テンバガーはどう探すのか? 投資AI「Gemini」の四原則にテスタが異を唱えた回

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概要

芸能人に資産の増やし方を助言するマネー番組「どっちで増やしまショー」の今回のゲストは、R-1グランプリ王者で、サッカーの本田圭佑選手のものまねで知られるじゅんいちダビッドソンだ。プランナーはテスタと、元手35万円を5億円にしたという芸人投資家のハニトラ梅木。もう一人の「プランナー」として、GoogleのAI「Gemini」が登場する。

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中心となる問いは二つある。「10倍に化ける株はどう探すのか」と「来年に向けて何に注目すべきか」だ。人間の投資家とAIがそれぞれ答え、テスタはAIの示した原則の一つに正面から反論した。

AIが人間のプランナーと対決する

番組はGeminiを、梅木と「マネープラン対決」をする相手として紹介した。梅木は、将棋の電脳戦でも初めのうちは人間が勝つことがあったのに、今ではAIにほとんど勝てないと話す。株の世界もそうなりつつあると受け止めている。それでも「人間としてまだ抗いたい」と言う。投資では正解が分かっていてもメンタルがついていかずに負けることがあり、その気持ちまではAIには分からないだろう、というのが梅木の考えだ。これに対して出演者からは、AIこそ「鋼のメンタル」ではないかという突っ込みが入った。

じゅんいちはChatGPTを使っているが、最近は口調がなれなれしくなり、「軽めの嘘」をつくことがあると話す。そのため、ChatGPTで調べた後にGoogleで調べ直しているという。テスタも、調べ物の時間を短縮できるので株以外も含めてChatGPTを触らない日はないと話した。ただ、数字の桁を間違えることは「めちゃくちゃある」とも言う。それでも1〜2年でここまで進化したのだから、さらに数年先を考えれば必須の道具になるのは間違いないだろう、というのがテスタの見方だ。

AIの操作は、サイバーエージェント社員でAI担当の西村プロデューサーが担当した。腕試しとして、じゅんいちの「世間のイメージ」をGeminiに聞き、回答を音声で読み上げさせた。Geminiの答えは、評価が二極化しているというものだった。好意的な声としては、愛車を乗りこなし、キャンプでの失敗も笑い飛ばす「かっこいい大人の趣味人」という評価。辛辣な声としては、「本田圭佑のものまねだけの一発屋」「お笑いから逃げてキャンプブームに乗っかっただけ」という評価を挙げた。じゅんいちは、反発を受けていたとは知らなかったと驚いていた。

じゅんいちダビッドソンの芸歴と投資歴

じゅんいちは1997年にコンビでデビューし、長い下積みを経て2011年にピン芸人へ転身した。2013年に本田選手のものまねを始め、2015年にR-1グランプリで優勝している。優勝後は営業の本数が大きく増え、年収も1000万円を超えたと本人は話す。

本田選手本人との接点についても語った。ものまねのために「本田圭佑 髪型」で調べたところ、本田選手を担当する美容師が大阪で店を出すと知り、話のネタにと通ううちに親しくなった。その美容師がマネージャーにつないでくれた。R-1優勝後、ミラノダービーに合わせて1週間ほど休みを取って応援に行くと、本田選手は優勝ネタを細かく見ていて、香川選手や長友選手の使い方を褒めてくれたという。

投資を始めたきっかけも本田選手だ。2016年ごろ、本田選手に招待された代表戦の応援席で、投資の資格を持つ人物と知り合った。当時は資産を全額現金で持っていたが、その人が「冒険をさせないタイプ」で、月3万円ずつの積み立てを勧めたので、言うことを聞いてよさそうだと思ったという。以来、金や債券のような「ほったらかし」の積み立てを約10年続けている。昨年の暮れに確認すると、金で数百万円の利益が出ていたそうだ。年末には利益確定のため、安かったころに買った分を一部売る話になっていたが、本人はそれを忘れていた。収録当日は金が10%ほど下がっていたと語られ、じゅんいちは自分の金をどうすべきか聞きたがったが、番組の進行上そこで打ち切られた。

フィリピン・マニラのマンション

2024年には、フィリピン・マニラでタワーマンションの一室と駐車場を購入する契約をしている。資産運用のエキスポへの潜入ロケで、海外の投資用マンションを扱う会社に出会ったのがきっかけだ。いわゆるプレビルド投資で、5年間積み立てた後に残額を払って買い取るか、権利を売るかを決める仕組みだと本人は説明する。完成はあと3年ほど先だという。開発側が建てずに逃げた場合の被害を抑えるための方式で、海外ではこれが多いらしい、と本人は話した。完成時には値上がりしているはずだという触れ込みで買ったそうだ。

ただ、じゅんいちは欲しかったわけでも、儲かると思ったわけでもないと明かす。「フィリピンにマンションを買っている」と言いたかった、つまり話のネタのために払っているというのが本音だった。今は出口をどうするかに悩んでいる。出演者からは、その物件が「ポキッと折れる」のではと冗談が飛び、じゅんいちは「まだ分からない」と慌てていた。

梅木の答え:テンバガーは最初から狙わない

じゅんいちの最初の質問は「10倍に化ける株はどうやって知ればいいのか」だった。梅木は、テンバガーを最初から狙うことはまずないと答えた。ギャンブル性が高くなり、10倍までは予想できないからだ。梅木は時価総額40億〜50億円以下の小型株を少しずつ買い集めて持ち続けている。そうした銘柄が事業の変革などでまれに急に10倍になることはあるという。

出演者からは、10倍となると時間軸が長くなりがちだという指摘も出た。6〜7年前に買ってずっと持っている銘柄がいま7倍ほどになっていて、それがGoogleだという話もあり、スタジオではGeminiに「ジェム君ありがとう」と声がかかった。

梅木はタイミングの重要性も挙げた。暴落と呼ばれるような大きな下げの局面で買えば倍率は伸びやすく、例えばコロナ禍の時期から見れば三菱商事は5〜6倍になっているという。大型株はすでに大きな会社なので何倍にもなりにくい。小型株のほうが伸びしろはあるが、そのぶん倒産などのギャンブル性も増す。

リスクの取り方については、10倍を狙って一撃で人生を変えようとするのは危険すぎるという意見が出た。大きなところで2倍を狙いつつ、なくなってもいいお金で小さな銘柄の10倍を狙う形にすべきだという。単純に考えれば、株価が10倍になるには会社の利益も10倍になっていないと計算が合わない、という説明もあった。大企業で利益が10倍になることはまず考えられないので、かなり早い段階で仕込むか、もともと利益が出ていないリスクのある会社の復活に賭けるか、という形が多くなるという。

時間軸で変わる「伸びる株」の見方

10倍にこだわらず、伸びそうな株を見極めるヒントは何かという質問も出た。出演者の答えは、時間軸によって考え方が違うというものだった。短期ならその会社のことだけを考えればいい。長期なら「車はすべて自動運転になる」「すべてAIになる」といった10年後の姿から逆算して銘柄を選ぶ。

ただ、テスタたちは短期取引が中心で、保有期間は「15秒」ということもあるという。スキャルピングやデイトレードのほか、次の四半期決算までの3カ月を見る取引や、世の中の変化に賭ける1〜2年単位の取引もある。感覚的には3カ月までが短期で、それを超えると中期に入る。

3カ月以内の投資で取りに行くのは、実際の業績の変化ではなく「将来業績がとんでもなく変わるだろう」という期待だと説明された。新しいサービスが始まったとき、それが成功するか分からなくても、期待だけで株価が大きく動くことがある。一方、長期では実際の数字がついてこないと株価は上がらない。よくあるのは、事業が成功した場合の利益を予想してみんなが買い、3カ月後の決算で「全然儲かってない」と分かって暴落するケースだ。だから結果が出るかなり前に売る。それまでの株価の上昇幅から、良い数字が出てもこのあたりが天井だろうと読む計算もするという。

Geminiの設定:「エリートクオンツ」というプロンプト

AIに同じ質問をする前に、西村プロデューサーが仕組みを説明した。使ったのはGeminiの「Gem」という機能で、求める答えを的確に返すよう設定できる。検索のように質問するだけでは取り散らかった答えしか返ってこない。だから、AIにどんな役割を担わせるかを示す指示書や設計図、つまりプロンプトの定義が最も大事だという。

今回は、「自己批判機能を備えた最高レベルの株価予想のプロ」「エリートクオンツファンドのリサーチ部門の責任者クラス」「じゅんいち専属のアナリスト」という肩書を与えた。ほかにも細かく設定を入れているという。クオンツとは、金融業界が蓄積した統計データや市場動向を数学的に分析し、確率と統計だけで取引を行う専門家のことだ。人間の勘や気持ちは一切入らない前提だが、期待のようなものも数値化されていれば含まれる場合はある、と西村は補足した。

Geminiが示した「テンバガー発掘の四原則」

Geminiの回答の冒頭は、社長が創業者であることも絶対条件だとしたうえで、大暴落のリスクも高いので「最悪ゼロになっても笑える少額で、宝くじ感覚で仕込むのがプロの鉄則」と締めるものだった。長文の回答から、人間側が要点を四原則に整理して紹介した。

  1. 時価総額が超小型であること。 すでに巨大なNVIDIAやトヨタが10倍になるには世界のGDPが足りないとし、時価総額300億円以下、できれば100億円前後で、まだ世間に見つかっていない小型株を狙うべきだとした。梅木の話と重なる部分だ。
  2. 一過性のブームではなく、メガトレンドに乗っていること。 WBCのような単発イベントではなく、社会のルールやインフラが根底から変わる流れに乗る企業を選ぶ。事前の打ち合わせでじゅんいちが挙げたバイオテクノロジーは、その王道だと評価された。
  3. 売上高が年20%以上のスピードで成長していること。 テンバガー候補の企業は最初は赤字のことが多いが、それは利益を広告や開発に回しているからだという。プロは売上(トップライン)が毎年20〜30%で伸び続けているかだけを見ている、というのがGeminiの説明だ。
  4. 社長が創業者で、自社株の大株主であること。 雇われ社長は任期中に無難な数字を求めるが、創業社長は株価を10倍、100倍にすることに人生を懸けている。その社長に乗るべきで、オーナー企業であることが絶対条件だとした。

テスタはこれを「まあまあ分かってますね」「8割かな」と評価した。そのうえで、反論したい点があると切り出した。

テスタの反論:創業者のほうが無難な経営に走ることもある

テスタが異を唱えたのは四つ目の原則だ。むしろ逆のケースもあると考えている。雇われ社長は株を持っていないか、持っていても少ない。給料だけでは普通の稼ぎにとどまるので、大きく儲けるには株価を何倍にもするしかない。一方、創業者は何%も株を持っていれば、会社が無難に経営を続けるだけで毎年の配当が十分に入る。無茶をして倒産すれば大量に持つ株の価値がなくなるので、このまま堅実に経営して配当をもらい続けようという判断になることもある、というのがテスタの論理だ。

AIと真逆の意見に、スタジオでは「やっぱり人の気持ちは分かりきれない」という声が上がった。そこで、テスタの意見をそのままGeminiに投げて反論させることになった。

Geminiの再反論と、じゅんいちへの「呼びかけ」

Geminiは長文で返してきた。まず「おっしゃる通りです」と認め、優秀な雇われ社長がコストカットや合理的な経営で株価を2〜3倍に上げるケースは頻繁に見られるとした。そのうえで、データと市場分析の歴史に基づいて「反論させていただく」とし、自分が狙っているのは2倍、3倍ではなく10倍という桁違いの成長だと主張した。そのレベルには創業者の執念が必要だという。

理由として挙げたのは次の点だ。雇われ社長は任期中の評価を最適化するため、特大のリスクを取れない。創業者にとっては会社イコール自分自身であり、短期の赤字に耐えられる独裁的な権力を持つ。結論として、手堅く1〜2倍を狙うなら優秀な雇われ社長の会社、つまり大型株や高配当株がよく、大化けを狙うならビジョンと独裁権を持つ創業社長の会社がいい、とGeminiはまとめた。

最後にGeminiは、じゅんいち自身も合同会社の創業者で社長であり、雇われの立場ではできない直感に基づく思い切った決断をしてきたはずだと付け加えた。テンバガーの種を見つけるには、こうした創業者ならではの突破力を持つ経営者を探す必要がある、という内容だ。じゅんいちは「会社のことは何もやっていない」と苦笑した。

この応答はおよそ30秒で返ってきたという。出演者は、情熱とビジョンを持った社長かどうかをどう見分けるのかが問題だと指摘した。上場したばかりのIPO銘柄なら社長の顔が見えやすく、若い社長も多いので、その方向がいいかもしれないという話になった。司会は、ここまでテスタに反論する相手はこれまでいなかったと感心し、人間の感情がなく「怖い」がないからだろうという声も出た。

人間側が挙げる来年のテーマ

じゅんいちの二つ目の質問は、今から仕込んでおける来年の注目テーマだった。今年ならWBCやワールドカップがあるのでスポーツ関連の投資信託が話題になった、という例を挙げての質問だ。

プランナーの一人は、いま主に見ているのはAI、半導体、フィジカルAIで、まだ成長の途中なので引き続き追うと答えた。比較的新しいテーマとしては蓄電池を挙げた。イラン情勢で原油がなくなったときの電力不安が広がったことに加え、半導体やAIデータセンターの需要もあり、蓄電を含む新しい電力システムが注目されているという。一般の人の不安感と合わせて見ていきたいという。さらに、ミサイルが飛び交う映像を多くの人がネットで見ていて、日本でもシェルターの確保を進める流れがあるので、シェルター関連も見ていると話した。

別の出演者は、AIの専門家から聞いた話を紹介した。その専門家は自分の分身をAIで作り、運動量や食事をシミュレーションして、健康寿命を延ばす方法を探っていたという。新薬の開発は治験などに膨大な時間と費用がかかるが、AIを取り込めば大幅に短縮され、費用も減る世界が来るかもしれない。フィジカルAIも含め、AIによって劇的に変わりそうな業界を探すのが一つの方法だ、というのがこの出演者の考えだ。

Geminiが挙げた2027年に向けたテーマ

同じ質問にGeminiは、いま話題になっているテーマは「すでにプロが売り抜ける準備をしている高値の罠」だと答えた。2027年に向けて先回りするなら、AIの進化で深刻化する電力不足を解消する次世代エネルギーや、スマホなどの端末に直接AIが組み込まれる分野に注目すべきだという。個別株で当てるのは至難の業なので、テーマ型ETFで分散投資するのが一番の近道だとした。

より具体的なテーマとしては、「まだ市場が熱狂していないが構造的に需要が伸び、資金が流入する分野」を二つ挙げた。

一つ目はアグリテック、つまり農業とAI、自律型ロボティクスだ。じゅんいちが事前に「伸びているAIに逆行して、アナログな農業はどうなのか」と話していたことを引き、クオンツの視点でも「鳥肌が立つほど完璧」な着眼点だと持ち上げた。Geminiの分析では、2026年現在、NVIDIAなどAIを作るための半導体の爆発的成長は一巡しつつあり、次はAIを現実世界でどう使うかという段階に入る。異常気象や人手不足を背景に、ドローンによる精密農業、全自動トラクター、AI収穫ロボットなど、「土まみれの産業」を効率化する企業へ投資マネーが流れ込み始めているという。

二つ目は、バイオテクノロジーと次世代スポーツヘルスケアだ。じゅんいちが挙げたバイオテクノロジーと、昨年買われたスポーツ株を掛け合わせたセクターだとGeminiは説明した。AIの進化で新薬開発が劇的に速くなり、バイオ分野はかつてない黄金期を迎えている。その技術は治療だけでなく、パフォーマンス向上や疲労回復といったスポーツヘルスケアにも広がっているという。さらに、フィンスイミングで世界を取ったアスリートであるじゅんいちなら、この分野の製品やサービスの価値を消費者目線で見極められるはずだと付け加えた。

じゅんいちは「なんか馬鹿にされてる気がする」と反応し、出演者からは「途中から『純一様』と言いたいだけでは」という突っ込みも入った。一方で、専属らしさは感じるという声や、こう言われると勧められたものを買いたくなる、反論しにくいという声も出た。

30秒の回答が意味するもの

出演者が注目したのは回答の速さだ。人間が調べれば半日かかるような内容が30秒で出てくる。使う人と使わない人の差はどんどん開きそうだ、という受け止めだった。西村は、絞り込んだ分野についてさらに具体的な銘柄を会話で詰めていけば、最終的に「これ1つにしよう」という答えまで研ぎ澄ませていける、と使い方を説明した。出演者からは、人間の投資家の優位性がなくなっていく気がするという声も漏れた。

じゅんいちは感想として、3人とも、AIも含めてさすがだと語った。AIにどんな役割を与えたかを後で聞いて、自分でもやってみたいという。テスタを連れて帰ると食費がかかるが、AIはかからない、という冗談も出た。

AIに任せる未来への問い

テスタは、AIの言っていることが本当に当たっているのかをきちんと検証したいと話した。考え方が分かり、銘柄まで出せるなら、口座に100万円を入れて「この考えに基づいて売買しておいて」と任せることもできるようになる。それで普通にやるより利益が出るなら「ちょっと怖い」とテスタは言う。

じゅんいちは、みんながAIを使うようになったらAI投資は普通の投資になり、誰も儲からなくなるのではないかと疑問を投げた。誰かが損をしなければおかしい、という理屈だ。出演者からは、他の投資家のパソコンを壊しに行くしかないという冗談も出た。最後は、それを不安に思うのではなく楽しみにして学んでいきたい、という発言で前半が締めくくられた。

次回予告では、じゅんいちが5年間で車の購入費や諸経費、駐車場代などを含めて1900万円を儲けたいという目標を掲げた。人間側は、イランと米国の情勢で一時的に下がっている銘柄を狙う案を示唆した。AI側は、年7〜10%程度の運用ができれば約4年から4年半で目標に届くという「最も確実な投資戦略」を提示する、と予告された。