1億年前の地球、南極、エベレスト、巨大地震まで 「もしそこに行ったら」で考える地球の姿

YouTubeで開く ↗
概要

この動画は、科学系チャンネルVAIENCE(バイエンス)の「もし〜に行ったらどうなるか」シリーズのうち、地球を扱った回をつなげた構成である。1億年前の地球、南極、エベレスト山頂、ナイアガラの滝、南海トラフ巨大地震、首都直下地震、イエローストーンの熱水泉、ガンジス川、グレートブルーホールを順に取り上げる。どの回でも視聴者を「あなた」と呼んで現地に送り込み、何が見え、体に何が起きるかを具体的な数値とともに説明する。「バイエンススーツ」や「実験台」といった冗談を交えつつ、地球の環境が人間にとってどれほど過酷になりうるかを示すのが全体の軸になっている。

25分で読めます

1億年前の地球:空気は吸えるが、景色はまるで違う

冒頭で動画は1億年という時間の大きさを示す。1億年休まず歩き続けると総距離はおよそ3兆km余りになり、地球と太陽の間を1万回以上往復できる。一方で地球の歴史を1年に縮めると、1億年前は12月23日にあたり、地球の尺度ではごく最近の出来事だという。

1億年前は、約1億4500万年前から6600万年前まで続いた白亜紀の中頃である。人類の祖先は、恐竜の陰に隠れて暮らすネズミのような哺乳類だったと考えられている。動画はまず呼吸について心配はいらないとする。酸素濃度は現代の約21%と同じか少し高い程度、二酸化炭素濃度も数百〜1000ppmで、現代の屋外よりやや高い程度と推定されている。二酸化炭素が2000ppmを超えていた時代もあるため、それと比べれば快適だという。

ただし大気以外は大きく異なる。超大陸パンゲアの分裂は約1億8000万年前から進んでおり、北アメリカ大陸は見分けがつく。南アメリカとアフリカも分かれ始めていて、境界線の形からかつてぴったり接していたことがわかる。しかしインドは島で、オーストラリアと南極大陸はつながっていた。現代の南極が寒いのは、大陸が極付近で孤立して熱が逃げにくいことも一因なので、1億年前の南極には緑が広がっていた可能性があると動画は述べる。現代では南極の氷が地球の淡水の約70%を占めるとされる。その氷がなかった当時は海水面がはるかに高く、一説には現在より200m高かったという。北アメリカ大陸の中央に浅い海ができかけていた時代でもある。気温も高く、現代の平均気温15℃程度に対して、極端な予想では30℃付近だったとする研究もある。火山活動も活発だった。

1億年前の生き物と植物

多くの人が期待するティラノサウルスやトリケラトプス、ステゴサウルスは1億年前にはいない。ステゴサウルスは約1億5000万年前に生息してすでに絶滅しており、ティラノサウルスやトリケラトプスの登場は数千万年後である。動画はこの点から、恐竜が長い時間をかけて進化していったことを強調する。

1億年前の有名な恐竜として挙げられるのはスピノサウルスだ。体長14m、背中には1.5mの帆のような構造がある。その役割は今もよくわかっていないが、体温調節や求愛行動に使ったという説が有力だという。主食は魚とされるが、他の恐竜を食べた可能性もある。ほかにも、ティラノサウルスより大きかった可能性がある体長13mのギガノトサウルス、サメのような歯を持つカルカロドントサウルス、体長30〜35mの竜脚類アルゼンチノサウルスがいた。恐竜の一種である鳥類もすでに存在していた。

動画は、現代の感覚ではユーモラスな姿の生物も紹介する。翼竜のプテロダウストロは大きく曲がったくちばしに細かい歯が千本前後生えていたとされ、フラミンゴのように水辺の小さな生き物を食べたと考えられている。体長10mのワニ、ストマトスクスは下あごがペリカンのように膨らみ、歯がなかった可能性も指摘されている。海には直径1mの巨大な二枚貝や、翼のようなヒレを持つサメがいた。爪切りのような口の草食恐竜ニジェールサウルス、後ろ足が残るヘビ、二足歩行のワニもこの頃に現れたと考えられている。

小さな動物では、ハチやチョウの誕生が重要だったと動画は説明する。食事のついでに花粉を運ぶ昆虫が現れたからだ。被子植物の登場は約1億3000万年前で、1億年前の時点では増えつつあったものの、マツに代表される裸子植物がまだ主流だった。昆虫が受粉を担うようになり、花粉を大量にまく必要がなくなったためか、被子植物はその後急速に広がり、現在は植物全体の約90%を占める。ただし1億年前にはイネ科植物がまだなく、草原は存在しなかった。地面はコケやシダ植物に覆われていたと考えられている。

この時代には、石油やチョークの原料になる石灰岩も生成された。石油は世界の総量の約60%が白亜紀にできたと考えられ、「白亜」はチョークを意味するほど特徴的な地層を作ったという。動画は、1億年前の地球は地球に似た進化をたどった別の惑星のように見えるだろうとまとめ、当時の哺乳類がいつ恐竜に襲われるかわからない中で隠れて生きていたことに触れて締めくくる。

南極:氷の大陸になった経緯と、観光で行ける範囲

南極は気温がマイナス50℃、風速が秒速80mに達することもあり、NASAが長期ミッションの訓練に南極の基地を使っていることから「白い火星」とも呼ばれる。動画によれば、南極が氷に閉ざされたのは地球史上ごく最近のことだ。約2億年前、南極は南アメリカ、アフリカ、インド、オーストラリアとともにゴンドワナ大陸を形成していた。二酸化炭素濃度が高かったこともあり、比較的温暖で森林が広がっていた時期もあったという。ゴンドワナが分裂して南極が極付近に取り残されると、周囲に南極環流が生まれ、他の海流からの熱を遮るようになった。この環流は遅くとも3000万年前には形成されたと考えられている。

現代では観光ツアーが多数あり、南極に行くこと自体はそれほど難しくない。アルゼンチン、チリ、オーストラリア、ニュージーランドから出る観光船が最も現実的だが、ほとんどは大陸北端の南極半島に上陸する。南極半島の最北部は南緯63度ほどで、北半球に置き換えるとグリーンランドの集落よりも極から遠い位置になる。内陸へは飛行機で行く選択肢があり、南極点に到達できるプランもある。十分に準備すれば、行って過ごすだけならさほど苦労しないという。

準備なしで南極に飛ばされたら

南極半島の夏(12〜1月)は平均最高気温1℃、平均最低気温マイナス2℃で、日本の真冬程度だ。しかし南極は風が強く、夏は特に早朝に強く吹く。風速40mと台風並みになることもあり、80mを超えた記録もある。気温が0℃付近でも、体から奪われる熱が大きいため体感気温はかなり下がる。南極半島の冬は平均最高気温がマイナス10℃を下回り、平均最低気温はマイナス16℃前後になる。太陽が昇らない極夜のため、人工の明かりがなければ真っ暗な中でブリザードに耐えることになる。

内陸では標高も問題になる。南極大陸の大部分は厚さ数kmの氷床に覆われ、平均標高が他の大陸よりはるかに高い。南極点の標高は約2830mで、冬の平均気圧は約675hPaまで下がる。これは極端な低温で大気が収縮するためで、標高が約900m高い富士山頂に匹敵するという。南極点の年平均気温はマイナス49℃、観測史上の最高気温でも氷点下で、最低はマイナス83℃である。

さらに寒い場所もある。地球の観測史上最低気温マイナス89.2℃は、南極点から約1300km離れたボストーク基地で記録された。標高が3488mと南極点より高いためと考えられている。気温は通常、地面から1.25〜2mの高さで測るが、南極では地表付近のほうが冷たく、衛星観測ではマイナス90℃を下回る地点が多く、マイナス98℃という結果もある。風を考慮すれば体感気温がマイナス100℃を下回っても不思議ではないと動画は述べる。

人体は寒さの中で手足などの血管を収縮させて熱の損失を減らすが、極端な低温ではそれが凍傷につながる。南極点付近では低圧で取り込める酸素が減り、体を温めるエネルギーをうまく作れない。湿度が0.03%まで下がることもあり、呼吸のたびに水分を失って脱水になりやすく、血流が減って凍傷のリスクが上がる。動画は、これらを合わせるとわずか数分で凍傷になってもおかしくないとする。重い凍傷は、うっかり冷凍庫に入れた食材のように氷の結晶が細胞を壊し、解凍しても体液が漏れて元に戻らない可能性があるという。

低体温症も迫る。ある研究者によれば、マイナス40℃以下では人体は機能するように設計されておらず、一つの判断ミスが命取りになる。人体が代謝で作る熱と奪われる熱を計算した研究では、マイナス50℃ではよほど厚着をしていない限り数時間で体温が30℃を下回り、救助がなければ死に至るという結果がある。動画は最後に、20世紀前半の探検の時代に途中で倒れて雪に埋もれた人々がおり、その遺体は今も南極に眠っているだろうと述べる。

エベレスト:技術的には易しいと言われても、かかるお金と時間は大きい

標高8848mのエベレストは、ネパールとチベットの境にある。登山技術だけを見ればエベレストより難しい山は多いが、動画はそれは技術面だけに注目した見方で、標高そのものから来る危険が大きすぎると指摘する。

費用も大きい。多くの人が入山するネパール側の入山料は2023年に1万1000ドルで、2023年4月のレートで150万円以上になる。2025年には1万5000ドルへの値上げが予定されていた。現地までの旅費、テントやブーツ、防寒具などの装備、複数の酸素ボンベが必要になる。単独登山はネパール政府が禁止しているため、シェルパのガイドも必須だ。合計で最低500万〜1000万円程度と言われ、3000万円以上になることもある。

時間もかかる。最初の拠点となるベースキャンプは標高約5400mで、気圧は海抜0mの約半分だ。いきなりこの気圧に置かれれば、すぐ酸素不足になり気絶することもあるという。登山者が耐えられるのは、体が酸素不足を検知して赤血球を増やし、心拍を上げるからだ。ただしこうした反応は数日から数週間かかる。そのため、キャンプから高所に一時的に登って同じ日に戻ることを何日も繰り返し、体を慣らしながら山頂を目指す。ベースキャンプから登頂まで1か月以上かかることも珍しくない。

それでも2023年には約600人が登頂し、内訳は登山者約250人、シェルパ約350人だった。記録が残る範囲の累計登頂者は6000人以上にのぼる。好条件の時期は5月下旬の数週間に限られ、その中でも天気の良い日にしか登頂を狙えないため、山頂付近に行列ができるほど混雑する年もある。山頂の気圧は海抜0mの約3分の1、5月の平均気温はマイナス25℃で、風速20mを超えることも多い。時期を外せば嵐が頻発し、好適期でも夕方以降は荒れやすいので、午後2時以降の登頂は基本的に避けられる。近年は経験不足のまま挑んで命を落とす例が多発し、問題になっているという。

デスゾーンで起きること、残される遺体

一般に標高7500〜8000m以上では体を慣らすことができないと考えられ、この領域は「デスゾーン」と呼ばれる。体は少しずつ死に向かうと表現され、滞在時間をできるだけ短くするのが鉄則だ。酸素ボンベは有効だが、ボンベが空になったときに体が薄い空気に対応できない可能性があり、頼りすぎも禁物だという。

長くとどまると、高地肺水腫や高地脳浮腫を起こす。酸素不足の中で心臓が懸命に血液を送ると血圧が上がり、肺に水がたまって、さらに酸素が足りなくなる。脳に酸素を送ろうと脳の血管が拡張して脳が腫れるのが高地脳浮腫で、頭痛や気分の変化から始まり、最後は意識障害で立ち上がれなくなる。標高8000m以上ではヘリコプターでの救助が難しく、人力に頼るしかない。しかし他の登山者にとってもこの環境は命に関わるため、賛否はあるものの、救助が必要そうな人を見過ごすこともしばしばあるようだと動画は伝える。

山頂付近は一年中ほぼ氷点下なので、遺体は凍りついて腐敗がほとんど進まない。エベレストで亡くなった登山家の多くは生前の姿のまま残っているという。救助が難しい場所では遺体の回収も難しく、多くはそのまま放置され、後の登山者に目撃されることもある。先祖代々ヒマラヤ周辺で暮らしてきたシェルパにとって、エベレストは神聖な場所だ。そこに外国人の遺体が多数放置されていることを問題視する声は高まっているが、経済的な事情もあって抜本的な解決には至っていない、と動画は述べる。

ナイアガラの滝:成り立ちと、落ちた場合の生存条件

アメリカとカナダの国境にあるナイアガラの滝は、最大落差57mと世界の上位の滝ほど高くはないが、迫力は世界最大級だと動画は評する。約1万2000年前まで北アメリカ北東部は厚さ2〜3kmの氷河に覆われていた。氷河期の終わりに溶けた水が盆地にたまって五大湖の原型ができ、東側のエリー湖とオンタリオ湖の間にある、侵食されやすさの違いから生じた段差が滝の原型になった。

滝の崖は侵食で後退し続けており、過去560年では年1〜1.5mと推定されている。現在は硬い岩石が崖をつくっていることや、水力発電に水が使われていることで遅くなったが、それでも年30cm程度だ。このペースだと約5万年後にはエリー湖に達し、滝は消滅すると考えられている。

ナイアガラの滝は、規模の大きい順にカナダ滝、アメリカ滝、ブライダルベール滝の3つからなる。落差はカナダ滝が57m、他の2つは20〜30m前後だが、動画によれば危険なのはむしろ低い2つのほうだ。アメリカ滝とブライダルベール滝には滝つぼがなく、落ちた先に岩が転がっているため、激突して命を落とす可能性が非常に高い。

カナダ滝も安全ではない。骨折や肺の損傷などから見て、人が水に飛び込んで無事でいられるのは時速100km程度、高さにして50m強が限界という研究があり、57mのカナダ滝は限界ぎりぎりか少し超える。滝の直前は流速が時速40kmに達することもあり、流されるまま落下することになる。高所から水に落ちる際の鉄則として、動画は大きく息を吸うこと、入水直前に体をまっすぐ伸ばして足から垂直に入ること、肛門を強く締めることを挙げる。ただし高速で流されながら落ち着いて実行できる人は限られるという。

落ちた後も困難が続く。滝つぼの水は大量の空気と混ざって光が深くまで届かず、上下がわからなくなる。流れが速いため岩に押し付けられて溺死する恐れもある。滝つぼから離れて浮上するのが最も安全だが、骨折や内臓損傷を負った状態では難しい。水温は夏こそ20℃を超えるが、他の季節は泳げる温度ではなく、冬は0℃近くになる。冷たい水の中でまともに動けるのは数分とされる。一方で、昼間なら観光客が見ており、滝つぼ近くまで行く観光ボートもあるので、通報や救助で一命を取りとめた例は少なくないという。最後の難関は法律だ。滝から落ちることは現地の法律で禁止されており、2003年に落下した男性は2260ドル(20万円以上)の罰金を科され、カナダへの入国禁止措置を受けた。

南海トラフ巨大地震:なぜ起きると言えるのか

南海トラフは四国の南の海底にある深さ約4000mの溝である。フィリピン海プレートが年に数cmずつユーラシアプレートの下に沈み込み、引きずり込まれた陸側のプレートが耐えきれなくなって跳ね上がると地震が起きる。プレートの動きは続いているため、大地震は繰り返し発生してきた。過去にはおよそ100〜150年間隔で巨大地震が起きている。前回は1944年の昭和東南海地震と1946年の昭和南海地震で、動画の制作時点ですでに75年が経過している。間隔は90年のことも200年以上のこともあり、すでに発生の時期に入っていると考えてもおかしくないと動画は述べる。

地震調査委員会の時間予測モデルによる評価では、今後30年以内にM8〜9クラスの地震が起きる確率は60〜70%とされた。ただしこの計算は2013年のもので、確率は毎年1%程度ずつ高まると考えられている。南海トラフの地震には、東南海と連動する場合があるなど多様性があり、震源域の推定が難しい。堆積物の分析からは、記録上最大の地震より大きな地震が起きた可能性も示唆されている。最大クラスはM9.1と予想され、発生周期はより長く、確率はM8クラスの10分の1以下とされる。

南海トラフ巨大地震の被害想定

内閣府の検討会は、次の地震が最大クラスである確率も0ではないとして、最大クラスを前提に被害を推定している。神奈川県西部から宮崎県にかけて震度6弱以上、沿岸部には震度7の地域もあり、福島県より西ではほぼ全域で震度4以上になる。この推定には長周期地震動が含まれていない。長周期の揺れは高層ビルと共振しやすく、名古屋や、比較的揺れの小さい首都圏でも、高層階で大きな被害が出る可能性があると動画は指摘する。

最も恐ろしいのは津波だ。11のケースで推定された津波高を重ね合わせると、静岡県から鹿児島県までの太平洋側で10m以上、静岡県から四国の沿岸には20mを超える地域もある。震源域が陸に近いため、最も早い地域では2分で到達する。東日本大震災では早くても25分だった。

死者は最大32万3000人で、東日本大震災の約16.4倍にあたる。揺れや建物倒壊で約5万9000人、津波で約22万4000人が亡くなると予想されている。全壊・焼失する建物は最大238万6000棟で、全壊数は東日本大震災の17.5倍だ。被害の大きい地域ではライフラインの約9割が停止する。上水道は3440万人が断水し、下水道は3210万人が利用できなくなる。停電は2710万件にのぼり、東海3県と近畿では9割が停電する。ガスは180万戸で供給が止まり、固定電話は930万回線が通話できなくなる。経済被害は169.5兆円、経済活動の低下による損失44.7兆円を合わせると214兆円で、国家予算の2倍以上になる。政府は常時観測を行い、異常があれば調査して関連情報を発表している。動画は「備えあれば憂いなし」として準備を勧めている。

首都直下地震:想定される4つのタイプ

日本の人口の約3割が集中する東京周辺を襲う首都直下地震について、動画はまず地震の2つの型を説明する。プレートの沈み込みで生じたひずみが解放される海溝型(東日本大震災)と、地中のひずみで断層が動く内陸型(阪神・淡路大震災)だ。首都直下地震はどちらでも起こりうるとされ、動画は4つのタイプを挙げる。

1つ目は関東内陸の断層が動く内陸型で、中でも大きいのは東京都府中市から埼玉県飯能市にかけての長さ33kmの立川断層帯だ。動けば東京西部の人口密集地でM7.4の地震が起き、約6300人の死者が出ると予想されている。この断層帯は1万〜1万5000年周期で動くとされ、前回は2万〜1万3000年前だった。動画はこれを「満期」の状態にたとえる。未知の活断層が隠れている可能性もある。2つ目は東京湾北部地震で、地盤の弱い23区東部を中心に最大の震度7が想定されている。3つ目は関東大震災を起こした相模トラフの海溝型地震で、200〜400年周期とされる。関東大震災から約100年なので当分起きないと考えられていたが、近年の研究で、関東大震災では震源域の半分程度しか動かず、残りが「割れ残り」になっていることがわかった。詳しい予測はまだできないという。4つ目は東海地震だ。100〜150年周期で起きてきたが、前回の1854年安政東海地震から160年が経過している。

首都直下地震で起きること

東京湾北部地震では下町で震度7となる。震度7は阪神・淡路大震災と同じ強さで、テレビやピアノが飛んで壁に激突し、人は身動きもとれず、パニックで考えることさえできなくなるという。1981年以前に建てられた耐震補強のない建物の6割が瞬時に倒壊し、全壊は最大約61万棟、死者は最大約2万3000人と想定される。23区では最大約5割が停電・断水し、地下鉄は1週間、JRは1か月ほど止まる。主要道路も通れなくなる。

大都市では火災が特に恐ろしい。1923年の関東大震災では、犠牲者約10万人の9割が火災によるものだった。現代でも、幅4m未満の道路沿いに古い木造住宅が密集する地域は危険だ。火災で地上が高温になると大きな上昇気流が生じ、竜巻状の炎、火災旋風になる。都心ではビル風によって火災旋風が次々と発生し、大規模化する恐れがあるという。最悪の場合、焼死者は1万6000人とされ、道路が通れず消火できないまま延焼が広がる事態もありうる。

海の地震では、東京湾周辺に海面より低い「0m地帯」が多いため津波被害が大きくなりうる。動画は、高さ2mの津波で海岸から約20km、6mで約40kmまでが水没する可能性があるとしている。川を遡る津波や、地下街への浸水も考えられる。埋め立てが進んだ湾岸部では液状化が深刻になり、建物が傾き、マンホールが浮き上がって道路が寸断される。地盤が建物ごと横に何十mも動く側方流動で堤防が裂けて決壊すれば、津波がなくても0m地帯の住民はすぐ高台へ避難する必要がある。火事場泥棒などの人災も起きる。動画は、科学で地震は止められなくても過去から学ぶことはできるとして、内閣府や自治体のハザードマップを確認することを勧めている。

イエローストーンの熱水泉:実際の事故と3種類の泉

世界最古の国立公園イエローストーンには、間欠泉や色鮮やかな温泉とともに、立ち入りが禁止されるほど危険な熱水泉もある。動画は実際の事故を紹介する。2016年6月7日、23歳のコリン・スコットさんは姉のセイブルさんと、公園内でも特に火山活動が活発なノリス・ガイザー盆地を訪れた。2人は警告の看板があったにもかかわらず歩道を外れ、入浴できる温度の温泉を探していた。セイブルさんがスマートフォンで撮影する中、水温を測ろうと斜面を下りていたコリンさんが足を滑らせて泉に転落した。救助隊は泉の中に沈んだ体を見つけたが、日が陰り雷も近づいていたため、その日の救助は打ち切られた。翌日には遺体は消えていた。公園側のベレス氏は、非常に短時間でかなりの量の人体が溶解したと述べている。泉の水は強い酸性で高温なため、有機物の分解が極めて速かった。映像は遺族に配慮して非公開になっている。1870年以来、記録上少なくとも22人が熱水泉や間欠泉に関わる事故で亡くなっているという。

公園は超巨大火山の噴火跡と考えられるカルデラにあり、地下には今もマグマが供給されている。高温の熱水が地下で雨水や雪解け水と混ざり、間欠泉や温泉ができる。熱水泉は大きく3つに分類される。1つ目の中性塩化物型は、ナトリウムと塩化物が豊富でpH6.7〜9.5と危険な値ではない。しかし温度は90〜94℃が多く、標高2000mを超える園内では水が93℃前後で沸騰するため、多くは沸騰状態にある。激しい間欠泉や青い熱水泉の大半がこのタイプで、飛び込めば数秒で全身に大やけどを負う。

2つ目の酸性硫酸塩型が最も危険だ。カルデラ北側から北東部に分布し、マグマから抜け出した水蒸気や火山ガスに含まれる硫化水素が酸素と反応して硫酸になり、pH2以下という胃液並みの強い酸性になる。さらに強い酸性の泉もあるという。周囲の岩石まで溶かして粘土鉱物に変え、それがイエローストーン特有の多彩な色の池を生む。水温が90℃を超えることもあり、落ちると体のタンパク質が変性し、それが酸で溶け出す。池の底の対流で新しい強酸性の水が次々に当たり、人の体は1日足らずで消えてしまうと動画は説明する。3つ目の炭酸カルシウム型は、石灰岩や石膏を含む堆積岩を通ってきた水で、階段状の石灰華テラスをつくる。比較的低温で穏やかだが、例外的に高温のものもあり、自然保護の観点からも近づくべきではないとしている。

ガンジス川:聖なる川と汚染の現実

全長約2500kmのガンジス川は、インド北部からバングラデシュを通って海へ注ぐ。ヒマラヤの氷を水源とするため流量が年間を通して安定し、栄養分が豊富で古代から農業が盛んだった。流域には4億人以上が暮らし、世界の20人に1人以上がこの川の恩恵を受けている。ヒンドゥー教ではガンジス川は女神ガンガーそのものとされ、すべての汚れを洗い流すと信じられている。人々は水を手ですくい、頭からかぶって沐浴する。一方でガンジス川は、世界で最も汚染された川の一つとも言われる。

どこに落ちるかで結果は大きく変わる。水源近くのガンゴートリーでは汚染とは無縁の氷河の水が激しく流れ、流されれば溺死や低体温症の危険がある。動画が取り上げるのは聖地バラナシだ。ここで火葬され灰を川に流すと輪廻転生から解放されるとされ、多くの人が最期の日々を過ごしに訪れる。川岸では遺体が薪とともに火葬されており、一説には数百年にわたって火が消えたことがないという。しかし人数が多く火葬費用も足りないため、少し焼けた段階で川に流されることもあり、毎日大量の遺体が川に加わっている。

問題は微生物だ。下水道も十分に整備されておらず、大腸菌群の数は飲料水で100mlあたり50個以下、沐浴で500個以下が基準なのに対し、2019年の調査では2万2000〜3万4000個だった。これは人の糞便がどれだけ川に入っているかの指標になる。世界で野外排泄をする人の約60%がインドに住むという。特に警戒すべきはコレラで、菌が腸内で毒素を出し、大量の水と電解質が腸に溢れ出して激しい下痢を起こす。感染から2時間で症状が出て数日で死に至ることもあり、失う水分は多いと1日20L、便は米のとぎ汁のようだという。重い脱水で目が落ちくぼみ、筋肉のけいれんや多臓器不全に進む。腸チフスやA型肝炎の危険もある。細菌が多いぶん細菌に感染するウイルスも繁殖し、人の発病率を抑えているという説もあるそうだ。

ただし動画は、全員が病気になるわけではないとも述べる。コレラで重症化するのは10人に1人程度で、毎日沐浴する地元の人はある程度の免疫を持っている可能性がある。一方、旅行した日本人が1週間ほど入院するという話もよく聞くという。大腸菌やカンピロバクターなどによる旅行者下痢と考えられる。コンドームを着ければよいという噂については、病原菌の多くは消化器に作用するため有効ではないと否定している。上流のカンプールでは、皮革製品のなめしに使うクロムなどが垂れ流しになり、悪臭を放つ場所もある。汚染の原因は、人口増加に下水処理が追いつかないインフラと資源の不足、住民の意識の問題だと動画は整理する。2020年にはある感染症の影響で水質が劇的に改善したという報告もあり、物理的には対策可能だが、意識もインフラもすぐには変わらず、長い取り組みになるとしている。

グレートブルーホール:深さごとに変わる世界

中米ベリーズは四国の1.2倍ほどの小国で、北半球最大のサンゴ礁がある。その中に直径約300m、最大水深約120mの円形の深い穴、グレートブルーホールがある。水深300mの南シナ海の「龍の穴」のほうが深く、ダイビング事故が多いエジプト・ダハブのブルーホールも知られているが、直径ではグレートブルーホールが世界一で、上空から見ると真円に近い。海面が低かった氷河期の鍾乳洞の天井が崩れ、氷河期の終わりに海面が上がって海水が流れ込んでできたと考えられている。世界有数のダイビングスポットだが、通常のスキューバダイビングで行けるのはせいぜい数十mだ。

穴の中心から潜ると、運が良ければ大型のサメに会える程度で、底まで特に珍しいものはない。縁から潜ると、なだらかな斜面にサンゴ礁があり、色鮮やかな小魚、イソギンチャク、掃除をするエビ、ウミガメ、浅瀬のサメなどが見られる。しかし水深15mほどで斜面は崖に変わり、生物は一気に減る。水深20〜30mで水温が30℃前後から約26℃へ急に下がり、そこを境に透明度が大きく上がる。穴の中の水の流れが少ないためだという。

南側の壁の水深30〜45mには洞窟の入り口があり、鍾乳石と石筍がサメの口のような形をつくる。最大の鍾乳石は長さ12m、直径60cmになる。鍾乳石と石筍は水中ではできないため、かつてここが陸上にあった証拠になる。真下に伸びるはずの鍾乳石が5〜12度ほど傾いており、最初の鍾乳石ができ始めた20万年前より後に地殻変動で大地が傾いたためと考えられている。水深50mでは西側の壁に水平に約50m伸びる洞窟があり、中にはウミガメの骨があるという。

水深90m付近で様子は一変する。水温は22℃程度に下がり、茶色い霧のような硫化水素の層が穴全体を覆っている。その下は光がほとんど届かず、酸素もない。水深120mの海底には巻き貝の殻が散らばる「巻き貝の墓場」があり、落ちてきた巻き貝やヤドカリが窒息して死骸が残っている。落ちてきた有機物の分解で酸素が使い尽くされ、酸素なしで有機物を分解する細菌が出した硫化水素が90m付近にたまっていると考えられている。2018年の探索では、ペットボトルやカメラとともに、行方不明になっていた2人の遺体が見つかった。これらもやがて上から降る泥に覆われ、グレートブルーホール自体もいずれ泥で埋まって浅瀬になると考えられている。

人類が海底に到達したのは、2018年の探索を含めてわずか2回だという。動画は最後に、科学的な根拠のない噂としながら、ベリーズ本土までつながるトンネルがあるかもしれないと話す。そのうえで、海底を探索するか、少しずつ泥に埋もれていくかを視聴者に問いかけて終わる。