「金利上昇よりは円安」に世論が傾くとき 唐鎌大輔氏が語る“円安慣れ”のリスク
TBS CROSS DIG with Bloomberg円安と金利上昇が同時に進むなかで、世論が「円安はある程度仕方ない、それより金利を止めてほしい」と考え始めたら何が起きるのか。TBS CROSS DIG with Bloombergの番組「エコラボ」で、MCの竹下隆一郎氏が提示したのはこの問いである。解説を務めたみずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏は、通貨防衛の観点からは利上げが必要だという立場をとる。そのうえで、利上げが経済に効き始め、世論が反対に転じたときに円安が新しい局面に入る可能性を、今後最も注目すべき点に挙げた。収録は2026年10月1日午前で、番組は「日米の高官発言」「世論の円安慣れ」「書評」の3部で構成された。
日米高官の発言が相次いでも円高にならない
第1部では、最近の日米の政府高官の発言が取り上げられた。片山財務大臣はブルームバーグのインタビューで、自分はリフレ派ではないと改めて述べ、日銀の独立性を尊重すると語った。ベッセント米財務長官はX(旧Twitter)への投稿で、片山財務大臣と生産的な電話会談を行ったと報告した。その中で、日本の強固な経済基盤を反映した強い円が望ましいことを議論し、通貨市場について密接な意思疎通を維持する重要性も話し合ったと述べている。さらに日本側からは、アベノミクス期のリフレ政策の局面はすでに終わり、現在は金融緩和ではないという趣旨の発信もあった。
唐鎌氏は、これらの発信が「リフレをやめろ」と言われた後に相次いだという時間的な順序に注目する。市場参加者は、相当強く言われたのだろうと受け止めるはずだという。それでも一連の発言を受けて円高には向かわなかった。唐鎌氏によれば、市場は同じ種類の発言を繰り返されるほど免疫をつけて学習していく。ベッセント長官の同様の発言も含め、「どうせまた違うことを言うのだろう、今までもそうだった」と考えた参加者が安心して円を売る、という流れが繰り返されているという。
日銀「主な意見」の公表で円が急落
収録当日の値動きは、その典型例として紹介された。10月1日午前8時50分に、9月の日銀金融政策決定会合の「主な意見」が公表され、その直後から円が急落した。市場が反応したとみられるのは、内閣府の出席者の意見とされる記述である。そこには、累次の利上げが累積的に与える影響について十分点検してほしいこと、中立金利も踏まえて検討していく必要があるのではないかということが書かれていた。
唐鎌氏は、これを利上げしてほしくない意向と受け取った参加者が円売りに動いた、というのが収録時点での整理だと説明した。この出席者は担当大臣ではないかという見方も市場では出ているという。高官発言の後にこれが出てきたことで、為替市場の参加者の多くは「ほら言ったじゃないか」と感じたはずだと唐鎌氏は推測する。高官発言に合わせて円を買っていた人は大きな損失を被ったと考えられる。そうした経験の繰り返しで、円安牽制への市場の感応度は鈍くなっているという。
唐鎌氏は、リフレの定義は幅広いので「リフレ派ではない」という説明自体は間違いではないかもしれない、とも述べた。ただし「リフレではないが円安でよいと思っている」立場や、「リフレ政策は支持しないが、利上げは不適切だと思っている」立場もありうる。今回の文面は後者に見える。そう解釈されれば、市場参加者は「利上げできないなら円を売る」という行動をとるので、議論が堂々巡りになる。唐鎌氏は、為替市場には直情的な参加者が多いので、円売りにつながりそうな材料はいったんすべて箱に入れて蓋を閉めるべきだという考えを示した。怪しい材料がつきまとう限り、円売りのゲームは続くからである。
利上げ観測が後退しても円安は止まらない
今後の注目点として、唐鎌氏はまず2日に発表される米雇用統計を挙げた。統計を受けてドル円が160円で定着した状態で日銀会合を迎えれば、利上げを催促する動きが始まる可能性が高いという。もう一つの注目点はグローバルな金利上昇である。日本だけが原因ではないにせよ、ここまで金利が上がっていることは、日銀が利上げを催促されているとも受け止められる。
番組ではブルームバーグのデータが示され、10月の利上げ確率は2割を切っていた。今回の「主な意見」で利上げ観測はかなり後退したことになる。それでも円安は進んでいる。唐鎌氏は、金利先物の織り込み具合とスポットのドル円相場は必ずしも1対1では動かないと指摘した。目先の織り込みが落ちても、12月までに1回、来年9月までに3.5回の利上げが織り込まれている。この道筋が見えている限り、「金利は上がるが円安も進む」というのが市場のメインシナリオになっている、というのが唐鎌氏の見立てだ。
これを覆すには、市場の期待を超える一手が必要だと唐鎌氏は言う。市場が1回25ベーシスポイントと見込んでいるところで、たとえば50ベーシスポイントの利上げを行えば、「当分次はない」と市場に思わせることができるかもしれない。ただし唐鎌氏自身、今回の主な意見を見る限り、50ベーシスポイントの利上げができるとは思えず、現実には難しいだろうと付け加えた。
中立金利2%は本当にゴールか
第2部で唐鎌氏は、日本経済が痛むかどうかにかかわらず利上げを続けなければならない状態になっている、と現状を整理した。利上げは為替に効かなくても経済には必ず効くので、どこかで負の影響が出てくるはずだという。
市場では、中立金利と思われる2%前後で利上げが打ち止めになるという見方に集約されつつある。しかし唐鎌氏は、日銀がそう言ったわけではなく、中立金利は事後的にしか分からないので、ほかの指標も見るべきだと述べた。そこで示されたのが日米の実質10年金利である。両国の実質10年金利はほぼ同じ1%程度にある。日本とアメリカの経済の実力が同じだとは考えにくいので、日本の実質金利は高すぎるのではないか、という見方もできなくはないという。
唐鎌氏は、2022年1月から今年4月までの日本の実質金利上昇の要因分解も示した。実質金利は名目金利とインフレ期待に分けられる。インフレの寄与も大きいが、それ以上に大きいのは名目利回りの上昇分である。唐鎌氏はその原因を、日銀が国債を買わなくなったことや低金利政策をやめたことに求める。その意味で、現在の金融政策のもとで利回りはすでに十分な水準になっている、という見方もできなくはない。唐鎌氏が「できなくはない」という言い方を繰り返すのは、日本経済にとって引き締めすぎでも緩和しすぎでもない水準がどこなのか、誰にも正確には分からないからだ。ただ、アメリカと同じ実質金利まで来ている以上、今後タイムラグを伴って下押し圧力が出てくる可能性はある、と唐鎌氏は述べた。
唐鎌氏は自身の立場を明確にした。為替の分析を生業とする者として、通貨防衛の観点からは利上げが必要だと主張している。一方で、日本経済がそれに耐えられるかと問われれば「分からない」と答えるしかない。ダメージがあってもやらなければならない、というのが現在の立場だという。
世論は今は利上げ支持だが
唐鎌氏は、世論も現時点では同じ方向にあるとみる。日銀会合をめぐる世論調査として、唐鎌氏はANNの調査を挙げた。記憶の範囲として、9月の利上げを支持する回答が54%程度、反対が27%だったと紹介した。金利上昇と円安のどちらを取るかと問われれば、金利上昇は嫌だが、これ以上の円安はもっと困るので利上げするしかない、と世論は傾いていると唐鎌氏は解釈する。今後出てくる調査でも、多くは利上げ支持になるだろうという。
問題は、その支持がいつまで続くかである。利上げは必ず経済に効いてくるし、メディアが好んで取り上げる住宅ローン金利の負担も増していく。唐鎌氏は、支持と反対の比率が逆転し、たとえば反対60%、賛成20%になれば、日本ではもう利上げはできなくなるだろうと見る。政治もそうした世論を放っておかないはずだという。そのとき世論は「円安はある程度仕方ないから、これ以上の金利上昇は困る」と言うようになり、円安は新しい局面に入る。
唐鎌氏は自身のnoteに「利上げカードの浪費」と題した記事を書いている。その中では、2名の反対票が出たことで25ベーシスポイントの利上げがほとんど効かなかったと論じた。こうした状況の先に、円安容認の段階が来ることを唐鎌氏は懸念している。その段階が向こう1年のうちに来るとは思わないが、1年先は分からないという。1年後には政策金利が2%に達しているはずなので、2%より先の世界で世論がどう動くかに強く注目していると唐鎌氏は語った。
竹下氏は、最近の日銀を見ていると、世論をまったく無視して高度な経済判断だけで動くとは思えず、世論に引きずられるはずだと応じた。その引き金になるのは、生活者の財布に直結する住宅ローン金利ではないかという点で、二人の見方は一致した。唐鎌氏はさらに、そう遠くない未来の話と考える人もいるだろうと述べた。現役世代では、円安によって保有資産が膨らむ人が増えている。そうした層の中から円安を容認する声が出てくる心配もあるという。竹下氏は、それは1ドル170円、180円という話がいずれ出てきてしまう考え方だと指摘した。
「大丈夫か」を問う段階は終わった
竹下氏は、講演や経済人との面会で、日本はどこまで利上げに耐えられるのかと聞かれないかと尋ねた。唐鎌氏によれば、政策金利は中立金利の2%までは行かなければならないと話すと、最もよく聞かれるのが「そんなに利上げして大丈夫なのか」という質問だという。唐鎌氏の答えは、大丈夫かどうかを問う段階はもう終わっている、というものだ。円安を止めることだけを目的にするなら、累次の利上げが必要になる。歴史を振り返っても、通貨危機に陥った国はやりたくて利上げをしたわけではない。通貨を止めるために、痛みを伴う利上げを望まないまま続け、なんとか止めてきた歴史がある。
唐鎌氏は、日本がこれほど早くそれをやらされるとは思っていなかったと述べた。そのうえで、通貨防衛をメインテーマに置いた以上、成長は大丈夫かという問いは残念ながら論点にならない、と言い切った。ただし、世論が「通貨安で構わないから金利を抑えろ」と考えるなら、日銀の運営は変わってくる。その代わり円安は止まらなくなる、というのが唐鎌氏の整理である。
唐鎌氏は、2年弱続いてきたこの番組で何度も同じ話をしてきたと振り返った。日本は円安と金利上昇のどちらかを飲まなければならなくなるので、早めに定期的に25ベーシスポイントずつ上げていれば、円安はそれほど進まずに止まるのではないか、という話である。結局は利上げを嫌がってきたことで、より大きなものを飲まされているのが現状に見えるという。それでも政策金利はまだ1.25%で、先進国の中ではかなり低い。
情報発信は慎重であるべきだ
唐鎌氏は、政策委員には独立性があるので、0.25%の利上げに反対票を入れるなとは言えないと認める。ただ、せっかく使った25ベーシスポイントの利上げのカードを最大限に効かせるには、「影響を分析してほしい」「まだインフレは加速していない」といった、揚げ足を取られそうな発言は控えたほうがよいと考えている。
唐鎌氏は、内閣府の意見そのものが間違っているとは言わないと断っている。累次の利上げの累積的な影響を十分点検してほしいという点には、自分も同意するという。問題は、それをしかるべき立場の人が言うと、市場で「言ったぞ」と受け止められることだ。為替市場には感情的で直情的な参加者が多く、市場は常に極端なシナリオしか見ない。だから慎重な情報発信が求められる、と唐鎌氏は述べた。竹下氏も、主な意見がどういう形で出るかは関係者なら分かっており、公表のタイミングも分かっていたはずだと指摘した。唐鎌氏は、今回の値動きは反対票が出たときと似た市場の反応になったと付け加えた。
日銀が買わなくなった国債を誰が持つのか
議論は日本の家計の資産構成に移った。唐鎌氏は、金利が上がってきている背景として、日銀が買わなくなった国債を誰が買うかという問題を挙げる。需給に緩みが出ており、端的に言えば、外国人に引き受けさせるか、家計に引き受けさせるかのどちらかしかない。できれば家計が持つほうが、長期安定的な保有層になる。
日米欧の家計金融資産の構成を見ると、国債を含む債券の比率は日本が1.4%で、米国の4.6%、ユーロ圏の2.9%と比べて小さい。ユーロ圏と比べても半分程度である。唐鎌氏は、日本では30年近く金利がなかったので、金利のつかない国債を持つより決済性の預金を持ったほうがよかった、これは当然だと説明する。しかし利回りが出始めた以上、この比率は変わってくるはずだという。政府が個人向け国債の商品性改善を検討しているのも、家計部門を受け皿として期待しているからだろうと唐鎌氏はみる。銀行の人間としては業態的に良くない話だが、マクロ分析としては家計の債券保有は増える方向に入っている、と述べた。
金利に敏感になる家計
この変化で世論の金利観も変わるのか、という竹下氏の質問に、唐鎌氏は変わっていくと答えた。たとえば住宅ローンの変動金利が上がって大変だという話がある。唐鎌氏の想像では、現在の変動金利は1%台前半から半ばの人が多いだろうという。一方、9月に募集された変動10年の個人向け国債の利率は1.96%程度だったと記憶しているという。住宅ローンと同じ額の国債を買える人は普通はいない。それでも、金利上昇の影響の一部を相殺できる商品が生まれていることになる。これまでは存在しなかったものだ。海外に目を向ければ、利回りのつく選択肢はさらに多い。
唐鎌氏は、個人向け国債の話をすると買ってほしい人に見えるが、銀行の人間はむしろ買ってほしくない、と笑いを交えて断った。その一方で、自分の債務に照らしてヘッジできる手段が生まれた以上、人々の考え方は変わり、利回りに敏感になるという。普通預金のままでよいのか、債券にすべきかという、マクロ経済学の最初に出てくるような話を、普通の人も自然と考えなければならない時代になったと唐鎌氏は述べた。
日本の家計は預貯金が過半を占め、米国は1割台、ユーロ圏はその中間、という比較はよく知られている。唐鎌氏によれば、日本の現預金比率は直近で46%まで下がっており、変化が起きているのは間違いない。竹下氏は、自分の資産を見ても、これまでは円安リスクを減らすことを考えてきたが、今度は金利が上がってきたので何を増やすべきか悩ましいと語った。唐鎌氏は、国民の金融リテラシーが上がるなかで、どこまで利上げが許されるのか、あるいは許されないのかは、これまでと同じ考え方では測れなくなるだろうと述べた。竹下氏は、リテラシーが上がって政府高官や日銀の発信の意味を読み取れる人が増えていることを指摘した。そのため、政府や日銀のコミュニケーションはいっそう重要になるという。唐鎌氏も、その層は確実に増えていると同意した。そのうえで、住宅ローンの話ばかりだったメディアの報道も、違う観点からのものが増えていくだろうと語った。
書評:『「二つの人生」を生きるための経済学再入門』
第3部では、佐々木宏夫著『「二つの人生」を生きるための経済学再入門』(慶應義塾大学出版会)が紹介された。唐鎌氏は、書店の経済学コーナーには経済理論を現実に当てはめる柔らかい本、竹下氏の言う「ポップな本」が多いと述べた。それに対してこの本は、専門性を失わない学者らしい本だと評価した。
題名の「二つの人生」とは、第1の現役時代と第2の現役時代を指す。かつては55歳から60歳で引退し、残りの人生は余生だった。しかし100歳まで生きる人が増えた今、65歳まで働いた後の35年を「おまけ」にしてはいけない。第2の現役時代も長いのだから戦略的に生きる必要があり、その戦略を練るうえで経済学の考え方が参考になる。本書はそのきっかけを与える本だ、と唐鎌氏は紹介した。
唐鎌氏が良い表現だと感じたのは、経済学は常識の体系を教える学問だという趣旨の記述である。経済学をきちんと学べば、おかしな経済・金融解説に騙されることはなくなるという趣旨のことが書かれている。唐鎌氏は自分の書評でそれを「陰謀論」という言葉で表現したが、これは自分が使った言葉だと断った。本書には理論的に踏み込んだ部分もある。タイパ重視のファスト学習が重宝されるなかで、本当の入門とはこういうものだ、という点を書評では強調したという。
本書は「金融リテラシー」ならぬ「経済リテラシー」という言葉も使っている。経済活動の場である市場の仕組みや、そこでの人や企業の行動原理を正しく理解し、それを自らの人生やビジネスに適切に活用する能力、という定義だ。金利も為替も株価も経済学の法則に沿って動いているのだから、投資したい、理解したいと思うなら、まず入門的な理論の知識をつけるべきだ。おかしな商材を買っている場合ではない。本書のこうした主張に、唐鎌氏は同意する。極端な話、雇用統計やFOMCの3分解説を聞いても金融商品の仕組みは分からない、学ぶべきことはこの本にたくさん書かれている、と述べた。
竹下氏は、第2の人生では組織のリテラシーの発想も変える必要があると付け加えた。大企業のビジネスパーソンにとっては合理性やスピード、生産性が正義だが、それを地域のコミュニティにそのまま持ち込むと「うざいおじさん」になってしまう。唐鎌氏も、本書には「アンラーニングせよ」という形でそのことが書かれていたと応じた。仕事の流儀や「わしの頃は」という態度を持ち込まないことも、第2の現役時代に学ぶべきことだという。著者の佐々木氏は石垣島との2拠点生活を送っていると本書に書いており、実体験を交えた内容になっている。普段はもっと難解な文章を書く研究者だからこそ、平易でありながら良書になっているのも頷ける、と唐鎌氏は評した。
残された問い
番組の締めくくりで、竹下氏は今回の議論が金利、円安、そして人生のあり方という長期的なテーマに及んだと述べた。唐鎌氏が繰り返し示した問いは、政策金利が2%に達した後の世界で、世論が「金利上昇よりは円安」に傾くかどうかである。唐鎌氏は、そうなれば利上げは続けられず、円安が新たな局面に入るとみている。ただし、それがいつ来るのか、日本経済がどこまでの利上げに耐えられるのかについては、唐鎌氏自身も「分からない」と答えている。
エコラボ始まります。今回のテーマは「最大のリスク、世論の円安慣れ」です。一緒にお届けするのは、みずほ銀行チーフマーケットエコノミストの唐鎌大輔さんです。お願いします。
お願いします。
今日のテーマ、円安慣れなんですけど、結構難しいテーマで、だんだん世論が、仕方ないんじゃないか、円安っていう感じがし始めてるんじゃないかとか。
慣れということですね。
この辺を話したいなと。あと、金利との関係で、例えばですけど、分かんないですけど、今後、円安は仕方ないから金利の方を止めてくれという声が出てきた時に、どう考えたらいいのかとか、非常に難しい局面を迎えていくと思うので。
それ、もう結論です。
その辺の話を今日したいなと思います。3部構成でお届けします。1部が「どう見る日米の高官発言?」。最近の日本、アメリカの政府高官を含めて、発言によってマーケットを含めてどう変わってるのか。2部が「最大のリスク、世論の円安慣れ」。そして3部が書評です。
まず1部、最近のニュースから行きたいんですが、片山大臣がブルームバーグのインタビューを受けてまして、リフレ派ではないと改めて、違いますよと言って、日銀の独立性を非常に尊重しますというインタビューをしました。
あとは、次ありますかね。ベッセント長官も、これ、ソーシャルメディアのXの日本語訳なんですけれど、「今日、片山財務大臣と生産的な電話会談を行いました」と。「私たちの会話は日米パートナーシップの強さを反映しています」と。「私たちは日本の強固な経済基盤を反映した強い円の望ましさを議論し、通貨市場について密接な意思疎通を維持することの重要性についても話し合いました」ということです。
ファンダメンタルの話。あとは、いわゆるアベノミクスの頃のリフレ政策の局面は終わってるんだと。今は金融緩和ではないと。こうやって、自分たちはこうですよみたいなことを日米の高官が急に言ってる。まず唐鎌さん、どう見てますか?
リフレやめろっていうふうに言われた後に、こういう発信が相次いでるっていうのは、事実の時間的順序としてあるので、相当言われたんだろうなっていうふうにマーケット参加者は思いますよね。ただ、これら一連の発言を受けて、決して円高にはいかなかったですよね。
なので、これはベッセント財務長官の同様の発言しかりですけれども、繰り返せば繰り返すほど免疫がついていくのがマーケットなので、どんどん学習して、どうせまた違うこと言うんでしょと。今までもそうだったじゃんっていうふうにマーケットの人たちは思って、円を安心して売るということが繰り返されてくると。
そして、これ今日の値動きですね。午前8時50分を皮切りに急落していますと。何があったんですかというと、これですね。
そうなんですよ。これはびっくりしましたが、9月の日銀金融政策決定会合の主な意見と。これが10月1日の8時50分に公表されました。
出て、値動きを見ると8時50分からになってると。何を見てなったんですかと。内閣府の意見として、こういうことがありましたと。「既往の利上げが累積的に与える影響について十分点検していただきたい」と。「中立金利も踏まえて検討していく必要があるのではないか」と。
利上げしてほしくないように見える。
見えるとか、そう受け取った参加者が円売りを行ったというのが、一応、今日お話ししてる時点での整理になるわけですよね。
なので、全部これ、竹下さんが先ほど紹介した高官発言から総括すると、「ほら言ったじゃん」というのが、多分、為替市場参加者の胸中としてあって、その時、円買いで応じてたら結局これが出てきて、ものすごく損失を被ったでしょっていうふうに、これで思った人が多いと思うんですよ。
なので、この繰り返しを為替市場の参加者は経験しているので、なかなか円安の牽制に関して感応度が小さくなってますよね。どうしてもこの材料。ちなみに、これ、内閣府の出席者というのは城内大臣ですから、城内大臣なのではないかという話がここに出ている。やっぱりそう思ってるんではないかという話で円売りが起きてるっていうのは現状ですよね。
ただ、本当、なんでこんなちぐはぐなのかなって思っちゃいますね。言葉って、繰り返し裏切られると、さっきも唐鎌さんがおっしゃって、マーケットの関係者もいろんなことを割り引いて考えるようになっちゃうと思うんですよね。真剣に受け止めなくなってくるというか。
そうなんですよ。確かにリフレかどうかというのはいろんな議論があるので、その定義は幅広いですから、そうじゃないんだっていうのは、それは間違いではないのかもしれないですけども、リフレじゃないけど円安でいいと思ってるんだ、はあるかもしれないので。
例えば、リフレではないけれども利上げはやめてほしいと思っているんだってのもあると思うんですよね。そういうふうにこの文面は見えるので、リフレ政策は支持していないけれども、利上げは利上げで不適切だと思ってますという結論もあるので。
それだとすると結局、マーケット参加者は、利上げできないんだったら円売りしますになるので、本当、堂々巡りなんですよね。思ってようがいいが、とりあえず円売りになりそうなことは1回全部この箱の中に入れて、蓋閉めた方が私はいいと思いますけどね。やっぱり為替市場の人っていうのは直情的な人が多いですから。一度つきまとわれると、もうそのゲームがずっと続くので、1回はシャットダウンした方がいいと思いますけどね。怪しい材料は全部。
今後はどういうところがポイントになりますか? 例えば2日の雇用統計もありますし、今後の日銀の政策判断ってどういうふうになってくるか。
当然、雇用統計を受けてドル円の水準が160円で定着をし、定着をした状態で日銀会合を迎えるようなことがあると、結局、利上げをしろという催促が始まる可能性は高いですよね。
その他ですと、やっぱり金利ですよね。今、グローバルには金利が上がっているので、それは日本だけのせいではないとは思いますけれども、これだけ金利が上がっているということは、利上げを催促されているということだというふうにも受け止められるので。今日話してる時点では、日銀の10月利上げってかなり後退していると思うので。
ちょっとこれ見てみましょうか。ブルームバーグの。
2割切ってますよね。だいぶこれで牽制されたという感じになってるんですけど、残念ながら手前の織り込みが落ちても円安は進んでいるので。
そうですね。
あんまりこれ、金先の織り込みの具合と、スポットのドル円レートの円安の進行というのは、必ずしも1対1では動いてないので。でも結局、12月までには1回やんなきゃいけないよねっていうのは、この今の織り込みで、来年の9月までには3.5回やんなきゃいけないよねになってるんで。
もうそれが見えてるうちは、金利は上がるんだけども円安も進むということが、マーケットのメインシナリオになってしまっているっていうのが現状ですね。これをビートするというか、この円安を止めるためには、みんな1回25って思ってるものを、例えば50やったと。50やったら、当分ないよねって多分思うと思うんですよね。
なので、これ例えばですよ。期待を超えるような一手がないと、「次はないよね」になってくれないんだと思うんですよね。でも現実問題、難しいでしょうね。この主な意見を見る限り、ここで50やれるとは思えないですから。
そうですね。
ということで、政府高官の発言を紹介したんですが、まさにこれからの日本社会がどこまで円安に慣れるのか、甘受するのか、あるいは日本経済がどこまでの利上げだったら耐えられるのか。その辺の話もしていきたいんですが、この2部の「最大のリスク、世論の円安慣れ」ということですが。
そうなんですね。これは、どう説明したらいいのかってなるんですけど、結局、利上げはまだ当分続くよねと。それは日本経済が痛んでも痛まなくても、利上げはやんなきゃいけないんだよねっていう状態になってしまっているわけですけれども。
そうですね。
それは円安を止めるという観点からはそうなのかもしれませんが、ただ、利上げは為替に効かなくても経済には絶対効きますので、どこかでネガティブな現象が起きてくるはずなんですよね。
それが今は、中立金利と思われる2%ぐらいでゴールを迎えるんじゃないかっていうのが、マーケットの意見集約になってるんですけど。でも、それは別に日銀がそう言ったわけではないし、中立金利なんて結局、事後的にしか分からないわけですから、他にいろんなものを見た方が良くて。
これが日米の実質10年金利差なんですけど、日米の実質10年金利ですね。お互いを紹介してるわけですけど、今ほとんど一緒なんですね。1%で、ほとんど日米の実質金利って一緒なんですと。
日本とアメリカの経済の実力って、多分一緒じゃないですよね。一緒じゃないのに、10年の実質ベースの利回りは一緒なんですっていうのは、これは高すぎるんじゃないかっていう見方も、多分できなくはなくて。そう考えると、利回りって実は上がりすぎなんじゃないですかと。金利って上がりすぎなんじゃないですかと。
ちょっとこれ、要因分解してみると、2022年の1月から今年の4月までになりますけれども、これを見ると、利回りの上がったほとんどの部分っていうのが、実質金利というのは名目金利とインフレに分かれるわけですけども、インフレ率の部分も大きいんですけども、さらに大きいのは名目の利回りが上がっている、このブルーの部分なので。
それは日銀が買わなくなったとか、低金利政策をやめたとかっていうのが原因なので、今の金融政策の具合で十分な利回りの水準になってるんじゃないですかって見方も、できなくはない。
できなくはないって言い方が続くのは、結局、日本経済にとって引き締めしすぎでもなければ緩和しすぎでもない水準はどこかっていうのは、誰も正確な答えがないですから。アメリカと同じ実質金利まで来てるっていう事実は、結構、日本経済にとってはこれからラグを伴って、下押し圧力が出てくる可能性はありますよね。
金利って結局、効いてくるはずですから、今こうなったからいきなり経済が潰れること……。
後からタイムラグがあって効いてきますよね。
そう。私もあくまで為替の分析を主としているので、通貨防衛の観点からは利上げが必要だというふうに申し上げてますけれども、その一方で、日本経済ってそれで耐えられるんですかって言うと、それは分からないですっていう回答になるんですよね。
耐えられないって言っても、日本経済に対するダメージがあるんだけども、やんなきゃいけないっていうのが今、私の立場ですけど、多分、世論も全く一緒で。今、日銀会合の世論調査ってANNの調査とかがあるんですけども、世論の半分以上、確か54%程度が9月の利上げを支持するというふうに回答してるんですよね。反対するというのが27%だったかな。
なので、今はまだ、金利上昇、円安、どっちを取りますかって言われた時に、金利上昇は嫌だけど、円安はこれ以上もう困るんで、金利を上げるしかないですに世論は傾いてると思うんですよ。これからいろんな世論調査が出てくると思いますけど、きっと多くの調査で利上げは支持されると思うんですよ。でも、これがいつまでそうかなっていうのは。
そうですよね。
繰り返しになりますけど、利上げは必ず経済に効いてくるはずですから。それはメディアが好きな住宅ローン金利の話も含めて、やっぱり金利上昇は嫌な感じがすると。今、金利上げを支持する、これぐらい、支持しない、これぐらいだったものが、こうなってきて、「利上げやめてほしい、反対60%、賛成20%」みたいになった時に、多分もうできないですよね。日本の世論って。政治もそれをほっとかないでしょうから。
それって何を意味するかって言うと、もう円安はある程度しょうがないんで、これ以上金利上昇は困りますっていう話になるんですよね。このnote、「利上げカードの浪費」っていうのは、要するに2名の反対票をもって、25ベースの利上げというのはほとんど効かなかったって話をしてるんですけど。
ある程度の円安はしょうがないから利上げやめてほしいっていうステージになると、円安は新しい局面に入りますよね。それが向こう1年のうちに来るとは思わないですけど、1年先は分からないですよね。1年経ったら2%行ってるわけですから。2%より先の世界で世論がどう動くかっていうのは、すごく注目してる。
そうですよね。あと、当然、最近の日銀を見ていても、世論を全く無視して高度な経済的判断をもってやるとは、ちょっと思えないんですよね。そこに絶対引きずられると思うんですよ。
そうです。
だから、その新しい円安時代というか、容認時代にいつ入っていくのか、そしてどうなっていくのかっていうのはすごい。トリガーは確かに住宅ローンになるのかもしれないですね。一番ピンときますよね。世論として、嫌だなと。
やっぱり財布に直結する問題なので。またそれを政策で抑えに行くとかってことも、あり得るんですけど。でも、そんなに遠い未来じゃないって考える人も、世の中には多分いるでしょうね。
だって、円安の方が持ってる資産は膨らむっていう人は、現役世代ではどう考えても多くなっているので。だったら金利がついた方が、まだ俺、家買ってないしいいわ、みたいな人も、相応に出てくるかなっていう心配はある。でもそうすると、170円とか180円とかっていう話が、いずれ出てきてしまう考え方ですよね、それって。
唐鎌さん、いろんなところで講演したりとか、経済人に会うと思うんですけど、やっぱり聞かれますか? 日本ってどこまで耐えられますかと、この利上げ。
そうです。これ繰り返してると、結局、政策金利、中立の2%までは行かなきゃいけないと思いますよって言ったら、最も聞かれる質問の1つが、そんなに利上げして大丈夫なんですかってことなんですけど。
繰り返しになりますけど、大丈夫かどうかっていうステージはもう終わっていて、円安を止めたいんだっていうことだけを目的にしたら、累次の利上げは必要になるんですよ。歴史的に振り返ってみても、通貨危機に陥った国って、みんなやりたくて利上げしてたわけじゃないですよね。
本当そうですね。
みんな通貨安を止めるために、望まぬ利上げをたくさん、痛いけどやり続けて、なんとか止めてきたっていう歴史があるんですよと。日本がこんなに早くそれをやらされるとは私は思ってなかったですけれども、通貨防衛をメインテーマに置いた以上、成長が大丈夫なんですかっていうのは、残念ながら、それはポイントレスですよね。明らかに。
でも、それはポイントレスじゃないんだと。世論が円安、通貨安で構わないから、金利を抑えろって思ってるんだってなると、銀行の運営は変わってくる。ただ、その代わり円安は止まんなくなるよと。
だから多分、このエコラボ、もう2年弱やってると思いますけども、何度か、日本は円安か金利上昇か、どっちかを飲まなきゃいけなくなるんだから、早めに定期的に25ずつ上げてると、円安はそんなに進まないで止まるんじゃないかみたいな話をずっとしてきたんですけど。結局、利上げを嫌がってきたことによって飲まされたっていうのが現状に見えます。
まさにそうですよね。ずっと、どっちかをちゃんと考えなきゃいけないっていう、唐鎌さんがずっと言ってきたことを、今、目の前に突きつけられてるという。
そうですね。それでもまだ1.25ですから。でも、それってまだ0.5ですからとかって私、言った気がするんですけど、一応まだ1.25なので、先進国の中ではかなり低いですから。
だからこそ、この0.25を上げた時に、でも反対票2票入れるなとは言えないですから。一応、審議委員にも独立性はあるので。
もちろんですね。
ただ、このせっかく使った25ベースの利上げのカードを最大効率にするためには、その影響を分析していただきたいとか、まだインフレは加速してないとか、揚げ足取られそうなことは言わない方がいいと思うんですよね。
ちなみに、この内閣府の意見が間違ってるとは私は言わないですよ。既往の利上げが累積的に与える影響については、十分点検していただきたいと私も思いますけれども。それをしかるべき人が言うと、「うわ、言ったよ」ってなってるし、今そう。だから、これまずいかなって思ったことは1回言わないっていう方が。
円安に関してはです、為替に関しては。為替は、繰り返しますけど、感情的、直情的な人って多いので。マーケットって常に極端なシナリオしか見ないですから、慎重な情報発信が求められます。
そうですね。しかも、こういう決定会合の内容って主な意見として出るのは誰も分かってるので、こういうふうになるっていうのは、しかもタイミングも分かりますもんね。このタイミングで出てくるっていうのは。
そうなんですよ。だから、これもまた反対票と似たマーケットアクションになっちゃいましたよね。
なるほど。あと、今日の議論に出てきて、世論を考える時に、暮らしてる人にとって、自分たちの家計をもとに金融政策の印象って変わると思うんですけど、日本の家計を改めて見ていきたい。
そうですね。これが日米の家計部門の金融資産構成。これもさっきのnoteに載せましたけれども。結局、利回りが上がってきているのは、先ほど申し上げた通り、日銀が買わなくなった分を誰が買うか問題で、だぶつきが出てるっていうのはあるんですけど、端的に言えば、外国人に受け入れさせるか、家計に受け入れさせるか、どっちかしかないわけですよね。
できれば家計が持ってくれた方が、長期安定的な保有層になるわけですよね。そういう観点で見ると、この債券っていうのが国債に該当する部分ですが、日本1.4%なんですよね。この紫色の部分で、米国は4.6で、ユーロが2.9ということで、だいぶ日本は小さいなと。ユーロに比べても半分ぐらいだなっていうふうに分かると思うんですよ。
これが小さいのは当然で、我々は30年弱、金利がなかったわけですから、金利がない国債を持ったってしょうがないわけですよね。そんなんだったら決済性の預金を持った方が。
それはそうですよね。普通預金持った方がいいですもんね。
ただ、利回りが出始めて、今年から出始めているってことを考えると、きっとこの比率って変わってくるはずなんですよね。政府としても、この番組でも1回取り上げましたけども、個人向け国債の商品性改善とかって話されてますけども、それは受け皿として家計部門に期待をしている部分があるんでしょうと。
それは私、悪いことではないと思いますよ。銀行の人間からすると、すごくそれは業態的には良くない話なんですけども、マクロ分析的には、これはもう増える方向に入ってるよなというふうには見えますよね。
今後、これ年に1回なんで、どんどん変わってくると思うんですけど、これによって国民世論というか、みんなの金利とかに対する考えって変わっていきます?
僕は変わっていくと思っていて。例えば今、住宅金利の変動が上がってて大変だという話がありますと。どうですかね、今、1%台の前半から1%台の半ばとかっていう人が、団信入れると多いのかなって想像する。
でも、今日、今時点で、今月募集され……9月に募集されてた変動10年物国債って、1.96とかだったと思うんですよね。そっちの方が大きいじゃないですか。
当然、住宅ローンと同じ額だけ国債を買える人はいないんで、いると思いますけれども、普通の人は買えないんですけど。ただ、金利の上昇を一部相殺するっていう意味では、そういう商品も生まれてるってことですよね。今まではなかったわけですから。
今までは住宅の金利が限りなくゼロに近かったわけですけど、でも、一緒に上がっている金利も個人向け国債みたいなのがあるし、もちろん海外に目を向ければ、いろんな利回りのものがあるし。
個人向け国債の話をすごくすると、個人向け国債を買ってほしい人に見えるんですけど、銀行の人は別に買ってほしくないんで。
買ってほしくない。
買ってほしくないですけれども、ただ、世の中的には金利がつく商品っていうのは昔はなかったけど、出てきている。自分の債務に照らしてヘッジできる手段が生まれてるってことですから。竹下さんの今のご質問に答えると、変わってくると思うんですよ。
考え方というか、利回りに敏感になって。
そうです。なので、ずっと普通預金でいいのかな、債券かなとかっていう、いわゆるマクロ経済学の最初に出てくるような話を、普通の人レベルでも自然と考えなきゃいけない時代になってきましたよね。
おっしゃる通りです。この表ってよく出るじゃないですか。日本はもう預貯金が過半数で多くて、アメリカは1割台とかで、ユーロはその中間ぐらいだねと。これが変わっていくと、本当に日本の人の金融に対する考えがすごく変わる気がするんですよね。
変わります。この日米欧比較っていうのは年に1回しか出ないんですけど、現金、今46%ですから。
結構落ちましたよね。
落ちましたよね。なので、変わってきてるのは間違いないですよね。
まさに今後、金利の考えも変わっていくし、円安と金利上昇のバランスをどう考えて、どっちをどう受け入れるのかっていうのが。結構、僕、自分の資産を見て悩ましいなと思いますもんね。今までは円安リスクをヘッジしたけど、今度は金利が上がってきたなとか、何を増やしたらいいかなと考えますもんね。
それが大きな塊になると、一気に世論として、あるいは世論調査に出てくるので、それによって日銀も当然意識していくので。非常に、まさに難しい舵取り、どんどん難しくなっていく気がします。
そう。それは言い方を変えると、国民の金融リテラシーが上がってきている中で、どれだけ金利を上げていくことが許されるのか、あるいは許されないのかっていうのは、今までと同じ考え方ではなくなってくるでしょうね。
なので、冒頭、いろんな政府高官のコミュニケーションとか、この主な意見も紹介しまして、こういうコミュニケーションも多分すごく大事になってくるというか、みんなのリテラシーが上がってるので、意味合いが分かる人が。
読む人も増えてる。
増えてると思います。絶対増えてると思います。今まで硬い経済だったのが、いろんな人がこういうのを読むようになって、これはこういう意味だっていうのは理解するようになって。
間違いないです。メディアも今までは住宅ローンの話ばっかりしてるんですけど、多分、違う観点からの報道も、エコラボもそうですけど、こういう方法がありますけどね、増えていくと思いますけどね。
引き続き、ここは注目していきたいと思います。ここで3部に行きます。書評です。
書評。
これも今後の我々の生き方に関わる本になると思いますが、『「二つの人生」を生きるための経済学再入門』。
慶應義塾大学出版会。いい本が多いですよね、慶應義塾大学出版会ね。
そうですね。SNSも頑張ってます、慶應出版は。
これはいい本でしたね。面白かったなと。やっぱり本屋さんに行くと、経済学のコーナーに行くと、経済学の理論を実際の世界に適用するとこんなことが言えます、こんな学びがありますみたいなのって、すごく柔らかい本が多いような気がするんですよね。超入門みたいな。言い方を変えたら、ちょっとチャラいやつが多いと思うけど。
ポップなやつがね。
そう、その言い方が良かった。ポップなやつが多いんですけど、これは専門性を失わずに、学者の方らしい、いい本だなと思いましたね。
これ、結局、二つの人生っていうのは、要は昔は55歳から60歳で引退をして、残りの人生はおまけ、余生みたいなことがあったわけですけど。
そう、のんびり。
結構100歳まで生きる人も増えていて、じゃあ60歳、65歳まで働いて、残り35年はおまけですかって言うと、おまけにしちゃ長いよねと。だから、この本では第1の現役時代と第2の現役時代っていうのを分けて、第2の現役時代もそれなりに長いんだから、戦略的に生きなきゃいけないよねと。
その戦略をうまく練るにあたっては、経済学の考え方がすごく参考になるんで、その学びのきっかけを与えますっていう本なんですよね。
すごくいい表現が多いなと思ったのは、経済学はあくまで常識の学問である、常識の体系を教える学問であると。経済学をしっかり学ぶことによって、変な陰謀論みたいな経済金融解説に騙されるようなことってなくなるんです、という趣旨のことが書いてあるんですけど。「陰謀論がどうのこうの」は僕が使った言葉ですけれども。
結構、理論的に込み入った話が書かれてる部分もあるんですよ。ただ、何でもタイパ重視のファスト学習みたいなのが重宝される中では、実際、本当の入門ってこういうものだよっていうことを、書評では強調しました。
Xで著者の方が、ありがたい、お礼をおっしゃってて、この場を借りて、こちらこそいい本をありがとうございますというふうに申し上げておきたいと思いますね。
この本で面白かったのは、金融リテラシーならぬ経済リテラシーという言葉を使われていて、「経済活動が行われる場である市場の仕組みや、そこにおける人や企業の行動原理を正しく理解し、それを自らの人生やビジネスにおいて適切に活用する能力」は、金融リテラシーならぬ経済リテラシーであると。
金利も為替も株価も、全部、経済学の法則にのっとって動いてるんだから、そういうものに投資をしたいとか理解したいと思ったら、まず理論的な入門的な知識をつけるべきなんじゃないんですかと。変な商材買ってるんじゃないんですか、という話がここに書かれているんですけど。
その通りですよね。極端な話、雇用統計とかFOMCの3分解説を聞いても、別に金融商品の仕組み分かんないですよね。それよりも学ぶべきことっていうのはこういうことですよっていうのは、ここにたくさん書いてあります。
なるほど。リテラシーで言うと、多分、第2の人生って、組織のリテラシーの発想を変えないといけないと思うんですよ。
それも書かれてましたね。
大企業とか、ビジネスパーソンとしては、合理性とかスピードが正義じゃないですか。話し方もそうだし、生産性が大事。でも次の第2の人生に行ったら、違うコミュニティ、もしかしたら地域のコミュニティに移った時に、このリテラシーをそのまま持ち込んでも。
うざいおじさんになるっていうか。
だから、合理性が変わるっていうのは面白いですよね。
そう、それも書かれてましたよね。アンラーニングせよと。
だから1回、この組織のリテラシーを忘れて、新しい……。
そうなんですよね。確かに、そういうめんどくさいおじさんいますもんね。
いますね。仕事を持ち込んじゃう人なんで。
そうなんですよ。「わしの頃は」みたいな人は。そういうことをしてはいけないっていうことも、第2の現役時代の学ぶべきこととして。
この佐々木先生は、石垣島に2拠点生活されているというふうに書かれてましたけども、実体験も交えていろいろ書かれてるので。多分、普段はもっと難しく書かれる方ですから、良書になるのもうなずけるなという中身でしたね。
まさに金利のあり方、円安のあり方、そして人生のあり方というか、今日は長期的に、長い話をしました。考えるきっかけになったかなと思います。
ということで、本日はエコラボ、以上となります。「最大のリスク、世論の円安慣れ」をお届けしました。ぜひCROSS DIGのXのフォロー、チャンネル登録と高評価お願いします。あと、コメント欄にもいろいろと感想を書いてください。そして、レターを書いていますので。
ということを言う前に、いいことがありまして、100万人に登録者が、皆さんのおかげで。
素晴らしい。100万人突破しました。
そうだ、そうだ。今日の収録前にお祝いがあって、TBSの社長も来て、バーッとやって、唐鎌さんも来ていただいて。どうですか、100万人登録の感想は。
嬉しいですね、チーフコンテンツオフィサー。
本当に嬉しいですね。あと、私、本当にこれ嘘じゃなくて、全コメント読んでるんですよ。全部の映像の。
だから優しい言葉を投げて。
そう、優しい言葉を投げてほしいって言ったら、結構、夜に読むので、きついコメントがあると寝れなくなる時もあるんですね。だから、それは勘弁してほしいなっていうのはあるんですけど。
本音、すごいですね。すごい本音ですね。
本音です。ただ、本音っていうか、本当に100万人って大きな塊みたいに思うんですけど、1個1個のコメントを読んでるので、見えてくるんですよね。100万人の方々の、「こういう100万人なんだ」みたいな。
すごい。早かったですね。
早かったですね。予想より早いですね。もうちょっと来年ぐらい。
2年かかってない。
2年かかってないですね。もうちょっとかかるかなと思ってたんですよね。
しかも結構硬派な方ですよ、増やし方。
それはそうですよね。煽らず、この番組もそうですけど、なるべく煽らないようにやろうと。それがだんだん浸透してきて、見てくれる皆さんがついてきてくれて、登録したので。
すごいです。煽ったり、ふざけたりとかしないっていう。
それはでも、本当に。チーフコンテンツオフィサー。唐鎌さんのおかげで、本当にずっと初期からやっていただいて、まだ何者でもなかった。
初めにした時は、チャンネルの名前忘れちゃいましたけど。
PIVOT。
そうですね、PIVOTっていうチャンネルで会いましたね。歴史的な日に会いましたもんね。
そうでしたね。でも早いですね。
本当にPIVOTでインタビューして、私、本も読んでたので。やっぱり本当にCROSS DIGが始まった時から支えていただいて、本当ありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。
ということで、ニュースレターも、あと唐鎌さんのXのフォローもお願いします。あとnoteも、本当におすすめなのでお願いします。これも10月1日からまた新しく。
新しくなるんですか?
いや、noteは、入ると最初、大体1か月無料とかっていうふうにみんななってるんですけど。前は月末にそれがリセットされるものだったのが、いつ入ってもいいっていうふうになったという事務局からの連絡が来てました。それが確か8月か9月ぐらいか。いつ入っても大丈夫。
10本やってるんで、月初から入っていただくと、いろんなものがつながりやすいかなと思います。
かなりお得です。この量を読めるっていうのは。1個1個が本1冊分ぐらい、キュッと詰まってるので。
ということで、エコラボ、以上となります。一緒にお届けした、みずほ銀行チーフマーケットエコノミストの唐鎌さんとお届けしました。どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
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