金利上昇期における住宅ローン戦略とマンション市場の構造変化
楽待 RAKUMACHI近年の都心部におけるマンション価格の高騰と日本銀行の利上げ局面が重なり、住宅購入を取り巻く環境は大きく変化している。変動金利で限界まで資金を借り入れて高値で購入した層の家計リスクや、返済負担を抑える名目で登場した新しいローン商品の危険性、さらには都心マンション市場の今後の動向について、住宅ローン診断士で株式会社エム・アセット取締役の清水俊介氏が分析と見解を示した。清水氏は、巷で囁かれる「マンションバブル崩壊」の真実を整理しつつ、実需層が取るべき判断基準を論じている。
高値掴みと変動金利が招く「蟻地獄マンション」のリスク
清水氏は、ここ数年の急激な価格上昇のなかで無理をして都心のマンションを高値で購入し、変動金利でローンを組んだ世帯は極めて厳しい状況に直面していると指摘する。手元に残る実質的な余剰資金がゼロあるいはマイナスの状態でインフレや利上げが進めば、家計の赤字は拡大し、住宅ローン破綻に近づくことになる。
こうした状況下で「売却して逃げればよい」と考える購入者もいるが、現実は容易ではない。都心マンションの相場は直近で調整局面や停滞期に入っており、希望通りの価格で売却できないケースが増えている。購入時よりも安い価格でしか売れなくなると、売却額がローンの残債を下回る「オーバーローン」の状態に陥る。手持ち資金で差額を補填できなければ売却そのものが成立せず、身動きが取れなくなる。
さらに清水氏は、破綻に直面した人間が取る現実的な行動として、すぐに自己破産や任意売却を選ぶのではなく、生活費を極限まで切り詰めて無理に住み続けようとする傾向を挙げる。その結果、終わりの見えない生活困窮が続く「蟻地獄マンション化」が進む恐れがあるという。一方で、毎月の手取りや自己資金に十分な余裕がある層であれば、金利上昇やインフレの影響を吸収でき、相場が軟調な局面でも売却を急がず回復を待つことができるため、同じ高値掴みであっても家計への影響は根本的に異なると説明している。
「残クレタワマン」と超長期ローンの罠――元本が減らない仕組みの代償
近年、一部の金融機関で取り沙汰されるようになった「残価設定型」の住宅ローンについて、清水氏は自動車の残価設定クレジットになぞらえて「残クレタワマン」や「残クレローン」と呼び、そのリスクは自動車ローンの比ではないと警鐘を鳴らす。
このローンの基本的な仕組みは、通常の元利均等返済などによる住宅ローンと、元本を減らさず利息のみを支払い続けるローンの組み合わせである。たとえば1億円の借入を行う場合、5000万円は通常の住宅ローンとして返済し、残りの5000万円は利息のみを払い続ける形態を取る。毎月の返済額を通常より低く抑えられる点が唯一のメリットとされるが、利息のみを払っている部分は居住している限り借金そのものが減らない。完済するには、将来的な一括返済か、物件を売却してその代金を充当するしかない。
清水氏の試算によると、1億5000万円の借入を行い、半分(7500万円)を通常ローン、もう半分を残クレ部分として組んだ場合、減らない借金部分の金利水準が高めに設定される傾向も相まって、35年間で支払う利息の総額は、全額を通常の住宅ローンで借りた場合と比べて1600万円以上も増加する計算になるという。また、期間満了時には残価部分の一括返済を求められるリスクも存在する。
元本の減りが遅いローンとしては、返済期間を長く設定する「50年ローン」などの超長期ローンも同様のリスクを抱えている。金利が上がらない環境であれば返済額の抑制効果が働いたが、金利上昇局面では残債の多さが仇となり、利息負担の増加幅が急拡大する。同額の借入で金利が1.0%から1.5%へと0.5ポイント上昇した場合を比較すると、35年ローンと50年ローンでは利息の増加ダメージに約754万円(清水氏いわく「車2台分」)の差が生じる。
清水氏は、こうした借入で最も懸念すべきは定年後の老後生活だと強調する。年金生活に入った段階で支払いを続けられるのか、あるいは売却時に残債割れとなって住居を失うのではないかという問題である。高齢になってから賃貸住宅を借りるハードルは高く、売却前提で将来を楽観視して組むローンの危険性は極めて高い。金融庁も超長期ローンを取り扱う金融機関に対し、リスク説明が十分に行われているか監督を強める動きを見せているという。
タワマン転売バブルの終焉と「ワニの口」現象の真実
メディア等で報じられる「タワマンバブル崩壊」について、清水氏は実態を正確に捉える必要があると語る。崩壊しているのは不動産市場全体ではなく、投機的な取引が繰り返されていた「マンション転売ヤー市場」であるという見解だ。
ここ数年の都心高額マンションの急騰は、実態価値を伴わない転売業者間の転売や、一部の海外富裕層による投機資金が押し上げていた側面が強い。しかし、海外勢の買いが一服し、さらに政府による短期売買(取得後5年以内の譲渡所得に対する重課税の強化など)への規制議論が進んだことで、転売市場の潮目が変わった。転売業者が高値で仕入れた物件を買い取る後続の買い手がいなくなり、売り出し件数が増加する一方で成約件数が減少し、在庫が積み上がる事態となっている。
不動産市場の異変を示す指標として、売り出し価格と成約価格の乖離を表す「ワニの口」が注目されている。売り出し価格(上顎)が急上昇する一方で成約価格(下顎)との差が開いている現象を指すが、清水氏はこれが直ちに市場全体の暴落の前兆を意味するわけではないと分析する。
東京のデータを精査すると、上顎の跳ね上がりは転売業者が強気な価格で売り出している数値を反映しているに過ぎず、下顎にあたる実際の成約価格は暴落しておらず、小幅なプラスを維持して推移している。エリア別に見ると、転売業者の取引が集中していた都心3区では成約価格が一時前年同月比で20%下落した月も見られたが、一般の実需層が居住目的で購入する城東や城南などのエリアでは前年比プラスを維持している。転売市場が作り出した局所的な相場が崩壊したことで、今後は実需層に適正な価格で物件が行き渡る健全な調整局面に入るのではないかと清水氏は期待を寄せる。
投機価格と実需価格の乖離――適正価格はどう見極めるべきか
新築時から中古市場に流通するまでの転売取引の連鎖について、清水氏は「時限爆弾付きのババ抜き」に例えて解説している。
例えば、新築時に1億円で売り出された部屋を転売業者Aが購入し、未完成の段階で別の転売業者Bへ1億2500万円で転売して2500万円の利益を得る。さらにBが転売業者Cへ1億5000万円で転売する。建物が完成して引き渡しが始まり、実際の現物が中古市場に出回る段階になると、購入検討者は実需層に移る。実需層は周辺の類似マンションの相場や賃料水準などを冷静に比較して値踏みするため、業者間の値上がり期待だけで吊り上げられた価格には手を出さない。結果として、転売業者が設定した投機的価格と実需価格の間に大きな乖離が生じ、最後に物件を抱えた業者が売却できずに取り残されることになる。
では、一般の購入検討者はどのように「適正価格」を判断すべきなのか。清水氏は、自身が不動産買取再販事業を手掛けている立場から、相場を判断する基準は売り出し価格ではなく「実際の成約価格」にあると述べる。
しかし成約価格のデータは一般には広く公開されていない。一般市場に流通している中古マンションの売り出し価格は、仲介会社が売り主から売却依頼(媒介契約)を獲得するために高めの査定額を提示しているケースが多く、値下げ交渉を見越した「値引き前提」の価格設定になっていることが珍しくない。そのため、ポータルサイト等で見かける個人の売り出し価格をそのまま相場と受け止めるのではなく、実態としての成約水準を意識して見極める姿勢が求められる。
マンション価格の長期シナリオ――暴落に至る条件と今後の見通し
今後の不動産価格の見通しについて、清水氏は自身のメインシナリオとして「短期的には踊り場、長期的には上昇」を掲げている。
短期的には、日銀の利上げとインフレの進行によって実需の買い手も様子見の姿勢を強めるため、一時的な小幅下落や停滞といった踊り場の動きにとどまると見ている。その後、社会全体が引き上げられた金利水準に慣れ、緩やかなインフレが継続していけば、中長期的には相場は再び上向いていくという考えだ。
一方で、価格が大幅に下落・暴落するシナリオについても検討しているが、金利上昇という単一の要因だけで不動産価格が崩壊する可能性は低いとみる。清水氏は柔道の判定に例え、金利上昇はせいぜい「有効」のポイントが入った程度であり、それだけで相場を崩す「一本」にはならないと表現する。
転売業者は利益が見込めなくなれば即座に損切りして売りに出すが、実際に住んでいる実需層は生活を守るために住宅ローンの返済を粘り強く継続する。売り急ぎや競売物件が市場に急増しない限り、市場全体の相場が崩れることはない。したがって、苦しい世帯が増えることと、実際に投げ売りが増えて価格が暴落することは同義ではない。不動産価格が本格的に下落に転じるためには、金利上昇に加えて深刻な景気後退、雇用や収入の大幅な悪化、過度なインフレによる家計の完全な破綻など、複数の悪条件が重なる必要があると指摘する。
郊外・戸建て市場への波及とインフレ下での家賃上昇リスク
都心部以外のエリアや戸建て市場、そして賃貸市場への影響についても議論が及んだ。
海外富裕層による需要は3年ほど前と比べて明らかに減退しているが、彼らが購入していたのは都心の超高額タワーマンションであり、一般実需層の市場への直接的な影響は極めて限定的である。
郊外エリアについては、都心のように数億円規模の借入を行うケースが少ないため、金利上昇に伴う返済額の絶対的な増加幅は都心より小さく、その点では破綻リスクは抑えられている。しかし、過去と現在の郊外市場を比較すると異なるリスクが浮き彫りになる。建築資材の高騰や人件費の上昇により、郊外の新築戸建て価格は大幅に上昇している。大手ハウスメーカーが採算の合わない一部地域から撤退し、建物の価格帯を引き上げている事例に見られるように、住宅取得にかかるコストは全国的に1段階切り上がっている。同じ年収水準であっても、かつてより多額の住宅ローンを背負わざるを得ない状況が生じており、その意味での返済リスクは以前より高まっている。
最後に清水氏は、現代の日本において最も注意すべきリスクは「インフレによる生活コスト全体の増加」であると述べる。引っ越し代や家具の買い替え費用にとどまらず、賃貸住宅の家賃も上昇傾向にある。エム・アセットが管理する物件でも、オーナーから賃料引き上げを求められるケースが急増しており、値上げ交渉に応じない管理会社から賃料アップを積極的に行う管理会社へと乗り換えるオーナーも出ているという。
家賃が上昇し続ける環境下では持ち家の取得も依然として有力な選択肢となるが、清水氏は「金利変動への耐性を持ち、何よりも身の丈を超えて借りすぎないこと」を最重要事項として挙げる。市場の過熱感や複雑なローン商品に惑わされず、手元資金と借入額のバランスを厳格に見極めることが、住宅ローン破綻を防ぐ根本的な防衛策であると結んでいる。
不動産投資を学ぶなら楽待。楽待チャンネルをご覧の皆さん、こんにちは。フリーアナウンサーの堤友香です。前編に引き続き、日銀利上げの不動産市場への影響について伺っていきます。ゲストにお招きしたのは、辛口住宅ローン診断士、エム・アセット取締役の清水さんです。清水さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。さて、ここまで変動金利で余裕がない借り方をしてしまうことのリスクについて前編で詳しく伺ってきたんですけれども、ここ数年の都心マンションは価格の上昇幅が非常に大きかったと思います。ああいった物件を無理して買って変動金利で組んでいた方は、非常に大変な状況なのではと思うんですが、いかがでしょうか。
そうですね。無理して今のマンションを高値掴みしてしまった、これはまさに人生のピンチだと思います。今後、毎月の生活がままならない、売ろうにも価格を低くしないと売れない、もしくはなかなか売れない、そういう事態になるからです。
無理して買ったということは、おそらく返済や生活費でカツカツの状態。前半でお話ししました「真の手残り」がゼロ、もしくはマイナスということであれば、相当やばい状況ですね。これ以上インフレが続けば、利上げが続けば家計の赤字は拡大してしまうわけですから、いわゆる住宅ローン破綻に近づいてしまいます。ただ、そういう方は「マンションを売るしかないかな」という選択をする方もいます。
そういった話をすると「マンションを売ればいいんじゃないか」という話があるんですけれども、都心のマンションってここ数年急騰しているんですよね。でも、これが実は今年に入って価格調整局面というか、停滞が続いているような状況ですね。この状態で高値掴みした物件を売るということは、思った価格では売れない、価格を下げて売る必要がある、もしかすると買い値よりも下がって売らないといけないということです。そうすると、オーバーローンの可能性があるわけですよ。
オーバーローンというのは、成約売却価格が残債よりも低い状態ということで、売りたくても結局ローンの返済ができないので売れない。その結果身動きが取れず、ローン破綻にいってしまう。逆にローン破綻にいってしまえばいいんですけれども、生活を切り詰めて住み続けるというのが人間のリアルな行動なのかなと思います。なので無理な借入れと高値掴み、これは終わりの見えない生活困窮、蟻地獄マンション化してしまう恐れがありますね。
逆にお金に余裕があれば、毎月の手取りに余裕があれば、インフレだろうが金利が上がろうが、特に家計に問題ない人というのはいると思います。そういう人たちというのはそもそも売る必要がないですし、売りたいと思っても今相場が悪ければ相場が回復するまで待つことができるというのもあります。同じ高値掴みでも、生活に余裕がある人はピンチじゃないですけれども、生活に余裕がない人はまさに今ピンチであって、さらに苦しくなるのかなと思います。
なるほど。最近はペアローンなど色々なローンの組み方が増えてきていますが、その中で「残クレタワマン」と呼ばれるローンが誕生したということで、これはどういうものなんですか?
一部の銀行で通称というか、私も勝手に「残クレタワマン」とか「残クレローン」と言っていますけれども、いわゆる「残クレアルファード」の家版ですよね。細かく言うとかなり違いはあるとは思うんですけれども、この危険性を20倍にしたのがこのローンの正体なのかなと思います。
どういうことでしょう?
仕組みとしては、普通の住宅ローンと一生減らない借金の抱き合わせです。1億円のタワマンを買うのであれば、5000万円は通常の住宅ローンで、残りの半分の5000万円は利息だけを支払うといった返済イメージになりますね。いい面としては、毎月の返済額が普通のローンよりも少ない、これが唯一のメリットです。
ただ、この利息の支払い部分というのは元本の返済がないので、5000万円はずっとついてくる減らない借金を意味しています。なので一括返済をするか、例えばこの家を売って売ったお金で返さない限りは、利息はずっと払わないといけないというものですね。
一生住み続けられない前提で組むということですか?
基本的には売却を前提とするというところがありますかね。
そういうことですか。相当値下がりしないという確信がある物件じゃないと、なかなか難しいですね。
難しいですし、減らない部分というのはそんなに多くは組めないのかもしれないですね。
一体誰向けにできたんですか、これ?
本当に思うんですけれども、転売業者向けなのかなというところもありますよね。結局、毎月の返済額を減らして、最後は売却して逃げられるというところなので。ただ、年収がなかなかフルでは払えないけれども一部借金の返済がなければ買えるという層向けにローンを貸し出したい、そうしないと買えないくらい物件の価格が高くなってしまったというところはあると思います。
このローンで悩んでいる方も、清水さんの元には声が入ってきますか?
相談は実際に来たりはしますけれども、まだそれをやろうという人はいません。
そうですか。実際に1億5000万円のタワマンを残クレで買ったら、どれくらい利息が変わるのかというところを教えてください。
利息については最低でも1000万円以上は膨れる計算にはなりますね。まずここでポイントになるのが、減らない借金の部分の利率ですね。これについては幾分推測になるんですけれども、住宅ローンよりも高い傾向にあります。さらに残クレというのは、この減らない借金の部分は期日が来たら一括で返済をしないといけないというところもありますので、そこも注意が必要かなと思います。減らない借金の部分の利率の高さと利息の増加が相まって、ダブルパンチになると。
例えば借入れが1億5000万円として、7500万円を通常のローン、残りの7500万円をいわゆる残クレの借金の減らない部分でローンを組んだ場合と、1億5000万円の通常の住宅ローンで組んだ場合を比較してシミュレーションしてみました。すると、期間35年の利息の差額というのは1600万円以上にもなる計算になりました。この利息の差はちょっと異常なレベルになりますね。
それぐらい払う余力があるかというところですよね。
そうですね。
金利上昇の局面で、この借金の減少が少ないローンというのは非常に今後危険ですかね?
そうですね。これまでの金利が上がらない世界であれば有効でしたけれども、金利が上がる今の日本では危険度が全く違います。借金の返済が少ないローン、言い換えれば返済額が少ないローンなんですけれども、金利上昇時の影響、ダメージというのは通常のローンよりも確実に大きくなります。
返済額を少なくできるローンというのは、さっきの残クレ住宅ローンであったり、いわゆる長期の50年ローンとか、こういったローンが代表的ですね。こういったローンは返済額を軽減してくれるというメリットはあるものの、裏を返すと元本の返済が遅れる、利息の元となる残債の減りが少ないということになります。それは結局のところ、利息が膨らみやすいローンということになりますね。
これも実際計算してみますと、同じ借入れ金額、同じ利上げ、例えば1%から1.5%になってますよという条件で35年間組んだ時と、50年のローンと比べた時にどれぐらい利息が増えるかというところなんですけれども、結果この利息の増加のダメージというのは754万円。35年ローンとの差は車2台分ぐらいですからね。
そうなんですね。じゃあ残クレと長期のローンというのは非常に気をつけなければ。
私してもしつこく言っているんですけれども、残クレであったり長期のローンで気をつけなければいけないのは老後、定年後ですね。年金でこの住宅ローンの支払いができるかどうか。これができないとなると老後の生活が苦しくなる恐れがありますので、重々確認をしていただきたいですね。
そうですよね。残クレで資産価値の高いマンションだからと思って、最後ドンと住宅を売ったら残債よりも安い金額になる可能性もありますし、そしたら老後はどこに住むんだろうということになりますよね。
老後に賃貸を借りるって言っても、高齢の方は嫌がる貸主も多かったりするので、なかなか難しいですし、そもそもそんな将来のことは分からないんですよね。なので売却前提とかそういうのはすごい危険性が高いなと思います。住宅ローンは35年先ですから、だいぶ世の中も変わっているでしょうし、どうなっているか分からないので、危険度は計り知れないものがあるなと。
超長期ローンって最近耳にするんですけれども、今後どうなんでしょうかね?
金融庁もやっと動き出したというところで、この超長期ローンに対して銀行への監視を強めていくというニュースがありました。というのも、結局この超長期ローンについて、金融機関が貸出の際にきちんとリスクを説明しているのかどうかというところを監督していくということですね。銀行員さんが「35年のローンと比べた時に車2台分ぐらい利息が違いますよ」ということも言わないと思うので、そういうところをしっかりと管理していきますよという話だと思います。
やっぱり自分自身での勉強というのも非常に重要になってくるわけですね。
そうです。
今お話に伺ったような状況に陥った方がマンションを売り出すようになれば、巷で言われているようなタワマンバブル崩壊につながることはありますか?
タワマンバブルというか、正確に言うとマンションの転売ヤーバブル、これは実際崩壊していると。ただ、転売市場なので影響は局地的なのかなと思います。1980年代のバブルと比べたら足元にも及ばないようなところなのかなと。
転売ヤーバブルというのはどういうことですか?
マンションの価格が今めちゃくちゃ上がっていると言っても、都心の数億円規模のマンションで、それに釣られて多少周りのマンションも上がったりはしておりますけれども、基本的には転売ヤーさんが転売ヤーに売って、実態価値のない売買が横行していたという事実がありました。その結果として、ここ数年のマンションの高騰に影響を及ぼしていると。
今まで買っていた一部の海外の方々がちょっと買わなくなって、実需の人たちしか買わなくなったというところで、転売ヤー規制というのも相まって、転売ヤーが作り出した転売ヤーのための相場、これが崩壊し始めているという状況ですね。
その結果、やっぱりマンションの売り出しというのは非常に多くなっているんですかね?
売り出しが増加で成約数は減少、在庫が積み上がっているという状況が示されています。これについては自分たちのチャンネルで今年の初めの頃にお伝えさせていただいておりました。
そうなんですね。
あとこれに続いてなんですけれども、最近ニュースで政府が転売に対して対策を講じるというものが報道されていました。いわゆる短期売買の譲渡益に対する税金って、5年以内に売る場合、大体39%・40%近くあったんですよね。これについてさらに税率を上げようみたいな案が出ておりまして、短期売買に対して規制をかけていきたいというような報道がなされていましたね。
実際、このニュースが出た日からとある高額マンションの売り物件が増えたという事実もありましたので、完全にそれが影響なのかどうかは分からないですけれども、これによっていわゆる価格の調整が今続いているような状況ですね。
ローンで苦しんでいる方が投げ打ってということではなくて、転売ヤーの方が減ってきていると。
そうです。減ってきているという状況か、転売屋さんが買った価格が高すぎるので買い手がいないような状況ですね。ただ、これはあくまでもいい調整かなと思ってまして、ちゃんとマンションが適正な価格で行き渡りやすくなるのかなという風には期待しています。
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都心の中古マンションの価格も下落してきているということで、よく言われるこの「ワニの口」というのは崩壊の予兆はありそうでしょうか?
ワニの口というのは最近耳にするようにはなりましたね。確かに成約価格と売り出し価格の差が開いているので、ワニの口が開いたような形になってます。かと言って、実は成約価格って東京はそんなに下がっていないんですよね。
そうなんですか。
今は転売ヤーたちの売り出しがまだ強気ということもあって、かなり急激にワニの口の上顎が開いている形になってワニの口に見えるんですけれども、じゃあ成約価格はどうなっているか。東京を数値で見ますと、実は小幅プラスで成約価格は推移しているんですね。
ワニの口の上顎が開いたというような形であって、下顎はこれまでよりもなだらかですけどもプラスを維持という形になってます。なので、このワニの口が開いているからこれが崩壊の予兆かと言うと、それは違うのかなと思います。
転売屋の方が売り出したいという売り出し価格が強気なんですね。
強気です。それが反映されているのが上の部分ですね。実需の人たちが買った、買える金額というのは成約金額で下の部分になりますので、実需の部分というのも今の緩やかなインフレを反映しまして、過度ではないんですけれども緩やかに上昇しているというような状況ですね。
なるほど。でも転売屋じゃなくても、ここまでタワマンバブルみたいに叫ばれていると、「とりあえず強気で出してみようか」みたいな。
多いですね。結局そこでは成約しないので、成約価格と売り出し価格の差がすごい開いているという状況ではありますね。
このマンションバブルの崩壊は終わったと見ているんですか?
先ほどのお話と一緒なんですけれども、いわゆるマンション転売バブルですね。理由について簡潔に言いますと、転売屋さんが持っている物件を今買う人というのは皆無であると。売りたいけれども、その転売物件を買ってくれない。その理由には転売に関する規制が出たというのもありますし、一部の海外の人たちが買わなくなったというところもありまして、いわゆる転売のタイムリミットが切れて時限爆弾が作動したような形ですね。
なので、今その転売物件を持っている転売屋さんはババをつかまされた状態。さらにこのババを持っているとみんな分かったら、それをあえて買うということはしないわけですよね。なので売ろうにも誰にも売れないということで、結果このマンションの転売市場というのは現状崩壊しているというわけですね。
なるほど。東京23区を分割して成約価格を分析していただいたということです。
東京23区をエリアごとに分割して詳細に成約価格を見に行くと、その光景が見えてくるんですよ。転売ヤーが狙うような、いわゆる都心3区。これは成約価格が一時期20%下落した月というのもありました。しかしながら、いわゆる普通の住む人が買う、実需の人が買うような城東とか城南とか、そういったエリアは前年比プラスを維持しているという状況ですね。
このように成約価格がエリアによって違うというのは、転売ヤーを中心とした都心3区は海外の買いの減少や規制などによって売り出しを余儀なくされて、成約価格も下がっている。これでマンションの転売バブルというのが終焉しているような状態。ただ、実際に住むような人が買うような都心3区以外のエリアというのは、そこそこの価格で成約は続いているという状況ですね。
でも今のお話を聞くと、転売の方が落ち着けば都心3区も実需が手を出しやすい価格になる可能性はどう見てますか?
あると思います。そうすると実際住みたい人にマンションが行き渡るようになるのではないかなと期待しております。
都心マンションにおける転売業者による投機価格と実需価格の違いを教えていただけますか?
今まで実際にどんな流れで不動産の転売取引がなされていたかを見ると分かりやすいのかなと思います。例えば新築で1億円のマンションが売りに出ましたと。これを転売ヤーさんAが買います。これを転売ヤーさんBに1億2500万円で売りました。2500万円の利益が出ました。これが今まではできていたわけですよね。
ただ、これがいつまでも続くわけではないと。時限爆弾付きの不動産ババ抜きみたいなものでして、この転売ヤーさんBは転売ヤーさんCに売りました。今度は1億5000万円で売り、また利益が出ました。次にCさんは他の人に売ろうとしました。そうすると、そろそろこのマンションも完成して引き渡しが始まってくると。これ、実は完成前の話なんですよね。完成して実際売り出しが始まってくると、実際の物件が中古市場にも出回ってくると。
そうすると、実際に住みたい人たちも「この物件を買おうかな」と値段を見定めるようになるんですよね。その時には周辺のマンションの販売価格であったり中古の相場、これと比較して住むために冷静に値段を見る。大体の場合の転売屋さんというのは、他の転売屋さんを相手に利益を得ることだけを目的に販売しておりますので、実際に住む人が値踏みをすると、大体それよりも低い価格になってしまうと。
これがいわゆる転売屋さんの投機的価格と、実需層の差になるんですよね。実需の人たちというのは住むことが目的ですので、他のマンションや中古の相場を参考にして値段を決めると。転売ヤーさんは投機的で、その物件の値上がり期待、特に新築売り出しの時の申し込み状況やその部屋の倍率などを考えて将来性を見て価格を決めている。この目線の差が価格の差に反映されているのかなと思います。
今後住宅ローンは変動金利で上がってしまうので、物件価格はちょっとでも落ち着かせたいと思っている方が多いと思うんですが、この適正価格はどうやって見るべきなんですかね?成約価格と売り出し価格にそんなに差があるのであれば、分からないじゃないですか。
我々も買取業者ですので、不動産を買い取って再販するというところなんですけれども、相場を見る時は売り出し価格じゃなくて成約価格を見ているので、やっぱり今の成約価格がいわゆる適正価格なのかなと見ていますね。
我々もそこを見たいんですけれども、成約価格って一般的には公開されていないですよね。どうやったらそのヒントに近づけるんですかね?
難しいですけど、そこの差があるから我々のような買取業者が活躍できるというところなんですかね。成約価格がこれぐらいだから、売主さんが売り急いでいるとか、情報をあまり公開したくないとか、契約不適合責任を負いたくないから安くてもいいから早く現金で欲しい、そういうのを我々が買い取って「今の成約価格はこれぐらいだからこの金額で売るよ」みたいな形で適正な価格で売りに出すということはやっています。
普通の販売業者さん、売主業者さんの出している金額というのが、ある意味では今の適正な相場を反映した金額なのかなとは思います。
ちゃんと見極める必要があるということですね。
大体において、中古のマンションで個人の方が売り出しているマンションの最初の売り出し価格は大体高いです。高いというのは、仲介会社さんが売りの依頼を受けるために「高く売れますよ」と売主さんにまず言うんですよね。まずはその金額で売りに出しますので、大体そこは高いのかなというイメージはあります。
結構値下げ交渉に応じてくれると言いますよね。
そうです。不動産業界の特殊なところで、定価というものがないので、出し値というのは値引き前提の金額ということは結構多いですね。
新築マンションは値下げはなかなか難しいかなと思いますね。今後物件価格が下がるというイメージを持っている方も多いと思うんですけれども、清水さんはどう見てますか?
私個人のメインシナリオとしては、長期的には上がっていくのかなと。ただ短期的には一定の踊り場になるとは考えてます。今は利上げとインフレによって、実際に買いたい実需の人もちょっと様子を見ている状況なのかなと思います。それによってマンションの一時的な下落というのはあったとしても、これは踊り場的な動きに収まるのかなと思ってます。
その先は、今は金利が上がっているんですけれども、皆さんも上がった金利にそのうち慣れてくると思うんですよね。緩やかなインフレも継続していくということですので、相場的には上向いていくのかなと考えてます。
ただ、反対に下がるシナリオについても十分に考慮はしてます。ただ、下がるシナリオであっても、金利上昇一つの下落圧力だけで価格が下がるかというと、考えにくいなとは思ってます。柔道で言うと、技ありとか有効とかあるじゃないですか。金利上昇は有効のポイントが入っているくらいかなと。それだけでマンションの下落・暴落の「一本」というのは取れない感じかなと。
実際、この利上げによって生活が苦しいとか、ギリギリで組んでしまった、投げ売りたいという人たちが増えたとして、これがすぐに相場に影響を及ぼすかと言うと、そうではないと思います。先ほど言いました転売ヤーさんたちは住んでいるわけではなく利益を得ることが目的なので、利上げによって利益が取れないなと思ったらすぐに売りに出すことができると思うんですけれども、実際に住んでいる人というのは家を守るために粘らざるを得ないというか、安易に売りには出せないという状況ですね。
高値掴みしてしまっていたらオーバーローンの状態もありますので、売りたくても売れない。これ、蟻地獄パターンですけれども、実際に売りに出なければ相場には影響しないわけです。今すでに金利が上がって苦しいという人もいるけど、苦しくて実際に売るとか競売にかけられている物件が増えているかというと、まだそういう状況ではないんですね。なので、苦しい人が増えることと実際に売る人が増えることは同じではないということです。
ただ、今後の経済状況によって他の要因がプラスされたとします。経済不安や収入不安、さらなる過剰なインフレですね。これによって実際に住んでいる人が本当に売らざるを得なくなった時には、実際にマンションの相場、不動産の相場への下落というのは起きるかなと思います。下がらない、暴落しないと言っているわけではなくて、暴落するにはさらなる条件が必要だということですね。
分かりました。最近、海外の方の需要が減りつつあるというお話もありましたよね。実際のところ、そういった方々の影響ってあるんでしょうか?
一部の海外の方々が3年前くらいまではよく買っていたなという印象なんですよ。これがここ最近、やっぱりパタリとなくなってきたなというのは感じてます。海外の需要というのは一般の人たちではなくて海外の富裕層ですよね。この海外の富裕層の方々が買わなかったから、東京全体のマンションなり不動産に影響があるかというと、そうではないのかなと思います。
一番大きく影響があるのは、海外の富裕層に対してマンションを転売していた転売屋さんたちなんですけれども、転売屋さんたちというのはそういった海外の富裕層が好みそうな高額で高級感のある高級タワマン、眺望が良くてブランド力があるそんなマンションを買って富裕層に売りに出していました。そして利益を得ていたんですけれども、海外のお客さんが減って転売屋さんたちにとっては影響は大きいです。けれども、それが普通の一般の人たちが買う実需に影響があるかというと、ダイレクトに影響があるとは思えないという感じですね。
一方で郊外の方ってどうなんでしょうか?現金で買う層が割と少なくて、でも利益を乗せて売ることもなかなかしづらいのかなと思うんですが、金利上昇による破綻のリスクというのは大きかったりしますか?
東京と比べて郊外がどうかというのは比べるのがなかなか難しいとは思うんですけれども、例えば今買う人と10年前に買った人では状況が違うのかなと。10年前に買った人であれば、東京の方がこれまで値上がっているのは確実だと思います。郊外も若干上がっているかもしれませんけれども、そこまでではないと。
同じように生活が苦しくなったから物件を売ろうとなった場合は、東京の方が利益は出る可能性があるので破綻のリスクは少ないのかなということは言えるかもしれないです。ただ、東京は家の価格が最低1億以上とかあるじゃないですか。住宅ローンもそれぐらい組みますと。郊外は元々少ないので、利上げの影響は郊外の方が少ないわけですよね。なので、郊外であっても破綻のリスクというのはそこまで大きくはないのかなと思ってます。
借入れの金額にもよりますもんね。地方で一軒家を建てる時の年収倍率は、そのあたりどうなっていますか?
見方を変えて一昔前の郊外と今の郊外で比較してみると、実は郊外の物件というのは去年の終わりくらいから今年の初めにかけて急騰しているというデータもあります。最近大和ハウスさんが23県から事業所を撤退して住宅事業から撤退しますよと、建物5000万円以上ということを言っていました。これはいわゆる建築資材の高騰であるとか人件費の高騰で値段が上がってしまって、地方ではこの高騰を吸収できないというような状況だと思うんですよね。
でもそれって裏を返せば、地方でも住宅価格というのは必ず上がっているということを意味するものだと思います。なので、郊外の急騰というのは一旦落ち着いてはいるんですけれども、確実に一段階値段は上がっているんですね。一昔前の郊外と今の郊外を比べると住宅ローンの金額も大きくなってしまうので、もし年収が同じであれば破綻のリスクというのは上がっていると言えるかもしれないですね。
都心でも郊外でも、現実的な住み替えの大変さですとか、資産価値だけではないリスクについてはどうお考えですか?
今の日本で一番のリスクって何かと考えた時に、今回あまり触れることはなかったんですけれども、インフレによる生活費の高騰なのかなと思ってます。住み替えの大変さもありましたけれども、今のインフレというのは部分的ではなくて本当にあるゆる価格が上昇していると思ってます。引っ越し費用や家具の買い替え、そして家賃ですね。
家賃も上昇しておりますので、あらゆるものにインフレの風が吹いているのかなと思います。実際に賃料が結構上がってきているというのは消費者物価指数の方にも反映されているんですけれども、我々不動産オーナーさんの物件を管理していますが、やっぱりどのオーナーさんからも「賃料を上げてくれ」という要望はすごい多いですね。
今のオーナーさんって結構色々情報収集しているので、今管理している会社さんが賃料を上げてくれないと、賃料を上げてくれる他の管理会社さんに変えたりしています。基本的に管理会社さんってあんまり賃料を上げる交渉をしたくないんですよね。なので、そういった賃料を上げてくれる管理会社さんを使ってどんどん賃料を上げていきたいというのが、今の賃貸市場の流れなのかなと思ってます。
賃料も上がるんだったら、今のうちに持ち家という選択肢も増えてきますよね。
持ち家も検討していただきたいと思うんですけれども、その時に注意していただきたいのは、金利変動耐性というところでお話しさせていただきましたけれども、まずはやっぱり「借りすぎない」というところですね。そこを十分に考えてお家選びをしていただければ、どんな状況下で買っても生活の破綻、ローン破綻にはならないのかなと思います。
今日清水さんにお会いするまでは「固定で、物件価格も下落ってニュースで見るから、もう少し待つのが選択肢かな」と思ってたんですけれども、全然違うということが分かりました。非常に勉強になりました。清水さんはいつも情報に丁寧に向き合っていらっしゃって、私もちゃんとお家を見直そうと改めて思いました。今日も本当に勉強になりました。動画が面白いと思った方は、ぜひチャンネル登録・高評価をお願いします。
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