洞窟探検家・吉田勝次が語る、暗闇から「帰ってくる」ための技術とパニックの怖さ
VAIENCE バイエンス洞窟の中では携帯電話もGPSも使えず、声も外に届かない。帰り道を見失えば、助けを呼べないまま暗闇に取り残される。国内外で1,000以上の洞窟に入ってきた洞窟探検家・吉田勝次は、洞窟探検で最も重要なのは「どこまで進むか」ではなく「どうやって帰ってくるか」だと語る。この動画では、吉田が死にかけた経験、水中洞窟での最近の危機、洞窟内での食事や排泄、洞窟の生き物、パニックを避けるための方法、遺体搬出の経験、そして未踏の場所に向かい続ける理由が語られた。
帰り道の景色を記憶しながら進む
吉田が迷わないために続けているのは、振り返った景色を記憶することだ。初めての洞窟では、奥の様子が気になってきょろきょろしながら進んでしまう。そうすると、帰ろうとして振り返った時に初めて帰り道の景色を見ることになり、それは「見たことのない景色」になってしまう。そこで吉田は、5mほど進んだら振り返って帰り道の景色を観察し、記憶にとどめてからまた進む、という手順を繰り返すようにした。これを始めてから、ほとんど迷わなくなったという。
それ以前には危ない場面もあった。探検を始めたころ、吉田はたった1人で洞窟に入っていた。帰り道が分からなくなり、同じ場所を2時間ほど回り続け、2〜3周目でようやく同じ場所だと気づいた。しかし、なぜループしているのか、どこから抜け出せばいいのかが分からない。逆回りをしたり元に戻ったりして10周、20周と続けるうちに体力が落ち、「もうここから抜け出せないんだ」とメンタルも削られていった。簡単に諦めればただ死ぬだけなので、自分がどう動いたかを記憶で辿り直し、それを思い出しきれたから帰れた。吉田はこれを「運が良かっただけ」と振り返る。
そう考える理由として、吉田は洞窟の中で亡くなった人に何人も遭遇してきたことを挙げる。年代を調べたわけではないが、1年前の人から100年、1000年ほど前の人まで、洞窟から出られなかった人にかなりの数出会ってきたという。だから「絶対1人で入らない方がいい」というのが吉田の結論だ。
28歳で洞窟に入り、「自分で見つける」探検へ
吉田が初めて自然の洞窟に入ったのは28歳の時だった。もともと未知の世界に興味があり、アウトドア雑誌で洞窟探検サークルの案内を見つけ、載っていた番号に電話をかけたのが始まりだった。後にそのクラブの会長に「電話がたくさんかかってきたでしょう」と尋ねると、かけてきたのは吉田1人だけだったという。洞窟探検がそれほどマイナーな世界だと、吉田はそこで理解した。
先輩に連れて行ってもらう探検は面白く、仕事をそっちのけでやりたくなるほどだった。そんな時、先輩から「洞窟探検は面白いけれど、自分で見つけた洞窟を探検したら、もう君はやめられないよ」と言われた。連れて行ってもらうだけでもこれほど楽しいのに、自分で見つけた洞窟とは何なのか。その日から吉田は山を歩き回って洞窟を探すようになり、最初は1人で活動していた。
誰もいない空間に最初に立つ感動と、洞窟から出る瞬間
吉田にとって探検で最も心が動くのは、未踏の世界を見つけた瞬間だ。縦穴を降りた先で巨大な空間に出会うと強烈な感動があり、そこに誰も来たことがなく、自分が1人目として立ち会っていることに感動しているのだという。「だからやめられない」と吉田は言う。
さらに時々、「ご褒美的存在」として絶景に出会うことがある。とてつもなく大きな空間で床がほぼ平らになり、壁が結晶でキラキラ光っている場所。棚田のように段々になったプールに透明度の高い水と結晶があり、ライトアップして写真を撮るような場所。地底に溜まった美しい地下水、地下の川、滝。ただし、そうした場所はそれほど多くないので、出会えた時は「やった」と思うという。
一方で吉田は、カメラに撮られた自分の映像を見返すと、一番笑っていて一番喜んでいるのは、本末転倒かもしれないが洞窟から出た瞬間だと明かす。未知の世界に挑んで感動し続けているが、心のどこかでは帰りたいという気持ちがある。洞窟の話を突き詰めていくと、だんだん死ぬ話になる、とも吉田は話している。
天井の崩落と、頭から入った泥の斜面
真っ青になった瞬間は数多くあるという。狭い空間を体をひねりながら進むと、脆い天井に触れてしまい、崩れることがある。ある時は崩落で腰から下が完全に埋まった。たまたま後ろに仲間が1人いて、埋まった石を後ろから1つずつ取り除いてくれたおかげで帰ってこられた。1人だったら今ここにいない、と吉田は言う。石が腰よりもう少し上まで埋めていたら息ができなくなっていたので、それも運が良かった。それ以来、狭い場所では上の脆い石には触らないと決めている。
もう一つは探検を始めた初期の出来事だ。泥に覆われた45度ほどの狭い斜面を、経験がなかったために頭から進んでしまった。頭から入ったため、戻ろうとしても足で地面を蹴れない。しかも穴は先に行くほど狭くなり、体をひねったり手を動かしたりする余裕もなくなった。気づいた時には頭を下にしたまま身動きが取れなくなっていた。その時は1人だった。
体をひねってもまったく上に戻れず、動かせるのは指だけになった。吉田は指で壁を押して体をわずかに上げていったが、油断して力を抜くと、泥のせいで全部滑って元に戻ってしまう。それを何度も繰り返し、1〜2時間かけてなんとか脱出した。これを編み出さなかったら今も狭い隙間で骨になっていたかもしれない、実際にそうやって亡くなった人に洞窟の中で会っている、と吉田は語る。
中国の300m縦穴での落石
自分の判断だけでは避けられない事故もある。中国で未踏の縦穴を探検した時、吉田のチームはロープを使って約300m、東京タワーほどの深さまで降りていた。探検を終えて撤収するため、仲間が先に壁を登り始めた。その時、100mほど上にいた仲間が足元の石を蹴り落としてしまった。
石が壁に当たる「カーン、カーン」という音が聞こえ、吉田は当たる確率を下げようと壁に張りついた。2回音が聞こえてから3秒ほどで石が落ちてきて、ヘルメットの左側の縁に当たり、軌道がそれて肩を直撃した。石のスピードと重さで吉田の体は吹き飛ばされ、その瞬間「死んだ」と思ったという。左半身は完全にしびれ、何も握れない状態だった。
最初は横になっていたが、2つ目の石が来て当たれば絶対に生きて帰れないと考え、慌てて立ち上がり、片手で登り始めた。両手なら12時間ほどで登れる縦穴に、その時は30時間ほどかかったという。
登り切って「当たった、多分折れている」と説明しても、吉田があまりに元気だったため誰も信じなかった。中国の大きな町に寄った際、病院でレントゲンだけ撮ってもらい、写真を見せてようやく「折れてるね」となった。石を落とした本人からは「吉田君でよかった」と言われたという。他の人だったら死んでいた、それだけ骨折していたら本来はレスキューが必要で、自力で上がってくることはなかなかない、という意味だった。
吉田自身は、生きていれば全部オーケーだと考えている。探検を続けられるし、自分の生まれ育った世界に帰れる。怪我は探検をやっている以上仕方がない。そして、石を落とされて怪我をさせられても許せる仲間としか探検に行っていないので、わざとではない以上腹も立たず、「よかったね」と一緒に笑って終われたという。
骨折より外傷と感染症が怖い
吉田は首から下のほとんどの箇所を骨折した経験があるという。脊椎、頸椎、頭蓋骨は折っていないが、指、肋骨、肩などは一通り折っている。それでも吉田の中で骨折は怪我のうちに入っていない。骨折を何箇所しても死なないからだ。
怖いのは外傷のほうだと吉田は説明する。太い血管を切ってしまえば止血が難しいし、泥だらけの場所を潜水して戻らなければならない洞窟では感染症も心配になる。骨折ならすぐに死ぬわけでも感染症の心配があるわけでもなく、痛みを我慢して洞窟を出ることに集中すればいい。だから仲間が骨折したと聞くと、「軽傷だからラッキー」と満面の笑みで喜んでしまうという。
体の丈夫さについては親に感謝していると話す。洞窟に生鮮食料を持ち込み、肉や野菜が腐っても捨てずに食べるが、お腹を壊した記憶はない。ボウフラの湧いている水も飲む。骨折が治る前に探検に行くこともあり、ギプスをしたまま探検に出たこともある。泥と傷だらけのギプスを見た主治医に理由を問われ「色々転ぶので」と答えると、嘘だと分かっている様子で「まあいいわ」と言ってくれたという。
水中洞窟、泥で視界を失った帰路
吉田が「本当にここ2か月以内に死にかけた」と語るのは、以前から存在を知っていた洞窟での探検だ。入口から数十m進むと水没していて、当時は潜水できず未踏のままだった場所に、弟子であり相棒の竹内孝、通称「こうちゃん」と一緒に向かった。
水中の通路はとても狭く、最初からタンクを外して2本を前に持ち、タンクの間に顔を入れながら進んだ。断面で見ると30度ほどの角度で下がり、V字のようにきゅっと上に向かって進む形になっていた。怖いとは思ったが、行きたい気持ちが強すぎて、タンクを押しながら突破し、空気のある次の空間に出た。その先はさらに狭くなっていたが、潜水して土砂を掘りながら進んだ。夜中の12時ごろになり、体力も限界に近づいたので一旦戻ることにした。
ところが、掘った泥水が下流に流れ、自分たちが通ってきた狭い水路がすべて泥水になっていた。まったく見えない中を戻らなければならない。V字の場所でタンクを押しても、空間の形に合わせてタンクが回ってくれず、見えない中でいくら押しても進める場所がない。怖さのあまり、通ってきた空間が土砂崩れで埋まったのではないかと考えるようになり、一度リセットするため後ろ向きに戻って、奥の空気のある空間に引き返した。
そこで2人は、帰り道を示すラインが分かりにくい位置に来ていることを確認し、張りすぎていたラインを緩めて調整した。ただ、吉田は2回目の挑戦のほうが精神的につらいと話す。一度通れなかった場所にもう一度行くと、自分が突破できるという自信がとても小さくなる。「怖すぎて」メンタルが持たない状態になる。だから、とにかく狭い場所を突破することだけを考えようとした。
再び進むと、やはりタンクが通らない。V字に上がっていたことを思い出し、手を突っ込むと洞窟が上に続いているようだったので、タンクを差し込んでぐっと上げると、すぽんと向こうの空間に抜けた。しかし次は、タンクと天井の間に顔が入ったところで、レギュレーターにつけたゴムが引っかかり、どうしても外れなくなった。動けなくなり、恐怖がどんどん増していく。タンクの空気は多分20〜30分ほどしか持たない、と吉田は見積もっていた。
焦ると余計に怖くなるので、引っかかったゴムを外すことだけを考えた。あと5分外れなかったら、装備のナイフでゴムを切っていただろうという。結局ゴムは外れた。吉田は、追い込まれた人間は1つできないことができると、気持ちが少し楽になると話す。そこからは見えないまま、タンクを押せる方向が帰れる方向だと考え、押し続けて最後の狭い場所を抜け、生還した。外に出た2人は「怖かった」「やばかった」と言い合い、吉田はこうちゃんに、途中でアドバイスする余裕もなくお前を信じるしかなかったと伝えた。映像の中で吉田は、この探検が10年で3本の指に入る緊張感だったと話している。
食事は栄養補給であり、メンタルのリセット
死と隣り合わせの探検の中で、吉田が唯一楽しいと言えるのは食べることだという。食事は栄養補給であると同時に、同じくらい大切な意味として「メンタルのリセット」がある。精神的に追い込まれたりきつかったりしても、物を食べているうちに気持ちが柔らかくなっていく。
食材を運び込める探検では鍋を作ることが多い。吉田がよく作るのは赤味噌ベースの鍋で、白菜、ネギ、豚肉、ごぼうなどを運ぶ。洞窟にはクーラーボックスを持ち込めないため、常温で運んだ食材は数日で傷み始める。そこで腐り始めたものから鍋に入れていく。食材を運び込めない探検では、ナッツやドライフルーツ、グミ、種などを防水ケースにまとめ、休憩のたびに少しずつ口に入れる。火も水も使わず、ロープにぶら下がっている時でも食べられる。
1日の活動が終わり、乾いた服に着替えて寝袋に入る前にインスタントラーメンを食べるのが、吉田たちにとっての「洞窟のご馳走」だという。時には洞窟の中でエビを捕まえて焼いて食べることもある。焼くと売っているエビのように赤くなり、皮をむいて醤油をつけると美味しいという。ウナギを捕まえて焼いたこともあるが、それはあまりやらないそうだ。
尿はペットボトル、便はヘルメットの中
排泄物は洞窟の外に持ち出す。尿をそのまま出すと洞窟がにおい、環境破壊になるため、ペットボトルに溜めて外で処分する。各自が自分のペットボトルを使いたがるので本数が増えていくが、大きな容器にまとめたほうが運びやすい。そのため、じゃんけんで負けた人が全員分の尿を大きな容器に移し替える。この作業が一番嫌がられるので、みんな真剣にじゃんけんをする。洞窟の中で一番大声を出して盛り上がる瞬間かもしれない、と吉田は笑う。
便はチャック付きの袋に入れ、空気を抜き、漏れたり破裂したりしないよう何重にもして持ち帰る。ベースキャンプならハードケースに入れておけばよいが、移動中は入れる容器がない。そこでよくやるのが、袋に入れた便をヘルメットの内側の空いた部分に入れて、そのまま被る方法だ。これが一番身近なハードケースになるという。こうするようになったのは、以前胸ポケットに入れた便が狭い場所で破裂したことがあったからだ。吉田にとってそれは「爆発物」のようなもので、本当に嫌だがヘルメットに入れて被っている。
有機物の乏しい洞窟に暮らす生き物
排泄物を残してはいけない理由として、ナレーションは洞窟が閉ざされた環境で、一度汚染されると影響が長く残ることを挙げる。そして洞窟には独自の生態を持つ生き物がいる。
吉田によると、洞窟の生態系にはいろいろな系統があるが、代表的なのはコウモリを起点とするものだ。コウモリが外で虫を食べ、天井に止まって糞を落とす。糞が山になり、そこにカビが生え、カビを食べる小さな虫がいて、その小さな虫を食べる肉食の虫がいる。大きさはせいぜい1〜2cmほどで、洞窟には有機物がほとんどないため、少ない食べ物を分け合うか取り合うかしてなんとか生態系が成り立っている。
一方、洞窟内の水脈には意外に大きな生き物もいる。オオウナギは大きいもので3mほどになるが、それが普通に洞窟の中にいる。洞窟の水中は地上の川とつながっていることが多く、川から食べられるものが流れ込んでくるため、魚やウナギ、ザリガニのような生き物、カニなどが暮らせるのだと吉田は説明する。
太陽光が届かないため、洞窟の奥の生き物は真っ白で、内臓まで透けて見えるものもいる。吉田は洞窟の生物を大まかに2つに分けて説明した。好洞窟性生物は洞窟の環境を好むが、洞窟の外にもいる生物で、目もある。真洞窟性生物は洞窟の外に出たら死んでしまうほど洞窟に適応していて、目がない代わりに触角が10倍ほど長かったり、体のさまざまな部分で周囲を感知したり、皮膚全体で呼吸したりするものがいるという。
吉田はこうした生き物の中にまだ新種がいると考えている。実際に、カニくらいの体に蜘蛛のような長い脚を持つ生き物が水中の壁に張りついていて、近づくとさっと逃げたのを見ているが、捕まえるまでには至っていない。新種かどうかは調べていないので分からない、専門の学者が見れば「なぜ捕まえてこないのか」と言われるだろう、と話している。
パニックは「魂が離れかけている」状態
吉田が洞窟で最も避けなければならないと語るのがパニックだ。吉田はパニック寸前の状態を「魂が自分から離れかけている」と表現する。平常心の時は魂がしっかり体にくっついていて、体もマインドも自分でコントロールできる。パニックになると、自分が自分でなくなり、半狂乱で自分を制御できなくなる。
吉田の説明では、まず脈拍が速くなり、次に呼吸が浅くなる。吸ったり吐いたりが乱れ、吸い続けてなかなか吐けなくなったりする。呼吸が乱れると体が緊張し、十分な酸素を取り込めなくなってさまざまな問題が起き、ひどく疲れる。すべてが不利になっていく。だからパニックになりかけたら、全力で怖くならないように抑え込む。仲間がパニックになりかけていたら「大丈夫だよ、絶対生きて帰れるから、全然楽々だからね」と声をかけて落ち着かせる。ナレーションは、吉田によれば洞窟でパニックになった先には死しかない、とまとめている。
「メンタルの視野を狭くする」、ゆっくり動く、目を閉じる
吉田は、窮地に追い込まれた時の自分の行動を10年ほどかけて分析してきたという。最近講演で話しているのが「メンタルの視野を狭くする」という考え方だ。人は追い詰められると悪いことばかり考える。こうなったら死ぬ、こうなったら帰れない、と考えるうちに体が萎縮し、本来できることができなくなり、本来思いつくことも思いつかなくなる。そこで考える幅をものすごく狭くし、今やるべきことだけにピンポイントで頭を使う。最悪の状況については一切考えない。そうすると不思議なことに怖さがかなり小さくなるという。これは経験した人にしか分からないかもしれない、と吉田は付け加えている。
もう一つの方法は、講演の経験から生まれた。吉田は自分を緊張しやすい人間だと言い、人前で話すのが苦手だった。講演を頼まれ始めたころは緊張で記憶が飛び、原稿をものすごい早口で読んでしまって話すことがなくなった。そこで時間を稼ぐという安易な発想で、わざとゆっくり話してみた。すると終わった後に、緊張していなかったことに気づいた。
これを応用して、吉田は動作をゆっくりにすると緊張しないことに結びつけた。普段ならぱちっと外して付ける装備も、「外しました」「付けました」と一つずつゆっくり行うと、その間の緊張が小さくなる。それでも緊張はゼロにはならない。さらに緊張しない方法として吉田が挙げるのが、目を閉じることだ。視野を狭くするというより視野をシャットダウンし、入ってくる情報を減らす。言葉にすれば「現実逃避」だが、目を閉じたまま動作をすると緊張せずにやり過ごせるという。
メンタルの強さについて、吉田はミルフィーユにたとえた。ある日突然強くなるのではなく、アクシデントに遭い、なんとか切り抜けて生還する経験を積み重ねることで、少しずつ厚みが増していく。それは「絶対」だと吉田は話す。
無理をしない判断と、テレビ番組で3回死にかけた反省
吉田は、リスクは絶対にゼロにならず、100%死なずに帰れる探検は存在しないと考えている。そのうえで、リスクを減らすやり方はあるという。準備はもちろん大事だが、トラブルがあった時、たとえば装備を1つ忘れた時に代用品で済ませようとするなど、いつもと違うことはしない。少しでも気になるならリセットしてやり直す。無理をして死んでしまえば、その先には行けなくなるからだ。命をなくさないことを最優先に、今は「あっさり」戻るという。「残念ながら美味しいもの食べて帰りましょう」が一番の生き残る術だ、と吉田は言う。
この考えには反省がある。テレビ番組と組んだ探検では、バッテリーが切れて外に充電しに行かなければならない時や、忘れ物を取りに戻らなければならない時でも、撮れ高が大事なので何とか結果を出そうとして少し無理をしてしまう。吉田はテレビ番組とのジョイントで3回死にかけたと話し、それは判断を見誤ったからだと振り返る。それ以来、自分の判断を最優先して撤収するようにしている。
死生観についても語られた。人は生まれた瞬間から必ず死ぬことが決まっていて、いつ死ぬかは誰にも分からない。探検家を見て「あの人は早く死ぬ」と言う人に対しては、あなたたちも同じだと思うという。むしろ探検をしている人間は、過剰だと思われるほど事故や突発的な事態を避けることを日常生活でもしている。だから吉田は、自分は簡単には死なないという自信があると話している。
30m縦穴からの遺体搬出
吉田の死生観を形作った経験の一つとして、洞窟から遺体を運び出した出来事が語られた。10年ほど前、吉田が以前探検していた洞窟の報告書のような情報を仲間が見つけ、面白そうだと行ってみたところ、遺体らしきものを発見した。仲間からの電話に「確認したのか」と尋ねると、していないという。写真でもあれば警察に通報するなど次の行動ができるので、吉田が確認に行くことにした。
連絡を受けたのは夕方6〜7時ごろ。来られるメンバーを集めて山に登り、洞窟の入口に着いたのは夜中の12時か1時ごろだった。ロープをセットして降りると、30mほどの縦穴の先の狭い場所に亡くなった人がいた。写真を撮ったのが夜中の2時ごろ、洞窟を出て警察に着いたのは朝5時ごろだったという。
亡くなっていたのは60代の男性だった。ナレーションによれば、後に分かった状況から、男性は子どものころに知っていた山の穴を大人になってもう一度見に来て落ちたのではないかと考えられている。30m以上の縦穴で、地上へ戻る道はない。吉田は、暗闇の中で体力を失い、少しずつ衰弱していったのではないかと推測しているという。
吉田は、自分たちも洞窟で寝るので感覚的に分かると話す。洞窟で目を開けても何も見えず、探検家でも一瞬「ここはどこだ、洞窟か」と戸惑う。だから男性は、生きているのか死んでいるのか分からない状態で眠っては覚めることを繰り返し、衰弱しながら眠るように亡くなったのではないかと想像できる。苦しんで死んだ感じはないと思うので、自分たちとしては少し気持ちが楽だと吉田は語った。
警察への報告後、数日して連絡があった。警察、レスキュー隊、自衛隊にも相談したが、30mの縦穴の奥という特殊すぎる環境のため、搬出は吉田たちに任せるしかないという判断になった。男性は1年半ほど前に亡くなったと見られていたが、肉も骨も残っていた。吉田によれば、洞窟は分解するバクテリアが少ないため「ウェットなミイラ」のような状態で、1年半そのままというのは前例がないらしく、全国から鑑識の担当者が集まって調べたいと言われたという。
吉田たちは、頭や腕、胴体を分けて袋に小分けすれば難しくないと警察に相談した。しかし、鑑識の事情や遺族感情もあり、なるべくそのまま運び出したいと言われて困った。その時吉田の頭に浮かんだのがエジプトのミイラで、ガムテープでぐるぐる巻きにすることを思いついた。翌日警察にガムテープを10個ほど買ってきてもらい、巻いていく過程で取っ手もつけることにした。ストレッチャーなら持つ場所があるが、ガムテープで巻いただけでは持つ場所がないからだ。これなら狭い場所も運べそうだと安心した。
ところが吊り上げる段階で問題が起きた。遺体袋もガムテープも完全な防水ではなく、空中に吊ると体液が下に溜まり、圧力で漏れて、下で誘導していた人に降り注いだ。悲鳴が上がったが、死ぬわけではなく途中でやめるわけにもいかないので、吉田は上から「我慢しろ」と声をかけて吊り上げ続けた。さらに天井まで上げた後、深さ30mの穴の上を30〜40mほど横に移動させる必要があった。落とさないよう人間が壁に突っ張って台になり、その上を引っ張っていったため、台になった全員も体液だらけになった。搬出には20時間ほどかかったという。
吉田は、亡くなったことは悲しい出来事だが、自分たちのスキルを駆使して運び出せたと話す。家族は生死の分からない行方不明の状態で1年半を過ごしてきた。残念な結果になったが、男性の父親は「これで息子の葬式をあげられる」と喜んでくれたといい、吉田は感慨深かったと振り返る。最近、10数年ぶりにその洞窟を訪れ、自分たちのYouTubeにも動画を上げたという。
克服できないゴキブリと、天井一面のカマドウマ
命に関わらなくても、出会いたくないものはある。吉田が特に苦手なのはゴキブリで、遭遇するのが「最高峰」に嫌だという。東南アジアの洞窟にはゴキブリだらけの穴があり、探検にならない。天井や壁が遠いうちはまだ耐えられるが、通路が狭くなってゴキブリとの距離が1mほどになると、もう無理で逃げるという。ナレーションによれば、洞窟内のゴキブリは太陽光を浴びていないため、白色や飴色のような薄い体色をしているとのことだ。
石垣島では、弟子が見つけたおそらく未踏の洞窟で、吉田をパニックに近い状態にさせる生き物に出会った。弟子は入口に蜂がたくさんいて入れないと言ったが、吉田は蜂は気にならず、勢いで入っていった。水平な天井を見ると、剣山のようにとがって見える。よく見ると動いていて、天井一面にカマドウマがいた。大げさではなく数千匹だったという。
吉田は固まり、そっと外に出た。誰かが入れば少し飛んでいって減るだろうと考え、弟子たちを先に行かせた。弟子たちは悲鳴を上げながら進み、「奥は広い、これは完全に未踏だから絶対来た方がいい」と声をかけてきた。吉田は洞窟探検家として乗り越えるしかないと一大決心をして入ったが、弟子が2〜3人通った後でも天井にはびっしりカマドウマが張りついていた。低い姿勢で進むと反応したカマドウマが飛び出し、背中に当たる。傘に大粒の雨が当たる時のような感覚だったという。襟を押さえて首に入らないようにし、固まるのが精一杯で、床で跳ね返ったものが顔に当たることもあった。
映像の中で吉田は、探検人生でこれほど緊張したことはないかもしれないと話している。パニックの話を散々したが、これは少しパニックになったと思う、あれだけの数がいるとやはり人間は気持ち悪いと感じて多少パニックになるのだと分かった、と吉田は振り返った。
洞窟ではなく「未踏」が好きだった
30年以上洞窟探検を続けてこられた理由を、吉田はまず「シンプルに好きだから」と答える。しかしよく分析すると、本当に洞窟が好きなのかと疑問に思う場面が何度もあり、結論として洞窟はそれほど好きではないと思える時もあるという。では何が好きなのか。吉田がはっきり言えるのは「未踏が好き」だということだ。
吉田によれば、地球上に残された未踏の場所は深海か地底しかない。地上はGoogle Earthでほとんど見える。未踏を求める探検家にとっては、洞窟に向かうしか行き先がない。そういう状況で自分は洞窟に向かっているのだと、最近よく考えて分かるようになったという。さらに未踏を突き詰めると地球外にも広がり、月にも火星にも洞窟が見つかっている。惑星自体が未踏なのに、そこにある穴も未踏であり、きりがない。ゴールがなく、やりきれるわけがない探検をずっと続けている。探検をやめた時に代わりになるワクワクするものがあるかといえば、ない。だからこれをやるしかない、というのが吉田の正直な落としどころだという。
危険な場所に近づかなければ危険な目には遭わない。それは当たり前だが、それだけでは人生はつまらないと吉田は言う。新しいことを発見するにはリスクを伴っても前に進むことが大事で、どんな分野でも発見には挑戦が必要であり、挑戦には常にリスクがつきまとう。リスクを受けたくなければ挑戦もできず、挑戦しなければ人生はつまらなくなる。自分たちはそれをたまたま洞窟でやっているだけで、人生を楽しく面白く生きるため、発見して感動するために洞窟探検を続けている、と吉田はまとめた。
人生そのものとしての洞窟、引退の条件
最後に「吉田勝次にとって洞窟とは何か」と問われ、吉田は「人生そのものと言っても過言ではない」と答えた。洞窟に行くことがライフスタイルになり、生活の中心になっている。そして洞窟が媒体となって、いろいろなものを自分にもたらしてくれた。洞窟探検をしていなかったらどんな人生だったかと時々考えるが、つまらなかっただろうと思う。洞窟に出会えて本当に良かったと思うと、目がうるうるしてきて泣きそうになる、と吉田は語った。
引退については、死ぬか、体が完全に動かなくなって弟子に迷惑をかけ、「頼むから吉田さんもう来ないでください」と言われるか、そのどちらかだという。生きている限り続けたいので、今できることは健康管理をして元気な時間を長くすることだ。ここ3年の間に、自分のやってきたことを受け継いでくれそうな弟子ができた。吉田はその成長を見ながら、いろいろなことを伝え、体力の許す限り探検を続けていくつもりだと話している。
すげえ。
今回のバイエンストークは地底世界。そこは地球に残された未知の世界。
洞窟探検をやっていてご褒美的存在なのが絶景系で、誰も見たことのない景色、誰も足を踏み入れたことのない世界、そして一歩間違えれば帰ってこられない世界。
死にかけた話をしたら朝まで話せるんですけど、腰から下が全部埋まってしまって、ああ、やってしまったと思って。経験がない時だったから頭から進んでいったんですけど、そういう風に死んでる人に洞窟の中で会ってますからね、自分が。
そして、移動中にしたくなったら、このちょうどこの開いてるとこにポンと入れて、それをこうやってかぶって。
数々の修羅場をくぐり抜けてきたことで得た、パニックを避ける方法とは。
人が追い詰められたり、もう自分がダメかなと思うと悪いことばかり考えるんですね。じゃあ、さらに緊張しない方法っていうのは……むちゃくちゃ狭くて、2回目はどうかって言ったらメンタルが持たない。怖すぎて。
やばかった。やばかったよ。ビビった。ビビったな。
今回は洞窟探検家・吉田勝次が皆様を地底世界へお連れしましょう。
洞窟探検。それは地球に残された未知の空間へ向かう行為です。誰も見たことのない景色、誰も足を踏み入れたことのない世界。しかしその先にあるのはロマンだけではありません。洞窟の中では携帯電話もGPSも使えず、声も外には届きません。もし帰り道を見失えば、助けを呼ぶこともできないまま暗闇の中に取り残されることになります。そう、洞窟探検で最も重要なのはどれだけ先に進むかではありません。いかにして外の世界へと帰ってくるかなのです。
どうやったら帰ってこれるかっていうことを考えながら進んでいくんですね。それを考えながら進まないと帰ってこれなくなる状況になるのは目に見えてるんで、どうしたかって言ったら、行きの景色を見ずに帰りの景色、要するに振り返った景色を色濃く記録に残そうって。やっぱり初めてだとすごく洞窟の中のことが気になって、キョロキョロ見ながら進んでしまうんですね。
そうすると、そろそろ帰ろうかなって、戻ろうかなと思って振り返った時に初めて帰り道の景色を見るっていうことになって、見たことない景色になるわけですね。だから最初から進む過程で5m進んだら振り返って帰りの景色を必ず記憶にとめて、また前進する。で、また5mぐらい進んだらまた振り返って、帰りの景色を振り返った状態で観察して記憶にとめれば、戻ろうと思った時に全部覚えてるわけですよね。それをやり出してからほとんど迷わなくなりましたね。それまではね、かなり危ない時もあったんですけど。
実に30年以上もの間洞窟探検を行っている吉田勝次ですが、なんと初めの頃はたった1人で洞窟探検をしていたと言います。そして当然洞窟の中で迷ってしまったこともあるようで。
帰り道が分からなくなって、同じとこ2時間ぐらいぐるぐる回って、2、3周目で気づくんすよ。あ、同じとこだって。でもなぜ同じとこ回ってて、どっからそのループから抜け出すかってことは全くつかめてなくて、無限ループに入ったわけですよ。それで逆に回ってみたり、また元に回ってみたり、何周も何周もするんですけど、もう10周、20周目で疲れてくるわけですよね。今度は体力もメンタルもやられてくるんですね。ああ、自分はもうこっから抜け出せないんだなっていう。そこで簡単に諦めてしまったらただ死ぬだけなんで、簡単に諦められないんですけど、もう1回記憶をずっと辿ってみて、どういう動きをしたかっていうので、それを思い出しきれたら帰れるんですよ。でも全く分からなかったらもう出られないですよ。で、それをなんとかやってきたっていう、本当になんて言うかな、運が良かっただけで。
それはなぜかと言うと、僕が探検に入って洞窟で亡くなった人にもう何人も会ってきたんで、大げさにはしてないのも見るとかなりの数なんですね。それは1年前の人から100年、1000年ぐらい前の人まで、年代調べたことないんですけど、そのぐらいのスパンの中で洞窟から出られなかった人にたくさん僕は遭遇したんで、絶対1人で入らない方がいいですね。
一歩間違えれば帰ってこられない世界。それではなぜ吉田勝次は洞窟に魅了されたのでしょうか?
初めて僕が洞窟に、自然のね、手つかずの洞窟に入ったのが確か28歳っていうことですね。先輩に連れられて行ったんですけど。
昔から未知の世界に興味があったという吉田勝次。ある日アウトドア雑誌を見ていた時、たまたま洞窟探検サークルの案内を目にし、そこに載っていた電話番号に電話をかけ、初めての洞窟探検に向かうことになったと言います。
面白すぎて、もうずっと仕事をそっちのけでやりたいと思ってしまって。でもある時先輩から助言というか、すごい強烈なことを言われたのが、「吉田君、洞窟探検って面白いんだけど、自分で見つけた洞窟を探検することになったら、それをやってしまったらもう君はやめられないよ」って言われて、なんだそれはと思って。もうとにかく連れてってもらうだけでも楽しいその洞窟が、自分で見つけた洞窟って何だと。もうその日から自分で山登りというか山を駆けずり回って洞窟を探すとこから始まって、それからずっと最初は1人でしたね。
そして、後でね、このクラブの会長さんに聞いたんですよ。これ結構電話かかってきたでしょうって言ったら、結局僕しかかけてなくて。よく分かったんですね、いかに洞窟探検がマイナーであまり人気がないっていうのは。
それほどまでに洞窟探検は限られた人しか足を踏み入れない世界でした。しかしそれは同時に未踏の世界がまだ残されている証でもありました。
縦穴なんですけど、降りて行って巨大な空間に遭遇した時に、あれかかっていう強烈な感動があって。すげえ。出たぜ。やばい。
で、そもそも未踏のすごい世界を見つけるってことは、そこが誰も人が来てない空間に自分が1人目に立ち会ってるっていうところに自分が感動してるパターンなんで。だからやめられんのよ、洞窟探検は。それが1番探検にとっては心が動く瞬間ですね。
さらに時々、洞窟探検をやっていてご褒美的存在なのが絶景系で、それはとてつもない大きな空間で限りなく平らになって、壁はキラキラキラキラ結晶で光ってたりとか、あとは棚田みたいになってて、1つのプールがだんだん畑になって、綺麗な透明度のすごい高い水の結晶がキラキラになってるところをライトアップして写真撮ったり、ものすごい綺麗な地下水の溜まってる地底湖に遭遇したり、あとは地下の川ですよね。あと滝。これが本当に楽しみではあるんですけど、そんなにあるもんではないんで、洞窟の絶景に遭遇した時はやったと思いますね。
自分がカメラに撮られてて、ずっと自分の映像とか見たりする時もあるんですけど、じゃあ自分自身が1番笑ってる、1番喜んでる瞬間どこかって言ったら、実は本末転倒かもしれないですけど、洞窟から出た瞬間ですね。もちろん探検家としてそういう未知の世界に挑んで、フィールドでどんどんガンガン行って探検して、感動することの連続なんですけど、でも実は心のどこかで帰りたいって気持ちがあって。洞窟の話するとだんだんだんだん死ぬ話になるんだよね、詰めてくと。自分が死にかけた話をしたら朝まで話せるんですけど。
未知の世界に挑み続けてきた洞窟探検家・吉田勝次。それでは今までどのような困難を乗り越えてきたのでしょうか。
死にそうになった瞬間はね、結構あるんですけど、狭い空間をもぞもぞ体をひねりながら行くんで、天井が脆いとこをどうしても触ってしまう時に、天井がドンと崩れる時ありますね。その時は腰から下が全部埋まってしまって、たまたま1人じゃなかったんで。もし1人だったら今ここにいないんですけど、後ろ側に1人いたんですよ。で、その子がずっと、自分が埋まってしまった石を後ろから少しずつ1個ずつ取ってくれて帰ってこれたんですけど、ドンって埋まった石が腰よりちょっと上だったらもう息ができなくなるので、それが運が良かったんですよね。それがあってから、狭いとこでは上の脆い石はもう触らないっていう風に決めてるんですけど。
あとはアクシデントとしてはね、本当に洞窟探検始めた初期の頃なんですけど、ドロドロでものすごく狭い45°ぐらいの斜面のところを、経験がない時だったから頭から進んでいったんですけど。
その時吉田勝次が入ったのは、泥に覆われた45°ほどの狭い斜面でした。頭から入ったことで戻ろうとしても足で地面を蹴ることができず、さらに穴は先に進むほど狭くなり、体をひねったり手を動かす余裕すらなくなっていきます。そして気づいた時には、頭を下にしたまま完全に身動きが取れなくなってしまったのです。
で、それで途方に暮れてしまって。その時は1人だったんですよ。ああ、やってしまったと思って。もちろん頑張りますよ。体をひねったりしてなんとか戻れないかっていう。でも全然上に上がってってくれないんで、さすがにちょっとやっちゃったかなと思ったんですけど、諦めるわけにいかないでね。
そこで吉田勝次はとんでもない脱出方法を編み出したと言います。色々やったんですけど、もう指しか動かせないですね。だからもう指をこういう状態でぐわーっとこれで押すんですよ。で、体をよじりながら。で、油断してパッて離してしまうと、チュルチュルチュって、もうドロドロなんで全部戻るよ。
それを何回か何回か繰り返しながら、どうすかね、1時間2時間しましたからね。それでなんとか出れたっていう話なんですけども、これを編み出さなかったら今も狭い隙間で骨になってるかもしれないですね。そういう風に死んでる人に洞窟の中で会ってますからね、自分が。だから自分もそういう風になったんじゃないかなっていうのはありましたね。
狭い隙間に閉じ込められる恐怖。しかし洞窟に潜む危険はそれだけではありません。他に吉田勝次を襲ったのは、自分の判断だけでは避けきれない一瞬の事故でした。それは中国で未踏の縦穴を探検していた時のこと。吉田勝次率いるチームはロープを使って、およそ300m、東京タワーほどの深さまで降りていました。探検を終え撤収するために仲間が先に壁を登り始めたその時、100mほど上にいた仲間が足元の石を蹴ってしまいます。
このぐらいの石をポンと蹴っちゃって、当たり前に引力に逆らうことできないんで、シューって真下に落ちるんですけど、それが壁に当たってカーンカーンって音だけ聞こえたんですよ。やばいと思って、当たる確率を下げたかったんで壁に張りつくんですね。でもそのカンカンって2回音が聞こえた瞬間に、シュシュシュって、大体もう3秒ぐらいですね。ものすごい速さなんで、シュシュパーンって言った時の、そのパーンってのは頭に当たったんですよ。で、ここの左側の縁に当たって、これがちょっと軌道が逸れて、もう肩に直撃して、石のスピードとその重みと圧力でそのまま飛んでったんですよ、自分が。
で、その瞬間死んだと思いましたけどね。左半身は完全にしびれてましたね。で、もう何も握れない状態で、最初横になってたんですけど、これ1回目来たら2回目自分に当たる可能性があって、2回当たったらもう絶対生きて帰れないなと思って、慌てて立ち上がって片手で登り始めて。両手だったら12時間ぐらいで上がれるのに、その時確か30時間かかりましたね。はい。
登るのに30時間かけてなんとか縦穴を登り切った吉田勝次ですが、なんと仲間から衝撃的な反応を返されたと言います。
で、登っていって、当たった、多分折れてるっていう風に説明したんだけど、あまりにも自分が元気だったから誰も信じてくれないですよね。
じゃあ、みんな信じてくれないんで、中国の大きな町に行った時に病院に寄ってくれって言って、とにかくみんなが信じてくれないんでレントゲンだけ撮って欲しいって撮ってもらって、レントゲンの写真をもらってきて見せたら、ああって感じで、折れてるねってなったんですよ。
さらに、落とした張本人になったんですよね。その時に「よかった、吉田君で」って言われて、なんでだって言ったら、「他の人だったら死んでるよ。もうそんなとこから上がるの無理だから。それだけ骨折してるんだから、レスキューだよ本当は。自力で上がってくるっていうのはなかなかないから」って言われて。
僕の中では生きてればオッケーなんですよね。うん。また探検も続けるし、自分の生まれ育った世界に帰れるから、死ななかったら全部オッケーなんで。怪我は探検やってる以上しょうがないんで。あとやっぱり、そうやって石落とされて怪我させられても許せる仲間としか探検に行ってないから、怒るなんていうのはなくて。わざとその石を落としたわけじゃないから、その時も腹も立たなかったですよね。一緒に笑って、よかったねって終わった。終われましたね。うん。
首からね、下はほとんど至るところを骨折してるんですけど、脊椎と頸椎と頭蓋骨は骨折してなくて、指、肋骨、肩、一通り全部骨折してるんですけど、正直ですよ。ええって言われるかもしれないですけど、僕の中では怪我のうちに入ってなくて、要するに骨折を何箇所しようが死なないっていう。でも外傷ですよね。切ったとか、太い血管が切れてしまったとか、そういう状況になると止血するのにかなり難しいんで。
あとはやっぱり、洞窟のドロドロのとこを潜水して戻らなくちゃいけないんで感染症も怖いし、だから本当に外傷があったらかなりまずいことになるんで、それを思うと骨折なんて全然すぐ死ぬわけでもないし、感染症の心配もないし、痛みを我慢してとにかく洞窟を出るっていうとこに集中すればいいから、仲間が骨折したって聞いても、お前本当に良かったなって。骨折なんて軽傷だからラッキーラッキーって、本当に満面の笑みで笑いながら喜んでしまうっていう。
僕はね、親に感謝はしてるんですけど、本当に体が丈夫で、腐ったもの食べても結構耐えれて。うん。洞窟の中に生鮮食料品を持ってって、肉が腐ったり野菜が腐っても捨てずに食べるんですけど、今までね、お腹壊した記憶ないですね。ボウフラが湧いてる水でも飲むんで。知らないけどね。みんなええって言うんだけど、もう直接飲んでもいいぞ。
骨折なんかは、骨折が治る前に洞窟探検行ってますね。で、これをね、僕の主治医だった先生が見るとちょっとまずいんですけど、ギプスしたまま探検に行ったりしてるんで。で、病院に行ったら「吉田、お前なんでこんなにギプスがドロドロで傷だらけなんだ」って言われた時は、「先生、色々転んだりするんで汚れてるんです」って言うと、「まあ、まあいいわ」。どうせ嘘だって分かってんですけどね。まあいいわって言ってくれてるんですけど。
実はね、本当にここ2ヶ月以内に死にかけた探検があって。
行くわ。はいよ。
ここは吉田勝次が以前から存在を把握していた洞窟で、入り口から数十m進むと水没しており、当時は潜水できず未踏のままでした。そして今回、仲間であり相棒の竹内孝、愛称こうちゃんと一緒に探検に向かうことになります。
むちゃくちゃ狭くて、もう最初からタンク外して2本前に持ちながら、ずっと顔をタンクの間に入れながら進んでるんですけど。
V字でこうなるんですね。断面で言ったら30°ぐらいの角度で下がってて、キュッとこう上がって、真上の方向に進んでるんです。
狭くて怖いなと思ったんですけど、行きたいっていう気持ちが強すぎて。むちゃくちゃ狭いんですけど、なんとかタンクを押しながら突破して、次の空間の空気のあるとこに出たんですよ。
出た。やったな。抜けた。お、抜けた。
で、出た後にその先を見たらさらに狭くなってたんですけど、その先にも行こうってことで潜水して土砂を掘りながら進んだんですけど、それが夜中の12時ぐらいだったんで、もうそろそろ体力も限界に近くて、一旦戻ろうかって。
で、戻ってきた時に、その掘ったドロドロの水が下流の方に流れるんで、自分たちが進んできた狭い水脈が全部泥水になってて。
やばいね。何も見えんぜ。何も見えんぜ。これ引っかかったらちょっとやばい。とにかくゆっくり行く。分かった。うん。とにかくゆっくり行く。これやべえな。全然、全然やばいと思う。見えないっていう。
全く見えないところを戻らなくちゃいけないっていうシチュエーションになってしまって。
じゃあゆっくり。よっしゃ。死ぬほどゆっくり。はい。
このVのところでタンクを押したら、空間がVになってるんで、タンクはぷにって回ってくれないんで、見えないとこでタンクをいくら押しても行けるところがないで、怖すぎて、ひょっとしたら自分たちが通ってきた空間が土砂崩れで埋まったんじゃないかっていう風に考えるようになってしまって。とりあえず戻ろう、1回リセットしよう。またここをバックでずっと戻っていって、また奥の空気のあるとこに戻ってきたんですよね。
どうした? やっぱさ、ラインがさ、変なとこに来た。うん。繋がっとるけど分かりづらいんだ。ピンピンに張りすぎなんじゃないの? ピンピンに張りすぎ。緩める。
外の世界へ帰るため、吉田勝次たちは帰路を示すラインを慎重に調整します。もしここから戻ることができなければ、外に救助を呼ぶ術もありません。そして再度帰還に挑みます。しかし。
でも一旦人が進もうと思って行ったところが一旦通れなかったら、じゃあ2回目はどうかって言ったらメンタルが持たない。怖すぎて。1回失敗した自分がもう1回行ってそこを突破できるっていう自信がもうすごく少なくなるわけですよね。もうとにかくその狭いとこを突破することだけを考えよう。
緊張するね。やっぱ緊張する。おはよ。よし、行くぞ。
で、またずっと進んでいったら、やっぱりタンクがいかない。V字型に上に上がってることを思い出して、手を突っ込んで。タンクがここにあるんですよね。手をなんとか突っ込んだら、やっぱり洞窟がなんか上に行ってるようなんで、タンクを差し込んでギュッと上げたら、スポンと向こうの空間にタンクが行ったんですよ。これだと思って。で、その時に進もうと思ったら、今度はタンクと天井の間に顔が行った時に、ここのレギュレーターにつけてるゴムがここに引っかかってしまって、どう頑張っても取れなくて。このぐらい狭いですよ。本当にこんな感じで。
だんだんだんだん怖くなってくるんですよ。もう動けなくなってるんで。で、このタンクの空気もどれだけ持つかって言ったら、多分20〜30分しか持たないですよね。焦る気持ちはあるんですけど、焦ってしまうと余計怖くなるんですよ。とにかくこの引っかかってるゴムを取ることだけを考えよう。
で、もう多分あと5分外れなかったら、ここについてるナイフを取ってそのゴムを切ったと思うんですけど、なんとかポッとゴムが外れて。だから1つのできないことができると、気持ち的にはちょっと楽になるんすよ、追い込まれた人間っていうのは。それでタンクをずっと押してったら、もうその狭いとこに入り込めていったんで。全く見えないですけど、タンクを押すことだけを考えて、押していけるとこが自分が帰れる方向なんで、押せる押せる押せる押せる押せるってずっとやり続けて、タンクを押しながらずっと進んでったら、そこをもうタンクがズボンと、最後の一手ですよね、ドンと出て、結果的に生き残れたって。
よくやったな。怖かったな。怖かった。ようやった。こうちゃんすごいな、お前は。怖かったな。来るわ。よくやった俺。お前危ないと思ったけど。よいしょ。あの狭いとこで。くっそ狭かった。いや、お前出たわ。いやいや、俺さ、いっぱいいっぱいだった。あの、いや、ちょっとやばいと思ったら、そっち、あの狭いでもな。
やばかった。ああ、ちょっとね、やばかった。やばかったよな。ビビった。ビビったな、お前。いや、本当こうちゃんよくやった。
俺ね、途中もうお前を助けに行く、お前にアドバイスする余裕もないが、お前を信じるしかないだって。ここ10年で3本の指に入るから。マジで。うん。緊張感。
死と隣り合わせの洞窟探検。しかしその中にも探検家たちが楽しみにしている、心温まる時間があります。それが食事です。
唯一楽になるかどうか分からないですけど、唯一洞窟探検家が楽しい、嬉しいってことは1つだけですね、食べることですね。物を食べるってことは、もちろん栄養補給でもあるし、それ以上に、それ以上というか同じぐらい大切になってるのは、メンタルのリセットっていうのがあって。食べることによって気持ちがリセットするっていう。精神的に追い込まれたりきつかったことでも、物を食べてる時にだんだん気持ちが和らぐ、要するにメンタルのリセットって言ってるんですけど、食事はそういうことにも使ってるっていう。
それでは洞窟の中で一体何を食べるのか。食材を運び込める探検では、鍋を作ることが多いと言います。吉田勝次がよく作っているのは赤味噌をベースにした鍋。白菜、ネギ、豚肉、ごぼうなどを鞄に詰めて運びます。ただし洞窟にクーラーボックスは持ち込めません。常温で運ばれる食材は数日経つと少しずつ傷んでいきます。そのため腐り始めたものから鍋に入れて食べていくのだとか。一方で食材を運び込めない探検では、食事はより実用的なものになります。ナッツやドライフルーツ、グミ、種などを防水ケースにまとめ、休憩の度に少しずつ口に入れていきます。火も水も使わず、ロープにぶら下がっている時でも食べられる。洞窟の中では、食事でさえ生きて進み続けるための技術なのです。
で、唯一、1日の活動が終わって寝る時に、乾いた服に着替えて寝袋に入る前に、インスタントラーメンを1日の最後のご褒美として食べて寝るっていうのをずっとそれでやってます。それがまあ僕らにとっては洞窟のご馳走っていうか。
他にもこんなご馳走があると言います。
時々洞窟の中でエビ捕まえて焼いて食べたり、あんまりどうかなってとこなんですけど、ウナギ捕まえて焼いて食べたり。あんまりそういうのはやらないですけど、エビはまあ結構食べますね。エビはもう焼いたら本当に売ってるようなエビみたいになるんですよ。赤くなって、皮めくって醤油つけて、あ、うまいなっていう感じでね。
さて、ここまで心温まる洞窟での食事の話をお聞きしましたが、食べたら必ず出るものがあるというのがあなたたち人間でしょう。そう、うんこの話です。一体洞窟の中でうんこはどうしているのでしょうか?
まずおしっこは、そのままやってしまうとおしっこ臭くなって環境破壊になるんで、僕らのやり方はペットボトルにおしっこを溜めて、それを洞窟の外に持ち出して処分するっていう。やっぱりね、おしっこをペットボトルにするって言っても、各人が自分のペットボトル使いたいんで、個人のペットボトルがどんどん増えてくるんですよね。ただ、ペットボトルのおしっこを大きな容器に集めて持ってった方が持っていきやすいんで、じゃんけんで負けたやつがみんなのおしっこも全部蓋開けて大きな容器にじゃーって入れる作業が1番嫌で。それで結構ね、真剣にみんなじゃんけんし出す。こうやってやって、ああ、みたいな。洞窟の中でひょっとしたらそのじゃんけんが1番大声出して盛り上がる瞬間かもしれないですね。
で、おしっこはまあまあまあっていう感じなんですけど、重くなるんで大変なんですけど、うんこがまた大変で。うんちの場合はビニール袋のジップロックっていうか、チャック付きの袋に入れて、空気を出して、漏れないように爆発しないように何重にもして持ってくっていう。で、ベースキャンプでしたくなったらハードケースの中に入れて置いておいて、撤収するとこに持っていけばいいんですけど、移動中にしたくなったらなかなか入れる容器がないんでね。よくやるのが、ビニール袋にうんちをしたら空気を抜いて3重ぐらいにしたら、このヘルメットを外して、このちょうどこの開いてるとこにポンと入れて、で、それをこうやって被って。これ慣れちゃったんですけど、これがね、1番身近にあるハードケースになるんですよ。
で、なぜそういうもん使ってるかって言うと、昔この胸ポケットに入れたうんこが、狭いとこ行ったら爆発してバチャっと出たことがあるんすよ。本当にそれで笑っちゃう話なんすけど、本人には笑えないんですけどね。それからもう、これは胸ポケットに入れると危険すぎるんで、僕らにとって爆発物みたいなもんなんで、本当に嫌なんだけど、ヘルメットの中に入れて被るっていうことをやってますね。はい。
洞窟の中でうんこや残飯を残してはいけない理由。それは単にマナーの問題だけではありません。洞窟は閉ざされた環境であり、1度汚染されるとその影響が長く残ってしまうからです。そしてその暗闇の中には、独自の生態を獲得した生き物たちが暮らしています。
洞窟の生態系は本当に特殊な生態系で、いろんな系統があるんですけど、代表的な系統は、コウモリが洞窟の外で虫を食べてきて、天井に止まって糞を落とす。落とされた糞が山になってきて、その糞にカビが生える。で、そのカビを食べるちっちゃな虫がいて、ちっちゃな虫を食べる肉食のまた虫がいて、その虫も大きさで言ったら1cmか2cmぐらいのもので、そのぐらいの生態系しかなくて。とにかく洞窟って有機物がほとんどなくて。
洞窟の奥には太陽の光が届きません。そのため植物は育たず、地上のように植物を起点とした食物連鎖はほとんど成り立ちません。洞窟の生き物たちは、わずかに持ち込まれる有機物を頼りに暗闇の中で生きているのです。
少ない食べ物を分け合うというか、取り合うというか、それで生態系がなんとか成り立ってるっていう、そういう世界ですね。で、それでも洞窟の中の水脈の中には、意外にまあまあ大きな魚とか、オオウナギって言って、どうだろう、大きいのだと3mぐらいになるんですけど、太さこのぐらいのウナギがいるんですけど、それが普通に洞窟の中にいるんですけど、洞窟の水中って地上の川と繋がってるパターンが多いんで、地上の川から洞窟の川にそういう食べれるものが流れ込んできて、それを食べてるんで、洞窟の水中では意外に大きな生き物、魚だったりウナギだったり、ザリガニみたいなのであったり、カニとかね。
で、太陽光線が全くない世界なんで、大体、外骨格って言って、昆虫だったら硬い自分の体、エビとかカニとか全てが外骨格で固められてるんですけど、太陽光線がないんで真っ白で、内臓まで透けて。奥に行けば行くほど洞窟に対する適応性がすごい強くて。洞窟の中には大まかに好洞窟性生物って言って、「好」っていうのは好きで、洞窟の環境が好きで、洞窟の中にもいるし外にもいるっていう生物。それは目が別にあって生き生きしてるんですね。で、真洞窟性生物っていうのは、洞窟から出たら死んでしまうぐらい洞窟の中で適応してるんですけど、そいつらは目がない。目がない代わりに触角が10倍ぐらい長かったり、目がない代わりに体でいろんなものを感知して進むことができたり、皮膚全体で呼吸ができるようになったり、水の中を移動できたり、もう本当にうおーっていうような特殊な生き物がいるんで、そいつらはまだ新種がいると思いますね。
正直見つけてるんですけど、僕は捕まえるまでは至ってないんですよ。専門の学者の先生が見たら、なんで捕まえてくれないんだっていうぐらいすごいのを見つけてるんですけど、このぐらいカニの体はあるんですけど、足が蜘蛛みたいに長いやつが洞窟の水中の中でペタッと捕まってて、自分たちが行ったらさっと逃げたり。そういうの見つけてるんですけど、それが新種かどうかは調べてないんで分かんないですね。
洞窟探検で命を守るために必要なこと。それは体力や技術だけではありません。暗闇、閉塞感、疲労、そして死ぬかもしれないという恐怖。そうした状況の中で最も避けなければならないのがパニックです。
パニックになる寸前というのは、魂が自分から離れかけてるよっていう、そういう表現の仕方するんですけど。今この瞬間、自分は平常心なんで、自分の魂は落ち着いてる、しっかりくっついてる状態で、自分の体もマインドも全部コントロールできるっていう。でパニックになってしまったら、自分であって自分じゃなくなるっていう。要するに半狂乱になって、自分が自分を制御できない状態になる。脈拍がまず早くなって、次に浅い呼吸になる。過呼吸って言うんですけど、吸ったり吐いたり吸ったり吐いたりするのを、吸ったり吸い続けたり、なかなか吐けなくなったり、とにかく呼吸が乱れてくるっていう。
で呼吸が乱れてくると今度は体が緊張してきて、十分な酸素が体に取り込めてないんでいろんな問題も起きてくるし、ものすごい疲れてくるし、その状況になってしまうと全てが不利になってくるんで、パニックになりかけたら全力でそれをならないように、怖くならないように、自分が怖くならないように抑え込むっていう。で仲間も怖くなってパニックになりかけたら、「大丈夫だよ、落ち着いて。もう絶対生きて帰れるからね。もう全然楽々だからね」っていう感じで落ち着かせて、パニックにならない、なりきらないように抑え込むっていう。
吉田勝次曰く、洞窟の中でパニックになってしまった場合、待っているのは死のみ。いかにしてパニックに陥らないかが重要だと話します。それでは、パニックにならないためのメンタルコントロールは存在しないのでしょうか? 吉田勝次はいくつかの対処法を持っていると言います。
最近は、自分がその窮地に追い込まれた時にどういう風に自分が行動するかっていうのを、やっぱり10年ぐらいかかったんですけど色々分析したんですよ。で、自分のメンタルがどういう風なんだっていうのを何か表せないかなって思って、最近講演なんかで言うのが、メンタルの視野を狭くするっていう。よく使うんですけど、人が追い詰められたり、もう自分がダメかなって思うと悪いことばかり考えるんですね。どうしても悪いことばかり考えて、こうなったらこうやって死ぬよとか、こうなったらもう帰れないとか、いろんなこと考えるんですけど、そうすると体が萎縮して、本来できることができなくなったり、本来思いつくことが思いつかなくなったりするんで。メンタルの視野を狭くするっていうのは、考える幅をものすごく狭くして、自分が今やるべきことだけを考えて、その最悪な状況のこととか一切考えずに、もうここだけピンポイントで頭を動かすって。それによって不思議なことに怖さがすごく少なくなるんですよね。それはね、こういうことやってて経験した人しか感じることはできないかもしれないですけど、そういうメンタルにして突破しますね、今。
他にも、自分はやっぱり緊張しないか緊張するかったら、結構緊張する人間で。特に皆さん驚かれるかもしれないですけど、人前で話したりするのがすごい苦手な人で、講演とかそういうのも頼まれ出した時に、ものすごい緊張して記憶が飛んでしまってどうしようっていう、そういう場面もあって、それを克服したくてどうしたらいいかって考えた。原稿を書いていたのをものすごい早口で読んでしまって、2回目話すこと、3回目話すこともなくなってしまって。で、その時に緊張しないようにするにはどうすればいいかって考えた時に、わざとゆっくり喋って遅くすれば時間が稼げるっていう安易な発想のもとに、ものすごくゆっくり喋りながら、「え、実は僕はですね」みたいな感じでわざとやったんですよ。そしたら意外に、終わってみたら緊張してないって気づいて、あ、これはやっぱりゆっくり話せばあまり緊張しないんだっていうことを知って、それからちょっと楽になったんですけど。
それを応用して、なんと動きを遅くすると緊張しないっていうことに結びついていて。例えばこう外すものでも、いつもだったらパチって外してつけたりするんだけど、「外しました。つけました」っていう風に、ものすごい動作をゆっくりすると、それをやってる間の緊張がなくなる、少なくなるっていうのに気づいて。でもそれでもやっぱり緊張は0にはならないってことで、じゃあさらに緊張しない方法っていうのは、目を閉じるってことですね。本当に視野を狭くするっていうよりも、視野をシャットダウンして情報を少なくしてやるっていう、言葉で表すなら現実逃避なんですけど、この目を閉じたままいろんな動作をすると、緊張せずにやり過ごせるっていう。
メンタルっていきなり強くなるものではなくて、例えで言うとケーキのミルフィーユのように、少しずつ少しずつ、いろんな経験をしてメンタルの強さが厚みを増してくっていう、そんなイメージで。急にある日突然強くなるっていうんじゃなくて、やっぱりアクシデントにあって、なんとかそれを返して自分が生還する、その積み重ねでだんだん強くなってくっていうのは絶対ですね。
生き残る人と生き残れない人っていうのは、リスクは絶対0にならないんで、絶対100%死なずに帰ってこれるっていう、そういうものは存在しないと思うんで、そのリスクをできるだけ少なくするっていうことはやりようがあると思う。それをじゃあどうやってやるかって言ったら、準備ももちろん大事なんだけど、もし何かトラブルがあるだろうとか、装備で言ったら何か物を忘れたとか、その1個がないから代わりの代用品でやろうとか、もういつもと違うことはやらない。とにかく自分がちょっとでも気になるんだったら、もうそこはリセットしてもう1回やり直して。無理して死んでしまったら、もうこの先は分からなくなってしまう、行けなくなるかもしれないんで、命をなくさないのが最優先で、やっぱりそういう時に戻りますね。今はあっさりあっさり戻ります。勇気はいらないんですけど、残念ながら美味しいもの食べて帰りましょうが1番生き残る術ですね。
というのも、昔吉田勝次は判断を見誤り、死にかけたことがあるようで。
テレビ番組がついてる時だけは、例えばバッテリーが切れてしまって外に充電しに行かなくちゃいけないとか、何かを忘れたから取りに帰らなくちゃいけない。撮れ高が大事なんで、なんとか答えを出そうとしてちょっと無理するんですね。だから今までテレビ番組とジョイントでやって死にかけたことが3回あって、それはやっぱり判断を見間違える。もうそれからは、自分の判断を最優先にして探検を撤収するっていう。
僕はやっぱり生まれて生きてる以上、誰もが絶対死ぬってことは、もう最初から生まれた瞬間に決まってるんですよね。それがいつ死ぬかっていう。でも絶対死にます。それがいつかっていうのは誰も分かんない。特別自分が探検家でリスクの高い世界に行ってて、あの人早く死ぬよねって言ってる人たちを見て自分がどう思うかったら、あなたたちも一緒だよって。逆に言ったら、自分みたいに探検やってる人間っていうのは、今言ったみたいに過剰っていう風に思われるぐらい、事故とか突発的なものから、いかに自分がそういう状況にならないかっていうのを日常生活でやってるから、どっちかって言ったら、病気、食べたり空気とかいろんなこと抜いて、不慮の事故とかそういうのからは危険回避をかなりしてると思うんですよね。だから簡単に死なないなっていう風には、結構自信があるところですよね。はい。
死がいつも身近にあるからこそ、他の人とは異なる死生観を持つ吉田勝次。そしてその死生観を形作った経験の1つに、洞窟の中で実際に亡くなった人と向き合った出来事があります。それはある洞窟で発見された遺体を地上へ運び出した時のことでした。
あれはもう本当に10年ぐらい前ですかね。僕が発見したんじゃなくて、実は仲間が発見したんですけどね。その時は、僕がずっと探検してた洞窟の報告書みたいな情報を仲間が見つけて、面白そうだから行ってみようって言って行ったら、遺体らしきものがあったってことで電話かかってきたんですよ。「吉田さん、なんか本当に遺体らしきものがありました」って。で、遺体らしきものって何だって言って、確認したのかって言ったら、確認してないって言うんですよ。なんで確認しないんだって。せめて写真でも撮ってきたら、それで警察に通報したり次のアクションができるのに、できないってことで、じゃあとりあえず俺が確認しに行くって言って。
それを聞いたのが夕方の6時か7時頃で、そっから来れるメンバー集めて山に登ってって、洞窟の入り口にたどり着いたのが確か夜中の12時か1時ぐらいなんですよ。で、そっからロープセッティングして降りてって、さーっと行ったら、突然縦穴で30mぐらい降りてきて、降りてって狭いとこに亡くなられた方がいて、あ、遺体だなってことで写真を撮って、夜中の2時ぐらいだったんですけど、そっから洞窟を出て警察にたどり着いたのが確か朝5時頃なんですけど。
亡くなっていたのは60代の男性でした。後に分かった状況から、その男性が子供の頃に知っていた山の穴を、大人になってもう一度見に来た時に落ちてしまったのではないかと。そしてその穴は、地上へ戻る道のない30m以上の縦穴です。一度そこへ落ちてしまえば、自力で這い上がることは困難です。そのまま暗闇の中で体力を失い、少しずつ衰弱していったのではないか。吉田勝次はそう推測していると言います。
僕らも洞窟で寝たりするんで感覚的には何とか分かるんですけど、洞窟って目開けた瞬間に何にも見えないんで、洞窟探検家でもまず思うんすよ。あ、どこ? 洞窟かっていう。そのぐらいちょっとアクションあるんですよね。だから本当に死ぬ時って、自分が死んでるか生きてるか分からない状態で、寝ては覚めて、寝ては目を閉じて、だんだんだんだん衰弱しながら眠るように亡くなったんかなっていうのが想像できるんで、そんな苦しんで死んだっていう感じはないと思うんで、僕ら的にはちょっと気持ちが楽なんですけどね。
警察に報告した後、吉田勝次は名刺を渡しました。そして数日後、警察から連絡が入ります。警察、レスキュー隊、自衛隊にも相談したものの、現場は30mの縦穴の奥深く、特殊すぎる環境のため、搬出は吉田勝次たちに任せるしかないという判断になったのです。
1年半ぐらい前の方なんですけど、その状況で肉も骨も全部残ってる状態で1年半そのままっていうのがなかなか前例がないみたいで。それだけ洞窟っていうのは分解するバクテリアが少なくて、ウエットなミイラみたいな感じなんですよ。で、それを鑑識の人が全国から集まって見てみたい、調べてみたいっていうのがあって、そのまま、なるべく持ってきたいっていう風に言われてしまって、自分たちは警察の人に何をお
願いしたかって言うと、頭は頭、腕は腕、胴体は胴体ってバラバラにして袋に小分けして持ってきたいっていう。それだったらそんな難しくないからって言ったら、鑑識の人が来たり、遺族の人の遺族感情もあるし、なるべく持ってきたいっていうので、もうどうしようってなったわけですよ。
その時ふとエジプトのミイラが頭に浮かんだんですよ。こうガムテープでぐるぐる巻きにしようってひらめいたんですよ。で、警察の人にガムテープを10個ぐらい買ってきてくださいって次の日お願いして、もう1つひらめいたのが、ガムテープを巻いていく過程の中で取っ手をつけようと思って。で、ストレッチャーに乗せるんだったら取っ手あるんですけど、いきなりガムテープで巻いたら取っ手もない、なかったら困るだろうって。ま、それもひらめいて、あ、これならなんとか狭いとこ運べそうだっていう風にちょっと安堵したんですけど、その後吊り上げる時に、ま、その悲劇が起きたわけですよ。
元々遺体袋が防水じゃない、ガムテープもそんなに防水が完璧でないものに対してぐーっとそれを吊り上げて、空中でこう吊っていくと、その体液が下に溜まってきて、それがもう圧力になるんですよね。で、遺体袋を漏れて、下でこう誘導してる人に降り注いだわけですよ。もうギャーって、ま、下で悲鳴をあげてたんですけど、途中で別に死ぬわけじゃないし、もうやめるわけにいかへんから、上から我慢しろ、我慢しろって言って、もうその宙吊りはなんとか上に持ってったんですけど、
今度天井まで上げたら今度真横に移動しなくちゃいけないんですけど、ま、それが30mか40mぐらいなんですけど、深さ30mの穴の上でそれを真横に移動しなくちゃいけないんで、下に落ちてしまうんで、人間がこう壁に突っ張って台みたいになって、その上をこうずっと引っ張ってくっていう、そういうシチュエーションになって、結局その台になってる人も全員その体液だらけになって、もうとてつもない世界を経験、状況を経験して、確かね20時間ぐらいかけて出しましたね。
亡くなられたことは悲しい出来事なんですけど、僕らのスキルも駆使してやれたんで、遺体をこう運び出したことで、ご家族の方とかも生きてるか死んでるか分からない行方不明な状態でずっと1年半過ごしてきたんで、残念な結果になったんだけど、ま、これで息子の葬式あげれるってお父さんもすごい喜んでくれて、感慨深いものがあって。ま、こないだ本当に10何年ぶりに行ってみようってことで、僕らのYouTubeの動画にあげたんですけど。
ここまで危険や死と向き合う話を見てきました。しかし洞窟探検で嫌な瞬間は命に関わるものだけではありません。もっと単純に、できれば出会いたくないものもあります。吉田勝次はこの生物が特に苦手だという。
それがゴキブリに遭遇するのがもう多分最高峰かな。ま、他にもちょっと気持ち悪い生き物とかたまにいるんですけど、ゴキブリだけはね、克服できてないすよ。東南アジアの洞窟なんかはゴキブリだらけの穴とかありますね。もうこんな感じです。もう探検にならないですね。うわうわあうわあって、もう無理でしょ。で、天井と壁が遠いうちはまだ耐えれるんですよね。で、壁がだんだん狭くなってきたらゴキブリが自分に近づいてくるわけじゃないですか。もうどうですかね?1mぐらいになったらもう、もう無理ですってなって、もう逃げますね。
また興味深いことに、洞窟内のゴキブリは太陽光を浴びていないため、白色や飴色のような、街で見るものとは異なる薄い体色をしているとのこと。
そして数々の困難を乗り越えてきた吉田勝次を見事パニックに陥らせた、こんな生物とも遭遇したと言います。
やっぱり数がいるものっていうのは気持ち悪くて、石垣島ってところの洞窟行った時に、ま、多分誰も入ったことない洞窟で、弟子が見つけて、吉田さんこっちに穴がありました、でも今蜂がいっぱい洞窟の入り口にいるんで入れないですって言って。で、僕は蜂なんか気にならないから、ま、刺されても別に、ああって感じなんだよね。あ、なんかって感じで、勢いで穴にたったって入ってきて、パッてこう水平になった天井をずっと見たら、天井がこうとんがってるんですよ。針山みたいに。で、なんだってよく見たら、なんか動いてるなと思ったら、天井一面、あのカマドウマっていう、ま、古い台所とかちょっと薄暗いとこにいっぱいいるバッタみたいなやつなんですけど、それが天井一面いたんですよ。大げさじゃなく千匹って言うんですよ。
もうそれを見た瞬間に固まって無理ってなって、で、そっと出てきて、誰かが入ってったら少しカマドウマが飛んでって減ると思ったんですよ。だからもう弟子たちを先に行かして、逃げさして少し減らすつもりで行ったんですけど、ま、弟子はうわぎゃーぎゃーって悲鳴をあげながらなんとか行ったんですよね。よっさん来てくださいって言って、これはもう完全に未踏ですよ、奥は広いし、これは絶対来た方がいいですよっていう声かけられて、ま、洞窟探検家としてここは乗り越えるしかないかっていう風に一大決心をしまして入ってったわけですよ。
っていうのも、弟子が先に2、3人行ったにも関わらず天井に見事に張り付いてて、それをこう低い姿勢で沿っていくんですけど、反応するカマドウマいるんですよね。どういう風になるかって言ったら、それがもう飛び出すんすよ。ぴょんぴょんぴょんぴょん。そうそう。背中に当たるんすよね。その背中が、ま、傘をさした時に大粒の雨が傘に当たる時にボンボンって言うじゃないですか。まさにあの感覚ですよ。バポンパンパンパンパンパンパンパンパン。その間は自分からうわーって悲鳴出るんすけど、こう襟をね、こうやってやって首に入らないようにして固まるのが精一杯で、時々元気なやつが天井から飛んで床に跳ね返って顔に当たるんですよ。もうそれが嫌で。うわあ。
では実際にその時の映像をご覧いただきましょう。
よっしゃ。探検人生でこれだけ緊張したことはないかもね。嘘だろ?あんまり見たくない。
床や天井一面にいるのがカマドウマ。次の瞬間。うお。うわあ。やばいやばいやばいやばいやばい。俺の体にぴょんぴょん飛んでくる。ちょ、お前来るなよ。また、お前で反応して飛んでくるよ。追いつけ、追いつけっちゃんって感じ。
パニックの話を散々したんですけど、ま、少しパニックになったかなっていう。やっぱあれだけカマドウマが数がいてすごい状況だと、やっぱ人間はやっぱり気持ち悪いと思って、ま、多少パニックになるんだなっていうのが分かりましたね。
命の危険もあり、死と向き合う瞬間もあり、そして苦手な生き物にも出会う。それでも吉田勝次は30年以上洞窟と向き合い続けてきました。ではなぜそこまでして未踏の世界へ向かうのでしょうか?
僕が今まで洞窟探検30何年続けてこれたのは、まあシンプルに好きだっていうことですね。でもよくよく分析してみると、本当に洞窟が好きかっていうシチュエーションが何度もあって、結論的に言ったら僕は洞窟はそんなに好きじゃないっていう風に思える時もあって、じゃあ自分は何が好きで洞窟探検を何十年もやってきたかって言うと、はっきり言えるのは未踏が好きです。地球上に残された未踏は深海か地底しか残ってない。地上はGoogle Earthでほとんど見えるし、唯一残ってるのは地下と深海だから、もう僕ら未踏を求めてる探検家にとって、洞窟に向かうしかもう行き先がないっていう。ま、それがもう正直、そういう状況で洞窟に向かってるんだなっていうのは、最近よく考えて分かるようになりましたね。
で、未踏ってもっと突き詰めると、地球外っていう風に世界を広げてくと、月にも洞窟が、え、2、3見つかってるんですよね。で、火星にも見つかってるっていう。その惑星自体も未踏なのに、さらにその惑星にある穴も未踏っていう。だからもう本当無限的にっていうか、もうキリがないことを、答えがない、ゴールがない、やりきった感があるようなないような、とてもやりきれるわけがないっていう探検をずっと続けてるんで、じゃあ洞窟探検を引退してやめて、自分の代わりになるドキドキワクワクときめくものが何かあるかって言うと、ないんすよね。ないんですよ。だからもうこれをやるしかないっていうのが、まあ正直落としどころかなっていう感じですよね。
未踏を求めて洞窟へ向かう。命がけの探検を続ける吉田勝次の姿は、未知に惹かれる私たちと本質的には同じなのかもしれません。では人はなぜ危険だと分かっていても、まだ見ぬ場所へ向かいたくなるのでしょうか?
ま、危ないとこにそもそも近づくことをやらなければ危険な目に遭わないっていう。それはま、当たり前なんですけど、それだけだと人生ってつまらないです。何も新しいことも発見できないし、人生をつまらなくならないように楽しくするためには、何かしらリスクを伴っても前へ進むってことはすごく大事で、それはどんなことでもそうなんだけど、挑戦するってことが大事なんですよね。新しいことを挑戦することで発見があって楽しい。あらゆる分野の世界で新しいものを発見するために必ず挑戦っていうものが必要で、挑戦には常にリスクがつきまとって、リスクを受けたくないっていうんだったらなかなか挑戦もできないっていう。挑戦をしないと人生がつまらなくなるんで、それを楽しくするために挑戦していくっていうの大事なんですけど、それを当たり前に僕らはたまたま洞窟に突き進んでるっていう、そこだけですね。
人生を楽しく面白く生きるために、常に僕は洞窟に突き進んで、向き合って、発見して、感動するために、どんどん洞窟探検やってるっていう、シンプルにそこだけですね。
吉田勝次にとって洞窟とは何か?
僕にとって洞窟っていうのは人生そのものと言っても過言ではないですね。なぜかって言うと、洞窟に行くことがライフスタイルになって、生活の全ての中心になってるのと、洞窟っていうものが媒体になっていろんなものを僕にもたらしてくれた。だからもし逆に言ったら、僕は洞窟探検をやってなかったらどんな人生だったんだろうってたまに考えるんですけど、つまらんなって思って。だから洞窟に会えて本当に自分の人生は良かったなっていう風に思う。ま、それが答えですね。で、そうやって思うとちょっとね、目がうるうるってくるんすよ。自分で泣きそうになる自分がいて、だからそれだけね、あの、自分の心を動かす洞窟っていうものに自分が出会えて本当に良かったなって思う。
だから僕がもう体が動かなくなって、もう引退だよって自分で決めてやめるか、死ぬかどっちかっす。まあ、生きてる限り、ま、やり続けたいと思うんで、今やれることは健康管理して、より長くこう長生きをして、元気な時間を長く取って、ここ3年の間に自分がやってきたことを受け継いでもらえそうな弟子ができたんで、彼のその成長を見ながら、うん、いろんなことを伝えながら伝授しながら、僕はまあ体力が許す限り。だからもう引退する時は、死ぬか。うん。あとは体が完全に動かなくなって、弟子に迷惑かけるから、吉田さんもう来ないでください、頼むから吉田さんもう来ないでくださいって言われたら引退するっていう。どっちかっすね。
未踏を求めて暗闇の先へ向かい続ける洞窟探検家、吉田勝次。気力と体力が許す限り、彼はこれからも世界に残された未踏へ挑み続けます。今回のバイエンスはここまで。
え、吉田の地球探検TV、ぜひ見てください。よろしくお願いします。
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