新NISA成長投資枠で狙う「黒字転換企業」の成長力とポートフォリオ再構築
PIVOT 公式チャンネル2024年に開始された新NISAをきっかけに投資を始めた人の多くは、S&P500や全世界株式(オルカン)などの代表的なインデックスを投資信託のつみたて投資枠で運用している。しかし、資産形成の基本が定着するにつれて「より高いリターンを目指したい」「個別株のような特徴的な値動きを取り入れたい」というニーズも高まっている。とはいえ、個別の米国株を自力で分析して投資先を選別するのはハードルが高い。
こうした課題に対し、りそなアセットマネジメントの伊藤貴行氏と、ブルームバーグ・インデックスの森有紗氏は、新NISAの「成長投資枠」を活用した具体的な投資戦略を提示した。本稿では、赤字から黒字へと転換する過程にある米国企業を捉える世界初のインデックスファンド「Smart-i Pro 米国リブート75インデックス」の選定メカニズムと、先進国の優良企業に着目する「Smart-i Pro 先進国リーダー55インデックス」を組み合わせたポートフォリオ構築の考え方を整理する。
成長投資枠の課題と「黒字転換企業」に着目する理由
新NISAの年間投資枠360万円のうち、240万円は成長投資枠に割り当てられている。つみたて投資枠よりも幅広い商品を選択できる枠組みでありながら、何を選べばよいか分からず、つみたて投資枠と同じ低コストの広域インデックスで埋めてしまっている投資家は少なくない。
そこで伊藤氏が提案するのが、市場の平均的な動きとは異なる特徴を持った資産を成長投資枠に組み入れ、資産全体の分散とリターンの向上を狙う手法である。その具体的な投資テーマとして挙げられたのが「黒字転換企業」である。
黒字転換企業とは、業績が赤字から黒字に転換しつつある企業や、過去の赤字から黒字へと業績改善が継続している企業を指す。市場では、現在の利益水準が高い有料企業はすでに株価が高く評価されていることが多い。これに対し、赤字企業が利益を改善させ、市場の評価が見直される局面では、その後の株価が大きく上昇する傾向が見られる。
ブルームバーグが算出している米国の大型・中型・小型株約2,100社を含むインデックスを過去20年間にわたって分析したところ、平均して全体の約20%が赤字企業であったという。赤字企業への投資は個人投資家にとって心理的ハードルが高く、個別銘柄のリスク選別も困難を極めるが、森氏によれば、利益改善の兆候を定量的なルールに基づいて網羅的に捉えることで、指数化が可能になるという。
利益改善の流れを捉える「ブルームバーグ米国業績改善企業75指数」の選定ロジック
りそなアセットマネジメントが設定した「Smart-i Pro 米国リブート75インデックス」は、ブルームバーグが開発した「ブルームバーグ米国業績改善企業75指数」に連動する。この指数に連動する公募投資信託は世界初だという。
同指数が投資対象を抽出する具体例として挙げられたのが、個人向け取引アプリを提供するロビンフッド(Robinhood)である。同社は2022年、個人投資家の売買低迷や暗号資産市場の冷え込みにより赤字が続いていた。しかし、その後の金利上昇に伴う金利収入の増加や暗号資産市場の回復に加え、自社のコスト削減や事業効率化を進めた結果、2024年に黒字転換を達成した。市場がこの業績改善を織り込む過程で、同社の株価は2024年以降に大幅な上昇を見せている。
同指数は、単に黒字化した一時点を捉えるのではなく、黒字転換の「前後」にある利益改善の持続性に着目している。組み入れ対象は以下の2つのターゲットフェーズに分類される。
- 黒字転換期待企業:現在は赤字であるものの、赤字幅の縮小など業績の改善傾向が徐々に確認されている企業。
- 改善持続企業:過去2年以内に黒字転換を達成し、そこからさらに持続的かつ力強い業績改善を見せている企業。
また、資産売却益などの一時的な要因による黒字化を排除するため、純利益の推移だけでなく「営業利益率」も同時に評価し、本業の稼ぐ力が回復しているかを厳格に確認する。
具体的な選定プロセスは以下の手順で行われる。
- スコアリングの算出:米国の大型・中型・小型株約2,100社を母集団とし、四半期ごとの直近12カ月の「実績値4時点」と「アナリスト予想値2時点」の計6時点(5期間)を時系列で並べる。
- 加点と傾斜配分:純利益と営業利益率について、各期間で改善していれば1点、悪化していれば0点を付与する。その際、過去の改善には0.5倍、直近四半期には1.0倍、将来の予想期間には1.5倍の傾斜ウェイトを掛ける。足元から将来にかけて改善が続くと見込まれる企業ほど高く評価され、5点満点で採点される。
- アナリスト予想の信頼性確保:個別アナリストの極端な予想による歪みを防ぐため、3名以上のアナリストがカバーしている銘柄のみを対象とし、コンセンサス予想(平均値)を採用する。
- 銘柄の絞り込み:
- 現在赤字の企業は、純利益・営業利益率の両スコアが3点以上であれば「黒字転換期待企業」とする。
- 黒字化済みの企業は、両スコアが4点以上であれば「改善持続企業」とする。
- 上位75銘柄の選定:この条件を満たした約200社の候補群の中から、過去12カ月の純利益率が高い上位75社を抽出し、指数を構成する。銘柄入れ替えは四半期ごとに行われる。
既存インデックスとの違いと過去のパフォーマンス
同指数の上位構成銘柄(2024年6月末時点)には、半導体大手のマイクロン・テクノロジー(14.7%)、サイバーセキュリティのクラウドストライク・ホールディングス(8.4%)、クリーンエネルギー関連のブルーム・エナジー(6.9%)などが並ぶ。マイクロン・テクノロジーは、PCやスマートフォン需要の低迷で2022年から2023年にかけて一時赤字に陥ったが、AI普及に伴うデータセンター向け需要の急回復によって2024年に黒字化を達成し、株価も急伸した事例である。
同指数と代表的な主要指数との銘柄重複率は極めて低い。S&P500との重複銘柄数はわずか6銘柄、ナスダック100との重複は7銘柄にとどまる。大型株に偏りがちなS&P500とは異なり、中型株や小型株も幅広く網羅されているため、従来のインデックスとは大きく異なる値動きの要素をポートフォリオに加えることができる。
過去10年間のバックテスト結果では、ブルームバーグ米国業績改善企業75指数はS&P500に対して約1.9倍のパフォーマンス差をつけて上回った。業績改善の初期段階にある企業をルールに基づいて事前に組み入れることで、市場の再評価による株価急上昇の恩恵を長期にわたって累積できたことが要因とされる。
内包されるリスクと下落局面での特性
一方で、投資上の注意点やリスクも存在する。 森氏は、業績改善が指数組み入れの段階ですでに株価に織り込まれている可能性や、四半期ごとのリバランスであるため「最安値で組み入れ、最高値で除外する」といった完璧な売買タイミングにはならない点を留保事項として挙げた。また、構成銘柄数が75社と絞られているため、500銘柄に分散するS&P500に比べて個別の価格変動リスクは高くなる。ただし、過去のデータ上はリターンも高いため、リスク・リターン比(シャープレシオ)で見ると主要指数と大きく乖離していないと伊藤氏は説明する。
相場局面ごとの耐性にも特徴がある。2008年の金融危機や2011年の調整局面では主要指数を下回る場面があったものの、ハイテク株が大きく崩れて主要指数が下落した2022年には、主要指数よりも下落率を小さく抑える結果となった。2022年は資源高を受けたエネルギー企業や、経済再開に伴う設備投資需要を取り込んだ工業セクターの業績改善が進んだ年であり、同指数がそうした業績改善セクターの比重を機動的に高める設計になっていたためである。
もう1つの選択肢「先進国リーダー55」の仕組み
番組では、成長投資枠の分散候補としてもう1つの投資信託「Smart-i Pro 先進国リーダー55インデックス」も紹介された。連動対象はブルームバーグが開発した「ブルームバーグ先進国インダストリーエリート55指数」である。
リブート75が変化を狙う「攻め」のファンドであるのに対し、リーダー55は先進国のトップ企業群に安定的に投資する設計となっている。
- 選定基準:時価総額の大きさに加え、売上高純利益率および総資産利益率(ROA)の3指標で総合評価する(時価総額の評価比率がやや高め)。先進国市場の全11セクターから、それぞれ上位5社ずつ、計55社を選定する。
- セクター配分の傾斜:11セクターに均等配分するのではなく、直近3カ月の株価リターンを値動きの大きさで割った「リスク調整後モメンタム」を用いて配分比率を調整する。株価の勢いがあるセクターの比重を引き上げ、モメンタムの弱いセクターの比重を引き下げる。
- リバランス頻度:こちらも四半期ごとにリバランスを実施する。
過去10年のバックテストにおいて、同指数は全世界株式に対して約1.4倍のパフォーマンス差を記録した。市場全体を丸ごと保有する全世界株式に対し、各業種のトップ5社に厳選しつつ、トレンドの強い業種にウェイトを傾斜させる設計が機能した結果である。
成長投資枠におけるポートフォリオの使い分け
伊藤氏と森氏は、これら2つのインデックスを用いたポートフォリオ構築の考え方を整理した。
つみたて投資枠ではS&P500や全世界株式をコア(土台)として保有し続けた上で、成長投資枠において自身の投資方針に応じたサテライト資産をトッピングする形が基本となる。
- Smart-i Pro 米国リブート75インデックス(攻め):赤字からの黒字転換や業績改善の初期段階にある米国企業を捉え、個別株投資のような高い成長性と値動きを狙う。主要指数との重複が極めて少ないため、明確な分散効果が期待できる。
- Smart-i Pro 先進国リーダー55インデックス(守り・安定成長):先進国11セクターのトップ企業に幅広く分散し、セクターモメンタムによる配分調整を効かせながら着実なリターンを目指す。
成長投資枠内の配分イメージについて伊藤氏は、個人の見解と前置きした上で、成長投資枠の中で「リブート75」に50%、「リーダー55」に50%を割り振り、攻めと守りのバランスを取る組み合わせ方を一つのアイデアとして提示した。
従来の時価総額加重平均型インデックスだけでは捉えきれない市場の歪みや企業の転換点を、独自のルールとデータによって抽出するアプローチは、新NISAの成長投資枠における新たな選択肢として注目される。
過去20年間で20%の銘柄が赤字企業であったと。赤字企業の過去の株価の推移を見ていくと、過去に利益改善が進んで市場の評価が見直される局面で、株価がその後に上昇する。これから伸びていくぞという企業の勢いみたいなものを取り込むイメージですよね。そうですね、S&P500との比較になっております。約10年で1.9倍のパフォーマンスになっておりまして、こちらが組入上位銘柄になりますけれども、なかなか知られていない企業もありますよね。S&Pとか全世界とはやっぱりちょっと違いますよね。この指数に連動するような投資信託の商品というのは世界初になります。
ブルームバーグさんというと金融ニュースの会社というイメージがあったんですけれども、インデックスの開発もされているんですよね。豊富なデータと先端技術を活用して、世界の機関投資家向けにインデックスを提供しております。赤字の企業に投資するというのは結構緊張感があるなと思うんですが。
企業が持つ独自のサービスやメソッドからビジネスパーソンに必要なスキルセットを学ぶ番組「&SKILL SET」です。今回は「新NISA×成長投資枠 次の一手は“黒字転換企業”」をテーマに、りそなアセットマネジメントの提供でお送りします。それではゲストの紹介です。まずお一人目は、りそなアセットマネジメントの伊藤貴行さん。続いてブルームバーグの森有紗さんです。よろしくお願いします。
まず伊藤さんから、普段どのような業務をされているのでしょうか。普段はりそなアセットマネジメントの公募投資信託の営業推進という形で、弊社の公募投資信託を個人のお客様に使っていただきまして、長期的な資産形成をしてもらおうという推進業務を担当しております。まさに投資家の方が気になることをたくさん熟知されていると思いますので、ぜひ教えてください。よろしくお願いします。そして森さんはどのような業務をされているのでしょうか。
私はブルームバーグでインデックスの商品開発を担当しております。インデックスと言うと、市場全体の動きを表すものだけではなくて、どのような企業に投資したいかといった投資のアイデアを表したものもございます。ブルームバーグさんというと金融ニュースの会社というイメージがあったんですけれども、インデックスの開発もされているんですね。
はい、非常に豊富なデータを持っておりますので、その豊富なデータと先端技術を活用して世界中の機関投資家向けにインデックスを提供しております。2016年に債券インデックスのビジネスをバークレイズから買収しまして、そこから徐々に拡充していったんですけれども、株価指数につきましてもブルームバーグ独自のデータを活用してたくさん開発を行っております。セクターの分類だけでなく売上高比率やサプライチェーンのデータなど、色々なデータがある中で、今日はその中でも独自なデータであるアナリスト予想を活用して開発したインデックスの例をご紹介できればと思います。
私も投資していますので、お二人からしっかりと学んでいきたいと思います。それでは伊藤さん、今日はどんなテーマについて教えていただけるのでしょうか。
本日はこちら3つのテーマになります。1つ目が「新NISA 次の一手は成長投資枠」、2つ目が「攻めの投資 黒字転換企業」、3つ目が「見直すべきポートフォリオ」になります。分かりました。では早速いきましょう。
次の一手ですね。NISAをきっかけで投資を始めた人が多くて、最初は低コストのインデックスを中心に始めた方が多いと思うんですけど、そこから慣れてきた方に多い悩みというのはあるんですか?
2024年に新NISAが始まりまして、おっしゃられた通り個人で資産形成されてS&P500だったり全世界株式をやられている方が多いかと思うんですけども、そういったところに偏りがちになっているのかなというところがございます。一方で、ある程度やられてきた場合は、もう少し違った特徴のある投資信託を運用してみたいだったり、より高いリターンを目指して個別株投資をしてみたいとか、そういった思いも出てきているのかなと思っております。
すごく分かります。入り口はやっぱり王道に行くぞと思うんですけど、慣れてくるとちょっと自分らしさを出したくなってくるんですよね。そんな中で、次の一手としておすすめなのは?
新NISAの中での成長投資枠での活用というところになっております。注目するのがこの成長投資枠の使い方なんですね。私、今まであまりNISAの中で分類を気にして使ってなかったんですけど、成長投資枠の魅力も教えてください。
成長投資枠なんですけども、より幅広い商品に投資できるところが魅力かと思っております。NISAは年間360万円の中で、成長投資枠で使える部分が240万円ございます。この240万円というところをうまく特徴のある資産と組み合わせてもらうことで、投資先の分散ができるのかなと思っております。
つみたて投資枠と違って選べる商品が多いですよね。独自の戦略を取り入れられるなと思いつつ、自分も少し持っているから分かるんですけど、個別株の分析とか本当に難しいですよね。そうですね。個別株となると難しい中で、色々な投資信託やETF、それをベンチマークとして使っているインデックスもございますので、今日はその中から少し特徴的なものをご紹介できればと思っております。
投資先の選択肢を広げるために使えるんですが、でも何したらいいかわからない。ということで今回注目するのが2つ目のキーワード「攻めの投資 黒字転換企業」。まずは黒字転換企業というのはどういう企業を指しているのか教えてください。
黒字転換企業とは、企業の業績が赤字から黒字に転換しつつあるような企業さんだったり、過去赤字だったのが業績が黒字に改善し続けているような企業のことを指します。なるほど。転換しつつあるという途中の企業だけではなくて、すでに黒字化して成長段階に入った企業も含まれているということですね。これは自分で見つけるのは難しくないですか?
おっしゃる通りで、個人の投資家さんが赤字の企業に投資するって結構難しいのかなと。怖くてできないですよね。そういった企業を集めたような指数をブルームバーグ社さんが開発されておりまして、そちらが「ブルームバーグ米国業績改善企業75指数」になります。
黒字転換、成長フェーズに突入する米国企業を厳選した75銘柄ということですね。私たちも投資できますか?できます。9月に立ち上げまして、名前が「Smart-i Pro 米国リブート75インデックス」というものになります。この指数に連動するような投資信託の商品は世界でも確認されておらず、世界初になります。どんな指数なのかもさらに教えてほしいです。
私たちが着目したのは、すでに利益率が高かったり安定して利益を出せている、市場で高く評価されているような会社ではなくて、これから業績を改善して優良企業になっていくような会社です。実際ブルームバーグが算出している米国の大型、中型、小型株指数、現状ですと2,100社入っているインデックスなんですが、この中身を過去見ていきますと、過去20年間で平均してそのインデックスの20%の銘柄が赤字企業であったということが分かっております。
20%は多いですね。結構多くて、その赤字企業の過去の株価の推移を見ていくと、過去に利益改善が進んで市場の評価が見直される局面で株価がその後に上昇するというような事例がいくつか見られまして、ブルームバーグとしてはそのような企業を何かしらのルールベースで広く捉えることはできないかというところでこちらのインデックスを作っています。
現在の利益だけではなくて将来どれだけ利益を上げるのかという予想で株価って動くので、そのタイミングは絶対に株価が上がりやすいんだろうなというのは感覚としても分かるんですが、実際にどんな例があったのかも教えてください。
ロビンフッドの例です。ロビンフッドは株式や暗号資産を取引できるモバイルアプリを提供している会社ですけれども、2022年あたりは個人投資家の売買が落ち着いたことや暗号資産市場が低迷したこともありまして、赤字が少し続いておりました。2023年以降になりますと、金利環境で金利収入が増えたり暗号資産市場も回復して、あとは企業としてもコスト削減や事業効率改善を行ってきまして、徐々に業績が改善していって2024年に黒字転換したような会社でございます。
そして株価はどうなったんですか?こちらが同じ期間の株価の推移なんですけれども、2024年あたりから市場でもやはり業績改善というところが評価されまして、2024年以降株価が大きく上昇するような局面が見られております。この黄色の網掛けで示しているところが、この銘柄がインデックスに含まれているような期間でございます。
黒字になってきそうだという時に投資するというのは、すでに株価が上がった後の可能性もあると思うんですけど、どんな段階で企業を捉えるということを狙っているのでしょうか?
具体的には黒字転換の前後にある利益改善に着目をして、企業を一定のルールに基づいて組み入れております。大きく2つのグループの会社を見ていくんですけれども、まず1つ目が、現状まだ赤字ですけれども業績が徐々に改善してきている業績改善期待企業、こちらで言うとターゲットフェーズ01番の方ですね。赤字が小さくなってきているような。おっしゃる通りです。
2つ目の会社は、過去2年間以内に黒字転換はもうしているんですけれども、そこからさらに業績を改善して比較的強い改善が持続的に見られるような会社です。つまり黒字転換という一時点のタイミングではなくて、その前後にある利益改善の流れというところに着目をしています。
なるほど。これは純利益だと思うんですけど、資産売却益とか一時利益が含まれる場合もあると思うんですが、この本業要因の黒字とどう見分けているんですか?
インデックスでは純利益の推移と営業利益率の両方を合わせて見ております。ちゃんと本業でどれぐらい稼いでいるのかも見ているということなんですね。さらに具体的にどうやって選んでいるのかも教えてください。
まず組み入れる企業を選ぶベースとなるのが、米国の大型株だけではなくて中型・小型株を含めた、最近ですと2,100社ぐらいあるインデックスになります。その際に、純利益と営業利益率両方の改善度合いを見ていきます。それぞれの指標について過去の実績だけではなくて、ブルームバーグが集計しております予想を用いて、過去1年間の業績実績と今後もその改善が続く可能性というところを5点満点のスコアで評価しております。
決算の実績とアナリスト予想ですね。おっしゃる通りです。具体的には、スコア算出のイメージ例を左側ご覧いただければと思いますが、四半期ごとの直近12か月の実績値を4時点、そして予想値を2時点、時系列で6時点並べた時に、その間5期間あると思いますけれども、それぞれの期間で純利益と営業利益率が改善しているか否かを見ていきます。改善していれば1点、悪化していれば0点という形で、改善している時のみに加点をするような形です。
ただし全ての期間を同じように扱うのではなくて、過去の改善よりもこれからの改善というところに重みを置くために、過去の改善分には0.5倍、直近の四半期には1倍、そして将来にかけては1.5倍という形で傾斜をかけていきます。つまり過去に一度改善しただけではなくて、足元から将来にかけて改善が続くと見込まれるような会社をより高く評価する形です。
こちらのイメージ図では期間1のところで純利益が悪化していて、2、3、4、5と改善しておりますので、それぞれの期間のスコアとウェイトを掛け合わせて合計で4.5点という形になっております。5つの期間全てで改善していると5点満点という形になります。じゃあ4.5点はかなり高い方ですね。おっしゃる通りです。
このスコアリングを、先ほど申し上げた2,100社全ての銘柄について純利益改善スコア、そして営業利益率改善トレンドスコアの2つを計算いたしまして、2つのグループに企業を分類していきます。1つ目は、現在赤字でも両方のスコアが3点以上で改善が確認されている企業ということで「黒字転換期待企業」。そして一度黒字化した後も両方のスコアが4点以上というところで、より強く改善を維持している会社を「改善持続企業」という形で分類いたします。
こちらの2つのグループに該当する企業が足元ですと200社ほどありまして、その中から過去12か月間の純利益率を見て上位75社を最終的にインデックスに組み入れるというような設計になっております。
2,100社から75社に絞るのは、スコアリングをして黒字転換期待企業3点以上、4点以上が改善持続企業まで絞り込んだ上で、さらに最後はその200社の候補の中から純利益率が高い上位75銘柄を選んでいるということですね。おっしゃる通りです。このスコアはどうやって作り出したんですか?
ブルームバーグのリサーチチームと共に、改善度合いを測ると言っても実績だけでもできますし、直近から予想だけでもできますしという形で色々な方法を試した結果、なるべくその後の株価のリターンというところを捉えられる方法としてこちらのスコアリングを決めております。
過去四半期の実績決算はすごく分かりやすいと思うんですけど、アナリスト予想は一人すごい尖ったアナリストとかがいたらちょっとブレるじゃないですか。ここはどうするんですか?
我々のインデックスでは3名以上のアナリストの方がカバーしている銘柄のみを組入対象としておりまして、平均値のところを使えるようにしております。コンセンサス予想みたいなところですね。これはやっぱりブルームバーグだからできることですよね。
企業を専門的に調査して分析なさっているアナリストの方々が、各会社が今後どれだけ利益が出そうかというところを出している数字ですけれども、そちらをブルームバーグとして集計して1つのコンセンサス予想という形で集計をしております。ブルームバーグならではのデータかと思います。金融情報ベンダーでもありますので、アナリストさんの予想が社内にも蓄積されていまして、過去の実績プラス将来予測というところで指数に反映させているというところは非常に面白いと思っております。
そのアナリストの方が下方修正したりすることもあると思うんですけど、そうした時には企業はどのタイミングで指数から外れたりするんですか?こちらのインデックスは四半期ごとに銘柄の組入れを行っておりまして、その時々で同じような形で評価をして、改善がより強い銘柄を組み入れるというような形です。
もう1個聞いてもいいですか?純利益率とか営業利益率も業種でちょっと水準が変わってくることもあると思うんですけど、この業種ごとの有利不利みたいなのはもうそこまで気にしないで、最後は高さ順で決めているんですか?こちらのインデックスはおっしゃる通りです。なるほど。どんな銘柄が入っているのか教えてください。
こちらが組入上位銘柄になりますけれども、1位にマイクロン・テクノロジー14.7%、クラウドストライク・ホールディングス8.4%、ブルーム・エナジー6.9%などとなっております。
確かに今見た上位10銘柄はS&Pとか全世界とはやっぱりちょっと違いますよね。Spotifyは知ってますけど、なかなか知られていない企業もありますよね、日本では。大型株、中型株、小型株というのが満遍なく入っていますので、日本の皆さんがよく聞くのは大型株が多いかと思いますが、中型株・小型株が入っているというところは銘柄としても違ってくるのかなと思います。確かに米国の企業で中小型株はなかなか探すのが本当に難しいですよね。
改めてマイクロンの割合が高くなっていると思いますが、そちらについても解説お願いします。半導体メーカーのマイクロンですけれども、パソコンやスマートフォン向けの需要低迷などを背景にこちらも2022年から2023年にかけて一時赤字となっておりますが、その後AIの普及に伴うデータセンター向けの半導体需要の回復というところで大きく改善しておりまして、2024年には黒字となっております。
まさにこの指数が着目しているような黒字改善企業かなと思っておりまして、利益改善の後にまた株価の方も反応して大きく上昇したというようなケースでございます。
全世界とかS&Pと上位銘柄が被っていないなと思ったんですけれども、全体としてこの重複はいかがですか?こちらのスライドをご覧いただきますと、左側がS&P500と当指数の重複度合い、右側がNASDAQ100なんですけど、S&P500で採用銘柄6銘柄のみ、NASDAQで7銘柄の重複というところで、非常に重複している銘柄が限定的だというところがここから分かるかなと思います。違った値動きの要素を加える可能性があるのかなというところではございます。
私が思ったよりも重複してなかったですね。そんなことあるんだと思うくらい重複してなかったんですね。ちょっとそこ取れてなかったなという企業もすくい上げることができますよね。そしてリターンはどれくらい期待できるのでしょう?
こちらバックテストになるんですけども、過去10年のブルームバーグ米国業績改善企業75指数とS&P500との比較になっております。約10年で約1.9倍の差のパフォーマンスになっておりまして、長期的に高いリターンを着実に積み上げてきているというところがこちらからも確認いただけるかなと思っております。
このパフォーマンスが生じた1つの大きな要因としては、やはりこの指数が企業の変化というところに事前に着目して組み入れているからだと思っております。やはり企業の業績が赤字から黒字に転換するタイミングというのは投資家の注目も高まる局面になってますので、今まで評価されなかった企業が大きく大化けするようなタイミング、そういった企業さんをしっかりと指数の中に組み入れられているというところが、長期的に指数の差になってきていると思っております。
S&P500とかってもうすでに市場では高い評価を受けている企業も多いじゃないですか。だからゆえの安定感とか安心感みたいなのもあると思うんですけど、すでに高評価されている大型企業の影響を受けやすい指数でもありますもんね。しっかり黒字が出ている企業というのは投資家さんからも評価されているというところはありますので、そうじゃない企業により注目をしている指数なのかなとは思います。これから伸びていくぞという企業の勢いみたいなものを取り込むイメージですよね。
非常にリターンは魅力的ですが、赤字の企業に投資するというのは結構緊張感があるなと思うんですが、こちらについてはどうお考えになりますか?
リスクとしましては、業績の改善がされる時には株価に織り込まれているという可能性もございますので、そこが1つリスクとしてはあるかと思います。もう1つは、銘柄を組み入れるタイミングですけれども、必ずしもそれぞれの企業の底値で組み入れて最高値で除外するといった形でタイミングがぴったり合わない可能性もあるかと思います。ただ、このインデックスが目指しているところとすると、期待通りに成長してリターンが出る企業を一社ピックアップしていくのではなくて、75銘柄に分散投資をして個別のリスクを抑えながら、なるべく幅広くそういった銘柄を捉えるというところでございます。
株価が期待をちょっと下回る可能性と、四半期ごとのリバランスなので組み入れタイミングのズレの可能性があると。
S&P500に関しましては500銘柄で構成されていますが、こちらの指数に関しましては75銘柄で構成されてますので、どうしても銘柄数が少ないというところで少しリスクは高くなっております。銘柄分散の量ということですね。その分リターンは大きく出てますので、リスクリターンの観点で見るとそこまで大きく変わらないというところが確認できるかなと思います。
調子が悪い年とかきっとあると思うんですけど、そういったあたりはどう考えたらいいですか?過去の色々な相場のパフォーマンスを主要指数と比べていきますと、全ての相場でこちらのインデックスのパフォーマンスが良かったかというとそうではなくて、例えば2008年や2011年など、少し主要指数のパフォーマンスを下回るような局面もございました。
一方で、2022年はテクノロジーセクターのパフォーマンスが悪くて主要指数も結構下落した年ではありますけれども、こちらのインデックスは比較的その下落率を抑えられるような結果になっております。2022年と言いますと、資源価格の上昇を背景にエネルギー企業の業績が良かったり、あとはコロナ後の経済活動の正常化や企業の設備投資需要の回復というところで工業セクターのパフォーマンスも良かった年なんですけれども、このインデックスではそういったセクターとして業績が改善されているところの比重が高くなるような設計になっておりまして、その結果主要な指数よりも下落率を抑えられるような結果になったのかなと思います。
年によって入っているセクターが結構違うんですね。そうなんですよ。年によって結構業種の割合は変わってきます。
ここまで黒字転換前後の企業をルールで選んで、個人で探しにくいような企業にまとめて投資ができるという点はよく分かりました。では3つ目のキーワードに行きましょう。どうポートフォリオに組み入れていくのか。実際にどう組み込んだらいいですか?
つみたて投資枠ではS&P500のようなものを引き続き資産形成のコアとしていただきまして、銘柄重複が少ない今回のSmart-i Pro 米国リブート75インデックスのような投資信託をご活用いただけたらいいのかなと思っております。土台に追加するイメージですね。そうですね。あとは個別株投資をやってみたいなと思われる方も、個別株の値動きみたいなところを反映できるような指数になっておりますので、そういったところでもご活用いただけるのかなと思っております。また個別株投資でも赤字企業になかなか投資する勇気は出ないと思うんですけども、そういった時にはこの投資信託をご活用いただければいいのかなと思います。
ちょっと興味はあるんだけど個別株一本は怖いし、なかなか自分で分析も難しいんだよなという方には特におすすめですね。実際に分散投資としてのおすすめは他にもありますか?
実は本日もう1つご紹介したい商品がございまして、「Smart-i Pro 先進国リーダー55インデックス」というものになります。これは55社なんですか?おっしゃる通りです。こちらは先進国の上位企業55社を合わせた指数になっていまして、裏付けとなる指数がこちらもブルームバーグ社さんが開発しました「ブルームバーグ先進国インダストリーエリート55指数」というものになっておりまして、こちらの指数に連動するような形の投資信託になっております。
どんな指数なのか教えてください。特徴としてはまず2つありまして、1つ目がどのように企業を選ぶかなんですけれども、このインデックスでは時価総額の大きさに加えまして売上高純利益率、あと総資産利益率(ROA)、企業がどれだけ効率的に利益を出せているかといったような指標を使って、この3つを総合的に評価して11セクター・11業種からそれぞれ5社ずつピックアップして、全部で55社を組み入れるというようなインデックスになっております。
時価総額、純利益率、ROAの3指標は同じ比率で評価していますか?時価総額だけ少し高めの比率で評価して、3つを組み合わせて使っています。なるほど。
2つ目の特徴は、どの業種に多く配分するかです。常に同じ業種が好調とは限らないので、その時々で相対的に勢いのある業種により多く配分するという設計を取り入れております。具体的には各セクターの株価モメンタム、株価の勢いを表すモメンタムを使っていくんですけれども、直近3か月間における株価のリターンをその値動きの大きさも考慮したリスク調整後モメンタムというもので評価いたしまして、モメンタムが高いセクターについては比重を引き上げて、モメンタムが弱いセクターについては組み入れ比率を下げるというような設計を行っております。
株価の勢いがある銘柄についてはちょっと加重をかけて買ってくれるということですね。おっしゃる通りです。各セクターの中から5社ずつ選んで、その時々のセクターの市場のトレンドに応じて業種のウェイトを変えられるというところが特徴かなと思います。構成銘柄自体はS&P500と重複するところもあるんですけれども、どの企業を選ぶかだけではなくて、この業種にどれだけ配分するかというところに独自のルールを使っております。
これはすごい分かりやすいですね。かなり名前の通り先進国のリーダーの55社を選ぶということですね。11セクターから必ず5銘柄ずつ取ってくるので、全ての業種に幅広く投資機会を持てる点が特徴かと思います。この指数にはどれくらいの期間で反映されていくものなんですか?こちらも四半期のリバランスになります。
リターンはどれくらいになるのでしょうか?こちらのチャートをご覧いただきますと、こちらもバックテストになるんですけども、過去10年のブルームバーグ先進国インダストリーエリート55指数と全世界株式の比較になっておりますが、10年で約1.4倍のパフォーマンス差になっております。こちらも長期的に安定して着実にリターンを積み上げてきているのかなというところをご確認いただけるかと思います。
全世界株式になりますと本当に市場全体に投資していく形になるかと思うんですけども、こちらはその業種のトップ5社を厳選してそれを合わせることで指数化しておりますので、そういったトップ企業に投資ができるという特徴の指数になっているかと思います。
ここまで2つのインデックス、おすすめの使い分けってどんな感じになりますか?
改めて整理させていただきたいと思います。まず左側のSmart-i Pro 米国リブート75インデックスなんですけども、こちらに関しては黒字転換期というところで企業の変化、大きく飛躍する企業を指数化しているものになっておりますので、どちらかというと攻めのインデックスかなと思っていただけると思います。一方で右側のSmart-i Pro 先進国リーダー55インデックスに関しましては、先進国のトップ企業を55社厳選するような商品になっておりますので、どちらかというと安定的にしっかりと分散しながら長期の資産形成をしたいというような方におすすめかなと思います。
業種内の優良企業を先進国の中で集めたというイメージですね。勢いがいい企業にちょっと傾斜をかけることもあると。足元だとハイテク企業とかそういったところのウェイトが少し高くなっているかと思います。
こちらを成長投資枠の中で使ってちょっとトライしてみたいなという方がいた時に、もちろん人によると思うんですけど、配分比率何対何くらいをイメージしますか?なかなか難しいんですけども、私個人だと米国リブート50%、Smart-i Pro 先進国リーダー50%ぐらいで攻めと守りを半々にしようかなと。成長投資枠の中で守りと攻めを半分ずつにしたいなと思います。
最後にお二人からお話しいただければと思います。改めて視聴者の方にお伝えしたいことはありますか?
NISAの活用というところは皆さん悩まれているかと思いますし、色んな商品があるかと思いますけども、本日のお話が少しでもポートフォリオの分散のアイデアの1つになればいいのかなと思っておりますので、ぜひ商品を見ていただければ幸いでございます。
森さんいかがでしたか。設計次第で色々な投資の考え方を表せるのがインデックスですけれども、今日はそのインデックスの面白さを少しでも知っていただけたら嬉しいなと思いますし、今日ご紹介した2つのアイデアが新しい視点・選択肢になっていれば嬉しいなと思います。
本当に色んな指数があるんだなと思ってとっても楽しかったです。目の付け所がすごいなと感動しました。本日紹介したSmart-i Pro 米国リブート75インデックスは設定されたばかりの国内初の新しいインデックスです。次の一手を探している方はぜひ概要欄をチェックしてみてください。本日はありがとうございました。ありがとうございました。
記事公開
