シエナ・スピロのライブ当日ルーティン:跳ね上げライナー、借りもののほくろ、そしてニキビからの長い道のり
Vogue翻訳元 English
Vogueの「Beauty Secrets」シリーズの今回のエピソードでは、イギリスのシンガーソングライター、シエナ・スピロが毎日のスキンケアと、ライブで披露するメイクを紹介する。スピロは冒頭で、自分はメイクアップアーティストではないと断っている。ライブ前のメイクは自分で行っており、そのことがセッション全体を貫いている。工程の合間には、長年悩まされた嚢胞性ニキビ、TikTokの真似をやめて成分表示を読むようになったこと、アイライナーの原点である1960年代の歌手たち、アルバム制作、そして最終的なルックに残ったいくつかの失敗について語っている。
ルーティンの始まりとニキビに悩んだ日々
ルーティンは水をひと口飲むところから始まり、続いてバイオエフェクトの洗顔料で洗顔する。スピロはダブル洗顔をしているが、手を抜いていることも認める。「ちょっと面倒くさがりなときがあって」と言い、1回目の洗顔料を洗い流す前に2回目の洗顔料をつけてしまう。
そこから、スピロにとってスキンケアがなぜ大切なのかという話に移る。14歳か15歳ごろからスキンケアを始めたのは、赤みや、皮膚の下にできる痛みを伴う吹き出物をともなう重度の嚢胞性ニキビがきっかけだったという。家から出たくなかったと振り返る。道を歩いていても他人の肌ばかりが目に入り、みんなに見られているように感じていた。今振り返って、スピロは当時の自分にこう言葉をかける。「誰もあなたのことなんて見てないよ」。
美容液、子ども時代の予行演習、祖母が作るトラベルケース
次に登場するのは、スピロが「Civ」と呼ぶ、肌のバイオームを整える美容液だ。「においはひどい」けれど効果は抜群だという。2〜3滴を肌に押し込むようになじませれば十分だ。
ここでスピロは「このために人生ずっと練習してきたの」と語る。子どものころ、鏡の前でメイクをしながら、自分のVogue Beauty Secrets動画を撮影しているつもりになっていたという。そして、このエピソードの冒頭で使ったのと同じ決まり文句で、その様子を再現してみせる。
続いてマンデル酸配合のクリアリングセラムを2プッシュ。カメラの前でスピロはブランド名を「Zo Pever」に近い発音で紹介し、「本当に、本当にいい」と評する。子どものころは母親の化粧品を真似していたが、母親は「習慣を変えない人」でいつも同じものを使い続けており、スピロはもうそこから卒業したという。今ではルーティン一式を、祖母のひとりが作っている、パチッと留めるタイプのケースに入れて持ち歩いている。
さらに、ディオールのものだというグロウコンプレックスを重ねる。数週間使っていて、気に入っているそうだ。続いてタッチャの「ザ デューイ スキン クリーム」。スピロは「これをつけたときの気分」が大好きだと言い、そのフレーズで少しだけ歌い出す。
TikTokのおすすめから成分表示を読むように
以前はTikTokで何を使えばいいか調べていたが、今はそれが正しいやり方だとは思わないという。スピロによれば、他の人に効いた製品を見て、試してみて、肌荒れを起こし、自信をなくす、というパターンの繰り返しだった。今は製品に実際に何が入っているかを確認し、自分の肌質を考慮するようにしている。「私は学んでいる途中で、それが何より大事なこと」と語る。
また、特にメイク用品については、動物実験を行っていないクルエルティフリーの製品しか使わないという。その分野には「本当に素晴らしいブランド」があるとスピロは言い、うさぎのマークを探すことを勧める。
スキンケアの最後はボディローションで、最近Space NKで買ったネイチャリウムの「バイオリピッド リストアリング ボディローション」。スピロも母親も気に入っているという。ストックホルムのローゼンダール・ガーデン・パーティーで歌ったときに母親が見に来てくれて同じ部屋に泊まったところ、数週間前に買ったボトルがもう半分なくなっていたそうだ。スピロは無香料であるところが気に入っている。それが良いことだと聞いたことがあるというが、「たぶんね」と留保をつけている。
自分でメイクをすることが大切な理由
スピロはメイクを目元から始める。いちばん「ストレスを感じる」部分だからだ。自分はメイクアップアーティストではないと繰り返しつつも、ライブ前に自分でメイクをすることは一日の中で大切な時間だと語る。それは自分のための時間であり、心が落ち着くのだという。
跳ね上げライナー:テクニックと失敗
アイライナーはシャーロット・ティルブリーの「フィーライン フリック」、カラーはパンサー。スピロによれば、以前はラインがとても太かった。意図したスタイルではなく、「すごく下手だった」ので、修正しようとしてどんどんラインを太くしていった結果だという。その後細くしたが、太いバージョンが恋しいと話す。
基本の形を描いたあと、シャネルのライナーでなぞり、ラインを「固定」して「汗と涙」にも耐え、しっかり濃く見えるようにする。失敗したときはバイオエフェクトのミセラー クレンジングウォーターを手に取るが、かえって悪化させているのではと心配する。結局「これで十分。次に行こう」と切り替える。アリアナ・グランデが自身のBeauty Secrets動画でいとも簡単にライナーを引いていたのがうらやましいとも話す。
すると片側が太くなりすぎてしまう。スピロは考え直し、これはこれで素敵だと判断して、もう片方をそれに合わせようかと迷いながら「失敗は美しいこともある」と言う。最後にシャネルのライナーでインサイドラインを引き、たぶん先にやるべきだったと付け加える。
このルックの原点
スピロによれば、このルックは1960年代のジャズシンガーたち、ロネッツ、アレサ、ニーナ、そして特にエタ・ジェイムズに影響を受けている。その時代のアイメイクが大好きだったという。自分がどう見られたいかを模索していたときに試してみて気に入り、それ以来ずっと続けている。
マスカラ、ニキビ、つけまつげ
マスカラの前に、スピロは「招かれていない」ニキビをクローズアップで見せる。マスカラは「とても重要な工程」だ。
続いて、よく質問されるというつけまつげ。AmazonでFairy Lashesのサイズ18と16を購入し、1本を目尻に、1本を中央に置く。Duoのまつげ用接着剤をつけ、「ドラマチックなのが大好きだから」といちばん大きい18を選ぶ。スピロいわく、毛束感のあるまつげで目が大きく見えるという。
ベースとブラシ
ベースには、アワーグラスのヴェール スキンティントをアワーグラスのブラシで使う。撮影の1週間ほど前まで、同じスポンジを約3年間使い続けていた。それは不潔だと言われ、ヴィーガン仕様のアワーグラスのブラシに切り替えたそうだ。
アルバム制作と「Mono no Aware」
ベースを塗りながら、スピロはアルバムについて語る。書き始めたのは約2年前。『Visitor』というプロジェクトになることはわかっていたが、アルバムになるかどうかは確信がなかった。アルバムはこう作られるべきだという固定観念があり、今回の作品はそれに当てはまらなかったからだ。曲は散発的にできあがっていった。アルバムにする自信をくれたのは、曲に対する人々の反応だったとスピロは話す。
いちばん好きな曲は最後の曲「Mono no Aware」。スピロの説明によれば、これは美しいものはすべて一時的なものであり、だからこそ長くは続かないものをもっと愛そう、という意味の日本語の言葉だという。アルバム全体が、無常に対する自分の恐れについての作品だとスピロは語る。この言葉に出会ったことで、物事を新しい視点で見られるようになったという。
見られること、そして信頼する人たち
スピロはアワーグラスのコンシーラーと小さなブラシで肌の気になる部分をカバーする。人に見られていると、実際以上にわかっているように振る舞わなければというプレッシャーを感じる、「でも実際はわかってないの」と話す。
スピロは信頼している人たちの名前を挙げる。マネージャーのミリアムは、スピロが16歳のころから一緒に仕事をしている。アイライナーを引くようになったのは、ミリアムのアイライナーがとても素敵だったことも理由のひとつだという。スピロはミリアムを尊敬する強い女性と呼び、素晴らしいアドバイスをくれると話す。姉のタリアからも多くを学んだという。
キャリアが軌道に乗ってから、何人かの人が連絡をくれた。その中には、名前は明かさないもののスピロの憧れの人もいた。一緒にお茶を飲み、スピロはそれを人生最高の一杯と呼ぶ。彼女のことが大好きで、それは「たぶん私がこれまでにもらった中で、そしてこれからもらう中でも最も価値のあるアドバイス」だとスピロは言う。そのアドバイスが何だったのかは明かしていない。
ブロンザーと眉の失敗
次はディオールの「フォーエヴァー スキン ブロンズ」。スピロはメイクが大好きというタイプではなかったと言いかけてから、「ひどいメイク期」があったことを認める。その例として挙げるのが、ラメ入りのダークブラウンのアイシャドウで眉を埋めていたこと。なぜそうしていたのか説明できず、仕上がりはひどかったという。
さらにグッチのブロンザーを重ね、「宝物みたい」なパッケージを絶賛する。眉にはベネフィットの「プリサイスリー マイブロウ」ペンシルを使う。アイシャドウをやめて以来、ずっと愛用しているものだ。
ツアーに向けて
スピロはツアーが楽しみだと話し、理想のオフの日を語る。バスを降りて、ヘッドホンをつけて歩き、コーヒーを買って、古着屋を見つけ、知り合い全員に電話をかけ、買い物をして、自分のアルバムを聴き、ひとりの時間を楽しむ。古着屋はTikTokで、たとえば「テネシー 最高の古着屋」のように検索して探すという。そして、それはテネシーに行ったらそうする、という話だと補足する。
ツイッギーと『プラダを着た悪魔2』
スピロは目元にブロンドのアイブロウペンシルを沿わせ、メイクアップフォーエバーの製品を使う。影響を受けた人物としてツイッギーの名前を挙げ、彼女の目元の雰囲気が大好きで、60年代のメイク全般が好きだと語る。
続いて、『プラダを着た悪魔2』への出演について「本当にとんでもない瞬間」だったと話す。最初に打診されたときは迷ったという。スピロが作るのはとても悲しい音楽で、映画は明るく楽しいファッション映画だからだ。共感したのは、雑誌が紙で刷られなくなり、すべてがデジタルに移行していくというテーマだった。スピロはこれを物質主義だと言われることと結びつけ、「フェイクでAIを使って、なんていうか本物じゃなくなるくらいなら、物質主義者でいるほうがずっといい」と話す。その経験を「とんでもない」と表現し、映画の中の自分を見るのは「ちょっとつらかった」とも言うが、詳しくは語っていない。
支度中の音楽
スピロはメイク中にいつもプレイリストを流しており、その時間をアルバムを通して聴くための時間にしている。クリス・ステイプルトンと一緒に歌うのが夢だという。また、スカーフェイスを聴いていると言ったら驚かれるかもしれないと付け加え、「Hand of the Dead Bodies」と呼ぶ曲を大好きな一曲として挙げる。
リップ、そしてチークはなし
リップにはメイクアップフォーエバーの製品を使い、オーバーリップ気味に描いてぷっくりとした印象に仕上げる。その上にシャーロット・ティルブリーのリップ&チーク ティントバームを重ねる。
スピロは「チークとは因縁がある」という。人生で初めて撮影した映像で、誰かにチークを塗られ、フィルムカメラを使ったことがないと言われた。映像は顔の横から始まり、ピンクの丸が映ってからズームアウトしていった。スピロいわく、まるでペッパピッグのようだった。それ以来、肌になじむというこのティントを除いて、チークは使っていないという。
パウダーとほくろ
仕上げに、ローラ メルシエのルースパウダーで全体を押さえる。スピロが買えるようになって以来ずっと使っているものだ。メイクを固定して崩れないようにしてくれるので、ライブには欠かせないという。
続いてスピロは、描いているほくろについて説明する。オリヴィア・ロドリゴの3つのほくろに憧れていて、自分にもあったらいいのにと思っていた。しかし描いているほくろは、その位置にできた2つのニキビがもとになっている。スピロはそのニキビの見た目が気に入り、なくしたくなかったので、治ったあともほくろを描き足し続けているのだ。
仕上げ:母の香水
スピロはセッティングスプレーは使わない。代わりに、母親が使っている香水、クロエの「ノマド」で仕上げる。母親を思い出させてくれるうえに、いい香りがするのだという。これでルックは完成し、ライブの準備が整ったとスピロは語る。
該当する記事はありません。
記事公開
