和食の料理長が「ありえない作り方」の至高の豚汁を食べる:リュウジの家庭料理の考え方

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概要

料理研究家のリュウジは、前回の動画でクレイトンベイホテルの料理長に海軍カレーを作ってもらった。そのお返しに今回は、自分のレシピの中で一番人気がある「至高の豚汁」を料理長に食べてもらう。リュウジによれば、料理長は和食の基本をしっかり学んできた人で、一方この豚汁は「多分全部無視して」いる。和食の基本から外れた作り方の豚汁を和食の料理人がどう評価するのか、というのがこの回の見どころだ。作るのは本人にとって約5年ぶりである。

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海軍カレーのお返しとして一番人気のレシピを選ぶ

冒頭でリュウジは、前回の海軍カレーがあまりにおいしくて感動したと話し、何を作るか迷った末に一番人気のレシピにしたと説明する。「ありえない作り方をするので、あまり怒らないでほしい」と前置きし、料理長には冷えたビールを飲みながら見てもらい、気になる点があれば言ってほしいと頼んだ。

材料は長ネギ、大根、にんじん、こんにゃく、ごぼう、豚バラ肉、そしてにんにくと生姜である。リュウジは豚汁ににんにくと生姜を使うのは珍しいと認めたうえで、「味噌ラーメンっぽいスープ」で食べる豚汁だと説明する。このレシピの動画は今でもよく再生されているという。

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根菜は皮付きのまま:「手間がない方が正義」

最初はにんじんと大根の下ごしらえだ。にんじんは半月切りにするが、皮はむかない。大根も皮付きのまま切る。料理長も家では皮ごと使うと答え、皮は栄養価が高いという話にもなった。

リュウジは、皮付きのままだと煮込みが足りないときに口に残ることがあると認めている。それでも皮をむかないのは、家庭料理は毎日のことなので手間が少ない方がいいと考えているからだ。料理人なら、お客様に出すからにはこのくらいの下処理をしないとお金が取れないと考えるだろう。しかし自分は家庭料理なので「手間がない方が正義」であり、そこが料理人との違いだと説明した。料理長はこれに「いいと思います」と応じている。

リュウジはイタリアンを勉強していたのに、一番人気のレシピは和食の豚汁になったことにも触れた。

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こんにゃくは蛇口のぬるま湯で洗い、スプーンでちぎる

こんにゃくについて、リュウジは料理長に「下茹でしますよね」と確認する。料理長はそうだと答える。リュウジ自身は下茹でをせず、蛇口から出るぬるま湯で洗って臭みを取る。わざわざ湯を沸かすと、その時点でみんな作らなくなるからだという。

ここでリュウジは、「料理長はお料理が好きだと思うが、人類の9割は料理が嫌い」という持論を述べた。若い頃、料理が好きで人に振る舞い、こだわった点を説明していたが、誰もまったく聞いていなかった経験から、そう感じるようになったという。同席していた知人にフルコースを作ったことがあるが、何も覚えていないはずだと笑いを交えて話した。

こんにゃくはスプーンで引っかくようにしてちぎる。手でちぎると爪に黒い部分が入り込み、その時点で料理が嫌になってしまうからだ。包丁で切ってもよいが、バラバラな形のほうが食感として面白いとリュウジは言う。

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ごぼうは洗いすぎず、斜め薄切りで

ごぼうは洗いごぼうを使うが、一応軽く洗う。洗いすぎると香りが落ちるので、茶色が少し残る程度にとどめる。ささがきにはせず、縦半分に切ってから斜めの薄切りにする。リュウジによれば、ささがきのやり方がわからない人は多いし、今回使う150g(約1パック)を全部ささがきにすると手が疲れて「豚汁どころじゃない」。いろいろ試した結果、この切り方に落ち着いたという。料理長も「早いですね」と感心していた。

包丁さばきの速さについて、リュウジは酔っているほうが包丁の使い方が良くなると話す。しらふだと遅く、その理由は包丁が怖いからで、酔うと恐怖心がなくなるのだと本人は推測している。料理長は「いい感じに力を抜ける」と表現した。長ネギは縦半分に割って洗い、斜めに切る。料理長はリュウジの作り方を「ダイナミック」と評した。

この流れでリュウジは、自分は元々引きこもりだったと話した。中学は半分ほどしか出席せず、入った先も早くに辞めてその後引きこもっていた。自分から何かをするタイプではないのに、なぜこうなっているのか自分でもわからないという。

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豚バラ肉とごぼうを炒めて香りを出す

フライパンにごま油を大さじ1入れ、豚バラ肉を加える。本来は切っておくはずだったが切り忘れたので、手でちぎって入れた。リュウジは、ちぎっても味はあまり変わらないと言う。残りの量を目分量で「あと50gくらい」と判断した場面で、料理長からグラム数がすぐわかるのかと聞かれた。リュウジは、だいたいならわかるし、わからなくても味はあまり変わらないタイプだと答えている。

計量について二人は感覚が近く、自分で作るときは大さじなどで量らず、基本の比率と舌で調整するという点で一致した。ただリュウジは、家庭料理のチャンネルなので分量は必ず書くと説明する。にんじん1本と書いても100gのものも200gのものもあるので、グラムで表記しているのだという。

肉にごま油の香りをつけたら、ごぼうを加えて香りを引き出す。リュウジはごぼうの香りがこの豚汁の要なので、ここでしっかり炒めると強調した。その後に残りの野菜とこんにゃくを入れ、野菜に油が回って少しくたっとするまで中火で炒める。

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無名時代に「和食の料理人が絶対作らない豚汁」で勝負した理由

炒めながら、リュウジはこのレシピが生まれた背景を語った。和食の経験も誰かに習った経験もなかったので、最初は我流で攻めたという。出始めの頃の自分は、どこの誰かもわからない若造だった。そんな料理研究家と、店を構える和食の料理人がそれぞれ豚汁のレシピを出したら、実績のある料理人のほうを100%みんな作りたいはずだとリュウジは考えた。だから、和食の料理人なら絶対に作らない豚汁をあえて作った。すると「邪道だけどおいしい」と受け入れられたという。

料理長は「おいしい方が勝ちだと思う」と応じた。リュウジも同じ考えで、いろいろ作ってみても今でも自信を持って自分の豚汁はうまいと言えるので、当時のやり方は自分らしくて良かったと振り返っている。その後には、にんにくを入れず、出汁と昆布を使う「王道の豚汁」も作ったが、こちらもおいしく、結局どちらもうまいとも話した。今はいろんな人から料理を学ぶようになっていて、料理長からも自分では生み出せない味を体験して着想を得られたのがとても楽しかったという。

チャンネルは7年目くらいになり、料理動画は昔のものも繰り返し作られるので、次々とネタがあるとも話している。前回の海軍カレーについては、自分がアレンジするならこんな感じでやりそうだと語り、気に入っていると改めて伝えた。

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味噌は最初から入れて煮込み、アクは取らない

炒めたら水1リットルを注ぐ。以前は白だしを使っていたが、今回は「これ!うま!!つゆ」を大さじ4入れる。リュウジは白だしでもおいしいと付け加えた。元のレシピは白だしの甘さを前提にしていたので、みりんを大さじ1加える。香り付けに酒を大さじ2、そして好みの山吹味噌を、沸かす前のこの段階で全量入れてしまう。

和食では最後に味噌を溶き入れるのが基本だが、リュウジはこの時点で入れて煮込む。味噌の旨みを具材に入れたいからだという。本人もここが基本から大きくずれているところだと認めている。白だしなどの出汁類を使うのも邪道だろうとしつつ、今の家庭で出汁を引くのはなかなか難しいと話し、料理長も「引いている方を見たことがない」と応じた。リュウジの実家も、すべて顆粒のほんだしでまかなう家だったという。

これを約20分煮込む。公開当時、コメント欄では「こいつは料理のことを何もわかっていない」と言われた。味噌は沸騰後に入れるのが常識だという指摘だったが、リュウジは頑なに煮込んだほうがうまいと主張し、結果的に一番の人気レシピになったと振り返る。

煮立つと肉や昆布からアクが出るが、リュウジは絶対に取らないよう呼びかけている。アクも旨みの一部だと考えているからだ。これはインド料理の考え方で、カレーではアクを絶対に取らない、と説明した。他国籍の料理をいろいろ学んできたので、和の基本はなっていないが、結果としておいしければいいという考えで料理を作ってしまうのだという。

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脇役ではなく、ご飯と食べる主役の豚汁

この料理を思いついた経緯を料理長に聞かれ、リュウジは豚汁はよく脇役と思われているが、具がたくさん入り肉も入っていて、ほぼ完全食のようなものだと考えていると答えた。そこで、誰もが主役だと思える豚汁、つまりこの豚汁とご飯だけでいい豚汁を作ろうと考えた。おかずになる、メインになる豚汁だという。料理長は「めちゃくちゃ楽しみ」と期待を見せた。

煮込みを待つ間は、呉の話になった。料理長は以前呉に行った際、エーデルワイスのクリームパイを食べたくて電話したが売り切れで、呉の人たちが皆リュウジとクリームパイを食べた話をするので悔しかったと話した。その代わりに食べたフライケーキは安くておいしく、リュウジはあんこがそれほど好きではないのに驚いたという。甘いものは大好きだが太るのであまり食べないようにしているとも話し、ホテルで食べた「間宮アイス」もおいしかったので、また呉で食べ歩きをしたいと約束した。料理長は、呉市民もリュウジがなぜ来ているのかと驚いていたが、呉の魅力をもっと伝えたいと考えていると話した。

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煮込んだ後に生のにんにくと生姜、最後に長ネギ1本

20分煮込むと、野菜はくたっとして脂が少し浮いた状態になる。ここで初めてにんにくと生姜を入れる。煮込むとにんにくのパンチが弱くなるので、このタイミングで加えるという。ひと煮立ちさせたときのにんにくの香りがとてもおいしいとリュウジは言う。料理長は、豚汁ににんにくが入っているのは初めてだと驚いていた。生姜は皮が付いたまま使い、皮からも香りが出るという。量はにんにくと同じくらいで、ひと煮立ちすると香りは落ち着く。

すでにぐつぐつ煮込んでいるので、味噌の香りを立てるというより、味をなじませるイメージだとリュウジは説明した。最後に長ネギを1本まるごと、たっぷり入れて完成である。ご飯にもお酒にも合い、副菜を作らなくていい作り方で、ご飯という炭水化物が加われば完全食になる、というのがリュウジの説明だ。

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料理長の評価:「決まってる味」

料理長は一口食べて「美しい」と言い、「これは誰が食べてもうまい」と評した。「めちゃくちゃ決まってますね」とも言い、具体的には塩分がばっちり合っていることを挙げた。ご飯に合うという感想に対し、リュウジは家庭でこれとご飯だけで食べられるように設計したと応じている。料理長はごぼうとにんにくの香りも褒めた。リュウジが気にしていた皮付きの根菜についても「皮がうまい」と答え、ちょうどいいアクセントになっていると話した。リュウジ自身も5年ぶりに食べて「本当にうまい」と言い、七味を勧めた。

料理長は、この味を味わうとリュウジの人間性がわかる気がすると語った。リュウジが「若干尖ってる」と笑うと、料理長は、尖った部分がありながら結局はすべてまとまっているところがいいと答えた。リュウジは、料理人に自分の料理を食べてもらう機会はなかなかないので、料理長に食べてもらえたのが嬉しいと話し、「やりきった」と締めくくった。