焼肉屋のスープを鍋にする:リュウジのユッケジャン鍋と、料理YouTubeへの本音

YouTubeで開く ↗
概要

料理研究家のリュウジが、スタッフのA子さん(字幕では「A子さん」「A子」)に食べたいものを尋ねたところ、「鍋が食べたい」という答えが返ってきた。そこで作ったのが、日本の焼肉屋で出るユッケジャンスープをもとにした「ユッケジャン鍋」である。この回は「まかない企画」として撮影されている。調理の途中では、料理YouTube界隈の勢いが落ちていることについて、リュウジがかなり率直に語っている。

12分で読めます
0:15

キムチ鍋ではなくユッケジャン鍋にした理由

寒くなってきたので、リュウジはこれから鍋をどんどん作っていくつもりだという。キムチ鍋はこれまでに作っており、関連する新商品も出ているため、今回は別の辛い鍋にしたと説明している。

リュウジによれば、日本の焼肉屋にあるカルビスープは醤油味の牛肉スープで、ユッケジャンスープは味噌味のスープとされている。韓国式はまた少し違うとも補足した。古い焼肉屋には「テグタンスープ」というものがあり、これも味噌味だという。A子さんが白いスープを思い浮かべて驚くと、リュウジは「それはコムタン」と訂正した。ただしリュウジ自身、この分類には諸説があり、焼肉屋によって違うと断っている。

1:52

材料:白菜もキャベツも入れない

材料は安いアメリカンビーフ(バラ肉)、しなびかけの長ネギ、椎茸、大根、豆もやしである。長ネギは捨てるのがもったいないから使うという。椎茸がなければ平茸など、どのキノコでもかまわない。牛肉が高いと感じるなら豚肉でもおいしく作れる、とリュウジは言う。

A子さんは大根を入れることに驚き、白菜やキャベツを入れないのかと尋ねた。リュウジの答えは、白菜やキャベツを入れるといわゆる普通の鍋になってしまう、というものだった。鍋で大根はあまり食べないでしょうと問われ、A子さんも「新鮮」と応じている。豆もやしはおいしいので用意したが、なければ普通のもやしでよい。

肉の量は、用意した300gではやや多いという話になった。鍋なので好みでよく、基準は250〜300gで、もっと入れたければ増やしてかまわない。今回は250gを使っている。A子さんは野菜が多いほうがうれしいと話した。

5:59

ニンニクとごま油で肉に下味をつける

リュウジは、元がスープ料理なので炒める工程が非常に重要だと強調する。最初に牛肉へおろしニンニク約15g(大きめなら3片、今回は小さめなので4片ほど)を加え、さらにごま油小さじ2を絡める。これはチゲスープと同じような作り方で、ニンニクの香りを肉に移すための下味だという。この状態で少しマリネしておき、その間に野菜を切る。

切り方は細切りが基本である。リュウジによれば、ユッケジャンの具は細切りで、鍋でもつまみやすい。大根は200gほどで、好きならもっと入れてよい。長ネギは120gほどを斜め切りにする。細いネギだったので少し足したそうだ。椎茸は3〜4個を1cmほどの厚めのスライスにする。こうすると歯ごたえが残り、薄くしすぎないほうが鍋らしくなるという。軸も切れば食べられる。椎茸が苦手な人もいるので、ほかのキノコでもよいとリュウジは補足した。

リュウジは「今日は野菜たっぷりで意外とヘルシー」と話す。今回はバラ肉を使ったが、ヘルシーにしたければ脂の少ない切り落としでもよい。豚肉ならロースでよいとも言い、A子さんも豚はロースを選びがちだと応じた。

3:54

料理YouTube界隈が「元気がない」という話

ニンニクをすりおろしながら、話は料理YouTuberの近況へ移った。リュウジによると、15〜16年前の料理界隈ではみんなが切磋琢磨して更新し合っていた。ところが今はあまり動画を出していないという。

具体例として名前が挙がったのが「たけし」である。1か月更新しないこともあり、案件動画しか出さないとリュウジは冗談まじりに不満を述べた。1人で全部こなし、クオリティも高いのに「できるのにやらない」と言い、視聴者に「たけし動画出せ」とコメントするよう呼びかけている。たけしもユッケジャン鍋を作っているが、「絶対俺のがうまい」とも言った。

もう1人はCOCOCOROチャンネル(字幕表記)の大西さんである。リュウジより長く活動している動画のパイオニアだが、最近はキッチンカーなどYouTuber以外の活動に力を入れている。前日の配信では新しい動画を出さないような趣旨のことを話し、過去の動画を再編集して出すと言っていたという。撮り直しではなく再編集だけなので、リュウジは「誰が喜ぶんだろう」「僕は完全にないなと思ってます」と批判的だ。ファンは過去の動画を見ているのだから新しいものを見たいはずだ、というのがリュウジの考えである。実際に「新しい動画出してください」とコメントしたという。

A子さんが、料理動画の再生数が落ちた理由を尋ねた。リュウジは、料理動画が多すぎるからだと答えている。たとえばハンバーグを作ろうと思えば、YouTube内にハンバーグの動画はいくらでもある。人は一度最高のレシピを覚えるとずっとそれで作るので、新作を見る動機がない。リュウジたちは誰もやっていない時期に始めたから伸びたが、市場はすでに飽和した。今はトークやエンタメが面白いかどうかで見られる、というのがリュウジの分析である。

数字が落ちるとYouTuberはものすごくやる気をなくす、自分もそうだ、とリュウジは認めている。そのうえで、厳しい業界だがみんなに動画を続けてほしいと話した。ショート動画の9割ほどを作っているA子さんも、伸びない状態が続くと落ち込むと打ち明けている。最近はスタッフの恵比寿君がやる気を見せていることにも触れ、A子さんは「素敵だな」と評した。

11:13

牛肉を炒め、大根にも味を絡める

ここで牛肉を炒める。ごま油はすでに絡めてあるので、そのまま火にかける。炒めて出る香ばしさがユッケジャンの風味を強めるという。リュウジは、最近は年のせいか油がきつくなってきたので、自分のレシピでは油をあまり使わなくなったと話す。塩分はそこそこ持たせているが、普段の食事に合う方向へ寄せているそうだ。

焼く工程は「すげえ重要」で、ニンニクも焼くかどうかで味が違うという。火が通るまで炒めてよいかとA子さんが尋ねると、リュウジは通るまでやってよいと答えた。牛肉は煮込まないほうがよいと言われることもあるが、薄切りなら関係ないので煮てしまってよいという。味付け前のニンニクとごま油、牛の脂だけの段階でも、二人は食欲をそそる香りだと話している。

続いて椎茸と大根を加える。長ネギは最後に飾りたいので後回しにする。大根は炒めて味を絡ませたほうがおいしいという。リュウジは、自分は試作して本当においしいと思ったものを届けており、その場のノリで作ってもおいしくなければボツにしていると話した。そのたびにスタッフのテンションは下がるが、おいしいものを届けるためだという。

13:32

コチュジャンを炒めて赤みと深みを出す

大根がしんなりしたらコチュジャンを入れる。ところが手元の容器にはほとんど残っておらず、大さじ1杯分も取れなかった。普段あまり使わないので一瞬慌てたが、冷蔵庫にもう1つ見つかった。使う量は大さじ2と半分である。

リュウジによれば、コチュジャンは炒めることで深みが出る。ユッケジャンの赤い色もここでつく。味噌類は焼くと香ばしさが増すので、軽く炒めてから水700ccを加える。

14:45

味噌・砂糖・ダシダ・一味で味を決める

日本の焼肉屋のスープを参考にしているので、このスープは味噌がベースである。コチュジャンだけだとどうしても甘くなるため、味噌を同量入れて半々にするとリュウジは説明した。今回はリュウジの好きなやまぶき味噌の淡色系を大さじ2と半分使っている。普通の田舎味噌でよく、白味噌でもおいしい。ただ、色とコチュジャンとの相性を考えると、濃い味のほうが合うと考えたという。

次に砂糖を小さじ1入れる。リュウジは砂糖をあまり入れたくないが、旨み付けのために少しだけ使うと話す。こうした微妙な砂糖の使い方を理解すると料理がうまくなる、というのがリュウジの持論である。砂糖を入れると旨みとコクがつき、旨味調味料の代わりになることもあるという。

続けてダシダを大さじ1と小さじ1入れる。なければ鶏ガラスープの素、牛肉スープ系ならビーフコンソメでもよい。中華スープの素でもおいしくできるが深みが違うので、鍋にはダシダを勧めている。リュウジは、ダシダには味の素が入っていると付け加えた。

辛みは一味唐辛子小さじ1でつける。韓国唐辛子でもよいが、あまり売っておらず、そもそも辛くないという。辛いもの好きなら2倍、3倍に増やしてよい。リュウジによれば、コチュジャンだけでは全然辛くならない。A子さんが豆板醤を使うと思っていたと言うと、リュウジは、豆板醤は基本的に中国の調味料で、韓国料理には本来使わないと答えた。

味見をしたリュウジは「焼肉屋さんのスープっぽいでしょ」と言う。大根は細切り、椎茸もスライス済みですでに火が通っているので、あまり煮込む必要はない。

17:55

豆もやし、溶き卵、仕上げのネギ

豆もやしは洗わずに使えると袋に書いてあるので、そのまま加えて少し煮る。リュウジは、豆もやしがあると食べ応えが出て、具材が日本風ではなく韓国らしくなると話している。

最後に、好みによるが溶き卵を1個入れる。リュウジによれば、卵を入れるとまろやかになり、辛さもそれほど感じなくなる。卵は計量カップでほぐすと早い。線を切るように平行に動かすと、白身が切れやすいという。卵は具材というよりスープに絡ませるもので、要は卵のスープであり、卵は具ではなく味なのだ、とリュウジは説明した。

最後に残しておいた長ネギをのせる。ネギは香りと青みのためで、野菜の爽やかな香りがするという。食卓で一味唐辛子を追加して完成となった。A子さんは「ラーメン入れたくなる」と反応し、リュウジはラーメンを入れても、ご飯にかけてクッパにしてもおいしいと答えている。

21:00

実食:大根と卵が効いている

A子さんがまず評価したのは大根だった。リュウジによれば、最初は大根ではなくニンジンを入れていたが、大根のほうが甘さが控えめでよいという。肉は最初に炒めてあるので香ばしく、味もちゃんとついている。A子さんは「私ぐらいの辛さはいけます」と話した。リュウジは、卵を入れなければかなりヒーヒー言っていたのではないかと見ている。リュウジ自身はもっと辛くてもよいそうだ。

リュウジは、味噌味の鍋スープはあまり聞いたことがないだろうと言い、食感のバリエーションが豊富なので飽きないと強調した。A子さんは豆もやしの食感と卵を挙げ、1人前で作ってみたいと話している。半量で作ってもよいが、卵は加減してほしい、1個入れても平気だろうとリュウジは答えた。半量でも1.5人前ほどになる。鍋であると同時にスープでもあり、伸びる具材も入っていないので、取り置きして後で温め直しても味は劣化しないという。

具材のアレンジも話題になった。リュウジはニンジンなどほかの具材でもよいと言い、A子さんは油揚げを入れたいと提案した。「赤から」の鍋に油揚げが入っているので合うはずだ、という理由である。リュウジもそれは良さそうだと応じた。A子さんは餅も入れたいと言い、リュウジは米が合うのだからうまいはずだと賛成している。

さらに韓国風にしたければ、仕上げにごま油を少しかけてもよい。ただしごま油の香りが強すぎると苦手な人もいるので、好みによるとリュウジは付け加えた。昔の自分ならもっと油を入れていたが、油は肉からも出るので、今の量でくどくないとも話している。

24:54

シメのクッパ:ご飯は煮込まずにかける

シメはクッパにする。リュウジによれば、日本のクッパはご飯を煮込んだ形が多いが、あれは本来のクッパではない。韓国ではご飯が別添えで出てきて、スープとして飲んでもご飯にかけてもよいスタイルだという。ご飯を煮るとデンプンが出るので、厳密にはかけたほうがさらっとしたクッパになる。鍋にご飯を入れればユッケジャン雑炊になってしまう、とリュウジは説明した。

この方法には実用的な利点もあるとリュウジは言う。シメのタイミングは人によって違うが、ご飯を盛ってスープをかけるだけなので、鍋を食べ続けている人がいても全員がクッパを食べられる。クッパは箸ではなく銀のさじで食べるものだとも話している。

食べた二人は汗が止まらない様子だった。リュウジは唐辛子のカプサイシンには痩せる効果や脂肪を燃焼させる効果もあると話している。A子さんは、最初からこのスタイルで夕食にしてもいいかもしれないと言った。リュウジも、ほかにおかずはいらない、この鍋1つで勝負できる、普段の食事としても楽だと応じている。3〜4人前のはずが二人でかなり食べてしまい、残りは後から来るスタッフのまかないに回すことになった。

28:43

毎日投稿を続ける理由と、大西さんへの呼びかけ

終盤、リュウジは「この動画、伸びるといいな」と漏らした。まかない企画ではいいものを撮っているが、ユッケジャン鍋はおそらく伸びないだろうとも言う。それでも絶対にうまいものをやるのがこの企画だという。A子さんによれば、まかない企画のレシピは、視聴者がリピートすると言うほど当たりが多いそうだ。カメラの画角をいろいろな人に担当してもらった結果、A子さんの画角が一番見やすいと言われたという話も出た。A子さんは全部の動画とコメントに目を通しており、時に傷つくこともあると笑っている。

続けることには体力がいる、とリュウジは認める。それでも毎日投稿をやめないのは、「リュウジのバズレシピを毎日見て献立を決めている」というコメントがあるからだという。A子さんも、今日は何かなと動画を見てから買い物に行く、という声がよくコメントに寄せられていると話した。リュウジは、自分たちは視聴者に見てもらってご飯を食べられているので、その人たちを裏切ってはいけない、コンテンツだけは裏切ってはいけないと語った。普段の動画ではこんなことは言わないが、もっと料理業界を盛り上げたい、とも話している。

話は再び大西さんに戻った。二人は大西さんにこのチャンネルへ来てもらい、料理を作ってもらおうと盛り上がる。色々やりきった人の料理だから凝っていて面白い、とリュウジは評した。こちらの視聴者から声をかけてもらえばやる気が出るかもしれない、とA子さんも同意し、リュウジは「普通にコラボしましょうか」とカメラ越しに呼びかけた。

最後にリュウジは、激辛ではなくちょうどいい辛さに仕上がっているので、辛いものが苦手でなければ寒い時期に試してほしいと締めくくった。