法対応は進んだのに、なぜ現場は忙しくなったのか――弥生が語る中小企業バックオフィスの「つなぎ目」問題

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概要

インボイス制度や電子帳簿保存法への対応は一巡した。それなのに、経理や人事労務の現場が楽になったという実感は乏しい。弥生の提供で配信されたこのセッションでは、MCの西岡氏が、弥生 NEXT Business Unit クラウド成長推進部の喜多佑介氏と寺前優穂氏に話を聞いた。喜多氏は会計を軸にプロダクトマーケティング(商品企画や販促企画)を担当し、寺前氏は給与を中心とする人事労務領域を担当している。

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議論は二部構成で進んだ。前半の「手間はなぜ減らないのか」では、法対応が現場の負担をかえって増やした理由を掘り下げた。後半の「入力は一度で」では、会計・給与・勤怠・労務をつなげて手作業をなくすという弥生の考え方と、「弥生 Next」シリーズの実演が紹介された。

弥生の歩みと「弥生 Next」の位置づけ

喜多氏によれば、弥生は前身から数えて創業50年近い会社である。1978年に前身の会社が設立され、1987年に弥生シリーズの提供が始まった。会計ソフトの「弥生会計」はおよそ40年の歴史があり、登録ユーザー数は約400万に達する。フリーランスや個人事業主向けの確定申告ソフトと、法人向けの会計システムの両方を展開している。

その後オンライン系のサービスを増やし、2023年10月に「弥生 Next」シリーズを立ち上げた。2025年4月には「弥生会計 Next」をリリースしている。喜多氏は、パッケージやオンプレミスで培ったノウハウをクラウドに生かすのがこのシリーズの狙いだと説明した。

MCは年表を見て、会計の印象が強いが勤怠・労務という言葉も出てきていると指摘した。これに対し寺前氏は、給与ソフトもデスクトップ版を30年前から出していると補足した。勤怠と労務は給与と最も強く結びつく領域であり、それらを連携させるために2025年にリリースしたという。

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負荷は減らず、経理から従業員へ移った

MC自身も小さな法人を経営しており、インボイス制度については「便利になった」というより「対応しなければならない」という気持ちが強かったと話した。

喜多氏の見立てでは、制度対応を一通り終えた会社がある一方で、地方などではDXや法対応がまだ進んでいない例もある。さらに、対応を済ませた会社の中にも、負荷がかえって増えたケースがあるという。

喜多氏は経費精算を例に説明した。これまでの中小企業では、領収書を経理に渡せば、現金で返してもらうか、月末や給与と一緒に振り込んでもらえた。ところが電帳法対応でシステムを導入すると、従業員が自分で領収書をスキャンし、ワークフローで申請するようになる。経理に集中していた業務が、従業員一人ひとりに分散したことになる。移動が多くタクシーをよく使う人ほど、負担が増えたと感じやすいのではないかと喜多氏は述べた。

MCも会社員時代の体験を語った。以前は経理担当者から直接「ちょっとこれ」と声をかけられていたが、デジタル化後はシステム上でいきなり否認が返ってくる。そのショックは大きく、何のためのデジタル化なのかと思っていたという。手間の総量は変わらず、担い手が経理から従業員に移ったのではないか、というのがMCの整理である。

人事労務でも同じ構図があると寺前氏は言う。社会保険手続きの電子申請や年末調整の電子化はここ数年で進んだ。しかし実際の現場では、紙を従業員に配って紙で回収し、人事担当者が給与ソフトに手で打ち込んでからオンラインで提出する、という流れがまだ起きている。

制度に合わせて入れたツールが孤立する

デジタル化がなぜ現場を複雑にしたのか。喜多氏は、データ化を進めれば世の中が良くなるという考え方は当然あるとしたうえで、現場の実態を説明した。会計側にシステムを入れても、給与計算や勤怠で集めた情報は、労務担当や経理に渡す工程として残る。CSVなどでデータを取り込めればまだよい。しかし多くの会社では、画面の情報を見て手で入力する作業がむしろ増えている。業務の「隙間」を埋め切れていないことは、弥生を含むベンダー側にとってもまだ課題だと喜多氏は認めた。

本来は単体の業務をひとつにつなげ、データが流れる形をつくれればバックオフィスは良くなる、と喜多氏は考えている。ただ、会社ごとに業務は多様である。そこに制度をどう合わせるか、ベンダーとして多様な業務をどう標準化したサービスにするかには、今も苦労しているという。

寺前氏も、働き方改革、労働基準法の改正、社会保険の電子化といった制度に合わせてツールを入れた結果、それぞれが独立してしまっていると指摘した。本来一本につながるべきところを、CSV取り込みや手作業で埋めているのが現状だという。

紙はなぜ消えないのか

MCは経営者として、紙の問題を挙げた。飲食店やタクシーでもらう領収書は結局紙で、デジタルで取り込んでも目的などを打ち込む手間がある。7年分の紙がたまっていく状況で、紙は減らないのかと問いかけた。

喜多氏は、首都圏ではシステム導入が進んで解消に向かっているが、地方では紙が根強く残っていると答えた。飲食店でも、ネットにつながったPOSレジならクレジットカード連携で明細を取得でき、最近はデジタル領収書を発行できるPOSレジも増えている。一方、街の中華料理店のように、ネットにつながっていない古いレジを使い続けている店もある。そうした店ではレシートや手書きの領収書が出てくるため、スキャンしても手書き文字を正しく認識できるかという問題が残る。喜多氏は、従来の商習慣がまだ移り切っていないと見ている。

MCは、制度対応は大企業のほうが有利で、夫婦二人の自社のような小さな会社は紙の領収書を税理士に送って終わり、というケースも多いのではないかと述べた。喜多氏は規模を問わず使えるシステムを目指していると答えた。ただ、バックオフィスのシステムは業界を問わない「ホリゾンタル」なものと言われる一方で、製造業と建築業では会計のやり方が違う。どこを正解として画一化するかは日々考えているという。

寺前氏は人事労務の事情を補足した。この領域では紙を一気になくすような大きな法改正がなかったため、紙の文化が残りやすい。従業員にメールアドレスを持たせていない会社もあり、そうした場合は紙に頼らざるを得ないという。

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手作業が7割、AI導入は2割

人の関与はまだ多いのかというMCの問いに、喜多氏はまず紙が残る理由を挙げた。現場の怠慢や、会社がDXに追いついていないことだけが原因ではない。取引先がどんな形式で明細を出すか、地域にどんな商習慣があるかも大きい。周囲の環境ごと変わらなければ、一社だけでシステム化を浸透させるのは難しいというのが喜多氏の考えである。

続いて喜多氏は弥生の調査結果を示した。手作業が中心になっている会社は約7割にのぼり、AIツールを導入している会社は約2割にとどまった。

AIを導入しない理由は大きく二つあったという。ひとつは、最終確認は人がやらないと信用できないという回答である。もうひとつは、チェックしないと安心できないという回答だ。喜多氏はこれを補足して、AIの出力をそのまま信じると、決算を締めた後で税務調査に引っかかる懸念もあると述べた。地域の税理士と協力して正しく決算を行うことは重要であり、どこをシステム化しどこをAIに任せるかについては、まだ正解が見えていない人が多いことが調査から読み取れる、と喜多氏は解釈した。

インボイス制度は業務を減らすための制度ではなかった

インボイス対応のために法人を設立したというMCは、分からないことが増えたという感覚を語った。喜多氏は、インボイス制度は業務を減らすための制度ではなく、データや管理をしっかりさせるための制度だと捉えている。経理担当者が残業せずに帰れるようになる世界を実現するための制度ではなかった、という見方である。

喜多氏は商工会議所のデータを紹介した。インボイス発行事業者の7割超が事務負担が増えたと回答しており、2024年と2025年を比べても約70%という水準は前年から10%ほどしか変わっていない。増えた事務の中身としては、仕入先の登録状況の確認や、適格請求書発行事業者の登録番号の確認といった、新しく加わった工程が挙げられているという。

人事労務について寺前氏は、インボイスほど強制力のある改正がなかった分、システム化が遅れていると述べた。弥生の調べでは、ソフトの導入率は給与で41%、勤怠で28%、労務で14%にとどまる。導入していない企業のほとんどは紙やExcelで対応しているという。MCが、タイムカードを見て打ち込む会社もまだありそうだと言うと、寺前氏はそのとおりだと応じた。

喜多氏はここで、弥生の顧客基盤について率直に語った。パッケージやオンプレミスで育ってきた会社であるため、DXを進めにくい面がある。一方で、そうした「オールドエコノミー」な環境が弥生の顧客基盤をつくってきた面もあり、その点では得をしている。それでも、それだけではいけないので、デジタルでも業務支援に取り組みたいという。

「入力は一度で」――ばらばらの業務を一本につなぐ

後半のテーマは「入力は一度で」である。喜多氏は、バラバラになった業務をひとつにつなげることが重要だと述べた。勤怠をExcelやタイムカードで記録し、それを給与計算に当てはめ、従業員に支払いながら会計にデータを入れる。最後は会計に集まった情報を税理士に見てもらいながら決算に使う。各段階で誰かが入力している業務をいかにつなぐかが、今後求められるという。

MCは、経理と人事労務はバラバラなのが当たり前という感覚の人が多く、一緒にできること自体に驚くと話した。喜多氏は、経理と労務は担当者も組織も分かれていることが多いと認めた。そのうえで、人や組織の区切りに関係なく業務をつなげるのがシステムの力であり、そのために作ったのが弥生 Next シリーズだと述べた。会計と給与を軸に、経費精算、請求書発行、勤怠・労務までをひとつにつなげるシリーズを目指しているという。

弥生会計 Next については、当初は起業家や創業者が自分の手で会計やちょっとした給与の処理をできるようにすることを目指したと喜多氏は説明した。従来の会計ソフトは、弥生も含めて税理士や会計士が扱いやすい画面・機能設計になっていた。それを、税理士にとっても、起業家や経理担当者にとっても扱いやすいデザインにすることにこだわったという。

書類の取り込みと「明細ボックス」

自分で会計を行う際のポイントとして喜多氏が挙げたのは、紙や書類の取り込みである。手入力する人が多かった部分について、OCRやPDF読み込みの精度を上げ、非定型の情報を定型化してシステムに落とし込むことにこだわったという。

MCが特に関心を示したのが、銀行、カード、現金などの明細を最初から分けておく「明細ボックス」である。喜多氏によれば、これは弥生会計 Next でこだわった機能のひとつだ。前身のオンライン会計システムでは、連携した明細が一つの画面にまとめて表示されていた。そのため、銀行だけ、カードだけの明細を絞り込むのが手間だった。そこで最初から分けておき、各明細がどう会計に流れるかをデータ連携によって可視化するようにしたという。

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デモ:勤怠から給与、会計までボタンで連携

寺前氏は、勤怠・給与・会計の連携を画面で実演した。給与の画面は上から順に進めるだけで手続きできる構成になっている。勤怠側で集計したデータは、ボタン一つで弥生給与 Next に取り込まれる。寺前氏は、これまでのようにCSVで集計したり取り込んだりする手間が一切なくなると説明した。取り込まれるデータには残業時間や有給日数も含まれ、それをもとに給与計算が裏側で行われる。

喜多氏は仕組みを補足した。勤怠には残業時間、休日出勤、休暇など多様な項目がある。それらを勤怠システム上であらかじめ設計しておくことで、給与計算に人の手を加えない状態を実現したという。

給与計算の後は、必ず給与の仕訳を作る必要がある。デモでは、作成された仕訳もボタンを押して確認するだけで弥生会計 Next に入った。MCが「これでもう終わりですね」と驚くと、寺前氏は、人事労務ではお金の流れがあまり意識されずに分断されがちだが、弥生は会計と給与の両方を長年見てきたのでバックオフィス全体で効率化できると述べた。

MCは、経理が残業代をあまり把握しておらず、後になって人件費の増加に気づくことがあると指摘した。この仕組みなら早い段階で分かるという見方である。喜多氏は一般的な月次の流れを説明した。月が終わると勤怠を締め、給与を計算し、会計にデータを流す。これまでは10営業日までに終わらせるのが目安だった。しかし業務の流れさえできていれば、早い会社では1日か2日で終わらせるところもあるという。給与から会計までの自動化でこだわったのはこの点だと喜多氏は述べた。

操作感へのこだわりと評価

画面設計のこだわりについて、喜多氏は帳票の入力を例に挙げた。普段Excelを使う人が多いため、Excelに近いキーボード操作や入力体験を会計システムで再現したという。また、一般的な会計システムと比べてクリック数や操作回数を減らすことも重視しており、自社調査の段階ではあるものの、30%程度の削減を実現できそうなところまで来ていると述べた。文字間の隙間や余白にも気を配っている。弥生会計 Next は2025年度のグッドデザイン賞を受賞し、2026年にはITreviewでルーキー関連の評価も得たという。喜多氏はこれを、UXが一定の評価を得ている表れだと捉えている。

作業時間の変化について、寺前氏は顧客アンケートの結果を示した。人事労務領域では従来の業務を71%削減できたという。寺前氏はその理由を二つ挙げた。

一つ目は、人事労務領域の中で業務がすべて連携していることである。勤怠から給与計算までに加え、その先の算定基礎届は労務向けのソフトからオンラインで提出できる。従業員情報もシリーズ内で取得でき、それを給与と勤怠に連携できる。そのため、部署異動などの日々の変化を各システムに入力し直す必要がないという。二つ目は、デモで見せたように人事労務が会計まで連携していることだ。CSV取り込みや手打ちの作業そのものがなくなることが、71%という削減につながったと寺前氏は説明した。

喜多氏は、バックオフィスには工程ごとに情報を書き写す重複作業があり、その重複を減らすにはシステムだけでなく顧客側にも業務のあり方を変えてもらう必要があると付け加えた。この数字は顧客の協力の結果でもあるという。MCは、同じ情報を何度も書き写すからミスが出るのであり、書き写しがなくなればミスも減ると応じた。

導入企業の規模と税理士による推奨

利用企業の例として、喜多氏はネイルサロンの運営会社、7店舗ほどを運営する会社、カフェの会社などを挙げた。また、最近関係を深めている会計事務所の税理士が、自身もIT企業を経営しながら弥生会計 Next を中心に扱っている例を紹介した。この事務所は起業家や創業者の支援に特化しており、相談に来た起業家に弥生 Next を勧めている。記帳は社長自身に任せ、事務所は経営に近い立場から支援する形が多いという。

推奨の理由について喜多氏は、デザイン性や見やすさにより経理や会計の経験がない人にも説明しやすいこと、初期導入が3つのステップで完了し、すぐに口座連携に進める手軽さを挙げた。

想定する規模について喜多氏は、もともと起業家、創業者、小規模事業者向けに始めたシリーズであり、そうした人に使ってもらうことが大前提だと述べた。ただ最近は、従業員20人超、50人超の会社でも使われるようになった。給与の領域では、さらに大きな規模の会社がDX化を目指して導入するケースもある。小さく始めて、顧客とともに製品を成長させてきた実感があるという。

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大きな会社の導入支援とサポート体制

大きな企業でもスムーズに導入できるのかというMCの問いに、寺前氏は、立ち上げに伴走する専任のカスタマーサクセス担当を置いていると答えた。事前準備のすり合わせ、初期設定のサポート、運用の提案まで行う。寺前氏によれば、最初につまずきやすいのはソフトの操作ではない。残業の計算方法、手当の付け方、会社独自の例外といった自社のルールを、担当者がどう設定に落とし込むかでつまずきやすい。長年の調査でそれが分かっているため、こうした支援を提供しているという。最終的なエスカレーションを受けるサポートチームは、20年以上サポートに携わってきたベテラン社員で構成され、ソフトだけでなく業務の知識も深いと説明した。

なぜ弥生にそれができるのかについて、喜多氏は二点を挙げた。一つは、登録ユーザー約400万(個人事業主と法人を含む)という顧客基盤と、そこで蓄積されたバックオフィスのナレッジである。もう一つは、約600人規模のコールセンターだ。最近のSaaSやB2Bシステムでは、高額な導入支援費用を払って優秀なカスタマーサクセスがつくケースもある。これに対し弥生では、日中に限られるものの、コールセンターが常駐しており、電話すれば誰かが出る体制がある。すぐに聞きたいというニーズに応えられる点が支援面の強みだと喜多氏は述べた。

寺前氏は、給与についてはデスクトップ時代からの30年分の運用ナレッジがあり、何より30年分の顧客の声と要望が最大のデータになっていると述べた。これまで顧客がつまずいてきた点を拾って機能に反映してきたことが、支援を可能にしているという。

AIは「手段」という立場

AIでこうした作業は大体できるのではないか、という見方についてMCが尋ねると、喜多氏は、弥生 Next シリーズにもAI関連の機能は盛り込まれていると答えた。ただし、売りにしたいのは機能そのものではなく、どれだけ業務を楽にできるかだという。

喜多氏は、中堅・大企業でも地方のユーザーでも業務のあり方は十人十色だと述べた。顧客の業務設計に関わり、コスト面で大きな負担にならない形で一社一社に伴走できる体制をつくることが重要だと考えている。そのうえで、AIはあくまで手段であり、その先にある業務のあり方で本質的な価値を提供したいと語った。

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一部の業務からでも始められる

どんな会社が導入すべきかについて、喜多氏は、ラインナップを紹介すると全部を導入しなければならないと思われがちだが、まず一つの業務から置き換える提案も十分できると述べた。

例として、3月決算の会社が2月に問い合わせてきて全面的にDX化したいと言っても、2か月後に会計を切り替えるのは難しいことが多い。その場合は、先を見据えて年末調整から新システムで行うなど、人事労務領域から提案することがある。並行期間があってもよいので4月から切り替えたいという会社には、それに合わせた提案もできるという。

基幹システムのような大がかりなシステムを持つ会社では、単体業務だけを置き換えるのは難しい場合がある。ただ、「弥生経費 Next」にはオンプレミスのパッケージ版弥生会計とAPIで連携する機能がある。そのため、弥生会計のユーザーがまず経費精算だけをデジタル化したいという要望にも応えられるという。最終的にはシリーズ全体を使ってもらうのが理想だが、まず一つの業務からという相談にも対応できる体制を整えていると喜多氏は述べた。

寺前氏は人事労務の立場から、複数の業務を一人で担っている企業にこそ導入してほしいと述べた。給与計算も入退社管理も一人で担当している企業は多く、そうした企業で連携の効果が最も発揮されるという。専任のサポート担当が顧客のやりたいことをヒアリングし、それを「翻訳」して設定に落とし込む体制もあると説明した。

誰に届けたいか――空いた時間を「先の話」に

最後にMCは、小さな法人の社長や個人事業主も含め、どんな人に届けたいかを尋ねた。喜多氏は、まず従来の顧客である中小企業に焦点を当てたいと答えた。中小企業では、1〜2人のバックオフィス担当者が法対応に追われながら業務を回していることが多い、というのが喜多氏の印象である。弥生は会計だけの会社ではなく、さまざまな業務ソフトを扱っている。そうした現場を他の領域まで含めてトータルに支援できる存在になりたいという。

MCが、会計以外の悩みでも弥生に相談してよいのかと確認すると、喜多氏は、各バックオフィス領域の専門家がそろっていると答えた。業務に関する相談なら弥生が応じる。一方、税務や労務の専門領域には法律上対応できない部分があるため、税理士や社会保険労務士を紹介するサービスも展開しているという。

寺前氏は、バックオフィス業務を一人で抱えている人の声を聞きたいと語った。インボイスや働き方改革などの制度に合わせてツールを導入した結果、ツールの間を手作業で埋める負担が生じている。寺前氏は、その間の作業をシステム連携に任せて、空いた時間と気持ちを先の話に使ってほしいと述べた。たとえば人に関わる判断、次の法改正への対応、会社をどう成長させるかといったことである。MCは、浮いた手間を会社の成長のために使うということだとまとめ、セッションを締めくくった。