ラスベガス地下のテスラ専用トンネル「ベガス・ループ」に乗る イーロン・マスクはなぜ穴を掘るのか

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概要

エンジニアで起業家の安野貴博氏が、セキュリティ系イベント「DEF CON」参加のために訪れたラスベガスで、イーロン・マスク氏のボーリング・カンパニーが運営する地下交通「ベガス・ループ」に乗った。動画の前半では、ベガス・ループとは何か、なぜマスク氏がトンネルを掘るのかを解説している。後半では、実際にチケットを買って乗車するまでを現地から伝える。安野氏がこの交通機関に注目した理由は、街づくりを考えるうえでの一つのアイデアになるかもしれないと考えたことにある。

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地下トンネルをテスラ車が走る交通機関

ベガス・ループは、ラスベガスの地下に掘ったトンネルの中をテスラの車が走る交通機関だ。安野氏は「あんまり見たことないタイプ」と表現している。運営するのは、マスク氏が設立したザ・ボーリング・カンパニーである。安野氏はこの会社を、ひたすら地下に穴を掘る会社だと紹介する。マスク氏はSpaceX、テスラ、Xだけでなく、こうした会社も手がけているというわけだ。

安野氏は地下鉄との大きな違いとして、途中の駅に止まらない点を挙げる。乗った駅から目的の駅まで、運転手が直接運転していく。現在は人間が運転しているが、将来的にはすべて自動運転にすることが考えられているという。

巨大なコンベンションセンターから始まった路線

ベガス・ループは2021年に、ラスベガス・コンベンションセンターの構内を結ぶ路線として開業した。安野氏はこの会場を日本の幕張メッセのような場所だと説明し、その大きさを強調する。広さはおよそ東京ドーム17個分で、端から端まで歩くと45分かかるという。

ラスベガス全域と他都市への拡張計画

拡張計画も示されていると安野氏は紹介する。ラスベガス市とクラーク郡で約109キロのトンネルを掘り、104か所ほどの駅を作る構想だ。ホテルだけでなく、ダウンタウンやスタジアムなどもつなぐ予定で、輸送能力は1時間あたり約9万人の移動を目標にしているという。

ラスベガス以外でも、同じ仕組みで輸送を実現する計画がある。アメリカ国内ではナッシュビルですでに掘削が始まっているらしく、空港とダウンタウンを10分で結ぶことを目指している。海外ではドバイが挙がった。2026年2月にドバイ道路交通庁と合意し、まず金融街とドバイモールを結ぶ「ドバイ・ループ」を目指しているという。

渋滞をなくすには地下に道を増やすしかない

マスク氏がこれを作る理由について、安野氏はマスク氏自身の主張を紹介する。渋滞をなくすには地下に道を増やすしかない、というものだ。ただしこの考えは、トンネルを早く安く掘れることが前提になる、と安野氏は付け加える。

そこでボーリング・カンパニーは「プルーフロック」という掘削機を自社で開発し、安く早く掘れるようにしようとしている。発音には自信がないと安野氏は断っている。同社によれば、プルーフロックが普通の掘削機と違う点は三つある。

一つ目は、トラックで現場に運んだら、そのまま斜めに地面へ潜っていける点だ。普通の掘削機を地中に入れるには、大きな穴を掘ってクレーンで機械を降ろす必要がある。プルーフロックではその工程が要らない。

二つ目は、掘りながらトンネルの壁も作っていける点だ。安野氏は自分も詳しくないと前置きしたうえで説明する。柔らかい地盤を掘る機械は、1.5メートル進むたびに止まって壁を組み立て、また1.5メートル進んで壁を組み立てる、という作業を繰り返す必要がある。プルーフロックはこれを止めずに動かし続けられる仕組みだという。

三つ目は、無人で掘り続けられる点だ。操作はすべて外の管制室から行えるので、中に人がいなくてもよい。

SpaceXと同じ垂直統合の戦略

ボーリング・カンパニーは、掘削機だけでなくトンネル内の部材まで自社で作り、設計、建設、運行まで自社で回すことで費用を大きく下げられると主張している。安野氏はこれを、ロケットを自社で作って打ち上げ、費用を大幅に下げたSpaceXと同じ戦略だと位置づける。マスク氏はそれを、地面を掘ることについても実行しようとしている、という見方だ。

安野氏は前半の解説をこうまとめる。地下鉄とは違う地下の道路交通網を作り、街の輸送量を増やそうとしている。これが街づくりを考えるうえで一つのアイデアになるかもしれないと思い、実際に見に行った方がいいと考えた。

リゾートワールドの駅へ

後半は現地の映像だ。安野氏はラスベガスのホテル「リゾートワールド」を訪れる。前述の通り、ラスベガスに来た主目的はDEF CONへの参加で、せっかくだからとベガス・ループに乗ることにした。ベガス・ループについて、公共交通と呼べるのかどうかは分からないとも述べている。どういうものかよく分かっていないまま、まず行ってみるという姿勢だ。

館内で案内を見つけると、「Vegas Loop Welcome」と書かれた入口があった。安野氏によれば、実際の掘削距離はそれほど長くない。見える範囲の1〜2キロ先くらいまでだという。ただし距離感覚が狂うとも話しており、目測の域を出ない。

駅にはトンネルのセグメント(壁の部材)が展示されていた。安野氏はその厚みを見て、これで掘っているのかと推測している。ターミナルの印象は「普通にタクシー乗り場みたいな感じ」だった。敷地内には別方向に延びる部分もあったが、将来の拡張用なのか駐車場なのかは分からない、と安野氏は述べている。

チケット購入と乗車

駅の路線図で現在地のリゾートワールドを確認し、DEF CONが開かれているLVCCウエスト駅まで行くことにした。チケットはクレジットカード番号を入れるとすぐに買えた。片道のシングルライドで約4.5ドル。安野氏は円換算で言い直しながら、700円ぐらいかと見積もっている。

チケットはQRコードで提示してスキャンする。その後、スタッフに「こちらの男性と一緒に」と案内され、前の男性についていくよう言われた。安野氏は、これが相乗りという意味なのかどうか分からない様子だった。乗車中の映像は音楽のみで、具体的な説明はない。

乗ってみた感想

乗車後、安野氏は「面白いですね」と感想を述べた。トンネル内の照明がピカピカ光っており、ゲーミングPCのようだったという。トンネル自体は思ったより小さく、テスラ1台が通れるくらいの大きさだった、と印象を語る。

そのうえで冒頭と同じ点に戻る。途中駅に止まらず、乗った駅から目的の駅まで運転手が直接運転していくのが地下鉄との大きな違いであり、街づくりを考える際の一つのアイデアになるのかもしれない。安野氏はそう述べるにとどめ、評価を断定しないまま動画を締めくくっている。