岐阜の新しい料理教室で、リュウジが市販ルーの「王道カレー」を教える

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概要

料理研究家のリュウジが岐阜県を訪れ、子ども向けスポーツ教室「JPCスポーツ教室」の運営会社が新たに立ち上げた料理教室「バズクッキングスタジオ」で、最初の調理を担当した。作ったのは市販のカレールーを使う家庭的なカレーと、生のチンゲン菜のサラダの2品である。リュウジがこの回で繰り返し語ったのは、料理教室で教えるべきなのは「料理の原理」よりも、家に帰って実際に作り続けられる実践的な料理だ、という考えだった。

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スポーツ教室の1号店を料理教室に改装

リュウジはこれまで何度もJPCスポーツ教室の動画に出演しており、今回は料理教室を始めるのでスタジオを見に来てほしいと依頼されて岐阜まで来たという。運営側の説明によれば、この建物はもともとJPCスポーツ教室の1号店だった。教室を広い場所へ移転したあと空いていたため、何かに使いたいと考えていたところ、リュウジと仕事をする中で「料理教室だ」と思い立ち、改装したという。JPCはここから始まって現在120店舗あり、料理教室も同じように全国へ広げたいと運営側は話している。

教室名の「バズクッキングスタジオ」について、リュウジは「相当俺っぽい」と反応し、運営側はリュウジの許可を得てこの名前にしたと説明した。スタジオには調理台の島が3つあり、定員は最大15名程度。指導員の手元が見えるようにモニターが設置され、入口近くに手洗い場、オーブントースターなどの設備がそろっている。運営側はまだ一度もこのスタジオで調理をしたことがなく、記念すべき最初の調理をリュウジに頼んだという流れである。

リュウジは以前、さまざまな料理教室で何を作っているのかを調べたことがあり、「これを誰が家で作るのか」と思うようなメニューを教えている教室もあったと話す。そのうえで、ここは将来本当に料理ができるようになる、実践的な料理を教える場所にしてほしいと伝えた。

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献立は「簡単で栄養も取れる2品」

リュウジは、料理は献立が大事だとしながらも、品数が増えすぎるのは良くないと考えている。そこで今回は、簡単で栄養も取れる2品を用意したと説明した。

1品目のカレーについて、リュウジは自分の料理は「結構邪道に行く」と前置きしたうえで、今回は王道に攻めた「家庭のカレーの決定版」を作ると宣言した。リュウジのカレーでいちばん作られているのは玉ねぎをたくさん使うタイプだが、今回はじゃがいもやにんじんの栄養も取りたいので、にんじん、じゃがいも、玉ねぎ、豚肉という一般的な具材にしたという。豚肉は今回バラを使うが、こま切れ肉でも構わないとした。

ただ、カレーだけでは栄養が偏るため、付け合わせとして生のチンゲン菜のサラダを作る。チンゲン菜が生で食べられることをスタッフに尋ねると「知らない」という答えで、リュウジは生がとてもおいしいと話し、こうしたことを広めたいと述べた。

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なぜ市販のルーを教えるのか

この回の考え方がもっともはっきり出たのが、カレールーを使う理由を語った場面である。リュウジは、料理教室では普通カレールーを使うカレーは教えず、小麦粉から作るカレーを教えるが、それを覚えても結局使わない、作らなくなると主張する。

その例として挙げたのが学校の調理実習の味噌汁だ。スタッフに、学校で味噌汁を作らされたか、煮干しからだしを取らなかったかと尋ねると、スタッフも煮干しから取ったと答えた。リュウジも同じだったと言い、「じゃあ誰が煮干しから取った味噌汁を今作ってるのか」と問いかけた。料理の原理を知りたいのではなく、実用的なものを学ぶべきで、日本には便利なものがたくさんあるのだから、それを使おうという料理教室が絶対にいい、というのがリュウジの立場である。たまには難しい料理をしてもいいが、基本はルーを使って簡単に作れて抜群においしいレシピをみんな求めている、子どもが大人になっても作れるカレーを作っていく、と話した。

なお、いつもは飲酒しながら調理するが、料理教室で子どもの前では飲まないので、今回は水にすると断ってから調理を始めた。

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玉ねぎは2個を切り分けて、2通りに使う

玉ねぎは小ぶりのもの1個がおよそ120gとして、2個で240gを使う。1個はルーに溶け込ませる炒め玉ねぎ用、もう1個は具材として食べる用で、切り方を変える。

炒め用は繊維に垂直に切り、できるだけ薄切りにすると炒める時間が短くなるという。後で炒める際に、繊維に逆らって切ると水分が飛びやすくなると説明している。具材用は回しながら乱切りにする。玉ねぎは溶け込ませてもおいしいが、ごろっとした具材としてもおいしいというのがリュウジの考えだ。大きな玉ねぎ1個が240g程度あるなら、半分を薄切り、半分を乱切りにすればよいとした。

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にんじんとじゃがいもは皮をむかない

にんじん(リュウジの見立てでは130gほど)は皮をむかない。多くの料理教室は皮をむけと言うが、それは無駄で、これが実践的な料理だとリュウジは言う。にんじんは出荷時に食べてはいけない皮がすでにむかれており、残っている薄皮は煮込めば気にならない。気になればむいてもいいが、「皮つけてもいいよ」と言う初めての料理教室になってほしいと話した。

じゃがいもは新じゃがを使い、たわしで洗うだけにする。新じゃがは軽くこするだけで中身が見えるほど皮が薄いので、そのまま乱切りにする。土っぽい香りが嫌なら剥いてもよく、普通のじゃがいもならむいてもいいかもしれないが、新じゃがはむかないという。また、芽は取り除き、皮が青くなっている場合は毒素が出ているので絶対にやめるよう注意した。今回の新じゃがは青くなっておらず問題ないと確認し、皮付きのほうが土の香りとじゃがいもの味がしておいしいとも述べている。

にんにくは5gほどすりおろし、炒めるのではなく後から加える。いろいろなカレーを作ってきた中で、おろしにんにくを後から入れるのがとてもおいしいとリュウジは話す。豚バラ肉は脂があって柔らかくおいしいが、こま切れやロースでもよく、ルーを使えば何でもおいしくなるのでそこまで気にしなくていいとした。長さは一口で入る3cmほどに切る。

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炒め玉ねぎは「焦げっぽくなればOK」

スタジオのコンロがIHなので、フライパンをIHにかけて調理する。サラダ油大さじ1を入れ、強めの中火で薄切り玉ねぎから炒める。玉ねぎをよく炒めて焦げを作り、メイラード反応による香ばしさをつけるのが狙いだと説明した。塩をひとつまみ加えると、浸透圧でより早く炒まるという。IHの表示は7で、スタッフは「結構強め」と受け止めていた。

リュウジは、ポイントが少しあるだけで一般的なカレーとそれほど変わらないと言いつつ、料理に正解はないとも強調した。みんな「これが正解」というものを求めがちだが、いろいろな作り方があってよく、これはその中の一つだと思ってほしいという。

本来はもっと低温でじっくり炒めるが、今回は時短である。所々に焦げが入るとメイラードのいい香りがするので、それで十分だという。真剣にやると30分ほどかかるが、30分あるなら洗い物や洗濯など他のことをやった方がいい、と料理研究家としては言わないことだがと前置きしながら話した。昔はきれいなブラウンの飴色まで炒めろとみんな言っていたが、それは不要で、全体が焦げっぽくなればよいとしている。

途中、子どもと一緒の絵面が想像しにくいとスタッフに言われると、リュウジは子どもに好かれないと笑いつつ、自分は子どもが好きで、子どもと動物には優しいと返していた。

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豚肉、野菜、そして6種類の隠し味

玉ねぎが焦げっぽくなったら豚バラを入れ、脂をしっかり出す。肉は用意した量が250gほどあって多かったが、肉は多いほうがおいしいとした。一見焦げているように見えるが、これでコクが深まるという。続いて具材用の玉ねぎ、じゃがいも、にんじんをすべて入れ、豚から出た脂をまとわせる。野菜が光ってきたら水400ccを加える。今回は具材が多かったとリュウジは振り返っている。

ここから「カレーに入れておいしいものランキング」として隠し味を加える。

  • 昆布だし:入れると味わいがかなり深くなるという
  • 砂糖小さじ1:必ず入れてほしいもので、甘みと深みが出る
  • 醤油:いい香りがつき、グルタミン酸が多く含まれていて味わいが高まる
  • ケチャップ小さじ1:トマトのグルタミン酸の旨味と甘みを加える
  • ウスターソース
  • オイスターソース小さじ1:入れるととても深みが出る

ソースを入れる場面では、スタッフが岐阜で使われているソースを紹介し、その場で味見した。甘めでエビフライに合いそうだと盛り上がり、リュウジもおいしいと認めたが、ここではウスターソースを使った。

調味料を入れる際、リュウジはうっかり丸のままのにんにくまで入れてしまった。ただ、丸のまま入れたにんにくはあまり効果を発揮しないので、改めておろしにんにく5gを追加すれば大丈夫だという。こういうときにみんな失敗したと思いがちだが失敗ではなく、にんにくは具材として食べればいいと話した。おろしにんにくは後で深みに変わるという。蓋をして中火で15分煮込む。野菜をほろっと仕上げるための時間だと説明した。

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生チンゲン菜と、辛くない辛子ドレッシング

煮込みの間にサラダを作る。リュウジによれば、チンゲン菜は中華料理でしか使われないが非常に優秀な野菜である。理由として挙げたのは、価格のブレがなく急に高騰しないこと、そして生食ができることだ。生で食べるにはしっかり洗う。カレーだけでは生野菜が取れないので、付け合わせはサラダのようなものがいいという。

茎の部分はいちばん硬く歯ごたえがあるので千切りにし、葉の部分は細かくしてもいいし、ざく切りでもいい。甘くて苦みがないのがチンゲン菜の優れた点で、それをみんなに伝えたいとリュウジは話した。

ドレッシングはオリーブオイル大さじ2、酢小さじ2ほど、練りからし約3cm、塩ひとつまみから2つまみ。混ぜるとすぐに乳化して辛子ドレッシングになる。旨味が欲しい人は鶏がらスープをほんのひとつまみ加える。辛子が苦手な子どももいるかもしれないが、その場合はホットドッグやハンバーガーに使われるイエローマスタードにすると辛みが抑えられておいしいという。

辛子を使っているのに辛くない理由について、リュウジは、辛子の辛さは揮発性で空気に触れると発揮されるが、油でコーティングすると辛みがほとんどなくなると説明した。わさびも同じだという。だから子どもでも食べられるのではないか、微妙ならイエローマスタードで、というのがリュウジの見立てである。ドレッシングも買う必要はなく、家にある調味料でこんなに簡単にできると強調した。

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ルーを入れて仕上げる

15分煮込んだら、ルーを半箱、約90g入れる。リュウジが使ったのは自身が気に入っている舶来亭のカレールーで、ほかのルーなら90gで合わせればよいとした。ジャワカレーなどもおいしいが、結局舶来亭がいちばんおいしいと気づいたので、ルーは1種類で十分だという。混ぜてもおいしいことはあるが、1種類のほうが楽だと話した。舶来亭を使うと「これ以外食えなくなる」とも言っている。

フライパンで作っていると火力によって水分が飛びやすく、今回も水分がかなり飛んでいたため、水を50ccほど足した。目安はカレーの粘度で、具材に対するルーの量を見て調整するとよいという。仕上げにバター10gを加えると、コクと香りが深まるとした。

チンゲン菜のサラダは小皿に盛り、ドレッシングを1〜2回しかける。ご飯を盛ってカレーをよそう際、リュウジはこれくらい具が入っているカレーが好きだと言い、盛り付けでは彩りのいいにんじんを見せると食欲が増すとアドバイスした。赤い色は食欲をそそるからだという。完成したカレーは、バズクッキングスタジオで作る「王道キングカレー」と名付けられた。

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試食の反応

試食したスタッフは、カレーについて「めちゃくちゃ濃厚」「めちゃくちゃ美味しい」と反応した。リュウジは、新じゃがなので水分が多くていいと評価し、スタッフはいろいろな調味料が深みを与えていること、にんにくが後から抜ける感じがあることを挙げた。スタッフはこのレシピを教室で使わせてほしいと申し出て、リュウジは快諾した。舶来亭のルーは初めて食べたというスタッフもいた。

チンゲン菜を生で食べたことがあるかと聞かれたスタッフは、中華料理でしか食べたことがないと答えた。食べてみると臭みも癖もなく、「食べる機会がないだけで全然美味しい」という感想だった。スタッフは、子どもは野菜嫌いというイメージをなくしていきたいとも話した。辛子ドレッシングについても、辛みはまったくなく風味だけが残っているとスタッフが答え、リュウジは生のチンゲン菜は昔から勧めているがそれほど流行っていないので、ぜひやってほしいと述べた。

リュウジは、カレーだけでは主に炭水化物と肉しか取れないが、チンゲン菜を添えることで栄養バランスがかなり整うと説明した。スタッフは、ピクルスや漬物のような役割も果たしていると受け止めていた。調理時間はおよそ30分で、15分の煮込みでも具材がすべてほろほろに柔らかくなっていたこと、豚の脂身もおいしいこと、子どもでも食べられる程度の辛さであることも話題になった。

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料理教室は「2品でいい」

試食しながら、リュウジは献立の考え方をもう一度語った。料理教室ではだいたい3品くらい作るだろうと思うが、自分は2品ぐらいでいいと考えている。ご飯と一緒に食べられる主食ともう一つ、サラダのようなものがあれば、「今日の献立はこれでいいんだよ」と示せるという。

運営側は、忙しい家庭でも父親や母親の代わりに子どもたちが料理を作れるようにしたいと話し、リュウジと出会ったおかげでこのスタジオができたと述べた。リュウジが「やることが早かった」と言うと、運営側は、構想を長く練るよりもまずやってみて、その後改善していこうと考えたと説明した。生徒の募集は3月から始める予定だという。リュウジは、こうした実益のある料理をバズクッキングスタジオで全国に広めてほしいとし、そのための協力は惜しまないと話した。

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代表・高木氏が語る教室の方針

動画の最後には、バズクッキングスタジオ代表の高木氏のコメントが収められている。高木氏によれば、教室には小学1年生の子どもから30代、40代、50代、60代まで幅広い大人が通っている。当初は料理を始めるきっかけとして作ったが、実際にはすでに料理をしている人も「答え合わせ」の感覚で通っているという。

高木氏は、リュウジの話と同じく、今の学校の家庭科は料理の大元を教えるもので、自宅での再現性がないことが多いと指摘する。肉を焼く、野菜を切る、素材からだしを取るといった基礎は大切だが、それを自宅で率先して作ろうとはなかなか思えない。そのため、この教室では家庭での再現をもっとも重視しており、教室で習ったレシピをその週末に家で家族に振る舞う、という流れを作りたいと語った。現在は岐阜県羽島市の1店舗のみだが、全国に展開する際にも、子どもから料理経験者まで幅広い人に来てほしいという思いでこの教室を作った、と高木氏は締めくくった。