本場の食材で作り直したペペロンチーノ 旨味を足さなくても美味しくなるのか

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概要

料理研究家のリュウジは、以前の動画で「本場のペペロンチーノより、旨味を加えた日本式のほうがうまい」という結論を出し、強い反発を受けた。今回はその続編である。日本で手に入る範囲でイタリアの食材を最大限そろえ、本気の「本場のペペロンチーノ」を作り直した。動画の焦点は、素材を変えれば旨味調味料なしでも十分に美味しくなるのか、そもそも「旨味が多いほど美味しい」と言えるのか、という点にある。リュウジは、旨味は「絶対王者」ではなく、どちらが美味しいかは食べる状況や人によって変わるという立場をとる。

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前回の動画への反応と今回の企画

前回の動画では、本場の作り方に沿ったペペロンチーノと、旨味を加えたペペロンチーノを両方作った。スタッフと食べ比べた結果は、旨味がある方が「何倍も美味しい」というものだった。リュウジ自身はこの動画を「とんでもない爆弾動画」と振り返っており、非常に反感を買ったという。

寄せられたコメントのうち最も多かったのは、「その食材ではうまくならない」という指摘だった。本場のペペロンチーノと言いながら日本の食材を使っているではないか、という批判である。リュウジはこれを「確かに」と受け止め、今回は日本で入手できる限りのイタリア食材で作ることにした。同席したスタッフ2人は、前回の流れから「そんなに期待はしてない」と率直に話している。良いオイル、良い唐辛子、塩でどれだけ変わるのか、という半信半疑の反応だった。

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そろえた食材:塩、ニンニク、唐辛子

前回はJ-オイルミルズのオリーブオイルなどを使っていたが、「オイルがそもそも違う」と言われたため、今回は食材をいろいろ買いそろえた。

塩は、リュウジが昔イタリアンレストランで働いていたときに使っていたイタリア産の塩である。パッケージにはイタリア語で塩を意味する「サーレ」と書かれ、粒はやや粗め。もっと結晶の大きいものもあるが、これが一番使いやすいという。それほど高価ではないため、今回はパスタの茹で湯にもこの塩を使う。

ニンニクについては、イタリア産は用意できなかったと断っている。代わりに、イタリアに近いスペイン産を選んだ。パッケージには、香り成分のアリシンが日本のニンニクの1.6倍含まれていると書かれているという。スペイン産のニンニクは皮の表面だけが赤く、粒はやや小ぶりである。

日本とスペインのどちらのニンニクがうまいかについて、リュウジは海外産のほうが香りが強いと考えている。日本のニンニクは生食に向いており、ホイル焼きなどなら日本産が絶対にうまい。一方、ペペロンチーノなら香りの強い海外産も「あり」だという。

唐辛子は「ペペロンチーノピッコロ」で、原産国はイタリアではないものの、イタリアでよく使われ、リュウジが昔イタリアで使っていたものだという。小粒だが非常に辛く、本人の記憶では1500円ほどする高価なものだ。スタッフが試しにかじると、最初は「旨味が強くて甘味がある」「美味しい」と言い、直後に「めっちゃ辛い」と反応した。リュウジによれば2〜3粒で十分なので、長く持つという。

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パスタとオリーブオイル

パスタは、前回使った日本製の1.5mm前後のテフロンダイスのものから、ディ・チェコの細麺タイプに替えた。リュウジの知る限り、ディ・チェコはバリラに次ぐイタリアのナンバー2のパスタメーカーである。ブロンズダイスを使っているため表面がザラザラしており、オイルと絡みやすいという。カルディや一般のスーパーでも買える有名なものだ。表示の茹で時間は6分だが、今回は早めに引き上げてソースと一緒に仕上げる。

オリーブオイルは、昔よく買っていた銘柄の多くがもう売られていなかったという。入れ替わりが激しいからだ。今回選んだのは3000〜4000円ほどの良いオリーブオイルで、リュウジが最近普段使いしているものである。普段はJ-オイルミルズのオイルで炒め、仕上げにこのオイルをかけると料理の味が大きく上がるという。ペペロンチーノはオリーブオイルが決め手なので、これがかなりいい仕事をするだろうと期待を述べた。

リュウジは「本場を勝たせたくて必死になってる」とも話している。これだけの「オールスター」で作れば、さすがにうまいだろうという意気込みである。

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作り方の方針:ニンニクは多め、アンチョビは入れない

今回は見栄えも考えて2人前を作る。ニンニクは1人10〜15g程度を使う。作り方は前回と同じく本場のやり方に沿うが、素材が良いので前回よりは絶対に美味しくなるはずだとリュウジは見込んでいた。

ニンニクはみじん切りにする。オーソドックスに作るならみじん切りが一番だとリュウジは考えている。ただしスタッフとのやりとりでは、ニンニクを粗めに切る人や、そのまま使う人もいて「本当に人による」とも話している。

今回は旨味調味料を使わないので、ニンニクを多めに入れて旨味を乗せる作戦をとった。リュウジは、今回は本当にイタリア側に立って「うまい」と言わせるのが目的だと強調する。この材料で作ったペペロンチーノに味の素を入れるのが一番、という「悲しい結果」にはしたくないとも冗談交じりに話した。

コメントでは「アンチョビを入れればいい」という意見もあった。リュウジは、アンチョビを入れれば旨味が乗るので確かにうまいが、それはもうペペロンチーノではないと退ける。旨味を足すという意味では、味の素を入れるのと同じだからだ。

イタリアンパセリは、茎を途中で炒めて香りを出し、葉は最後に入れる。最初から一緒に炒める作り方を見たというスタッフに対し、リュウジはそれも好み次第だと答えた。

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ファビオ氏のパスタと「パクリ」指摘

話題は、パスタで知られる料理人のファビオ氏にも及んだ。リュウジによれば、ファビオ氏のパスタはイタリアンに沿いつつも「邪道」な面がある。魚を入れたり、ニンニクを焦がしてクリーム状にしたりするため、イタリアンの原理主義者のような立場ではない。二郎系のペペロンチーノを作ったこともあるという。

リュウジが二郎系のペペロンチーノをショート動画で上げたところ、「ファビオのパクリはやめてください」と言われた。リュウジは、自分はファビオ氏より前から作っていたと話している。

そのうえでリュウジは、大事なのは楽しむことだと話を戻した。海外の食材でどれだけ美味しくなるかは、みんな気になるはずだ。これは喧嘩ではないので楽しくやる、と言って白ワインで乾杯した。ペペロンチーノは塩味のきりっとしたパスタなので、白に合うという。乾杯の際には、前回のコメントに怒っている人が多かったことにも触れた。そのうえで、うまいものはうまいのだから「人の舌を否定しちゃだめですよ。そうしたら自分の舌も否定されますから」と話している。

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調理の工程

オリーブオイルは2人前で大さじ2杯。冷たい状態のオイルにみじん切りのニンニクを入れ、焦がさずに「シュワっと」火を入れていく。最初は温めるために火を強めにし、途中から弱火にして、ふつふつと香りを出す。リュウジは途中で「香りマジ違う」と反応し、スペイン産ニンニクはやはり香りが違うと話した。

パスタの茹で湯の塩分濃度は1%程度で、リュウジによれば「ちょっと濃いめのスープぐらい」である。パスタ200gを、表示6分のところ4分で引き上げる。

唐辛子は割って入れる。潰すと中身が出るので辛くなるが、潰さなくてもよいという。続いてイタリアンパセリの茎を入れる。茎はそのまま火を通さないと硬いので、先に入れる。ニンニクの色づきは軽めでよい。色づけすぎると焦げの香りが出るからだ。ここでいったん火を止める。

パスタについてリュウジは、ディ・チェコは小麦の成分が多く出るのでとろみがつくと説明した。日本のパスタはソースの絡みやもちっとした食感を大事にしているが、ディ・チェコはもちっとというより「つるっと」した食感だという。小麦のうまさもある。

茹で汁をお玉2杯ほどフライパンに入れ、4分で引き上げたパスタを加えて一緒に煮る。こうしてデンプンを入れていく。この手法はファビオ氏もよくやっているが、自分も昔からこのやり方だとリュウジは話した。ディ・チェコは小麦の成分が出すぎるので、ワンパンパスタには向かないという。茹で汁をもう1杯ほど足して煮たあと、多めのイタリアンパセリを加える。仕上げにオリーブオイルをかけて完成した。リュウジはこれを、限りなく原材料に近づけた「最高の本場ペペロンチーノ」と呼んだ。

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実食:前回より「全然美味しい」

試食したスタッフは、前回と比べて「こっちのが全然美味しい」と口をそろえた。ニンニクが効いていること、オリーブオイルの味がよく出ていることが評価された。イタリアンパセリをたっぷり入れたことで味がだいぶ変わる、という感想もあった。

反省点として、リュウジは唐辛子をもう少し入れてもよかったと話した。今回は思ったほど辛くなかったという。スタッフからは、唐辛子を刻めばもう少し辛さが出るという意見も出た。こうしてまず、本場の食材でガチで作ればペペロンチーノは美味しくなる、という結果が確認された。

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味の素を足して比べる

続いてリュウジは「めっちゃ性格悪いことするけど」と前置きし、同じパスタに味の素を3振りして食べ比べを求めた。

スタッフは「全然違う」「味が全く違う」と反応した。ただし評価は一方的ではない。あるスタッフは、旨味を入れたほうが美味しいとしつつ、「どっちも美味しい」と話した。もう一人も、どっちも美味しく甲乙つけがたいと述べた。どちらかに決めろと言われれば味の素入りを選ぶが、前者を食べたいときもあるという。旨味なしのほうも「すっごいうまい」という声があった。リュウジ自身も、どちらかと言えば旨味を入れたほうが分かりやすい味だと述べている。

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結論:旨味は絶対王者ではない

この結果を受けて、リュウジは動画の主旨を説明した。旨味は「絶対王者」ではない。旨味を入れたほうがどちらかといえば日本人好みになるが、それはそれで別の味になるだけだという。旨味を控えた料理があってもいいし、それは評価されるべきだ。旨味が入っていれば全て美味しいわけではない。リュウジは、このことを伝えたくてこの動画を撮ったと語った。

スタッフの一人は、状況によるという見方を示した。一皿で完結させるなら旨味が入っているほうがいいかもしれない。だが、いろいろな料理が並ぶ中の一品としてのパスタなら、旨味がないほうが他の料理に合うのではないか、という意見である。

リュウジもこれに同意した。日本人が食べるペペロンチーノは、たいてい「今日のお昼はペペロンチーノ」というように一皿で成立している。一方でイタリアの人たちは、ペペロンチーノだけを食べることはそれほど多くなく、他の料理と一緒に食べる。だから旨味が少なくても問題にならないのではないか、とリュウジは推測する。結論として、どちらが美味しいかはシチュエーションによる。リュウジは「本場の食材でガチンコで作ったペペロンチーノは美味しい」と締めくくった。

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「バカ舌」という言葉への批判

後半のトークでは、味覚をめぐるコメントのあり方が話題になった。リュウジは、自分と違う感想を持つ人を「バカ舌」と呼ぶ人は「ちょっと頭悪い」と強い言葉で批判する。人それぞれだということを理解していないからだという。その人のアイデンティティや感じ方をすべて否定する言い方なので、令和の時代には合わないと述べた。日本には「あいつは味が分からない」と言う文化があるが、それも今の時代には合っていないという。

リュウジが観察しているのは、本場にあまりこだわらず、うまいものはうまいと自然に美味しいものを食べている人ほど、他人をバカにしないということだ。「バカ舌」と言う人には、自分は他とは違う、味覚的に上のステージにいるというバイアスやマウントのような意識があるとリュウジは見ている。人の感想を否定しているので「結構ダサい」とも言う。一方で、そういう人のことは個人的には好きだが、今の時代には嫌われるとも付け加えた。

リュウジはさらに、そうした人たちが強く反発する理由を分析した。彼らはお金をかけたり知識を養ったりして、より良いものを食べてきた。そこへ、意識の高くない人が「こんなのでも美味しいじゃん」と言うと、自分たちのこれまでが否定されたように感じる。塩だけで美味しいペペロンチーノを作れるという考えを否定されると、積み重ねてきたものすべてを否定される形になる。だからアイデンティティの喪失で怒ってしまうのではないか、というのがリュウジの見立てだ。そのうえで、これはアイデンティティではなく感じ方の問題なので、もう少し楽になろうと呼びかけた。

リュウジ自身も「リュウジのバズレシピをうまいと思うなんてバカ舌」というコメントを「何億回も」見てきたという。これは自分を守るために言っているのではなく、そういう言い方は単純にダサいのだと話している。

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旨味の少ない料理と、ごく少数にしか分からない美味しさ

スタッフは、料理は旨味を多くしすぎないほうが美味しいとよく言っている人物の名前を挙げた(字幕では名前が聞き取れない)。リュウジはこれに対し、食の経験値がよほど高くないとそこにはたどり着かないと応じた。相当勉強しないと、旨味の少ない料理の良さには気づかない。正直に言えば気づかなくてもいいし、気づく人は少ないという。

リュウジは、ごく少数の人にしか分からない美味しさに向けた料理は、正直あまり好きではないと話す。自分は全員が「うまい」と思う料理が好きなので、基本的には旨味を入れる。ただ、そうした少数にしか分からない美味しさも世の中にはあり、実は自分もそういう料理が好きだという。それでも人には勧めない。美味しくないと言われるからだ。「でも俺は美味しいと思う」という感覚も、料理の中では大事だとリュウジは語った。

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ハンバーガーは世界一美味しいのか

最後にリュウジは、「世界で一番売れている料理はハンバーガーだから、ハンバーガーが世界一美味しいに決まっている」という漫画の一節を持ち出し、スタッフに意見を求めた。スタッフは「人それぞれじゃないか」「世界一というのはまた違う」と答えた。

リュウジは、そもそも世界一を誰が決めるのかが問題だという。「世界で一番美味しいもの」と言うと、あたかもそれが一つ存在するかのように決めつけてしまう。だが実際には、100人いれば100通りあり、全員違う。あえて一つ決めるなら世界で最も食べられているハンバーガーになるが、それは統計の話にすぎない。本当に世界で一番美味しいものは一人ひとりの中にあるので、それをあまり否定しないほうがいいのではないか。リュウジはそう述べて動画を終えた。