上場ゴールを超えて株主に選ばれるスタートアップ市場をどう作るか
ReHacQ−リハック−【公式】新興企業が新規公開(IPO)を果たした直後に成長が鈍化し、株価が低迷する「上場ゴール」の問題が指摘され続けている。同時に、東京証券取引所グロース市場の低迷やIPO件数の減少など、新興市場全体が厳しい局面に立たされている。
スタートアップが上場後も成長を維持し、長期的な資本を引き付ける市場をどう形成すべきか。カンファレンス「IVS」のセッションにおいて、モデレーターの藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス創業者)、田端信太郎氏(アクティビスト個人投資家)、朝倉祐介氏(アニマルスピリッツ代表)、持田昌幸氏(タイボーン・キャピタル・マネジメント 日本株投資責任者)の4名が、公開市場の投資家視点とスタートアップ経営の実態から議論を交わした。
グロース市場の現状と上場株投資家の冷徹な視線
セッションの口火を切ったのは、アクティビスト個人投資家として活動する田端信太郎氏である。田端氏は、日経平均株価が高値を試す一方でグロース市場全体が低迷し、大型株や半導体関連など値動きの強い銘柄にばかり資金が向かう「モメンタム」相場が続いている現状を指摘した。
田端氏によれば、上場株式市場における「成長(グロース)」の定義は、未上場市場で多用されるユーザー数や売上高の拡大ではなく、「利益成長」そのものを指す。インフレ環境下において、新興企業が決算説明会で誇らしげに前年同期比10〜20%程度の増益率を示すことに対し、田端氏は強い違和感を示した。グローバル市場には利益が急伸する銘柄やS&P500、有力なグローバルテック企業といった選択肢が豊富に存在するなかで、設立から数年の新興企業がわずかな増益率にとどまるのであれば、相対評価として資金を投じる合理性は薄いと主張した。
一方、タイボーン・キャピタル・マネジメントで日本株投資責任者を務める持田昌幸氏も、半導体一色のようなトレンド相場に触れつつ、最終的に投資家が注視するのはテーマ性や売上規模ではなく、収益性と将来のフリーキャッシュフローの創出力であると述べた。また、上場市場の投資家は時間軸を重視するため、「2年後に株価が上がる」と言われても、その確信が得られる材料(カタリスト)が出る時期まで買いを控える傾向がある点を指摘した。
なぜ「上場ゴール」や「スモールIPO」が生まれるのか
スタートアップが未熟な規模のまま上場を急ぎ、結果として上場ゴールに陥ってしまう背景には、国内の資本供給構造が関係している。アニマルスピリッツの朝倉祐介氏は、未上場段階で数十億〜数百億円規模のリスクマネーを供給するプレイヤーが不足していた過去の構造を振り返った。
朝倉氏が過去に設立したレイターステージ向けファンド「THE FUND」での経験によれば、当時最も競合したのは他の未上場投資ファンドではなく、当時の東証マザーズ(現グロース市場)そのものだったという。起業家は上場が現実的に見えてくると、上場準備の苦労を考慮しても早期のIPOを選びがちになる。
これに対し、セッションでは起業家の置かれた経済的インセンティブの課題も浮き彫りになった。藤野英人氏は、米国の起業家と異なり、日本のスタートアップ創業者には高額な役員報酬を取らずに身を削って経営している者が多く、資金的な事情から早期のイグジットを望むケースが少なくないと補足した。
田端氏からは「それならばIPOを焦る前に、未上場の段階でベンチャーキャピタル(VC)が創業者の持ち分の一部を買い取って息をつかせることはできないのか」という疑問が投げかけられた。朝倉氏は、かつては創業者が途中で株式を現金化することへの根性論的な批判が存在したものの、現在ではセカンダリー取引によって創業者が持ち分の一部を売却する事例が出始めていると説明した。
また藤野氏は、支配権を維持しようとするあまり創業者が自社株を担保に融資を受け、その後の市場下落によって強制的な売却に追い込まれるリスクにも言及した。制度設計や個人のインセンティブ構造を複眼的に捉えなければ、根性論だけで上場ゴールの問題を解決することはできないという見解で一致した。
日本市場におけるM&Aの壁とプライベート・エクイティの台頭
早期の上場に代わる出口戦略としてM&A(企業の合併・買収)の活性化が挙げられるが、日本国内では大型M&Aが極めて起きにくい現状がある。朝倉氏は、米国のスタートアップのイグジットはおよそ8〜9割がM&Aであるのに対し、日本はその比率が逆転していると指摘した。さらに、国内のM&A案件の多くには「約50億円のガラスの天井」が存在し、数百億〜数千億円規模のディールは金融系などの特定セクターを除けば稀であると述べた。
田端氏は、大企業側が買収後のバリューアップに自信を持てず、減損処理による責任追及を恐れて50億円前後の無難な規模にディールを抑え込んでいると分析した。さらに、買収された側の創業者が子会社社長や本体の役員に就任した際、大企業のプロパー社員との間で生じる待遇差や嫉妬といった感情的軋轢、年功序列的な組織力学も阻害要因になっていると論じた。藤野氏も、解雇規制をはじめとする日本の硬直的な労働市場が、M&A後の機動的な組織再編を難しくしていると同意した。
一方で持田氏は、事業会社による戦略的買収(ストラテジックM&A)だけでなく、国内外のプライベート・エクイティ(PE)ファンドの規模拡大と存在感の向上に注目した。持田氏自身の関与先でも事業会社ではなくPEファンドへ売却した事例があるとし、IPO以外の現実的な受け皿としてPEファンドが機能し始めていると評価した。田端氏も、自身が投資していたインフォリッチの事例などを挙げ、市場で過小評価された企業がプレミアムを伴って買収・MBO(経営陣による買収)される動きに期待を寄せた。
規制強化のジレンマ:スモールIPO排除と市場の選別機能
新興市場の健全化をめぐる議論のなかで、オルツの粉飾決算疑惑をはじめとする不正事案が市場に与えた悪影響が取り上げられた。朝倉氏は、こうした不正企業は真面目に事業を行うスタートアップやVCにとって極めて迷惑な存在であると強く批判した。
しかし同時に朝倉氏は、旧マザーズ発足以降の上場約1,000社のうち、社会的な問題となった粉飾等はわずか10件程度(約1%)に過ぎないというデータを提示した。1%の不正を取り締まるために残りの99%に対して過度なデューデリジェンスや引受審査の厳格化を課し、資金調達の円滑さを損なう制度設計には疑問を投げかけた。さらに、時価総額100億円未満の企業に退出を促すグロース市場改革の趣旨は理解できるとしつつも、エス・エム・エスやシフト、ZOZOのように初値時の時価総額が数十億〜200億円程度であっても、その後に大きく成長した優良企業が存在することを挙げ、入り口の審査基準まで一律に狭めてしまうことへの懸念を示した。
藤野氏は、取引所の審査部門や証券会社の引受部門が「将来成長するものや面白いもの」を目利きできるのかという本質的な問いを投げかけた。事件が起きるたびに「正しい経営」や確実な予測可能性ばかりが求められ、非連続な成長を目指す企業が市場から締め出されるという矛盾が深まっていると指摘した。
田端氏は投資家の立場から、未上場時の評価額を下回って公開する「ダウンラウンドIPO」をむしろ歓迎すると発言した。評価額が十分に下落した状態で市場に出てくることは、未上場のVCが享受するはずだった成長余地が公開市場の投資家へ開放されたことを意味するためである。株式市場はそもそも自己責任原則に基づくミスプライシング(価格の歪み)を見つける場であり、情報開示に虚偽がない限り、過保護な規制で優良な投資機会まで奪うべきではないと論じた。悪意を持った粉飾行為には20〜30年の厳罰を科すべきだが、市場全体の取引基準を過剰に硬直化させるのは本末転倒であるという考えである。
上場企業はいかに株主と対話すべきか
時価総額100億〜200億円規模の銘柄において証券アナリストのカバーが途絶えるなか、個人投資家との直接的な接点が重要性を増している。田端氏は、「湘南投資クラブ」や「カブベリー」といった個人投資家の自主的な勉強会を例に挙げた。こうした場に登壇する中小型企業の経営者に対し、参加者からアナリスト顔負けの鋭敏な質問が飛ぶケースが増えているという。生成AIの活用によってリサーチ環境が平準化された現在、真摯に情報開示を行う企業であれば、直接投資家とエンゲージメントを築く好機が広がっている。
一方、IR(投資家向け広報)のあり方について、登壇者からは短期的な株価対策への警鐘が鳴らされた。朝倉氏はミクシー経営時の経験から、日々の株価の上下には過度に惑わされず、中長期で本質的な企業価値を返すための組織・事業作りに集中していたと振り返った。一時的なブームで業績や株価が急騰した際には、資本コストの上昇と市場の過剰な期待を冷ますため、あえて慎重なIRを行ったという。
持田氏もこれに同調し、業績の改善が本物であれば、いずれ市場の誰かが割安さに気付いて評価を見直すと述べた。ファーストリテイリングなどのように、過度なアピールを行わずとも着実に実績を積み上げる企業には長期でプレミアムが付与されるとし、経営は「ロングゲーム」であると説いた。
田端氏は、四半期決算が2〜3回良かった程度で「株価が評価されない」とSNSで不満を漏らす新興企業経営者が散見される点を批判した。市場から継続的な高い株価収益率(PER)を付与されるのは、一過性の急伸を演じる企業ではなく、3〜5年にわたり期初の約束を着実に守り、安定した成長軌道を維持する企業である。サイバーエージェントの藤田晋氏がメディア事業への大規模投資を行いながらも営業利益の階段状の推移を意識した事例を引き合いに出し、上場企業には「関係者にネガティブサプライズを与えないプロセス管理」が不可欠であると説明した。
藤野氏も、株価は「EPS(1株当たり当期純利益)×PER(株価収益率)」で決まる原則を改めて提示した。時価総額が小さく地味な銘柄であっても、年率20〜30%の利益成長を3〜5期連続で達成すれば、EPSの拡大に加えてPERの急拡大(マルチプル・エクスパンション)が起き、株価が数倍に跳ね上がる。未上場時の「結果がすべての大逆転劇」という論理と、上場市場の「計画の再現性と透明性」という論理の違いを、起業家は深く理解する必要があると総括した。
セッションの結論:資本市場と向き合う起業家への提言
セッションの締めくくりとして、登壇者各氏からスタートアップ市場の活性化に向けた最終的なメッセージが提示された。
朝倉氏は、ウォーレン・バフェットの「良い事業家であるから良い投資家であり、良い投資家であるから良い事業家である」という言葉を引用し、経営者と株主は対立する関係ではなく、長期的な企業価値向上を共に目指すパートナーであると述べた。起業家自身が投資家の視座を持って経営に当たることが肝要であると語った。
田端氏は、上場後のIRを証券会社やCFO任せにせず、自社の製品やサービスを顧客に届けるマーケティングと同じ意識で捉えるべきだと提言した。「自社の株券」にとってのターゲット投資家は誰であり、競合との差別化要因は何かを経営者自らが突き詰めることが、株主に選ばれる必須条件であるとした。
持田氏は、究極的には業績の裏付けがすべてであり、数字が伴っていれば株価はいずれ追いつくと総括した。また未上場企業に向けては、事業計画の進捗に合わせて未上場段階から既存株主を段階的に入れ替えていくような、柔軟で最適化された資本政策の重要性を説いた。
最後にモデレーターの藤野氏は、市場に向き合う心構えとして「株価は常に正しい」と「株価は常に間違っている」という一見矛盾する二つの命題を提示した。市場で形成された価格である以上はその現実に謙虚でなければならないが、同時に市場価格が企業の真の価値と完全に一致することは稀であり、過大評価か過小評価の振れ幅の中に常に存在している。この乖離の構造を冷静に見極め、事業と市場の双方に向き合い続けることが、上場ゴールを超えて持続的に成長するための指針として示され、セッションは幕を閉じた。
株式市場って基本的には自己責任なんで、上場ゴールって言ったって別に無理に買わされるもんでもないから、そんなクソな銘柄は公募でも初値でも買わなきゃいいだけなんですよ。粉飾をした人ということに関しては、本当に20年とか30年ぐらい懲役にすべきなんですよね。労働市場のところがまだ結局、転職はなかなかしにくい、あと社員のクビをなかなか切れないというような解雇規制があるというところが、実は結構いろんなところに影響があって、増益率が10%、20%なのにグロース市場で「増益してます」って言って決算説明会でグラフを出してる社長に僕イラッとくるんですよ。「そんなもん当たり前やろが」みたいな。結果として上場ゴールになってしまう会社が出る。こういった会社ばかりが続いてしまうと、そもそもグロース市場だとか、もっと手前のスタートアップそのものが世の中の信任を失ってしまうと思うんですね。未上場の段階でやっぱり株主を入れ替えるみたいなことって、資本政策として全然ありだと思うので、その時に常に最適化された株主政策を考えることが大事なのかなと。
スタートアップをどうするか、もしくはグロース市場をどうやって活性化できるのかできないのか。面白い会社が少ないんですよ。そこそこ儲けて、かつ面白くあってくれと。投資において大事なのは夢見れるってことなんで。M&Aですよね。こういった選択肢もあるんだっていう機会を増やして、あともう一つ、これもだいぶ整いつつありますけれども、株主に選ばれるためには最初の熱量を伝える必要があるけれども、どう伝えればいいですかね。本当に今時価総額100億問題もあって、100億ぐらいの会社の人たちは本当にそこの熱意があって。私がミクシィを経営してた時、明確に言ってたのは目先の株価を見ても仕方ないじゃないですか。本質はやっぱり強い組織を作って強い事業を作るってことなんだと思います。ちゃぶ台をひっくり返すような話なのですが。
皆さん、こんにちは。モデレーターをします藤野でございます。「上場ゴールを超えて株主に選ばれるスタートアップ市場をどう作るか」というテーマで、これからお話をしたいと思います。大体このIVSの場合だと、モデレーターが台本を書いて、それをそれぞれのパネラーと話をしながら進行台本を書くことになってるんですけども、まずめんどくさいということと、このメンバーだと多分台本を書いても意味がないということがあるのでノー台本です。なので、これからどういう方向で話がいくのか、私も含めて登壇者も全員分かりませんという中でお話をします。その代わり、すごくライブで楽しい話ができるんじゃないかなと思っております。最初に自己紹介からスタートして、あとは全部アドリブで行こうと思います。
私は藤野英人と申します。レオス・キャピタルワークスの創業者で、最近いろんな意味でFIREしてですね、FIREされたというかFIREしたというかそういう状態なんですけども、今アニメのプロダクションの会社だったり、スタートアップの投資の仕事をしているものになります。今オンラインで持田さんが繋がっていますので、持田さんからご挨拶していただこうと思います。じゃあ、持田さんよろしくお願いします。
すいません、僕の声聞こえますか?本日対面で参加できなくて。私、Tybourne Capitalという上場ファンドで日本株の投資責任者をさせていただいている持田と申します。よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。朝倉さんがアニマルスピリッツですけど、田端さんはスピリッツがない野獣ですか。はい、じゃあ田端信太郎さんお願いします。
田端と申します。昔はLINEとかZOZOで役員をやった後、5年ぐらい前から中年YouTuberになって、最近は株とか投資のことばっかりやりながら、主に上場企業でちょっと上場ゴールしちゃって上場から1、2年後ぐらい株価が低迷してるような会社の株を買って、モノを言って株価を上げるという投資活動もやっております。よろしくお願いします。
スピリッツのついているアニマルスピリッツの朝倉さん、お願いします。
朝倉と申します。アニマルスピリッツというVCをやっております。元々自分自身も起業をやっておりまして、その後その売却先であったミクシィという上場企業の経営者をやっていました。今回のセッションですね、裏で南場さんの講演をやってる中、ここへいらした方というのは相当な物好きと玄人だと思うんですけども、同業者からも「なんでこれ引き受けたの?」と言われながら、自分でもよく分かんないんですけど今日来ましたので。ただ、ここが本当のコア、今回のヘッドライナーですから、1時間戦いましょう。よろしくお願いします。
じゃあまず、田端さんに口火を切ってもらおうかなと思うんですけれども。田端さん、今日本のマーケットってどうですか?どう思ってますか?取り組みやすいのか、取り組みにくいのか。
今いわゆる上場株の世界はモメチンだ何だと言われてまして。モメンタムチンパンジー、要はキオクシアみたいに上がる株にどんどんどんどん資金が集中して、それ以外のところからはお金が抜けると。上場株の世界でもグロース市場ってありますけども、日経平均が4万円台だ何だと言ってるのに低迷してるという感じなんですけども。だからといって別に僕なんか悲観してなくて、まとめて投げ売られてる中には100個に1個ぐらいはいい銘柄もあるだろうと思ってて、それを拾い上げてるみたいな感じでやってるんですけども、今グロース全体は暗いですね。
結果的に言った後は上場ゴールみたいなものが多かったり、あるいは上場してもデリッシュキッチンのエブリーみたいにめちゃくちゃなダウンラウンドになってて、「これ上場しておめでたいのか?関係者お通夜なんじゃないのかこれ」みたいに思うような銘柄もあるみたいなところなんですけど。それはそれで上場株に投資してる投資家からしてみたら、むしろダウンIPOとか結構美味しいのがあるんで僕は大好きです。公募や初値では買わないですけど、結構好きだったりもします。
でも結局ね、株式で儲けるためには高値で掴んじゃうとまずいから、根本的には安く仕込まなきゃいけない。これから上がる株を見つけなきゃいけないので、逆に言うと今グロース市場がこういう厳しい状況だけれども、市場そのものが機能しているということであれば、実は結構取り組みやすいという感じもするんですけど、その辺どうですか?
もうおっしゃる通りで、いい銘柄が安く放置されて。下手なサッカーがボールにばっかり集まるみたいな感じで、キオクシアみたいな株にお金が集まってるんだったら、むしろ仕込み時としては最高じゃんって僕は思ってます。
持田さんはタイボーンという、ある面で見ると日本の中で光が当たってない会社を見つけて、長期でリターンを上げている会社で、すごい尊敬してるんですけれども。持田さんから見ると、今のマーケットってどのように見えてますか?
ありがとうございます。おっしゃる通りで、最近は半導体一色みたいな世界観が世の中にはあって、スタートアップにとってはかなり厳しい市場なのかなと思うんですけれども。ずっと投資をしてきている我々からすると、その時その時のテーマとか流行りって当然あるんですけれども、最終的には投資家の期待値の、売上ではなく収益性、フリーキャッシュフローみたいなものが出せるのか出せないのかという、何をやってるかは結局のところ最終的にはどうでもいいと言ったら若干乱暴なんですけれども、そこの収益性みたいなところを見るマーケットに戻ったのかなという印象ですかね。
マーケットにはいろんなトレンドがあって、大型株主導の時もあれば中小型株主導の時もあってということですが、僕から見るとこれから3年から5年の中で言うと、すごい仕込み時に見えてるんですけど、持田さんはどうですかね?それとももっと別の見方をされてるんでしょうか?
そうですね。スタートアップの文脈で言うと、田端さんもおっしゃられてた通り、テーマで上がってテーマで下がるみたいなマーケット、SaaSの時からずっとそうなんですけど、そういう部分があるので、そういった中にもいい株、いい会社さんというのはあるのかなとは思うのですが。時間軸がどうなのかみたいなところは、やっぱり上場株の投資家ってすごく気にするので。本当は買って翌日に上がるのが一番いいんですよね。なかなかそううまくはいかないのですが、「うちのスタートアップは上場して2年後に上がります」って言われても、2年後に上がる確信があったら1年半後に買えばいいじゃんみたいな、多分そういう感じになってしまうので。結構カタリストドリブンなので、上場マーケットのそこらへんが大事なのかなと思ってます。
グロース市場がなんでグロースダメかって言ったら、皆さん、グロースって成長のことじゃないですか。成長ってどう定義します?上場した瞬間から成長って無前提に言った場合は、利益成長が成長なんですよ。利益が伴ってない成長なんてのは成長じゃないんですよ。グロース市場なんか全部ひっくるめた増益なんか大したことないわけですよ、せいぜい10%とか20%とか。それはキオクシアみたいに「利益が10倍になります」みたいな株の方がはるかにグロースしてるから、キオクシアの方がよっぽどグロース株じゃんっていうのが上場株の投資家の世界で。みんな成長っていう時に、ユーザー数とか売上成長率じゃなくて、上場したら利益成長こそが成長なんですよ。
今インフレですら5%とか10%とかしてんのに、増益率が10%、20%なのにグロース市場で「増益してます」って言って決算説明会でグラフを出してる社長に僕イラッとくるんですよ。「そんなもん当たり前やろが、50%ぐらいいってから胸張れや」って思うんですけど、そのベースラインの感覚が根本的にずれてる人が多いなって思ってるのは、めちゃくちゃイラついてるところではあります。
グロース株全般にイラチン。全然分かってないなと。そういう人が「投資市場に評価されてなくて残念だ」みたいなこと言うんですけど、評価されないのは当たり前だよと。あと、良くないグロース市場の創業オーナー社長の典型は、「この人ほとんど今まで株を買ったことないんだろうな」って人が語ってる。だから全然本当の上場株の投資家の気持ちが分かってないなって思うことが多いんですよ。
例えばこれからAnthropicとか上場しちゃうわけですよ。上場企業の投資家だったら、ある銘柄に100万円投資するってことは、SpaceXやAnthropicやS&P500に投資することができたかもしれない100万円を「うちの会社に投資してくれ」っていうのがグロースのIRじゃないですか。なんだけど、そんなわけわからん、できて数年なのに売上成長とか利益成長がせいぜい20〜30%ぐらいの会社に投資するんだったら、もっといい会社いくらでもあるよっていうのが上場株の投資家の感覚なんだけど。「10%や20%の増益でうちの会社が評価してもらえない」って、相対評価で考えろよバカ、ぐらいに僕は思います。
いいね。田端さん、期待通りアニマルって感じになってきたんで、じゃあ次、アニマルスピリッツの方に少しどう見えてるか教えていただきたいなと思います。
スタートアップ側の人間としてお話をすると、やっぱり上場ゴールというものが多く出る状態というのは良くないよねというのが大前提ではあって。端的に申し上げると、例えばオルツみたいな最初から粉飾、これはもう本当に二度と入ってほしくないと思います。なんですけど、グロースの株である以上、どうしてもそこにボラティリティは生まれると思うんですよ。結果として上場ゴールになってしまう会社が出る。これはグロース市場だから仕方ない部分はあります。ただ、そういった会社ばかりが続いてしまうと、そもそもグロース市場だとか、もっと手前のスタートアップそのものが世の中の信任を失ってしまうと思うんですね。
私個人的にはそういった点に問題意識を持って、そうなってしまう原因の多くが、上場前の段階で十分大きなサイズになる前に未熟な状態で出すぎてしまうからじゃないかということで、以前THE FUNDというレイターステージ向けのファンドを作りまして。未上場の段階でも2桁、3桁億円の資金調達ができるようなリスクマネーのプレイヤーになろうということで作ったんですね。
逆に言うと、スタートアップの立場からすると、スモールIPOだとか上場ゴールという風に批判をされるけれども、そもそも未上場の段階でしっかり資金調達をすることができなかったら上場するしかない、エグジットするしかないじゃないかという気持ちも分かるので、そうであれば大きくなるための資金を提供します、というのが過去やった取り組みです。
現場側の人間として言わせていただくと、レイターの投資をしていて一番のコンペティターは誰だったかと言うと、他のレイターの投資家じゃないんですよ。当時のマザーズでありグロースだったんですね。要は、創業者の方も上場できるというのが見えてくると、早く上場したくなってしまうんですよね。もちろん上場準備が大変だとか、現場のご苦労というのはよく分かるんですけれども、上場するとそれこそ田端さんをはじめとする非常に厳しい目の投資家の皆さんから厳しいご指摘を受けるということも踏まえた上で、長い目線で考えられた方がいいんじゃないかなと思う次第です。
大体スタートアップの社長さんたちというのは、ここにいる人たちも貧乏じゃない人もいると思うけど、結構貧乏な人多いと思うんですよ。貧乏っていってもいろんなレベルがあると思うんですけど。というのは何かと言うと、やっぱりアメリカと違って、そんなに創業経営者が何千万とか何億とか取る環境じゃないので、根本的には少ない給料の中でなんとか利益を出すように頑張るということになるから。中を見てみると、創業者が身を削ってるケースが多い。かつレイターステージになってくると、なかなか調達ができないということになると、どうしてもお金の理由によってIPOをしたいという実情もあるんだよね。
僕、今聞いてて思ったんですけど、日本のスタートアップのレイターでそんなことでIPOを焦るぐらいだったら、普通にVCとかが少し創業者の持分を途中でそれなりの値段で買ってあげて、一息つかせたりしないんですかね。
最近そういう事例、ちょいちょい出てきましたね。セカンダリーで。昔からの根性論的なところで、「創業者はちゃんとエグジットするまで歯を食いしばって最後まで責任を持て、途中抜けするのはけしからん」なんていう方もかつてはいらっしゃいましたけど。ゼロか1かじゃなくて、40%ぐらい持ってる人が5%か10%ぐらい売るんだったらいいんじゃないかと僕も思いますよ。実際そういう事例も出てきてるし、公表してる創業者の方もいらっしゃいますよね。
創業オーナー社長が上場してても平気で30%、40%持って、自分で自分に信任票を入れないと株主総会でクビが飛びそうな創業オーナー社長っていっぱいいますけど、売っちゃったら怖いっていう恐怖感との戦いでもあるんですかね。
そういう人は株式を担保にローンするんですよ。株担保ローンをすると何が起きるかというと、今みたいに市場が下がると大変なことになるんです。
ベクトルの西江さんとかそんな感じでしたっけ?名前出しちゃったけど。
具体的な名前は置いといて、そういうような形で支配権を持ちたいと。
株担保融資をするためにも、そもそも上場しないと株担保融資なんて普通させてもらえないですよね。
もちろん未上場では株担保融資はできないから。株担保融資をして、そのお金を使って色々とお金を使うんだけれど、結果的にマーケットがドンと下がったことによって、株を売らざるを得なくなった経営者は山のようにいるんですよね。だから本当にスタートアップの経営者とかオーナーのインセンティブをどうするかとか、給料をどうするかっていうところは、ちゃんと正面から見据えてやらないと根性論だけじゃうまくいかない面もあるかなと。いろんな問題がごっちゃり固まっているんですよね。スタートアップの問題というのはただ一つにあるわけではなくて、複数の10や20ぐらいの問題の複合体があるんじゃないかなと思ってますね。
持田さんは、他のヘッジファンドとかに比べてみると、割と長期でタイボーン・ファンドは持たれてるケースがあると思うんですけど、どのくらいの目線で投資をされてらっしゃるんですかね?
投資のスパンとしては、「いい株は一生持っていたい」というような話だと思っていて、5年ぐらいのスパンではあります。今お話を伺っていて僕がちょっと思ったのは、別にIPOをすることだけがエグジットじゃなくて、当然M&Aとかもあるし。ただ日本は何が理由なのか分からないのですが、IPOをしたがる方が多い。多分それはVCも含めてそうだという風になんとなく認識をしていて。普通株とか優先株とか、リクイデーション・プレファレンスの話とか、いろんなことが混在してそういう風になっているとは思うのですが。「M&Aとしたらどうですか?」と言うと、それだけで拒否反応を示すみたいな会社も多かったりして。
それってマルチプルパンパン、業績パンパンでIPOして出てきて、業績予測を3、4四半期連続でミスって株価が半分になって、セルサイドにもカバーされなくて、みたいな地獄を多分皆さん見たことがないからだと思うんですよね。上場株としては別に買わなきゃいいというだけの話で、僕らは日本のIPOには基本的に参加しないので、それはそれでいいんじゃないのと思うのですが。僕もスタートアップ界隈に首を突っ込ませていただいている身としては良くなってほしいなと思うと、M&Aみたいなところはもっと積極的に検討したらいいなと思いますし、別にM&Aが負けでIPOが勝ちなわけでは全くないですし、その辺がちょっとIPO神話化してる感じはあるのかなと思ったりもします。
朝倉さん、最近M&Aという出口も結構増えてきたと思うんですけども、出口としてのIPO、それからM&Aというのはどんな風に整理されてらっしゃいますか?
M&Aは増えてきましたね。昔から言われてることですけれども、北米のスタートアップは大体件数で言うと8割か9割がM&Aなんですよね。日本はそれが完全に逆転の状態で、オプションをもっと増やしていかなければいけないという意味において言うと、M&Aはもっと増えてほしい。これは業界にいる人たち誰しもが思っていることなんじゃないかなと思います。
投資家の目線で見た場合にリターンが大きいのはやはりIPOですね。とはいえ日本において、今までの事例で言うとM&Aは大体50億円ぐらいのガラスの天井みたいなものがあると。例えばPaidyの3000億円だとか、去年のUPSIDERですとか、ああいったものというのは極めてレアケースで、なおかつPaidyの場合であれば海外の金融の会社で、UPSIDERについても金融ですよね。ですので、セクターを選んだ時点でもう大体M&Aできるかできないか、そのてっぺんというのは自ずと決まってしまうという現実がある。そんな中でどうやって他のセクターでもより大きなM&Aを増やしていけるか、そういった期待に応えられるようなスタートアップを増やすことができるか、ここらへんが我々の課題なのかなと思っています。
どうですか?今マイクを取ったアニマルは。
僕、一番最初NTTデータとかリクルートにいて、リクルートで20年ぐらい前に今で言うCVCみたいなことをやってたんですけども。日本で巨額のM&Aがスタートアップに対してしにくいのは、買う側が買った後その価値をさらに伸ばすような自信がないから。せいぜい50億円ぐらいまでにしておかないと、何百億の案件を掴んじゃって全額減損とかなったりしたら責任問題になるけど、50億ぐらいまでだったら本業とのバランスにおいて大して騒がれずに済むというサラリーマン的な保身だったり。
あとはキーマン条項的に、元々M&Aされた会社の人がそのまま子会社社長として残ったりしても、買う大企業側にいるプロパーのサラリーマンとの嫉妬の力学みたいなところも含めて、なかなか難しいものがあって。アメリカとかだともっとドライにやれると思うんだけども、「なんであいつは同期間換算した俺らよりもはるかに給料が高いんだ」とか、それに耐えられなくてスタートアップの人が出ていったりとか、「あいつらほっとこうぜ」って大企業側がなったりとか。
創業オーナー社長だとまだ何とかできるんですけど、例えば典型で言うと堀江さんとか前澤さんみたいにやってたらできるのかもしんないんだけど、普通のJTCっぽいところがそれをやって大きく育ててすごくうまくいったっていうのがあんまりイメージがないですよね。LINEヤフーのZホールディングスぐらいだったら、それはそれでうまくいってんのかなという風にも思うんですけどね。でもそこがないから、結果的に上場ゴールになってるのかなと。
LINEヤフーとかだと川邊さんとか小澤さんとか、割と腹の座った人で。川邊さんも小澤さんも買われて入った側ですからね。そういうバックグラウンドも確かにあるかもしれないね。
お二方の場合は最終的には孫さんがいらっしゃるわけですしね。一般の上場企業、大きな会社だと、買われて入っても3年したらもう担当者が変わってたり、買収された時の話と全然違うってことよくあるじゃないですか。だからスイングバイIPOって話がありますけども、あれは結構僕は危険だな、空手形になりがちだなと思って見ていますが。
買い手ってストラテジックだけじゃなくて、プライベート・エクイティ・ファンドが最近日本でもどんどん増えてきて、ファンドサイズも増えてきていて。僕ら例えばジンジブとかPEファンドに売却させていただいたりしましたけれども。ストラテジックという文脈では皆さんのおっしゃる通りなのかなと思うんですが、PEファンドは結構しっかり買ってくれるイメージはありますけどね。
その面で見るとキオクシア、あれはベインキャピタルのスーパー成功案件だと思うんだけれども。海外でも国内でもどっちでもいいので、まずはそういう買収案件がバンバン出てきて成功するっていうのはいいことかもしれないね。
ベインだともうちょっとIVSっぽいので言うと、僕も結構投資してたんですけど、INFORICH、ChargeSPOTっていうモバイルバッテリーのシェアリングのサービスがあって、あそこはある意味ちょっとダウンラウンドっぽいIPOだったと記憶してます。その後も株価が低迷してる時期が多かったのが、2、3年前から僕が買ったあたりから結構上がっていって。僕が決算ごとに行って色々と激励させてもらってたんですけども、僕が決算ごとにやってくるのが超嫌だったのか、ベインキャピタルにあの場でついてる値段の2.5倍ぐらいのプレミアムでMBOされて。ベインキャピタル、こういう時にも出てくるんだと思ってびっくりしました。
プレイヤーというのは多様化してるけれども、でもさっきお二人が話された通り、やっぱり日本の中のもう一つの問題は労働市場なんですよね。労働市場のところがまだ結局、転職はなかなかしにくい、あと社員のクビをなかなか切れないというような解雇規制があるというところが、実は結構いろんなところに影響があって。このM&Aの問題も、実は日本の非常に強固な労働市場というか、社会主義的な労働市場っていうのも裏にあるような気がしますよね。
例えば大企業が50億か100億ぐらいでスタートアップを買ってくるじゃないですか。その創業者の人が素晴らしい起業家だから、「沈滞した我が社に新しい風を」とかって言うんだけど、例えばその人が35歳ぐらいだったとするじゃないですか。子会社社長のままだと権力ばっかり利いてて本体を向いてくれないから、「この人も本体の執行役員ぐらいにしてしまえ」みたいなことがよくあるじゃないですか。でも、その人と同じ35歳、同期入社換算した人から一人も執行役員が出てない段階で、買ってきたスタートアップの社長がいきなり執行役員になっちゃったら、大企業のサラリーマンの論理で言うとモチベーションが下がっちゃうんですよ。ここをどうするかみたいなところがめちゃくちゃあるなっていうのは、僕もNTTとかリクルートにいたんで痛いほど分かります。
例えば夏野さんという、今KADOKAWAで苦労されてる方がiモードをやってた時に執行役員になったんだけど、あれはNTTグループのプロパーの保守本流たちから見たらかなり早くなっちゃったんで、それだけでもすごい激震が走ったりするんですよね。
そうですよね。そういう面で見ると、日本の上場ゴールの話であったり、IPOの問題だったり、M&Aの問題というのはそういう背景があるんですけれども。ただ、この問いは「スタートアップ市場をどうするか」、もしくは「グロース市場をどうやって活性化できるのか」というところで、前向きな「こうするとうまくいくかもしれないね」というところがあるかもしれないので、どうすればいいのかってことに関して色々お聞きしたいんですけど、田端さんどうですか?
やっぱり面白い会社が少ないんですよ。儲かってる会社に高い株価がつくのは当たり前なんだけど、儲かってる会社が少ないって問題がまずあるんだけど、それはさっき言ったから、せめてそこそこ儲けて、かつ面白くあってくれと。あるいは夢見させてくれよと。投資において大事なのは夢見れるってことなんで、そうでもなかったら国債でも買えばいいわけです、今金利も上がってきてるんだから。
例えば最近で言うと、良くも悪くも堀江さんとか前澤さん以降のところで言うと「目立ったら損」みたいなのがスタートアップ村にあって、その空気自体が一巡して間違ってる気もしてて。最近僕が付き合いある中で面白い社長だなと思うのは、yutoriの片石さんとかは面白いなって思うんですよね。
よく上場できたなと思う。
いやいや、でも案外ちゃんとしてるわけですよ。そこまでロックでパンクでもなくて。「見せてるだけ」って言ったら言葉悪いですけど、そういうような感じで、せめて面白くあってほしいなと思います。
そこらへんどうですか、朝倉さん。どうやればこの市場をもっと魅力的に、どうやって活性化しますかね?ポジショントークも含めて。
いくつかあると思うんですけど、先ほどお話に上がったようなM&Aですよね。こういった事例も出てくることによって、起業家の方だとか投資家としても「こういった選択肢もあるんだ」という機会を増やしていくということ。これが一つ。あともう一つ、これもだいぶ整いつつありますけれども、セカンダリー。これは創業者も然りですし、我々VCのようなプレイヤーでシード段階から入った人たちが「だいぶ会社が大きくなってきたし、ファンドライフも来たし、次の投資家の人たちにバトンを繋いでいきましょう」というような取り組みというのが増えつつあると思うんですけれども、もっと滑らかにできるようになればというのはあると思います。
加えて、昨年のグロース改革ですね。時価総額100億円を切った会社については一定期間過ぎると「退場してもらいますよ」という仕組みができたわけで。これ自体は制度の設計としてはよく分かるんですけれども、同時に僕は上場ゴールは良くないけれども、必ずしもスモールIPOが悪とも思っていない。
例えばエス・エム・エスにしてもそうだし、SHIFTとかも元々上場時は30億円程度ですからね。ZOZOも上場時は200億円じゃないですか。そんなに大きいサイズでは決してない。そこからあれだけ立派な企業に成長することもあるわけで。退出を促すというのはよく分かるんですけども、一方で入り口も狭めるというのは、これはちょっと違うんじゃないかなと。制度的な制限があるわけではないけれども、実態として証券会社の人たちとかも非常に引き受けにくくなってるというのは、ちょっと違うんじゃないかなと思う節はありますね。
問題は、東京証券取引所の審査の人と証券会社の引受の人たちが、成長するものと面白いものを発見できるのかという問いなんですよね。何か問題があったりプレッシャーがかかると必ず何が起きるのかというと、「正しい経営をしなさい」という世間の声もあるので、特にオルツ事件がありましたってことになってくると、とにかく正しい数字、正しいこと、あと予見可能性がある、要は不連続なものは見せないでほしいとなるから。市場の要求と、起きたことに対する対策というのが背馳になっているということはすごい感じます。オルツ事件というのは本当に最悪の事件なんだけど、それが起きたことによってむしろより保守的で、より面白くない会社の方が上場しやすいという構造ができることをどう取り組むのかというのは、すごい大事ですね。
オルツの件は真面目にやってるスタートアップの人たちからすると本当に迷惑な話で。あれによって証券会社の引受だとか上場時の基準、内実は今、金融庁等々から我々VCもデューデリジェンスをする際に「こういった基準を満たしなさい」といった条件が降ってきてるわけですけれども。それによってどんどんどんどん資金調達がしづらくなったり、滑らかさが失われてしまっているわけですね。
今までマザーズができて以降に上場した会社って1000社程度あるらしいんですけれども、その中でこういった粉飾等々の件数って10件なんですよ、ライブドアも含めて。1%じゃないですか。1%だからいいって言ってるわけではないんだけれども、それをもって99%の人たちがガチガチにすることで割を食うというのは、本当に制度設計としていいのかというのは課題意識として思います。
ここにすごい矛盾があるんですね。かなり大きくなることが確実に見えていて、安全確実なものを探そうということになると、そもそもタマがなくなってくるということで、今IPOの件数が激減しているということになってきている。でも、今出てきているIPOがすごい成功しているのかというとそうとも言えない。じゃあスモールIPOでむしろ市場に出させておいて、見極めるべきじゃないかという議論もあってもいいと思うんですね。
僕は正直言うと、上場株の投資家としてはいわゆるダウンラウンドIPOは大好きです。ダウンラウンドでも出てくるっていう人は、まず創業者にガッツがあるんだろうなと。本当だったらVCが取っていたであろう成長フェーズを、上場株の投資家にも解放してくれてる行為だなとも思うんで。
あとは結局、株式市場って基本的には自己責任なんで。上場ゴールって言ったって別に無理に買わされるもんでもないから、そんなクソな銘柄は公募でも初値でも買わなきゃいいだけなんですよ。値段が十分に安ければ株式投資というのは成り立つわけで、どんなに素晴らしい会社だろうが高値だったら成り立たないですし。
国策として「貯蓄から投資へ」「資産形成」みたいなことを言ってるから、「株式市場は鉄火場じゃない」ということにならないといけないし、それも分かるんだけど。そうは言っても株式市場というのはそもそもミスプライシングを見つけて儲けるゲームの場なので、目利きができないやつは損をするというのは当然です。オルツみたいに嘘をついている情報開示は論外なんだけれども、開示が正しく行われている前提においては、高値で掴んだやつがバカでしょっていう。過保護な規制はむしろ投資チャンスをなくすんで、やめてほしいという風にも思います。
意図を持って粉飾をした人に関しては、本当に20年とか30年ぐらい懲役にすべきなんですよね。そういうところを厳罰にすることによって、むしろ今まで通りでいいと。本当に悪いやつがいたら逮捕してしょっぴいて長く懲役にするっていう形の方がいいんだけれども、悪いことをした人が結局2、3年で出られる、もしくは執行猶予がついてのうのうと社会の中にいる。そして真面目にやってる人が上場できなくなるというようなことが起きているのが、非常に問題なんだと私は思いますね。
詐欺師の世界というのは、儲けた金額を刑務所に入った年数で割るらしいんですけども、例えば10億円で3年だったら年収3億円じゃないですか。それはやるやつが出るよなと。性悪説を前提にもうちょっと制度設計をいじらないと、お金だけじゃバランスしないところがあるんで。特に粉飾決算は刑事罰が来るんですけど、実際に入った人って少ないですよね。
少ないし、かつ2、3年ぐらい。10年、20年って話はあんまり聞いたことないですよね。本来マーケットに対する影響が大きくて、信頼性に対する経済的な破壊行為が多い割には、バランスが取れてないんじゃないかなって気がしますよね。
では「上場ゴールを超えて」というところですが、その中で個人投資家がどのようにして向き合えばいいのか。個人投資家の方も結構いらっしゃると思うので、投資家としてどうやってスタートアップ市場と向き合うのか、もしくは応援するのか、儲けるのか、それとも離れた方がいい市場なのかというところについて聞きたいんですけど。ガンガンその中から投資案件を見つけている田端さんにぜひ聞きたいところです。
今日IVSに来てる人たちがどれぐらい上場株の世界を見てるか分かんないですけども、株主総会の質問のレベルを見て「個人投資家のレベルって低いな」って思ってるかもしれないじゃないですか。それ、僕めちゃくちゃ気持ち分かるんだけど、最近ネット上に例えば「Kabu Berry」だったりとか「湘南投資勉強会」だったりとか、個人投資家のすごく熱心な方が集まってる勉強会みたいなのがあって。時価総額100億とか200億ぐらいの会社だとIRの手段がないんで、社長がそういう勉強会に出て、ネットセミナーやリアルの対面セミナーに出て、プレゼンした後に投資家からの質問を受けるみたいにやってるんですけど、そこらへんの個人投資家の質問のレベルがめちゃくちゃ高くて感心してて。
しかも今ってAIも出てきて、証券アナリストが今までカバーしてなかった200〜300億以下は、AIの助けを借りながらネットという形でダイレクトに発行体側の幹部と個人投資家がマッチングできるチャンスってめちゃくちゃ広がってるんで。真面目にやってる人たちにとっては、そこらへんはVCからもウォッチされない、機関投資家からもアナリストがついてない、でもこの時価総額100億前後のゾーンには結構面白い会社が今あると思って、僕はそういう会社を見つけて社長を自分のメディアで紹介しながら、自分も投資もしてやってるっていうのに結構手応えを感じてます。
持田さん自身は機関投資家として、そういう銘柄を見つける名人集団だと思うんですけれども、実際どうですかね?どうやって見つけていて、そのノウハウとかを個人投資家に伝えるようなことがあるとしたら、何かございますでしょうか?
どうやって見つけるかは、おっしゃられた通り買い出さないと何も始まらないと思うし、買い出さないと感覚的に分からない部分はあると思うので。とりあえず自分が好きだったり興味あるものを、自分の生活が痛まない程度で買ってみるというところが大事なのかなと思います。期待値のリターンが年率10〜15%だったら大型上場企業を買った方がいいかもしれないし、年率30%、40%狙いたいのであれば中小型株の方がいいような気もしますが。基本的には大部分の人は、長く持てる株を買った方が結果的にはいいのかなと思ってます。
朝倉さんは、個人投資家にグロース市場とか中小型株に対する投資でアドバイスするようなことってありますか?
上場株の個人投資家の方に申し上げられることはないですけれども、上場していたとしてもスタートアップはやっぱりスタートアップだと思うんですよね。ですので、ぜひ創業者の方がどういった思いを持ってやっているのかというのをぜひご覧いただきたいなと。会社は社長が大事だという風に皆さんおっしゃいますけれども、めちゃくちゃ過小評価されてると思っているんですよ。私はミクシィという会社をやりましたけれども、経営者の熱量によってどれだけターンアラウンドできるかというのは変わってくると思っているんですね。
事業だとかトラックレコードはもちろん大事なんだけれども、ぜひ経営者の方がどういったことを話しているのかというのに耳を傾けていただきたいなと。同時に逆の立場で、スタートアップの起業家の方に申し上げたいのは、上場したら田端さんや持田さんみたいな耳に痛いことをおっしゃる方が増えてきますし、それに対応するというのは非常にしんどいことではあるんですけれども、最悪なのはこういった人たちから見放された時なんですよね。
上場して本当に辛いのは、株価も低迷してるし取り扱いもなくて、ピタッと心電図みたいになっている企業で。私は社外としては例えばセス・フィッシャーさんとかと楽しくお話し差し上げたこともございますけれども、やっぱりそういった人たちからしっかりご指摘を受けながらも、真正面から向き合って「自分たちはこうやっていくんだ」という意思を示すこと。それがある種の上場企業経営の醍醐味でもあると思いますし、あんまり逃げずに向き合われた方がいいんじゃないかなと思います。
やっぱり経営者が大事だということですけど、なかなかその経営者の声とか熱量というのを市場に届けることが難しいという話もあると思います。株主に選ばれるためには社長の熱量を伝える必要があるけれども、どう伝えればいいですかね?朝倉さんはどういう人が情熱的で、この人は熱意があるという風に見ますか?それを伝えるにはどういう方法がありますかね?
伝える方法というのは、ひょっとしたら田端さんのYouTubeかも。
結構連絡をいただけるようになって、最初は怖がられたりしてたんですけど、最近は向こうから連絡が来て「ぜひ取り上げてください」と。本当に今、時価総額100億問題もあって、時価総額100億、しかも150億の会社っていつ100億を割るか分かんないじゃないですか。だから100億、200億ぐらいの会社の人たちは本当に熱意があって、「何言ってもいいからとりあえずとにかく出させてくれ」みたいなところもちょいちょい来るようになって。もちろん全部を取り上げるわけじゃないんですけども、そういう姿勢があるだけでも本当に一段違うなって思います。
ただ1個思うのは、株価への意識が高すぎる人たちも一部にいて、これはやっぱりいい印象を受けないんですよね。あくまで株価は結果であるし、投資家と向き合うのも大事なんだけども、それはお客さん、市場、BtoBだったら法人、BtoCだったら消費者と向き合うのがまず先にあって。散々そのドメインにおいては誰よりも自分がそれをやってるって自信を伝えに来てくれればいいのに、入り口が「うちの会社、株価が低いんで」と来ると、ちょっとがっかりします。
1点、矛盾するようなことを言うんですけれども、私がミクシィを経営してた時に明確に言ってたのは「株価無視、IR見てない」。これは株主を蔑ろにするとかそういうことじゃないですよ。中長期でちゃんとお返しするということであって、目先の株価を見ても仕方ないじゃないですか。逆に私が社長をやってた時、年末にかけて元々180億だった時価総額が1000億まで吹いたことがあったんですよ。みんな浮き足立ってるんだけど、これは実はものすごく怖いことなんだと。それだけ資本コストが増えていて、市場から負っている期待値が大きくなりすぎている。逆にIRでもう少し冷ませよって、そういうことも言ってたんですね。上がればいいっていうことではないし、本質はやっぱり強い組織を作って強い事業を作るってことなんだと思います。
朝倉さんのおっしゃる通りだなと思っていて。ちょっとちゃぶ台をひっくり返すような話なのですが、業績が上がっていればどこかで、さっき田端さんも言った通り「めちゃくちゃ安いね」って誰かは絶対気づくはずなんですよね。ファーストリテイリングとかほぼIRをちゃんとしているのですが、そこまで積極的じゃなかったりとか。ZOZOも粛々と淡々と、スロットを決めて「これだけです」みたいな感じで別に社長も出てこない。実力さえあれば別に大丈夫だよみたいな考え方も確かにあるのかなと。
今、持田さんがおっしゃったのをもうちょっと僕テクニカルに言うと、たまに「いい決算を出したのに株価が上がんない」ってXとかで書いてる社長がいるんですよ。大体そういうところは決算内容がしょぼい上に、せいぜい四半期決算で2、3回いいからって時価総額20億、30億の株がそんな急に上がるわけないんですよ。僕が言うのは、まずは3年、5年続けて、5年めちゃくちゃ増益をずっと素晴らしい業績をやってて、それで放置されてる会社は絶対にありえない。半年ぐらいで2回ぐらいいい決算を出したからって「業績を出してるのに株価が冴えない」とか書いちゃうんだけど、そこは歯を食いしばって、いい業績を出してちゃんと還元をやれば、3年続けてくれれば株価は絶対についてきます。
そういうことができる会社って多分プレミアムがついて、キーエンスとかもそうですし、リクルートとかも下がっても適切なタイミングでちゃんと自社株買いして増配してみたいな。そういうことをやっていくとしっかりプレミアムがついていくので、ロングゲームだと思ってやるべきなのかなと。
非常に原始的な形で株を分析すると、「利益×人気」なんですね。EPS×PERで株価は分解できるんです。利益が上がればPERが一定でも株価は上がるんですよ。時価総額が小さくて地味な会社だと、3期4期ぐらい年率20%ぐらいずつ上がっていってもPER5倍とか10倍は変わらないところが、ある程度の時価総額のレベルになって、3期から5期ぐらいEPSの成長が20%ぐらいになってくると、今度PERの爆発が起きるんですよね。EPSとPERが両方上がると株価がズドンと上がるということになるので、中小型株の中で時価総額が小さいけれど年率2、3割上がる会社をじっと持っていくと、最終的にEPSとPERのエクスパンションが起きて、結果的に3倍、5倍、6倍を取れる可能性があるんですよね。
巡航速度で成長し続ける会社にまさにPERの拡大が起こるので。例えば3年で利益が2倍になるとして、0%、0%、100%みたいな増益率ではなく、毎年30%を3回やってくれるみたいな会社の方がPERが上がるんですよ。昔ガラケー時代のゲームがめちゃくちゃ儲かってた時のグリーとかDeNAって、PERがもう10倍を切ってたぐらいの時代があったんですけど、なんでそんなにマルチプルが低いかって言うと、業績のボラティリティが激しいとPERは上がんないんです。そういう意味で言うと、期待値コントロールをした上で外さず、小さい約束を守って淡々とやっていくということが、長期的に株価を作っていく上ではめちゃくちゃ大事で。一発芸みたいにドカンと増やしても、大体見極められててPERが下がる形で株が大して上がんないってことが非常に多いですね。
全般的にスタートアップというか未上場の世界と上場の世界というのは非連続なんですよね。未上場のマーケットというのはVCとか起業家、証券会社の引受の人、税理士、公認会計士、弁護士で、みんなでIPOという夢のあるものに向かって頑張りましょうというところになるんですけど、上場すると毎日株価がついて、経産省が見ていた世界から金融庁の見ている世界になって、適正に取引をしてますか、ちゃんとディスクロージャーをしてますかと。アナリストという人たちが出てきて、会社を応援する意図はあまりなく、実際にどういう業績なのか、どういう構造を持っているのかを解剖学者のように見るというようなところなので、構造が違うんですよね。
特に日本はスタートアップの未上場の世界と上場の世界が分断されすぎていると思います。IVSは未上場村の人が多いんだけど、未上場村の人こそむしろ上場村の論理とか、上場村で起こってること、マーケットのことを知るべきなんですね。時間差を持って必ず未上場の世界に反映されていくからで、上場したらその世界の中にどっぷり浸かることになる。逆にアセマネの世界、上場株の投資の世界の人たちには、むしろIVSとかに行ってスタートアップの人の気持ちをもっと知れよというところがあって。両方分かるようになると、ビジネスもうまくいったり、証券会社の交渉や株価形成、VCとのコミュニケーションがうまくいったりするので、いいことが多いと思います。
だから近場の仲間だけではなく、上場株の世界でさっき話されていたKabu Berryとか湘南投資勉強会とか、普通に行けますから、そういうところに行って話を聞いてみると、目から鱗なところが多いかもしれないですよね。僕もああいうところで話しますけど、すごく真面目だし、質問もめちゃくちゃ調べていて、並のアナリストやファンドマネージャーよりもレベルが高かったりします。
僕なんかは持ってる銘柄、例えばリアルゲイトというサイバーエージェントの子会社なんですけど、そういうところが出ると必ず見に行って、質問と社長の受け答えで引き続きウォッチしてますね。僕は一オーディエンスとしてYouTubeで見たり、たまに現場に行く時もあります。
さっきリアルゲイトのセミナーでサイバーエージェントの藤田さんが言ってた言葉で、サイバーエージェントの決算説明書って過去20期とか30期ぐらいの売上や利益を基本的に右肩上がりにするのが大事なんだと。ABEMAのワールドカップの放映権を全部取ったじゃないですか。あれはめちゃくちゃ大胆な投資って言われたけど、実はあの瞬間に『ウマ娘』が大当たりしてて、営業利益が上に行きすぎると綺麗な右肩上がりの階段にならないから、ワールドカップ投資で広告宣伝費として落としたら営業利益はある意味なだらかにできるので、という計算もあったみたいな話をされてて。藤田さんってすごいなと思ったんですけど。
未上場のスタートアップの状態の場合だと結果が全てなんですけど、上場しちゃうと結果が全てじゃなくて、そのプロセスでどれぐらい関係者を安心させたままできるか、せめてネガティブサプライズを起こさずできたかっていうところがめっちゃ大事になってくるんで。同じ10年で営業利益1000億にいくとしても、凸凹するんじゃなくて階段状にいく方がたくさんの人にとっては安心できる。スタートアップだと凸凹あって最後大逆転でこういう数字になりましたって方が伝説になったりするんですけど、そういう伝説は上場株の世界では求められてない。ほとんどの投資家にとってはそれが現実です。
今言ったようなことは利益操作に当たるのかって言うと、そうではなくて全部開示するからで。今の話は全部田端さんが知っているということは、開示された情報だから知っていると。ただ見た感じの数字がボラティリティがないようにしている、投資家に対して向き合う政策を行っているという意思を示したということがすごい重要なんですね。それが株価形成のところに強い影響を与えてくるということだと思います。
残り5分を切ったので、かなり話は拡散しましたが、上場ゴールを超えて「株主に選ばれる」。どうやって自分たちの企業が株主に愛される会社になるのかということについて、まとめも含めてお話を聞こうと思います。それでは逆から行きましょう。朝倉さん、どうでしょうか。
バフェットが「自分は事業家だから良い投資家であり、投資家であるから良い事業家たり得る」ということをおっしゃるんですけれども、本当にその通りだと思うんですよね。経営者と株主・投資家って割と対立構造で語られがちではあるけれども、長い目線で見たら一緒にその会社の価値を上げていこうっていうところで、本来は目線が一緒になるはずなんですよ。そういったことをちゃんと考えながら、自分は投資家でもありますので事業家の目線を持って投資していきたいと思ってますし、逆に自分が経営していた時は投資家の頭で経営していましたから、そういった頭というのをぜひスタートアップの経営者の方にはお持ちいただけるといいんじゃないかなと思います。
ありがとうございます。朝倉さんでした。じゃあ、田端さん行きましょうか。
上場した後は、いわゆるIRっていうと、経験がないスタートアップの経営者からしてみたらCFOとか証券会社とかに任せておくもんだと思ってるかもしれないじゃないですか。そうではなくて、上場企業というのはサービスや製品を買ってくれる消費者と同じような意味において投資家とも向き合うべきだと思うんで。株主に選ばれるためのIRというのは、自社の株券のコアターゲットってどういうところで、何がKSFで、差別化の要因は何なのかということを、製品やサービスに思ってるのと同じ脳で自分の株券を見てほしいなと思います。それが上場後も株主に選ばれるスタートアップになる条件じゃないかなと思います。
田端さんでした。ありがとうございます。じゃあ、持田さんお願いします。
ありがとうございます。最終的には業績が全てだと思うので、そこが問題なければタイミングにラグはあると思うんですけど、株価はついてくると思っています。未上場の方が多いので未上場の文脈で言うと、未上場の段階で株主を入れ替えるみたいなことって資本政策として全然ありだと思うので。ファンドの満期とかもあって、10年でIPOできると思っていたら実はもっと時間がかかっちゃうのであれば、積極的にコミュニケーションを取って「我々はこういうことをやりたいから株主を入れ替えたいです」とやるのも会社の社長の責任だと思うので。資本政策って必ずしも不可逆ではないところもあるので、その時に常に最適化された株主政策を考えることが大事なのかなと、今日お話を伺っていて思いました。ありがとうございます。
ありがとうございます。持田さんでした。最後に私からですね、株価について2つの矛盾したメッセージがあるというところをぜひ知っていただきたいなと思います。「株価というのは常に正しい」、もう一つは「株価というのは常に間違っている」、この2つの要素があります。
それは何かと言うと、市場でついている限り、もしくはベンチャーキャピタルが決めた価格であれ、ついている限り正しい。だからついている価格に対しては謙虚であるというところはすごく重要です。もう一つ言えるのは、株価というのは常に間違っているんです。企業価値にぴったり株価がついているということはほぼなくて、大体の株は過剰評価されているか過小評価されているかの間にいるんですよね。
だから自分が投資家として見る時、もしくは自分の会社を見る時に、「株価は常に正しい」という観点の中から謙虚な気持ちで受け止めること。もう一つは「株価は間違っている」というところで、なぜこの乖離があるのかを考えること。この2つを同時にする習慣をつけると、ずいぶんと株価に対する見方というのがうまくいくんじゃないかなと思います。ということで、このセッションはこれで終わりにしたいと思います。登壇者にぜひ拍手をお願いします。
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