十勝のチーズ工房「age」をリュウジが訪ねる 受賞チーズの食べ比べと7番チーズのタリアータ

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概要

料理研究家のリュウジが「バズレシピ出張編」として、北海道・十勝でチーズを作るageの工場を訪ねた。本人が最後に明かしているとおり、この回は企業案件である。ただし事前情報をいっさい受け取らずに臨む形をとり、その場で食べた感想をそのまま伝える方針だったという。工場では、チーズの知識とカット技術を競う大会で実績を持つ奥様(社長夫人)が4種類のチーズを順に紹介し、十勝産の酒とのペアリングも提案した。後半ではラクレットを試食し、リュウジがフラッグシップの「7番」チーズを使ってタリアータを作った。

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案内役と、ウェルカムドリンクの「山幸」

案内役の奥様は、フランスに本部を置く、チーズの知識とカット技術を競うコンテストに出場している。このコンテストは2年に1回開かれ、奥様は4年前に日本大会で優勝し、フランスでの世界大会に出場したと紹介した。リュウジは、チーズは大好きだがそこまでの知識はないので勉強させてほしいと話し、奥様のワインの知識にも期待を示した。

ウェルカムドリンクは十勝のワインで、品種は山幸(字幕では「山さ」と聞き取れる)だった。奥様によれば、日本で国際品種に登録されている品種は3つしかなく、そのひとつが十勝で作られるこの品種だという。十勝の冬はマイナス20℃ほどまで冷え込むため、寒さに強い品種を、酸味を持つ山ぶどうと掛け合わせたものだと説明した。すっきりしているので食事に合わせやすく、和食や地元のジビエにも合うという。リュウジは、すっきりしているのに奥行きのあるコクと旨味があり、出汁のような感じさえすると評した。

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ゴーダ:手を汚さないスティック形状

最初に出されたのは、4種類の中でいちばんマイルドなゴーダチーズである。スティック状に成形されていて、包装を開けてそのまま食べられる。奥様は、ミルクの甘さを感じられるチーズだと説明し、2年前にジャパンチーズアワードで賞を受けたことも紹介した。

リュウジは、ピザ用チーズで身近なゴーダをわざわざ単体でかじることはこれまであまりなかったが、香りと旨味が強く、思った以上にレベルが高いと驚いた。開封した瞬間の香りから、香りを逃がさない包装になっているのだろうとも推測している。ほかにも、手が汚れない点や、切る手間が省ける点が評判だと奥様は話した。1本は約15gに設定されていて、1日4本までならカロリーを気にせず食べられるという。リュウジは、100%国産、十勝産のチーズと向き合って食べた経験がこれまでなかったと振り返った。

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チェダー:スパークリングとの組み合わせと、製法による違い

続くチェダーチーズについて、奥様は、ゴーダより香ばしい酸味を感じられるはずだと説明した。ビールやウイスキーにも合うが、今回は同じ町で作られている山幸のスパークリングワインを合わせた。泡と、チェダーの酸味がよく合うという。リュウジは、自分が想像していたチェダーとはまったく違い、渋みがなくフルーティーでフレッシュだと驚き、ペアリングでここまで感動できるのかと話した。

日本でよく見かけるレッドチェダーについて、奥様は次のように説明した。本来チェダーは白っぽく、レッドチェダーは年間を通してミルクの色合いをそろえるために色素を加えたものだという。夏の牛は青草を食べるので乳が黄色みを帯び、季節によってチーズの色も変わる。

ゴーダとチェダーの違いは製法にあるとも説明があった。オランダ原産のゴーダは、製造の過程でお湯を少し足し、熟成後も水分を含むように作る。チェダーは、ヨーグルトの上に浮く液体のようなものを全部抜き、固まりを細かく崩して作るため、ほろっとした食感になる。同じミルクでも製法や熟成期間を変えると味がまったく変わることに、リュウジは感心していた。

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チェダーカツオ:鰹の厚削りを練り込んだ和風チーズ

3種類目は、チェダーに鰹の厚削り節を練り込んだ「チェダーカツオ」で、ageのオリジナルである。奥様によれば、2年前に、ageらしいチーズを作りたいという思いから鰹を入れたもので、日本酒によく合う。切り口は鰹によるマーブル模様になっていて、香りにも鰹が出る。

合わせたのは、チーズに合わせるために開発された十勝の日本酒「with チーズ」である。伝統的な造りで、酸を残しているという。リュウジは、華やかな香りとすっと落ちる飲み口を確かめてからチーズと一緒に口にし、「これ発明じゃね?」と声を上げた。最初は薄削りの鰹節が入っているのだろうと思っていたが、厚削りなので香りと食感が残り、新しい味になっていると評価した。褒めすぎてわざとらしく見えるかもしれないが本心だ、とも付け加えている。

配合については試行錯誤があったという。鰹が多すぎるとチーズの味が立たず、少なすぎるとチーズだけの味になる。商品化までに1年以上かかったと奥様は話した。このチーズは昨年のジャパンチーズアワードで銀賞を受けたという。奇をてらったようにも見えるチーズがきちんと評価されることに、リュウジは驚きを示した。奥様は、チーズといえばヨーロッパを思い浮かべる人が多いが、日本人の舌に合わせた和風のチーズが増えていると述べた。フランスの人に食べてもらったところ「ブラボー」と言われたこと、熱々のご飯に刻んでのせると溶けておいしいことも紹介された。

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7番:単一牧場のミルクで作る長期熟成ハードチーズ

最後は、商品番号の「7」が牧場にちなむという「7番」である。1年以上熟成させたハードチーズで、奥様によれば、9月にフランスで開かれた国際品評会モンディアル・デュ・フロマージュに出品し、ブロンズメダルを受けた。

リュウジはかなり硬いチーズを手に取り、香りの段階で反応した。食べると「忖度なしでこれ人生で一番うまいチーズ」と言い、味で混乱することはなかなかないと続けた。香りに奥行きがあり、最初のチーズらしい香りのあとから、お出汁のような香ばしい香りがふくよかに追いかけてくるという。塩味もきつくない。こうしたハードチーズは炙って食べることが多かったが、火を入れずにかじっておいしいのはかなりのものだと評価した。一般的なチーズはガツンと来ても余韻が続かないが、このチーズは余韻が長く続くとも話している。

この味が出せる理由として奥様が挙げたのは原料乳である。通常、牛乳は30軒ほどの農家の乳が混ざるが、7番は1軒の牧場のミルクだけで作っている。牧場が自分のところで搾って作るなら可能だが、運んできて単一の乳だけで作るのは難しい。ageは専用のミルクタンク車を自社で持っており、それを持つのは日本で唯一の会社だと説明した。母体は豆や小麦の袋を扱う創業58年の会社で、その縁で包装素材も見つけられたという。

価格の話も出た。字幕では2,600円や2,100円、本数として8本や10本といった数字がやり取りされていて、正確な条件ははっきりしない。リュウジは「安い」と繰り返し、来る前は高級チーズだと思っていたが、食べれば高くないと分かると述べた。

19:37

社長の狙いは金賞だった

途中で社長が現れ、リュウジは「生意気言ってすみませんでした」と冗談めかして挨拶した。リュウジが7番は人生で一番うまいと改めて伝えると、社長は7番の背景を話した。7番は同社のフラッグシップで、熟成期間が最も長い。国際大会に出したものは、賞を狙って36か月前に仕込んだチーズだという。どう出るか分からなかったが、狙っていたのはゴールドだった。ブロンズという結果は半分うれしく、半分悔しい。社長は、また目標ができたと語った。

21:05

ラクレット:フライパンサイズにカットした日本一のラクレット

社長は、昨年日本一を取ったというラクレットも紹介した。ageのラクレットは、一般的な原木の形ではなく、フライパンにのせてそのまま溶かせる大きさと厚みにカットして売っている。原木から切り出すと端材が多く出るが、おいしいところだけを食べてほしいのでこの形にしていると奥様は説明した。外側のオレンジ色の皮も香りを立たせる要因である。表面を塩水で磨きながら3か月熟成させるとリネンス菌(字幕では「リネンスキ」)がつき、それが旨味を中に閉じ込めるという。

食べ方としては、焼いたパン、ソーセージ、茹でたじゃがいもにかけるほか、スライスした長いもやしいたけなど日本の食材にも合うと紹介された。専用の機械がなくても、テフロンのフライパンで焼いたり、耐熱容器に小さくちぎって入れてレンジで温めたりする方法があるという。

実際に溶かしたラクレットを食べたリュウジは、もっとクセがあると思っていたが全然ないと驚いた。奥様の説明では、ヨーロッパでは表面を磨く回数が多く、そのぶん匂いが強くなる。ageのラクレットは香りが穏やかで、旨味がしっかり乗っているのが特徴だという。ラクレットの品評は、焼く前の味と、加熱したときの香りや溶けた食感の両方を見るので難しいが、その審査で1番だったと社長は話した。

酒については、温めて溶かして食べるものなので、キンキンに冷えた飲み物とは相性がよくないと言われていて、お腹の中で固まってしまうこともあるという。日本酒ならお燗にする飲み方が提案された。リュウジは、外側の皮がカリッと焼けた部分を「外皮うま」と表現し、こちらは旨味より香りが来ると話した。グルタミン酸の量が異常だとも言っている。

ラクレットを扱う飲食店は現時点で二子玉川の1店舗しかないと聞き、リュウジは「もったいなすぎる」と反応した。チャンネルを見ている飲食関係者に向けて、使ってほしいと呼びかけている。社長側も、個人客への販売もうれしいが、飲食店にホールで出せるのはありがたいと応じた。リュウジはさらに、切り分けたラクレットのほうがおいしい気さえすると話した。カットすると空気に触れて劣化するはずだが、包装がよいので味がそのまま保たれているのではないか、という推測である。料理研究家を名乗っていても知らないことばかりで、日本にこんな食材があったのかと振り返った。

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7番チーズで作るタリアータ

後半は出張レシピとして、リュウジが7番チーズを使った「至高のタリアータ」を作った。タリアータはイタリアのステーキで、ハードチーズのスライスと合わせるのがおいしいという。チーズがおいしいので余計なことはしない、という方針である。

まずバルサミコ酢を大さじ4ほどフライパンに入れ、軽く塩を振って煮詰め、とろみをつける。最後にオリーブオイルを加えて乳化させる。リュウジは、今日は味の素を使わないと宣言した。チーズ自体がアミノ酸の塊だから、というのが理由である。バルサミコは加熱すると甘味と旨味に変わるので、煮詰めるだけでソースになると説明した。ほかの使い道として、塩、オリーブオイル、バルサミコでサラダを和えるだけでもおいしく、そこに削ったチーズがあれば一番いいという。

肉は北海道の牧場の牛肉約200gで、筋切りはしなかった。いい肉だからという理由である。味塩こしょうではなく塩とブラックペッパーを振り、香りをなじませるため黒こしょうも先に振った。ドリップを拭き取るのがポイントだという。置いておいて固まったソースは、オリーブオイルと少量の水を足して温め直すと、油分と乳化してまた使えるようになる。

7番チーズは3本使い、包丁で細切りにした。ガチガチのハードではないので肉によく合うという。焼き方については、本場風にするならあまり焼かないほうがいいと説明し、片面1分から1分半でレア寄りに仕上げた。イタリアンのステーキはあまり火を通さず、薄く切るなら中は赤いほうがいいという。カルパッチョほどではないが、それに近いイメージだと話した。焼いた肉はそぎ切りにして並べ、砕いたチーズをたっぷりのせた。チーズが調味料でありソースだという考え方である。牛の肉に牛乳のチーズなので香りの相性がいい、という説明もあった。仕上げにラディッシュを添え、バルサミコソースを回しかけ、イタリアンパセリ、オリーブオイル、こしょうを加えて完成した。

38:03

試食の感想

社長は、こういうチーズの使い方は初めてで、チーズの味がしっかりすると話した。奥様は、包丁で刻んだので食感が残り、チーズの味がダイレクトに伝わると評価した。リュウジは、本来はもっとバルサミコを使うが、チーズがおいしかったので控えめにしたと明かしている。バルサミコはあくまで脇役で、主役はチーズであり、肉にも負けないと強調した。ワインとも合わせ、ラクレットも改めて食べている。

40:36

締めくくり

最後にリュウジは、今回は案件だが事前情報なしの「ガチンコ」で臨み、想像以上においしかったとまとめた。社長側は、辛口のリュウジと聞いていたのでびくびくしていたと明かし、リュウジは自分もはっきり言って舐めていたと応じた。奥様は、地元のワインとともに「土地の力」を感じてもらえたのではないかと話した。リュウジは、七海牧場の牛乳でなければこの味は出ないとはっきり言っていたことに触れ、それが土地の力、十勝の力なのかと感銘を受けたと述べた。奥様は、得意のカットを披露するつもりだったが、スティックを刻むだけで味がダイレクトに伝わる食べ方を教わったと感謝した。リュウジは今日からageのチーズのファンになったと話し、手土産にはageのチーズを持っていけば間違いないと言って、また訪れたいと締めくくった。