「話を聞いてもらえる」ことは甘えになる:入山章栄が語るAI時代の組織コミュニケーション
新R25チャンネル新R25の番組で、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄が「デジタル・AI時代にイノベーションを生むための組織コミュニケーション」について話した。聞き手は新R25編集部の十石泰誠である。十石は大学2年のときにコロナ禍が始まり、授業のリモート化など対面での活動が制限された学生生活を送った。その経験から、対面とリモートでのやりにくさの違いや、コミュニケーションのあり方は時代とともに変わるのかを問いかけた。
入山の立場は、出社かリモートかに一律の正解はないというものだ。そのうえで、偶発的な出会い、暗黙知、インフォーマルな情報といった対面ならではの価値が、AI時代にはむしろ大きくなると主張する。さらに話は、大企業の社員ほどコミュニケーションが下手だという指摘へと進んだ。
出社かリモートかは会社の戦略で決まる
入山は、コミュニケーションのあり方は時代とともに変わると答えた。どういう仕事なのか、そこでどんな能力とどんなコミュニケーションが求められるのかによって違うからだという。そのためこれからは、会社ごとに働き方が分かれていくはずで、分かれてよいと考えている。重要なのは、その会社がどんな狙いで対面を重視しているのか、あるいはオンラインでよしとしているのかを理解し、自分がどちらを、どういう理由で望むのかをきちんと考えることだという。
例に挙げたのは、渋谷に本社を置くGMOである。代表の熊谷正寿が全員出社の方針を打ち出して話題になったが、入山は「あれは実はありだと思ってて」と述べる。熊谷には何らかの意図や狙いがあるはずで、それが嫌ならGMOに行かなければよい、というのが入山の考えだ。「対面強制だからけしからん」「リモートだから自由」という話ではなく、会社の意図に合わせて、その会社で働きたいかどうかを選べばよいとした。
リモートで回るソラコムと、対面を重視する燈
対照的な2社の例も紹介された。一つは、入山が取締役を務めるソラコムである。IoTのプラットフォームを手がけ、2年前に上場して急成長しているグローバルスタートアップで、世界中に拠点がある。入山は監査の立場で海外拠点のトップと面談するが、わざわざ現地には行かず、オンラインで会う。ロンドンにいる欧州のトップとZoomで話し、組織図を見ながら「この人とは会っているのか」と聞くと、相手はオーストラリアにいるので会っていない、という答えが返ってくる。東京本社のメンバーは顔を合わせるものの、グローバルでは世界中に散らばって在宅で働いており、それで今のところ回っているという。
入山によれば、回っている理由は、ソラコムが海外で採用しているのがかなりのプロフェッショナル人材だからだ。KPIが明確で、業界経験も長く、自分が何をすべきかを分かっているので、オンボーディングで苦労しない。仕事もエンジニアリングのように、家にこもっていてもプロとして完結するものが中心である。対面で会うのは半年に1回か年に1回程度かもしれず、オーストラリアからロンドンへ行くだけでも大変なのだから、無理に出社させる必要はない。
もう一つは、東京のAIコンサルティング会社・燈だ。入山によれば、テレビで紹介されて話題になった会社で、社員の4割が東大卒と非常に優秀だが、全員出社である。新卒を多く採用しているので、社会人としての振る舞いにまだ慣れていない人もいる。加えてコンサルティングは顧客に伴走する仕事なので、顧客のもとへ出向き、そこで聞いた課題を社内で共有し、どう解決し、どう営業するかをチームで考える必要がある。オンラインだけではやり切れず、その場での会話の盛り上がりや、目を合わせたコミュニケーションが欠かせない。だから燈は「めちゃくちゃ対面」なのだと入山は説明した。
対面回帰の流れと「ピア効果」
十石は、LINEヤフーが沖縄など遠隔地からのリモート勤務を見直す動きを見せたことや、リモートを推奨していた企業が対面に戻しつつあることを挙げた。一方でアクセンチュアのように、以前は厳しい働き方だったのが、海外勤務を認めるなど自由度を高めた例もある。それでも全体としては対面回帰の流れが多い、という点で2人の認識は一致した。
入山は、経営者が肌感覚で対面の必要性を感じているのだろうと見る。コロナ禍の途中には「エンジニアが働かない問題」があったという。エンジニアは夜に働きたいので、昼は出社せず家で働かせてほしいと考えがちだ。しかし職場には意外と強い「ピア効果」がある。隣の人がバリバリ働いていると、自分も負けずにやらなければという気持ちになる。一人だと、エンジニアだから一人でできると思っていても、実際にはネットを見たりお菓子を食べたりしてサボってしまい、時間を無駄にしがちだ。それなら昼間に出社してもらい、周囲が集中して働く中で仕事を片づけて帰るほうがよい、という判断がコロナ禍の途中にあったという。
現在はそれに加えて、会社のカルチャーづくりや業態によっては、非言語的なものも含めて「その場でしかできない空気感やコミュニケーション」が組織を強くすると経営者が感じているのではないか、と入山は推測する。うまく言語化はできないが肌で感じている、それがGMOの熊谷なのかもしれない、と述べた。
トランザクティブメモリー:「誰が何を知っているか」を知る
十石は、入山がイノベーションには「知の探索」が不可欠だと説明してきたことに触れた。そのうえで、デジタル化やAI化、コロナ禍を経て社内コミュニケーションが効率化・最適化された一方、偶発的な出会いが減っているのではないかと尋ねた。入山は「これはめちゃくちゃ重要で、対面の価値やっぱあるんですよ」と応じ、理由を3つ挙げた。
1つ目で、入山が最も大きいとしたのが「トランザクティブメモリー」である。組織では重要な情報の共有が必要だが、大きな組織で全員が同じことを覚えるのは不可能だ。大事なのは「誰が何を知っているか」を知っていることである。彼女はあの分野の専門家だ、これが分からなければ7階の彼に聞けばいい、という情報だ。入山はこれを「知のインデックスカード」と呼ぶ。これが豊かな組織が強いことは経営学で分かっている、と入山は言う。
ポイントは、トランザクティブメモリーを豊かにするのが対面のコミュニケーションだということだ。対面で会って雑談すると、この人はこういうことが得意なんだ、こういう趣味があるんだと分かり、分からないことがあったときに誰に聞けばよいかが見えてくる。
入山はコロナ前から、日本の会社ではかつて「タバコ部屋」がこの機能を果たしていたと話してきた。部署はばらばらでも、タバコ部屋はワンフロアに1つ、今なら会社に1つしかないので、いろいろな部署の人が集まる。そこで「最近どう」と無駄話をしているうちに、「そっちの部署ではそれをやっているのか、じゃあうちの部署とこうすればいい」「それなら、あの部署のあいつと話してみろよ」という会話が生まれる。まさにトランザクティブメモリーが生まれる場所だという。Googleが意図的にカフェテリアを作っているのも、タバコ部屋の「健全な代わり」だと入山は説明してきた。
コロナ禍でTeamsなどが普及し、オンラインでも顔を見て話せるようになったこと自体には価値がある。しかし入山によれば、オンラインは時間が限られ、タスクが終われば解散なので、雑談、つまり本当に無駄なトークが減っている。
入山は自身の経験として、ビジネススクールにはタバコ部屋がなく教員同士で雑談する機会も少ないが、実はトイレの列で「そういえばあのプロジェクトどうなりました」「今度ちょっと手伝ってくれない」といった会話がよく生まれると話した。そうした偶然の出会いはオフィスに来るから起きるのであり、オンラインではなくなってしまう。
暗黙知とインフォーマル情報:AI時代に価値が上がるもの
2つ目は暗黙知である。人は言語情報よりも多くの非言語情報を持っている。雰囲気や、悩みがあるけれど言い出しにくい様子などだ。オフィスで一緒にお茶を飲んでいて「ちょっと落ち込んでいるな」と思えば声をかけ、面白そうにしていれば「どうしたの」と聞く。そこから仕事の種が生まれることもあるが、オンラインでは暗黙知を取りにくい。
3つ目はインフォーマルな情報である。入山は、AIによって情報がコモディティ化していく中で、信頼関係を築いた相手と交わす「ちょっと2人だけでしか話せないんだけど」という情報にこそ価値が出てくると主張する。それ以外の情報はAIに取って代わられるからだ。こうした話はオンラインではしにくく、入山自身も個室で食事をしながら話すという。
入山は、トランザクティブメモリー、暗黙知、インフォーマル情報のいずれも対面のほうが得やすいとまとめた。ソラコムのプロフェッショナルのように、それらがなくてもやれるという人もいるが、ほとんどのビジネスパーソンはそうではない。だから対面の機会が必要だという。十石が、それらがなければイノベーションは生み出せないのかと確認すると、入山は「生み出せないとは言わないけど、むずいすね」と答えた。
会社が意図的に「部署を越える機会」を作る
では企業は何をすべきか。入山は、単に強制的に出社させてもコミュニケーションが生まれなければ意味がないと言う。最も重要なのは、部署や組織を横断して、フランクにカジュアルに話す機会を会社側が意図的・能動的に作ることだという。タバコ部屋は意図して作られたものではなかったが、コロナ前には多くの企業がカフェテリアや社員食堂に力を入れていた。
典型例がGoogleだ。入山によれば、渋谷ストリームに入っているGoogleのオフィスでは、ワンフロアをぶち抜いた社員食堂が2フロア分ある。そこで偶然の出会いを作ろうとしているのだという。Googleほどお金をかけられなくても、仕掛けはいくらでも作れると入山は述べる。
飲み会離れについても意見を述べた。入山はコミュニケーション自体は大事だと考えるが、若い世代が嫌がる古いスタイルを続けても意味がないので、飲み会に代わるものをやればよいという。若手が嫌がるのは、酒を飲みながら上司の分かりにくい自慢話を聞かされることなのだから、酒を飲まないランチにして、酔っていない状態で「最近どう」と話せば十分だ、というのが入山の提案である。入山自身は飲み会が大好きだが、若い世代が苦手なことを知っているので、そういう場には誘わない。飲み会が好きな人とは飲み会をすればよく、使い分けが大事だという。
もう一つのポイントは、同じ人とばかり話しても意味がないということだ。上司との関係構築は重要だが、上司が持つインフォーマル情報には限界があり、トランザクティブメモリーも広がらない。離れた部署や一見関係のない部署、別の会社の人と食事をすることが大事だという。入山は、自分の部署以外の人と食事をするときに限って飲み会やランチの費用を補助する、といった仕組みがよいと述べた。
十石は、サイバーエージェントで、人事が話したことのない別部署の人とのランチを自動的にスケジュールに入れるシャッフルランチを何度か経験したと話した。仕事では絶対につながらない相手との新鮮な機会だったという。入山は「めっちゃいいと思いますよ」と評価し、サイバーエージェントには渋谷全体でのシャッフルランチをやってほしいと冗談交じりに語った。丸の内では、入山が関わったものではないが、三菱地所の研究会をきっかけに、エリア全体でまったく別の業界の人と会えるシャッフルランチのような取り組みが行われているという。十石は、営業のアポよりもフラットなコミュニケーションができそうだと応じた。
入山は、オンラインも大事な時代なのだから要はメリハリであり、ずっと出社しろという意味ではないと念を押した。何かの機会にリアルに集まり、普段会えない人と対面で会うことに大きな価値がある、という主張である。
食事は「知の探索」の入り口
入山自身も立場上、会食の機会が非常に多く、夜よりも昼のランチを好むという。まったく関係のない人や、一度会って面白そうだと思った人と食事をすると、自分の知らない世界に触れられ、まさに知の探索になる。優れた起業家や経営者はみなこれをやっており、「ご飯行きましょう」が常套句になっている、と入山は見る。オンライン時代だからこそ、食事でもなければ会う理由がない。これは経営者だけでなく、組織で働く人が自分を成長させるためにも、意図的にいろいろな業界の人とランチや夕食をとるのは絶対にいいと勧めた。
十石が、若手からは誘いにくいのではないかと聞くと、入山は、ランチのマッチングアプリのようなサービスを使ってもよいし、取引先への営業がうまくいかなかったときに「そういうのは抜きにして一度ご飯に行きましょう」と誘うこともできると答えた。若い人ほどやったほうがいい、というのが入山の考えだ。
入山は、実は自分もすごく人見知りだと明かした。人の人格は1種類ではないので使い分ければよく、自分は外では「プロ陽キャ」をやっているという。本当は静かにしていたいタイプで、最もリラックスできるのは気心の知れた仲間とこっそり飲む場だ。それ以外の食事会では別の人格を出し、それはそれで面白いと思いながら参加しているという。
大企業の社員はなぜコミュニケーションが下手なのか
十石は、マネジメントの立場になったとき、チームのコミュニケーションを活性化するにはどんな仕掛けが必要かを尋ねた。入山は組織やチームの話に入る前に、一般論として「大企業の社員はね、コミュニケーション下手くそです」と切り出した。早稲田のビジネススクールには、丸の内や大手町にあるような超大手企業の30代が多く通っている。みな頑張って勉強しているし、けなすつもりはないが、本当に下手だという。丸の内や大手町に通う大企業のサラリーマンも同様だとした。
理由は簡単で、「話を聞いてもらえる」からだと入山は言う。「三菱商事です」と名乗る人の話を聞かない人はいないし、トヨタでもNHKでも同じだ。サイバーエージェントの名前でも「すごい」と聞いてもらえる。その時点で看板に甘えており、勝手に聞いてもらえているのだという。問題は、肩書きをすべて外したときに、道を歩いている普通の人とフラットに面白い話をして、相手を引きつけられるかどうかだ。
社内でも同じ構造があると入山は指摘する。特に大手企業には優秀で優しい人が入ってくるので、上司の話がつまらなくても部下は我慢して聞く。上司は伝わっていると思い込むが、実際は上司だから嫌々聞いているだけだ。部の会議では部長の話がつまらなく、下手をすると社長の話もつまらない。話を聞いてもらえる環境にずっといるため、本当の意味でのコミュニケーション能力が育たないのだという。
だから入山は、組織のコミュニケーションをどう高めるかを考える前に、自分自身がちゃんとコミュニケーションできているかを問うべきだと述べた。ここでいうコミュニケーション能力とは、肩書きや立場を外した素の人間として、相手とフラットに対話し、引きつける話をし、相手の悩みや課題を引き出せる力のことだ。十石が「看板のない状態で合コンに行って話を聞いてもらうようなものか」と聞くと、入山は近いと答えた。ただし合コンでも、実際には会社名を名乗ってしまうのだが。
起業家の話が面白い理由:ピッチの反復
対照的な存在として入山が挙げたのが起業家である。早稲田のビジネススクールで、成功した起業家を招いてパッションを語ってもらう「トップ起業家との対話」という人気授業を担当しているが、来る起業家は「話が死ぬほど面白い」という。1時間、誰もパワーポイントを使わないこともある。2年ほど前にマネックス証券の松本大を招いた際、パワポは必要か尋ねると「別にいらない」と言い、数行だけ書いた小さな紙のメモで話し続けた。それでも受講者は引きつけられて聞き入っていたという。
入山は、起業家が偉いからではなく、エレベーターピッチのような経験の蓄積があるからだと説明する。著名な投資家とエレベーターで乗り合わせた20〜30秒で自分の事業を売り込み、「だから2億円ください」と頼む。そういうことを何百回と繰り返しているのだ。サイバーエージェントを立ち上げたころの藤田晋もそうだったはずだという。
もう一つの例がSansanの寺田親弘だ。寺田は神山まるごと高専の設立に向けてさまざまな会社から出資を募っており、入山が関わる会社も出資している。オンラインでピッチを受けた際、寺田は非常にうまく、「このピッチはもう何百回とやっておりますから」と平然と言ったという。Sansanの分も含めれば何千回にもなるだろう、と入山は見る。起業家は、看板もないよく分からない若者がひたすら語って「2億円ください」と言っている存在で、「よく考えたら頭おかしい」。しかし資金をもらえなければ会社が潰れるので、その訓練を通じてコミュニケーション能力が非常に高くなる。いい会社にいて看板で仕事をしていると、その機会がないのだと入山は指摘する。
看板の通じない場所で話す訓練
では大企業に新卒で入った人はどうすればよいのか。入山の答えは、「渋谷で合コンしないで、青森とかでやれるんじゃない?」というものだった。入山のゼミ出身で、JPモルガンに勤める青森出身の人がいる。地元に帰るとJPモルガンを誰も知らず、「どこの何の会社なの」と言われた。一方、同期の電通の人は社名が通じ、テレビに出ている芸能人の話で盛り上がる。本人は「そんなに絡んでないだろう」と思いつつ、すごく悔しい思いをしたという。
入山は、サイバーエージェントも八戸あたりに行けばそれほど知られていないはずだと言い、八戸のスナックでママの心をつかむような経験を勧めた。十石も、地元の大阪では関西大学の学生のほうが東京の一橋大学の学生よりも注目されるだろうと話し、地域によって看板が役に立たないことはあると応じた。入山は、新R25を見ている世代、特にいい会社にいる人は、合コンなどでつい「NHKの裏側はさ」といった看板の話をしてしまう時点で楽をしていると自覚したほうがよいと述べた。そのほうが楽で、相手もそれを求めているのだから仕方ない面はあるとしつつも、看板の通じない場所で訓練することを勧めた。
これから必要な「3つの人材」
最後に入山は、これからの時代に必要だと考える人材として、厳密にはコミュニケーション能力とは言えないと断りつつ3つを挙げた。前提にあるのは、AI時代には学歴や記憶力、論理思考はAIのほうが得意になり、重要ではなくなるという見立てだ。入山自身は「学歴マシーン」でやってきた世代だというが、それでも仕事の多くをAIが担うようになっても、最後の意思決定をするのは人間であり、人間のコミュニケーション能力が残る。人のモチベーションややる気を引き出し、相手に希望を与える力が最も大事になるという。
1つ目は暴走族である。隣の学校に殴り込みに行くような、世の中の役に立たないことをしながら仲間がついてくるのは、相当な人間力やカリスマ性がなければできない、と入山は説明する。2つ目はママさんバレーのキャプテンだ。入山が関わる組織で、パートの女性が活躍して正社員に登用され、今ではリーダーになっている。なぜこれほどすごいのかと思ったら、ママさんバレーのキャプテンだったという。ママさんバレーの世界は、入山もよく知らないが結構ドロドロしているらしく、それをまとめ上げるには相当なコミュニケーション能力が必要だろうと見る。3つ目は歌舞伎町のホストクラブのキャッチで、さまざまな人の心をつかんで引き寄せる力を評価した。
入山はコンサルタントを例に、知識がコモディティ化する時代の差を説明した。頭が良さそうなコンサルタントに上から目線で理詰めで詰められると腹が立ち、二度と使いたくなくなる。しかし同じ知識量でも、明るく素直に「一緒に頑張りましょう」と言い、一緒に泣いたり酒を飲んだりしてくれれば、一緒に頑張ろうという気持ちになる。入山はこれを「感情労働(エモーショナルレイバー)」と呼び、その能力が高い人がこれから価値を出すと述べた。
ただし入山は、自分は本当は陰キャだと改めて語り、人には陰キャの面も陽キャの面もあるのだから、ある程度「プロ陽キャ」を目指せばよいという。渋谷や丸の内の立派な会社の看板があるところではそれが身につかないので、「まずは八戸で合コン」だと繰り返した。
十石が、20〜30代の若手こそAI時代にこうした力をつけることが大事なのかと確認すると、入山は「めちゃくちゃ大事」と答えた。自身もエンジェル投資をしているが、ビジネスモデルが良くても、暗くてつまらなそうな人には投資したくない。よく分からないが面白そうな人に投資するのだという。十石は、AI時代だからこそ人で勝負し、非言語の部分も含めて自分を見せられるコミュニケーションが求められる、と受け止めて番組を締めくくった。
今回はデジタル時代にイノベーションを生み出すための企業に必要なコミュニケーション設計術というテーマでお話をお伺いしていきたいと思います。
今からの時代っていうのは僕は、あの、可能性があると思ってて。例えば今だとちょっと話題になったGMOさんが、熊谷さんがもう全員出社だみたいになって軽く盛り上がってますけど、僕はあれは実はありだと思ってて。
1番大きいのがトランザクティブメモリーっていうのがあって、誰が何を知ってるかっていうのを知ってるのが大事なんですよ。僕はよく知のインデックスカードって言ってるんですけど。
大企業の社員はね、コミュニケーション下手くそです。丸の内とか大手町に行くサラリーマンのおじさんはコミュ力が下手です。これ理由は簡単なんですよ。話を聞いてもらえる。
大企業にいる、その新卒で入った人材っていうのはどういうコミュニケーションしたら…。渋谷で合コンしないで、青森とかでやれるんじゃない?
皆さんこんにちは。新R25編集部の十石です。今回はデジタル時代にイノベーションを生み出すための企業に必要なコミュニケーション設計術というテーマでお話をお伺いしていきたいと思います。では、早速ですね、本日のゲストの方にご登場いただきます。新R25にもですね、これまで数多の番組でご登場いただいております。早稲田大学大学院経営管理研究科、早稲田大学教授の入山さんに今日お越しいただきました。今日よろしくお願いいたします。
お願いいたします。
今回、テーマ的にも入山先生の研究テーマに割と近いというか、過去のメディアとかを見ていても結構同じようなテーマでお話をされているなっていう風に私も拝見いたしまして、今日は色々とお話伺いできたらと思うんですけども、企業がこのイノベーションを生むために必要なインナーコミュニケーションの正体ですね。
で、もう1つがですね、コミュニケーションが生まれやすくするために企業に求められる努力であったりとか、仕掛けっていうのをどう作っていけばいいのかっていうことについてお伺いできたらと思いまして。昨今ですね、コロナ禍を経て、リモートワークっていうのが社会の中で割と浸透しているなと。
人と人との対面での繋がりみたいなのが結構今の時代難しくなってるのかなっていう風に、僕自身もちょうど大学2年生の時にコロナになりまして、そっから大学の授業とかもリモートで行われたりとか、割と対面での活動が制限される学生生活を送っててですね。
あ、ちょうどそのタイミングです。
あ、そうなんですね。どうしてもリモートワークだと対面のコミュニケーションと比較すると、個人的にはなんとなくそのやりづらさみたいなのを感じる部分もあって、やっぱりコミュニケーションのあり方みたいなのって、実際時代と共に変化していくものなのか、それとも本質的には変わらないのかっていうところで入山さんにお伺いしたいんですけど。
あ、いい質問で。時代と共に変わるんだと思うんですけど、それはなんでかって言うと、どういう仕事なのかっていうことと、そこでどういう能力とどういうコミュニケーションが求められてるのかっていうことで違うと思うんですね。
なるほど。
なので今からの時代っていうのは、僕は、あの、可能性があると思ってて、はっきり言うと会社の戦略によるし、そこに自分がどういう働き方をしたいかっていうのによると思うんですよ。だから結構会社でパターンが出るはずで、出ていいと思うんです。
で、問題は、だからそこでちゃんとどういう狙いでこの会社は対面を重視するのかとか、オンラインでもオッケーなのかとか、自分はどっちがどういう意図でいいんだっていうことをきちんと考えるってことが大事じゃないかなと思ってるんですよ。
例えば今だとちょっと話題になった、あのね、渋谷ですけど、GMOさんが。
あ、ありましたね。
あの、熊谷さんがもう全員出社だみたいになって軽く盛り上がってきてますけど、僕はあれは実はありだと思ってて、熊谷さんの多分意図とか狙いがそうなんですよ。だから十把一絡げに、それが嫌だったら、もう極端に言うとGMOに行かなきゃいいんで。だから、あの、対面強制だからけしからんとか、リモートだから自由だとか、そういうものではないと思います。
だからその会社の狙ってる意図があるんで、GMOさんとかあると思うんで、その意図に合わせて自分がその会社で働きたいか働きたくないかを選択すればいいんじゃないかなと。
例えば、あの、僕今ソラコムっていうIoTのプラットフォーム会社で、2年前上場したすごい急速に伸びてるグローバルスタートアップがあるんですよね。で、そこの取締役やってて、長く監査役もやってたんで。世界中に拠点があるんですよ、ソラコムって。で、そこの往査って言って、要するに監査をしに行くわけですよ。しに行くって言ってもわざわざ海外に行かないで、オンラインで会うんですよ。
で、例えばヨーロッパのトップはロンドンにいるんで、ロンドンのトップとZoomするわけですよ。大丈夫?ちゃんと仕事してる?みたいな。で、この組織のフローチャートとか見て、この彼はどこにいるんだと、君会ってんのかとか言うと、いや、会ってません。なんで?とか、オーストラリアにいるから。なるほどなるほど。で、だからそこでみんなオンラインでやってるんですよね。
で、ソラコムはあの、もちろん東京の本社はみんな会うんだけど、グローバルには実は意外と世界中散って在宅で仕事して、で、それが結構回ってんです、今んとこ。
で、なんでかって言うと、多分ソラコムが海外で採用してる人材って結構プロフェッショナル人材なんですよ。かなりプロフェッショナルでKPIもはっきりしてて、元々結構業界経験もあるし、自分が何すべきかすごく分かってるし、今更オンボーディングとかそういうので苦労もしないと。
だからそういう人たちなんで、しかも仕事もどっちかっていうとエンジニアだったりとか、家にこもってもプロフェッショナルとして完結する仕事なんですよね。
で、そうなってくると、無理して会社に来なくても、もちろんたまに半年に1ぺんとか年に1ぺんとかはフェイス・トゥ・フェイスで会うかもしれないけど、オーストラリアの人がロンドンに行くのだって結構大変じゃないですか。だからそういうことで結構回ってる会社もあるんです。
だけど一方で今、東京だとあそこですよ。明り。AIコンサルの会社ですけど、そこはこの前テレビで紹介されて話題になってましたけど、社員の4割東大卒なんですよね。めちゃくちゃ社員優秀なんだけど、朝、唱和するみたいな。で、みんな当然出社なわけですよね。結構新入社員多いですよね。
だからまずその社会っていうものとかにまず慣れてない人もいると。新卒をいっぱい取る会社なんで。かつコンサルなんで、お客さんに寄り添って伴走みたいな感じだし、そうすると当然お客さんのとこに出向かなきゃいけないし、あるいはそこで聞いてきたお客さんの課題とかを社内でシェアするのとか、あるいはそこにどういう形で問題解決するかとか営業していくかとなると、多分やっぱりオンラインだけだとやりきれないわけですよ。
チームワークが必要だし、それからオンラインのコミュニケーションだと出てこない、その場だけの会話の盛り上がりとか、目と目を合わせたコミュニケーションとか。そういう意味では明りは逆にめちゃくちゃ対面なんですよ。
で、そう考えるとだから十把一絡げにどっちが正しいどっちが正しくないかじゃなくて、きめ細かく会社によってあり方が違ってくるっていうのが僕の理解です。だからこれがパターンが出てくんじゃないですかね。
なるほど。ああ、そういうことですね。それこそちょっと前だったらLINEヤフーが、東京にあるんだけども、例えば沖縄に住みながらリモートワークで働けるみたいなのを、ちょっとやめようみたいな動きがあったりとか、元々ずっとリモートワーク推奨してたけど、やっぱり対面がいいみたいな、戻す動きみたいなのも最近見られるなっていう。
あります。逆にアクセンチュアさんなんかはどっちかというと海外で働いていいよみたいな。今まで逆にアクセンチュアさんで結構うしちゃみたいな感じだったのを、結構働き方自由にしたりとか。でもどっちかっていうと今、比較的対面回帰みたいな流れが多いですよね。
確かに。それはやっぱり実際リモート導入したけど、あんまりうまくいかないからやっぱやめようみたいな経営の判断?
っていうことを多分経営者が肌感覚で感じてるんだと思いますね。で、ちょっと前までは何の問題があったかって言うと、エンジニア働かない問題ってあったんですよ。
で、これなんでかって言うと、エンジニアって本当は夜働きたいから、昼間会社来ないで夜家で働かしてくれるみたいなのあるんだけど、あの職場って意外とピア効果強いんですよ。
ああ、ピア効果。
ピア効果。つまり職場で隣の人がバキバキやってると、あ、俺も負けないでバキバキやんなきゃみたいになって。で、1人だと、一見俺はエンジニアだから1人でできるって思うんだけど、意外とサボったりとか、ネット見たりとか、お菓子食べたりとかするわけですよ。
で、意外とそれで時間無駄にしてんなっていう。だから、それだったらもう悪いけど昼に来てもらって、隣の人もバキバキでやってる中で集中でわーってやって帰る方がいいみたいなのは、コロナ明けにちょっとありましたよね。
ああ、なるほど。
で、今は逆にただそれだけじゃなくて、会社のカルチャーの作り方とか業態によって、対面で、いわゆる非言語的なコミュニケーションも含めて、その場でしかできない空気感とかコミュニケーションみたいなものが、この組織を強化するのに大事だなって、うまく言語化できないけど肌で感じてる。それがGMOの熊谷さんなのかもしれませんけど、そういうトップがやっぱり回帰するようにしてんじゃないですかね。
はい。今回のイノベーションみたいな話だと、入山先生のお話の中で知の探索みたいなお話があったと思うんですけども、その探索がイノベーションには不可欠だっていう風に説明されてて、デジタル化、AI化によって、コロナ禍も経て社内のコミュニケーションっていうのが効率化されたりとか最適化されてるっていう一方で、対面で非言語的なコミュニケーションを重ねることによる偶発的な出会いというか、そういう機会が結構減ってしまうんじゃないかみたいな声もあると思うんですけど。
これはめちゃくちゃ重要で、対面の価値やっぱあるんですよ。で、まずね、1個が何かっていうと、1番大きいのが、僕が経営学で言ってるトランザクティブメモリーっていうのがあって、簡単に言うと組織で重要なのは情報の共有化じゃないですか。
情報の共有化で、みんな同じこと覚えるのって無理じゃないですか。例えばサイバーってめちゃくちゃでかい組織だから、みんなが同じこと知ってるのって無理なんだけど、誰が何を知ってるかっていうのを知ってるのが大事なんですよ。つまり彼女はああいうことの専門家だとか、こういうことがわかんなかったら7階の彼に聞けばいい。
なるほど。
それを僕はよく知のインデックスカードって言ってるんですけど、それが分かってると、自分は分かんないけど、あ、こういう時あの人に聞きゃいいんだっていう、それが豊かな組織が強い。
組織学習にはこのフー・ノウズ・ワット、トランザクティブメモリーが豊かなのが大事だっていうのは、これもう経営学で分かってるんです。で、こっからポイントなんですけど、じゃ、そのトランザクティブメモリーをどうやったら豊かにできるかって言うと、対面コミュニケーションなんですよ。
対面でやっぱり会うことで、雑談したりすることで、この人ってこういうこと得意なんだなとか、この人こういう趣味持ってんだなとかわかるじゃないですか。だからその対面のコミュニケーションでその人のことを知ってることで、あ、こういうことが分からないならこの人に聞けばいいんですよねっていうのが分かる。
っていうのが大事で。なんで僕はコロナ前に結構言ってたのは、だから日本の会社は昔タバコ部屋が機能したんだと。
なるほど。
あそこに行くといろんな部署の人たちが、部署だとバラバラだけど、タバコ部屋って大体ワンフロアに1個とか、今だともう会社で1個なんで、集まるわけですよね。で、そこで人たちが、最近なんちゃらどう?って言いながら無駄な話をするんだけど、そういう経験あると思いますけど、実はそこから、あれ?みたいになるじゃないですか。
え、そっちの部署はそれやってんの?みたいな。え、じゃあ俺の部署とこうすればいいじゃんとか。そっちの部署そういうことやってんの?じゃあさ、あの部のあいつと喋ってみろよとかなるじゃないですか。それはまさにトランザクティブメモリーが生まれる場所なんですよね。
僕はだからGoogleは意図的にカフェテリア作ってるんだって話をしてて、カフェテリアはそのタバコ部屋の代わりなんですよ、健全な。だからああいう場所がすごい必要だっていうのをコロナ前は僕は散々言ってて。
ただコロナになってからTeamsが実装されて、今度はオンラインでもある程度対面で喋れるようになったわけですよね。ただ問題は、オンラインで対面で喋れるのも価値あるんだけど、フー・ノウズ・ワットって意味では雑談できないんですよ。要するにオンラインってやっぱりその時間も限られるし、タスク終わったらおしまいで、本当に無駄なトークが減ってんすよ。
で言うと、別に対面で会うっていうのは会議だけじゃなくて、そのさっき言ったタバコ部屋で会うとか、お手洗い、トイレ。早稲田のビジネススクールの場合はタバコ部屋ないんですよ。だから教授同士があんまり雑談をする場はないんだけど、1番多いのが実は僕の経験、すいません、ちょっと汚い話ですけど、お手洗いで。
トイレで並ぶじゃないですか。そこで、おお、ご無沙汰みたいになって、あ、そういえばあのプロジェクトどうなりました?みたいな、実はそういうのがあってとか言って、あ、そういえばちょっと今度手伝ってくんない?みたいなのとかっていうのは、実はうちの場合トイレで発生して。
でもそれってオフィスに来るからそういう偶然の出会いができるわけですよね。オンラインになるとその偶然の出会いがなくなる。だからそういう意味ではやっぱりフー・ノウズ・ワットが豊かじゃなくなりますよね。それがまず1点目。
それから2点目は、えっとね、暗黙知ですね。
暗黙知。
つまり人っていうのは言語情報よりも非言語情報をいっぱい持ってるわけですよ。だけどそれがその人の雰囲気とか、ちょっと悩んでることあるけど言いづらいわけですよ。例えばちょっとオフィスで一緒にお茶飲んでる時に、あれ、ちょっと落ち込んでんなみたいになったらちょっと声かけてあげるとか、あるいは面白そうだったら、どうしたの?みたいな。実はそっから仕事の種になったりするじゃないですか。そういう暗黙知みたいなのが取りにくい。
それからインフォーマル情報です。これからAIで情報がコモディティ化する中で、本当に重要なのは人と人の信頼関係を築いてから、ちょっと2人だけでしか話せないんだけどって話あるじゃないですか。で、実はそこに価値が出てくるんですよね、これから。だってそれ以外の情報ってAIに食われちゃうから。
あ、そうか。
だからAI時代ほど、ちょっと2人でしか話せないんだけどっていう情報に価値が出るんですよ。で、これってやっぱりオンラインだとちょっとやりづらいわけですよ。だからやっぱりそういう時って、呼び出して、僕もそうですけど、個室で飯食いながらとか喋るんですよね。これもやっぱ対面でないとできない。
だからこういう意味で、情報を取る意味では、フー・ノウズ・ワット、暗黙知、インフォーマル情報、どれもやっぱり対面の方が取りやすいんですよね。そう考えてくると、もちろんさっき言ったソラコムのプロフェッショナルみたいに、フー・ノウズ・ワットもあんまいらない、俺はプロだからと。暗黙知もいらない、プロだからと。インフォーマルなくても僕やれますっていう人はできちゃうんですよ。だけどほとんどのビジネスパーソンはそうじゃないんで、だとするとやっぱりそういう機会が必要だっていうことですよね。
なるほど。今のお話の中にあった偶然の出会いであったりとか、暗黙知っていうのがないと、イノベーションっていうのはやっぱ生み出せないというか、イノベーションに繋がらないっていう。
生み出せないとは言わないけど、むずいすね。
それを企業が社内のコミュニケーションの中で作っていくためにどういうことが必要というか、求められるもんなんですか?
えっと、シンプルに強制的に来てもコミュニケーションが生まれなかったら意味ないんですよね。だから僕から言うとやっぱ一番重要なのは、部署を横断して、あるいは組織を横断して、フランクにカジュアルにコミュニケーションする機会を、意図的に会社側が能動的に作る必要があると思います。
なるほど。
それが昔はタバコ部屋、ま、タバコ部屋は意図的に作ったわけじゃないけど、タバコ部屋の後、コロナになる前、結構いろんな企業さんがカフェテリアとか、あの食堂、社食とかすごい頑張ったじゃないですか。それこそGoogleですよ。あの渋谷のGoogle行ったことあります?
僕ないですね。
あそこすごいっすよ。社食ワンフロアぶち抜きですよ。Google、渋谷ストリームに入ってるでしょ?ストリームは行くとね、ワンフロアぶち抜きで社食なんですよ、あそこは。しかもそれが2フロアある。
すごいですね。
すごくないすか?社食で2フロア使ってんですよ。さすがGoogleみたいな。だからやっぱりそういうとこで人の偶然の出会いとかを作ろうとしてんですよね。だから、Googleみたいにお金かけられないにしても、そういう仕掛けがいっぱい作れるんで。
飲み会とかも結構今議論に上がること多いじゃないですか。飲み会離れみたいな話とかもありますけど。
僕もそれコミュニケーション大事だと思うんですよ。ただそれを今の若い世代は嫌なんだから、飲みたくない。だからそのオールドファッションでそのコミュニケーションをやってても若い人嫌がるだけなんで、飲み会の代わりになるものをやればいいわけですよ。
要するにそれで嫌なのは何かっていうと、アルコール飲んで、上司からよくわかんない自慢話とか聞かされるのが嫌なわけじゃないですか。だったらその代わりにすればいいわけですよね。ランチにして、お酒飲まないで。正直それって十分じゃないですか。で、それで酔っ払ってない状態で、最近どう?とか喋ればいいし。だからやっぱりそのスタイルを変えるってすごい重要で。
あの、僕は個人的には飲み会大好きなんですけど、今の若い世代が飲み会苦手なの知ってるから、もしそういうことやるんだったら、飲み会には誘わないですよ、やっぱり。もちろん飲み会好きな人もいるから、飲み会好きな人とは飲み会やればいいんで、やっぱりそういう使い分けが大事なんじゃないかなっていうのが1個。
あと大事なのは、もちろん上司との関係性構築はすごい重要なんですけど、同じ人とだけ話してるとあんま意味ないんですよね。同じ人とだけ話してると、結局フー・ノウズ・ワット膨らまないし、それからインフォーマル情報も上司が持ってる情報なんて限界あるんで。
だから大事なのは、上司とも飲む、ご飯食べるけど、離れた部署とか、関係ない部署とか、一見関係ない企業さんとか仲間とか、そういう人たちとご飯を食べるのが大事で。だからちょっとサイバーであるかわかんないけど、結構一時期は企業で、例えば飲み会補助とかランチ補助みたいに出すんですよ。ただ条件が、自分の部署以外の人とご飯を食べる時。そういう仕組みとかは結構いいですよね。
ああ、確かに。社内でシャッフルランチみたいなのがあって、スケジューラーに、人事が全く喋ったこともないような別の部署と、自動的にお昼ご飯みたいなの組まれてて。あ、そういう意味合いというか。
あ、なるほど。やられたことあります?
はい。僕も何回かあります。新鮮な話というか、絶対に仕事でやっぱり繋がらない関係なので、すごいいい経験というか。
いや、シャッフルランチめっちゃいいと思いますよ。僕はもうサイバーエージェントさんには渋谷の街全体で渋谷シャッフルランチやってほしいです。
僕、三菱地所さんと仲良くて、三菱地所さんが丸の内の地主じゃないですか。丸の内では実は、これは僕じゃないんですけど、当時やってた三菱地所の研究会があって、それで今、丸の内ではそういう丸の内全体のシャッフルランチみたいなのやってます。
へえ。ランチ会みたいなの。
そう。全く別の関係会社、丸の内にさえいればいいみたいな。そう、全然関係ない業界の人と会えるじゃないですか。
営業とかでアポ行くよりも、むしろフラットなコミュニケーションできそうな感じですよね、確かにそっちの方が。へえ、面白い。
だからもちろん、これオンライン時代なんでオンラインは大事なんで、要するにメリハリなんですよね。だからずっと来いって意味じゃなくて、オンラインでもいいんだけど、やっぱりなんかの機会にリアルに来て、リアルでそういう普段会えない人と対面で会うっていうことの価値っていうのはすごいある。
ああ、なるほど。
で、僕は起業家じゃないけど、なんかたまたまこういう立場なんで、飲み会むちゃくちゃあるんですよ。お声がけいただくんで、会食とか、僕はどっちかというと夜より昼のランチなんですけど、やっぱり行くんですよね。で、行って全然関係ない方とか、今まで会ったことない人とか、1回会っただけだけど面白そうだなと思った方と会うと、やっぱり全然知らない世界なので、やっぱりまさに知の探索になる。
で、やっぱり起業家とか経営者で優れてる方ってみんなこれやってますよね。やっぱりご飯食べるって1番、原初的だけどいいきっかけになるので。逆にこれからオンライン時代、ご飯食べるとかにならないと、もう会いたくないじゃないですか。
ま、そうですね。確かに。
だからそれは別に経営者とか起業家だけがやることではなくて、普通に今組織で働いてる方も、自分を成長させるためにも、いろんな業界の方とかと意図的にランチ食べるっていうのは絶対いいと思う。ランチとか夜ご飯食べる。
でもなかなかやっぱり個人だとそういう機会を作ろうってならないから、企業側が積極的に働きかけるみたいな。
そうですね。本当はできるんだけどね。でも起業家とか経営者とかだと、ご飯食べましょう、ご飯行きましょうっていうのはもう常套文句ですよ。とにかく会って、じゃあご飯行きましょうって。いや、本当そうですよ。もうご飯ご飯ご飯みたいになってる。僕は経営者じゃないんであれですけど、僕ですらそうなんで。
あ、そうか。これ逆に若手とかもやっていいですか?
いいんじゃないですか。
若手側からするとやっぱ誘いづらいみたいなのはあるんですけど。
でも今、そういうサービスとかありますよね、確か。アプリでランチのマッチングみたいな。そういうのを使ってもいいし、例えば取引先に相談してみて、営業うまくいかなかったけど、でもちょっとそういうの抜きにして、一応ご飯食べ行きましょうよみたいなのとかできますよね。
あ、そうか。むしろそうやった方がいいのか、若い人ほど。
僕はそう思います。あの、苦手なのは分かりますけど。で、僕も苦手なんですよ、実は。僕、あの、すっごい人見知りなんですね。人の人格って1種類じゃないから使い分けが必要で、僕は外ではプロ陽キャなんですよ。
プロ陽キャ。
プロの陽キャ。本当はどっちかっていうと、もうひっそりしていたくて。だから本当の1番リラックスできる飲み会は、僕の本当に気心の知れた人たちだけでこっそり飲むやつが1番好きなんですよ。だけどそれ以外の食事会もあって、それは違う自分を人格として出しても、それはそれで面白いなと思いながらっていう、そういう感じなんじゃないですかね。
なるほど。個人単位で見た時に、例えば自分がマネジメントの立場になった時に、自分の持っている部下というか、チームのコミュニケーションっていうのがやっぱり自然と生まれるように、どういうことに力をというか、もちろん話しやすいような環境を作るっていうのはそうだと思うんですけど、もっと具体的にどういう仕掛けをしていったらそのチームが活性化したりとか、コミュニケーションを活発化する…
えっとね、一般論として言うと、組織とかチームとか言う前に、サイバーエージェントも大企業じゃないですか。大企業の社員はね、コミュニケーション下手くそです。
あ、そうなんですね。
これむちゃくちゃ下手くそ。サイバーはまだいいかもしんないけど。僕の例えば早稲田のビジネススクールは、丸の内とか大手町にありそうなピカピカの超大手の30代中堅とかいっぱい来るわけですよ。別に腐す気はないし、みんな頑張って勉強してんだけど本当下手。
ええ。それどう?
まあ、でも別にそれ早稲田だけじゃなくて、大企業の丸の内とか大手町に行くサラリーマンのおじさんはコミュ力が下手です。コミュニケーション下手。これ理由は簡単なんですよ。話を聞いてもらえる。
ああ、そういうことか。
サイバーエージェントもそうだし、例えばですよ、どこでもいいけど、ちょっとごめん、固有名詞挙げて怒られるけど、三菱商事っていう看板があって、私は三菱商事ですっていう人の話を聞かない人はいないんですよ。
確かに。
トヨタですって言われたら話聞くじゃないですか、絶対。で、NHKですって言われたら聞くんですよ、絶対。だからその時点で実は甘えてるんです。
なるほど。
だからみんな、お客さんもいろんな人も、はいはいはいって聞いてくれるでしょ。え、サイバーなんだ、すごいみたいな、聞いてくれるじゃないですか。その時点で実はサイバーっていう名前に甘えてて、勝手に聞いてもらえてるんですよ。でも問題は、そのサイバーとか三菱商事とか肩書きを全部外して、普通のその辺のおじさん、でも女性でもいいでしょ、道歩いてる人と普通にフラットに面白いコミュニケーションして、相手を引きつけられるかっていう話なんです。
なるほど。
しかも会社って、特に大手企業は、三菱もトヨタもそうだし、もしかしたらサイバーも最近そうかもしれないけど、いい会社なんで優秀で優しい人が入ってくるから、話聞いてくれるんですよ。だから話つまんなくても上司の話を我慢して聞くんですよ、社員が。
だからそうすると上司は、それでこいつに伝わってると思ってるわけ。俺の話を聞いてくれてると思ってんだけど、違うんすよ。上司だから嫌々聞いてるだけで。でもそうするとそれだから、部の会議やると部長が喋ってるけど、大体部長の話つまんないと。下手すると社長の話つまんないんですよ。ずっとその話を聞いてもらえる中で、ずっと。だから本当の意味でのコミュニケーション能力ないんです。
これは結構重要で、自分のことは棚に上げて、どうやったら組織のコミュニケーション能力が上がるかを考える前に、お前はちゃんとコミュニケーションができてんのかっていう方が大事。
なるほど。
で、そこでコミュニケーションは、会社の肩書きとか立場とか、そういうの全部外してさらの人間になった時に、相手とフラットに対話できて、相手を引きつけるような話ができて、相手の悩みとか課題を引き出せるかっていう話なんです。
なるほど。個人の能力というか。個人で合コンとかに行って、企業名とか何にも看板がない状態で女の人たちに話を聞いてもらうみたいなのが結構近いってことですか。
そう、近いです。だから合コンですらやっぱり会社名めっちゃ言うじゃないですか。
そうですね。どこどこに勤めてて、みたいな。何々やってて、みたいな。
だから僕、早稲田大学のビジネススクールで「トップ起業家との対話」っていう、本当に一流の起業家、一流っていうか成功した、仕掛けてる起業家だけを呼んで、パッションだけ語ってもらう授業をやってるんですね。で、すごい人気あるんですけど、そこに来る起業家って話死ぬほど面白いから。まず下手すると1時間誰もパワポ使わない。
2年ぐらい前にマネックス証券の松本大さんに来てもらったんですよ。で、松本大さんが来て、松本さん今日パワポいる?って言ったら、別にいらないっすよみたいな、あってもいいけどみたいな。結局なしで来て、ペラペラのこのくらいの紙に数行書いてあるんですよ、こういうこと話そうみたいな。それであとダーって喋って、話死ぬほど面白いから、みんな引きつけられてずっと聞いてるんですよ。これなんすよ。
なるほど。
で、これはなんでできるかって言うと、別に起業家が偉いわけじゃないけど、起業家ってよくエレベーターピッチって言うじゃないですか。とある著名な投資家と例えばエレベーターで一緒になって、あ、この人すごい投資家だと。例えば10階から1階まで降りる20秒とか30秒、その間に自分の事業を売り込んで、「すいません、私初めてお会いしますけど、こういうもので、こういう事業あって、こうやったらうまくいくと思うんです。こうやったらすごい魅力あって、絶対事業成長しますよね。だから2億円ください」っていうことを何百回と繰り返してるわけでしょ。
なるほど。
多分サイバーエージェントを立ち上げた時の藤田さんもそうなわけですよ。だからそれは話面白くなりますよね。例えばSansanの寺田さんとか神山まるごと高専やってるじゃないですか。で、神山まるごと高専やるんで、いろんな会社から出資を募って、実は僕が関わってる会社も出資してるんですよね。
で、そこに寺田さんがオンラインでピッチしに来たんですよ。むちゃくちゃうまいすよね。で、しかも、僕はこのピッチを何百回とやっておりますからとか平気で言うわけですよ。だからもう多分Sansanから比べるともう何千回とそれやってるわけですよね。それ絶対話面白いわけですよ。
そうか。
だってそれはさらの、だって起業家なんて誰お前みたいな感じじゃないですか。何の看板もないのに、よくわかんない若者がただひたすら語って、2億円くださいよって言ってるわけです。よく考えたら頭おかしい。でもそこで2億円もらえないと死んじゃうんで。でもそのトレーニングやってるからコミュニケーション能力非常に高いんですよね。会社勤めをして、特にいい会社にいて、会社の看板で仕事してるとその機会がないんですよ。
確かに。大企業にいる、その新卒で入った人材っていうのはどういうコミュニケーションしたらいい?
だから合コンでも、渋谷で合コンしないで、青森とかでやれるんじゃない?ちょっと青森に怒られるかもしれないけど。
どこその会社みたいな。
そう、そう、そう。いや、実際僕のゼミの早稲田の学生で、JPモルガンに勤めてるやつがいる。
もうすごいですね。
青森出身なんですよ。地元帰ったら誰も知らないから、JPモルガンって。どこの何の会社なの?みたいな。で、同じ同期に電通のやつがいて、電通は分かるわけですよ。で、それ芸能界の話とかはできるから、テレビに出てるあの人はね、とか言うと、キャーみたいになって、お前そんな絡んでねえだろと思いつつ、すげえ悔しい思いしましたと、JPモルガンが。
だから天下のサイバーエージェントも、きっとほら八戸とか行くとそんなに知られてない。八戸に怒られるかもしれない。そういうところで合コンして。
なるほど。看板を捨てて、自分でコミュニケーション取れるような訓練というか。確かに僕の地元とかでも、それこそ大学とかで、地元大阪なんで、例えば関西大学の人と東京の一橋大学みたいな人がいた時に、絶対多分関西大学の方がわーキャー言われると思うんですよ。
一橋大知らないもんね。
そうなんですよ。一橋なのにね。そう。多分そういうのも結構地域によって違うというか。なんかそういうのは確かにあるなっていう。看板が全く役に立たないというか。
でもそれはね、結構本当に、多分このR25見てる世代の方は意識された方が良くて、特にいい会社にいる人は意外と実はその看板に…。どうせ言うでしょ、合コンとかでも。いや、NHKのあの裏側さ、とかさ。
確かに言いますもんね。なんかキャーみたいになって。
そういう時点でちょっと楽してるっていう。
確かに。でもなんかそっちの方がやっぱ楽だからやっちゃうんですね、そういうコミュニケーション。
まあ、あとね、ネタもそれだけになっちゃうしね。だからそれはしょうがないと思うんですよ。で、相手もそれを求めてるじゃないですか、きっと。だから問題は、だからね、八戸ですよ。八戸とかね、あの辺に行って、あそこでスナックとか行って、ママの心を掴むみたいな。それですよ。
なるほど。
僕が結構これからの時代に必要だと思ってる人材っていうのがあって、まさにコミュニケーションの能力って言うんですけど、これちょっとコミュニケーション能力じゃないんだけど、1個が暴走族なんですよ。
暴走族。
なんでかって言うと、これからってもうAIの時代って学歴とかどうでもいいじゃないですか、正直。僕も学歴マシーンなんであんまり言えないですけど、僕はそういう世代の人間なんで学歴マシーンでどうにかしてきたわけですよ。だけどこれからの時代、記憶力とか論理思考とかもAIの方が得意なんで、いらないんですよ。
1番重要なのは、結局最後、仕事ってAIがかなりやるって言っても、意思決定は人間だから、やっぱ最後人間が残るんで、やっぱり人間のコミュニケーションの能力なんですよ。そこでいかに人のモチベーションを引き出すかとか、やる気を引き出すかとか、相手に希望を与えるかとか、それが1番大事で。
で、そうなってくると、その時代に僕が大事だと思ってるのが暴走族なんですね。なんでかっていうと、暴走族っていうのは隣の学校に殴り込みに行くみたいな、本当に世の中に何の1ミリも役に立ってないことをやりながら、仲間がついてくるんですよ。だから人間力かカリスマ性がないとできないわけ。
確かに。
次がママさんバレーのキャプテン。ママさんバレーってご存知かどうかわかんないですけど、ある組織で、僕が関わってるとこなんですけど、パートの女性がすごい活躍されてるんで正社員にしたらめちゃくちゃ出世しちゃって、今結構リーダーなんですけど、なんでこの人こんなにすごいんだろうと思ったら、ママさんバレーのキャプテン。
で、それはママさんバレー、僕あんま知らないけど、結構ドロドロしてるらしいんですよ。そこをまとめ上げられるのは、多分ね、相当なコミュニケーションの能力なんですよ。
なるほど。
で、あとは歌舞伎町のホストクラブのキャッチ。怪しいじゃないですか。
間違いないですね。
そこでいろんな人の心を掴んで引き寄せるっていう。これからやっぱり人を引きつける力は大事なんで。だからこういう能力がすごい多分重要になってきてて。
泥臭さというか。
そうなってきてると思いますよ。
そうか。
これからもうAIがあるから知識はコモディティ化しちゃうわけですよ。例えばコンサルが出てきても、大体1番ムカつくのが、頭が良さそうなコンサルに上から目線で理詰めで詰められるのがむかつくじゃないですか。2度とこのコンサル使わねえってなるんですよ。だけど同じ知識量だけど、やっぱり明るく素直に一緒に頑張りましょうみたいになって、一緒に泣いてくれたり一緒に酒飲んでたら、あ、なんか一緒に頑張ろうってなるじゃないですか。
だから僕はそういうのを感情労働、エモーショナルレイバーって言ってて、やっぱそっちの能力が高い人がこれから価値を出せる時代なので、イコールコミュ力なんで。ただもちろんそのコミュ力って、僕も繰り返しですけど、どっちかというと陰キャなんで本当は。だけど人の側面って陰キャもあるけど陽キャもあるんで、やっぱプロ陽キャをある程度目指して、そこでさっき言ったママさんバレーとかキャッチみたいな力をつけてくと。
ただ渋谷とか丸の内の立派な会社の看板背負ってるとできないから、まずは八戸で合コンですよ。
そうか。この新R25だとやっぱ20代30代の視聴者が多いので、やっぱり若手こそそういうコミュニケーション力っていうのをつけることが、このAI時代だからこそ求められるっていう。
大事。めちゃくちゃ大事。
いや、なるほど。
だって僕も今エンジェル投資もやってるんですけど。
やっぱりいいビジネスモデルも、暗くてつまんなそうなやつとは投資したくないもんだって。そうか。なんかよくわかんないけど面白そうだなみたいなやつに、こうぶっ込むから。
はい。だから本当にそういう、人で勝負していくというか。非言語の部分でいかによく見せられるかっていうところが必要になってくると。いや、本当に僕自身も非常に勉強になりました。
はい。ありがとうございます。
ということで今回はですね、デジタル時代、AI時代にイノベーションを生み出す企業に必要なコミュニケーション設計術とはというテーマで、お話をお伺いしてきました。AIの時代だからこそ、やっぱりその自分を見せられるようなコミュニケーションっていうのが求められていくっていう、結構参考になる方も多いんじゃないかなと思いますので。はい。ということで今回は入山さんにお越しいただきました。本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
記事公開
