牛乳に漬けない、洗って拭いて焼きすぎない――リュウジの「ねぎ塩鶏レバー」

YouTubeで開く ↗
概要

料理研究家のリュウジが、普段のバズレシピではあまり使わない食材を扱うシリーズとして鶏レバーを取り上げた回である。スタッフにレバー嫌いがいることから、「嫌いな人にもおいしく食べてもらいたい」という狙いで作ったのは、ニラではなくねぎ塩で仕上げるレバー炒めだ。レバニラは以前に「封印した」レシピなので今回は作らない、とリュウジは説明している。

7分で読めます

レバーは家で食べるものではないと考える人が多いが、実は結構いけるとリュウジは話す。居酒屋でよく出る、レアに開いたレバーにねぎだれをかける料理もおいしいが、もっと食べやすいやり方がある、というのが今回の出発点である。

1:22

レバー選び:真空パックと色

この日は2種類の鶏レバーを買ってきていた。リュウジによれば、レバーは空気や水に触れると臭みが出るので、できれば真空パックのものがよい。真空パックの方は赤みが強く、空気に触れておらず酸化していない状態だという。今回使ったのは約351gで、ほぼ全量を使う。

また、白っぽいレバーは脂肪を蓄えている証拠で、いいレバーだとリュウジは言う。これがもっと白くなると「白レバー」と呼ばれる。

2:12

下処理が8割:切り方とハツの扱い

リュウジは「レバーは下処理が8割」と強調する。パックを開けた段階で、すでにドリップが出ている。

売られている鶏レバーには、心臓であるハツがくっついていることが多い。リュウジの地元の千葉でも、ハツとレバーが一緒に売られている店が多かったという。ハツだけ別の味付けにするのは取り回しがよくないので、今回はハツも一緒に使う。ハツは水平方向に半分に切る。脂っぽい部分は焼き鳥でいう「ハツモト」である。

レバーは小さく切りすぎないことが大事だ。細かくすると火が通りすぎるからである。できるだけ大きめに切ると中まで火が入りにくく、低温調理のような、ふわっとしたレアに近いレバーの味になる、とリュウジは説明する。大きい葉と小さい葉に分かれるので、小さい方は2等分、大きい方は3等分程度にして一口大にそろえる。

臭みの原因について、リュウジは「基本的に臭いのは血」で、それ以外にはあまり臭みはないと話す。

4:41

「牛乳に漬ける」はやらない

スタッフから「臭みを抜くために何時間も漬けたりしなくていいのか」と聞かれると、リュウジは牛乳に漬ける方法に触れた。自分は牛乳を常備していないので、牛乳に漬けろというレシピは全部ブロックして二度と表示させていない、と半ば冗談交じりに語る。漬けた後の牛乳は捨てるしかなく、使い道も書かれていない。SDGsの観点でも一番よくない、ものを無駄にしない意識が今より低かった時代のやり方だった、というのがリュウジの見方である。

5:07

流水でもみ洗いし、浸けない

代わりにやるのが、流水でのもみ洗いだ。ザルとボウルを使い、水を当てながらレバーを揉むと、血管の中にある黒い塊が出てくる。これは固まった血液である。洗っても残る血のかけらは、ザルをトントンと叩くと落ちる。塩水などは不要で、普通の水でいい。ハツのあたりに固まっている血も取り除く。

水を替えながら、これを3〜5回ほど繰り返すとかなり抜けるという。ただし、水に浸けてしまうのはよくない。鶏レバーのうま味が抜けてしまうからで、だから「洗う」のが一番だとリュウジは言う。焼き鳥屋はこうした作業を毎回やってくれていて大変だ、とも付け加えた。

それでも鶏レバーのいいところは安さで、100gで100円前後、しかも栄養価も高い、とリュウジは評価している。

7:14

水分は大敵:徹底的に拭く

洗ったレバーはキッチンペーパーに広げ、上からもペーパーをかぶせて押さえ、水分を取る。リュウジはこの工程を「非常に大事」とし、レバーが苦手な人でも食べられるくらいおいしくするやり方だと説明する。押さえるとかなりの水分が出てくるが、これが残ると生臭くなる。「水分は大敵」というのがこの回で繰り返される言葉だ。

ハツの脂肪は気になるなら取ってもいいが、残して大丈夫だという。ハツはよく焼くとおいしいように、この脂肪もおいしいので、捨てずに残してほしいとリュウジは勧める。目に付く赤い部分だけは取り除く。ここまでが下処理で、これを覚えておけばどんなレバーもおいしくできる、とリュウジは言う。

レバー料理を作るのは相当前以来で、普段使わない食材を扱うのは楽しい、何品も作ってしまいそうだ、とリュウジは上機嫌だった。

9:06

塩で再び水を出し、片栗粉をまぶす

下味として塩こしょうを軽く振ると、数十秒でまた水分が出てくる。塩の浸透圧によるもので、これをもう一度拭き取る。鶏は水分が多いので抜いてあげるとよく、チキンステーキでも事前に塩を振って水気を取るとおいしくなる、とリュウジは説明する。塩を振らないという意見もあるが、鶏の場合は振った方がいいというのがリュウジの立場だ。

次に片栗粉を大さじ2ほど(レバー350gに対して)加えて揉み込む。片栗粉で軽い衣ができ、外は衣っぽく、中はとても柔らかいレバーに仕上がる。レバーはプリッとした食感が命で、片栗粉には中まで熱が入るのを少し防ぐ役割もあるという。表面が水でベタベタだと粉がきれいにつかないので、ここでも先ほどの水気取りが効いてくる。

もっと丁寧にやるなら、ハツとレバーを分けておくとよい。ハツの方が火を通したい部位で、しっかり火を入れてもおいしく、脂も多いからだ。ハツは全体の4分の1ほど取れるという。

10:52

ねぎだれの役割

長ねぎは約90gをみじん切りにする(本来は最初に切っておくべきだったとリュウジは言う)。蛇腹に切れ目を入れてから刻むと、レバーに絡みやすくなる。

ねぎと合わせることで「レバー感」が少し和らぐ、というのがねぎ塩にした理由だ。ただしリュウジ自身、本当にレバーが嫌いな人には無理かもしれないとし、「微妙」くらいの人がおいしいと思えるレシピだと位置づけている。ねぎはたっぷりめがよく、レバーの3分の1くらいあってもいいという。今回はにんにくを使わない分、ねぎをこれだけ入れる。

12:15

焼き加減がほぼすべて

フライパンにごま油を大さじ1と半分ほど入れる。ごま油の香りはレバーとよく合うという。火は強めの中火。今回は肉の量が多いが、とにかく大事なのは焼き加減で、ここがほぼすべてだとリュウジは言う。

焼きすぎると臭みが出るうえ、ボソボソになって食べられなくなる。また、レバーの香り成分は水溶性なので、水分があるとかなり臭みが出る。だから油で炒めるのがよく、下手に酒などを入れると臭みが出てしまう、とリュウジは説明する。「しっかり焼かなければいけない」とよく言われる点については、焼かなければいけないが、焼きすぎてはだめだと答えている。

まずハツを入れて炒める。火が通りにくく、脂が溶けた方がうまいからで、ハツは多少火が通ってもおいしい。続いてレバーを入れ、全体の赤い部分がなくなるまで炒める。まだ少し赤みが残っている段階で「もうぼちぼち」と判断し、この場面はノーカットで見せている。あとは余熱で火を通していく。

ねぎを加えて火を止め、うま味調味料を9振り、塩を小さじ半分ほど(酒飲みなので、とリュウジ)、黒胡椒はたっぷり、最後に香り付けのごま油を加えて和えれば完成だ。リュウジはこの焼き加減を長年の勘の集大成とし、「これ以上でもこれ以下でもない」と言い切った。

16:17

断面と試食

まな板の上でレバーを切って断面を見せ、リュウジはこれを「究極のレバーの火の通し」と呼んだ。

試食したリュウジは、ねぎとブラックペッパーが決め手で、にんにくはあえて使わなかったと話す。テレビでよく言う「臭みが全くない」状態だという。小さい方がハツで、これも抜群だった。レバーにまとわせた片栗粉が全体の一体感を出していて、そのままでも、酸味が好きならレモンを搾ってもいい。レモンを搾るとさらに食べやすくなる。

レバー嫌いのスタッフにも食べてもらうと、最初は嫌がっていたものの、「すごく食べやすい」「臭みは全くない」と答え、レモンはあった方がいいと評価した。別のスタッフは鶏レバーにボロボロのイメージがあったと言う。これに対しリュウジは、ボロボロの鶏レバーを出す店はレバーが古いか調理ができていないかのどちらかだと答えた。

19:36

リュウジがまとめたコツ

最後にリュウジが挙げたコツは2つ。色が変わっていないレバーを選ぶことと、今回以上に火を入れないことだ。レバーは火が通るほど臭みが出てくるので、ミディアムに仕上げる。ただし生ではなかった、という点も確認している。

本当にレバーが大嫌いでなければおいしいと言えるレシピで、普通の人なら絶対おいしいと言うはずだとリュウジは見ている。レバーが少し苦手な人でも試してみる価値がある、ビール片手にぜひ作ってみてほしい、と締めくくった。