濁らせない「清湯」の水炊き:博多で食べた一杯をリュウジが家庭向けに再現する

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概要

料理研究家のリュウジは、2〜3年前に博多で食べた水炊きを再現する動画を一度出している。そのときのスープは白く濁った鶏白湯(パイタン)だった。今回は、その後もう一度博多を訪れて食べた透き通った清湯(チンタン)の水炊きを、スーパーで買える材料で作る。リュウジは、清湯のほうがうまかったかもしれないと思うほど美味しかったと話し、「博多から勉強してきた」内容を自宅向けに落とし込んでいく。動画は調理から試食、キャベツでの味変、締めのラーメンまで進む。

10分で読めます
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白湯と清湯は火加減とふたで分かれる

最初にリュウジは、白湯と清湯の違いをスタッフに説明する。白湯は豚骨スープのような白く濃厚なスープで、強火で炊く。清湯は透き通った鶏スープで、弱火でじっくり煮て旨味だけを引き出すため濁りが出ない。リュウジは「両方めっちゃうまい」としたうえで、強火で炊くか弱火で炊くかで味がまったく違うのが不思議だと語る。

白く濁る理由について、リュウジは次のように説明する。鶏肉を煮た翌日に煮汁が煮こごりのようにぷるぷるになるのは、骨からゼラチンが出ているからだ。強火でゴンゴン炊くと、そのゼラチンや油分と水分がドレッシングのように混ざり合い、乳化して白く濁る。丸鶏を煮込んでも強火なら白濁し、弱火なら透き通るという。

ふたの扱いも違う。白湯ではふたをしない。蒸気がボコボコと回り、スープも煮詰まって乳化が進み、とろみがつくからだ。今回の清湯ではそれが要らないので、ふたをして弱火でコトコト煮る。

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材料:骨付き肉は欠かさない

材料は鶏肉が中心で、ほかはニンニク、生姜、キャベツだけだ。

  • 手羽元(手羽先でも可)300〜400g:骨からいい出汁が出る
  • 鶏もも肉 1枚(約350g):ぶつ切りにせず丸ごと煮る
  • 鶏ももミンチ 約300g:つくね用
  • ニンニク、生姜 各10g程度
  • キャベツ

つくねはとても美味しいので、ミンチを倍量にしてもも肉を減らしてもいいとリュウジは言う。ミンチは胸よりももがおすすめだ。胸だと硬めでパサついた仕上がりになるからだという。ミンチがなければもも肉2枚でも構わないが、骨から出るスープは欲しいので、手羽元か手羽先のどちらかは用意してほしいと念を押す。

鶏の質については、リュウジはスーパーで買える食材しか使わない方針なので、普通の若鶏を使う。若鶏でもかなり美味しいスープが出るという。本格的な店では地鶏を使うこともあるが、地鶏は肉質が硬く、地鶏だと美味しくないと感じる人も結構いると話す。

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仕込み:切らずに鍋へ入れる

煮込みに45分から1時間かかるので、まずスープを火にかける。リュウジは、水炊きはそもそも水で炊くだけの簡単な料理で、時間がかかるだけでほぼ放置だと言う。

ニンニクはスライスせず、そのまま鍋に入れる。生姜は皮付きのまま10gほどを薄切りにする。臭み消しの役割だが、若鶏はそれほど臭みがないとも付け加えている。

鶏肉も切らない。店ではぶつ切りにしているが、煮込めば鶏肉はほろほろになり、後でハサミやしゃもじで切れるようになるので、無駄なことはしたくないという理由だ。

そこへ水1L、酒50cc(大さじ3杯強)、塩を入れる。リュウジは、できれば昆布1枚か旨味調味料を入れてほしいと勧める。昆布でもいいが昆布臭くなることがあるので、味の素が一番だという。量は4振りだけで、使いすぎてはいけない。鶏からはとても美味しい味が出るので、そこにグルタミン酸が少し加わるだけでスープが一段よくなるという。味の違いを確かめたい人は、後から入れても味は変わらないので、最初は入れずに飲み比べてもいいと話している。

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アク取り:最初の白い濁りは白湯ではない

強火にかけて沸かすと、スープが白っぽくなってくる。スタッフが「白濁してきた」と言うと、リュウジはそれは白濁ではなくアクだと説明する。鶏肉の血や脂などの成分がまず濁りとして出て、熱が入るにつれて白いものが上に浮いてくる。それを取り除けば透き通っていくという。

白湯の回ではアクを取らなかったが、清湯の水炊きではアクを必ずすべて取るようにとリュウジは強調する。残すとえぐみや雑味になり、今回は丁寧でクリアなスープを取りたいからだ。ただし、アクを取るのが常に正しいわけではないとも断っている。沸騰しているほうがアクがまとまって取りやすいので、アク取りの間は強めの火で構わない。この段階では白濁しないので心配はいらず、神経質になる必要もないという。

アクを取り終えたら弱めの中火にしてふたを閉める。強火で煮込む必要がないので、ガス代の節約にもなると話す。

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煮込み時間:ほろほろか、ぷりぷりか

煮込み時間は45分から1時間が目安だが、30分くらいでも十分食べられる。ほろっと柔らかい肉にしたいなら最低45分、ぷりぷりした肉が好きなら30分で大丈夫で、ここは好みだという。

リュウジによれば、博多の店にも両方のやり方がある。最初にほろほろの肉を出し、後からもも肉を追加して食感の違いを楽しませる店もあるそうだ。家庭でも後からもも肉や胸肉を足してよい。ただし手羽元や手羽先は、骨から味が出るので最初に入れるべきだという。骨付き肉は硬いよりほろほろのほうが絶対うまい、というのがリュウジの好みだ。

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キャベツ:白菜ではなくキャベツ

煮込んでいる間に、キャベツ、つくね、タレを準備する。キャベツは好きなだけ切り、芯の部分は取ってざく切りにする。葉の間に土が入っていることがあるので、切ったら全部洗うように注意している。キャベツはすぐ煮えるので、食べながら追加しても問題なく、多めに用意しておいていいという。

リュウジは、鶏に合うのはキャベツで、この料理では白菜ではないと言う。キャベツを入れると甘みが出るのがうまさの理由だという。切る工程はここまでで、意外と豪快な料理だと話している。

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つくね:ももミンチに塩だけ

つくねについてリュウジは、卵や長ねぎ、生姜を入れる人が多いが、何もしなくていいと話す。ミンチ100gに対して塩ひとつまみ、今回は300gなので3つまみを混ぜ込むだけだ。これが一番うまく、食べたらちょっと驚く、余計なことはいらなかったと思うはずだという。自分も昔は卵や長ねぎなどを色々入れていたと振り返る。一方で、近所のスーパーのももミンチの質がいいからかもしれない、という留保も口にしている。

ももミンチに塩だけで揉むと、ぷりぷりした肉らしいつくねになる。胸肉のミンチを使う場合は量を200gに減らし、卵1個と同量の塩を入れて揉むと、ふわっとして美味しくなる。ももはもともと柔らかいので卵は要らないという。

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タレ:醤油とポン酢を割った酢醤油

博多では酢醤油を作るのが一般的だが、リュウジは水炊きに柑橘が入ってもいいと考えているので、今回はポン酢を使う。分量は次のとおりだ。

  • 醤油 大さじ3
  • ポン酢 大さじ3(味ぽんではなく、柑橘のポン酢)
  • 水 大さじ1(そのままだと少し濃いため)
  • 味の素 5振り

タレにも旨味がないと鶏の旨味を引き立てられないので、少し旨味調味料を入れたほうがいいとリュウジは言う。しゃぶしゃぶのタレにも使えるそうだ。

リュウジによれば、昔は味ぽんのような商品はなく、鍋のポン酢は醤油とポン酢を割って作っていた。いつからか簡略化され、ポン酢自体が売られるようになったという。自分の祖母も昔はこうして作っていたと話す。ポン酢がない場合は酢でもよく、米酢のほうが柔らかくてうまいと思うが、柑橘のポン酢を使うと威力が高いと評価している。

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30分後:つくねを入れて仕上げ

30分経ってふたを開けると、いいスープになっている。鶏肉に串を刺すとすっと通り、30分でこうなるとリュウジは確認する。

ここでつくねを入れる。スプーンですくって丸め、鍋に落としていく。大きさは好みで、面倒なら手でまとめてもいい。リュウジは塩だけのつくねのうまさを改めて強調し、なぜ今まで色々な材料でこねていたのかと思うほどだと話す。ミンチからもいい出汁が出て、すぐに火が通るので長く煮込む必要はない。

鶏肉は、ハサミのほうがきれいに切れるが、しゃもじやお玉でも切れる。スープは透き通り、鶏の脂が浮いて黄金色になっている。弱めの火で炊いたのでスープもほとんど減っていない。店では具を入れずにまずスープだけを出すことが多いが、リュウジは最初から具を入れてもいいと考えている。

キャベツについては、博多流ではまず鶏だけを食べ、その後にキャベツを入れて、甘みが加わったスープの味を確かめるという。ここで「究極の水炊き」の完成となる。

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試食:まずはスープだけ、つくねは塩で

最初はスープをそのまま飲む。塩を振ってもいいが、まずは何も足さずに飲むよう勧めている。スタッフからは「鶏の旨味すごいな」という声が上がる。ほろほろのもも肉はポン酢醤油につけて食べ、リュウジは年が始まったばかりなのに今年一になりそうだと言う。家で簡単にできる、とも繰り返している。

つくねは取り皿でスープを少し注ぎ、塩をパラっと振るだけで食べる。スタッフは「優勝」と表現し、リュウジも塩で十分うまく、ほかには何も要らないと話す。つくねはすぐなくなるので、たくさん作ったほうがいいという意見も出た。

さらに焼酎をスープで割った「出汁割り」も試し、リュウジとスタッフはここまでセットでやってほしいと絶賛する。スタッフからは「5年早く知りたかった」という声も出た。白湯派のスタッフに清湯の感想を聞くと、「最高に美味しい」と答えている。

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キャベツを入れるとスープが変わる

肉だけの味を確かめたあとでキャベツを入れる。キャベツの甘みが入ったスープにはポン酢醤油がよく合い、塩でももちろん美味しいとリュウジは言う。

キャベツを煮たあとのスープを飲み比べると、スタッフは「全然違う。甘さがある」と反応する。リュウジは、キャベツにはこんなに甘さがあると分かるし、鍋の味は野菜と肉の複合的な味わいなのだと実感できると話す。野菜は味に影響しないと思っている人もいるが、実際は全然違う。今回はスープがクリアなので、その違いがよく分かるという。リュウジはこれを「野菜出汁」と呼んでいる。

続けて手羽元とくたっと煮えたキャベツを酢醤油で食べ、「勝てない。他の鍋勝てない」と評している。

ほかに入れる具材を聞かれると、鶏を楽しんだ後ならキノコを入れてもいいが、鶏を生かすのはやはりキャベツ、もしくは長ねぎくらいだという。これからの季節は春キャベツもよく、さらにうまくなると話している。材料はすべてスーパーで買え、油も特別な調味料も使わず、鶏もブロイラーだ。水炊きは家でなかなか作らない鍋だが、実は簡単でハードルが低いことをリュウジは強調する。面倒ならタレも市販のポン酢で十分うまいとしている。

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締め:マルタイ棒ラーメンで塩ラーメン

締めはラーメンにする。リュウジは普段からまとめ買いしているマルタイの棒ラーメンを使うが、普通の細麺でもいいという。量は120gで、2人分くらいだ。

マルタイは2分ほど茹でれば十分美味しくなる。硬めが好きなスタッフに合わせて、今回は1分半にした。スープには何も足さず、塩だけを2〜3つまみ入れる。量は味を見ながら調整してほしいという。浮いている鶏の脂が麺によく絡むとリュウジは指摘する。少し煮込みながら味を見るのもよく、仕上げに黒胡椒を振る。

食べたスタッフはスープが濃厚になっていると驚き、リュウジは「ちょっとうますぎる」「なんでこんなうまいんだ」と繰り返す。締めのラーメンとしてはここ数か月でトップだと言い、今年これを超えられるのかとまで口にしている。マルタイの麺がこのスープによく合うことも評価している。

最後にリュウジは、締めのラーメンまでやってほしいと呼びかけ、この水炊きは以前の自分の「至高」を超えたと述べて動画を締めくくっている。