公式の原材料表示から組み立てる「ジェネリック吉野家牛丼」

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概要

料理研究家のリュウジが、吉野家の牛丼を家庭で再現する回である。牛丼の再現レシピはすでに多く出回っているが、リュウジは独自の工夫を重ねるより、吉野家自身が公開している原材料表示にできるだけ沿って作ると述べる。そのうえで、仕上がりを大きく左右する工程として「肉を叩いてボロボロにすること」を挙げる。試食ではスタッフとともに、これまでのジェネリックシリーズで最も再現度が高いと評価した。

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なぜ吉野家なのか

冒頭でリュウジは、牛丼チェーンの中で一番好きなのはすき家で、吉野家は2位だと話す。すき家は「一番調味料の味がしてうまい」というのが理由である。それでも吉野家を選んだ理由については、「数字が取れそうだから」と冗談めかして答えている。

吉野家の再現レシピには、出汁を使うものが多いという。リュウジはそうした方向で作ってもよかったとしたうえで、今回は「本家本元」を見習う方針をとった。自分は成分表マニアだと言い、吉野家が出している「大盛牛丼の具」の成分表がいちばん詳しいとしてスタッフにも共有している。

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成分表から読み取ったこと

リュウジが読み上げた原材料は、牛肉、たれ(砂糖、醤油、粉末醤油、ワイン、食塩、醤油加工品、生姜、オニオンエキス、ニンニク、ホワイトペッパー)、玉ねぎ(国産または米国産)、酒精、調味料(アミノ酸)である。公式が出している以上これらは必ず入っているので、この材料を使いたいと話す。

「調味料(アミノ酸)」については、表示されているものは大体味の素で、「ほぼ99%味の素」と思ってよいというのがリュウジの見方である。ワインは、吉野家が白ワインベースだとどこかで公式に言っていたはずだとして、赤ではなく白ワインを使う。ホワイトペッパーは手に入りにくいので、ホワイトとブラックが混ざった市販のテーブルコショーでも大丈夫だろうとする。「醤油加工品」の中身ははっきりしないが、リュウジは昆布だしが含まれていると推測し、昆布だしを使う。本人もこの部分は「怪しい」と笑っている。酒精が入っていることから、酒も加える。

このほか、みりん、砂糖、紅生姜、ご飯を用意する。分量は作りやすいよう2人前で、半量にしてもよいとしている。

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肉は脂ののった安い牛バラで

今回使った牛肉はオーストラリア産で、リュウジによれば少し厚い。吉野家の肉はもっと薄く、厚さ1mmほどのショートプレートだという。ただ今回の肉は脂ののりがよいので、用意していた牛脂は使わない。脂の少ない牛肉を使う場合は、牛脂を加えるよう勧めている。

肉の選び方については、国産の高い牛肉より、安い豪州産などの特大パックを買ってほしいとも話す。

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玉ねぎは1cmほどのくし切り

玉ねぎはくし切りにする。スタッフに厚さを聞かれたリュウジは、少し迷ってから1cmくらいでよいと答えた。吉野家の牛丼は玉ねぎが多く、以前は玉ねぎを多めにする「玉だく」の注文にも応じてくれていたという。今はどうか分からない、と本人は付け加えている。生姜とニンニクは後ですりおろす。

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最重要工程:肉を「ボロ雑巾」にする

リュウジが最も強調したのが、肉を叩いて薄く崩す工程である。厚い肉をそのまま使っても吉野家らしくならない。肉を広げ、後で使う白ワインの瓶で叩いて「ボロ雑巾」のようにする。ボロボロであるほどよい、というのがリュウジの考えだ。吉野家の肉は本当に紙のように薄く、よく食べている人なら分かるはずだと話す。もともと薄い肉ならこの工程は不要だが、そういう肉はスーパーではあまり売っていないとみている。

叩き終えた肉を見せながら、リュウジは「これをやったらほぼできちゃう」と述べた。牛丼用の薄切り肉でも、ボロボロの食感が好きなら叩いたほうがよいという。ボロボロの肉のほうがご飯に合い、店も何十年もそうしてきたのだから必要な工程だ、というのがリュウジの説明である。

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煮汁の配合

鍋に水100ccと玉ねぎを入れ、調味料を加えていく。手順の途中でリュウジは「この工程が面倒なら吉野家に行けば。それが一番楽」とも言っている。

  • 醤油:大さじ2(基本は醤油の味)
  • みりん:大さじ2
  • 酒:大さじ1(酒精が入っているため)
  • 白ワイン:大さじ1
  • 砂糖:小さじ1
  • 昆布だし
  • おろし生姜:2人前で6g程度
  • おろしニンニク:生姜の半量、3g程度

白ワインを使わなくてもよいのかとスタッフが尋ねると、リュウジは、白ワインは銘柄によって酸味があるので、なければ省いてもよいと答えた。ただし入れたほうが吉野家に近づくという。白ワインを使わない場合は、酒を倍量の大さじ2程度にする。

だしは「絶対昆布だし」だと念を押す。カツオだしを使うとカツオの味がして、なか卯のようになってしまうという。ここでスタッフとなか卯の親子丼の話になり、リュウジは親子丼は絶対カツオだと話している。

生姜は公式にも記載されているので入れる。ニンニクについては、スタッフが入っているとは知らなかったと言い、リュウジも食べても分かる味ではないとしたうえで、成分表には確かに書かれていると説明した。成分表では生姜のほうが先に記載されているので、生姜のほうが強く効かせるべきだという読み方である。

煮汁は煮詰まりやすいので、蓋をして弱火で5分煮て玉ねぎに火を通す。牛肉を下茹でする方法もあるが、リュウジは下茹でが好きではないとして、そのまま入れる。肉の脂もおいしいからだという。途中でコショーを入れ忘れていたことに気づき、2振り加えた。味の素を入れるかどうかは、後で味を見て決める。

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すき家の味についての見解

煮込みの合間に、リュウジは他チェーンの話をしている。他の牛丼チェーンは白ワインを使っていないのではないかという。すき家は旨味調味料が一番入っているが、そのバランスがよいので好きなのだと説明した。旨味調味料がたくさん入っていればよいわけではなく、大事なのはバランスだという立場である。

牛丼は日本発祥のファストフードなので、旨味をしっかり効かせたほうがうまいとリュウジは考えている。同じ味を高級料亭で出されたら「いやいや」となるので、ケースバイケースだと付け加えた。

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再現レシピは店の迷惑になるのか

再現レシピは店の迷惑になるのではないか、とよく言われるとリュウジは話す。それに対する答えは、迷惑にはならないというものだ。数百円で食べられるものをわざわざ家で作る人はいない。それでもこうしたレシピには意味があり、海外に住む人や近くに店がない人にはとても重宝されるという。家で大量に食べたい人にも向いている。

例として、以前「ジェネリック山岡家」を公開したあと、山岡家がとても混んでいると聞いたことを挙げた。自分のせいかは分からないとしつつ、ジェネリック版を見て食べたくなり実際に店に行った、という声が多かったという。近くに店がある人は食べたくなったら店に行けばよいので、競合はしない。むしろ店のためになると考えており、再現レシピで売上が落ちたという話は聞いたことがないとも述べた。今後もジェネリックシリーズは続けていくという。

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肉を入れてからの煮込み

5分煮ると玉ねぎが少し透き通ってくる。そこに叩いた肉を入れ、固まらないようにほぐす。リュウジは「ある程度でいい」と言うが、本気で再現するならしっかりほぐすべきだとし、崩れた見た目が牛丼屋らしさにつながると話した。

肉を入れると温度が下がるので、いったん沸かしてから約10分煮る。ある程度煮ないと肉に味が染みず、吉野家らしくならないという。途中で2分ほど煮た段階を見せ、残りは8分ほどだとした。最後に味を見て、醤油が足りないのか塩が足りないのかなど、問題があればそこで調整する。リュウジはこれを「僕が考える一番作りやすい分量の吉野家風」と呼び、以前に作った試作版から配合を変えたとも明かしている。

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つゆだくにしたい場合

スタッフから、つゆだくにしたければ水を増やせばいいのかと質問が出た。リュウジは、ここにある汁を全部かければすでに「つゆだく」に相当すると答える。ただ吉野家の牛丼は、つゆを多くするほど塩分も増える。水を足せば汁気は増えるが牛の味が薄まるので、自分はこのくらいがよいという。一方で、牛肉から水分も出てくるので、後から調整すればつゆだくにも対応できるとした。リュウジ自身はつゆだく派ではなく、紅生姜を山盛りにする派だという。

雑談の中で松屋の話題になり、リュウジは松屋の商品は「牛めし」と呼ばないといけない、と付け加えている。

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仕上げと価格の話

味見をしたリュウジは「非常にいい味」と言い、旨味調味料を入れたらすき家寄りになってしまうかもしれないと話した。そのうえで、醤油を少し足したほうがおいしいと判断し、仕上げに小さじ2ほどの醤油で味を整えた。見た目について、吉野家そっくりになったのは牛肉を叩いたからで、こういうひと手間が大事だと強調する。

価格の話も出た。スタッフの話では、吉野家の並は現在480円前後だという。リュウジは自分の若い頃は280円だったと振り返り、記憶をたどるようにすき家と吉野家のかつての値段を挙げた。そのうえで、今の価格は適正で、昔が安すぎたという見方を示した。

煮込み時間は、もっとボロボロ感が欲しい人なら15〜20分でもよいとする。ただ牛丼としておいしくなるのは10分以降で、手作りのよさも追求したいので10分程度がよいというのがリュウジの考えだ。実際には、ご飯を温めている間に結局15分ほど煮ることになった。

最後に味の素を2振り加える。原材料に含まれているのだから厳密には同じものが入っているはずで、足さなくてもよいかと思ったが、やはり入れたほうがうまいという判断だ。

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盛り付け

ご飯は200g。吉野家は250gだったかな、とリュウジは記憶を口にしている。器はスタッフが買ってきた、吉野家と同じタイプの丼である。料理によってはご飯を丸めてふんわり盛ることもあるが、今回は普通に盛った。

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試食:これまでで最も高い再現度

一口食べたリュウジとスタッフは、そろって吉野家そのものだと口にした。リュウジは「記憶の吉野家と完全に一致してる」と言い、再現度は99%ぐらいあると評した。気の利いた感想を言いたいが「吉野家です」としか言えない、とも話している。匂いも吉野家と同じだという。リュウジは煮込みの途中でも、吉野家は匂いが強烈で、食べると夜まで息が気になると話していた。

細かな違いとしてリュウジが挙げたのは、使った肉が吉野家より少しいい肉かもしれない点と、ボロボロさの程度である。肉はもっとボロボロでもよかったという。それでも、ブラインドで食べたらあまり分からないかもしれない、とリュウジは述べた。吉野家スタイルの肉を仕入れられれば、さらに近づけられるだろうという見立てである。

味の決め手としてリュウジは、白ワイン、適量のニンニク、コショーを挙げ、生姜の風味も再現できていると評価した。再現度が高すぎて実用性があるのか分からない、と冗談を言いつつ、たれは完全なものができたと思うと話している。

もう一人のスタッフも、口に入れた瞬間に吉野家だと分かると驚いた。うまいことはうまいが、それ以上に「吉野家らしさ」が勝つ、という感想も出ている。

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結論

スタッフから「ジェネリックシリーズ史上、完全再現では」と言われ、リュウジもこれは完全再現かもしれないと認めた。そのうえで、「最高傑作というより最高再現度」だとまとめている。もう少し自分らしさがあってもよかったかもしれない、とも付け加えた。レシピ通りに作れば吉野家に行った気分になれるはずだとして、視聴者に試してみるよう勧めている。

最後にスタッフが、吉野家の牛丼を1杯残さず食べきったのは珍しいと指摘した。リュウジは、最近は家の近くに店がなくなったと話している。