚だったが、もうシリアスな額になっている、と二人は笑い合った。

これに対してハヤカワは、どのモデルを使うにしても、ワークフローを整えることやデータベースを整理しておくことは損にならない、と述べた。安野も同意し、議論は次の段階へ移った。人間がいかにAIを使えるかという段階の先に、AIがいかに自律的に仕事をできるかという段階がある。そのためには認証やデータベースといった環境が欠かせない、と安野は整理した。

「ブラック企業をAIにしていないか」

ハヤカワは、AIが働ける環境づくりもHR的な仕事だと考えている。社内で説明するときによく使うのが「新人のオンボーディングと同じ」という例えだ。ブラック企業のあるあるとして、何も説明されていないのにやれと言われる、評価基準を伝えられないまま怒られる、必要な権限がもらえない、といったことがある。ハヤカワは、AIに対して同じことをしていないかと時々思うという。

「なぜこんなこともできないのか」と言いたくなったとき、確認すべき点がある。適切な閲覧権限を渡しているか。読み書きを含めてツールを使える状態か、そもそもツールを接続しているか。プロジェクトが立ち上がった経緯などのコンテキストを伝えているか。ハヤカワは、オンボーディングがうまい会社はAI化もうまいはずだと述べた。ただし、オンボーディングがうまい会社は実は少ない。人に対しても難しいことは、AIに対しても難しい。だから、どのLLMを迎え入れるにしても、AIが働きやすい環境を作ることが重要な下ごしらえになる、というのがハヤカワの主張だ。

安野はこの例えを「めっちゃいい」と評し、AIは辞められないのでかわいそうだと笑った。そのうえで、AI向けに社内の暗黙知をきちんと明文化して読める形にすれば、人間のオンボーディングにも役立つはずだと付け加えた。HRのオンボーディングという仕事とAI活用はつながっている、という点で二人の意見は一致した。

言語化できない暗黙知と、人間とAIが混ざる難しさ

ハヤカワは、既存の日本企業などが当たりそうな壁として、「言語化してはいけない暗黙知」を挙げた。「Aさんはこういう案件が嫌いだからBさんに回した方がいい」「Cさんは以前これで大きく失敗していてトラウマになっている」といった類のものである。こうした情報は言語化すれば問題になるが、実際には企業ごとに存在し、AIの使いづらさを助長しているという。

ハヤカワはこれを自動運転に例えた。自動運転車だけなら意外と運転しやすいが、人間が急に飛び出してくるから難しい。同じように、AIだけの企業やAIだけの組織なら働きやすく、人間だけの企業も働きやすいが、混ざると難しい。人間の組織にはイレギュラーな部分があり、それはAIには理解しづらいうえ、誰も教えてあげないことも多い。

安野はこれを受けて、アプローチは二つあると整理した。一つは暗黙のルールをやめ、すべて明文化したルールにそろえること。できるならこれが最もシンプルだ。もう一つは、AIが「まず○○さんに言ってみて」といった形で人間とコミュニケーションを重ねる中で、「たぶんこういうことか」という暗黙知を自分の中に蓄積していくことだ。安野は、どちらが早いのかは分からないと述べた。

ハヤカワは、当面は暗黙知の部分を人間が担うことになるだろうと「悲しいかな」と見ている。一方で、暗黙知をなくすというのは、暗黙知が生まれない、あるいは完全に公開された組織をゼロから作ることに近い。そのため、別に新会社を立てたり、AIだけのチームを作ったりする選択肢もあるかもしれない。特にFable級のモデルが出てくればマネジメントもできると思う、とハヤカワは話した。安野も、AIが活躍できるAIネイティブな企業や組織を作れば、ものすごい馬力が出るかもしれないと応じた。

AIにマネジメントされたい人が増えている

マネジメントの話から、安野は自社で流行していることを紹介した。AIにマネージしてもらうという使い方だ。タスクを細かく分解し、「次はこれをやればいい」と一つずつ渡してくれる仕組みで、安野の会社ではタスク管理ツールのLinearと統合している。安野によれば、マネージされたがる人が「めっちゃ増えている」。理由はAIがマネージャーとして優しく、何度聞いても怒らないからだという。

ハヤカワもこれに共感した。自分は得意・不得意がはっきり分かれていて、能力をステータス表にすると凸凹が大きいタイプだという。AIは平均的な振る舞いがうまいので、凹んでいる部分を埋めるのが得意だ。尖った部分ではまだ物足りないが、平均的な水準に引き上げる力は高い。

ハヤカワは、そこで重要なのは自分が何を苦手としているかを自覚していることだと述べた。安野の周囲の人がマネジメントされたがるのも、自分ができないことを自覚しているからだろうという。ハヤカワ自身は気が散りやすく、カレンダーやメールなど複数の画面を開くとタスクが散らかり、関係ないことをしてしまう。そのため、やり取りは基本的にNotionの1ページに集約し、せいぜいNotionとClaude Coworkの1セッションで完結するようにしている。自分の苦手を理解していれば、どうケアしてもらえばいいかが明確になる。AIはそれに懲りずに付き合ってくれる、とハヤカワは話した。

働く個人はまず日常で使い倒す

話題は企業から個人に移った。安野が「働く人がいまやっておいた方がいいことはあるか」と尋ねると、ハヤカワはまず前提を語った。会社員としては、すぐ使ってパフォーマンスを上げることがメリットになる。ただ世の中全体を見ると、一時的なトレンドで終わるものと、インフラになるものがある。ハヤカワは、AIはインフラになるタイプの流行だと考えている。個人が反対しても、仮に一国が開発をやめても、他の国が開発する。基本的に流れは止まらない、というのがハヤカワの見方だ。

そうであれば、今のうちにAIとどう向き合うか、AIを自分のものにしたうえでどうキャリアを積むかに時間を使った方がいい。これまでの仕事がAIに代替される不安は正直あるだろう。ハヤカワのスタンスは、少なくともパソコン上で完結する仕事はほとんど代替されるというものだ。ただ、それは悪いことではなく、新しい仕事が生まれるということでもある。次の仕事を早めに探すためにも、AIに何ができて何がまだ苦手なのか、自分は何をすべきかを見極めるために、一度使ってみた方がいいという。

具体的には、日常で使うだけでよいとハヤカワは言う。X(旧Twitter)には難しい話もいろいろ流れてくるが、モデルの品質は今年に入ってから実用レベルでほぼ十分になり、若干飽和し始めているとハヤカワは見ている。今後コストが大きく上がる可能性や、使えなくなる可能性も否定できないので、今のうちにたくさん使うことがまずは大事だという。

物理的なものに戻る:味噌、社交ダンス、センサーとしての身体

では、AIの先で個人がどう価値を発揮するのか。この観点でハヤカワが意識しているのは「物理的なものに戻ってきた」ということだ。ロボットの組み立てもその一つである。冒頭でハヤカワは、パーツは3Dプリントすればよく、一度組み立てるとロボットへの解像度が上がると勧めていた。ロボットに関わる女性クリエイターが少ないので、それを増やしたいというのが最近の関心だという。

ハヤカワは、Claude Codeの開発者が日本で味噌を作っていたらしいという話にも触れた。自分も「ミソス」というモデルが出たタイミングが今年の味噌の仕込み時期だったので、味噌を仕込んだという。ほかに味噌を作った人はいなかったようだ、と笑いを誘った。

さらにハヤカワは最近、社交ダンスにはまっている。10種目を週4時間練習しているという。自分の身体をコントロールして動かしていると、ロボットは難しいと実感する。人間は体重移動がとても得意で、わずかな筋肉の動きで次の動きが決まる。安野も以前、妻と二人で社交ダンス教室に通っていたことがあり、リーダーとフォローの間では実は細かく押し合っていると応じた。それがフィジカルAIでできるようになるかは一つの論点だ、というのが安野の見方である。

ハヤカワは、慣れてくると相手の腹部あたりのわずかな筋肉の動きで「前に進むな」と分かるようになるという。人間が日頃受け取っている情報の多さに驚き、人間は「超ハイクオリティなセンサー」だと感じている。だから、いろいろなものを見る、おいしいものを食べる、身体を動かすといった形で、センサーを磨くことが重要だと考えている。この先どうなるかは分からないが、どちらにしても重要なことだろう、とハヤカワは述べた。

安野が「ハヤカワさんがヒューマノイドと社交ダンスしているところを見たい」と言うと、ハヤカワは意外にありだと応じた。社交ダンスは基本的に先生と1対1で習うのでコストが高い。ポップやジャズのように10対1で踊れるジャンルとは違う。そこがヒューマノイドで置き換えられないかと考えているという。ただし、先ほどのAIと人間が混ざる話からすると、そこが一番難しい。二人は、ヒューマノイド同士の社交ダンスの方が先に来そうだという点で意見が一致した。

ハヤカワはさらに、ヒューマノイドが普及すれば、スマートフォンケースが流行ったようにロボットの服も流行るはずだと話した。ハヤカワはもともと10年間アパレルに携わり、美大出身で物作りも好きなので、ヒューマノイドの服を作ることも考えているという。安野はこれを「全てのフラグを回収している」と評した。ハヤカワ自身は、いろいろなことをつまみ食いしているが、AIで全体的に強化されたことで、以前よりコミットできることの幅が大きく広がったと話した。

AIで回すショート動画のワークフロー

最後の大きな話題は、ハヤカワがAIで作っている動画だ。きっかけは、ロボットを女性に広めるには動画をやらなければならないと考えたことだった。ハヤカワは高校生の頃からアメブロなどでブログを書いてきた人で、テキスト以外は基本的に苦手だという。そこで友人と、30日間毎日更新し続けたらキル フェ ボンのタルトをホールで買ってもらう、という約束をして始めた。しかし10日目くらいでつらくなり、なんとかしなければと思って生まれたのがこの仕組みだという。

ワークフローは、Fableが使えた3日間で作ってくれたもので、ローカルで動く。全体の進行管理はClaudeがPM的に担い、Fable以外のモデルでも動く。台本をもとにAI音声を生成し、それに合わせて映像を作り、すべてを合成してショート動画に仕上げるまでを自動化している。30日の毎日更新はこの仕組みで乗り切り、それとは別にじっくり撮る動画も作っている。

出来栄えを問われたハヤカワは「めちゃいい」と答えた。一方で、ショート動画としての作法はまだ足りないという。ゲームは作れることと面白いことが別であるのと同じで、ショート動画として伸びるものになっているかは別問題だ。冒頭のフックが弱いといった課題があり、そこをクリアできればかなりの品質になるとハヤカワは見ている。

見分けがつかない自分の声、決めておく合言葉

音声については、オープンソースのTTSモデルを使っている。そこに友人がハヤカワの声に近づけたLoRAモデルを作ってくれた。ハヤカワがポッドキャストで話している音声が元になっていて学習データが豊富なため、ハヤカワによれば本人を知っている人でもAI音声だとは分からないという。

その品質の高さゆえに、ハヤカワは親に今のうちに伝えておかなければと考えている。電話をかけたら最初に「おにぎり」と言うといった合言葉を決め、それ以外は詐欺とみなす。そのくらいのことが必要だと感じるほど品質が高い、という。

映像は「お弁当箱」のフレームで制御する

映像についてハヤカワは、動画生成は思っている以上にプログラミングで制御しやすいと説明した。何分何秒でカットするといった処理や、素材の生成・合成をコードで扱えるからだ。

まずFableかClaude Designで、デザインのフレームを作る。縦長のショート動画では、TikTokの場合は画面の一番上に検索欄が来るので空けておき、右側と下にはアイコンが来るので空けておく。上半分に説明、下半分にキャラクター、真ん中にテキスト、というレイアウトを決めておく。ハヤカワはこれを「お弁当箱」にたとえた。区切られたブロックごとに何を生成して入れるかを決めておき、そのフレームに合わせて動画を生成する。シチュエーションによってグラフを入れたり、Nano Bananaで画像を生成して入れたりする。

安野が、生成した画像を動画化しているのかと尋ねると、ハヤカワは画像をそのまま使っていると答えた。音声のパートAに対して画像Aを何秒から何秒まで表示する、という対応づけを行い、最後に一本の動画にまとめる。そのため意外と制御しやすいという。

ハヤカワは、Fableは画像の認識能力が高い点も効いているという。これまでは図や表を作らせると枠から文字がはみ出すことがよくあり、「お前チェックしたのか」と言いたくなることも多かった。Fableは生成したものを一度見て、はみ出している、キャラクターと被っているといった問題を自分で検出し、直してくれることがよくあったという。超いい動画になるかどうかはまだ自分の力が足りないが、見やすいものは作れるようになったとハヤカワは話した。

用途として、ハヤカワは速さが求められる技術系の動画やニュース解説を挙げた。加えて、自分がこれまでやれていなかったものとして、「LLMとは何か」「ハルシネーションとは何か」といった基本的なAIキーワードの説明がある。すべて自分で説明するのは正直面倒なので、AIで作る価値があると考えている。

Fableの漫才と、M-1への再挑戦

終盤、ハヤカワは3Dプリンターとロボットをあらためて勧めた。自分が使っているBambu Labの製品は今なら3万円ほどで買え、Nintendo Switchより安い。ロボットを一度組み立てたい人には、タミヤのロボットキットが入門編としてよくできている。基板が入っているものなら、AIでカスタマイズして動かすこともできるという。

安野は、ロボットを作るより既製品で漫才をさせたいと話した。二人はFableの漫才が面白いという点で一致した。ハヤカワは、Fableの言語センスが上がっていると感じており、2Dや3Dの認識能力と同様に音声の認識能力も上がっているなら、間の取り方もうまくなるはずだと推測した。ただし音声についてはまだ確認できていないという。安野は、Fableは言語センスが明らかに良く、メタ的に見て改善していく認知があると評した。ハヤカワは、上司としてはうっとうしいほど出したものに細かく指摘してくる、Codexなどが出したものを見せると細かく突っ込む、と話した。その力を自分自身のネタに向ければ、「これは面白くない」と判断して面白くしてくれるかもしれない。

ここから話はM-1グランプリに及んだ。安野は10年前に2回戦で敗退している。二人は「この10年の成果」を見せるべく3回戦を目指そうと冗談交じりに盛り上がり、対談は締めくくられた。