AI失業は本当に起きているのか:安野貴博が3つの仮説と予測・報告データを比べる
安野貴博の自由研究AIの能力が上がるにつれ、「AIによって仕事が失われるのではないか」という議論が各所で盛り上がっている。安野貴博はこの動画で、この問いに対する見方を3つの立場に整理した。そのうえで、経済機関の「予測」と足元の「報告」をアメリカと日本に分けて比較している。安野の結論は「先のことは分からない」というものだ。ただし、統計上のシグナルがまだ弱くても変化は急に始まりうるので、それを前提に備えるべきだと述べている。動画は「2026年5月編」として収録された。
仮説1:ダリオ・アモデイの「エントリーレベルのホワイトカラーが影響を受ける」
安野が最初に取り上げるのは、AIを作る側の見方である。Anthropic社のダリオ・アモデイ氏(安野は「社長」と紹介)は2025年に、1〜5年以内にエントリーレベルのホワイトカラー職の半分ほどが影響を受け、失業率が10〜20%程度になるのではないかと発言した。
安野はこれを「分かりやすい見方」の一つと位置づけ、その中身を次のように説明する。AIの影響を受けるのは、現場仕事をするブルーカラーよりもオフィスで働くホワイトカラーである。ホワイトカラーの中でも、難しい判断を担う経験豊富なシニア層はあまり影響を受けない。影響を受けるのは、リサーチ業務や事務作業を多く担うジュニアレベルの人たちだ、という見立てである。
発言から1年ほど経った時点で、失業率は10〜20%には達していないと安野は指摘する。アメリカの失業率は4%程度、日本は2%台であり、10〜20%というのはかなり大きな数字だ。今のところそうした状況にはなっていない、というのが安野の確認である。
仮説2:サム・アルトマンの「AIウォッシング」
2つ目の見方として安野が紹介するのは、OpenAIのサム・アルトマン氏の発言である。アルトマン氏は、別の理由によるレイオフやリストラをAIのせいにして正当化する「AIウォッシング」が起きているのではないかと述べた。
安野の説明では、足元で多くのテック企業が大規模なレイオフを行っており、それをAIのせいだと言う人がいる。これに対してアルトマン氏は、2020年のコロナ禍で多くの企業が採用を大幅に増やしており、今のレイオフはその反動であってAIはあまり関係ないはずだ、という立場をとる。何でもAIのせいにしてレイオフが片付けられているのではないか、という問題提起である。安野はこの見方を、今後レイオフや失業率の上昇が起きたとしても、実際には別の要因によるものをAIのせいだと言っている可能性がある、という指摘としてまとめている。
仮説3:ジェボンズのパラドックス
3つ目は、安野が「結構面白い」と言う見方である。1865年、イギリスの経済学者ジェボンズは石炭問題を研究していた。産業革命のさなかの19世紀イギリスでは石炭が大量に使われていた。研究開発が進んで石炭の利用効率が上がり、同じ仕事に必要な石炭は少なくて済むようになった。ところが、これほど安く石炭に仕事をさせられるなら自分の分野でも、自分の会社でも、この地域でも使いたいという需要が次々に生まれた。その結果、最終的な石炭の消費量はかえって増えた。効率化するほど消費が増えるというこの現象が、ジェボンズのパラドックスである。
同じことがAIでも起きるだろう、というのがこの立場だ。AIによって知的労働のコスト、たとえばソフトウェアの開発コストが下がる。素直に考えれば、100人でやっていた仕事が10人でできるようになり、90人が不要になるように見える。しかし、これまで大変だったソフトウェア開発が安くできるなら、「うちでもこのアプリを作ってみよう」「こういうソフトウェアも作ってみよう」という需要がさまざまな用途や業界で生まれる。結果として、むしろエンジニアがもっと必要になるのではないか、という見方である。
安野はこれら3つを並べて、全く違う見方が混在していると整理する。AIでできることが増えればその分野の雇用は失われるという見方。雇用が失われているように見えても、実際は取りすぎた人員を減らしているだけでAIは過大に宣伝されているという見方。効率化によって需要が増え、エンジニアがもっと必要になるという見方である。
予測データ:主要機関の見通しは割れている
次に安野は、主要な経済機関がどのような数字を出しているかを手書きのボードで紹介する。
IMF(国際通貨基金)のレポートによると、世界の雇用のおよそ40%がAIの影響を受ける。安野は、ここでいう「影響を受ける」は失業と同じ意味ではないと注意を促す。生産性が上がる、別のやり方でできるようになる、といったことも含む。先進国ではこの割合が約60%に上がる。そのうち約27%は、AIに代替されやすく、需要の減少や賃金低下のリスクがある仕事とされている。残りの約33%は、AIが仕事を楽にしたり働き方を変えたりする補完的な影響を受ける仕事とされる。安野はIMFの見方を「割と打撃的な世界観」と評している。
ゴールドマン・サックスの2023年のレポートは、仕事の約3分の2がAIの影響を受け、約4分の1が代替されるとしている。この比率から計算すると、約3億人が代替されるという示唆になるという。
一方、世界経済フォーラム(WEF)のレポートは、安野によれば「真逆のこと」を言っている。このレポートには技術ごとに、減る仕事と増える仕事の見込みが並んでいる。AIと情報技術の分野では、1100万人の雇用が生まれ、920万人の職が失われ、差し引きで約180万人のプラスになるとされる。すべての技術を合計すると約7800万人の仕事が増える見込みだという。つまりWEFは、AIの直接的な影響だけを見ても仕事は増えると予測している。
安野は、経済の専門家たちの予測は方向性が「微妙に違っている」「割れている」とまとめる。大きく減ると言う機関もあれば、AIで仕事が増えると言う機関もある。
報告データ:アメリカでは若年層と単価に兆候
では足元では何が起きているのか。安野は、アメリカですでに影響が出始めているのではないかと示唆する報告を3つ紹介する。
1つ目はスタンフォード大学の調査である。AIの影響を受けやすい職種を調べたところ、22〜25歳の若い層で、2022年以降に仕事の数が13%減っていたという。安野は、3年間で13%減というのはかなり大きく、エントリーレベルの若い人の仕事にはすでに影響が出始めているのではないか、と読み取っている。
2つ目は、アメリカのシンクタンクであるブルッキングス研究所の数値である。生成AIに代替されやすいとされるフリーランスの職種で、新規契約数が2%、売上が5%減っていたという。安野はこれを、仕事の単価にはすでに影響が出始めている兆候として紹介している。
3つ目はロサンゼルス・タイムズの記事で、スタンフォード大学でコンピューターサイエンスを専攻した学生が、卒業後に就職難に直面しているという内容だ。安野はこれを「結構衝撃」と述べる。一昔前なら、情報科学で一流の大学の一つであるスタンフォードを卒業して仕事が見つからないことは想像されていなかったからだ。
これらを踏まえた安野の現状認識はこうである。大量失業はまだ起きていない。ただ、若年層に絞ると影響が出ているのではないか、あるいは仕事にあぶれるほどではなくても生成AIの影響を受けやすい職種では単価が下がり始めているのではないか、という報告がちらほら出てきている。これが今のアメリカの状況だという。
日本の予測:失業より人手不足
安野は、日本は調べるほど「すごく特殊な国」だと言う。AIがないと社会が回らない、という状況にあるからだ。
予測を見ると、リクルートの推計では2040年までに約1100万人の人手が不足する(安野は「1000万人くらい」とも言い換えている)。仕事が足りないのではなく、仕事はあるのに働ける人が足りないということだ。安野は、あと15年ほどで1000万人規模が足りなくなるのは「結構恐ろしい数値」であり、AI失業よりも人手不足の方が深刻だと述べる。パーソルの推計では、年が5年ずれるが、2035年までに384万人が不足するとされる。両者の数字の大きさは違うものの、人手が不足すること自体はほぼ間違いないだろう、というのが安野の見方である。この点で、日本はアメリカとかなり違う状況に置かれている。
日本の報告:シグナルはまだ弱い
足元の日本については、大きな変化が起き始めている段階にはまだ至っていない、と安野は見ている。
新卒採用では、共同通信の調査で、2026年に新卒採用を前年より「減らす」と答えた企業が、5年ぶりに「増やす」と答えた企業を上回った。安野は、新卒の売り手市場が少し緩和されたと言えるが、数値が劇的に変わったわけではなく「一服した」程度だとする。どこまでがAIの影響かといえば、まだそれほど大きくないと見てよいのではないか、という評価である。
配置転換に触れる記事も出始めている。例として、みずほフィナンシャルグループが10年間で約5000人を少しずつ異動させていくというニュースが挙げられた。安野は、日本には解雇規制があり、アメリカの企業のようにいきなり解雇することはできないと指摘する。そのため大規模なリストラは起きにくく、リスキリングして別の部署に移ってもらう形で進むのではないか、と見ている。
日本の新卒採用の変化は、エントリーレベルの職種でAIの影響が出始めたとも読めるし、景気循環の一局面として5年ぶりにそうなっただけとも読める。統計上は強いシグナルとして表れていない、というのが安野の現状評価である。
最近聞いた話:「ぎゅられる」前にインターンへ
データとは別に、安野は最近AI企業の人から聞いた話を紹介している。その会社のインターンには、これまで大学院生ばかりが来ていた。ところが今年は学部生が多いという。AIや情報科学を学ぶ理系学生は大学院に進む割合が高いので、1年ほどで急に学部生の比率が増えたのは不可解な話だった。
理由を尋ねると、応募してくる学部生たちは、ソフトウェアエンジニアの仕事がすごい勢いでなくなると考えているらしい。その界隈では、シンギュラリティによって仕事を奪われることを略して「ぎゅられる」と言うそうだ。自分たちも「ぎゅられる」と思っているので、大学院の2年間を待たずに、職が残っていて入れるうちに早めにインターンに行っておこう、という行動が起きているという。
安野は、こうした考えがどれほど広がっているのか、実際にどうなるのかは分からないとしつつ、そう考え始める学生が出てきていることは間違いないだろうと述べている。
安野の見解:急に跳ね上がる可能性に備える
最後に安野は自身の見解を述べる。前置きは「全然わからない」である。そのうえで一つ挙げられるのは、今は統計的なシグナルが強くなくても、変化が急速に始まる可能性はあるという点だ。今年が去年とあまり変わらなくても、来年には企業が一気にギアを変えて新卒採用をしなくなるというシナリオもありうる。足元のデータは見つつも、来年がその延長線上に来ると決めつけず、数値が突然跳ね上がる可能性もあると考えておくことが大事だという。
安野は、自分もこの先どうなるかは分からないと繰り返す。そのうえで、数値が跳ね上がったときにも対応できるよう、国としては政策をしっかり作って準備しておくべきであり、個人としても跳ね上がったときにどうするかを考えながら行動する必要がある、と締めくくった。こうした数値は今後もさまざまなレポートを見ながらウォッチし続けたいという。
AIによって仕事が失われてしまうんじゃないのかという議論が、いろんなところで盛り上がっております。
ジェボンズのパラドックスという現象がありまして、AIによっていろんな知的労働のコストって下がっていくわけですね。例えばソフトウェアを作るための開発コストも下がっていく。で、結果としてもっとエンジニアが必要になるんじゃないか。
どうもこんにちは。安野貴博です。本日はですね、AIって実際どうなのというテーマでお話してみたいと思います。皆さんもご存知の通り、AIがかなりいろんなことをできるようになってきている中で、AIによって仕事が失われてしまうんじゃないのか、AI失業してしまうんじゃないのかという議論が、いろんなところで盛り上がっております。これですね、いろんな見方が存在するので、実際どうなんだろうということを今日は振り返って見てみたいなと思っております。
まず最初に業界の、例えばAIを作っている会社の人はどういうことを言ってるんだろうかというところから見ていくんですが、一番上こちらですね。Anthropic社の社長のダリオ・アモデイさんは何と言っているかと言うと、1から5年以内にエントリーレベルのホワイトカラーの職の半分くらいが影響を受けるんじゃないか。そして失業率が10%から20%くらいになるんじゃないかということを、ダリオ・アモデイさんは去年言っていました。
このダリオさんの見方が一つ分かりやすい見方かなと思います。AIがいろんなことをできるようになってきているので、特に現場仕事をしている人というよりかは、オフィスで仕事をしている人たち、いわゆるホワイトカラーですね、ブルーカラーではなくてホワイトカラーの人が影響を受ける。で、ホワイトカラーの人たちの中でも、割と難しい仕事、難しい判断をしているシニアの人たち、年次が上、経験がある人たちはあんまり影響を受けなくて、割とリサーチ業務であるとか、事務作業とか、そこら辺を多くしているジュニアレベルの人が影響を受けるんじゃないかという、これが一つの見方でございます。
ダリオ・アモデイさんは去年2025年にこの発言をされていたらしいんですけど、1年経った今ですね、まだ失業率は10%、20%台にはなっていません。これ結構高い数字なんですけど、10%、20%にはなっていないというところでございまして、まだこういった状況にはなっておりません。ちなみにですね、アメリカの失業率が4%ぐらいで、日本は2%台ということで、失業率10%から20%というのはかなり大きな数字ですし、今のところそんなことにはなっていないということでございます。
これとは違う、よく巷で溢れているAI失業とは違うものの見方として、OpenAIのサム・アルトマンさんが言っているのはこちらになります。別の理由によるレイオフ、リストラですね。別の理由によるリストラをAIによって正当化する「AIウォッシング」というものがされているんじゃないのかという発言があります。
これは何を言っているかと言うとですね、足元でいろんなテック企業が大規模なレイオフをしているんですよね。で、これをAIのせいだと言っている人がいるんだけれども、いやいや待ってくれと。例えばですね、2020年にコロナがありましたけれども、そのコロナ禍の中でかなり多くの企業がですね、採用を踏んだんですよね。採用をしまくったと。で、その反動が今来ているのでレイオフをしているのであって、あんまりAIは関係ないはずだろうと。あれもこれも何でもAIのせいでレイオフというものが片付けられてしまっているんじゃないかというのを、サム・アルトマンさんが言っています。
なので現実問題、レイオフがあったり失業率が上がるってことは今後あるかもしれないけど、それって実は別の要因で起きていることをAIのせいだと言っているかもねというのを、サムさんは言っております。これもまたちょっと別の見方ですね。
で、さらにもう一個、別の見方があります。これ結構面白いんですけど、ジェボンズのパラドックスという現象がありまして、AIによっていろんな知的労働のコストって下がっていくわけですよね。例えばソフトウェアを作るための開発コストも下がっていくと。で、この時に普通に考えてみると、今まで100人でやっていた仕事を10人でできるようになるんだから、90人は必要なくなるじゃないかというのが分かりやすいものの見方なんですが、実は過去に同じような技術によって効率が上がったけれども減らなかった事例というのが色々あるんだと。
1865年に、イギリスの経済学者のジェボンズさんという人がいたんですけど、ジェボンズさんが石炭問題について調べていました。当時19世紀のイギリスでは、産業革命真っ只中というところで石炭がガンガン使われていたんですね。で、研究開発も色々進んでいって、石炭を同じだけ使わなくても効率が上がったということが起きました。素晴らしいと。これで必要な石炭の量が少なくなると思いきやですね、それによって何が起きたかと言うと、こんなに安く石炭にこの仕事をさせられるんだったら、うちの分野でももっともっと使いたいよという分野が色々発生して、うちの会社でも使いたい、この地域でも使いたいというのが色々発生し始めて、結果として需要が増えました。で、需要が増えたことによって、最終的に使われる石炭の量も増えました。
なので、効率が上がったら普通は石炭の消費量って減るように聞こえるんですけど、その当時、石炭はより消費されるようになったと。効率化すればするほど、より消費されるようになった。これがジェボンズのパラドックス。
で、これと同じ状況がAIでも起きるだろうと。簡単に言えば、ソフトウェアを作るためのコストが下がったと。だけどソフトウェアが今までこんなに大変だったものが、これくらいでできるのであれば、じゃあうちのこのアプリでも作ってみようとか、こういうソフトウェアも作ってみようみたいな感じでですね、どんどんいろんな用途、いろんな業界でより需要が上がって、結果としてもっとエンジニアが必要になるんじゃないかというのが、このジェボンズのパラドックスの話です。
で、大きく言うと3つの見方があるわけですよね。ダリオさんみたいに、AIでできることが増えるのであれば、この部分に関しては雇用が失われるでしょうと。いやいや違うんだと。2つ目は、雇用が失われている、あるいは失われそうという観測があるけど、実はAIが過大宣伝しているだけで、他の取り過ぎだったものを減らしているだけだよという目線もある。で、3つ目は、いやいやAIによってどんどん効率化が進んでいくと、よりいろんなところで使いたいとなるので、ソフトウェアエンジニアの量も必要になるなという、3つ全く違う見方が混在しております。
ということで、じゃあデータで見た時に、いろんな人が何をどういう風に言っているんだろうかというのをちょっと調べてまとめてみました。相変わらず字が汚くて申し訳ございませんが、ちょっと見ていただければと思います。
まずですね、世界の主要な経済に関する機関の数値を見てみましょうと。まずIMFですね。IMF、国際通貨基金のレポートによるとですね、世界の雇用の大体40%くらいがAIによる影響を受けると言っています。で、ここで注意が必要なのは、影響を受けるというのはイコール別に失業するってことではないです。例えば生産性が上がったり、その仕事じゃなくて別のやり方でできるようになったりという意味で、世界の仕事の40%くらいがAIの影響を受けるでしょうと言われています。
で、特に先進国で言うと、その割合ってもうちょっと増えて、60%くらいの仕事はAIの影響を受けると。さらにそのレポートの中で言っているのは、60%のうち約27%は代替されやすく、そしてAIによって需要が減ったりするような仕事なんじゃないか。あるいは賃金が下がるリスクがあるんじゃないかと言われていて、残りの33%は、AIで仕事が楽になる補完的な影響であると、AIによって働き方が変わる補完的な機能を果たすと言われているので、先進国の60%のうち大体27%くらいが、仕事がAIに代替される可能性があるということをIMFは言っています。なので割とね、打的な世界観なのかなと思います。
ゴールドマン・サックス、金融機関ですが、2023年のレポートでは、仕事の約3分の2が影響を受けるんじゃないかと言われています。3分の2が影響を受けて、4分の1が代替されるという風にレポートでは書いてあります。で、この比率から計算すると約3億人くらいが代替されるのではないかという、そういった示唆があるレポートになっております。
で、一方で、WEF、世界経済フォーラムというところが出しているレポートでは、真逆のことを言っていて、7800万人くらいの仕事が増えるんじゃないかという風に言われています。このレポートの中でも、一つの技術によって仕事が減る影響もあるし、増える影響もあるよねと。で、それを合算するとこうだよねということを、いろんな技術が並んでいてですね、その中で、この技術によってこれくらいの仕事が減るし、これくらい仕事が増えるよというのがそれぞれ書いてあるんですけど、AIと情報技術の分野においては1100万人の雇用が生まれるだろうと。で、一方で920万人の職がなくなるだろうということで、プラスマイナスさせると合計180万人くらいAIの影響でプラスになるんじゃないのかということをWEFは言っております。
こういう技術みたいなものが色々並んでいて、結果として全部合わせると7800万人くらい増えるんじゃないかということでございまして、AIの直接的な影響だけで見ても、お仕事は増えるんじゃないのというのがWEFの予測でございます。なので世の中のいろんな経済の専門家たちの予想も、なんとなく方向性が微妙に違っている、割れているということでございます。すごく仕事が減ると言っている人もいるし、いやいやAIでも仕事は増えるんだよと言っているような機関もあります。
じゃ、次に報告のところで、足元どうなってんねんということを見てみると、スタンフォード大学の調査によると、結構現実に影響が起き始めているんじゃないかという、そういうレポートがございます。AIの影響を結構受けそうな職種を色々調べた時に、22歳から25歳まで、いわゆる年代が若い層で言うと、2022年以降、仕事の数が13%減ったというレポートがあります。マイナス13%で、この22年から25年なんで3年間ですね。3年でマイナス13%なんで、結構そのエントリーレベル、年代が若い人の仕事というのは、もう影響が起き始めているんじゃないのかというのがこちらの調査でございます。
ブルッキングス研究所というアメリカのシンクタンクが出している数値なんですけれども、こちらは単価が下がってきているんじゃないかというデータが出ております。生成AIによって代替されやすいとされているフリーランスの職において、新規の契約数が2%減っていて、そして売上も5%減っているというような、そういうレポートも出てきておってですね、単価というところにはもう影響が出始めているんじゃないか。
で、3つ目に紹介したのはロサンゼルス・タイムズの記事なんですけれども、スタンフォード大学のコンピューターサイエンス、情報科学を専攻していた学生も、卒業した後に就職難に遭っているんだという記事も出ました。これも結構衝撃で、一昔前であれば、スタンフォード大学ってテクノロジーの情報科学の領域では本当に一流の大学の一つなので、そこを卒業してあんまり就職難になること、仕事が見つからないなんてことは全然想像されていなかったわけですけど、そういう風になってきているんだという記事も出てきております。
ということでですね、足元を見てみると、大量に失業するみたいなことはまだまだ発生していないものの、例えば年齢が若い人のところだけ見てみると結構起きてるんじゃないのという話であるとか、いやいや仕事にあぶれるということではないんだけれども、その仕事の単価というのは、特に生成AIの影響を受けやすい職種においては下がり始めているんじゃないかという、そういう報告がちらほら上がってきつつあるというのが、今のアメリカの現状なのかなという風に思います。
で、最後ですね、日本はどうなのかということなんですけど、日本はやっぱり色々調べている中でもすごく特殊な国でございまして、それは何かって言うと、AIがないと社会が回らないということなわけですね。
まず予測のところで見ると、日本においてはですね、リクルートが出している統計によると、2040年までに1100万人、仕事じゃなくて人間の方が不足していると。仕事はあるんだけれども、それを働ける人間が1000万人くらい不足しているんだというのがリクルートです。2040年までなんで、もうあと15年ですよ。15年で1000万人足りなくなるという、結構恐ろしい数値が挙げられております。だから、AI失業よりも人が足りないことの方がやばいと。
で、同じくですね、パーソルも、これはちょっと年が5年ずれているんですけど、35年までに384万人が不足するんじゃないかと言われています。ちょっと数字の大きさが微妙に違うのと年も違うんですが、不足することはまあまあ間違いないだろうというような統計がこの2つですね。なので、アメリカとは結構置かれている状況が違います。
じゃ、足元どうなのかというところを見てみると、これもですね、まだまだすごく変化が起き始めているというところまでは行っていないと思います。新卒採用で言いますと、共同通信の調査によるとですね、今年2026年は、去年と比べて新卒を減らしますと答えた会社が、5年ぶりにですね、増やすと答えた会社よりも多くなったよという調査が出ておりました。
なので、5年ぶりくらいに、その新卒の売り手市場ぶりは少しだけ緩和されているかなと。ただ数値を見ると、すごくドラスティックに変わっているということでもなくて、一服したねみたいなところなので、どこまでこれがAIの影響なのかって言うと、そんなにまだ大きくないんじゃないかなという風に見てもいいのかなと思います。
あとはちらほらですね、日本の会社でも配置転換に関して言及する記事なんかは出てきつつあります。みずほフィナンシャルグループではですね、10年間で5000人くらい、人事異動をちょっとずつやっていくんやでというようなニュースも出ておりました。日本の場合はですね、解雇規制なんかもあるので、いきなりクビにすることはアメリカの会社と比べてできないわけです。なので大規模なリストラというのはなかなか発生しづらくて、だとするとリスキリングしてですね、別の部署にどんどん移ってもらおうという、そういった形で進んでいくのかなと思います。
というところで、まだ微妙にですね、この日本も新卒採用というところの、割とエントリーレベルの職種で影響が出始めたと見ることもできるし、まあでもまだまだ別に景気の変動の一つのサイクルとして、5年ぶりくらいにそういう状態に来ているだけだよと見ることもできるみたいな。統計上はあんまり強くシグナルとしては現れていないのが、今なんじゃないかなと思います。
ということで、AI失業どうなのかということを、3つくらい立場もあって、そしてデータでも見てみると、予測と報告というところで、日本とアメリカ、世界の今の状況をお伝えしてみました。
で、その上での私の最近聞いた話なんですけど、最近AI企業の人にその話を聞いた時にですね、今までその会社はインターンに結構大学院生ばっかり来ていたらしいんですよね。インターンになんですけど、今年はなんかインターン生、学部生が多いぞと。大学院じゃなくて大学に行っている人がインターンで来ていることが多い。で、これは結構不思議なことで、大学の理系の、AIとか情報科学の学生って、結構な割合で大学院に進むことが多いんですけれども、なんか1年くらいでいきなり学部生の比率が増えたと。これは不可解な話なんですよね。
で、なんでなのかというのを聞いてみると、学部生のインターンに応募してきている人たちは、すごい勢いでソフトウェアエンジニアの仕事がなくなるんだと思っていると。これをですね、その界隈では「ギュられる」って言うらしいんですけど、シンギュラリティされるの略ですね。「ギュる」と言われているらしいんですが、自分がギュられると思っているので、2年も待たずに今のうちに早めにその会社にインターンしに行って、今のうちに、入れるうちに、まだ職が残っているうちに入ろうという、そういう行動が起きているらしいということを聞きましたね。
こういうエピソードも、どれくらいそれが大規模に思われているかとか、実際どうなるんだというのはあるんですけれども、そういう風に考え始める学生さんが出てきつつあるというのは間違いないかなと思います。
それで、じゃあ安野としてはどう思うんですかって言うと、全然分かんないんですけど、一つ挙げられるのは、今別に統計的なシグナルがあんまり強くなかったとしてもですね、これって急速に始まってくる可能性はあるなと思っています。なので、今年は去年とそんなに変わんないよねという形であっても、来年一気に企業がギアを変えて新卒採用しなくなるというシナリオも、まあまあ可能性はないと思いますけど、あると思うので、足元こうだよというのは見つつも、だから来年は延長線上に絶対来るというようなことを考えずに、ピンと突然数値が上がる可能性もあるよと思っておくのが大事なのかなと思います。
私もこの先どうなるかは分かりません。分からないんですが、ピンと跳ねた時にもなんとかなるように、国であれば政策をしっかりと作っておいて準備しておかなくちゃいけないと思いますし、個人としては、ピンと跳ねた時にどうするかというのもちょっと考えながら、色々行動していく必要があるんじゃないかと思います。
ということで以上、「AI失業、実際どうなの? 2026年5月編」でございました。今後もこういうここら辺の数値というのは、いろんなレポートとかを見ながらウォッチし続けたいなと思います。面白いなと思った方は、チャンネル登録、高評価ぜひよろしくお願いします。では、では。
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