船舶免許の教習所は「嘘をつく」 教習所で働く話者が明かす勧誘の実態と独学のすすめ

YouTubeで開く ↗
概要

小型船舶免許を独学で取る方法を発信している堀越氏が、自分が勤める教習所の電話対応を例に、教習所は客を呼び込むために「嘘をつく」と語った。前回の動画で「無知は罪」というテーマを扱っており、今回はその続きにあたる。話者は、船舶免許について何も知らない人が問い合わせてくるからこそ教習所が成り立っていると述べ、独学という選択肢を知ってほしいと訴えている。ただし、これは「あくまで僕の教習所の話」であり、他の教習所のことは分からないと、冒頭と最後の両方で断っている。

7分で読めます

「嘘つき」とは自分の教習所のこと

話者がいう「嘘」は、事実と違う説明をして、客を自分の教習所のコースに誘導することを指している。話者の教習所は国家試験を受けるコースを扱っている。問い合わせで一番多いのは「免除(登録教習所で国家試験の一部を免除されるコース)と何が違うのか」という質問だという。

こうした問い合わせに、話者の教習所は国家試験コースを選んでもらえるように答える。一方、以前勤めていた登録教習所では逆に免除コースへ誘導していた。どちらの立場でも、自分のところに来てもらうための説明をしてきたというのが、この動画の要点である。

国家試験コース側の言い方

国家試験コースの教習所として問い合わせを受けたとき、話者は「免除は落ちると9万円も10万円もかかる。国家試験はほぼ受かるので、免除に行かなくてもオートスクールなどで十分取れる」と答えるという。

こう説明する理由として、話者は沖縄の料金事情を挙げる。沖縄では免除コースとオートスクール(国家試験コース)の値段がほとんど変わらない。「免除のほうがいい」と言えば客は免除に行ってしまうので、客の取り合いになっているという。

国家試験がほぼ受かるという点は、話者は嘘ではないと考えている。合格率は90%台で、話者が教えた中で落ちた人は特殊(水上オートバイ)以外に本当にいないという。

嘘にあたるのは、免除についての説明だ。話者は登録教習所の実態を知っているので、登録教習所は「99.9%受かる」と見ている。全国には落ちてしまうところもあるかもしれないとしつつ、9万〜10万円を払って授業を受けた後に試験をするので、実技で落ちることはまずないという。それでも電話では、免除の不利な点を強調して答えるということだ。

登録教習所側の言い方

以前勤めていた東京の教習所では事情が違った。話者の記憶では、国家試験コースが6万円ほど、免除コースが9万円ほどで、料金に差があった。そのため免除の問い合わせがあっても基本的には国家試験で十分取れると案内しており、客も金額の差で迷うことになる。

一方、仮に今、登録教習所の立場で客を呼ぶとしたら、話者は「国家試験は落ちます」と言うという。免除コースは99.9%受かるので、「確実に免許が欲しい、お金はあまり気にしない」という人には「免除に来てください」と勧める。どちらの説明が通用するのも、客が事情を知らないからだと話者ははっきり述べている。

教習所は独学を勧めない

話者は、この動画を見て怪しいと思った人は、検索で一番上に出てくる教習所に電話するだろうと予想する。そのとき選択肢に独学が加わるが、教習所が独学を勧めることは絶対にないという。話者自身も、事情を知らない人から電話が来たときに「独学で取れますよ」とは言わない。

ただし、このYouTubeでは教習所に行かなくても免許は取れると伝えている。2級は実技があるので不安なら教習所を使ってもよいが、1級については独学で取らないと損だと話者は考えている。自分の教習所に来るのは損だとまで言う。独学という選択肢が広く知られれば、教習所の受講者はガクッと減るだろうというのが話者の見方である。

沖縄での「売り」とした最短取得

教習所にはそれぞれ売りがある。話者は例として、良い船を使う、ポンツーン(浮き桟橋)で練習できる、エアコンが効いている、といったものを挙げる。しかし沖縄は免除と国家試験の値段が同じなので、値段では差がつかない。これまでは「2級なら免除で最短2〜3日で取れる」ことが免除コースの売りだった。

これに対して話者の教習所は、それまでになかったプランを始めた。試験日が9月30日と決まっている場合、9月28日ごろに旅行で来る人向けに講習を組む。教科書は事前に送り、家で勉強してもらう。来島した日に学科を1時間ほど軽くやり、その後4時間ほど実技をみっちり練習する。講習は1日で、30日の試験を合わせても実質2日で取得できる。話者はこれを船舶免許の最短取得だったと説明している。

話者は、こうした売りがあれば嘘をつかなくても客を呼べると考えている。他の教習所もわざわざ嘘はつかないだろうとしつつ、自分たちは客が免除に行くと困るので、そうさせないために電話で説明を工夫しているという。沖縄の免除コースは本当に絶対取れるので、そちらに流れると困るのだと話す。

免除のメリットは薄れつつある

話者によると、今は国家試験のほうが早く取れる場合もあるという。実技だけを受講できる教習所もあり、それを使えば実技講習1日と試験日1日の計2日で済む。これまで話者自身も「免除は最短3日」と説明してきたが、今は独学に近い形で実技だけ受講するのが最短ではないかと考えている。そうなると免除コースのメリットはなくなってくる、というのが話者の見立てだ。

さらに、免除コースで落ちることがあるなら免除の意味はないと話者は指摘する。名前を書いて写真を渡せば免許証が発行されるような教習所もある一方で、落ちる免除コースもある。教習所に行く人は、しっかり見極めてほしいと呼びかけている。

免許を取っても船は運転できない

話者の教習所では、問い合わせに「独学でも取れるが、その後の船遊びが大変だ」と答えることもあるという。ホームページにも書いてある説明だが、話者はこれを否定する。教習所でも免除でも、どこで取っても取得直後に船は乗れないと言い切る。

横浜の最も高い教習所にはマンツーマン講習のようなコースもあるが、そこで免許を取っても船には乗れない、と話者は言う。話者自身も1人の客にマンツーマンで何時間も教えたことがあるが、1か月後にはやはり運転できなかったという。毎日乗り続けて、ようやく船に乗れるようになるものだと考えてほしいと述べる。登録教習所で優しく丁寧な先生に教わった後でレンタルボートを借りても運転はできず、独学かどうかは関係ないというのが話者の主張である。

話者はレンタルボートの仕事をしていた経験から、免除で取った人がレンタルボートを利用しにくることはほとんどなく、ヤマハのレンタルボートに行く人もほぼいないと話す。取っただけで満足し、人に自慢する人がいることは知っているが、使う予定のない免許に10万円を払っている人が多いと指摘する。免許を使う理由がある人に取ってほしいということだ。

独学で合格した60歳・70歳の例

動画の最後で話者は、コメント欄に60歳の人が独学で船舶免許を取ったという報告があったことを紹介した。話者が知る最高齢の合格者は70歳の女性で、動画だけで学科も実技も練習して試験に合格したという。話者は「右と左が分かる人は船舶免許を取れる」と述べ、独学を勧めている。

話者は、独学は胡散臭いと思う人がまだ多いと見ている。以前は9割ほどだったが、8割ほどに減っていれば嬉しいという。疑うなら教習所に電話して「独学でも取れるか」と聞いてみてほしい、落ちる人が多いなど言えることはいくらでもある、と話者は言う。同時に、自分以外の教習所はしっかり説明してくれるかもしれないし、独学を勧める教習所もあるかもしれないと留保している。船舶免許にはいろいろな取り方があるので、事情を知ったうえで選んでほしい、というのがこの動画の結論である。