新明解国語辞典第8版を通読した話者が選ぶ「極上の語釈」:重い恋愛観、にじむ悪意、基本語の説明
ゆる言語学ラジオゆる言語学ラジオの水野太貴は、1700ページほどある『新明解国語辞典』第8版を3年かけて通読した。『新明解』は語釈が独特な辞書として知られている。最も尖っていたのは第4版で、版を重ねるごとにマイルドになり、最新の第8版はもう尖っていないとも言われる。水野はこれに異を唱え、第8版にも「極上の語釈」が残っていると主張する。本稿は、TBS赤坂での公開収録(観客約100人)で、水野が堀元見を相手にその語釈を紹介した回の記録である。後半で水野は、『新明解』を「変な辞書」と見るだけでは足りず、本当の見どころは基本語の説明にあるという本題に入る。
第8版の「恋愛」はまだ重い
最初の例は、かつて「できれば合体したい」といった記述があった「恋愛」である。第8版ではこうなっている。特定の相手に対して、他のすべてを犠牲にしても悔いないと思い込むような愛情を抱き、常に相手のことを思っては二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、少しでも疑念が生じれば不安になる、といった状態に身を置くこと。
堀元は「僕、恋愛したことないかもしれない」と応じ、少女漫画のように夢中にならなければいけないのかと驚いた。水野によれば、この語釈は別の理由でも話題になった。昔の『新明解』は異性愛を前提にしていたが、第8版は「特定の相手」としか書いておらず、時代に合わせて更新された語釈としてニュースにもなったという。ただし会場でこの話を知っていたのは1人だけだった。「焦がれる」の語釈も、他のすべてを犠牲にしてもそういう状態になってみたいと一途に思い詰める、というもので、堀元は『新明解』はどうしても重い恋愛をさせたがると評した。
抽象語をあえて難しく書く:「時間」と「命」
次に水野は、語釈だけを読んで見出し語を当てるクイズを出した。人間の行動をはじめとするあらゆる現象がその流れの中で生起し、経験の世界から未経験の世界へと向かっていく中で絶えず過ぎ去っていくととらえられる、二度と元に戻すことはできないもの。観客の数人が手を挙げ、「時間」と正解した。堀元はこれを『方丈記』の「ゆく河の流れは絶えずして」に重ねている。
時間は抽象的な言葉なので、どう書いても難しくなる。比較のため、水野は同じ三省堂の小型辞典『三省堂国語辞典』(三国)を引いた。三国は説明をとにかくやさしくする方針の辞書で、「時間」は「過去・現在から未来へと少しも止まらずに進んでいくもの」とある。水野によれば、子どもに説明しても分かるような実感のこもった語釈を書くのが三国の特徴で、『新明解』はもう少し抽象的に書く。
「命」も『新明解』らしい例として挙がった。生物が生きている限り持続している肉体や精神の活動を支える根源の包括的な呼称、と説明したうえで、括弧書きで、一瞬一瞬生きることの繰り返しとしてとらえられる緊張の持続であり、客観的には有限であるが主体的には無限の連続として受け取られることにその特徴がある、と続く。堀元は、みんな自分が無限に生きると思っているのか、赤坂には吸血鬼しかいないのかと茶化した。リラックスしている時もあるのに命は緊張の持続なのか、人生を悲観的にとらえすぎではないかとも言う。水野は、これは「新明解イズム」の代表例とされる語釈だと説明した。
本と読書への厳しさ
堀元が恋愛経験を疑い始めたところで、水野は「読書」を読み上げた。研究調査や受験勉強の時などと違って、一時現実の世界を離れ、精神を未知の世界に遊ばせたり、人生観を不動のものたらしめたりするために、時間の束縛を受けることなく本を読むこと。さらに括弧書きで、寝転がって漫画本を見たり、電車の中で週刊誌を読んだりすることは本来の読書には含まれない、とある。堀元は、読書も恋愛もしたことがなかったと言い、それは言う必要があったのか、書いた人は感じが悪い、と反発した。
水野によれば『新明解』は本関連の語に厳しい。「小説」は、作者の構想力によって登場人物の言動や彼らを取り巻く環境・風土などを隈なく描写することを通じて、虚構の世界をあたかも現実の世界であるかのように読者を誘い込むことを目的とする散文学、とされ、読者は描写された人物像などから各自それぞれの印象を描きつつ読み進み、独自の想像世界を構築する、と続く。堀元は、明らかに現実ではない短編小説もあると反論し、鬼がオフィスに入ってきて皆殺しにするだけの話や、電車を降りた瞬間に殴られる話といった、現実らしさを目指していない作品を例に挙げた。
複合語は語釈の行が分厚いところを狙う
水野が『新明解』を読むコツとして勧めるのが複合語である。「緊張感」や「雨模様」のように、要素を二つ組み合わせた語は足し算で意味がほぼ分かる。それなのに語釈が長いところがある。
「異次元空間」はその例だ。SFで、我々の住んでいる現実の空間とは別のところにあり、異なった構造(次元)を持つとされる空間、という説明のあとに括弧書きが続く。多くは四次元以上のものを想像するが、広義では我々の住む三次元空間と並行して存在するもの(=平行世界)、また歴史のある時点や出来事を境い目として、史実とは異なる方向に進展したものとして創作された世界なども含む、という内容である。堀元は、クリストファー・ノーランを早口で語るようなSFオタクが、ほうぼうから攻撃されないよう予防線を張りながら書いたのだろうと評した。
「生活態度」も、生活の態度で済みそうなところを、生きる目標をどこに置くか、毎日の生活のリズムをどう設定するか、他人・社会との関わりはどうあるべきか、自分をどうやってきめ豊かにしていくか、などの基本的問題について考えた上での(何も考えないまま過ごす)毎日の生活の仕方、と書く。堀元は、阿部寛の声で脳内再生され、何も考えずに過ごしているお前らは駄目だと説教されているように聞こえたと言う。水野によれば、辞書では「生活」の項の下に「生活態度」のような語がぶら下がっている。その中で急に行が分厚くなっている箇所に当たりをつけて読むと、たいてい面白いことが書いてある。
悪意がにじむ語釈と「一言多い」括弧書き
続いて水野は、『新明解』の悪意がにじんでいると感じる語釈を紹介した。「器量」は、当該の高いポストを汚さず仕事をやってのけるかという観点から見たその人の対処能力、とある。二人は、前半部分はいらないのではないかと口をそろえた。水野は、器量のない人は当該のポストを汚している、と言いたいがために書いているようにも読めると言う。堀元は、先ほどの「異次元空間」も「お前にはそれを書く器量がない」と言われるのを恐れて必死に書いたのかもしれないとつなげた。
水野によれば、『新明解』は括弧の中で、わざわざ言わなくてもいいことを言って誰かを傷つける。「上から目線」は、相手よりも優位な立場にあることを見せつける態度、という説明の前に、「時に勘違いに基づき」という括弧書きが付いている。実際にそういう文脈で使われるので、水野はこれを「いい仕事」だと評価した。
ここで堀元は、自分がポッドキャストのイベントでやった「上から目線」の失敗を明かした。Spotifyか何かのイベントでポッドキャスターが50人ほど集まる飲み会があった。堀元は、自分たちは業界のトップランナーで、みんなが「いつも聞いています」と寄ってくるので、「君も頑張りたまえ」という気持ちで接していたという(口には出していないと本人は強調している)。少し年上の丁寧な女性にもその調子で話していたら、受け取った名刺は漫画家の瀧波ユカリのものだった。最近ポッドキャストを始めたばかりの人だったため、新人だと思い込んでいたのである。堀元は、勘違いに基づいて上から話してしまった例だと振り返った。水野は、そもそも最初から上から目線で行かないでほしいと返している。
同じ系統の例として「ない物ねだり」も挙がった。そこにないものを求めて欲しがること、という本体の説明は問題ない。そこに(子供のわがまま、本来期待すべきではない点にまで及んだ批評など)という括弧書きが加わる。「論争」は、意見の違う者が互いに自分の説を譲ることなく主張し(ついには第三者から見ればどうでもいいことまで)議論し合うこと、とある。
堀元は、SNSの論争はほぼ全部そうだと同意しつつ、本当に価値のある論争もあると話を広げた。2020年に、ある性的スラングの最初の命名者を名乗る人物が2人現れ、2ちゃんねるにかつて書き込まれていた内容と、2人の過去ツイートを照らし合わせる検証が行われた。その結果、片方が圧倒的な一致度を示したという。水野は、題材はともかく話としては面白いと応じた。もちろんこの語は『新明解』には載っていない。
「実社会」の暗さと、長い語釈が意味するもの
「実社会」も複合語である。実際の社会、とした上で、(美化されたものとは違って)複雑で虚偽と欺瞞に満ち、毎日が試練の連続と言える厳しい社会を指す、と続く。「命」を緊張の連続と呼んだのと同じく、ネガティブな見方だ。
水野はここで、辞書の分量について説明した。分厚い辞書なのだから簡単な語でも長々と書いて個性を出せばいい、と思うかもしれないが、実態は逆だという。辞書は決められたページ数の中にできるだけ多くの語を収録したい。新語も載せたいし、三国なら「全国の温泉地を制覇した」のような「制覇」の新しい用法も載せたい。そうすると、使われなくなった既存の語を削ることになる。削られた語だけを集めた『三省堂国語辞典から消えたことば辞典』という本もあり、MDやコギャルなどがその例だという。コギャルは第7版から第8版に移る際に削られた。それでも増える語のほうが多く、辞書づくりはスペースとの戦いである。
だから「命」や「異次元空間」にこれだけ行数を割いているのは、勢い余って書いたのではなく、相当強い意思の表れだと水野は見る。堀元は、「実社会は欺瞞に満ちている」とわざわざ書いたのは詐欺に遭った直後だったのではないかと冗談を言った。水野が続けて読んだ「人生経験」も、(順調に人生を送ってきた人には分からない)実社会で多くの困難を克服してきた経験、とある。堀元は、やはり詐欺に引っかかった直後に書いているとからかった。
「俗」を含む熟語は悪口の宝庫
『新明解』の毒気を手軽に知るコツとして、水野は「俗」の字を含む熟語を挙げる。辞書で「ぞく」の辺りを引けば、該当する語がずらりと並んでいる。
「俗物」は、社会的に高い地位を得たい、金持ちになりたい、人からよく思われたいといった欲求のみが念頭にあって、ややもすれば利己的な(見栄心に駆られた)言動に陥りやすい傾向のある人。堀元は、動機は普通はグラデーションで「のみ」はないだろうと言った。そのうえで自分の話を始める。今日の仕事は本当はやりたくなかった。スタジオ外の収録は面倒で、機材やスタッフの人件費もかかる。それでも、TBSのような場所で話しているかっこいい写真がネットにあれば講演単価が上がると考えて引き受けた。水野はこれを「ぴったり俗物」と判定し、会場は引き気味になった。
「俗筆」は、なんら風格らしいものが見られない下品な筆跡。「俗吏」は、公僕であることを忘れて、ただ人民に威張るだけを能とする公務員、木っ端役人。水野は『新明解』は公務員が嫌いだと言う。「酷吏」は、何事につけても役所の規則だからというだけで、少しも人民の事情を考えてやろうとしない役人。「公僕」は、(権力を行使するのではなく)国民に奉仕する者としての公務員、とした上で、括弧書きで(しかし実情は理想とはほど遠い)と付け加えている。
堀元は反論として最近の体験を話した。引っ越して区役所で転入届を出し、免許の住所変更で警察官とも接したが、全員感じがよく、公務員の印象はうなぎ登りだという。区役所では最初に「混み合っていて2時間ほどかかる可能性があるが時間は大丈夫か」と断ってくれた。二人は、語釈が書かれた後に行政が良くなったと考えれば矛盾しない、と冗談まじりにまとめている。
水野が注目するのは、これら「俗」の熟語の語釈がまったく重ならない点である。同じ「俗」なら同じ説明で済むはずなのに、「俗筆」は風格、「俗吏」は威張ること、「低俗」は(好みや言動などが)品性の卑しさや知性の足りなさを見せつけるだけで、精神を高めたり充実感を与えたりするものではありえない様子、「俗物」は欲求のみが念頭にある人、と、それぞれ違う語彙でけなしている。堀元は著書『教養悪口本』の前書きで、バカやアホのような単調な悪口ではつまらないからレパートリーを増やそうと書いた。そのため、増やし切った先にいるのが『新明解』の書き手だと感心し、三国より『新明解』を読みたくなったと言う。
『新明解』は「変な辞書」ではない:循環語釈を避ける努力
ここから水野は、今日本当に言いたかったことに入る。ゆる言語学ラジオの以前のシリーズで『新明解』の変わった語釈を紹介したため、リスナーには「難しい語釈=新明解」というイメージがあるだろう。しかし『新明解』は、いたずらに複雑なだけの辞書ではないという。
その根拠が循環語釈の回避である。循環語釈とは、「チョコレート」を引くと「チョコ」とあり、「チョコ」を引くと「チョコレート」とあるように、辞書の中でたらい回しにされるだけで説明にたどり着かない状態を指す。水野は通読の中で「荒らす」に「荒れた状態にする」とあるのを見て、循環するのではないかと疑った。ところが「荒れる」を引くと、畑・家などが手入れが行き届かなかったり乱暴に扱ったりなどして本来の機能を失った状態になる、と独立した説明がある。水野は、循環を何としても避けたいという意思が前面に出ているところが『新明解』の一番すごいところだと言う。
他の辞書では循環語釈はよくあることだという。水野は子どもの頃、家にあった中型辞典で「むべ」を引いたら「うべ」とあり、「うべ」を引いたら「むべ」とあって、結局意味が分からなかった。堀元は、子どもが「むべ」の意味を知りたがることのほうが信じられないと突っ込んでいる。
基本語にこそ真骨頂がある:「大きい」「重い」「分かる」
水野によれば、『新明解』が光るのは基本語、つまり誰もが意味を知っていて、見れば分かることを言葉で説明しようとする場面である。「命」や「時間」も基本語だが、「命」はもう少し簡潔にできるとも思うと言う。
そこで出されたのが「大きい」である。堀元は「比べたときにより存在感があるもの」と答え、そこから「力士に必要とされるもの」という冗談に流れていった。水野が気に入っている『新明解』の語釈はこうだ。目に見える形を備えていて互いに比較することができるものについて、問題となるものが比較される方を包み込んだと見なされる状態になり、なおかつゆとりがあると想定できる様子だ。堀元は、体積に注目し、包み込んだときに余裕がある方を大きいとしていると読み取った。水野は、こう書けば「サイズ」や「大きさ」を使わずに「大きい」を説明できると補足した。堀元は、水槽に沈めてあふれた水の多い方、という定義も考えられると提案したが、水野はそれだと今度は「多い」の説明が必要になると返している。
「重い」について、堀元は「持ち上げるのが難しい度合い」と答え、水野もおおむねその方向だと認めた。『新明解』はもう少しこなれた書き方で、比較の対象とする一般に予測される状態と比べて、そのものを支え持ったり動かしたりするのに、大きさから受けた感じ以上の大きな力を必要とする状態だ、とする。さらに、強い力で押さえつけられているような感じで消極的な気分を抱かざるを得ない様子だ、という抽象的な意味も立てている。「腰が重い」「気が重い」の「重い」である。
「分かる」は、堀元が言うように「分からない人に分かるを説明する」難しさがある。堀元は「知らない状態から知っている状態に移り変わる」と答えた。『新明解』は、未解決・未確認の事柄について推理・推論を巡らしたり、適切な情報をよりどころにしたり、実際に経験したりして、確信の持てる(あるいは客観性のある)判断が下せる状態になる、と書く。水野によれば、堀元の答えは知識がつくという意味の「分かる」だった。『新明解』の語釈は「この問題が分かる」と言って解いてみせるような用法まで説明している。堀元は、武道の達人ほど初歩的な技で技量が分かるのに似ていると例えた。
三国と引き比べる読み方
基本語は他の辞書と比べても面白いと水野は言う。三国は同じ三省堂の辞書だが、もっと実感のこもった語釈を書いているはずだとして、その場で引いた。途中で堀元が「和モダン」「若妻」「大馬鹿(大変な馬鹿)」などの見出しに寄り道しつつ、三国の「分かる」は「頭の中ではっきりしていなかったものがはっきりする。知れる」、「大きい」は「もの・場所がかなりの空間を占める状態だ」だった。「包み込む」ではなく「かなりの空間を占める」と書く、シンプルな説明である。堀元も三国には三国の良さがあると認めた。
水野が勧める読み方は、まず『新明解』を通読し、基本語の語釈がやたら長くなっている箇所に当たりをつけ、その後に三国を通読して、その箇所で両者を比べるというものだ。堀元は、水野は『新明解』に3年かかったのだから2冊で6年かかると指摘した。
最後に水野は、この回の内容を三つにまとめた。「異次元空間」や「生活態度」のようにやたら気合いが入った語釈、「上から目線」や「俗物」のように悪意がにじむ語釈、そして「大きい」「重い」「分かる」のように、説明しようとすると意外に難しい基本語である。『新明解』を変わった語釈の辞書として面白がるだけでなく、誰も引かないような基本語にこそ辞書の創意が詰まっている、というのが水野の結論だった。番組は、リスナーが推す『新明解』や三国、その他の辞書の語釈をコメントで募って締めくくられた。
ゆる言語学ラジオ、新明解国語辞典の名語釈。
ありがとうございます。ありがとうございます。僕、あの『新明解国語辞典』第8版っていう、1700ページぐらいある国語辞典を3年かけて通読しまして。
新明解って語釈がユニークな辞書ということで知られてますよね。それは皆さん分かりますかね?
うん。恋に対して、なんかもう夢中で合体したいという気持ちみたいな。そんな語釈が書かれてるって話ですね。
そうですね。恋愛の語釈に、その、できれば合体したいみたいなことが昔の版では書かれていたわけですけど、第8版は、その当時の、1番尖ってた時期が第4版って言われてるんですけど、それに比べればどんどんマイルドになってきて。
かなり最近ってことだね。
そうですね。第8版、最新の版なので、もう全然尖ってないとか言われるんですけど、いや、そんなことはないぞと。
あ、実は尖ってる。
ということで、僕が通読して見つけた極上の語釈をちょっとピックアップしてきたので、皆さんに見ていただこうという回になります。
あ、分かりました。あの、今日公開収録で100人ぐらい人入ってるんですけどね。100人集めてわざわざ言うことかっていう気はしますけどね。キャッチーすぎて今よだれ垂らしてますね。
その第4版の時は尖ってて、徐々に尖らなくなってきたと思われていた第8版で、実は尖ってるんだよという話を100人ぐらいに聞かせるんですよね。
はい。はい。いります、皆さん。
皆さん、そんなご馳走を見るような目で見ないでください。こっちをね。見てますよ、皆さん。
まあまあ、でも引けば分かるから。はい、やってみますね。まず、先ほど堀元さんが挙げた「恋愛」ですね。その、合体したいとか第4版で書かれたやつなんですけど。
だいぶ丸くなったんじゃないですか。
はい。第8版ではですね、どんな感じになってるかというと、「特定の相手に対して、他の全てを犠牲にしても悔いないと思い込むような愛情を抱き、常に相手のことを思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身を置くこと」。
僕、恋愛したことないかもしれないす。そんなに夢中じゃなきゃだめ?
え、分かち合いたいと。分かち合いたいと思うみたいな。二人だけの世界を。で、それがなんか人生の全てみたいなこと言ってましたよね。
そうですね。それがかなえられたって喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になってますよね、やっぱり。
すごいね。あ、そんな少女漫画みたいなめちゃくちゃドキドキしないとダメなんですね。
そうですね。で、この第8版の「恋愛」の語釈は、あることで有名になって、それが、昔の新明解は異性愛を想定した語釈だったんですけど、よく見ると「特定の相手に対して」としか書いていないということで、時代のアップデートがあった語釈だよねということで、皆さんもニュースなどでご覧になったと思うんですけど。
いや、見てないす。完全に初めて聞きました。
聞いたことある方。お、1人ですね。
あれ、会場、え、1%。会場1人しかいないってこと?今日。
違う、違う、違う。100人ぐらいいて、1/100しか聞いたことない。有名ですよね、これね。
あ、頷いてる。頷いてる。
はい。ちなみに「焦がれる」。恋焦がれるの。はい。「焦がれる」なんかも結構やっぱ新明解って重くて、「他の全てを犠牲にしても、そういう状態になってみたいと一途に思い詰める」。
はあ。やっぱりなんかあれだね。どうしても重たい恋愛をさせようとしてくるね、新明解は。
そう、そうなんですよね。新明解は結構そういうなんかヘビーな語釈を書くと。ただこの「恋愛」とか「焦がれる」なんてのはね、クリシェ中のクリシェですから、こんなの挙げたらやばいと思われるので。
初めて聞きましたけど。
もうちょっと別の語も言ってみますね。今、赤坂TBSにて公開収録してるわけなんで、語釈だけ先に僕読みますので、なんていう語なのか考えてみて
クイズ形式ですね。
ください。参ります。「人間の行動を始めとするあらゆる現象がその流れの中で生起し、経験の世界から未経験の世界へと向かっていく中で絶えず過ぎ去っていくと捉えられる、二度と元に戻すことはできないもの」。
なんかすげえ難しいこと言ってなかった?その、なんか哲学者のカントとかヘーゲルとか、そういう話ですか?
あ、違いますね。これも皆さんがよくよく知ってる言葉の語釈なんですけれども、ちなみにこの中で、ああ、これだなって分かった人います?あ、何人か、3人ぐらい手上がってますね。じゃあちょっとせっかくなので聞いてみましょうか。何だと思いますか?
時間。
はい。今「時間」と言われましたけど、まさに正解で、これ「時間」の語釈ですね。ありがとうございます。鋭かったですね。
すごいね。
もう1回読むと、「人間の行動を始めとするあらゆる現象がその流れの中で生起し、経験の世界から未経験の世界へと向かっていく中で絶えず過ぎ去っていくと捉えられる、二度と元に戻すことはできないもの」。
ああ、なるほどね。絶えず過ぎ去っていく、二度と戻せないもの。あれだな。めちゃくちゃ「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」的な感じ。『方丈記』のね。
そうですね。みたいなところを、やたらこう難しく書いてるのが「時間」。これも結構名語釈と呼ばれるんですけど。
時間ってそんな難しいんですか?定義。
でも時間って抽象的ですからね。
まあ、そうか。チクタク鳴るやつとかじゃダメですもんね。
それ時計ですね。
そうか。
愚かここに極まれりですね。
そんなに言わなくていいじゃん。
こういう時は、皆さんもご存知、『三省堂国語辞典』っていう別の小型辞典がありまして、これは方針としてとにかく説明を易しくしようという辞書なので、じゃあ逆に「時間」を易しく説明しようとしたらどうするんだろうと思ったら、三国なんかを引いてみればいいわけですね。
じゃあ「時間」引いてみますか。
はい。三省堂国語辞典ではですね、「過去・現在から未来へと、少しも止まらずに進んでいくもの」。
ああ、分かりやすい。まあ、こっちの方が分かりやすいな。
三国はこういう感じなんですよね。こう実感持った、それこそ子供に説明しても分かるような語釈を書くってのが三国の特徴で、新明解はもうちょっと抽象的に書くっていう。
うん。ちょっと叙情的でもありましたね、新明解の方が。
そうですね。そういうものいくつもあって、他にも「命」。「生物が生きている限り持続している、肉体や精神の活動を支える根源の包括的な呼称」と。
はあ。包括的な呼称をね。
(一瞬一瞬生きることの繰り返しとして捉えられる緊張の持続であり、
そうなの?
客観的には有限であるが、主体的には無限の連続として受け取られることにその特徴がある)。
え、無限に生きると思ってるってこと?みんな。
皆さんそうですもんね。主体的には無限だなって。
そうかな?有限だと思ってない?主体的に。
皆さん多分そう思って
そうかな?あ、赤坂に住んでるのはヴァンパイアだけってことですか?
あ、違いますね。
吸血鬼みたいな人がいっぱい歩いてました。
間のに中的な書いて。しかもずっと緊張してなかった?
そうですね。「一瞬一瞬生きることの繰り返しとして捉えられる緊張の持続である」。
なんで?え、リラックスしてる時あるぜ俺。緊張の持続なの、命って。え、そいつ悲観的に捉えすぎじゃない?人生をもっと気楽に生きた方がいいぜ。
でも、そうですね。これなんかは新明解イズムの代表例とされますね。
うん。確かに味があって面白いですね。
はい。あと先ほど堀元さん、なんか恋愛俺してないかもみたいなこと言ってましたよね。読書ってします?
うん。読書しますよ。
あ、読書します。新明解の「読書」の語釈はですね、「(研究調査や受験勉強の時などと違って)一時現実の世界を離れ、精神を未知の世界に遊ばせたり、人生観を不動のものたらしめたりするために、(時間の束縛を受けることなく)本を読むこと」。
読書したことなかったです。え、すいません。僕、人生で1回もしてない。読書も恋愛もせずに来ました。
(寝転がって漫画本を見たり、電車の中で週刊誌を読んだりすることは、本来の読書には含まれない)。
それ言う必要あった?感じ悪すぎません?こいつ。
ですよね。漫画なんて読書じゃないですよね、やっぱ。
嫌いかも俺、新明解。え、こいつ書いたやつ腹立つな。なんかだいぶ読書過激派でしたね。
そうですね。本関連、結構新明解厳しくて、「小説」とかもね。(ノベルの訳語)で、「作者の構想力によって、登場人物の言動や彼らを取り巻く環境・風土などを胃のくまに描写することを通じて、虚構の世界をあたかも現実の世界であるかのように読者を誘い込むことを目的とする散文学。読者は描出された人物像などから各自それぞれの印象を描きつつ読み進み、独自の想像世界を構築する」とありますね。
ちょっと厳しめですね。
そうなんですよね。
でもそんなさ、虚構の世界をあるかのように錯覚させないといけないんですか?
みたいですね。
え、別に明らかに虚構の世界だなみたいなやつあるよね。
ありますよ。
その、筒井康隆の作品でさ、鬼が入ってきてオフィスの人皆殺しにしてくだけのやつとかあるよな。あれ全然現実じゃないですけど。
怖え短編あったな。家帰ったら旦那さんが容器費とセックスしてるってわけわかんない短編とかありましたね。
ありましたね。あと電車から降りた瞬間にボコボコにされるとかあったよね。そういうの全然現実じゃない。
駅の競馬ね。ありましたね。ありますけど、不思議だな。
そういう感じで。
厳しいね。読書にせよ、小説にせよ。
あと新明解らしさを感じるのはですね、複合語を見たら皆さんやっぱ新明解読んでみるのが良くて。
ああ、組み合わせた語ってこと?
複合語ってのはそうですね、要素を2個連ねてできた語のこと。例えば「緊張感」とかもそうですよね。緊張と感で緊張感ですよね。みたいな複合語って、構成要素の足し算で意味ってなんとなくわかるじゃないですか。緊張した感じだから緊張感だなとか、雨が降る模様だから雨模様だなとかわかるじゃないですか。じゃあ「異次元空間」、新明解はどのように説明してるか。「(SFで)我々の住んでる現実の空間とは別のところにあり、異なった構造(次元)を持つとされる空間」。
まあまあ、そんな感じしますね。
え、「(多くは4次元以上のものを想像するが、広義では我々の住む3次元空間と並行して存在するもの(=平行世界)、時代やある出来事の境目として創作された歴史が史実とは異なる方向に進展したものなども含む)」。
オタクが書いた。
え、クリストファー・ノーランとかを早口で語るオタクが書いてます。その、やっぱここ書かないと、いろんな人から攻撃されるっていう。
やっぱオタクだよな。SFのオタクが予防線を一生懸命張りながら書いた語釈ですよね。
そう。だから「小説」とかもね、なんか急に可愛く見えてくるでしょ。
ああ、そうか。なんかその、ぬるいぞとか言われたくないからガチガチなの書いてんのか。
うん。そうですね。もう1個複合語見てみましょうか。「生活態度」。
はい。はい。生活の態度ってことですよね。
ああ、新明解の語釈。「生きる目標をどこに置くか、毎日の生活のリズムをどのように設定するか、他人・社会との関わりはどうあるべきか、自分をどうやって磨き豊かにしていくかなどの基本的問題について考えた上での(何も考えないまま、ただ過ごす)毎日の生活の仕方」。
なんかだいぶ阿部寛で脳内再生されましたね。何も考えずに過ごすお前らはだからだめだみたいな感じで聞こえました。
バカとブスこそ東大へ行けみたいな、そういう感じですよね。
そうですね。だからこういう単純な複合語みたいなのって、辞書だとね、例えば「生活」のところに「生活〇〇」ってのがぶら下がってるんですけど、急に語釈の行が分厚いところがあって、そこなんかを当たりをつけて読むと大体面白いものが書いてあることが多いですね。
じゃ、新明解読む時は複合語に注目ですね。
複合語はそうですね、この後もちょっと出てくる可能性があるんですけど、皆さん読む時にはウォッチしていただきたいところですね。続きまして、ここまではなんかやたら気合いが入ってるというか、すごい複雑な説明してるものでしたけど、新明解の悪意が滲み出てると僕が感じる語釈いきますね。
いいですね。
え、「器量」。器に量子力学の量ですね。「当該の高いポストを汚さず仕事をやってのけるかという観点から見た、その人の対処能力」。
え、そうなの?あいつの器量じゃ足りないよみたいなこと言いますけどね。それ能力あるかどうかみたいな意味だと思ったけど、当該のポストを汚すかどうかで測られんの?それって。
ねえ、だからこれ俺、前半部分いらねえだろうって思っ
いらない。いらない。え、そうだよね。その仕事やり遂げられるかどうかみたいな感じで良くない?
その人の対処能力で別に良さそうなのに、「当該の高いポストを汚さず仕事をやってのけるかどうかという観点から見た」。だからもう器量がないやつって当該のポストを汚しているぞっていうことを言いたいがために書いてますよね。って読めちゃいます。
感じ悪い人が書いてます、新明解って。
まあ、そういうこと言われますね。新明解って実際、小難しい、ちょっとややこしいようなキャラクターだって言われることはありますけど。
だからあれか、さっきの「異次元空間」の語釈も、器量がないって言われるのを恐れるがあまり書いてたのかもしれないですね。当該のポストに足りないって。お前はそれを書く器じゃないみたいなこと言われたくないから必死で書いたのかもしれない。
そうですね。だからやってのけたよね。見事に異次元空間の説明を見事にしてのけましたね。
それからですね、新明解のポイントは、かっこ内でわざわざ言わなくてもいいことを言って誰かを傷つけるってのが、こう新明解の
一言多いんですね、新明解って。
はい。例えばですね、え、「上から目線」。かっこなしで読むと「相手よりも優位な立場にあることを見せつける態度」と。でもその前に頭でかっこで(時に勘違いに基づき)ってあります。
でもね、上から目線って結構半分以上そうかな。時に勘違いに基づいてますよね。
これはね、いい仕事でもある。そうだね。うん。実際にそのような文脈で使われることがあるので、いい仕事だと思いますね。
ちなみに今日せっかくポッドキャストのイベントでお話しさせてもらってるんで、僕がポッドキャストのイベントで上から目線しちゃった失敗話していいですか?あの、以前ですね、Spotifyかなんかのイベントでポッドキャスターがいっぱい集まる飲み会みたいなのがあったんですよ。で、そこに50人ぐらい集まってたんですけど、言うたらですね、ポッドキャスト業界の中で我々って、ま、顔でして。
うわ、
そのトップランナーなんですよ。
うわ、
ちょ、やめて。他人のふりするのやめて。タブレットに意識持ってかれんのやめて。聞いてくれよ、話を。
はいはいはいはい。あれなんですか?
え、それでもう結構ちやほやしてくれるんですよ。みんな、いつも聞いてますとか言って集まってきてくれるんで、なんかそのノリで対応しちゃうんですよ。ああ、いやいや、ありがとうございますって、ま、君も頑張りたまえみたいな気持ちでこう接してしまうわけですよね。言わないですよ。言わないですよ。君も頑張りたまえとは言わないけど、内心そう思いながら、まあまあ、えみたいな、全然全然って接してるんですよ、いつも。
なんですけど、ちょっと年上かなっていう女性が話しかけてきて、すごいこう丁寧な方だったんで、またいつものように、ああ、まあまあ、君も頑張りたまえよみたいな感じで喋ってた結果ですね、その方、瀧波ユカリ先生でして。漫画家で論客でね、色々メディアに露出されている。だから割と最近ポッドキャスト始められたっていうことで、新人ポッドキャスターの名刺かと思いながらもらったらですね、瀧波ユカリって書いてあって、ああ、瀧波先生だと思って、なんか偉そうでしたって、すごく悲しい気持ちになりました。
実名で悪口書いて大丈夫です。この人やっちゃってください、もう。はい。感じ悪かったと思ったら。
いや、だからこれ上から目線じゃん。あの、時に勘違いによって相手より上から喋っちゃうっていうね。
そう。最初から上から目線で行かないで欲しいです。それはもう。
これはそうか。人間として姿勢が間違えてるのかもしれない。
そうですね。人間として間違えてるって話ですね。わかりました。はい。
続きまして「ないものねだり」。
ほう。
「そこにないものを求めて欲しがること」。
おお。いいじゃん。
「(子供のわがまま、本来期待すべきではない点にまで及んだ批評など)」ってあります。ああ、言わなくて良かったっすね。それもわがままと一緒なんだと、ないものねだりってのは。
でいいんだけど、わざわざその「本来期待すべきではない点にまで及んだ批評など」って。
感じ悪いな。
とか「論争」。
はいはい。
堀元さんもね、SNSとかの論争に対して一家言あると思いますけど、新明解みたいなところが書くとこうなります。「意見の違う者が互いに自分の説を譲ることなく主張する(し、ついには第三者から見ればどうでもいいことまで議論し合う)こと」。
でもSNSの論争ってほぼ全部そうですよね。そんなどうでもいいこと言い争わなくていいのにって。
え、きのこの山かたけのこの山どっちが好きかとか、あれね、どうでもいい上につまんないんすよ。それ言ってるやつ滑ってるからやめてくださいね。本当に価値あるSNSでの論争っていうのは、皆さんの記憶にもあるんじゃないですかね。2020年に行われた、「だいしゅきホールド」っていう言葉を本当に最初に使ったのは誰なのか。これですね。これが非常に論ずるに値する、非常に価値のある論争ですよね。
ちょっとよくわかんないですけど。
だいしゅきホールドっていうのはね、あの性交の時に女性が男性に足を絡めて、あの膣内射精を促すことですよね。
厳しいって。お前、すぐメズコチジになるのやめてくれ。TBSでそれは厳しいって。お前。
だいしゅきホールド起源論争って、2020年熱かったんすよ。私が命名しましたってやつが2人出てきて、どっちが本物かっていうのがすごい議論されて、で、その時に文献の知見でね、かつて2ちゃんねるに大量に書き込まれていたものと、今その主張している者たちの過去ツイートを照らし合わせて、どっちの方が信憑性が高いかっていう検証が現れて、無事に片方が圧倒的な一致度を示して勝ったっていう論争がありましたんで、これ非常に価値ありますよね。
そう。その立項されてる語は良くなかったけど、話としては面白いですね。
だいしゅきホールドという素晴らしい語ですけどね。新明解にはどういう語釈が書いてあるか。
載ってないね。
え。はい。
だいしゅきホールド以外に載せるべき語なんて。
だいしゅきしか載ってないね、それ。ニコニコ大百科には絶対あるでしょ。
大体載ってます。『エロ漫画表現史』っていうね、本の中でもあの「乳首残像」っていう…あ、ごめんなさい。何もないです。すいません。えっと。
TBSですよ、水野さん。TBSの立派なビルの中で、エントランスで関係者ゲートくぐってきましたけど、我々大丈夫ですか?乳首残像の話しちゃって。
ま、その一応ね、喋り始めてしまったので説明すると、女性が上でこう、ゆさゆさと上下に動いてる時に乳首の軌道をこう黒くね、描くっていうエロ漫画の表現があって、それは『GANTZ』の作者の奥浩哉先生と、あともう1人、どなただったかちょっとお名前忘れちゃったんですけど、ある漫画家が本当に同時期に全く影響なく
独立に同じような時期にその描写が出てきた。
電話の発明と一緒。
あ、そうですね。とかね、微積分とかとね。だからそう、乳首残像は一緒ですね。
すごいね。
素晴らしいすね。乳首残像って微積分と一緒なんだぜ。これ明日飲み会とかで皆さん是非自慢してください。
ところで、えっとですね、「実社会」。
はい。はい。これも複合語ですね。実際来ましたよ。実際の社会でいいでしょ、そんなもん。
はい。意味、「実際の社会」。
あ、
「(美化・様式化されたものとは違って、複雑で虚偽と欺瞞に満ち、毎日が試練の連続と言える厳しい社会を指す)」。
ネガティブですね。
命のことね、緊張の連続って言ってみたりね。
うん。厳しいって。そうなんですよ。で、しかもね、この小型辞典って、皆さんからしたらすごく分厚いから、こうやって簡単な語でも長々書けばいいんだと。それで辞書の個性を出すことができるって思うかもしれないけど、実態は逆でして、辞書って決められたページの中に目一杯語を収録したいわけですよ。で、新語と言われるものとかも載せたいと。
例えばそこの三国とかだったら、新語ではないかもしんないけど、「制覇」、全国の温泉地を制覇したみたいな新しい用法を載せたいとか、実際これ三国で初めて載ったんですけど、新しく入れたいものがいっぱいある中で、そうすると削りたいじゃないですか。
既存の中で使われてない。
で、既存の中で使われてない語のみを載せた辞典である『三省堂国語辞典から消えたことば辞典』とかもあるぐらいで、例えば「MD」とかね、「企業戦士」とか、「コギャル」とか。
うん。言わなくなりましたね。コギャルって。
そう、第7版から第8版に行く時に確か削られてるんですけど、こういうの削っても新語の方が多いんですね。うん。だからスペースとの戦いなんです、辞典っていうのは基本的に。
削るものより新しく増えるものの方が大きいから、なんとか削りたいと。
そうですね。だからわざわざ「命」とか「異次元空間」にこんなに尺を取ってるってのは、相当な意思がないと。
あ、そうか。なんとなく勢い余って書いちゃったってことありえないんだ。
はい。
どうしても書きたいと思って、実社会は欺瞞に満ちているみたいなことをわざわざ書いてたっていうことなんですよね。詐欺とかに引っかかった直後に書いてあんですかね。
違う違う違う違う違う。
そうじゃないと、それわざわざ書かなくないですか?
あ、でもね、それで言うと「人生経験」。
ああ、はいはい。
「(順調に人生を送ってきた人には分からない)実社会で多くの困難を克服してきた経験」。
やっぱり詐欺に引っかかってますよね。詐欺に引っかかった直後に書いてますよね。
違います。違います。
なんかずっとそうじゃない?緊張の連続とかさ、欺瞞に満ち溢れた実社会とか、ずっとそう。
うん。毎日が試練の連続と言えるって言ってましたよ。言えますよね。言えないですけどね。あとリラックスしてる時ありますけどね、みんな。不思議だね。
そうですか。あと新明解の悪い部分、毒気を手軽に知りたいという方向けのおすすめのコツがありまして、それは「俗」っていう漢字が含まれてる熟語。
低俗の俗とかですか?
低俗の俗ですね。これなんかを引いていくと、つまり「俗」の場所を引くと「俗〇〇」がずらっとこう並んでいるので、ここから読むとすごくひどい語釈を見つけやすいと。
俗物とか、そういうことですか?
はい。そうですね。「俗物」。「社会的に高い地位を得たい、金持ちになりたい、人からよく思われたいといった欲求のみが念頭にあって、ややもすれば利己的な(虚栄心に駆られた)言動に陥りやすい傾向のある人」。
「のみ」ってことはねえだろう。
そう、俗物ってグラデーションですよね。なんとなく社会からの貢献も得たいけど、でも本当に社会のためにも頑張りたいっていうグラデーションじゃない?
あ、いやいやいや。え、社会的に高い地位を得たい、金持ちになりたい、人からよく思われたいといった欲求のみが念頭にあって、そういう言動に陥りやすい人ですね。
ちなみに僕、今日このTBSの立派なイベントで喋ったら講演単価が上がるんじゃないかなと思って今日オファーを受けたんですけど、これは俗物じゃないですか?
俗物です。
俗物ですか?
紛うことない。これしっかり俗物。ぴったり俗物です。
ま、でも金持ちになりたいのみですね。
確かにこれは。何もね、別にやりたくないんですよ。スタジオの外で収録とか、めんどくさいし、その新しくね、機材スタッフとか連れてきたりして人件費もかかったりするんですけど、でもこういうとこで喋ってるかっこいい写真がネット上にあると講演単価が上がるじゃないですか。だから、そう思って引き受けました。
もうそのTBSのスタッフさんが、うわあ、やなやつ呼んじゃったってなってますね。
そうですね。あとファンであるはずの会場の皆さんもちょっと引いてましたね。あなたたちは味方でいてくださいよ、最後まで。
無理だよ。無理だ。無理だろ、それは。
笑ってくれよ。
無理だよ。
他にも俗で言うとね、「俗筆」。これはですね、筆ですね、筆ってのは。
え、字汚いみたいなこと?
ちょっと違ってですね。「なんら風格らしいものが見られない下品な筆跡」。
すごいね。あ、だから書道界隈とかではもしかしたら言われてんすかね。これは俗筆だね。
ああ、そうかもしれないですね。あとそれから「俗吏」。役人って意味の、歴史の「史」に一本線やつですね。「公僕であることを忘れて、ただ人民に威張るだけを能とする公務員。木っ端役人」。
すごいな。公務員に親殺されてないと書けない語釈っす。
新明解はね、公務員嫌いなんですよ。
は、
他にも、え、「酷い」っていう字の「酷」に、さっきの「吏」ですね。
そんな言葉あるんだ。ひどい役人を指す言葉っすか。
「何事につけても役所の規則だからというだけで、少しも人民の事情を考えてやろうとしない役人」ですね、これは。
公務員の皆さんって結構頑張ってくれるよな。そんな悪く言わなくてもいいですよね。
あ、「公僕」っていうね、言葉もありますよね。なんかは。
それいい言葉ですよ。
はい。「(権力を行使するのではなく)国民に奉仕する者としての公務員。(ただし、実情は理想とはほど遠い)」ですね。
うん。嫌いだね、公務員。なんで?不思議。僕最近引っ越したんですよ。で、久々に区役所行って転入届出したりとか、あと免許の住所変更でお巡りさんと接したりとかしたんすけど、全員めっちゃ感じ良くて、僕、公務員の印象最近うなぎ上りなんですよ。
うん。ふん。え、「ただ人民に威張るだけを能とする」
1人もいなかったすよ。
あ、そうなの?
練馬区役所に1人もいなかったです。
「少しも人民の事情を考えてやろうとしない役人」
めっちゃ考えてくれました。
え、
なんだったら、最初に転入届出しに行った段階で、すいません、今ちょっと混み合ってまして、場合によっては2時間ぐらいかかってしまう可能性もあるんですけど、お時間よろしいですかって最初に言ってくれて、めっちゃ優しいなって思いましたよ。
うん。あ、そうなんだ。
俗吏じゃなかったです。
あ、じゃああれか。戦後に急激に行政が良くなってます?そうすると両方矛盾しないもんね。
そう、そうだと思いますよ。この頃が1番公務員の汚職が横行してた時期ですよね。
そっか。そっか。
インドの田舎とかで今でもやばいって聞きますけど、そういう時期でしょうね。
うん。そういうことだね。多分ね。あと、今この「俗〇〇」ばっかり紹介しましたけど、堀元さんがさっき言ったように「低俗」も一応ね、俗入ってますから引いてみますと、「(好みや関心の傾向などが)品性の卑しさや知性の足りなさを見せつけるだけであって、精神を高めたり充実感を与えたりするものではありえない様子だ」。
感じ悪いね。やっぱ悪口をすごく言いたい欲ありますよね。
僕もね、そう思って。ポイントはね、この今まで出てきた「俗」が含まれる熟語の語釈、全然かぶってないんですね。
ほうほう。
その、俗って同じだから同じ説明をすればいいじゃないですか。でも「俗筆」の時は「なんら風格らしいものが見られない」。
確かに。ああ、風格にフォーカスしてるね。
そうですね。「俗吏」の場合は「ただ人民に威張るだけ」。
ああ、とか言っちゃってるね。
はい。で、「低俗」の場合は「品性の卑しさ、知性の足りなさを見せつけるだけであって」。
豊富な語彙で馬鹿にしてますね。
「俗物」はね、「よく思われたいといった欲求のみが念頭にあって」みたいに。
あ、さすが辞書編纂者って語彙あるんですね。
うん。同じようなことを言う時にも違う語彙でバカにするっていう強い意思ですよね。
そう。だから堀元さんもね、『インテリ悪口本』っていう悪口のレパートリーをこう収録した本書いてたけど、見習うべきとこ、ここにありますから。
そうかもしれない。てか、あの『インテリ悪口本』の前書きに書いたんですよ。バカとかアホとか、その単調な悪口のレパートリーじゃ面白くないから増やしましょうってこと書いたんですけど、まさに増やし切った先の人が新明解を書いてるってことですよね。
そう。うん。だって、あらゆる現代で使われてる日本語を調べている人が書いているものですから。
憧れる。それぐらい悪口の語彙増やしていきたいです。
わかった。辞書ファンが1人ここに
新明解読みたいです、僕。
増えました。
三国より新明解読みたいって気持ちになりました。
え、なんで?三国分かりやすかったじゃん。
いや、なんかシンプルすぎて。やっぱりそう、悪口がいっぱい載ってそうな新明解に惹かれますね、僕は。
あ、そうですか。
ただですよ、皆さん、この新明解のイメージを、こういう変な辞書っていうイメージで止まってませんかっていうのが、今日僕が本当に言いたいこと。
その問題提起刺さるかな?本当にみんな、新明解、あ、あの変な辞書ねとも思ってないすよ、みんな。別に。辞書だなとしか思ってないすよ。え、三国と違ってややこしい語釈だなとか思って、三国と新明解全然違うなとか思ってないです。
衝撃のね、このひっくり返すというか、僕は常識をひっくり返した。そう、
そうでもないですけどね。
でもね、ゆる言語学ラジオを聞いてる人って、昔「辞書物語」っていうシリーズをやって、その時にもその新明解の変わった語釈を紹介したので、難しい語釈イコール新明解みたいなイメージがあると思うんですよ。でも別に、ただいたずらに複雑なだけではないと思っていて、それがですね、皆さん「循環語釈」って分かります?
チョコレートって引いたらチョコって出てきて、チョコって調べたらチョコレートって書いてあるみたいな。
うん。そうですね。辞書の中でぐるぐるぐるぐる、たらい回しに遭うだけで、実際その説明が載ってないっていう状態とかを循環語釈って言うんですけど、僕もね、1番最初に「荒らす」っていう言葉が出てきた時に、語釈で「荒れた状態にする」って書いてあったんですけど。
怪しいぞ。ああ、新明解も循環語釈するんだ。
そうですね。だから荒らした状態になるみたいな。これ循環語釈出ちゃうんじゃないですか?と思ったんですよ。そしたら「荒れる」を引くとですね、「畑・家などが手入れが行き届かなかったり、乱暴に扱ったりなどして、本来の機能を失った状態になる」って書いてるんですよ、ちゃんと。
「荒れる」知らなくてもちゃんと分かる感じだね。
そう。これがね、新明解の、僕1番すごいところだと思う。その循環をとにかく避けたいっていう気持ちが前に出ている。
え、他の辞書だと循環語釈あるんですか?
あります。あの、事例挙げると角が立ちますけど、全然よくあることですね。
ええ。だ、新明解頑張ってるんですね。
はい。僕、ちっちゃい頃、家にあった中型辞典で「むべ」、むべの意味が知りたくて調べたら
そんなことある?ちっちゃい頃、むべの意味知りたいことあります?
え?
ありえないですよ、そんな人。
なんで?え、
むべなんてね、仕方なく受験勉強で覚えるやつだから、ちっちゃい頃覚えないですよ。
あ、そうですか。でも意味調べたら「うべ」って書いてある。
それは何なんだ?うべは。
「むべ」って書いてあった。
うぜえ。むべは。
「うべ」って書いてある。
うべは。
あれ、だから、むべ。むべ。
あれ、ここで一周です。
めっちゃ腹立つな。
そう。
え、すご。あのアンサイクロペディアっていうね、ジョークサイトで有名な、「たらい回し」って調べると別の表記のたらい回しが出てきて、いつまでも回されて全然たどり着かないってのありますけど、それに近いね。
うん。そう。
だからこれなんかは、僕、小学生の頃に「むべ」とか「むべなるかな」を知りたくて、わかんなかったんですね。で、ただ新明解はそれをとにかく避けようとしていて、特に新明解が光るのって、基本語と言われる、我々が意味が分かっている、例えば見れば分かるようなこととかを頑張って言葉で説明してる、その様子がすごい愛しいんですね。
さっきの「命」とか「時間」とかも言うたらね、基本語ですもんね。
そうですね。「命」とかに関しては実際もうちょっとキュッとできる部分もあるかなって思ったりはするけど、例えば「大きい」。
ああ、むずいね。大きい。
どうします?
比べた時により存在感があるものです。
存在感がある。
存在感あるですよね。やっぱ大きいものって、モデルに必要とされるものみたいなね。
そう。力士に必要とされるものとかね。そういうことですよね。
大きい、力士が必要とする状態だってこと。
そう、そう、そう。そういうこと。
え、すごいな。
力士を指して言われる状態のことを。
ピーキーすぎるって。僕はね、この新明解の「大きい」の語釈すごい気に入っていて、ちょっとよく引き合いに出すんですが、「目に見える形を備えていて、互いに比較することができるものについて、問題となるものが比較される方を包み込んだと見なされる状態になり、なおかつゆとりがあると想定できる様子だ」って書いて。
なるほどね。そうか。そうか。だから体積に注目すれば、包み込んだ時により余裕がある方が大きい方。
はい。なるほど。
って書けば、「大きい」に、例えばサイズとか、その大きさみたいな意味を使わなくても「大きい」を説明できる。
そうか。てか、だからあれか。アリストテレス的解決なら、水槽に水を満たして、それが全部沈むように入れた時、溢れる水の多い方みたいな定義もできるかもしれないですね。
そうですね。ただ、そうすると「多い」の説明が必要になりそうな気もしますけど。
そうか。「多い」も説明しなきゃいけない。難しいね。
うん。だからこういう基本語って、皆さん多分引かないと思うんですよね、国語辞典で。でも逆に、そこにこそ新明解のクリエイティビティ
なるほど。
が詰まっていると。
うん。意外と腕が鳴るとこなんすね、簡単な言葉の方が。
本当にそうだと思う。もう1個、「重い」。
何?
力士ですね。
力士の特徴ですよね。
一旦そいつ離れてもらって。力士いらんな。
ちょっと1回力士出しちゃったせいで、もう脳内よ、ずっと力士がどすこいどすこい言ってるんですよ。
うん。
「重い」ね。だからあれだ。持ち上げるのが難しい度合いですよね。
うん。あ、でもね、概ねそんな感じです。もうちょっとこなれさせて、「比較の対象とする、一般に予測される状態と比べて、そのものを支え持ったり動かしたりするのに、大きさから受けた感じ以上の大きな力を必要とする状態だ」で説明してる。
持ち上げるの大変だよで定義されてるんですね。
そうですね。あと「強い力で押さえつけられてるような感じで、消極的な気分を抱かざるを得ない様子だ」と。
はあはあ。腰が重いとか。
向こうの気持ちが重いとか。
抽象的な情報。
はい。そういう時に使う「重い」も、そういう風に説明されていると。もう1個いきましょうか。「分かる」。
ああ、難しい。分かる。難しいね。
分かる、難しくないですか?
分かるってどうやって説明すればいいんだ?
分かるが分からない人に分かるを説明する。
そうだね。なんでそんなややこしい言い方したんだ?
いや、でもそうですよね。ま、1つありそうなのは、知らない状態から知っている状態に移り変わる。
うんうん。ああ、いいんじゃないですか。
みたいなことじゃない。
はい。新明解は、「未解決・未確認の事柄について、推理・推論を巡らしたり、適切な情報を拠り所にしたり、実際に経験したりして、確信の持てる、あるいは客観性のある判断が下せる状態になる」。
うん。ああ、ぽいぽいぽい。
こんな長くなるんですよね、だから。分かるって言おうと思うと。
そう。こんな簡単な言葉なのにね。
はい。堀元さんの今のは、その知識がつくっていう意味での「分かる」でしたけど、
そっちはあれだね、もっと推論とか経験からみたいなのも含意してましたね。
そう。この問題分かる?とかって言われて、分かるよって解いて見せるとか、そういう時に使う「分かる」の説明になっているので、実は基本語こそ新明解のすごさが詰まっているということですね。
なんかあれみたいですね。武道の達人が、意外と初歩的な技が1番技量分かるみたいなね。
そういうノリに近いかもしれないですね。
うん。そうですね。
他の辞書だったらどう説明してるんだろうと思って引いてみるのも楽しいし、三国だったら絶対もうちょっと実感のこもった分かりやすい語釈を書いてるはずなので、同じ三省堂ですけど。
三国の「分かる」引いてみようか。
すごい、三国って「和モダン」立項してる。
和モダン。あの、モダンだ。うん。「和風の良さと現代的なスタンダードを合わせた様式。和モダン住宅」。
新明解にはなさそうな気がするな。面白い。
「分かる」の話しろよ。夢中になってんじゃないよ。
聞きたい。
でもこういうの面白いね。こういうなんか、へえ、こんなん載ってんだがあると嬉しい。
さあ、「分かる」は引きましたか?
え、ごめんなさい。若妻が出てきたって。
もういいって。もうええって。力士と一緒にそいつ帰らせ。
そしたらエッチな感じになっちゃうでしょうが。
若妻と力士帰らせたら、え、三国の「分かる」。「頭の中ではっきりしていなかったものがはっきりする。知れる」。
ああ、いいですね。三国らしい。
はっきりしていなかったものがはっきりすることが「分かる」なんだ。
すごい三国っぽいわ、これ。
それは分からんけど。これすごいね。めっちゃシンプルにまとまってるね。
はい。あ、いいですね。「大きい」とかどうしてる?
あ、「大きい」調べてみるか。
はい。
「大バカ」載ってるわ。
あ、もういいって。もうええって。
「大変なバカ」って書いてあります。
そう。複合語ってこの調子だから、基本。
面白いねえ。「大きい」、「ものや場所がかなりの空間を占める状態だ」。
ああ、なるほど。
包み込むじゃなくてね。
かなりの空間を占めるって言えば、確かに「大きい」の説明になるかも。
それやね。
ああ。シンプルだね、三国。
そうなの、だから。
いいわ。三国には三国の良さありますね。
でしょ。
うん。こっちも読みたいな。
そう、こっちはすごいシンプルなんですよね。だから新明解読んで、この基本語すごい新明解だと長くなってるなって当たりをつけた後に三国を通読すると、その箇所で比較をして読むことができるので、新明解をまず通読してから三国を通読するのがいいかも。
結構大変ですね。水野さん、新明解何年かかったんでしたっけ?
3年。
え、都合6年かかりません?2冊読んだら。
たった6年で。
感覚おかしいけど。6年あったら何でもできますけど。
ということで今回は、僕が新明解国語辞典第8版を通読してぐっときた語釈を紹介してきました。え、やたらと気合いが入っている語釈、「異次元空間」とか「生活態度」とか。それから悪意が滲み出るもの、「上から目線」とか「俗物」とか。そして最後に、意味を説明しようと思うと意外と難しい基本語ですね。「大きい」とか「重い」とか「分かる」とかについて取り上げてきました。
実は3月中旬に三省堂書店神保町本店がリニューアルオープンするんですけど、そこの新明解国語辞典のコーナーに、僕が選りすぐった3つの語の語釈について、ちょっとしたコメントを書くっていうポップを置いてもらっているので、
ほう、
え、今回ので興味がある方は、三省堂書店神保町本店にも行くといいと思います。
もうちょっと引きあるもののポップ書きません?おすすめ本とかだったらさ、あ、それ見に行って、帰りに買って帰ろうかなとかできるじゃん。
はいはいはい。
え、そ、おすすめの辞書の語釈。
はい。
いや、ちょ、違う。なんで聞こえてねえんだよ。いや、だってその本とかだったらね、分かりやすいですけどね。語釈のポ
でもほら、そのプロジェクト・ヘイル・メアリーみたいな小説だと書くこと何もないじゃないです。
いや、あるよ。むっちゃあるよ。あれ面白いんだから。ちゃう、違う。俺プロジェクト・ヘイル・メアリーの推薦文書いたから。俺あまりに書くこと多すぎてあれ5パターン送っちゃったんだから。[笑い]すごかったぜあの小説は。
え、だってあの小説誰もそういうの書いてないですよね。
ちょ書いてる、書いてる。もう文化人みんな来てんだから。今全ての人があれ書いてんだから。
そう。
世の中の書評とか書く人全員にプロジェクト・ヘイル・メアリーの依頼来てんだから。今。
あ、そうなんですか。
それに比べてあなたは何ですか?語釈を選んで3つのPOPを書きましたつって。え、数万の語釈の中からさ、3個だけピックアップ。プロジェクト・ヘイル・メアリーの推薦文を書け、お前。何C何なのって話?[笑い]
でも確かにね、nC3だからかなりの量ありますよね。
そう。ていう仕事をしましたので、もしよかったらそちらもご覧いただければと思います。
ぜひ見てください。じゃ、いつも通り面白かった方チャンネル登録、高評価、感想のコメントをお待ちしております。
皆さんのね、推しの新明解の語釈、三国の語釈あればぜひいいですよ。その新明解に限らず小型辞典でも中型辞典でも大型辞典でもなんでもいいですから。はい。この辞書のこれがおすすめですというのあれば書いていただければと思います。以上にしましょう。ありがとうございました。
はい、ありがとうございました。
堀元さん、うまく話せなくて悩むことってありません?
よくあります。
そんな悩みを抱える方にぴったりな本を書きました。
ほう。
タイトルは『会話の0.2秒を言語学する』。会話のわずかな間にフォーカスした1冊です。是非皆さん買ってください。
記事公開
