投資家の目で見たAI業界の現在地:安野貴博が読む「State of AI Report 2025」7つの注目点
安野貴博の自由研究AI業界の動向をまとめた年次レポート「State of AI Report」の2025年版が公開された。安野貴博氏は、100ページを超えるこのレポートから特に面白かったという7つのポイントを取り上げ、解説している。扱うのは、レポートの性格、GoogleとOpenAIの競争、AI企業の収益化、電力不足、米中のAI人材、安全性とスピードの優先順位、AIの悪用事例である。AIがどれだけ儲かり始めているのかという明るい話題と、電力や安全性の面で限界やリスクが見え始めているという話題が、並べて語られている。
State of AI Reportとは何か
State of AI Reportは2018年から毎年発表されており、今年で7年目になる。AIの研究動向だけでなく、産業や政治への影響、安全性の状況、翌年の予測まで幅広く扱う。安野氏は、AIの技術そのものより、それが社会にどんな影響を与えているか、今後与えそうかが分かる点を評価している。
作成しているのは、AIに特化したベンチャーキャピタルのAir Street Capitalである。そのため安野氏は、ベンチャーキャピタルや投資家の視点からAIがどう見えているかを把握するには一番よい資料だと位置づけている。
Googleはコスパ改善のスピードでOpenAIを上回る
最初に取り上げたスライドは、LLMの価格あたりの性能が倍になるまでの期間、つまり「ダブリングタイム」を比べたものだ。同じ性能を得るのにかかるコストがどれだけの速さで下がっているかを示す指標である。
ある会社の性能評価データでは、Googleのダブリングタイムは3.4か月、OpenAIは5.8か月だった。別の評価であるLMArenaを使っても、Googleが5.7か月、OpenAIが8.1か月で、どちらのデータでもGoogleの方がコスパ改善のペースが速い。
安野氏は、この結果の解釈は難しいと話す。OpenAIの方が一歩先を行っている印象はあるが、改善の速さではGoogleが上回っている。これをGoogleの健闘と見ることもできるし、先行していたOpenAIの方が早く頭打ちになり始めていると見ることもできる、というのが安野氏の見方だ。一方で、どちらの企業も3〜6か月ほどでコスパが倍になっている。この傾向が続けば、AIがどんどん安くなっていくことは間違いないだろうと安野氏は述べている。
AI企業は売上を上げ始めている
2つ目の注目点は収益化である。レポートによれば、2025年8月時点でAI企業の上位16社の年間売上高は合計185億ドル、安野氏の換算で約3兆円に達している。そのうち約120億ドル(約1.8兆円)をOpenAIが占める。AI企業は巨額の投資を受けているのに本当に売上を上げられるのか、という疑問はたびたび示されてきた。安野氏はこの数字を見て、堅実に成長していると評価している。
少人数で高収益を上げる企業の台頭も示されている。年間収益が500万ドル以上、従業員50名未満、設立5年未満という条件を満たすAI企業をまとめた「Lean AI Leaderboard」には、画像生成で知られるMidjourney、AIコーディングエージェントのCursor、Mercorなど約44社が入っている。これらの企業の総収益は40億ドル以上(約6,000億円)で、従業員1人あたりの平均収益は250万ドル(約3億円)、1社あたりの平均従業員数は22人である。
AI時代にはソフトウェアを作るのに大勢の人が要らなくなり、少人数のチームで大きなビジネスができるようになるという議論は、安野氏自身もこれまで語ってきた。実際の数字で従業員50名未満の企業がここまで成長しているのを見て、安野氏は「すごいこと」だと述べている。
成長の速さについての比較もある。2010年代のスタートアップ業界で「黄金のビジネスモデル」と呼ばれてきたSaaS企業と比べると、AI企業は約1.5倍の速さで成長しているという。さらにAI企業の中でも、ChatGPT登場後の2022年以降に設立された企業は、2020年以前に設立された企業と比べて、一定のARRに到達するまでの期間が4.5倍速い。これまで速いと言われてきたSaaS企業のスピード感から、AIネイティブ企業はもう一段上がっている、と安野氏は受け止めている。
電力不足という物理的な制約
3つ目は電力の問題である。レポートは各国の発電量を比較している。1位は中国で約1万TWh、アメリカは約4,400TWhで2位だ。アメリカの発電量は中国の約40%、日本は2024年のデータで中国の約10%にとどまる。
安野氏が強調するのは、中国がこの水準に達したのはここ20年のことだという点だ。2005年の中国の発電量は約2,500TWhで、20年間で約4倍に伸ばしたことになる。同じ期間にアメリカは約4,000TWhのままでほとんど変わっておらず、日本は2005年の約1,153TWhから、むしろ少し減っている。日本については原子力発電所の事情もある、と安野氏は付け加えている。
そして、世界2位の発電量を持つアメリカですら電力が足りなくなるのではないか、という指摘がある。アメリカのエネルギー省(DOE。安野氏は日本でいうエネルギー庁のような組織と説明)の調査によれば、2030年までに電力の需給バランスが崩れ、停電の頻度が現在の100倍になってもおかしくないという。アメリカではAIのデータセンターが次々と建設されているため、こうした問題が起きるだろうとされている。
電気はAIだけのものではないので、需給が崩れれば停電という形で一般市民の生活にも影響が及び、電力価格も上がる。AI企業がSaaS企業の1.5倍の速さで成長する一方で、その成長を支える電力という物理インフラの方はかなり限界に近づいているのではないか。そうなると、AI業界がこのまま成長を続けられるのかが問題になってくる、と安野氏は指摘する。
米中で変わるAI人材の流れ
4つ目は、アメリカと中国でAI人材の扱いが変わってきているという話だ。アメリカは主に政治的な理由で外国籍人材の受け入れを絞りつつあり、中国は国内でAI人材を育てられるようになってきている、というのがレポートの示す構図である。
アメリカ側の例として安野氏が挙げるのは、ビザ取得に10万ドル(約1,000万円)の手数料を導入するという発表だ。また、アメリカの大学を卒業した人が数年間国内で働けるOPTという制度についても、今後維持されるかどうか分からなくなっている。アメリカが外国籍の理系人材を採用することは、非常に難しくなりつつある。
中国側については、DeepSeekの論文著者の経歴を調べた人がいる。その調査によれば、著者の55%はアメリカとまったく関係がなく、中国で教育を受けて中国を拠点にしている人たちだった。アメリカと何らかのつながりがあったのは24%にすぎず、そのほとんどもアメリカでの滞在は1年未満だったという。中国は国内でAI人材を育てられるようになりつつある、とレポートは示唆している。
アメリカには外国人材が入りにくくなり、中国では国内のエコシステムができつつある。このレポートを読んで安野氏は、今後は中国がこれまでより多くの優秀なAI人材を確保できるようになってもおかしくないと考えたという。
安全性よりスピードが優先されている
5つ目は、AI企業が安全性よりスピードを重視しているのではないかという報告だ。主要なAI企業が安全性に関する約束を撤回したり、力の入れどころをスピードの方へ移しているのではないかとされ、レポートでは4つの例が挙げられている。
1つ目はxAIである。AIソウルサミットで安全性の取り組みを更新していくと表明し、その草案を3か月以内に出すとしていたが、実際に出るまで半年ほどかかった。2つ目はAnthropicで、独自の安全性基準「ASL(AI Safety Level)」を定義していたが、その基準について約束していたことが実行されなかった部分があったという。3つ目はGoogle DeepMindだ。Gemini 2.5を出した際、モデルのバイアスや倫理的懸念を体系的にまとめた文書である「モデルカード」を用意する前にモデルを公開した。具体的な内容を含むモデルカードが出たのは、Gemini 2.5 Proの公開から2か月後だった。4つ目はOpenAIで、競争が激しいためにモデルの安全性評価を数日程度しか行っていないと、Financial Timesが2025年4月に報じている。
では、公的機関などの外部組織が安全性を評価できないのか。各国にはAI Safety InstituteやAI Security Instituteといった組織があるが、投じられている資金の規模がまったく違う。推定では、アメリカ国内の主要なAI安全組織約11団体の2025年の支出は合計で約200億円だった。これに対し、主要なAI企業は十数兆円を使っている。外部の安全組織が1年間に使う金額よりも多くを、AI企業は1日の開発で使っており、太刀打ちできないと安野氏は述べる。
AIにできることが増え、振る舞いも複雑になっていく中で、誰がどうやって安全性を担保するのか。これは今後考えていかなければならない課題だ、と安野氏は話している。
北朝鮮の工作員がAIで米大企業に潜り込む
最後の注目点は、安野氏自身も衝撃的だったというAIの悪用事例である。Anthropicは2025年8月27日頃に「Threat Intelligence Report」(脅威に関するレポート)を公開した。その中で、技術スキルの低い北朝鮮の人物がAIモデルのClaudeを使い、フォーチュン500に入るテック企業にリモートワークのエンジニアとして勤務していたことが明らかにされた。
レポートの記載によれば、この北朝鮮のオペレーターは、デバッグやコードを書くこと、質問に答えることがClaudeの助けなしではまったくできないレベルだった。それでもAIの支援を受けて技術面接を突破し、技術があるように見せかけて、全米トップ500の企業で働けていたという。
安野氏の説明では、スパイにとってトップ企業に潜入するために必要なスキルを身につけるのは本来とても難しい。それがClaudeのようなAIを使うことでできてしまっている。新しいタイプのセキュリティリスクが生まれている、というのがこの事例の指摘である。
結びに
安野氏は、AI企業が儲かり始めていること、電力の需給が逼迫しつつあること、スパイがAIを使ってリモートワークで企業に入り込むという新しいセキュリティリスクなど、さまざまなことが同時に起きていると振り返った。そのうえで、関心を持った人には元のレポートを読むよう勧めている。投資家の視点でまとめられたこのレポートからは、AIの成長の勢いと並んで、電力という物理的な制約や、安全性を誰が担保するのかという未解決の問いが浮かび上がっている。
どうもこんにちは。安野貴博です。本日は、AI業界で動向がよくまとまったレポートの『State of AI Report』っていうのがあります。このState of AI Reportの2025年版が出たので、その中の注目ポイントをかいつまんで解説していきたいと思います。
今日は7つのポイントについてお話しします。まず最初に、State of AI Reportっていうのは何か?2つ目に、Google vs OpenAIの競争は今どうなっているのか。3つ目に、AI企業が収益化できていっているのか。4つ目に、電力不足の問題って今どうなっているのか。5つ目に、米中のAI人材はどうなっているのか。6つ目に、安全性とスピードはどう優先されているのか。7つ目に、AIが悪用された事例。ここら辺が面白かったものなので、この7つについてお話ししてまいります。
まず1つ目のポイントは、State of AI Reportって何なんですか?という話なんですけれども、これは2018年から毎年毎年発表されておりまして、今年で7年目になります。で、内容も、ただAIの研究の話をしてるだけじゃなくて、産業にどういう影響が出てるんですか?政治にどういう影響が出てるんですか?安全性はどうなってますか?来年どうなると予測してますか?こういったところまで結構幅広く取り扱ってくれているので、ただAIの技術の話だけじゃなくて、それが社会にどういう影響をもたらしそうか、今もたらしているのかっていうことが分かるレポートになっています。
で、これを書いている人は誰かと言うと、AI特化のベンチャーキャピタル、Air Street Capitalっていう会社が作ってるものでございまして、なのでベンチャーキャピタルとか投資家の視点からAIってどう見えてるんですかっていうのを把握するには一番いい資料になってると思います。これは中身としてはもう100ページ以上ある結構分厚いスライドのまとまりになってるんですけれども、その中でも特にこれは結構面白かったなっていうポイントをまとめたので、早速見ていきたいと思います。
まず注目したポイントのスライドはこちらでございます。このスライドが何を言ってるかと言うと、GoogleのLLMはOpenAIのLLMと比べても早いスピードで、コストパフォーマンス、同じ性能を達成するのに対してどれだけコストがかかっているのかっていうコスパを改善できているよということでございます。
1個目のこの図が何を示してるかと言うと、LLMの価格に対する性能が倍増にかかる期間、これはダブリングタイム、ダブルするダブリングの時間を分析してるんですけど、ある会社の性能評価データを使うと、Googleはダブリングタイムが3.4ヶ月でした。で、一方でOpenAIは5.8ヶ月でしたと。で、実際にLMArenaっていうまた別の評価であっても、Googleは5.7ヶ月、OpenAIは8.1ヶ月と。これでいろんなデータを見た時に、Googleの方がコスパは結構有利になっている、早く進んでいるということが分かります。なので、OpenAIの方が一歩先を行ってるイメージはあるんですけれども、コスパを改善するスピードで見るとGoogleの方が今のところ早いスピードを出せているよということですね。
で、これは解釈が結構難しいなと思うんですけれども、Googleが早く改善できているね、いいねっていう風に捉えるのか、それともOpenAIがちょっと一歩先を行ってたので、そういう意味で頭打ちになり始めるのもちょっと早く起きているのか、そこら辺はいろんな解釈ができるポイントかなと思ってます。ただこのダブリングタイム、そのコスパが倍になる時間っていうのが、GoogleにしてもOpenAIにしても3ヶ月とか6ヶ月でそのコスパが倍になっていっているので、この傾向が続けばAIってどんどん安くなっていくということは間違いないのかなと思います。
気になったスライドの2つ目はこちらです。ドン。こちらのスライド。AI企業が売上を上げ始めているということが分かります。2025年の8月時点で、AI企業の上位16社だけで年間売上高が185億ドル、つまり3兆円くらいですね。3兆円くらいになってるよという図でございます。で、その大半、この赤いところですけど、赤いところ約120億ドル、1.8兆円くらいはOpenAIが作っているものですよということでございます。AI企業って、すごい多額の投資を受けている割にちゃんと売上を上げることができるんですかっていうことがすごく言われてたんですけど、これを見ると、ちゃんと堅実に成長していってるねということがわかります。
で、また、年間の収益が500万ドル以上、従業員50名未満、設立5年未満のAI企業、例えば画像の生成ですごい有名な最初の会社ですけど、Midjourney、あとはAIコーディングエージェントのCursor、Mercor、そういった44社くらいある「Lean AI Leaderboard」っていうものがあります。で、これらを見ると、総収益が40億ドル以上、6000億円くらいで、従業員1人あたりの平均収益が250万ドルということで、これも3億円くらいかな。なので企業あたりの平均従業員数は22人なんですけど、このリーダーボードにいる人たちは、少人数で高収益なAI企業っていうのが成長しつつあるということが分かります。
これは、AI時代になるとソフトウェアを作るにも大量の人がいらなくなるので、少人数のチームですごい大きなビジネスもできるんじゃないかっていうことがいろんなところで言われていますし、私も言ってきましたけれども、実際に数値を見てみると、この従業員50名未満の会社がこれだけ成長できてるっていうのは、すごいことだなと思いますね。
で、さらにAI企業の成長速度はどうなのかということの比較もあります。こちらですね。従来のSaaS、ソフトウェア・アズ・ア・サービスって呼ばれるような業態のスタートアップが、2010年代からこのスタートアップ業界の中ではもう黄金のビジネスモデルだと言われていたわけですが、この従来すごいと言われていたSaaS企業とAI企業を比べると、実はAI企業の方が1.5倍くらい急速に成長をしているよという、そういう数値も出てきています。
で、さらに、このAI企業の中でも2022年以降、いわゆるChatGPTが出た以降に設立された企業っていうのは、2020年以前のBefore AIの時代に設立された企業と比べて、ARRが一定の売上を達成するまでの期間が4.5倍早いんだと言われてます。このAIネイティブ企業のスピード感と、それまで早い早いと言われていたSaaS企業のスピード感。これもまたすごく一段階ギアが上がっているということが分かります。すごい話ですよね、これは。
続いて紹介したいのはこちらのスライドでございます。これは、電力不足の問題がいよいよ深刻になってくるんじゃないかということを示唆していまして、まず電力をどれだけ発電しているのかっていうことを各国で比較しているんですけれども、世界でアメリカっていうのは実は1番ではなくて2番目に電力の発電量が多い国で、4400TWh、テラワットアワーっていう単位でどれだけ発電してるんですかっていうのを示したりするんですが、この4400TWhなんですが、中国が実は1番で、中国は1万テラワットアワーです。ちなみに日本は、2024年のデータで1020TWh、つまり中国の40%くらいしかアメリカは発電してないし、中国の10%くらいしか日本は発電してないということです。
ちなみに、中国がこれだけ発電量を増やしてきたのって、この20年なんですよね。で、20年前はどうだったんですかと言うと、2005年には中国ってまだ2500テラワットアワーしかなかった。で、この20年で2500から1万、4倍くらいに発電の量っていうのをぐっと引き延ばしてるんですよね。で、その20年の間、アメリカはそんなに変わってないです。4000TWh。日本も1153TWhということで、日本の場合はちょっと減ってすらいる。これは原子力発電所の話とかもありますが、そんな中で中国はこれを4倍にしていたということです。
この発電力が2位のアメリカですら、4000TWhあるアメリカですら発電量が不足するんじゃないかっていうことが指摘されています。アメリカのエネルギー省、DOEっていう『シン・ゴジラ』で暗躍してた組織があるんですけれども、日本で言うエネルギー庁みたいなもんですね。このDOEの調査によると、もう2030年までにこの需給のバランスってのが崩れて、停電がめっちゃ起きまくるんじゃないかと。それこそ今の100倍頻発してもおかしくないという報告をしていたりするようです。
で、アメリカこそAIのデータセンターがガンガンガンガン作られていっているので、こういった問題は起きるでしょうと。で、もちろん電気ってAIだけに使ってるわけではないので、こういうところで需給のバランスが崩れると、停電っていう形で、アメリカの一般市民の生活にまで影響が及ぼされる、あるいは電力の価格も上がりますよね。需要が上がると価格も上がるものなので、そういった中でこの電力の問題っていうのはもうかなり深刻になってきていると思います。なので、AI企業がSaaS企業よりも1.5倍早くガンガン成長していってる中、その成長を支えてる物理インフラの電力っていうインフラの方がもう結構限界まで来ているんじゃないか。で、そうするとAI業界ってこのまま成長し続けられるのかどうなのかっていうことが問題になってくるということが見えてまいります。
はい。次に紹介したいのはこちらでございます。アメリカと中国のAI人材の取り扱いが変わってきてるよねという話ですね。まずやっぱりAIを作る時に、AI人材、AIを作ることができる人材っていうものをどうやって確保するのかということなんですが、アメリカは外国籍の人材を主に政治的な理由でどんどんどんどん入ってこれなくしようとしています。で、中国は今まで、自分たちの国の中でAI人材を育成することができるのかと言われてましたが、これができてきてるよという話があります。
ちょっと具体的に見ていきます。まず、アメリカで海外の外国籍の人材が入りにくくなっているという話なんですが、例えばビザを取得するのに10万ドルの手数料を導入するっていう発表があったりとか。10万ドルってすごいですよ。1000万円ぐらいなんで、すごい量の手数料が導入されるという話とか。あとは、アメリカの大学を卒業したらOPTっていうプログラムがあって、数年間アメリカの国内で働くことができる、そういったシステムがあったんですが、これも今後同じことが維持されるのかどうか分からなくなってきています。なので、アメリカの国内で理系の人材を外から、外国籍の人材を取るっていうのが非常に難しくなりつつありますという話が1個。
でもう1個の話が、中国が自分の国の中でAI人材を育成できてきているのかという話なんですが、これを見る時に、DeepSeekのその論文の著者が211人いたらしいんですけど、この著者211人がどこからどう来てるのかっていうのを調べた方がいます。で、この調査をしたところ、211人のうち55%は完全にアメリカとは関係なく、中国で教育を受けて中国を拠点として生活をしている人たちだったと。で、さらにアメリカと何らか関係があったのがその211人のうち24%しかいなくて、しかもそのほとんどはアメリカには1年未満の滞在しかしたことがないということが分かったと。なので、中国は国内でAI人材っていうのを育てられるようになりつつあるんじゃないかということが示唆されているという話でした。
このアメリカでは外国の人材っていうのが入りづらくなってきていて、そして中国は国内でエコシステムが作られつつあるということは、今後、中国が結構いいAI人材っていうのを多数確保できるようになる。今までと比較してより多くの人を確保できるようになってもおかしくないなと、このレポートを見て私は思いました。
はい、次に注目するポイントはこちらです。AIの安全性よりもスピードの方が重視されているんじゃないのかという、そういう報告です。これを見てみると、主要なAI企業が、安全性をこうしていきますよっていうことを約束していたものを撤回したりとか、その力の入れ具合がどんどんどんどんスピードの方にシフトしていっているんじゃないかという報告があります。
これは具体的に4つくらい例が挙げられてるんですけど、まずxAIの例で見ると、xAIは、2月のAIソウルサミットで安全性をどんどんどんどんアップデートしていくっていうことを言ってたんですけど、その草案が出てくるのが3ヶ月以内って言ってたのが、実際は半年後くらいになってしまったっていう話であるとか。あと2つ目、Anthropicの例なんですが、Anthropicは、ASLという独自のAIの安全性基準、AIセーフティレベルっていうものを定義していたんですけれども、AIの安全性基準について約束していたことが、実際はやられなかったりしたと。
3つ目にGoogleのDeepMindなんですけれども、GoogleもGemini 2.5を出した時に、AIに関するモデルカードと言われる、どういう風なバイアスがあるのか、どういう風な倫理的な懸念があるのかっていうのを体系的にまとめたドキュメント、モデルカードって言うんですけど、それを公開する前に実際にモデルを公開したと。なので、それの公開が遅れてしまったんですよね。実際にその具体的な内容が含まれたモデルカードが公開されたのは、Gemini 2.5 Proが公開されて2ヶ月後のことだったということです。
4つ目、OpenAIにも色々なことが言われていまして、競争が激しいためにAIモデルの安全性の評価っていうものを実は数日程度しかやっていないんだということを、Financial Timesが今年の2025年の4月、そういったニュースを出していたりしました。こういった形で、xAIもAnthropicもOpenAIも、なかなか安全性に対する投資とかをタイムリーにすることができていないという現状が、このレポートでは指摘されています。
じゃあ公的機関だったり他の機関がAIの安全性を評価することができないか。例えばお詳しい方だと、AI Safety Institute、AI Security Institute、こういったものが各国にあるということをご存知の方もいらっしゃると思いますが、これは投じられてる金額の量っていうのがもうめちゃめちゃ違うので、なかなか難しいんじゃないかということも言われています。
推定では、アメリカ国内の主要なAI安全組織、AIのセーフティに関する組織が11団体くらいありますと。で、この11団体が使った2025年の総支出額が大体200億円だったのに対して、主要なAI企業がどれくらい使っていたかと言うと、10数兆円使ってるので、もうめちゃめちゃ桁が違うと。で、この外部の安全組織が1年間に費やす金額よりも多くの金額を、そのAIの企業っていうのは1日の開発で消費しているので、これはもう太刀打ちができませんねと。
じゃあ、誰が安全性の評価をするんですか?これからどんどんどんどんAIってできることが増えて、振る舞いとかも非常に複雑になっていくんだけれども、その安全性をどういう風に担保していくのがいいんでしょうねっていうのは、これから考えていかなくちゃいけない話題になると思います。
次のポイントはこちらです。これは私も結構衝撃的な事例だったので紹介したいなと思うんですが、AIが犯罪やスパイ活動に悪用されているんじゃないか、悪用され始めているんじゃないのかという話です。何かと言うと、Anthropic社が2025年8月27日頃に公開したThreat Intelligence Reportっていうのがあります。スレットだから脅威ですね。脅威に関するレポートっていうのがあるわけですけれども、その中で、技術スキルが低い北朝鮮の人が、AIモデルのClaudeを活用して、Fortune 500のテック企業、そのピカピカのIT企業ですよ。IT企業にリモートワークのエンジニアとして働いていたよということが明らかになったというものです。
これは結構すごい話だなと思うんですけど、一応この記載によると、この北朝鮮のオペレーターの人は、問題をデバッグしたりとか、コードを書いたりとか、何か質問に答えたりするのは、もうClaudeの助けなしでは全くできないレベルだったと。なんだけれども、AIの支援を受けながらこの技術面接を突破して、その技術があるように見せることができて、全米のトップ500の会社で働くことができていたと。これはある意味、スパイの人的には、トップ企業に潜入するための必要なスキルみたいなのを獲得するのはすごい難しいわけですけど、それをClaudeとかAIを活用することによってできてしまっているということで、新しいタイプのセキュリティのリスクが生まれてきているよという指摘でございました。
はい。ということで、私が気になったポイントについてご説明してまいりました。今日は結構パラパラといろんなトピックについてお話ししましたが、例えばAI企業が儲かり始めているぞという話とか、電力がどんどんどんどん需給が逼迫してくるんじゃないかという話。あとは、Claudeを使ってスパイがリモートワークで参戦してくるという新しいタイプのセキュリティリスクも生まれているよという話。色々なことが起きています。
これはぜひ、元のレポートに興味を持った方がいたら読んでください。あ、こういうことも起きてるんだなっていうのが非常に勉強になるものでして、なのでこれはぜひウォッチしていただくといいんじゃないかなと思います。そして、このチャンネルもぜひ引き続きウォッチしていただきたいなと思ってて、今日の動画が面白いなと思ったら、チャンネル登録と高評価をよろしくお願いいたします。では、では。
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