箕輪厚介が語る「勝負」の捉え方:勝ち負けではなく、種まきと検証の積み重ね

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概要

新R25のインタビューで、編集者の箕輪厚介さんが「AI時代の勝負論」をテーマに話した。聞き手が知りたかったのは、箕輪さんがなぜ挑戦を続けられるのか、失敗を引きずらずに次へ進むにはどうすればいいのか、という点である。これに対して箕輪さんは、そもそも自分は仕事を「勝負」とはあまり考えていない、と答える。後半は競輪・オートレースアプリ「WINTICKET」の提供パートで、箕輪さんは実際に車券を買い、その体験を仕事の勘を鍛える話につなげた。

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本が出る日だけは「勝負」だと感じる

最初に印象に残っている勝負を問われ、箕輪さんは本業である書籍編集の話をした。本が出た初日の売れ行きや評判には毎回不安になるので、出版のタイミングはやはり勝負だと感じるという。

一方で、聞き手が挙げた例については、勝負という意識はないと話した。箕輪さんはSNSで話題の人や面白い人に「本を出させてください」とすぐリプライを送ることがある。聞き手には、これがリスクを取った行動に見えていた。しかし箕輪さん本人にとっては反射神経でやっていることで、送った直後に「別にそんなに出したくない」と思うこともあると笑いながら明かした。100個種をまいて1個花が開けばいい、というスタンスで仕事をしているので、いろいろやっては直後に忘れている。そこに勝負という感覚はないという。

仕事は一回で決着がつかず、地味に続いていく

箕輪さんによれば、仕事は「勝った」「負けた」で区切れるものではない。本が売れなくても、そこで負けて終わりになるわけではない。ヒットしなかったなら、次は赤字にしないことが目標になる。そのために本の売上ではなく、イベントを開いてその収益で稼ぐ方法を考える。こうして次の勝負が地味に続いていく。YouTubeも同じで、最初に再生数が伸びなければ、どう伸ばすかを考え続けることになる。

箕輪さんは、スポーツのように一瞬で勝敗がつき、後に続かない仕事がむしろ羨ましいとも話した。特に今の時代は、昔のように本を出して終わりではなく、出した後にどう運用していくかが問われる。だから、きれいに勝ったと言える場面はあまりないという。

過去の成功をそのまま繰り返すと滑る

聞き手は、自分の過去の経験を信じ切れずに一歩を踏み出せないことがあると打ち明け、経験を挑戦の糧にする方法を尋ねた。箕輪さんは逆の失敗を挙げる。過去の成功体験をそのまま踏襲すると滑る、というのが箕輪さん自身の実感だ。

箕輪さんが勧めるのは、毎回ゼロから考え、今回も初めての挑戦だと思って取り組むことだ。その結果として昔と同じやり方に落ち着くなら問題はない。まずいのは、昔これでうまくいったからと、形だけ過去を真似ることだという。時代も世の中も動き続けているので、同じことをしても同じ結果にはならない。受け継ぐべきなのは成功パターンそのものではなく、それを生み出した根っこの考え方である。それを使って今の世の中ならどうするかを考え直し、最終的な手段は変えなければならない、と箕輪さんは話した。

失敗は「負け」ではなく検証結果の一つ

聞き手はさらに、大きく振りかぶった企画が数字につながらなかったとき、その気持ちを引きずってしまうと相談した。次の大きな企画で、どこまで振りかぶっていいのか迷うという。

箕輪さんの答えは、それは負けではなく、検証結果の一つにすぎない、というものだった。例として挙げたのが、自身が手がけたNewsPicks Bookの立ち上げである。このレーベルは、堀江貴文さんの『多動力』や『メモの魔力』で最初からヒットしていたと思われがちだ。しかし箕輪さんによれば、『多動力』は2冊目で、1冊目は『リーダーの教養書』だった。当時のNewsPicks編集長の意向で作った、文化人類学や社会学の名著を紹介する骨太で難しい本で、これは完全に滑ったという。

箕輪さんは、自分がライトな本ばかり作っていると言われることにも触れた。実際には骨太な本も出しているが、それは売れないので目立たない。周りはヒットだけを見ている、という指摘である。

そのうえで箕輪さんは、負けなどないのではないかと話した。勝ったことが次の負けを呼び込むこともある。過去の成功パターンを繰り返して失敗することもあれば、成功パターンが後々自分の足を引っ張ることもある。勝ちも負けもグラデーションであり、コインの表と裏のようなものなので、自分がどう解釈するか次第だという。

「年に1〜2回はやりたくないことをやる」

聞き手は、箕輪さんの挑戦の回数の多さがビジネスパーソンとしての強さにつながっているのではないかと尋ねた。箕輪さんはここでも、勝負だと思っていないという言い方のほうが正しいと答えた。失敗を失敗と思わないので、勝負という意識もあまりない。箕輪さんは藤田会長の言葉にも触れた。努力しても結果は返ってこなくていい、問題はどれだけリスクを張ったかであり、リスクのあることをしなければ何も得られない、という趣旨だ。箕輪さんは、それを日常的にやっているのではないかと話した。

リスクを取れるようになったきっかけを聞かれると、箕輪さんは堀江貴文さんとのエピソードを語った。堀江さんがピン芸人のコンテスト「R-1」に出場し、小学生の格好でベタなお笑いをしているのを見て、箕輪さんはすごいと思った。それを本人に伝えると、堀江さんは「年に1回か2回は、めっちゃやりたくないなということをやると決めている」という趣旨のことを話したという。箕輪さんはこれをかっこいいと感じ、以来、無茶ぶりが来て嫌だと思ったら、あえて引き受ける癖がついた。スイスで格闘技の試合に出たのもその一つとして挙げている。タイトルにある「『やりたくない』が勝負の合図」という話はここから来ている。

周りには無謀に見えても、本人は8割がた勝算がある

箕輪さんは、周りからはリスキーで挑戦的に見えることでも、自分の中では「まあまあ無難」だと思っていることが多いと話す。自分では8割ほど勝算がついているのに、周りには大勝負に見えている、という状態だ。

その具体例がガーシーさんの本の出版である。箕輪さんは3つのプランを用意していたという。ベストは所属する幻冬舎から出すこと。関係上それが難しければ他社に持ち込み、自分は無償で編集する。どの出版社も扱ってくれなければ、自費出版を手伝う。出版社を通さなくても、やろうと思えば本は出せる。どこに転んでもどうにかなる形にしていた。ところが他社の編集者からは「自分もやりたかったが、うちの会社では無理だった。幻冬舎は自由で羨ましい」と言われる。箕輪さんとしては、あらゆるパターンを考えたうえでやっている、という受け止めだった。

崖から飛べる人は、崖の高さを調べている

この話を箕輪さんは崖のたとえでまとめた。リスクを取る人は無謀なのではなく、よく考えているから飛べる。崖から飛べない人は、崖の高さが分からないから不安になる。飛べる人は、高さも地面の硬さも調べて、最悪でも骨折で全治数週間だから飛ぶ価値がある、と判断している。

これを繰り返すうちに、「これは飛んでも死なない」と一瞬で分かるようになり、細かく考えなくても判断できるようになるという。聞き手が、実際に飛んで怪我をする経験を何度も重ねる「場数」も大事なのかと確かめると、箕輪さんはそれに同意した。

提供パート:競輪の仕組みとWINTICKETの説明

後半は提供のWINTICKETの紹介に移った。競輪は未経験という箕輪さんに、聞き手が競輪の特徴を説明した。聞き手によれば、競輪は日本発祥でオリンピック種目にもなっている。1レースの出走は5〜9人と少なく、そのぶん当たりやすい。人間同士の実力勝負なので、選手の脚の調子などを予想する楽しみがある。

聞き手が特に面白い点として紹介したのが「ライン」だ。同じ県出身の選手が3人出ていれば、一番年下の選手が風よけとして先頭を走ることがある。そうした並びで周回し、最後の1周半から個人勝負になる。箕輪さんは最初「人間関係を持ち込むのか」と笑ったが、出走表を見て先輩後輩の関係から展開を読むこともできると聞き、面白いと反応した。ほかにも、朝8時半から夜11時半までほぼ毎日、全国約40か所の競輪場でレースがあり、選手は2000人以上いること、100円から買えることが説明された。

アプリの機能として聞き手が強調したのは「AI予想」である。自信度が3段階の印で示され、過去数万レースの結果をもとに算出されている。的中率は現時点で76%だと聞き手は紹介した。初心者向けに買い方の例まで表示されること、チャージ方法が多いことなども説明された。サイバーエージェントの事業であることは箕輪さんも知っていた。

実際に車券を買ってみる

箕輪さんは実際に2レースを買った。1レース目では、AI予想で1位の松沢選手はそれを見て油断している、2位の内山選手はAI予想に憤っているから勝つ、という冗談めいた読みで、内山→松沢の2車単(8.3倍)を選んだ。レース後の会話を見る限り、箕輪さんの車券は外れたようだが、AI予想の組み合わせは2車複でも2車単ボックスでも当たっていた。箕輪さんは「AIの時代だ」と感想を漏らし、レースの短さについて、実力だけで決まるかと思ったら位置取りで番狂わせが起きると話した。

2レース目では、AI予想の自信度は星2だった。箕輪さんは選手の名前と年齢で決めることにし、年齢が高い選手に頑張ってほしいとして、今井・一本・中川の3連複(2-3-5)を選んだ。これが的中し、払戻金は4万8000円と伝えられた。この組み合わせはAI予想とも一致していた。聞き手は、選手に詳しくなくてもAI予想が補助してくれるので心配はいらないと述べた。

「分析・トライ・検証」を日常に組み込む

使ってみた感想として、箕輪さんはまず操作がスムーズな点を挙げた。こうした操作は苦手で、それだけで嫌になるという。これだと思ったときに投票できず、その選手が来てしまったらショックが大きい、とも話した。AI予想が見やすく、競輪の知識がなくても始められる点も評価した。

ビジネスパーソンに勧める理由を問われると、箕輪さんは前半の議論につなげた。仕事は分析・トライ・検証がすべてであり、それが全部含まれているので勝負勘が磨かれる、という主張である。藤田会長も麻雀から学んだと語っている、と例も挙げた。「やっていないとまともなビジネスパーソンになれない」と言い切った場面は、聞き手も笑いながら言い過ぎかもしれないと返している。通勤中に情報を得るだけでは意味がない、とも冗談交じりに話した。

締めくくりに箕輪さんは、勝負したいのにできないビジネスパーソンは、そもそも勝負の回数が少ないのだと述べた。トイレに行くとき、散歩のとき、休憩のときといった隙間時間に、どう勝負を日常へ溶け込ませるかが大事だという。聞き手は、前半で箕輪さんが語った「打席に立つ数」の話と結びつけてインタビューを終えた。