薄毛専門美容室「リライブ」は直営で覚悟を示せるか:高い技術を認められながら全員「フェイク」と判定された理由

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概要

経済番組「リアルバリュー」に、薄毛男性専門の美容室「リライブ」を運営する美容師の栗田拓也が登壇した。栗田の主張は、薄毛の男性が「かっこよくなること」を諦めている現状を、発毛治療でも増毛でもなく、カットとスタイリングで変えられるというものだ。スタジオではモデルのビフォーアフターが披露され、マフィア(審査員)は技術を口々に称賛した。一方で、フランチャイズ(FC)中心の拡大戦略、集客コストの見積もり、経営者としての覚悟には厳しい追及が続いた。最終審判では、堀江貴文、溝口勇児、清川の3人のチェアマン全員が「フェイク」と判定した。栗田はこの番組のコミュニティ「リアルバリュークラブ」の会員でもある。

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自身の薄毛体験から生まれた「髪のプロなのに髪の悩みに答えられない」という問題意識

栗田は美容師歴19年。小学3年生の頃、母親に髪を伸ばしてみたらと言われたのをきっかけに理髪店から美容室へ通うようになり、美容師を志した。20歳で美容師になったが、26歳のとき自分の髪が薄くなってきたことに悩み始めた。父親が幼い頃から薄毛だったため、「とうとう自分も」と思い、コンプレックスを抱くようになったという。

栗田はこの頃からAGA治療薬を飲み始めた。当時はAGAという言葉がまだ広まっておらず、美容師の中にも薄毛の知識を持つ人はいなかったと振り返る。「髪のプロなのに髪の悩みに答えられない」のはおかしいと感じたことが、後の起業につながった。自分が薄毛になってからは、客が同じ悩みを気にしていることにも気づけるようになったという。学校や職場では薄毛向けのカット方法も知識も教わらなかったため、現場で独自のカットを考案し、AGAの医師が書いた論文や薬の知識を独学で身につけた。そして35歳のとき、薄毛男性のための美容室リライブを創業した。

店づくりについて、栗田は一般的な美容室が女性や若者向けの「キラキラした」空間になっていて、悩みを持つ男性には入りづらいと説明する。そのためリライブは繁華街から外れた、外観では美容室と分からないような場所に店を構え、全室を個室にしている。客一人ひとりと向き合える環境を意識しているという。

ファーストピッチで栗田が挙げた課題は3つだった。理容室では薄毛の悩みを言い出せないこと。選択肢が治療か増毛・ウィッグしかないこと。そして薄毛の人が、効くかどうか分からないものにお金を使い続けていること。薄毛の人は「ずっと搾取されている」とも述べた。番組出演の動機については、薄毛の男性の多くは1000円カットや近所の床屋で「とりあえず切る」だけになっているとし、自分たちが切れば薄毛でもかっこよくなれると証明して全国に広げたいと語った。自己評価の企業価値(セルフバリエーション)は10億円である。

第一印象は賛否が割れる

ピッチ直後のマフィアの評価は分かれた。小塚は、冒頭で「リアルバリュー会員」と名乗ったことを「保険をかけた」と受け取り、気に食わなかったと話した。1年間学んだ成果をここで出してほしい、というのがその趣旨である。中山はカット技術の確かさは認めたうえで、スケールする事業にはしにくいと考えてフェイクとした。青木は、AGA治療やウィッグなしで本当に変えられるのか疑問が残るとし、ピッチがたどたどしかった点も含めて現時点ではフェイクとした。

リアル側では、ハッピーが実際に毎月栗田に自宅まで来てもらって髪を切っていると明かした。「つるっぱげ」だった自分の髪がさまになり、溝口にも褒められたという。毎月話すなかで人柄の良さも感じており、伸びる経営者だと評価した。三島は、冒頭で感謝から入った低姿勢をむしろ好意的に受け止めた。別のマフィアは、薄毛という課題への信念と、この手法を市場に投じたこと自体に価値があると述べた。レオは、世の中の全員が医療的な対策をしたいわけではなく、ナチュラルに対処したい人も多いと指摘し、薄毛専門の美容室というコンセプトを高く評価した。

事業の中身:生やす・隠すではなく「デザインする」

3分間のセカンドピッチで、栗田は事業の全体像を示した。薄毛に悩む男性は1000万人以上いるのに、気軽に相談できる場所がない。リライブは「生やす・隠す」ではなく、薄毛専門のカットとスタイリング剤で「かっこよく髪型をデザインする」ことを掲げる。施術を担当するのは、薄毛専門の知識と技術を磨いた美容師だ。

市場規模について、栗田は薄毛対策市場を5137億円、そのうち男性の薄毛対策市場を1822億円とし、その0.2%を取りにいくと説明した。店舗は全国33店舗で、内訳は直営5店舗、FC28店舗。年間延べ1万7000人が来店しており、クリニックにもウィッグにも行っていない層を取り込んでいるという。創業から3年で30店舗まで増えたのはFCによるもので、直営だと1店舗ごとに借り入れをして時間もかかるが、FCなら出店スピードが倍増すると栗田は話した。

リライブのFCは一般的なFCとは形が異なる。既存の美容室にノウハウと知識を伝え、その店の美容師に対応してもらう。加盟店は新たに店舗を作る必要も、美容師を採用する必要もない。収益源は直営店の売上、FCからのロイヤリティ、商品の卸の3つで、FC店舗が増えるほど利益が残る構造だと説明した。

競合として栗田が挙げたのは、AGAクリニックとウィッグ・増毛だ。AGA治療で髪はかなり生えるようになってきたが、生えたからといってかっこよくなるわけではないので、髪型をデザインする美容師は必ず必要になるという。ウィッグや増毛はその日のうちに見た目を変えられるが、利用者はどこかで周囲にカミングアウトしなければならない。そこに問題があると栗田は見ている。リライブなら当日のカットでかっこよくなれるうえ、翌日から自分でスタイルを再現できるようアドバイスもする。実際に薄毛専門のスタイリング剤も売れているという。

マイルストーンは2028年に93店舗、2029年に売上3億8900万円、営業利益9700万円。「薄毛サービス全体の入り口になる」ことを目指すとした。

AGA治療が効くなら、なぜ使わないのか

質疑では、まず市場の中身が問われた。1000万人のうち「もう手がつけられない」人はどれくらいかという質問に、栗田は400万人ほどだと答えた。

堀江は、自分の周りの薄毛の人がAGA治療でどんどん治っていると指摘した。20年前は怪しげな商品も多かったが、今の薬は本当に効く。それなのに、なぜみんな使わないのか。栗田によれば、リライブの客の半分は治療中で、半分は治療していない。治療しない人は副作用や、全身の毛が濃くなることへの抵抗感があり、年齢層の高い人ほど薬を使わない傾向があるという。番組のナレーションも、AGA治療は一度始めると飲み続ける必要があり、費用がかかるうえ効果に個人差があると補足した。

栗田はさらに、生えて改善することには限界があると説明した。頭頂部の薄毛は比較的改善しやすい。そこはもともと髪があって頭皮が透けている状態なので、髪が太く黒くなれば地肌が見えなくなる。一方、生え際のM字部分などはそもそも髪がないため、生えてきたとしても髪型のデザインが必要になることが多いという。

この流れで、マフィアの中に対策した方がいい人はいるかと聞かれ、栗田は51歳のレオを挙げてスタジオの笑いを誘った。小塚の地肌が見えている点について栗田は、薄毛というよりスタイリング剤の問題だと分析した。ジェルなどを使うと10本の髪が束になって1本になり、量が減ったように見えて地肌が透ける。さらに小塚の場合は髪が白いので余計に透けるが、「はげてはいない」という。髪色が地肌になじむと透けにくくなる例として、金髪にしている別の出演者を挙げた。

清川の追及:一対一面談の頃から課題が解決していない

清川は慶應義塾大学からスタンフォード大学に進み、国内外に33店舗のメガネ店を展開している。リアルバリュークラブで栗田と面談したこともあり、その当時から課題が全く解決していないと切り出した。薄毛だけでは厳しいので直営を増やすか、事業の幅を広げるべきだと伝えていたのに、FCを広げようとしている、という指摘である。

溝口が技術の難しさを尋ねると、栗田は基本的なカット技術があれば、自分たちのノウハウを伝えればできると答えた。ロイヤリティの取り方については、たとえば7000円のカットならその売上から取るという。溝口は「そんなビジネスモデルは聞いたことがない」と反発した。これに対し栗田は、自社で集客して加盟店に送客した分について取っていると説明した。

では、ふらっと来店した客が薄毛向けのメニューを選んだ場合はどうなるのか。栗田は、そういうケースはないと答えた。美容室はラーメン屋ではないので、今はネットで検索して予約する場所であり、薄毛に悩む男性がふらっと入ることはまずない。リライブの客はネットやSNSで悩みを検索し、ここなら打ち明けられると感じて自社サイトから予約してくるという。集客手段は主にホームページのSEOとYouTubeだ。加盟店は自店の看板のままで、リライブのブランドを店内に組み込む「ショップインショップ」の形をとる。マフィアからは「ゴーストレストランのようなもの」という表現も出て、栗田はこれを認めた。

加盟金は既存店導入型で40万円で、栗田は指導料に近いものだとした。それなのになぜ営業赤字なのかと問われると、昨年は直営店を2店舗出したこと、店舗数が大きく増えてそれに対する投資が必要だったことを理由に挙げた。すると別の大きな要因として、リアルバリュークラブへの入会費1000万円が指摘され、スタジオは笑いに包まれた。赤字額は1300万円ほどで、その大半を入会費が占めているという話になった。清川は面談の際、「君は1000万円払ってクラブに入るべきではなかった」と伝えていたという。規模がここまで小さいとは思わなかった、という声も上がった。栗田は共同代表と2人で自己資金を出しながら店舗展開してきたが、自分たちの経営能力だけでは足りないと考え、学ぶために入会したと説明した。その財布の状況で変化を求めて1000万円を払ったことを「すごい」と評価する声も出た。

溝口の追及:1人あたり1000円程度での送客は成り立つのか

溝口が最も問題視したのは、集客コストの計算だった。カット料金を7000円とすると、ロイヤリティで回収できる範囲では1人の客を1000円ちょっとで獲得して店に送り込まなければならない。これは「不可能に近い」獲得単価であり、オーガニック流入でなければ全く収益にならないビジネスモデルだ、というのが溝口の見立てである。FCが100店舗あれば加盟金の総額は4000万円になるが、その分の送客を実現できなければ、ほとんどの加盟店は40万円すら回収できないのではないかと問いかけた。

栗田の答えは、新規客が月に4人来ればリピート率が高いので、半年から1年で40万円は回収できる計算だというものだった。ナレーションの補足によれば、一般的な美容室の新規客のリピート率は約30%とされるが、リライブは50%を超え、2か月目は75%、3か月目以降は97%に達するという。毎月4人の新規客を獲得し、客単価を7500円と仮定すると、7か月で加盟金を払える計算になる。

それでは送客をどう実現するのか。栗田は、店舗数が増えるほど広告費比率が下がると考えている。検索サイトの広告に頼らず、SEOやYouTubeで自社サイトから予約してもらう仕組みだからだ。溝口は、店舗が増えればそれだけ送客数も増やさなければならないと反論した。栗田は、サイトへのアクセスが市区町村単位で全国から来ているので、どんな地方でも集客できるモデルだと主張した。

溝口がサイトの規模を尋ねると、栗田は月間4万人弱で、ページビューではなくユニークユーザー数だと答えた。溝口は、コンバージョン率(サイト訪問者のうち実際に来店に至る割合)を10%としても4000人にしかならず、圧倒的に足りないと指摘した。ナレーションによれば、現状は1店舗あたり121人を集客できる計算だが、店舗が増えるほど1店舗あたりの客は減っていく、というのが溝口の指摘の要点である。栗田は1000店舗になっても1店舗4人を呼べれば成り立つと応じた。

この半年でFCは何店舗増えたのかと問われると、栗田は、清川との面談を受けて直営のモデルがまだ甘いと気づき、直営を磨くことに注力したと説明を始めた。結論を求められて答えた数字は、今期2店舗だった。清川は改めて、直営をしっかり伸ばすべきだと述べた。そのうえで、もし集客力が伸びているなら、それはFCに送客するのではなく、AGAクリニックなどへの送客に回した方が、タッチポイントを作れている分マネタイズしやすいはずだと指摘した。今は「どっちつかず」だという。栗田は、ゆくゆくはそうしたことも考えたいとしつつ、薄毛に悩む男性との接触回数を増やすために店舗展開をしていると答えた。

モデルの披露:カットとスタイリングだけで変わる

栗田は「ファミリーカード」を使い、パウダーなどを一切使わずカットとスタイリングだけで仕上げたモデルたちをスタジオに呼んだ。事前に写真を見たマフィアからは「真ん中の人はさすがに無理では」という声も出ていた。

1人目は、リアルバリュー会員の柳だ。頭頂部から後ろにかけて薄くなっていたが、栗田のカットとスタイリングでボリュームが出てふわっとした状態になっていた。首を倒して頭頂部を見せても、スタジオからは「すごい」という声が上がった。生え際が気になっていた別のモデルも、生え際をカバーしながら全体にボリューム感を出す仕上がりで、「めっちゃいい感じ」と評価された。「どうやっているのか分からない」「ロジックが分からない」という反応も出た。

手法を問われた栗田は「企業秘密」と答えた。ところが、この技術を習得するのにどれくらいかかるかという質問には、ベテランの美容師なら1日か2日で伝えられると答えた。溝口はすぐに、1〜2日で学べるものを企業秘密と言って格好をつける理由は全くないと切り返した。

栗田が独自性の核として強調したのはスタイリング剤である。一般的なジェル、ワックス、ムースは髪を束にして重くするので、薄毛の髪をスタイリングできない。リライブでは薄毛専門のスタイリング剤を開発して使っており、これは同社でしか手に入らないという。ナレーションによれば、年間1万5000人の薄毛の客と向き合うなかで1年かけて開発したもので、濡れた髪に吹きつけて乾かすだけで自然なボリュームが出るという。

もう1つの論点は再現性だった。カットした当日はかっこよくても、翌日以降に本人が再現できるのか。栗田によれば、一般的な美容室のカットは1時間だが、リライブは1時間半を取り、そのうち30分をカウンセリングとセットのレクチャーに充てている。最後は本人にセットさせるという。セットにかかる時間は10分ほどで、本人でも8割、80点程度までは再現できるとした。ただし10年以上美容師をやっている自分たちの水準には届かない。届かないからこそ、また教えてほしいと来店するので、それがリピートにつながると栗田は説明した。

39歳男性の公開施術

さらに栗田は、まだカットしていない状態のモデルを呼び、その場で施術すると申し出た。登場したのは39歳の男性だ。婚活を始めたことがきっかけで「この見た目で婚活はまずい」と気づいたが、自分の髪をどうすればいいか全く分からなかった。そこでネットで薄毛を相談できる場所を探し、薄毛専門美容室を見つけたという。

施術を終えて男性が再びスタジオに入ると、マフィアからは「全然違う」「別人」「これはすごい」と驚きの声が上がり、近くで見ようと席を立つ者もいた。頭を下げて頭頂部を見せても評価は変わらなかった。今の気持ちを聞かれた男性は、「本当の自分になれた」ような気持ちだと答えた。これに「本当の自分ははげているだろう」と茶々が入り、スタジオは笑いに包まれた。

堀江の提案:直営で仕組み化し、写真と物販を強化せよ

ここからは、マフィアが事業価値を高めるための提案(バリューアッププラン)を出した。チェアマンの堀江は、直営モデルの方がいいと述べた。そのうえで、美容室業界がボランタリーチェーンという言葉を使いたがることに触れ、今の構想も構造的には同じではないかと指摘した。

栗田が採用の難しさを挙げると、堀江は、採用の問題はマッサージでも理美容でも同じで、解決策は労働分配率を上げることとシステム化だと答えた。具体例として挙げたのが、店にフォトブースを設け、一眼レフですぐ撮影できるようにすることだ。堀江は自分自身を例に、普通の人が普通に撮られると「普通のおっさん」になるが、プロのカメラマンにかっこよく撮ってもらうと全く違うと話した。スタイリングしてから写真を撮れば見違えるので、婚活にもつながるという。

また、知り合いの美容師の話として、物販比率を上げることも勧めた。スタイリング剤という商品があるのだから、いくつも作って売ればいい。ライブ配信で売れそうだという声も上がった。物販比率と労働分配率を上げ、仕組み化を進めて、きちんと経営しながら直営店を増やす。そこまでしないとしても、コンビニやセンチュリー21のように「リライブ」の看板を掲げた店舗で営業してもらう形にすべきだと堀江は述べた。

単価、段階的な出店、定期モデル、社名の変更

M&Aの専門家は、ここまでインパクトのある結果を見せられれば価値があることははっきりしていると評価した。そのうえで、価値を広げるにはまず直営だとし、7000円台の施術単価を1万4000円に上げるよう提案した。客単価を上げれば従業員に多く払えるし、プロモーションにもお金をかけられる。薄毛対策に高い単価を払ってもいいという顧客を獲得できる水準の単価で、事業を回すべきだという。

青木は1万4000円案に賛成しつつ、セットだけのメニューもありうると述べた。ホステスが出勤前に2000円程度でセットしてもらうように、「今日デートが決まったのでなんとかしたい」という需要を拾い、次は翌月のカットにつなげる。続く発言では、いきなり店を出すのが怖いなら、独立前の美容師が他店に間借りするような形で始め、ある程度客が集まってから出店すればリスクを下げられるという提案も出た。「年収1000万円を稼げる美容師」を募集すれば人も集まるだろうとし、いきなり崖を登るのではなく階段を作る工夫が必要だという。

ネットショップ関連のサービスを手がける加藤は、ふだん美容室には勧めないとしながら、日付指定型の定期モデルを提案した。薄毛の人は間隔が空くと横の髪などが伸びて目立つため、2〜3週間ごとに来店日をあらかじめ決めておく形が最も相性がいいという。さらに、「リライブ」という社名は良くないと指摘し、「薄毛美容室」のような名前に変えるべきだとした。そうすればSEOでもAI検索でも拾われやすくなる。横文字にこだわるなら「ノーモアハゲ」のような名前もあると冗談めかしつつ、店の看板にもそう書けば独占的な位置を取れると述べた。

YouTubeの見せ方:タイトル、感情、ドキュメンタリー

動画の専門家は、栗田の会社が運営するYouTubeチャンネルに具体的な助言をした。「ハゲてもできるおしゃれヘアスタイル研究室」というチャンネル名はやめた方がいい。自己肯定感の低い人に「ハゲても」と呼びかけると嫌悪感を持たれるので、せめて「薄毛」にするなどマイルドにすべきだという。内容についても、ビフォーアフターは絵だけで伝わるのに、現状は爽やかな髪型にする技術を単発で押し出すものになっている。もっとコンプレックスやモニターの人生の深い部分に訴えた方が共感を生むとした。すぐにできる施策で、再生数がすぐ伸びるかは分からないが、コンバージョン率はかなり上げられる自信があるという。

福祉・医療・介護の分野で有資格者の採用に取り組んでいる別の出演者は、独自の採用チャネルを持つべきだと述べた。美容室で活躍する人の密着動画はYouTubeにあまりないので、薄毛の人の人生に伴走する様子をドキュメンタリーにすれば、差別化とブランドにつながるという。整体の事例を引き、YouTube1本で直営を全国に広げ、予約が取れないほどになった例もあるとして、1本の作品に時間とお金をかけるだけで大きく変わりそうだと話した。施術結果のショート動画が回るだけで集客も採用もできそうだという声も出た。

先ほどの39歳のモデルについては、現状は「地蔵」のようだが、もっと感動して喜ぶ姿を見せれば絵になるという話になった。婚活がうまくいったところまで追ったドキュメンタリーなら面白い、という意見も出た。

溝口と清川:問われているのは経営者の覚悟

溝口は、結局チェアマン全員が直営を頑張るべきだと言っていると整理した。栗田は「めっちゃいいやつ」だが、従業員を守る、育てる、養うといった経営者ならではの覚悟や厚み、深みを、正直に言えば感じたことがないという。今回のFC構想は、加盟店にリスクを押し付けて広げるものであり、それは事業ではなく無責任だと溝口は考えている。1000円程度で薄毛の人を実店舗に送客することの難しさは、少しマーケティングをかじった人なら分かるはずだ。それなのに、大した検証もせずにできると思っている、と指摘した。技術はみんなが認めている。だからこそ、まず自分の店で証明し、47都道府県どこでも集客できると言うなら、自分でリスクを取って証明すべきだ。そうすれば、今は難易度が非常に高いFCにも実現可能性が出てくる、というのが溝口の考えである。

清川は、以前の面談でも同じやりとりをし、今日出たフィードバックもそのとき伝えたと振り返った。それなのに何も変わっていないとし、「軽い」「覚悟がない」と断じた。採用ができないという話も出ていたが、できないことをできるようにしなければ他社には勝てない。他ができないことを栗田ができるから稼げるのであって、今は逃げているだけだという。採用の難しさも、社員と向き合う痛みも背負ってほしいと述べた。

評価額1億円、ポテンシャル10億円

番組が算出した現時点の企業価値(リアルバリュー)は1億円で、栗田の自己評価10億円を大きく下回った。栗田は、まだ自分の力が足りないと皆の意見を聞いて反省していると語った。一方、昨年赤字なのに1億円はすごいので喜んでいいという声や、先ほどのモデルの人生の変化を考えれば10億円がついてもいいという声もあった。

マフィアの提案を実装した場合の潜在価値(ポテンシャルバリエーション)は10億円と算出された。これに対し、本当はもっと行くという意見も出た。アートネイチャーはもっと高い金額を取っている。美容師出身だから美容師の客単価でしかビジネスを考えられていないのだろうから、一度考え直した方がいい、という指摘である。

最終判定は3人ともフェイク

最終審判では、堀江、溝口、清川の3人がそろってフェイクを出し、リアルバリュープライムは認められなかった。スタジオでは、最初は基本的に全部フェイクをつける清川がチェアマンにいたのが「外れくじ」だったと冗談も出た。一方で、考え方を変えないと本当に心配だ、これを機に変わってほしいという声も上がった。

栗田は、自分の力のなさを感じる場面が多かったとしながら、モデルがあれだけ変わって笑顔になった点には共感してもらえたと語った。自分たちが頑張れば世の中の薄毛の男性を救えると改めて感じたので、アドバイスどおりに会社と自分を成長させたいという。

溝口は最後に、本質的な価値は技術ではないと語った。ベテランなら1日で学べると栗田自身が言った以上、技術はほかの美容師でも代わりが利く。代わりが利かないのは、栗田がリスクを取って人を採用し、育て、守り、店舗を経営として成立させていくという覚悟だけだ。それが持てないならこの事業に価値はないと溝口は言い切った。覚悟を持てれば伸びるし、持てなければ一生小さな事業で終わる。FCでリスクを他人に肩代わりさせるモデルではない、というのが溝口の結論である。

収録後、栗田は、技術やサービスに良い印象を持ってもらえたことは収穫だったと振り返った。経営面でも会社としてもまだ未熟なので、アドバイスどおりに伸ばしていきたいという。ただしFCにも良さがあり、FCによってほかの美容師を救えたこともあるので、それは残したいと語った。そのうえで、直営の力をつけた方が、より多くの美容室や美容師に力を与えられると考えるようになった。FCを続けながら直営を強化するという方向性を示した一方で、チェアマンが求めた「自らリスクを取る覚悟」を今後どう形にするかは、この場では示されないまま終わった。