牛角の3780円食べ放題をどう食べるか――森田さんが教える焼き方と裏技

YouTubeで開く ↗
概要

料理研究家のリュウジが、焼肉に詳しい森田さん(クロッサムモリタ)に「牛角で肉の焼き方を教えてほしい」と頼み、二人で3780円の食べ放題コースを食べ進める回である。森田さんは牛角に来るのが人生で2回目、半年ぶりだという。前回は自分のチャンネルで、3000円台のコースの全品を注文して点数をつけた。その経験を踏まえ、注文の順番、焼き方、タレの組み合わせ、メニューにない食べ方までを実演していく。森田さんの立場ははっきりしている。食べ放題は「よくできている」業態であり、食べ方を知れば満足度が大きく変わる、というものだ。

12分で読めます
1:27

食べ放題を成り立たせる3つの条件

森田さんは、前回全品を食べて点数をつけた結果をまず報告する。「牛」の字がつく店だから言いにくいが、鶏肉はいまひとつだった。一方で、これは食べておけと言える品が5つあったという。

森田さんは食べ放題に大事な要素を3つ挙げる。肉のクオリティ、味付け、サイドメニューである。この3つが揃って初めて食べ放題は成り立ち、牛角はそれが揃っていると評価する。

さらに森田さんは、食べ放題と街の焼肉店を比べる。食べ放題はサービス、衛生、肉のクオリティ、提供速度、満足度のすべてに気を配らなければならない。肉単体のうまさだけなら、煙がもうもうでサービスは気にせず、器が多少汚れていても構わない、という街焼肉が特化しているので勝てないと森田さんは考えている。ただ、子ども連れの家族でもデートでも楽しめるという点では、牛角はよくできていると話す。

注文したのはスタンダードな牛角コースで、飲み放題を付けると5000円台に収まる見込みだと二人は話している。

1:46

ホルモンの「酵素処理」という見立て

序盤で森田さんが強調したのが、牛角のホルモンの酵素処理だ。森田さんの説明によれば、日本で使われる酵素はおおむね3種類に分かれる。ブドウ由来、パイナップル由来、生姜など別のもの由来である。どれかを使うと肉の繊維がほぐれ、水分も保たれるので、ふわっと仕上がる。牛角のホルモンは必ずこれをやっていると森田さんは推測し、ホルモン自体はおそらく国産ではないとも見ている。

中盤でシマチョウを焼いたときも、森田さんは「持っただけで繊維が崩れる」と言い、処理されていると断言した。森田さんは牧場を持ち、肉の処理にも関わっている人物として紹介されている。森田さんは、酵素処理は悪いものを入れているわけではないとも付け加えた。ブドウやパイナップル、生姜などに由来するものを使って、熟成を早めているだけだという説明である。

5:43

ロースターの形とタレの組み合わせ

リュウジが卓のロースターについて尋ねると、森田さんは「特殊」だと答えた。網の中央が盛り上がった形になっていて、熱が分散する。そのため、網の端で焼いても中央で焼いても熱く、どこでも均一に焼けるという説明である。

卓に置かれたタレは2種類だ。ひとつは旨味とニンニク感のある焼肉のタレで、もうひとつはあっさり食べたいときのレモンダレである。森田さんは、鶏肉にはレモンがよく合うと話す。おすすめとして、二つを1対1で割ってポン酢を作っておく方法を紹介した。森田さんは前回来たとき、ポン酢がなくて困ったという。そこにネギと梅を使った薬味も加え、食べ方は5種類あるとまとめた。

その薬味が、森田さんが「来たらいちばん最初に頼んでほしい」と言った品である。ネギ系の品と梅の入った品の2つを、届いた瞬間に混ぜる。リュウジは最初から裏技すぎると驚いた。森田さんは、これを市販のS&Bの調味料で再現したとも話している。もう一品、必ず頼むべきものとしてキムチも挙げた。

7:10

牛レバーと、裏メニューのアヒージョ

最初に焼いたのは牛レバーだ。森田さんはアメリカ産だろうと見立てる。普通は剥ぐ皮が残ったまま、ざくざくと切られていて、余計なことをしていないと評価した。前回の採点では10点満点中10点だったという。レモンダレで食べたリュウジは、甘くて臭みがないと驚き、牛角で牛レバーを食べる選択肢はなかったと話した。

森田さんがここで出したのが、レバーのアヒージョである。店にアルミホイルとごま油をもらい、ニンニクを入れてもらって作る。森田さんの説明では、油で包むことで浸透圧によって旨味を中に閉じ込められる。最初から最後まで置いておくと柔らかくなり、鶏肉などは1時間経つとシチューのようになるという。リュウジはそんな食べ方をする人はいないと笑ったが、食べると焼いたものより「全然こっちの方が好き」と言い、メニューに入れた方がいいとまで話した。正規の食べ方ではない裏メニューだが、頼めばどの店でもやってくれるようだと森田さんは話している。

9:31

トントロはポン酢で

次はトントロだ。森田さんは、焼肉屋ではあまり出てこない部位だと言う。ロースターの火力は強い。森田さんは、3時間の食べ放題の中で家族が一気に焼けるよう考えられているのだろうと推し量った。豚は強火で焼き、焼けたらすぐ取る。

ここで森田さんが勧めたのが、先ほど作ったポン酢だ。リュウジは「こんなに美味しいんですか」と驚いた。終盤のまとめでも、トントロはマストの一品として挙げられている。

キムチにも二人は反応した。リュウジは以前、市販のキムチを食べ比べる企画で牛角のキムチを試し、微妙だと言っていた。ところが店で食べたらうまいという。森田さんは、店のものは別物だと答えた。ニラキムチも好評だった。

11:52

豚カルビとトンタンは、ネギと梅が前提

豚カルビは、前回の森田さんの評価ではいまひとつだった。今回は焼いた肉に例のネギと梅の薬味を乗せ、巻いて食べる。リュウジは「マジでうまい」と言い、森田さんはこれを万能だと言う。

トンタンについて、リュウジは薄く切って整形されたものだと気づいた。森田さんによれば、舌は縦に長いので縦にスライスしており、縦スライスのタンはほとんどないという。焼きすぎると元のサイズの半分まで縮むので、半分になる手前、少ししっとりしたところで食べてほしいと森田さんは話す。

リュウジはトンタンにやや臭みを感じた。森田さんも、トンタンをそのまま食べたときの点数はかなり低かったと認めた。ただ、ネギと梅の薬味があれば成り立つ。二人とも、ネギと梅は必須で、ないと逆に成り立たないという点で意見が一致した。

16:23

豚ハラミは焼く順番と待ち時間が鍵

森田さんが「舐めてはいけない」と言ったのが豚ハラミだ。多くの人は頼まないだろうという。分厚い塊をじっくり焼き、最後にハサミで切る。リュウジは焼きすぎだと思って見ていた。しかし森田さんは、ここまで焼くことで酵素が中に浸透していくのだと説明した。食べたリュウジは「何これ、めっちゃうまい」と驚き、スタッフにも勧めた。

森田さんはここで、注文と焼く順番のコツを話した。豚ハラミはパーシャル(半冷凍)の状態で届く。森田さんによれば、豚は解凍してもドリップが出にくく、牛は出やすい。だから牛は頼んだらすぐ焼いて食べてほしい。豚は頼んでから置いておくと、酵素や甘み、タレの味が中に入っていく。森田さんの勧めはこうだ。最初にまとめて注文し、焼くのは必ず牛から始める。豚は浸透するのを待ってから焼くのも手だという。リュウジは、そこまで気を使ったことはなかったと答えた。

17:56

シマチョウは皮から、脂は残す

シマチョウについて森田さんは、皮から焼くよう指示した。皮を焼かないと縮まず、脂が落ちて全部ダメになるので、白い脂の部分は上に向けておく。脂は旨味だから残したい、というのが森田さんの考えだ。これは関西の焼肉の特徴かもしれないとも話している。

待つあいだ、韓国のりにネギを乗せて食べると、二人は「これが正解」と納得していた。

15:39

焼肉と食べ放題の歴史をめぐる森田さんの話

豚ハラミを焼きながら、森田さんは焼肉の歴史に触れた。森田さんによれば、日本は仏教の国で、675年頃に天武天皇が牛肉禁止令を出した。仏教の観点に加え、海外から来た人と日本人を区別する目的もあったという。その後、戦争に負けたときに牛肉を食べてよくなった、と森田さんは話す。食べ放題の発祥については、1958年に三重県で松阪牛の食べ比べのようなことをさせる店ができたのが始まりだと説明した。いずれも森田さんの語った解釈である。

業界の事情についても森田さんは話している。食べ放題の店はこれまで、できては消えてきた。値段が合わないこともあるし、森田さんの業界では「8年に1回、牛肉ショックが起こる」と言われている。口蹄疫、狂牛病、輸入の問題などだ。それを乗り越えて続けていることがすごい、と森田さんは評価する。また牛角は1996年頃の創業で、ちょうど30周年ではないか、30年間食べ放題を続けているのはすごいとも話していたが、本人も「たぶん」と留保をつけている。

20:35

塊肉ハラミと、臭みを消すチェーン店の技術

塊のハラミは、筋と直角の方向にハサミで切る。筋を断ち切ることで柔らかくなる。森田さんは、この焼き方を知らない人は多いだろうと言う。味噌ダレがついたものについては、松阪には味噌ダレに漬けて油で一気にマリネして焼く食べ方があると紹介した。リュウジは「本当にうまいのか、森田さんの解説がうまくしてるのか分からない」と笑いつつ、本当に美味しいと話した。

ホルモンを食べてリュウジが注目したのは、臭みがないことだ。森田さんは、チェーン店は子どもでも食べられるよう、業態全体で臭みを消すことに特化していると説明する。寿司でいえばコハダや青魚、穴子のように臭みが出やすいネタでも、臭みを消すのがうまい。リュウジも、ある寿司店の大将が「昔は臭かったが今はまったくない」と言っていたことを思い出した。

森田さんによれば、街の焼肉店ではこれはできない。国産を入れるのがいちばんいいとされているからだ。牛角のものはアメリカ産だろうと見ており、オーストラリアとアメリカは肉の臭みの処理が圧倒的にうまいと話す。リュウジは、最近輸入のシマチョウを買って炒めたら、ここよりずっと臭かったという体験を語った。森田さんは、これは牛角だからできる処理だろうと答えた。

24:20

何を食べるべきか――豚中心のコースの使い方

ここまでの時点で二人が挙げたマストは、トントロ、牛レバー、豚ハラミである。リュウジは「貧乏性なので、牛角の食べ放題で豚を食べるのはどうなのかと思ってしまう」と本音を漏らした。それでも、美味しさの幸せ度でいえば豚ハラミは十分ありだと認めた。

森田さんには持論がある。焼肉業界で「いちばん食べたい部位」のランキングを取ると、1位はタン、2位はハラミになる。けれどもタンだけで食事は済ませられず、うまいのは最初の2枚くらいだ。ハラミもホルモンも食べたくなる。だから、いろいろ食べられる食べ放題はよくできている、という考え方である。

アボカドとキムチを合わせた品も好評で、二人は「これで3780円は大したもの」と話していた。

森田さんによれば、3780円のコースは豚がメインだ。一つ上のコースになると牛が増え、タンは牛タンになり、ハラミやミノも入ってくるという。

27:15

鶏肉は残念、サムギョプサルはすき焼きに

前回の採点で残念だった鶏肉も、今回あらためて焼いた。森田さんによれば、冷凍のため身がぼろぼろに剥がれる。リュウジは食べて、臭さはあまり感じないがめちゃくちゃうまいわけではない、という感想だった。森田さんは酵素処理でぷるぷるだと言いつつも、評価は変えなかった。

ここで森田さんが提案したのが、薄切り豚バラのサムギョプサルをすき焼きにする方法だ。サムギョプサルはそのままでは味が薄い。森田さんの説明では、すき焼きの割り下は砂糖、醤油、塩、みりん、酒でできていて、牛角のタレにはそれがほぼ入っている。あとは濃さを調整するだけだという。

作り方はこうだ。サムギョプサルを2皿頼み、アルミホイルをもらう。タレを2対1ほどで割って割り下にし、肉を3分の1ほどに切って入れる。沸騰させるとアクが出るので、沸かさないことが肝心だと森田さんは言う。すき焼きやしゃぶしゃぶでは普通アクが出るが、豚肉でアクが出ないのはありえないことだ、とも話した。

リュウジは、牛角でこんなことをして怒られないか、炎上しないかと心配した。店長の了承は得ており、アルミホイルも出してもらえるという。食べたリュウジは「全然こっちの方がうまい」と評価し、半信半疑だったスタッフも美味しいと答えた。森田さんは、豚バラはこれが正解ではないかと話し、寒くなる季節に温かい料理として食べてほしいと勧めた。協力した店長について森田さんは、牛が大好きなのだろうと言い、「ミスター牛角」と呼びたいと笑っていた。

32:49

冷麺、ビビンバ、アイス

冷麺は2種類を食べ比べた。麺のうまさに二人は驚き、酢を入れるのが絶対だという点で一致した。リュウジは梅しその冷麺の方が圧倒的にうまいと言い、ほかの焼肉店にはない牛角らしさだと話す。いい焼肉店でもここより美味しくない冷麺を出すところはたくさんある、という声もあった。

ビビンバは、肉で満腹になるのであまり頼まれない。森田さんは韓国のりを合わせ、彩りを作っていくだけですごいと評した。肉を巻いてもいいという話も出た。

最後は、店員がわざわざ「頼んでください」と勧めてくる黒蜜きなこのアイスだ。リュウジは若い頃に食べた記憶が残っていたといい、アイスの質の良さを絶賛した。

35:49

食べ放題嫌いのスタッフの評価と、二人の結論

同席したスタッフは、普段「食べ放題というだけで行かない」タイプとして紹介されている。そのスタッフが、レベルが高い、また来たいと答えた。リュウジは、カメラの外ではまったく食べない人なので試金石のような存在だと話している。

まとめとして挙がったのは次の品だ。牛レバーのアヒージョ、臭みのなさ、トントロ、豚ハラミ。そしてネギと梅の薬味は、牛にはいまひとつだが鶏と豚には万能に合う。リュウジは、普通に食べていたらこれは分からないし、そもそもポン酢を作るという発想にならないと振り返った。ハラミはおそらくポン酢が合う、という話も出た。

リュウジは、食べ放題には基本的に微妙だというイメージがあったと話す。森田さんに食べ方を教わったからかもしれないと断りつつ、この食べ放題はかなり好きだと結んだ。森田さんは2回目で再発見があったといい、1回では分からないので何回か来てほしいと話した。一つ上のコースへのリベンジや、別の食べ放題店にも行こうという話も出て、回は締めくくられている。