1万年後の人類はどんな姿になるのか:過去1万年の進化から未来を予測する

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概要

人類の進化は止まったわけではなく、今後も続く。では1万年後の人類はどのような姿になっているのか。この動画は、まず農耕の開始から現在までの約1万年に人類の身体がどう変わったかを振り返る。そのうえで、現在の文明社会が今後も続くと仮定した場合に働きそうな選択圧を3つ挙げ、未来の人類の特徴を予想している。

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狩猟採集に適した身体と、農耕がもたらした変化

動画はまず、私たちの手について問いかける。その手はかつて槍を投げ、獲物を運び、道具で引き裂いてきた手と同じである。現在は調理済みの料理を口に運ぶ役割に変わったが、それでも古代の環境を前提に設計されていると言われることがある。動画はこの見方が本当かを問うところから始まる。

未来を予測するには、まず過去を振り返る必要がある。現生人類ホモ・サピエンスが登場したのは約30万年前で、その大半の期間、人類は狩猟採集社会で暮らしてきた。進化は、環境に適した特徴を持つ個体が生き残って子孫を残すことで進む。したがって人類の身体は、基本的には狩猟採集の時代に適したものだと動画は説明する。

ところが約1万年前、農耕が始まった。人類は食べ物を追いかけるのをやめて育てるようになり、一か所に定住し、家畜と暮らし、やがて多くの人が住む都市を築いた。この環境の変化によって、人類はそれまでにない方向へ進化したという。動画はその例を3つ挙げている。

例1:大人になっても乳糖を分解できる

1つ目は、大人になった後も牛乳などの乳に含まれる乳糖を分解できる能力である。本来、哺乳類は大人になると乳糖を分解する能力を失う。しかし一部の人間は、大人になってもこの能力を持ち続けるように進化した。この能力が子孫を残すうえで有利に働いたと考えられている、と動画は紹介する。

例2:顎が小さくなった

2つ目は顎の縮小である。人間の骨や筋肉は、機械的な負荷に応じて発達する。繊維質の植物をすりつぶすのに必要だった大きな顎は、肉を食べるようになり、さらに食べ物を調理するようになるにつれて小さくなっていったと考えられている。

動画によれば、顎と顎を動かす筋肉が小さくなったことで脳がより発達できた可能性があり、それが人類の大きな進歩の一因になったのかもしれない。一方で、現代では親知らずに悩む人が多い。これには、顎が縮んだことで親知らずが生える場所がなくなったという側面もあると動画は述べる。

例3:都市環境と免疫

3つ目は免疫機能である。多くの人間に加えて家畜も暮らす都市環境は、人類の免疫に大きな影響を与えた。危険度の高い疫病は、いわば感染の燃料となる人間が同じ場所に大勢いなければ広がらない。また、そうした疫病の多くは、もともと他の動物から人間に感染するようになり、さらに人から人へうつるようになったことで生まれている。その中には、ペストや天然痘のように世界中に影響を及ぼしたものもある。

人類が定住して都市に住むと、人口密度が上がって感染症が広がりやすくなった。その環境で流行する病原体に対して有利な免疫特性を持つ人ほど、生き残って子孫を残しやすくなったと考えられる。

ただし現代では、衛生環境の変化によって多様な微生物に触れる機会が減り、免疫のバランスが崩れやすくなった。その結果、本来は害のない花粉などにも過剰に反応してアレルギーを起こす一因になっていると考えられている、と動画は付け加える。

進化は「能力が高い方向」に進むとは限らない

1万年は進化の観点からはそれほど長い時間ではない。それでも、ここまで見たように人類の遺伝子には過去1万年だけでいくつもの変化が見られる。では次の1万年ではどうなるのか。

動画はここで、進化の基本に立ち返る。進化で重要なのは、結局どのような個体が子孫を残せたかである。そのため、進化は必ずしも能力が高い方向に進むわけではない。その時の環境で子孫を残すのに有利な性質が次の世代へ受け継がれていく。進化の対義語として「退化」という言葉があるが、本来は退化も進化の一つだと動画は説明する。

例として、非常に足の速い人を考える。狩猟採集社会では、この特徴は極めて重要である。獲物を得られる、つまり飢え死にする前に食べ物を手に入れられる確率が高く、子孫を残しやすいからだ。しかし農耕社会では、足の速さはそれほど重視されないかもしれない。むしろ脚の筋肉が消費するエネルギーが大きいため、飢饉の際には子孫を残すうえで不利になることも考えられる。

このように、1万年後の人類を予想するには、今後1万年の環境も予想しなければならない。動画は、特に現代ではそれが一筋縄ではいかないと認める。たとえば食べ物に困らない時代なら、足の速さは生存にはあまり影響しない。そこで問題になるのは、その特徴がつがいを得ることにどう影響するかである。これには社会構造なども絡むため、1万年の間に変わる可能性は十分にある。

それでも、今後1万年にわたって現在の文明社会が続くと仮定すれば、変わらないと予想できる要素もある。動画はその中から3つを挙げ、それぞれが1万年後の人類にどのような特徴をもたらすかを予想する。

予想1:攻撃性の高い個体が不利になる「自己家畜化」

1つ目は、攻撃性の高い個体を排除する圧力が働くことである。文明社会では、攻撃性の高い個体は子孫を残すうえで不利だと考えられる。すると、一部の野生動物が家畜へと変わっていったのと同じような効果が人類にも現れる。これは人類の「自己家畜化」と呼ばれている。

多くの哺乳類では、攻撃性の低い個体だけを何世代にもわたって交配させ続けると、身体も変化することが分かっている。具体的には、骨格がより華奢になり、頭蓋骨がより平坦になり、男女差がより小さくなるという。動画は、1万年後の人類も現代と比べてこうした特徴が目立つようになるかもしれないと予想する。

予想2:食べ物が豊富な環境と代謝の変化

2つ目は、食べ物が豊富にあることである。人類が誕生してからほとんどの期間、食べ物がほぼなくなる飢饉はつきものだった。そのため人類は、カロリーが豊富なときに脂肪を積極的に蓄える身体へと進化した。しかし現代では、この性質が肥満や糖尿病の原因の一つになっている。

そこで動画は、古来の環境に最適化された代謝を持つ個体が、今後はつがいを得にくくなり、子孫を残しにくくなる可能性を挙げる。その結果、1万年後の人類は現在より太りにくくなっているかもしれないという。

一方で、食べ物から簡単に得られる栄養素を体内で作る能力が衰える可能性もあると動画は指摘する。その先例がビタミンCである。人類を含む類人猿は、他の多くの動物と違ってビタミンCを体内で合成できない。祖先は果物が豊富な環境で暮らしていたため、ビタミンCの合成に関わる遺伝子が生存に必要なくなった。その遺伝子は世代を経るごとに変化し、ついには全く機能しなくなった。同じように、1万年後の人類は、現在なら問題なく体内で合成できる栄養素を食べ物に頼るようになっているかもしれない、と動画は予想する。

予想3:医学の発達と出産

3つ目は医学の発達である。ここ数百年で医療技術は大きく進歩し、かつては助からなかった症状からも回復できる見込みが大幅に高まった。その結果、より多くの人が子孫を残せるようになったのは明らかだと動画は述べる。裏を返せば、高度な医療がなければ生まれてこられなかった人もいるということである。

動画が例に挙げるのは出産である。人類は脳が発達しているため、他の哺乳類と比べて頭が大きい。加えて二足歩行のため、骨盤が比較的狭い。そのため、出産時の赤ちゃんは母親の産道を通れる限界ぎりぎりの大きさだという。もし赤ちゃんの頭がそれ以上大きければ、古代には母子ともに命の危険にさらされることも珍しくなかっただろう。

しかし現代では、これにさまざまな対処ができ、母子ともに生き延びてさらに子孫を残すことも珍しくない。すると、骨盤が狭い遺伝子も頭が大きい遺伝子も、次の世代に受け継がれやすくなる。そのため、1万年後の人類は現代より自然分娩が減っている可能性もあると動画は予想する。ただし動画は、これを悪いことではなく、医療の進歩の結晶とも言えると位置づけている。

結論:どんな姿でも、それは環境に適応した結果である

動画は最後に、1万年後の人類がどのような姿をしていても、それは過去からその時代までの環境に適応した結果だと締めくくる。それは今の人類も同じで、現代人の身体にも進化の歴史が刻まれており、その歴史も次の世代へと受け継がれていく、というのが動画の結論である。