「話を聞いてもらえる」ことは甘えになる:入山章栄が語るAI時代の組織コミュニケーション

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概要

新R25の番組で、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄が「デジタル・AI時代にイノベーションを生むための組織コミュニケーション」について話した。聞き手は新R25編集部の十石泰誠である。十石は大学2年のときにコロナ禍が始まり、授業のリモート化など対面での活動が制限された学生生活を送った。その経験から、対面とリモートでのやりにくさの違いや、コミュニケーションのあり方は時代とともに変わるのかを問いかけた。

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入山の立場は、出社かリモートかに一律の正解はないというものだ。そのうえで、偶発的な出会い、暗黙知、インフォーマルな情報といった対面ならではの価値が、AI時代にはむしろ大きくなると主張する。さらに話は、大企業の社員ほどコミュニケーションが下手だという指摘へと進んだ。

出社かリモートかは会社の戦略で決まる

入山は、コミュニケーションのあり方は時代とともに変わると答えた。どういう仕事なのか、そこでどんな能力とどんなコミュニケーションが求められるのかによって違うからだという。そのためこれからは、会社ごとに働き方が分かれていくはずで、分かれてよいと考えている。重要なのは、その会社がどんな狙いで対面を重視しているのか、あるいはオンラインでよしとしているのかを理解し、自分がどちらを、どういう理由で望むのかをきちんと考えることだという。

例に挙げたのは、渋谷に本社を置くGMOである。代表の熊谷正寿が全員出社の方針を打ち出して話題になったが、入山は「あれは実はありだと思ってて」と述べる。熊谷には何らかの意図や狙いがあるはずで、それが嫌ならGMOに行かなければよい、というのが入山の考えだ。「対面強制だからけしからん」「リモートだから自由」という話ではなく、会社の意図に合わせて、その会社で働きたいかどうかを選べばよいとした。

リモートで回るソラコムと、対面を重視する燈

対照的な2社の例も紹介された。一つは、入山が取締役を務めるソラコムである。IoTのプラットフォームを手がけ、2年前に上場して急成長しているグローバルスタートアップで、世界中に拠点がある。入山は監査の立場で海外拠点のトップと面談するが、わざわざ現地には行かず、オンラインで会う。ロンドンにいる欧州のトップとZoomで話し、組織図を見ながら「この人とは会っているのか」と聞くと、相手はオーストラリアにいるので会っていない、という答えが返ってくる。東京本社のメンバーは顔を合わせるものの、グローバルでは世界中に散らばって在宅で働いており、それで今のところ回っているという。

入山によれば、回っている理由は、ソラコムが海外で採用しているのがかなりのプロフェッショナル人材だからだ。KPIが明確で、業界経験も長く、自分が何をすべきかを分かっているので、オンボーディングで苦労しない。仕事もエンジニアリングのように、家にこもっていてもプロとして完結するものが中心である。対面で会うのは半年に1回か年に1回程度かもしれず、オーストラリアからロンドンへ行くだけでも大変なのだから、無理に出社させる必要はない。

もう一つは、東京のAIコンサルティング会社・燈だ。入山によれば、テレビで紹介されて話題になった会社で、社員の4割が東大卒と非常に優秀だが、全員出社である。新卒を多く採用しているので、社会人としての振る舞いにまだ慣れていない人もいる。加えてコンサルティングは顧客に伴走する仕事なので、顧客のもとへ出向き、そこで聞いた課題を社内で共有し、どう解決し、どう営業するかをチームで考える必要がある。オンラインだけではやり切れず、その場での会話の盛り上がりや、目を合わせたコミュニケーションが欠かせない。だから燈は「めちゃくちゃ対面」なのだと入山は説明した。

対面回帰の流れと「ピア効果」

十石は、LINEヤフーが沖縄など遠隔地からのリモート勤務を見直す動きを見せたことや、リモートを推奨していた企業が対面に戻しつつあることを挙げた。一方でアクセンチュアのように、以前は厳しい働き方だったのが、海外勤務を認めるなど自由度を高めた例もある。それでも全体としては対面回帰の流れが多い、という点で2人の認識は一致した。

入山は、経営者が肌感覚で対面の必要性を感じているのだろうと見る。コロナ禍の途中には「エンジニアが働かない問題」があったという。エンジニアは夜に働きたいので、昼は出社せず家で働かせてほしいと考えがちだ。しかし職場には意外と強い「ピア効果」がある。隣の人がバリバリ働いていると、自分も負けずにやらなければという気持ちになる。一人だと、エンジニアだから一人でできると思っていても、実際にはネットを見たりお菓子を食べたりしてサボってしまい、時間を無駄にしがちだ。それなら昼間に出社してもらい、周囲が集中して働く中で仕事を片づけて帰るほうがよい、という判断がコロナ禍の途中にあったという。

現在はそれに加えて、会社のカルチャーづくりや業態によっては、非言語的なものも含めて「その場でしかできない空気感やコミュニケーション」が組織を強くすると経営者が感じているのではないか、と入山は推測する。うまく言語化はできないが肌で感じている、それがGMOの熊谷なのかもしれない、と述べた。

トランザクティブメモリー:「誰が何を知っているか」を知る

十石は、入山がイノベーションには「知の探索」が不可欠だと説明してきたことに触れた。そのうえで、デジタル化やAI化、コロナ禍を経て社内コミュニケーションが効率化・最適化された一方、偶発的な出会いが減っているのではないかと尋ねた。入山は「これはめちゃくちゃ重要で、対面の価値やっぱあるんですよ」と応じ、理由を3つ挙げた。

1つ目で、入山が最も大きいとしたのが「トランザクティブメモリー」である。組織では重要な情報の共有が必要だが、大きな組織で全員が同じことを覚えるのは不可能だ。大事なのは「誰が何を知っているか」を知っていることである。彼女はあの分野の専門家だ、これが分からなければ7階の彼に聞けばいい、という情報だ。入山はこれを「知のインデックスカード」と呼ぶ。これが豊かな組織が強いことは経営学で分かっている、と入山は言う。

ポイントは、トランザクティブメモリーを豊かにするのが対面のコミュニケーションだということだ。対面で会って雑談すると、この人はこういうことが得意なんだ、こういう趣味があるんだと分かり、分からないことがあったときに誰に聞けばよいかが見えてくる。

入山はコロナ前から、日本の会社ではかつて「タバコ部屋」がこの機能を果たしていたと話してきた。部署はばらばらでも、タバコ部屋はワンフロアに1つ、今なら会社に1つしかないので、いろいろな部署の人が集まる。そこで「最近どう」と無駄話をしているうちに、「そっちの部署ではそれをやっているのか、じゃあうちの部署とこうすればいい」「それなら、あの部署のあいつと話してみろよ」という会話が生まれる。まさにトランザクティブメモリーが生まれる場所だという。Googleが意図的にカフェテリアを作っているのも、タバコ部屋の「健全な代わり」だと入山は説明してきた。

コロナ禍でTeamsなどが普及し、オンラインでも顔を見て話せるようになったこと自体には価値がある。しかし入山によれば、オンラインは時間が限られ、タスクが終われば解散なので、雑談、つまり本当に無駄なトークが減っている。

入山は自身の経験として、ビジネススクールにはタバコ部屋がなく教員同士で雑談する機会も少ないが、実はトイレの列で「そういえばあのプロジェクトどうなりました」「今度ちょっと手伝ってくれない」といった会話がよく生まれると話した。そうした偶然の出会いはオフィスに来るから起きるのであり、オンラインではなくなってしまう。

暗黙知とインフォーマル情報:AI時代に価値が上がるもの

2つ目は暗黙知である。人は言語情報よりも多くの非言語情報を持っている。雰囲気や、悩みがあるけれど言い出しにくい様子などだ。オフィスで一緒にお茶を飲んでいて「ちょっと落ち込んでいるな」と思えば声をかけ、面白そうにしていれば「どうしたの」と聞く。そこから仕事の種が生まれることもあるが、オンラインでは暗黙知を取りにくい。

3つ目はインフォーマルな情報である。入山は、AIによって情報がコモディティ化していく中で、信頼関係を築いた相手と交わす「ちょっと2人だけでしか話せないんだけど」という情報にこそ価値が出てくると主張する。それ以外の情報はAIに取って代わられるからだ。こうした話はオンラインではしにくく、入山自身も個室で食事をしながら話すという。

入山は、トランザクティブメモリー、暗黙知、インフォーマル情報のいずれも対面のほうが得やすいとまとめた。ソラコムのプロフェッショナルのように、それらがなくてもやれるという人もいるが、ほとんどのビジネスパーソンはそうではない。だから対面の機会が必要だという。十石が、それらがなければイノベーションは生み出せないのかと確認すると、入山は「生み出せないとは言わないけど、むずいすね」と答えた。

会社が意図的に「部署を越える機会」を作る

では企業は何をすべきか。入山は、単に強制的に出社させてもコミュニケーションが生まれなければ意味がないと言う。最も重要なのは、部署や組織を横断して、フランクにカジュアルに話す機会を会社側が意図的・能動的に作ることだという。タバコ部屋は意図して作られたものではなかったが、コロナ前には多くの企業がカフェテリアや社員食堂に力を入れていた。

典型例がGoogleだ。入山によれば、渋谷ストリームに入っているGoogleのオフィスでは、ワンフロアをぶち抜いた社員食堂が2フロア分ある。そこで偶然の出会いを作ろうとしているのだという。Googleほどお金をかけられなくても、仕掛けはいくらでも作れると入山は述べる。

飲み会離れについても意見を述べた。入山はコミュニケーション自体は大事だと考えるが、若い世代が嫌がる古いスタイルを続けても意味がないので、飲み会に代わるものをやればよいという。若手が嫌がるのは、酒を飲みながら上司の分かりにくい自慢話を聞かされることなのだから、酒を飲まないランチにして、酔っていない状態で「最近どう」と話せば十分だ、というのが入山の提案である。入山自身は飲み会が大好きだが、若い世代が苦手なことを知っているので、そういう場には誘わない。飲み会が好きな人とは飲み会をすればよく、使い分けが大事だという。

もう一つのポイントは、同じ人とばかり話しても意味がないということだ。上司との関係構築は重要だが、上司が持つインフォーマル情報には限界があり、トランザクティブメモリーも広がらない。離れた部署や一見関係のない部署、別の会社の人と食事をすることが大事だという。入山は、自分の部署以外の人と食事をするときに限って飲み会やランチの費用を補助する、といった仕組みがよいと述べた。

十石は、サイバーエージェントで、人事が話したことのない別部署の人とのランチを自動的にスケジュールに入れるシャッフルランチを何度か経験したと話した。仕事では絶対につながらない相手との新鮮な機会だったという。入山は「めっちゃいいと思いますよ」と評価し、サイバーエージェントには渋谷全体でのシャッフルランチをやってほしいと冗談交じりに語った。丸の内では、入山が関わったものではないが、三菱地所の研究会をきっかけに、エリア全体でまったく別の業界の人と会えるシャッフルランチのような取り組みが行われているという。十石は、営業のアポよりもフラットなコミュニケーションができそうだと応じた。

入山は、オンラインも大事な時代なのだから要はメリハリであり、ずっと出社しろという意味ではないと念を押した。何かの機会にリアルに集まり、普段会えない人と対面で会うことに大きな価値がある、という主張である。

食事は「知の探索」の入り口

入山自身も立場上、会食の機会が非常に多く、夜よりも昼のランチを好むという。まったく関係のない人や、一度会って面白そうだと思った人と食事をすると、自分の知らない世界に触れられ、まさに知の探索になる。優れた起業家や経営者はみなこれをやっており、「ご飯行きましょう」が常套句になっている、と入山は見る。オンライン時代だからこそ、食事でもなければ会う理由がない。これは経営者だけでなく、組織で働く人が自分を成長させるためにも、意図的にいろいろな業界の人とランチや夕食をとるのは絶対にいいと勧めた。

十石が、若手からは誘いにくいのではないかと聞くと、入山は、ランチのマッチングアプリのようなサービスを使ってもよいし、取引先への営業がうまくいかなかったときに「そういうのは抜きにして一度ご飯に行きましょう」と誘うこともできると答えた。若い人ほどやったほうがいい、というのが入山の考えだ。

入山は、実は自分もすごく人見知りだと明かした。人の人格は1種類ではないので使い分ければよく、自分は外では「プロ陽キャ」をやっているという。本当は静かにしていたいタイプで、最もリラックスできるのは気心の知れた仲間とこっそり飲む場だ。それ以外の食事会では別の人格を出し、それはそれで面白いと思いながら参加しているという。

大企業の社員はなぜコミュニケーションが下手なのか

十石は、マネジメントの立場になったとき、チームのコミュニケーションを活性化するにはどんな仕掛けが必要かを尋ねた。入山は組織やチームの話に入る前に、一般論として「大企業の社員はね、コミュニケーション下手くそです」と切り出した。早稲田のビジネススクールには、丸の内や大手町にあるような超大手企業の30代が多く通っている。みな頑張って勉強しているし、けなすつもりはないが、本当に下手だという。丸の内や大手町に通う大企業のサラリーマンも同様だとした。

理由は簡単で、「話を聞いてもらえる」からだと入山は言う。「三菱商事です」と名乗る人の話を聞かない人はいないし、トヨタでもNHKでも同じだ。サイバーエージェントの名前でも「すごい」と聞いてもらえる。その時点で看板に甘えており、勝手に聞いてもらえているのだという。問題は、肩書きをすべて外したときに、道を歩いている普通の人とフラットに面白い話をして、相手を引きつけられるかどうかだ。

社内でも同じ構造があると入山は指摘する。特に大手企業には優秀で優しい人が入ってくるので、上司の話がつまらなくても部下は我慢して聞く。上司は伝わっていると思い込むが、実際は上司だから嫌々聞いているだけだ。部の会議では部長の話がつまらなく、下手をすると社長の話もつまらない。話を聞いてもらえる環境にずっといるため、本当の意味でのコミュニケーション能力が育たないのだという。

だから入山は、組織のコミュニケーションをどう高めるかを考える前に、自分自身がちゃんとコミュニケーションできているかを問うべきだと述べた。ここでいうコミュニケーション能力とは、肩書きや立場を外した素の人間として、相手とフラットに対話し、引きつける話をし、相手の悩みや課題を引き出せる力のことだ。十石が「看板のない状態で合コンに行って話を聞いてもらうようなものか」と聞くと、入山は近いと答えた。ただし合コンでも、実際には会社名を名乗ってしまうのだが。

起業家の話が面白い理由:ピッチの反復

対照的な存在として入山が挙げたのが起業家である。早稲田のビジネススクールで、成功した起業家を招いてパッションを語ってもらう「トップ起業家との対話」という人気授業を担当しているが、来る起業家は「話が死ぬほど面白い」という。1時間、誰もパワーポイントを使わないこともある。2年ほど前にマネックス証券の松本大を招いた際、パワポは必要か尋ねると「別にいらない」と言い、数行だけ書いた小さな紙のメモで話し続けた。それでも受講者は引きつけられて聞き入っていたという。

入山は、起業家が偉いからではなく、エレベーターピッチのような経験の蓄積があるからだと説明する。著名な投資家とエレベーターで乗り合わせた20〜30秒で自分の事業を売り込み、「だから2億円ください」と頼む。そういうことを何百回と繰り返しているのだ。サイバーエージェントを立ち上げたころの藤田晋もそうだったはずだという。

もう一つの例がSansanの寺田親弘だ。寺田は神山まるごと高専の設立に向けてさまざまな会社から出資を募っており、入山が関わる会社も出資している。オンラインでピッチを受けた際、寺田は非常にうまく、「このピッチはもう何百回とやっておりますから」と平然と言ったという。Sansanの分も含めれば何千回にもなるだろう、と入山は見る。起業家は、看板もないよく分からない若者がひたすら語って「2億円ください」と言っている存在で、「よく考えたら頭おかしい」。しかし資金をもらえなければ会社が潰れるので、その訓練を通じてコミュニケーション能力が非常に高くなる。いい会社にいて看板で仕事をしていると、その機会がないのだと入山は指摘する。

看板の通じない場所で話す訓練

では大企業に新卒で入った人はどうすればよいのか。入山の答えは、「渋谷で合コンしないで、青森とかでやれるんじゃない?」というものだった。入山のゼミ出身で、JPモルガンに勤める青森出身の人がいる。地元に帰るとJPモルガンを誰も知らず、「どこの何の会社なの」と言われた。一方、同期の電通の人は社名が通じ、テレビに出ている芸能人の話で盛り上がる。本人は「そんなに絡んでないだろう」と思いつつ、すごく悔しい思いをしたという。

入山は、サイバーエージェントも八戸あたりに行けばそれほど知られていないはずだと言い、八戸のスナックでママの心をつかむような経験を勧めた。十石も、地元の大阪では関西大学の学生のほうが東京の一橋大学の学生よりも注目されるだろうと話し、地域によって看板が役に立たないことはあると応じた。入山は、新R25を見ている世代、特にいい会社にいる人は、合コンなどでつい「NHKの裏側はさ」といった看板の話をしてしまう時点で楽をしていると自覚したほうがよいと述べた。そのほうが楽で、相手もそれを求めているのだから仕方ない面はあるとしつつも、看板の通じない場所で訓練することを勧めた。

これから必要な「3つの人材」

最後に入山は、これからの時代に必要だと考える人材として、厳密にはコミュニケーション能力とは言えないと断りつつ3つを挙げた。前提にあるのは、AI時代には学歴や記憶力、論理思考はAIのほうが得意になり、重要ではなくなるという見立てだ。入山自身は「学歴マシーン」でやってきた世代だというが、それでも仕事の多くをAIが担うようになっても、最後の意思決定をするのは人間であり、人間のコミュニケーション能力が残る。人のモチベーションややる気を引き出し、相手に希望を与える力が最も大事になるという。

1つ目は暴走族である。隣の学校に殴り込みに行くような、世の中の役に立たないことをしながら仲間がついてくるのは、相当な人間力やカリスマ性がなければできない、と入山は説明する。2つ目はママさんバレーのキャプテンだ。入山が関わる組織で、パートの女性が活躍して正社員に登用され、今ではリーダーになっている。なぜこれほどすごいのかと思ったら、ママさんバレーのキャプテンだったという。ママさんバレーの世界は、入山もよく知らないが結構ドロドロしているらしく、それをまとめ上げるには相当なコミュニケーション能力が必要だろうと見る。3つ目は歌舞伎町のホストクラブのキャッチで、さまざまな人の心をつかんで引き寄せる力を評価した。

入山はコンサルタントを例に、知識がコモディティ化する時代の差を説明した。頭が良さそうなコンサルタントに上から目線で理詰めで詰められると腹が立ち、二度と使いたくなくなる。しかし同じ知識量でも、明るく素直に「一緒に頑張りましょう」と言い、一緒に泣いたり酒を飲んだりしてくれれば、一緒に頑張ろうという気持ちになる。入山はこれを「感情労働(エモーショナルレイバー)」と呼び、その能力が高い人がこれから価値を出すと述べた。

ただし入山は、自分は本当は陰キャだと改めて語り、人には陰キャの面も陽キャの面もあるのだから、ある程度「プロ陽キャ」を目指せばよいという。渋谷や丸の内の立派な会社の看板があるところではそれが身につかないので、「まずは八戸で合コン」だと繰り返した。

十石が、20〜30代の若手こそAI時代にこうした力をつけることが大事なのかと確認すると、入山は「めちゃくちゃ大事」と答えた。自身もエンジェル投資をしているが、ビジネスモデルが良くても、暗くてつまらなそうな人には投資したくない。よく分からないが面白そうな人に投資するのだという。十石は、AI時代だからこそ人で勝負し、非言語の部分も含めて自分を見せられるコミュニケーションが求められる、と受け止めて番組を締めくくった。