YOUTRUST岩崎由夏さんが語る「怠惰な自分」を逃げられなくする習慣化と英語学習

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概要

新R25編集部の十石泰誠さんが、仕事専用SNS「YOUTRUST」を運営する株式会社YOUTRUST代表取締役CEOの岩崎由夏さんに、インプットとアウトプットの「習慣」について話を聞いた。動画は英語コーチング「90 English」の提供で、後半には岩崎さんを担当するナッチコーチも加わり、同サービスでの学習内容が紹介される。

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岩崎さんの立場ははっきりしている。自分は放っておけばさぼる人間なので、意志の力には頼らない。脳の報酬の仕組みを利用し、他人の目や契約によって逃げ道をふさぐ。英語学習もこの考え方で約1年続けてきた。

十石さんの紹介によると、岩崎さんは2012年にDeNAに入社して採用担当としてキャリアを積み、その後、20〜30代を中心としたビジネスパーソンが使う仕事専用SNSを運営するYOUTRUSTを設立した。Forbes JAPANが発表する日本の起業家ランキングにも2年連続で選ばれているという。

集中のスイッチは「AirPodsを耳に入れること」

通勤時間やすき間時間に勉強しようと思っても行動に移せない人は多い。十石さんがどう時間をつくっているのか尋ねると、岩崎さんは「集中スイッチ」が明確にあると答えた。音楽を聴いたら集中する、と自分で決めている。すり込まれているというより、そう決めているのに近いという。

岩崎さんは、習慣化とは「スイッチ」と「その後の報酬」のセットだと考えている。AirPodsを耳に入れると「本日の集中の時間が始まりました」という状態になり、読書や英語のポッドキャストに取りかかる。終わった後の報酬は「今日もやった」という自己肯定感だ。職場でも、集中して作業しなければならないときは周囲に申し訳ないと思いながら音楽を聴き始め、ゾーンに入る。イヤホンをしている間は集中している時間だということが、周りにもなんとなく伝わっているようだと話した。

終わったタスクは消さず、グレーアウトして積み上げる

十石さんは、岩崎さんが数年前のインタビューで「自分は怠惰なタイプだから、さぼれない環境を選ぶ」と話していたことに触れ、環境づくりの具体的な工夫を尋ねた。

岩崎さんの答えは、脳内伝達物質をいかに出すか、つまり自分の脳の報酬体系をいかにハックするかという話だった。作業が終わったときにドーパミンを出し、「楽しかった、明日もやろう」と思えるようにする。

いちばん好きな方法として挙げたのは、毎日のタスクリストだ。終わったタスクを視界から消してはいけない、と岩崎さんは強調する。完了したものはグレーアウトして残し、やったことが積み重なっていくのを眺めて「今日もこれだけやった」と嬉しくなる状態をつくる。目に見える達成感が自己肯定感を育て、継続につながるという整理に、十石さんもうなずいていた。

インプットは本で、情報の「質」を担保する

インプットのマイルールを聞かれると、岩崎さんは「本を読む」ことを決めていると答えた。自分もSNSで発信する立場だが、X(旧Twitter)の短文ではインプットした気にならない。本は、書き手が後に残ると思って凝縮してまとめたものなので、そちらを重視しているという。

情報はどこからでもいくらでも手に入るが、それを貪り食う時間はない。だから時間あたりの「情報濃度」を気にしている。長文を読むのは大嫌いだが、質が良いと考えて無理して読んでいるそうだ。

読書量は、多かった時期でも月に2〜3冊ほどで、読むのは遅いほうだという。最近はその時間を英語学習に回している。ジャンルはビジネス書とその周辺の哲学、数学などのサイエンス系が中心で、小説は一切読まない。自分でも「あまり良くない」と思いつつ、「タイパ」を気にしているのだろうと話した。

習慣化は「自分というアバター」をハックすること

AI時代に習慣化がなぜ重要かを問われ、岩崎さんは「ちょっと壮大な話かもしれない」と前置きして人生観を語った。人生は、自分というアバターをいかにコントロールするかだと考えている。誰でもいい人生を歩みたいが、人間はもともと怠惰で、放っておけば思い描くような特別な人生にはならない。

「スペシャルルート」に進みたいなら自分をハックする必要があり、その手段が習慣化だと岩崎さんは言う。行動を体にすり込んでしまえば「何者か」になれる。昨日と違う自分にしていくことが大好きで、それを繰り返せば自分の満足する生き方ができるのではないか、と話した。

英語を始めたのは会社の成長に上限をつくらないため

英語学習を始めたのは1年弱前だ。理由はかなり実務的なものだった。会社を大きくしたいのに、自分が英語をできないと、海外進出や海外投資家へのピッチが選択肢から外れてしまう。それで会社の規模に上限がかかるのは大変不本意だ。そこで、唯一苦手意識のあった英語を「いい大人になってから」始めたという。本格的な英語学習は受験以来だった。

流暢に話せなくても、苦手意識や心理的なハードルがあること自体が会社の成長の足かせになっている、という感覚があった。実際、ネットワーキングパーティーなどで海外投資家に出会ってしまい、震え上がる自分を自覚していた。そういう自分を変えたいことも動機の一つになったという。

一人では続かない。人の目とプライドで続けている

1年近く続けられている理由について、岩崎さんは「一人では絶対できない」と言い切った。これまでも何度か挑戦したが、一人では続かなかった。ジムと同じで、トレーナーが追い込んでくれるからなんとかやれている。人の目があると、宿題をやっていないのはダサいと思う。「こいつ全然勉強してないんだな」と思われたくない。そういう「しょうもないプライド」をドライブにしているだけかもしれない、と笑った。

成果として岩崎さんが挙げたのは、「話すのが怖くなくなった」ことだ。以前は、受験英語で習ったこの表現で合っているのか、間違えたら恥ずかしい、と考えていた。今はとにかく伝えようと話せるようになった。最近は大久保駅で、どの電車に乗ればいいか困っている様子の海外旅行客に自分から声をかけ、「ナンバーワンのに乗ればいい」と教えたという。恐怖心がなくなり、むしろ自分から英語を話したいくらいになった。

AI時代でも自分の言葉で話す意味

AIや翻訳アプリがあれば英語は何とかなる、という声もある。それでもあえて自分で学ぶ意義を問われ、岩崎さんは「やった方がいい」と答えた。

その理由として、コミュニケーションには「内容を伝える」ことと「愛情を伝える」ことの二つの意味があると説明する。知らない言語でまくしたてられ、「通訳できるからいいでしょう」と言われる場合と比べてほしい。拙いながらも「こんにちは。私はこういうことをしていて、あなたに興味がある。あなたはどうですか」と話しかけられたほうが、大事にされていると感じるのではないか。言葉は相手に歩み寄るためのツールだ、というのが岩崎さんの考えである。

ネイティブレベルで話せる必要はないと思っていて、その部分は「AIによろしく」と考えている。ただ、最初の挨拶や自分の熱意、「あなたと一緒にやりたい」という気持ちは、自分の言葉で伝えることに意味がある。人間の喜怒哀楽は人間同士のコミュニケーションでしか動かない、と岩崎さんは考えている。だから、あなたに興味がある、一緒に仕事がしたいと伝えるために、最低限は自分で話せるようになりたいのだという。

番組内で紹介された90 Englishの仕組み

後半はナッチコーチが加わり、十石さんが90 Englishを紹介した。番組での説明によると、90 Englishは忙しいビジネスパーソン向けの伴走型オンライン英語コーチングで、短期集中ではなく長期の伴走をコンセプトにしている。特徴は三つ挙げられた。一つ目は、週3回30分の固定スケジュールでの個別レッスンと、平日毎日の課題添削。二つ目は、高校生以降に英語を身につけた日本人バイリンガルコーチによる日本語での指導。三つ目は、単語や文法の暗記ではなく、第二言語習得論に基づいて発音から学び、「聞く・話す」に特化するメソッドである。

岩崎さんはレッスンを朝に固定し、朝一番のレッスンから一日が始まるスケジュールにしている。カレンダーをブロックしているので、「あ、火曜だ」「今日はテストの日だ」とルーティンになっているという。

コーチがネイティブでないから言い訳できない

ナッチコーチ自身も日本生まれ日本育ちで、大学までずっと日本にいたという。90 Englishでは、帰国子女やインターナショナルスクール出身など、もともと英語ができた人は基本的に採用せず、全くできなかった状態から後で努力した人をコーチにしていると説明した。

岩崎さんは、この点がいちばん良いと話す。以前ネイティブ講師のレッスンを受けたときは、「どうせネイティブだから」「どうせ帰国子女でしょ」とどこかで思いながら受けていた。同じ境遇から頑張った人が目の前にいると、言い訳ができない。

さらに、日本人には発音をネイティブっぽくするのが恥ずかしいというシャイな面がある。ところが、目の前の日本人がとてもネイティブっぽく話していると、逆にジャパニーズイングリッシュを出すほうが恥ずかしくなる。これまで英会話にはそれなりにお金を払ってきたが、今回がいちばん自分に甘えを許さず、良かったという。

実際の英語と「日本語変換トレーニング」

番組では、レッスン中の岩崎さんの英語も流された。採用でいちばん大事なことは何かという質問に英語で答えたもので、岩崎さんの説明では、とにかく性格の良い人を採用し、チームを壊すようなパーソナリティの人は絶対に採用しない、という内容を話していたという。

ナッチコーチによると、序盤から単語学習にかなり力を入れていて、その成果がちょうど今、習った単語が会話に出てくるという形で現れ始めている。それを本人にも実感してほしくて、実践的なスピーキングを取り入れたそうだ。

特徴的なレッスンとして挙げられたのが「日本語変換トレーニング」だ。ナッチコーチは「ほぼ90 Englishにしかないのでは」と話していた。「めんどくさい」「悔しい」「もったいない」のような言葉を、5パターンほどの簡単な日本語に言い換える練習をひたすら繰り返す。岩崎さんはこれを「3歳英語」と呼び、子どもならどう言うかを意識して言葉を組み立てているという。たとえば「めんどくさい」は「やりたくない」と言い換えれば「I don't want to do that」と言える。この変換をできるだけ速くやる練習だ。十石さんは、日本語でも難しい表現のニュアンスは、日本人のコーチだからこそ伝えやすいのだろうと感想を述べた。

目標設定と3か月ごとの振り返り

目標管理について、ナッチコーチは次のように説明した。最初に、2〜3年後に英語が話せるようになったとき、どんな場面でどんな英語を話していたいかを聞く。そこから半年の目標を設定し、3か月ごとに受けるテストの点数を振り返って、次の3か月で潰す課題を決める。たとえばスピーキングの速さが課題なら、今は10単語程度なので15〜17単語を目指そう、といった話をするという。

スコアについてナッチコーチは、テストなので浮き沈みはあるが、最も高いときで初回から13点ほど上がったと話した。このテストでは1点上げるのが留学1か月分に相当すると言われているので、日本にいながら頑張った証拠だろうという。十石さんはこれを受けて、留学1年分とあまり変わらない英語力を身につけている計算になると驚いていた。

ティム・クック氏との会話で通訳が下がった

十石さんが特に印象に残ったと話したのが、岩崎さんがAppleのティム・クック氏と話したエピソードだ。岩崎さんは幸運にも、日本の女性起業家の代表としてクック氏と話す機会を得た。せっかく英語を学び始めたのだから、天下のティム・クックと話せるなら通訳を通したくないと考えた。

通訳は同席していて、最悪の場合は頼ればいいと思っていた。ただ、緊張すると頭が真っ白になるので、ナッチコーチと一緒に文章を作り、気絶しても口が勝手に話すくらいまで練習した。当日はそれが見事に通じた。ところが「困ったことに」、通訳が遠くに下がってしまった。クック氏がそこからたくさん話してくれたので、全神経を集中させて聞いた。リスニングはまだ付け焼き刃で、「通訳してくれないんだ」と焦ったという。岩崎さんは、英語を学んでいなければ絶対に直接は話していなかったので本当にありがたかった、と振り返った。

ナッチコーチは、こうした機会はとても貴重なので絶対に諦めてほしくなかったと話す。他の受講生にもカンファレンスや出張などの予定があれば、それに合わせて特別なレッスンを組むことがあるという。

更新したのは「ナッチコーチの時間」を買うため

サービスの良い点を聞かれた岩崎さんは、同じ一人が伴走してくれることをいちばんに挙げた。1ターム目を終えて2ターム目を更新したが、何にお金を払ったかといえば「ナッチコーチのブロック」、つまり向こう1年分のナッチコーチの時間を買った感覚だという。

以前は担当者が変わることもあったが、そうなると自分に甘えてしまう。テストをそこまで頑張らなくてもバレない、前回との差は分からないだろう、と考えてしまう。ずっと見てくれる人が目の前にいれば、単語学習をさぼったこともバレる。その恥ずかしさを避けるための「ナッチコーチブロック」なのだという。

ほかにも、話題を自分に合わせてもらっていると感じること、ちょっとした恋バナのような雑談もあって普通に楽しく話していること、そして「ナッチコーチにできるなら私だって」とプライドをくすぐられることを挙げた。自分は追い込まないとやれないタイプなので、それがありがたいという。

もう一つの理由は「フェードアウトできない」ことだ。岩崎さんは、勝手ながら人間関係ができていると思っているので、ここで消えたら「岩崎さんはそこまでだったんだな」「やると言ったのにダサい」と思われたくない。コーチが褒めてくれたり、言いづらそうに「最近忙しいですか」と声をかけてくれたりすることもある。ただ、それ以上に、長く続いた人間関係の中でレッスンを受けていることが大きいかもしれない、と話した。

向いているのは「目的がある人」と「怠惰な人」

どんな人に向いているかという質問には、二つのタイプを挙げた。一つは目的のある人だ。なんとなくのコンプレックスで英語を始める人もいるが、「いつまでにどうなりたい」という意思があれば、レッスンを組み立てやすく、学習スピードも上がるだろうという。もう一つは、自分一人で自己を律することができない「怠惰な人」だ。十石さんが「ほぼ全員では」と返すと、岩崎さんは「そうかもしれない」と笑った。スケジュールが決まっているので、嫌でも翌日のレッスンがやってくるという。

英語学習のメリットとして岩崎さんが挙げたのは、簡単に自己肯定感を上げられることだ。仕事は頑張ってもうまくいくとは限らず、2〜3年かかるプロジェクトもあるし、自分だけではどうにもならないことも多い。会社の事業は時間軸が長く、うまくいかないこともある。英語学習はきちんと見てもらっていて、次に何をやればいいかも示してもらえる。久しぶりに「言われたことをやったら伸びた」というシンプルな達成感が得られるので、メンタルの維持にも良いと話した。

「まず契約して、逃げられなくする」

最後に、英語学習で挫折してきた人へのメッセージを求められた岩崎さんは、これは精神論ではないと話した。モチベーションも、上がるのを待つより、少し動いてみたら出てくるものだと考えている。だから習慣化したい、英語をやりたいと思ったら、まず契約して自分を逃げられなくする。逃げられなくすることがいちばん重要なので、皆さんもぜひ試してほしいと締めくくった。

今後の展望としては、海外の投資家などさまざまな人に、自分の言葉で会社を紹介して理解してもらえるところまで到達したいという。さらに「オプション」として、息子と英語で会話したいとも話した。家族でもプライベートでも、いろいろな文化をいろいろな言語で楽しめる家族になれればいい、というのが岩崎さんの今後の目標である。