「なんとなく眠い」は半うつのサインか。精神科医・平光源さんに聞く、うつ病の手前で踏みとどまる方法
新R25チャンネル社会人になってからずっと眠く、頭に霧がかかったような状態が続いている。ただ、病院に行くほどではなく、仕事も普通にこなせている。この状態は放っておいてよいのか。新R25編集部の十石泰誠さんが抱えるこの悩みを、精神科医として約25年のキャリアを持つ平光源さんに相談した。平さんは著書『半うつ 憂鬱以上、うつ未満』で、うつ病の一歩手前の状態を「半うつ」と呼んでいる。平さんは、疲労を神経伝達物質の「生産と消費のバランス」の問題として捉えている。そのうえで、休み方、比較との付き合い方、仕事以外の「島」の持ち方を具体的に語った。
編集部員の悩み:十分寝ているのに、ずっと眠い
相談の前に、編集部の3人で悩みの中身を確認している。十石さんは睡眠時間を最低6時間、平均7時間は確保している。それでも朝すっきり起きられず、日中も頭がぼんやりした状態が続く。一方で、気分が落ち込むことはなく、日常生活も仕事も問題なく送れている。寝坊や寝過ぎのようにはっきりした異常があれば病院に行くが、「ずっと眠い」程度なら学生時代にもあったかもしれない。そう思える程度だからこそ判断が難しい、と同席した編集部員は指摘した。この編集部員自身も、忙しい時期を経験してから同じような感覚を持つようになったという。
十石さんは、この状態を改善しようと週4回、出勤前に10〜15分ほどジムに通っている。以前は夜に行っていたが、朝があまりに眠いため、体を強制的に起こす目的で朝に切り替えた。同僚たちは、十石さんが難易度の高い仕事も嫌な顔ひとつせず引き受ける姿を見て、かえって不安になると話している。本人は無理をしている感覚がまったくない。ただ、パフォーマンスが上がりきっていない感じはあるという。
本を書いた理由:井戸に落ちる前に声をかける
平さんが『半うつ』を書いたのは、外来診療で、うつ病がかなり重くなってから受診する人が多いと感じてきたからだ。平さんによれば、うつ病の人の多くは最初に体の不調を自覚する。眠れない、お腹が痛い、頭が痛いといった症状で、約65%の人がまず内科を受診するという。そこで「何でもない」と言われると、本人も家族も会社も安心してしまう。その間に症状が悪化し、入院が必要なほどのうつ病になってようやく精神科に来る人がいる。
平さんはこれを井戸にたとえた。井戸に落ちてから救うのではなく、「井戸に落ちかかっているよ」と誰かが言ってあげられる本があれば、多くの人が本当のうつ病にならずに済むのではないか。本はそう考えて書いたという。
謎の疲労感の正体:生産と消費のバランス
若い人から「謎の疲労感」や眠気を訴えられることは多い、と平さんは言う。こうした相談に対して平さんがよく提案するのが、「生産と消費のバランス」を見ることだ。
平さんの説明では、心の働きには3つの神経伝達物質が関わっている。セロトニンが減ると不安や憂鬱が起こる。ドーパミンはエンジンのようなもので、ワクワクする気持ちに関係する。ノルアドレナリンはやる気に関わる。これらが普通に働いていれば日中は活動できるが、枯渇して消耗すると動けなくなり、常に疲れを感じるようになる。
これらの物質は眠っている間に作られる。平さんはこれをお米にたとえた。起きている間の私たちは消費者で、「ひとめぼれ」や「コシヒカリ」を食べるようにこれらの物質をエネルギーにして活動する。眠っている間は農家になり、脳を畑にして物質を作る。慢性的に疲れているのは、このバランスが崩れているからだと平さんは見る。脳を休める時間が短くなり、3つのうち1つか2つが枯渇している状態が半うつだという。
半うつとうつ病の境目
では、どこからが半うつで、どこからがうつ病なのか。平さんは、本には20項目のチェックリストを載せているとしたうえで、半うつは「うつ病に向かう途中」と考えてよいと説明する。
シンプルな目安として平さんが挙げたのは、ザ・ドリフターズの『8時だョ!全員集合』だ。番組の最後の歌で、加藤茶さんが「飯食ったか、風呂入ったか」と呼びかける。これと同じように、風呂に入れているか、ご飯を食べているか、男性なら髭を剃れているかを確認する。普段なんなくできていたことがしにくくなり、風呂に入るのが面倒、ご飯を食べるのが面倒だから済ませてしまう、という状態になったら注意が必要だ。それが2週間続くようなら、うつ病も考えなければならない。平さんはこの目安が分かりやすいとしている。
ドーパミンやノルアドレナリンがうまく分泌されていないと、外からはやる気がない、ワクワクしない、楽しくないという状態に見える。真面目な人ほど「こんな自分はダメだ」と自分を責める。しかし平さんは、それは神経伝達物質が減って枯渇しているだけの現象だと言う。「ちょっと減っているかも」と意識を向け、まずはゆっくり休み、しっかり栄養を取ることを大事にしてほしいと話した。
十石さんの状態について、平さんの見立ては「ギリギリ半うつ」だった。
仕事が頭から離れない:スマホを鍵のかかる箱へ
改善策として平さんがまず挙げたのは、精神科の認知行動療法の考え方だ。考え方や行動を変えると気分が変わる。そのために、まず自分がなぜ疲れるのかを深掘りしてほしいという。
平さんに仕事自体をどう感じているかを尋ねられ、十石さんは次のように答えた。半年前に転職し、新しい環境で仕事をしている。仕事への不満はなく、やりがいを持って楽しく働けている。ただ楽な仕事ではないため、休日も、帰宅後も、寝る前も、ずっと頭の中に仕事がある。
これを受けて平さんは、休むときは休み、食べるときは食べ、働くときは働くというメリハリをつけるよう勧めた。現代人はスマホで世界情勢をリアルタイムで見られるうえ、仕事の連絡もつい確認してしまうため、休みが取りづらい。そこで、何時以降はスマホを絶対見ないと決める。物理的に鍵のかかる箱を用意してスマホを入れるくらい思い切ってもよい、というのが平さんの提案だ。
働くことの基本原則:ディズニーランドのたとえ
十石さんは、20代は一生懸命働いたほうがいいという声が多い以上、こうした状態になるのは仕方ない面もあると感じている。それでもうつ病になっては本末転倒だとして、日々の過ごし方を尋ねた。
平さんは若い人に、仕事についての基本原則に立ち返ることを勧めている。コロナ禍で学校で十分教わっていない面もあるからだという。例に挙げたのはディズニーランドだ。1万円近いパスポート代を払った人は、ビッグサンダー・マウンテンやホーンテッドマンションを何の苦労もなく楽しめる。一方、キャストは遊びたい気持ちを我慢してゴミを掃除し、パークをきれいに保つ。その代わりにお金をもらう。楽しいことにはお金を払い、苦しいことをするとお金をもらえる。これが労働の基本原則だと平さんは言う。
とはいえ、ずっと苦しい状態で働くのはつらい。平さんが楽しんで働く「唯一のコツ」として挙げたのは、自分からは見えないけれど、自分の仕事を喜び、感謝してくれている人がいると想像することだ。平さんは十石さん自身を例にした。十石さんは「半うつかもしれない」と言われることを恐れずに自己開示し、この番組を作っている。それに共感して「しっかり休もう」と思う人がいる。十石さんに声は届かなくても、感謝したり感動したりする人がいる。場合によっては命を救われる人もいるだろう。そう想像できれば、もう少し頑張ろうと思えるはずだと平さんは話した。
弱さを認める:三つの「私」とクマの話
十石さんは、本にも書かれていた日本人特有の「恥の文化」に触れた。半うつかもしれないと気づいていても、心の不調を認められない人がいるのではないか、という問いだ。
平さんによれば、若い人には「恥ずかしい」という感覚がある。さらに「恥ずかしいと思う自分は情けない」と考えて悪循環に陥りやすい。平さんはここで「私は3つある」という話をする。頭で考える私、感情で感じる私、体で動く私だ。頭で「自分にはできない、情けない」と考えると、感情の私が強い不安を生む。動物の本能として、不安な対象に向かっていくときは立ちすくむ。立ちすくんだ自分を見て「こんなことでひるむ自分はダメだ」と思うと、不安はさらに強まり、さらに立ちすくむ。
平さんは、この反応自体は正常だと強調する。目の前にクマが現れたとき、瞬時に力関係を判断し、クマのほうが強ければ逃げる。これは生き延びるために大事な能力だ。2〜3歳の女の子が「森のくまさん」の優しいクマを思い浮かべ、「一緒に歌いましょう」と近づけば食べられてしまう。相手と自分を比べ、相手が強ければ引くのは普通の能力なのだから、まずはそういう自分を許してほしいという。
ただ人間の社会では、弱ければ逃げるというだけでなく、弱さを認めながら前に進むことが仕事や成長につながる。平さんが勧めるのは、逃げたくなる体の自分に「俺を生かそうとして逃げようとしてくれているんだな、ありがとう」と声をかけることだ。体の自分を許し、むしろ褒めながら、一歩前に出てみる。それを階段を登るように少しずつ続けると、「意外にできるじゃん」という気持ちになってくるという。
SNS時代の比較:学年を無視して比べていないか
十石さんは、本にある「現代人の5人に1人が半うつの可能性がある」という記述に触れ、要因の一つにSNSがあるのではないかと尋ねた。InstagramやXで周囲のキラキラした話が入ってくる。比較して負けを認められれば悩まずに済むが、対抗しようとすると疲弊する、という見方だ。
平さんが医師になった頃はポケベルの時代だった。スマホがない時代は友達と比べて少し悔しい、少し上だと感じる程度で、それが行動の指針になることはなかったという。平さんは、今は世界水準で比べる相手が存在してしまうことを大変だと感じている。
比較して上か下かを瞬時に判断するのは動物として正常だ。ただ平さんは、その比べ方に誤解があると言う。人間は小学1年生で足し算と引き算、2年生で掛け算、中学で連立方程式、高校で微分積分と段階を踏んで成長する。それなのに、目の前の人が高校1年生か中学2年生かを考えずに「あいつは微分積分ができて、俺は掛け算しかできない」と落ち込むのはもったいない。平さんは自分の経験も例に挙げた。25年目の平さんが若い医師にアドバイスすると、「全然思いつきませんでした」と落ち込まれることがある。しかし2年目と25年目なら、25年目のほうが知識がなければむしろおかしい。十石さんなら「入ってまだ半年だから、これくらいしかできなくて仕方ない」と冷静に自分を許してよい、と平さんは言う。
十石さんはこれに対し、学校には学年という分かりやすい段階があるが、社会人になると一気になくなり、皆が同じ土俵に立っているように感じると応じた。それが誤った比較の原因になっているのではないか、という感想だ。
思考の高速化と「踊り場」
平さんはさらに、SNSで毎日膨大な情報を入力しているせいで思考の速度がどんどん速くなり、単純化しているように感じると話した。必死にはしごを登り続けるようなイメージだという。
平さんはここで、学校の階段にある踊り場を例に出した。2階と3階の間には、少し休める踊り場がある。3階にはまだ着いていなくても、2階から見れば半分は上がっている。踊り場で一度立ち止まり、途中まで登ってきた自分を褒める時間を取ってもよいのではないか、と平さんは提案した。十石さんは、仕事でも日常でも振り返る時間を持つ機会がなかったと話した。そして、弱さを認め、自分の立ち位置を理解し、自分を認めて褒めることが、健康に生きる道につながると感じたと述べた。
心が折れる前に、複数の「島」を持つ
心が完全に折れる前にビジネスパーソンができることとして、平さんが患者によく伝えているのが「島を作る」という考え方だ。
真面目な人ほど「仕事イコール生きること」だと思っていて、仕事の島でしか生きていない。そこでソロキャンプの島、サウナで整う島、バイクの島、レゴブロックの島というように、いくつかの島を持っておく。仕事で追い詰められたらソロキャンプの島へ行く。今はクマが出て危ないと思えばサウナで整う。仕事にだけ全力を注いでいると、仕事がうまくいかないことを人生がうまくいかないことだと誤解し、仕事で何かが終われば人生が終わったと感じてしまう。人生は仕事だけではない、と平さんは言う。別の島で楽しんだりワクワクしたりして元気が出れば、また仕事の島に戻れる可能性も広がる。
平さんが「趣味」ではなくあえて「島」と呼ぶのには理由がある。仕事しかない人は「仕事の日本国」に住んでいて、そこから出られない感覚でいる。そこへ「趣味を持って」と言うと、仕事の島の中に趣味を持ってしまう。すると、追い詰められたときに趣味へ切り替えられない。だから、飛行機か船でなければ行けないくらいにしっかり区切った島を作ってほしいという。
十石さんはこれを聞き、自分は趣味が多いほうだと思っていたが、それらは仕事の島の中に点在しているだけだったと気づいた。ずっと頭に仕事があるのはそのせいではないか、と話している。
「重要な立場だから仕事を忘れられない」への答え
平さんのもとには「先生はそう言うが、自分は会社で重要なポジションにいるので仕事を忘れられない」と言う人も来るという。
平さんはこれに対し、自分も重要な仕事をしていると話す。うつが重い患者から「死にたい」と打ち明けられることは、1日に1〜2人ほどあるという。研修医の頃は、帰宅後も「あの人が死んでしまったらどうしよう」と患者のことを考え続けていた。するとセロトニンやドーパミンが消耗し、翌日も疲れが取れず、正常な判断ができない。平さんはそれを「いわゆる半うつのような状態」と振り返る。
そこで平さんは、翌日のパフォーマンスを最大限に発揮することが患者にとってベストだと腹を決めた。帰宅したらクリニックや患者のことは一切考えないと決めたのだという。仕事のことをずっと考えている自分を「責任感がある」と感じてしまうと、その思いが入り込んできて休めなくなる。だから覚悟を持って、家では仕事のことを考えずにのんびりぼーっとしてほしいと平さんは話した。
島の見つけ方:子どもの頃の「エッセンス」を振り返る
「趣味を持てと言われても、何を持てばいいか分からない」という相談も多い。平さんは、未来に向けて新しい趣味を探すのもよいが、過去を振り返って自分がどんな人間かを見る方法もあると言う。
平さん自身は子どもの頃、プラモデルを作るのが好きで、時計を分解するのも好きだった。時計を壊して親に怒られたこともある。そこから、仕組みを明らかにすることや、手元の材料を上手に組み合わせてより良いものを作ることが好きなのだと分かった。平さんはこれを「エッセンスを見る」と呼ぶ。振り返ると、今の精神科医の仕事もまさにそうだった。認知行動療法をはじめとするさまざまな技法や対話の仕方を集めて組み合わせ、目の前の患者をより良い状態にする。プラモデルやレゴでやっていたことを仕事としてやっているのだと気づけば、それを趣味にしてもよいと分かる。平さんは、人の性格や好きなものはあまり変わらないので、過去から学ぶと趣味を見つけやすいと話した。
平さんは患者の例も紹介した。その患者は花が大好きだったが、花が枯れるのがつらく、花に関わる道に進めなかった。平さんが「花を毎日眺めに行ったら」と勧めたところ、いろいろな花屋を見て回るうちにプリザーブドフラワーの講座が目に留まった。講座の先生から熱心で才能があるから先生になったらと言われ、今はプリザーブドフラワーの先生をしているという。
生きているだけですごい:震災の経験から
最後に十石さんは、うつ病にはなりたくないが、一生懸命働いて人を喜ばせ、活躍したい若手ビジネスパーソンはどう生きればよいかを尋ねた。
平さんは、宮城県石巻市の精神科病院で東日本大震災に被災した。今年の3月11日で15年目になるという。被災をきっかけに、いつ死ぬか分からないのだから、どうせならやりたいことを何でもやってみようと考えた。そうして挑戦したのが開業と本の執筆だった。
そのうえで平さんが伝えたいのは、「生きているだけですごい」という前提を持ってほしいということだ。平さんはここで、ある男性患者のことを思い出したと語った。平さんと同年代で、平さんのことがあまり好きではないのに主治医を変えられず、不機嫌な様子で通っていた人だ。治療方針で意見が対立したこともあった。その患者は震災後、半年から8か月ほど来なくなり、平さんは津波で亡くなったのではないかと思っていた。ところがある日ひょっこり現れ、東京に避難していたが仮設住宅ができてきたので戻ってきたと話した。会った瞬間、それまでのことはどうでもよくなり、お互いに「生きていてよかった」という気持ちになったという。
平さんは、上か下かを比べたり、好き嫌いで被害者や加害者になったりできるのは、生きているのが当たり前だと思っているからだと言う。世界情勢は不安定だが、日本は今この時点では平和を享受している。まずは生きているだけでよい、生きているだけでありがたいという前提に立つ。そのうえで、せっかく生きているのだからやりたいことをやってみる。やりたいことを仕事にできていなくても、仕事で得たお金でちょっとした趣味を始め、夢中になってみる。そして、自分の仕事で助かったり救われたり元気になったりしている誰かがいることを忘れずに働いてほしい。平さんはそう締めくくった。
今回ね、男3人でちょっとやっていこうと。このアングルは何ですか?このアングルは何なんです?初めてのアングルすぎ。気になるかもしれない視聴者さんね、ちょっと新しいアングルでは。
この子もちょっと白い。あ、この子もね。見えますかね?なんでこんなことになっちゃうの?なんか白い。白いんすよね。R25君。R25君ね。なんか花粉症の影響でちょっと白くなってかわいそう。白い感じで。え、今日は白い感じ。
私の悩みも今日白い感じの悩みなんですけど、社会人になってからですね、なんとなくずっと眠い状態があって、頭がクリアになってない。霧が頭の中にちょっとかかってる感じがずっとしてるんですよ。
わかる。これはね、俺も本当に分かるんですよ。僕は社会人になってからずっとってよりは、忙しい時期を経験してからっていう感じなんですけど。ああ、そうなんだ。
これ難しいのが、例えば眠いとかも、起きられないとか寝過ぎちゃうとかだったら病気の疑いがあるというか、なんかおかしいってなったら行くじゃないですか。ずっと眠いくらいだったら、別に学生の時もワンチャンあったかもなっていうレベルじゃないですか?
寝てるんですよ、ちゃんと。最低6、アベレージ7時間は絶対寝るようにしてるんですよ。ちゃんと睡眠取れてそう。睡眠は取ってるんですけど、すっきりバッと起きれない、気持ちよく朝を迎えられないっていうのと、普段日中働いてる時とかもずっと頭に霧がかかった状態というか、ボーッとしてる状態が続いてる。感覚的にね。
ただ、リ太郎君も言った通り病院に行くほどじゃないんですよ。普通に日常生活送れてるし、仕事も普通にできてる。
一緒に働いてて思うのは、結構難易度が高いような仕事とかでも、割とポジティブに受け入れて、本当に嫌な顔1つせずにやるんですよ、彼は。いないみたいな。本当に一生懸命で。
こういうの聞いちゃうと、1回やっぱ休むのがいいのかなっていうのが本音なところです。ちなみにそういった状況の中で、社会人になってからもうずっと眠いわけじゃん。改善しようみたいなアクションは起こしたりしたことあんの?
僕、毎朝ジムに行ってるんですよ。毎朝。毎朝ってか週4。週4で。え、やばいな。朝ジムに行ってて出勤に。マジっすか?そうなんすよ。じゃあそれ疲れて眠いんすよ。いや、そうだよ。こんだけ働いてたらさ、そりゃ疲れるよ。
夜に行ってたんですよ。あんまりにも朝眠いというか、そういう状況が続いてるから、体を強制的に起こすために、長いことやってませんけど10分、15分ぐらい、毎朝出勤前にジムに行って体動かしてから職場に来てるっていう。すごいな。
めちゃくちゃ働いてるじゃん。めちゃくちゃ働いてるんですよ。働いてますかね?すごい頑張ってるし、嫌な顔1つせずに仕事を頑張ってる姿を見てると、逆に不安になっちゃう。大丈夫かなっていうのを今話しててめっちゃ感じたな。
無理してる感覚マジでないんですけどね。本当に。いや、怖いのがね、こうやって話しててもそういう感じを一切感じない。こっちに疲弊してる感。いや、だからそれほどじゃないんですよ。俺はそうだった。それほどじゃないけど、ずっと眠い。それすごいわかる。そんな深刻じゃないんですよ。
ただ、なんとなく鬱屈としてる感じというか。暗い気持ちになるとかあるんですか?そういうのはないですね。いや、だからそうなんだよな。俺もそうなのよ。そういうのがないんですよ。メンタル的に落ちるとかがないから。
でもなんかね、パフォーマンスが上がりきってない感じ。あ、そうですね。その感覚を味わってみたい。そのフルパフォーマンスできる状態、自刻体制を。
ということで今回は、精神科医の平光源さんにお越しいただきました。今日はよろしくお願いします。よろしくお願いします。
今回お呼びさせていただいたのはですね、こちらに置かせていただいてるんですけども、『半うつ 憂鬱以上、うつ未満』という本を拝見させていただきまして、今回私の悩みがこの半うつっていう言葉にすごいぴったりというか、当てはまってる部分あるんじゃないかなと思いまして、お呼びさせていただきました。
よろしくお願いします。ちなみにこちらの本はどういう思いで書かれた本になるんですかね?
ありがとうございます。僕が精神科医として25年、ずっと外来診療やってるんですけども、本当にひどいうつ病になってから来られる方がすごく多いんですね。本当のうつ病の方でも、まず最初に受診するのが、体の不調、寝れないとかお腹が痛いとか頭が痛いということで、65%ぐらいの方が内科を受診されるんですね。
で、そこで何でもないよって言われて、病院で何でもないって言われたからって家族も会社も本人も安心しちゃってね。増悪して、結果的に入院に至るぐらいのうつ病になって、やっと精神科に受診される方がいるので、本当にうつになる前に、例え悪いですけれども、井戸に落ちてから救うんではなくて、井戸に落ちかかってるよっていうことを誰かが言ってあげるような本があったら、多くの方が本当のうつ病にならなくて済むのかなと思って、この本を書きました。
なるほど。うつ病になる一歩前で気づけるタイミングを見失わないように、気づいてもらえるようにっていう思いでっていうことですね。ありがとうございます。
社会人になってからなんとなくずっと眠い感じというか、頭の中にちょっと霧がかかってるじゃないですけど、朝起きてもあまりすっきりしない、すっきりしないままずっと日常生活を送ってるなっていう感覚がなんとなくあってですね。もしかしたらこの本の中にある半うつなのかもしれないかなっていう悩みがあるんですけども。
謎の疲労感とか眠さっていうのは、結構若い方、特にお話しされる方多いんですけれども、僕はよくね、この本にも書いたかもしれませんけど、生産と消費のバランスをしっかり見ようっていうことをよく提案するんですね。
結局僕らってよく心って言うんですけど、神経伝達物質として、セロトニンとドーパミンとノルアドレナリンという3つの神経伝達物質があるんですけれども、セロトニンっていうのは、少なくなると不安、憂鬱が起こるという神経伝達物質。それからドーパミンというのはエンジンみたいなもので、ワクワクですね。それからやる気のノルアドレナリンっていう、この神経伝達物質が普通に動いている分には日中活動できるんですけど、結局それが枯渇して消耗してしまうと動けなくなってしまうと。で、常に疲れた状態を感じると。
で、寝てる時にそれは作られるので、簡単に言ってしまうと、起きてる時は消費者になって、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンを、お米みたいに、ササニシキ、ひとめぼれ、コシヒカリを食べて、エネルギーにして活動したり、お仕事したりすると。で、寝てる時は農家になって、脳みそを畑にしてそれを作ると。いうことをしていると考えた時に、やはり慢性的にそういう状態ってことは、生産と消費のバランスが、つまり休むという脳を休めてる時間が短くなってるんじゃないかなって思いますね。
なるほど。だからその3つの要素がどれか1つ、また2つ枯渇してる状況が、今回の本のテーマにもなってる半うつの状況じゃないかっていうような感じなんですね。そうですね。
私自身もなんとなくだるい感じというか、なんとなくの疲労感があるんですけど、とはいえやっぱり仕事するにあたって、当然うつ病にはなりたくないなっていう風に感じるんですね。ただ、危険なラインというか基準っていうのが自分の中であんまり分かってなくて、どこまで行くと半うつなのか、どこまで行くとうつ病なのか、どういう症状が現れたら半うつだっていう風に言えるのかっていったところをお伺いしたいんですけど。
本には20個のチェックリストが書いてあるんですけど、まずはうつ病に行く途中の間が半うつだと思ってもらっていいのかなって思うんですけれども、本当シンプルに言うと、僕よくね、ちょっと昭和の男なんでね、ドリフターズの『8時だョ!全員集合』っていうものがありまして、最後の歌が「ババンババンバンバン」って歌がある。あれで、加トちゃんが「飯食ってるか、風呂入ってるか」っていう呼びかけがあるんですけどね。まさにお風呂に入れてるか、それからちゃんとご飯食べてるかっていうね。あとは男性だったら髭が剃れてるかとかね。
そういう普段の日常生活で、難なくできることがすごくしにくくなってきて、なんだかお風呂に入るのめんどくさいなとか、ご飯食べるのめんどくさいから食べないで済ましちゃうとかね。そういう状態になったらまずはちょっと注意しなきゃなっていう風に思ってもらって、それが本当に2週間連続で続くようだったら、うつ病も考えないといけないっていう風に思ってもらうとすごく分かりやすいかなって思いますね。
神経伝達物質的に言うと、結局心のエンジンであるドーパミンがあまり分泌がうまくいってないとか、あとノルアドレナリンという、アクセルみたいなもんなんですけど、そのやる気って言われるものが神経伝達物質として分泌されてないと、見た目上やる気がないとか、ワクワクしないとか、楽しくないっていう状態になるので、自分の中で、あ、これってひょっとしたらと。よく皆さん真面目な方だと、そういう自分がダメだなってどんどん自分を責めちゃうんですけど、それは神経伝達物質のただの減少、枯渇の問題なので、ちゃんとそこに意識を持っていってもらって、あ、ちょっと俺減ってるかもと思って、まずはゆっくり休んでもらうとか、しっかり栄養を取ってもらうってことを大事にしてもらいたいと思います。
なるほど。どうですかね?この今の私の状況っていうのって、半うつって言えるラインまではいかないんですかね?
えっとね、ちょっと変な言い方、ギリギリ半うつかなっていう。ギリギリ半うつかなと思います。
そうか。ギリギリ半うつのラインをなんとか改善していくために、どういう対策をしていったら改善していくもんなんですかね。
精神科でよく認知行動療法って言うんですけども、考え方とか行動を変えると気分が変わるよっていう、そういう治療法があるんですけどね。まずはご自分でなんで疲れちゃうのかなっていうのを少し深掘りして欲しいんですけど、例えばお仕事自体はどうですか?お好きだとか、ちょっと言いにくいかもしれないですけど、もうこんなやってられないみたいな感じか。
そうですね。今の仕事自体、それこそ私半年前に転職をしまして、新しい環境で今仕事をしてるんですけど、仕事自体にそんな不満とかはなくて、やりがい持って楽しく働けてるなと思うんですけど、ただやっぱりどうしてもそんな楽な仕事ではないので、休みの日も、夜寝る前、家に帰ってからもずっと基本的に頭の中に仕事がある状況が続いてて、そういうのは確かにちょっと課題というか問題がある部分かなっていうのは思いますね。
今の話を聞いてると、やはりしっかりメリハリをつけて、休む時は休むと。で、食べる時は食べて、そして働く時は働くっていう風にしていただきたいんですね。ただどうしても現代社会ってスマホを持ってるので、スマホで世界情勢がすぐ飛び込んできてリアルタイムで見れたりとか、あとお仕事の連絡とかもつい見てしまいますから、なかなか休みが取りづらいんですよね。なので、意識的にもう何時以降はスマホ絶対見ないみたいなね。それこそ物理的に鍵がかかる箱とかを用意して、そこにスマホを入れて鍵かけてくれるぐらい、思い切ってそういうことやっていただいてもいいかもしれないですよね。
もう強制的にシャットダウンした方がいいってことですよね。そうですね。で、しっかりと休むというね。なるほど。
特に若い世代がこういう半うつに悩んでる人多いのかなっていう風に聞いてて思いまして。とはいえやっぱ一生懸命働いた方がいいみたいな。特に20代の若い間って、よくビジネスインフルエンサーの方々含めいろんな方が、20代はとにかく一生懸命働いた方がいいよって言ってくるので、こういう状況になるのも仕方ない部分があるのかなっていう風に思ってまして、とはいえ、うつ病になってしまったらもうそれこそ本末転倒だと思うんですね。そういう状況にならないために、日々の生活、仕事含めですけど、どういう風に送っていったらいいのかっていうところをお伺いしたいんですけど。
僕はよく、特に若い方にお伝えするのが、お仕事に対する考え方っていうのを。まずは本当基本的な原則が、どうしてもコロナとかで学校で十分教わってなかったりするっていうのもあるので、もう1回ちょっと基本に立ち返ってもらうのを、まず1つ提案してるんですよね。
ディズニーランドの例え話をするんですけど、ディズニーランドって、1万円近くのパスポートを支払った人は、ビッグサンダー・マウンテン乗ったりとか、ホーンテッドマンションに乗って、何も苦労なく楽しむことができると。逆にそこで遊びたいけど我慢して、キャストとして一生懸命ゴミを掃除して、綺麗なパークを保つっていう、その代わりに、遊びたいけど辛いけど、お仕事をすることでお金をもらうと。まず基本原則として、楽しいことにはお金を支払って、苦しいことをやるとお金をもらえるっていう、そういう労働っていうのは基本原則があるんですよね。
だけどやっぱりなかなかずっと苦しい状態で働くってのは辛いと思うので、ぜひ楽しんで労働する唯一のコツっていうのがあるんですけど、それはね、自分が働いてることに対して、自分では見えないけれども、それをすごく喜んで感謝してくれてる人がいるってことを想像するってことなんですよね。
例えば十石さんも、報道のお仕事とか、こういうお仕事をして、すごく疲れてると俺何のために仕事してんだろうなって思うことがきっとあると思うんですけどね。でもこうやって例えば十石さんが「あ、半うつ」ってみんなから言われて、「あいつ半うつらしいぞ」とか言われるのも恐れずに、ちゃんと自己開示をして、こういう番組を作ってくれるおかげで、「あ、俺もそうだね」って、その番組に共感して、しっかり休もうって思ってくれる人がいて。そしたらきっとその声は届かなくても、十石さんがこの番組を作ってくれたことによって感謝したり、感動したり、そして場合によってはその命を助けられて救われる人がたくさんいるわけですよね。
そういうことを想像できると、もうちょっと頑張ってみようかなっていう風に思えると思うので、まずはその基本原則、辛いことにはお金がもらえる、楽しいことはお金を支払うんだけれども、目の前にはいないけれども、自分の役割を通して誰かが喜んでいるその姿を想像できると、もうちょっと頑張れるのかなって思います。
なるほど。すごいいい言葉を今いただいたなって思います。本の中にもあったんですけど、結構日本人特有の恥の文化と言いますか、自分自身が半うつかもしれないって分かってても、気づいてるのにその心の不調を認めることができないというか。そうですよね。やっぱ恐怖がやっぱり影響してる部分あるのかなっていう風に思うんですけど、この心の不調を認めるために、どういうことを意識したらいいのかっていうのをお伺いしたいと。
そうですね。特にこの若い方っていうのは、僕の若い方ってちょっとなんかおじいさんみたいな話になっちゃいますけど、やっぱり恥ずかしいっていう感覚ってあって、よくあるのが、恥ずかしいと思ってしまう私は情けないみたいな、どんどん悪循環になっちゃうんですけど、僕よく「私は3つあります」って話をしてね、頭で考える私と、感情で感じる私と、あと体で動く私ってのがあるんですけど、結局頭で自分にはできない、無理だと思うと、自分は情けないとか思うと、心が不安感がすごく増してくるんですよね。
そうすると動物の本能として、不安があるものに対して向かっていくというのはやっぱり怯んじゃうんですよ。で、またその怯んだ自分を見て、こんなことで怯んでる俺はダメだなと思うと、また不安が強くなって、またさらに怯むみたいなね。どんどんどんどん悪循環みたいなことが起きちゃうんですけど、まずこれってね、動物の本能で、例えば僕らはクマが目の前に現れた時に、瞬時にクマと自分の力関係を把握して、クマの方が強いと思ったら逃げるっていうのは、生き延びるための大事なことなんですよ。
だけど2歳か3歳ぐらいの女の子が、「あ、くまさん、可愛い」とか言って、「一緒に歌いましょう」とか言って、『森のくまさん』の歌の優しいクマをイメージしたら、食べられちゃうじゃないですか。だからまずはその瞬時に相手と自分を比べて、強いか弱いかを瞬時に判断して、相手が強かったら自分が引くっていうのは、本当に普通の能力なんですよね、野生だと。まずはそういう自分を許してあげて欲しいんですよね。
だけども、人間の社会っていうのは単純に、自分が弱かったら引くとか逃げるとかっていうものではなくて、ちょっと弱くても、それを認めながら前に進んでいくっていうことが、結局仕事につながったり、自分の成長につながったりできるので、逃げたくなる自分を認めながら、その自分と一緒に前に進んでいくみたいなね。
体の自分に、「あ、そっか、そっか。俺を生かそうとして、目の前にクマがいるから逃げた方が生き延びれると思って、体の俺は逃げようとしてくれてんだな。決して情けないわけじゃなくて、お前、俺を救おうとしてくれてありがとう」みたいなね。そんな気持ちで体を労ってあげながら、許してあげながら、むしろ褒めてあげながら、でもここで一歩前に出ることで、しっかりお仕事をすることで自分が成長したり、お金をもらえることができるので、ダメだなって思える自分を許しながら、一歩一歩少しずつ進んでもらうと、意外にできるじゃんっていう気持ちになってくると思うので、そういう風に1個1個階段を登っていくように進んでもらうといいんじゃないかなって思います。
なるほど。ご著書の中にもあった、現代人の5人に1人が半うつの可能性があるっていう風に書かれていて、1つの要因としてやっぱりSNSとかもあるのかなって私も思ってまして。特にSNS時代で、InstagramやX含めていろんなキラキラした周りの話が自分の中に入り込んでしまって、比較してしまい。さっきの平先生のお話にあった、比較した先で自分が負けたっていう負けを認めることができたら、多分そこまで思い悩む必要ないと思うんですけど、どうしても自分もそれに対抗するみたいになっちゃうと、疲弊してしまう部分に繋がっちゃうのかなって、お話を聞いてて思ってたんですけど。
本当にSNSはね、僕が医者になった頃ってポケベルの時代だったんですよね。なので、こうやってすぐにいろんな人と世界水準で比べれちゃうっていうね。だから本当に携帯電話、スマホがない時代って、お友達と背比べしたりとかね。で、そこでちょっと悔しいとか、自分がちょっと上とか、そんな感覚で、それが自分の行動とかを決めるような指針にはならなかったと思うんですけど、今は世界水準で比べる人が存在してしまうっていう、このSNSは本当大変だなって思いますね。
比較っていうことで、先ほど動物の本能で比較して瞬時に上か下かを見るっていうのは、能力としては動物としては正常なので、それはまずは許して欲しいんですけど、あともう1つ、よくこれも誤解があるんですけどね、すぐに上か下かっていう風に判断をしてしまいがちなんですけど、例えば小学校1年生の時には足し算、引き算で、2年生に掛け算っていう風に、段階を追って人間成長していくわけですよね。で、中学になったら多分連立方程式とか、高校になったら微分積分とかね。
だけどみんな突然、目の前に現れた人が高校1年生なのか中学校2年生なのかも何も考えずに、あいつは微分積分できてる、俺は掛け算しかできない、情けないみたいな、そんな比較の仕方をしてて、すごくもったいないと思うんですよね。
確かに。例えば僕はこの仕事を25年やっているので、経験はたくさんしているので、こういう時にこうするといいよっていう風に、例えば若い先生にアドバイスするとね、「いや、さすがすごいですね。俺なんかもう全然そんなこと思いつきませんでした」とか、落ち込んじゃうんですよね。だけど例えば2年目の精神科の先生と25年目の精神科の先生だったら、やっぱさすがに25年目の精神科の先生の方が知識がないとね、これは異常なわけですね。
だからそこまでしてそれ自体も比べちゃうっていうことはちょっと行きすぎだと思うので、ちょっと冷静になって、例えば十石さんだったら、俺はまだ入って半年だから、これぐらいしかできなくてしょうがないみたいに、そういう部分も冷静に許してあげるといいんじゃないかなって思いますよね。
なるほど。置かれてる状況であったりとか立ち位置っていうのを、しっかりと自分の中で自認した上で周りと比較するっていうことですよね。確かに学校とかだと、1年生、2年生、3年生みたいな感じで、なんて言うんだろう、その階段の名称があるからすごい分かりやすいと思うんですけど、社会人になるとそれが一気になくなるじゃないですか。なんかみんな同じ土俵に立ってるように感じる部分があるので、やっぱりそういう状況が、間違った比較をしてしまう要因になってるのかなっていうのは、今の話を聞いて思いましたね。
そうなんです。そして今、どうしても僕らってあまりにもSNSで毎日毎日膨大な情報をインプットしてしまうので、やっぱり思考の速度がどんどん早くなっちゃってる。そして単純化してるような気がするんですよね。だから例えて言うと、一生懸命毎日毎日はしごの階段をよじ登ってるみたいな、そういうようなイメージで、必死に登らなきゃ登らなきゃみたいになってるような感じがするんですけど、
やっぱり僕らってもうちょっとゆっくり階段を1歩1歩上がって、今学校のお話してくれましたけどね、学校って例えば2階と3階の間に踊り場っていう、ちょっと休む場所があるわけね。だから1回踊り場まで来たんだから、まだ3階までは登ってないけど、2階からしたら半分上がってる俺って頑張ったなみたいなね。その踊り場で1回止まって、途中まで登ってきた自分を褒めてあげるっていう、そういう時間も取ってもらっていいんじゃないかなって思いますね。
なるほど。今までの仕事においてもそうですし、日常生活においてもそうですし、いい意味でも悪い意味でもあまり振り返る時間みたいなのを確かに持つ機会がなかったので。それこそ最初お話しされてた自分の弱さを認めるっていったところと、自分の立ち位置を理解するっていう、その上で自分で自分を認めてあげて褒めてあげるっていうのが、日常生活を健康体で生きていく道になるのかなっていうのは、今お話を聞いて私もすごい感じましたね。ありがとうございます。
完全に心が折れてしまう前にというか、今の憂鬱以上うつ未満の状態でなんとか踏みとどまるため、要は心が完全に折れてしまう前に、私たちビジネスパーソンができることって何なのかっていうのを、改めてお伺いしたいんですけど。
ありがとうございます。よくそういうお悩みをたくさんの患者さんから質問されるので、僕よく「島を作る」っていう言い方をしてるんですけど、例えば真面目な方ほど、お仕事イコール生きることだと思ってるんですよ。つまりその仕事の島でしか生きてないみたいな。
だけど、例えばソロキャンプの島があって、サウナで整う島があって、バイクの島があって、レゴブロックの島があってみたいに島をいくつか持っておくと、例えば仕事で嫌なことがあったり、仕事で追い詰められたとしても、ここはちょっとしんどいから1回ソロキャンプの島に行ってソロキャンプをしてみる。でもソロキャンプも今クマが出るから危ないと思ったら、じゃあ整ってみるみたいに、ちょっと三口割りっていう言い方もするんですけどね、そういう場所をいくつかぜひ作って欲しいんですよね。
本当真面目な人ほど、お仕事に全力を注いで、仕事がうまくいかないイコール人生がうまくいかない。仕事で何か終わったって思うと、人生が終わったっていう風に誤解しちゃうので。人生は仕事だけではないので、ぜひそういうものをいくつか作ってもらって、そこでまた楽しんだりワクワクできると、また元気が出てきて、また仕事の島に戻れる可能性もたくさん出てくるので、そういう意識を持ってもらうとすごく楽なんじゃないかなって思いますね。
なるほど。複数の島を持つっていうことですね。そうですね。だから島っていうのは、例えば趣味とかそういうものになるんですかね。
そうですね。ただ、僕がなんであえて島って言うかというとね、区切られてるわけですよね。僕も例え話が好きなんで表現をするんですけど、やっぱりこのお仕事しかないっていうのは、お仕事の国、お仕事の日本国みたいなところに住んでて、そこから出れないような感覚でいるんですよ。だから趣味を持ってねって言うと、この仕事の島の中でちょっと趣味を持っちゃうから、お仕事で追い詰められた時に趣味に切り替えようっていう感覚になれないんですよ。なのであえて島として、飛行機で行くとか船で渡らないと行き来ができないぐらいに、しっかりと区切って島を作ってもらいたいなって思うんですよね。
なるほど。確かに僕も結構個人的には趣味ある方だなっていう風に思ってるんですけど、さっきの平先生のお話だと、多分その仕事の島の中に自分の趣味が何個かポツポツってあって、ずっと頭の中に仕事があるっていうのは多分そういう理由なのかなって、お話聞いてすごい思いましたし。どういう風にしたらいろんな島を持てるようになるんですかね?
そこでよく「いや、先生はそうおっしゃいますけど、私はとても会社で重要なポジションにいるので、そんなお仕事のことは忘れられないんですよ」っていう風に言っていただく方もいるんですけどね。ただ僕もそこそこ重要なお仕事をしていて、例えば1日にやっぱり1人とか2人ぐらいは、うつがひどい方だと、もう死にたいっていう話をされるんですよ。
そうするとやっぱり研修医の頃は、あの人死んじゃったらどうしようとか、帰ってきた後ずっと患者さんのこと考えてるんですよ。でもそうするとやっぱり脳のセロトニンとかドーパミンが消耗してしまうので、結局その神経伝達物質がなくなっちゃうんで、次の日に全然疲れが取れてなくて、正常な判断ができないみたいな、いわゆる半うつみたいな状態になっちゃうので、覚悟を持って、つまり次の日のパフォーマンスを最大限に発揮することがその患者さんにとってベストなことだという風に、自分にもう腹を決めて、覚悟を決めて、帰ったら一切クリニックのことは考えない、患者さんのこと考えないっていう風に、次の日の診療にベストを尽くすっていう風に決めたんですよね。
だから逆に、どっかで「俺こういう風にずっと仕事のこと考えてて、なんかちょっと責任感ある」みたいな、そういう感覚になっちゃうと思ってしまう。その思いが侵入してくるから、どんどんどんどん休めない状態になってきちゃうので、もう覚悟を持って、帰ってきたら仕事のことは一切考えない。覚悟を決めて仕事のことをしないで、のんびりボーッと家ではしてほしいなって思います。
なるほど。私も島が1個だけなので、今後増やしていきたいなっていう風には思ったんですけど、例えばどういう島があるんですか?なんか何でもいいと思うんですけど。
本当にね、今の質問もすごくいい質問なんですけど、実際趣味を持てって言われても何を持っていいか分かりませんっていう質問も多いんですよね。そん中で1つ、未来に向けて新しく趣味を見つけるのもいいんですけれども、過去に自分がどんな人間なのかっていうのを振り返ってみるっていうのは1つ方法があるんですね。
例えば僕は精神科の仕事をしてるんですけど、子供の頃、俺何が好きだったかなって思った時に、プラモデルを作るのが好きだったんですよね。あと時計とかを分解するのが好きだったんですよ。なのでそうやって、ちょっと時計壊しちゃって親に怒られたりもしたんですけれども、何か仕組みを明らかにすることがどうも俺は好きらしいと。だから今ある材料、もらったものを上手に組み合わせて、より良いものを作るみたいな、そういうことが好きなんだなってことが分かったんですよね。
で、これ「エッセンスを見る」っていう言い方をするんですけど、自分の中のエッセンスっていうのを見てもらうと、実は今やってる仕事ってまさにそんな感じで、例えば傾聴という技法だったり、認知行動療法っていう技法だったりとか、様々なクリニックでの患者さんとの対話の仕方があるんですけどね。そういうものを上手に集めてきて、今いる患者さんをより良い状態にしてあげるっていうね。あ、それってずっとレゴブロックとかプラモデルでやってたことを今仕事としてやってるんだなっていう風に、これが分かると、あ、これが趣味でいいんだみたいな、逆にそういう風なことも分かりますし、大体人間って、あんまり自分の性格とか好きなもの変わらないので、過去に学ぶっていうこともしてもらうと、趣味を見つけやすいかなって思いますね。
なるほど。確かに。大人になってから新しくいっぱい趣味を作るっていうよりは、昔どういうものが好きだったかっていうのを自分の中で振り返ってみて、そっから派生した趣味を新しく探したりとか作ったりするっていうのも、1つ作戦としてはありっていうことですね。そうですね。
僕の実際今の話でね、患者さんで、お花が大好きなんだけどお花が枯れるのが辛くて、お花屋さんになりたかったけど、でも枯れちゃうお花が嫌いで、なれなかったっていう方がいたので、じゃあお花だけ毎日眺めに行ったらってことで、いろんなお花屋さんを見ているうちに、プリザーブドフラワーの講座が目に止まってね。で、あ、こう……先生が「あとはすごい熱心だし、才能あるから先生になっちゃったら」って言われてね。で、今プリザーブドフラワーの先生をやってらっしゃる患者様いますね。
ええ、素敵ですね。大人になってからいろんな趣味を見つける機会があってっていう。なるほど。ありがとうございます。
なんか本当に今日すごい色々貴重なお話を伺って、まずはやっぱり自分の弱さを受け止める、認めるっていったところで、自分の立ち位置を理解して、比較してただただショックを受けて打ちひしがれるんじゃなくて、自分の立場をしっかり理解した上で比較して、負けをマイナスに捉えないというか、見ても仕方ないんだっていうような気持ちで向かうっていう。であとは、前に防げる方法っていうのはやっぱ色々あるんだなっていうの、私自身も今日勉強になりましたし、やっぱ知らない方が多いと思うので、このお話をきっかけに色々と知っていただけたらなって私もすごい思いました。若手のビジネスパーソンが生き生きと働いていくために、やっぱりうつ病にはなりたくないけど、一生懸命働いて人を喜ばせる仕事がしたい。
活躍したい。これを両立させるために、実現するために、どういう風な人生を送っていけばいいのかっていったところを最後にお伺いしてもいいでしょうか?
はい。本当にね、まずどうしてもお伝えしたいのが、僕は実は今年、3.11で15年目になるんですけども、石巻で被災して、精神科をやっている病院で被災をしたんですけれども、そこで、いつ死ぬかわかんないから、もうどうせ死ぬんだったらやりたいこと何でもやってみようと思ってね。それでチャレンジをして、1つが開業で、もう1つが本を書くことだったんですよね。幸いその本が皆さんのお手元に届くことができて、本当に僕は幸せなんですけども、
まずね、ベースとして、実は生きてるだけですごいっていう、本当素晴らしいんだってことはぜひ持ってほしいんですよね。どうしても日々の生活で、あの人より上だとか下だとか、そういう風についたり、あと「あの人嫌いだ」とか「あの人は私のこと嫌ってる」とか、そういうの言うんですけど、
僕ね、今話をしてて思い出したことがあって、ちょっと僕のことがあんまり好きじゃないんだけれども、どうしても主治医が変えられなくて、僕にずっとかかってた、すごく不機嫌な、僕と同じぐらいの同年代の男性の患者さんがいたんですね。その方、3.11の時から半年、8ヶ月くらいかな、全然来なくなってしまって、あれ、ひょっとして津波に飲まれて亡くなっちゃったかなと思ったんですね。
だけどもある時ひょっこり現れて、実は東京に避難していたんだけど、だいぶ仮設住宅もできてきたので戻ってきたということでね。で、会った時に「わあ、本当生きててよかったね」っていう風に、もうお互いに。なんかちょっと治療方針が対立とかあって、意見を言い合っていたような人だったんですけど、会った瞬間にもうそんなことどうでも良くなって、「わあ、生きててよかった」っていう、そういう感じになったんですね。
だから僕ら逆に、上と下を比べたり、好きだ嫌いだって、被害者加害者になったりできるのって、やっぱり生きてるのが当たり前だと思うからそうなっちゃうので、本当に今世界情勢も不安定ですけど、幸い日本はこうやって今この時点では平和を享受しているので、まずはもう生きてるだけでいいんだなっていうね。
で、その生きてるだけで十分ありがたいっていう前提の上に、じゃあせっかく生きてるんだから、自分のやりたいことをやってみようとか、今やりたいことを仕事にできてない方としても、お仕事をしてお金をもらうことで、そのお金を使ってちょっとした趣味を始めて、それにすごく心を夢中にしてもらったりとかね。
そんなことをやりながら、最終的に先ほど言ったようにね、実は自分のやってることで本当に助かったりね、救われたり、あと元気になってる誰かがいるんだってことをね、忘れないで働いてもらえたらいいのかなって思いました。
なるほど。ありがとうございます。もうだから生きてるだけでこう幸せだっていうことと、日々感謝しながら生きるっていうことがとても大切だっていうことですね。
今回「半うつ」っていうテーマのお話でしたけども、日々仕事をしていく上で、日常生活を送っていく上で、どういう気持ちで日々の生活を送っていけばいいのかっていう、その指針みたいなのが今日平先生のお話を聞いてすごい自分の中でも明確になったなっていう風に思うので、すごくいい機会になったなっていう風に思います。大変なお話ありがとうございました。
はい、ありがとうございました。ということで今回は、精神科医の平光源さんにお越しいただきました。本日はありがとうございました。
ありがとうございました。ありがとうございました。はい。
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