七種も巻きすもいらない、リュウジの「やけくそ恵方巻」

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概要

料理研究家のリュウジは、これまで恵方巻の動画を「ずっと逃げてきた」と言う。理由は面倒だからだ。この動画では、恵方巻は形が良ければ七種の具はいらないと割り切り、「やけくそ」と名付けて3本の恵方巻を即興で作る。巻きすも寿司桶も使わず、電子レンジとラップで仕上げる。家庭で作るハードルをどこまで下げられるかを試す回である。

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「七種」の決まりと「やけくそ」という名前

リュウジによれば、恵方巻は具が七種類入っていないと恵方巻ではない。だから恵方巻をやろうとすると7種類の具材をそろえることになり、「誰が作んの?」という話になる。これまで避けてきたのはそのためだという。

それでもあえて作ることにしたのは、恵方巻はあの形がいいのだから、七種はいらないのではないかと考えたからだ。ただし定義を変えて「至高」と名乗ると、恵方巻の定義を知っているのかと荒れてしまう。そこで「やけくそ」と付けておけば何をしても大丈夫だ、とリュウジは冗談まじりに話す。「こういう考えだから原理主義者に炎上する」と自分で笑いながらも、スタッフからは家で作るにはハードルが高いので、このくらい低いほうが嬉しいという声が出た。

レシピは事前に決めておらず、スタッフに食材をいろいろ買ってきてもらってその場で組み立てる。主役はネギトロとマグロ・アボカドの海鮮系だ。肉でも美味しいという話から、豚ひき肉とにんじんを使ったキンパ風も加え、3種類を作ることになった。

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下準備:ご飯の量と、レンジで作る卵焼き

ご飯は1本あたり約160gが必要だとリュウジは説明する。今回は冷凍ご飯を約600g、完全に解凍して使う。600Wでまず2分ほど温めるところから始めた。

彩りとして黄色が欲しいので卵も入れることにしたが、リュウジは卵焼きを巻くのが「ガチでめんどい」と言う。「卵を巻きましょう」と言われたらみんなやらないのは分かっている、という立場だ。そこで、平らなタッパーに油を薄く塗り、溶き卵を広げてレンジで加熱するやり方を試した。卵は2個で、固くなりすぎないように水大さじ1と塩1つまみを加える。卵の量によって加熱時間が変わるのかとスタッフに聞かれると、「やったことないから分からない」と答え、やけくそ料理なのでこれでいいと続けた。こうして即興で料理しているときが一番好きだとも話している。

焼き上がった卵はタッパーから出し、細長く切り分ける。容器の形のおかげで、スーパーの恵方巻に入っているような形になった。形が多少悪くても、中に入ってしまえば分からないという。

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恵方巻の廃棄と「家で作ればいい」という考え

作業の途中で、リュウジはスーパーの恵方巻の話をした。大量に売れ残り、廃棄が多いと昔から言われている。それなら自分たちで作ればいいのではないか、という考えだ。恵方巻は棒状なら十分だろう、とも付け加えている。

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具材ごとの理由:きゅうりの食感、アボカドの変色、にんじんの加熱

具材の切り方や選び方には、それぞれ理由が添えられた。きゅうりは縦に細長く切る。ネギトロと組み合わせるのは、ネギトロの食感が柔らかいので、シャキシャキした食感があったほうがいいからだ。マグロは柵のまま買うと、リュウジの家の近くでは1,000円ほどする。あまり買わないタイプだが、買った日は1日幸せになると話し、縦に切って使う。

アボカドは種の周りに包丁を一周入れて割る。ただし切るのは巻く直前だ。切ったまま置いておくと酸化して黒くなってくるからだという。

キンパ風に使うにんじんは、千切りスライサーで約80gを千切りにする。長く切ると硬いので、千切りにしてレンジで1〜2分加熱し、ナムルのようにする。生でも食べられるが、キンパのにんじんは必ず火を通してナムル風にしてあるから、というのがリュウジの説明だ。キンパはいまやコンビニでも売っていて、どこでも売っているということはどこでも作れるということだ、とも話している。

豚ひき肉は約100gを使う。塩こしょうを軽くして、焼肉のタレを大さじ2ほど加え、甘辛く炒めるだけだ。水気が残るとべしゃべしゃになるので、しっかり飛ばすことが大事だという。視聴者に向けては、全部作る必要はなく、美味しそうだと思ったものだけ選んでほしいと呼びかけた。

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酢飯:普通の酢とうま味調味料で

酢飯は米酢が望ましいが、この日は普通の酢しかなかった。米酢のほうが酢の味が柔らかくて美味しい、というのがリュウジの説明だ。ご飯600gに対して酢大さじ2、砂糖大さじ1、塩3つまみ、うま味調味料を少し加える。この配合は、友人である「みや」さんの父親で寿司職人の人から教わったものだという。

うま味調味料を入れる理由について、リュウジは後半で補足している。酢の嫌な酸っぱさが消え、食べやすくなる。市販の寿司酢にもうま味が入っているので、それに近づける意図だ。

ポイントは、ご飯が温かいうちに酢を混ぜ込み、そこから冷まして落ち着かせることだという。本当は寿司桶が良いが、持っていない人がほとんどだろうという前提で進める。1本だけ作りたい人は材料を1/3にすればいい。手巻き寿司の酢飯もこれで十分で、好みで酢を増やしてもいいという。

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巻く工程:巻きすはいらない、海苔の表裏は見た目だけ

巻く工程でも、リュウジは「みんな考えすぎ」と繰り返す。巻きすがないとできないというのは思い込みで、ラップの芯を使うなどいろいろなやり方がある。そもそも綺麗に巻く必要もないという。

大判の海苔には表と裏がある。テカテカした面が表になるが、ぶっちゃけどちらでもいいとリュウジは言う。味は変わらず、見た目が変わるだけだ。

ラップの上に海苔を置き、冷ました酢飯を3等分して薄く広げる。広げ方は適当でいいが、ご飯を多くしすぎると「それはご飯になっちゃう」ので、ほどほどにするのがよいという。

1本目はマグロ・アボカドで、マグロ、卵、アボカドを並べた。卵は長すぎれば切ってしまえばいい。途中でリュウジが具の組み合わせを言い間違える場面もあったが、気にせず進めた。具を手前に寄せ、ラップごと持ち上げてまとめ、もう一度巻けば完成だ。ラップに包んだまま持ち運べる。切ってみると具が中央に収まっていて、スタッフも巻きすは不要だと認めた。巻きすは「プロのもの」だとリュウジは言う。

マグロとアボカドの組み合わせにはクリームチーズを足しても美味しく、アレンジは無限大だという。これは2月に限らず、のり巻きとしていつ食べてもいいとも話している。

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2本目:ネギトロ・きゅうり・納豆

2本目はネギトロに、食感のためのきゅうりを合わせた。そこに「絶対納豆だろ」という流れで納豆を加え、ネギも散らす。リュウジは、市販の恵方巻には納豆入りがあまりなく、家だからこそできる組み合わせだと強調した。具を4つほど入れれば十分恵方巻だという。

具が多いときのコツも示された。具を少し手前に置き、ラップを使って「の」の字を描くように最初のひと巻きで形を決める。いったん持ち上げてから再びロールし、形を整えたら、あとはくるくると巻くだけだ。そのままかぶりついてもいいが、リュウジ自身は切ったほうが食べやすいと考えている。子どもと一緒に作るのにも向いていて、全形の焼き海苔があればできる。恵方巻は高いので、下手に買ってくるよりこちらのほうが豪華になる、とも話した。

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3本目:ひき肉とにんじんのキンパ風

3本目はキンパ風にするため、加熱したにんじんに塩2つまみ、味の素2振り、ごま油大さじ1半を和えてナムルにした。ひき肉とよく合い、少しビビンバっぽくなるという。3本あればそのくらいの味のバリエーションがあったほうがいい、という判断だ。

この最中、リュウジは「作ってない料理を作っている時が一番楽しい」と口にしている。今年は七草粥もやったので、こうした季節の料理は動画が伸びる・伸びないに関係なくやっていくつもりだ、とも話した。ちなみにリュウジ自身は恵方巻を毎年食べるわけではなく、自分一人では作らない。食べたいと言われたら作る程度だという。

ご飯は3等分してちょうど1本約200gずつになった。にんじん、炒めたひき肉に、余った卵、ごまを加える。さらにチューブのコチュジャンを1本線状に絞り、マヨネーズも加えた。具が多くなりすぎたものの、最後はぐっと押さえて巻き切った。

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実食:断面と食べ方

3本を切って断面を確認した。時間が経っているので海苔はしんなりしていたが、どれも具が中央に入っている。リュウジは「やけくそとは思えないぐらい綺麗」と言い、ほうれん草があってもよかったと振り返った。節分には恵方を向いて丸かぶりする習わしがあるが、やりたい人はそれでいい。ただし恵方巻は絶対に切ったほうが美味しい、というのがリュウジの意見だ。

食べ方の提案もあった。マグロ・アボカドはマヨネーズと醤油で食べる。アボカドにマヨが合うからで、本人も「ちょっと邪道」と認めている。納豆入りは少し薄めに切り、醤油だけで一口で食べるのがよいという。キンパ風はコチュジャンとマヨで味がついているので、そのままか、ちょい付けで食べる。

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感想:納豆が人気、キンパ風は「手間とうまさは比例しない」

マグロ・アボカドは「これが一番スタンダード」で、全員が「うまい」と言った。とくに反応が大きかったのは納豆入りだ。リュウジは「なんでこんなうまいの」「やってよかった」と繰り返した。スタッフは売っていたら買うレベルだと言い、お代わりを求める人も出て「納豆大人気」となった。

キンパ風について、リュウジは事前に「たぶん一番うまい」と予想していた。食べたあとは「手間とうまさって比例しねえんだな」と話し、普通にキンパとしてレシピ化してもよかったぐらいだと評価した。ただし、これは恵方巻というよりもうキンパだ、という点では全員の意見が一致した。

3本作って1時間はかかっていないという。中身はカニカマでもツナマヨでも何でもよく、巻き方とご飯の作り方さえ分かれば応用が利く。リュウジはそれをこのレシピの利点に挙げた。「やけくそ」と聞いてもっと雑なものを想像していたというスタッフに対しては、雑にしなくてもこれぐらいいい感じに巻けてしまう、と答えている。使ったのも米酢ではなく普通の酢だった。

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なぜ今これを作ったのか

撮影日は1月26日で、節分に向けてみんなに今作ってほしいという思いがあったという。「伸びるんじゃないですか」というスタッフに、リュウジは伸びる伸びないはいったん置いておくと返した。簡単な恵方巻を一度紹介しておけば動画が残る。来年も再来年も、簡単な恵方巻を探して調べてくれる人がいるのではないか。だから今年は季節のレシピを強化したいのだという。

当初はきゅうりとカニカマだけで済ませることも考えたが、恵方巻は一応お祝いなので、みんなが喜ぶほうがいいと思い直したと明かしている。スタッフは、これを見たら恵方巻のハードルについての認識が変わると言い、リュウジも自分自身30分前とは考えがだいぶ変わったと応じた。

最後にリュウジは、同じものを作ってもいいし、キンパにレタスを入れるなどアレンジしてもいいと呼びかけた。子どもと作っても面白く、手巻き寿司のような感覚でできるので、好きな具材で試してほしいと話して動画を締めた。