リュウジが「人生で一番」と推す鮨屋に、代官山「韻」の大将を連れて行った

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概要

料理研究家のリュウジが、カウンター寿司で一番うまいと思った店「鮨 一喜」に、これまで動画に何度か出演している代官山の寿司店「韻」の大将を連れて行った。プロの寿司職人の目にこの店がどう映るのか、が企画の問いである。大将は56歳で、寿司の世界に40年近くいる。リュウジは同行前から「どう思われても、もう俺は美味しいと思ってる」と言い切っていた。

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私服の大将と、緊張する店側

リュウジによれば、一喜は元々千歳船橋にあった店で、今年の2月に渋谷へ移転した。リュウジは知人に誘われてたまたま訪れたという。

撮影はいきなり大将の服装の話から始まる。大将は普段着で現れ、リュウジは「この格好で来るとは思っていなかった」と慌てる。店の大将も、他店の職人を迎えることにかなり緊張していた。店主は以前に「韻」の動画を見ており、前回来店した客との会話がきっかけでこの日の撮影に至ったと説明する。

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タコの柔らかさと、見ただけで当てた魚

一品目は宮城のタコで、1.4kgほどの小ぶりなもの。食感を残して仕上げているという。韻の大将はタコの扱いについて、昔は大根などで叩いて繊維を崩した、今は冷凍して細胞を壊す方法もあるし、炭酸を使う人もいると整理する。そのうえで、タコ本来の硬さや食感を失わせすぎないバランスが大事だと話した。

次の魚を仕込んでいる様子を見ただけで、大将は「松川ガレイ」と言い当てた。店主は「多分これを見て分からない職人も多い」と驚く。出てきた刺身は北海道の松川ガレイで、手前に縁側を添え、下には煎り酒が敷いてある。店主の説明では、煎り酒は今の醤油が広まる前、平安時代ごろから使われた調味料で、酒と梅干しなどを炊いたもの。カレイは当日締めたもので食感が強く、店主は「生命力を感じてください」と出した。

握りの練習の話にもなった。大将は修行時代、魚の端が回ってこなかったので、おからやキッチンペーパーで握りの練習をしていたと振り返る。店主も電車で出勤する間ずっと練習していたと話し、恥ずかしかったが早く上達したかった、という点で二人の話が合った。

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ごまの一品と茶碗蒸しの温度

続いて出たのは自家製の焼きごまを使った品で、下にはごまと出汁、少しキャラメリゼした蜂蜜で作ったソースが敷いてある。大将は和食の店にいた頃、ごまをすらされた経験を懐かしそうに語り、「大好物」と言った。店主は、店の看板メニューというほどではないが、原点を忘れないためにあえて出している、という趣旨の説明をしていた。

茶碗蒸しは、具の入らないプレーンな生地の上に三種の具を載せたもの。リュウジが「大将が大事にしている温度もいいんじゃないか」と振ると、大将は熱すぎない点を評価し、「茶碗蒸しは温度がめちゃくちゃ大事で、熱すぎても良くない」と話した。

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昼と夜で違うガリ

大将が強く関心を示したのがガリである。この店は昼と夜でガリを変えている。店主によると、昼は酒を飲む客がまだ少なく握りが中心なので、あえて爽やかで食べやすいものにしている。夜は酒に合わせて塩気を効かせ、パンチを強くしている。

大将は夜のガリを食べたあとに日本酒を飲むようリュウジに勧め、「さっきまで辛口だったのが変わる」と言った。リュウジも飲んでみて、甘く感じるようになったと驚いていた。大将はのちにも「寿司に合わせるならこれくらいキリッとしたガリがうまい」と話し、ガリだけでつまみになると繰り返している。

なお大将は、焼いている段階や仕込みの段階で何が出るかほぼ分かってしまうらしく、リュウジは「出てくるまで見ないほうがいい」と冗談を言っていた。

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「シャリを入れていいか」と他の客との一体感

愛媛の藤本さんという漁師から届いた小ぶりの素材を、酒と醤油で仕立て、海苔で挟んだ品が出た。大将が「シャリは入れないの?」と聞き、その場で入れることに。店主が「メニューが変わります」と応じ、若い職人が困るという一幕があった。大将は、シャリを入れてもうまいと評している。

この日は他の客もカウンターにいた。大将は騒がしさを詫びつつ他の客にも話しかけ、場はかなりにぎやかになった。リュウジは自分たちだけでなく他の客がいる状況を「めちゃくちゃいい」と言い、大将もあとで、自分たちだけでなく他の客を見て、その全員を店が拾っていることが嬉しいと語っている。

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イカの包丁と、和食と寿司の関係

白いイカの糸造りを見て、大将は「昔はこういう包丁の入れ方はなかった」と話した。大将によれば、自分の時代は和食の料理人と寿司の板前が「バチバチ」の関係だった。寿司は包丁一本の世界で、和食の側からは「お前らとは違う」と見られていた。それが時代とともに、料理人同士が切磋琢磨するなかで、こうした仕事も寿司でやってよいものになってきた、というのが大将の見方である。

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春子鯛、塩、赤酢のシャリ

大分の春子鯛には、海水程度の塩水を塗っている。身が甘いので、あえて醤油は使わないという。ここで大将がシャリを褒め、リュウジのスタッフは「この二人がシャリを褒めるのは一回も聞いたことがない」と驚いた。大将はまた、弟子たちの目線がキリッとしている点にも触れている。

塩はインドネシア・バリ島の塩で、大将は塩だけで酒が飲めると気に入っていた。その大将は、この日の夜に18名の貸し切り営業を控えていた。

その後は、多くの店では腹側を使うところを、あえて血合い側の身を使った品が続き、シャリが赤酢に切り替わる。大将は握りを持った感覚が「優しい」と表現した。合わせた日本酒は、店とのコラボの「上喜元」の純米吟醸である。

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小肌と、大将が泣いた理由

小肌は一枚付けにしているため、バランスを考えてシャリを大きめにしていると店主は説明した。大将とリュウジはここでもシャリの温度を褒めている。

このころから大将は感極まり、「食べた瞬間に涙が出た」と話す。リュウジが一番好きだと言って紹介してくれた店に来て、大将と話をさせてもらえたことが全部嬉しい、という理由だった。イカを丁寧に仕込んでいた弟子についても、ずっと丁寧にやっていた、自分の知らない切り方だったと評価している。

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握りよりトーク、「人を良くすると書いて食」

イカの話の流れで、店のトークの話題になった。大将の考えでは、落ち込んで店に来た客がいたとき、うまい握りを出して「よし頑張ろう」と思わせるよりも、「何か悩みでもあるのか」と話を聞いてあげるほうがいい。リュウジは、それを体現した回として、大将の店に祖母を連れて行った動画が今度出ると紹介した。

大将はさらに「人を良くすると書いて食でしょ」と言い、食をやっている以上はそういうことだ、とまとめた。

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イワシとキハダ

イワシは大将が一番好きなネタだという。ネギと生姜をすり合わせたものを差し込んでいる。

続くマグロは、店主があえて選んだキハダで、神経締めを施し、1ヶ月寝かせたものだという。キハダは寿司ではあまり使われないネタで、店主もその理由について、格が低いと見られる面もあると認めた。店主は釣りでキハダを釣るそうで、釣ったものとは別物だと話す。大将は、神経締めという締め方と、漬けにしていることで美味しくなっていると分析した。マグロの生産者側についても話題に出た。別の皿ではボストンのマグロも出ている。リュウジは店主がわさびをかなり多めに塗っていることに気づいていた。

26:10

頭を煮詰めた「アメリケーヌっぽい」一品

和食の要素が入った一品もあった。温度を入れて粘りを出し、出汁と合わせたものである。身については大将も店主も、若干養殖らしさを感じるかもしれないと話した。頭をずっと煮詰めて使っているため、大将は「アメリケーヌっぽい」と表現している。

27:06

弟子を取るときに見るもの

大将は弟子を取る際の考えも語った。履歴書は見ず、人間性を見る。まず自分の話を1時間半ほどし、そのうえで聞くことは三つだけ。一つ目が「女好きか」で、好きだと答えればまずOKだという。女性を口説き落とす、どうアプローチするかを考える仕組みは、客が来たときに寿司でもてなすのと同じだと思うから、という理由である。リュウジはこれを「ホスピタリティですね」と受け取った。その後はバズレシピのスタッフをいじる雑談に流れている。

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早すぎた試みと、今の挑戦

半熟状態に仕上げた卵の品(いくらではない)は、店主によれば卵かけご飯をイメージしたもので、シャリも変えている。ここで大将は、20年以上前に黄身を裏ごしして茶碗蒸しの上にかける品を出したところ、客に怪訝な反応をされたと振り返った。美味しいと思って出したが、今ではそうした出し方が定番になっている、という。リュウジは「時代が追いついていなかった」と応じた。

大将は今、糖質を抑えた酢飯をうまく作れないかと試しているという。それはダメだと思う、と大将自身も認めつつ、チャレンジしていかないとダメだと話していた。

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かんぴょうの温度

穴子のあと、リュウジが一番好きなネタだというかんぴょうが出た。リュウジが初めてこの店に来たとき、かんぴょうがこんなにうまいのかと驚いたという。店主はあえて温かい状態で出しており、かんぴょうの香りを感じてもらいたいからだと説明する。味付けは醤油と砂糖だけ。大将は「この出し方やばくね? 他でも見たことない」と驚いた。リュウジは、フルーツのような香りがあり、赤酢で握ると梅のような爽やかさを感じると話している。

大将の希望で、かんぴょうを巻物にもしてもらった。大将は途中で止めて温度を感じながら食べ、わさびの効き具合を気に入って「かんぴょうで感動させられるとは」と言った。ほかに粗汁、卵焼き、海苔から出る油が良い海苔の証拠だと店主が示した巻物も出ている。

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大将の評価

食べ終えた大将は、呼吸が苦しくなるほど感動していた。リュウジが初めて勧めてくれた店であり、道中で泣くような場面もあったかもしれないが本当に感動した、と語る。料理はもちろん、店主といろいろな話をしたことに感動した、とも話した。家族で再訪したいとも言い、今度は店主が韻に来る約束をして撮影は終わった。予約は電話かネットで受けており、店主はネット予約を勧めていた。