就活を終えて院に残る東大生「そーだ」の12時間:コーンフレーク生活、研究、個別指導

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概要

東大大学院の修士1年で、クラッシュ・ロワイヤル(クラロワ)の元日本王者、ポーカーでも国内大会上位入賞の経験を持つそーだ(河野素人)。その1日に、YouTubeチャンネル側の取材者が朝から夜まで同行した密着動画である。最近はYouTubeの更新が減っているが、実際にどんな生活をしているのか。動画はこの問いを軸に進み、朝食、研究、参考書探し、動画撮影、個別指導までの約12時間を追っている。

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2時間睡眠で迎えた朝と、就活の結末

取材者が約束の10時に部屋を訪ねると、そーだはインターホンで起きたばかりだった。眠ったのは朝8時で、睡眠は2時間だけだという。取材者に仕事がハードなのかと聞かれると、本人はそれを否定した。前日は1日中個別指導をし、夜にポーカーをして、そのまま先輩に連れられて出かけていたそうだ。

YouTubeの更新が減っている理由を聞かれると、本人は「普通に就活しただけ」と答える。大学院に進んでから、修了後の新卒就職を目指して就活をした。志望は外資系銀行のトレーディング職で、理由は株の取引などに関心があり、数字に強い愛着があるからだと話す。インターンの参加者は50人以上いて、本採用は10人ほどだろうと本人は見込んでいた。しかし結果は不合格で、就職そのものをやめることにしたという。

面接ではクラロワの話を多くして、反応はとても良かったそうだ。それでも全部落ちた理由を、本人は面接でまったく取り繕わなかったからだと振り返る。取材者は、この密着でも寝起きのままカメラを入れさせてくれたと、その取り繕わなさに触れている。

野菜ジュースとコーンフレークの箱、「幸福は相対的」という考え方

部屋には野菜ジュースが大量に買い置きされ、Amazonから届いた玄米フレークの段ボールが積まれていた。そろそろ「コーンフレーク生活」を再開しようと考えているという。コーンフレークだけで過ごしたのは1か月ほどで、そのあいだも週1回だけは好きなものを食べてよいというルールにしていた。

本人はこのルールをこう説明する。食事には生きるためのものと楽しむためのものがあり、最近は楽しむための食事の割合が大きくなりすぎていた。幸せは相対的なもので、下と上の差で決まる。いつも良いものを食べていると慣れてしまうので、あえて「下」を作り、週1回の食事を強く楽しめるようにする。刑務所から出ると何でも美味しく感じるという話も例に挙げていた。取材者は「しょっぱなからすごいことを言っている」と驚いている。

朝食はなか卯で、320円の朝定食がいつもの選択だという。食べるのが遅いと本人が言うとおり、食事には40分ほどかかった。節約を心がけているのは、投資ができるようになりたいからだ。ほかの出費を減らせば減らすほど投資に回せる資金が増える、というのが本人の考えである。

左右違う靴下、ユニクロの服、参考書の山

部屋に戻ると、取材者は左右で違う靴下を履いていることに気づく。本人によれば、これは意図的な習慣だ。メンタリストDaiGoが「人は相手に興味がないと足元を見始める」と話していたことを受けて、指摘されたら負けというゲームをしているという。服はほぼユニクロで、足元以外に気を配る意識はあまりないようだ。

部屋で目を引くのは大量の参考書である。個別指導を3年続けるうちに、生徒ごとに合う参考書が違うので、それに合わせて買っていたらこの量になったという。一方、冷蔵庫の中身はほとんど賞味期限切れで、飲めそうなものは1本だけだった。取材者が「自分の生活に関心がない感じがある」と言うと、本人は「99%のことはやる気がなく、興味関心のある1%に熱中している」と認めた。

「1位」へのこだわり:数学、クラロワ、学部発表、ポーカー

その「1%」について、本人は1位へのこだわりを語る。東大を目指したころは、自分に一番向いているのが数学だと考え、数学で日本一になりたかった。しかし結果は50位から100位あたりにとどまったという。クラロワでは世界大会で優勝しているが、本人はこれを「日本の高校生のチーム戦での優勝」だと補足し、チーム戦だったことを強調する。所属校として出場した渋渋(渋谷教育学園渋谷)のチームが優勝した、という話である。

学部の研究発表でも1位を狙い、絶対に取れると思っていたが、結果は2位だった。部屋にはポーカーの国内最大規模の大会で30位に入ったときの賞状らしきものもあった。本人は「まだ全然実力が足りない」と言うが、始めてから1か月ちょっとで結果が出た点は早かったと認めている。

クラロワ対戦:カードとエリクサーを読む元日本王者

取材者もクラロワを楽しんでプレイしているため、2人は対戦した。取材者はそーだのアカウント名に驚いている。本人は大学2年ごろまでかなり本気で取り組み、そのころ世界30位あたりまで行ったのが最高だったと話す。今はもう衰えたという。

そーだが使ったのは、相手の手札を削っていく枯渇型に近いデッキで、本人は「論理的で、手順を考えるのが楽しい」と説明する。対戦中、取材者は相手のエリクサー(カードを出すためのコスト)を読んでいるのかと尋ね、そーだはそうだと答えた。取材者は、自分がいつも戦っているランク帯ではカードやエリクサーを読んでくる相手はいないと話し、対戦は取材者の完敗に終わった。取材者は「勝てるわけがない気がした」と振り返っている。

マクドナルドでの研究データ解析とChatGPT

昼過ぎ、そーだはマクドナルドに移動して研究作業をする。理由は分からないが一番集中できる気がするという。この日は、測定した実験データの解析をしていた。ある薬品の添加量を変えると結果が変わるかを調べた実験で、今回は見るからに差が出ており、うまくいっていそうだと話す。ただ、既存の論文とは逆の結果かもしれないので、論文を調べてその現象をうまく説明できればと考えている。テーマは学部の発表で2位を取った研究の続きで、修士でも先に進めていくつもりだという。

話題はChatGPTに移る。取材者が学生はもう当たり前に使っているのかと聞くと、そーだは有料プランにお金は払っているが実際はほとんど使っていないと答え、取材者も同じだと笑う。そーだによれば、アメリカでは新しいAIツールが毎日のように出てきて、学生のあいだで最新の情報や使い方が飛び交っているらしいが、日本ではそうした動きがまったくないという。東大は公式声明を出して利用を認めていて、本人も一度、何も考えずにレポートを1分で出してしまったことがある。それをやると成長しないとしつつも、今後確実に伸びる技術なので、今のうちに触っておかなければいけないと話している。作業中には野球中継に気を取られる場面もあった。

河野玄斗の参考書を探して3店舗

続いて参考書店に立ち寄る。本人にとっては日常だという。探していたのは河野玄斗の新しい参考書である。「河野素人」という名前のとおり、そーだは河野玄斗のものまねをしている立場でもある。2店舗目、3店舗目を回っても売り切れで、結局電子版を買った。「買うのは確定」だったのは、生徒から「この参考書の順番でいいですか」という質問がよく来るため、話題の参考書はチェックしておく必要があるからだ。

帰りの電車で読んだ感想を聞かれると、本人は「めっちゃいい」と評価した。基礎問題は解けるのに応用問題が解けない人は、基礎問題の解法を言葉にできていない。いつ微分を使うのか、いつ因数分解をするのかが分かっていないから応用できない。この本はその言語化を代わりにしてくれるタイプの新しい参考書だ、というのが本人の見立てである。全パターンを頭に入れれば東大レベルにも対応できそうだとも述べた。

さらに本人は、参考書では本人のやる気が意外と大事だと付け加える。効率では別の参考書が上でも、生徒が好きな参考書のほうがやり込むので結局伸びる。だから河野玄斗を尊敬している人なら勉強が続きやすく、その意味でこの本は売れるだろうと話した。

仮眠中の悪夢と、止まったYouTube

帰宅後は仮眠をとる。22分の睡眠が回復に良いらしいと言って横になったが、実際には1時間ほど眠った。寝ている間に声が出ていて、取材者は心配したという。本人によれば、ポーカーで役を勘違いしてオールインし、負ける悪夢を見ていた。無呼吸の気もあるかもしれないが、「まずは寝ろという話」だと笑っている。

夕食に向かう途中、話はYouTubeに及ぶ。今は別の企画は組んでいるが、自分のチャンネルはネタがまったく浮かばず、以前どうやってネタを作っていたのかも分からなくなった「スランプ」だという。取材者は再生数が多い状態でやめたように見えていたので不思議だったと話す。本人によれば、更新していたころも頑張って月3本、通常は月2本程度で、たまに3本すべてが大きく伸びることがあった、という頻度だった。夕食のピザについては、少し高い店のピザと比べてもここに勝てる店はあまり多くないと、本人は絶賛していた。

過去問の使い方を語る動画撮影

21時からの個別指導までの1時間で、動画を1本撮影する。服装は塾で着ているベージュのジャケットに着替えた。取材者の前で身なりを整えることが少し恥ずかしいようで、本人は、見た目を気にしなさすぎるせいで、気にしている場面を見られるほうが恥ずかしいのかもしれないと話している。

撮影した内容は、受験直前期の過去問の正しい使い方である。本人がよくある間違いとして挙げたのは、直前期に過去問だけをやってしまうことだ。過去問は、最初は形式に慣れることで点数が簡単に上がる。人は最初に得た印象に引きずられるもので、本人はギャンブルにはまる人が最初に勝った印象のまま負け続ける例を挙げ、これを確証バイアスと呼んで説明した。過去問の量を増やせばどんどん点数が上がると錯覚しがちだが、量をこなして上がるのは基本的に形式に関わる部分だけになる。だから過去問と並行して地力を上げることが不可欠だ、というのが動画の主張である。

個別指導を終えて:「まだ行けそう」という危うさ

最後は個別指導である。1コマ1時間で、終わった時点で22時を過ぎ、密着は約12時間になった。本人は、自分の生活に一日付き合ってくれる人は珍しいと話し、友人は少ないほうだと認める。理由は「人と合わない」からだという。

取材者は、2時間睡眠でこれだけ動いても疲れて見えないことに驚く。本人も、理由は分からないがまだ行けそうだと言いつつ、それを「よくない」と自覚している。無理ができてしまうのだという。個別指導をするとテンションが上がり、伝えようとして興奮するのかもしれない、と本人は推測するが、確かなことは分からないとしている。そのせいで寝つくのに時間がかかりそうだという。翌日も昼12時から個別指導があり、10時ごろには起きる予定だ。取材者が「大変だ」と言うと、本人は「好きでやってますから」と答え、1日が終わった。