週3勤務で平均年収1000万?「ニート医師」井たくまのアルバイト医師生活に1日密着

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概要

医師免許を持ちながら常勤医にはならず、単発のアルバイト医師として働き、芸人・YouTuberとしても活動する井たくま。「ニート医師」と名乗るこの人物の1日に、YouTuberのトマホークが朝から夜まで密着した。トマホークはバイト医の実態が気になっていると言い、平均年収1000万円という噂にも触れる。井たくまは「まあ、やればですね」と答えつつ、医者なのかニートなのかという自分の立ち位置、朝から夜まで続く仕事ぶり、そして不安について語っていく。

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朝の1時間で動画3本を撮る

密着は朝8時過ぎに始まる。この日の井たくまは9時過ぎから9時半ごろにバイトへ向かい、夜8時ごろまで勤務する予定だった。出勤前の1時間で、ショート動画2本とロング動画1本を撮らなければならないという。井たくまはその日に撮った動画をその日に出したいので、動画のストックは持っていない。ここで撮れなければ投稿できない状況で、トマホークに「一緒にネタ考えてくださいよ」と頼む場面もあった。

撮影部屋にはフィギュアや漫画が並び、最近はまっているデジモンのグッズも集めている。「マジで金使うとこないんで、ここに金使ってる」という。本人は、床の状態を含めて「平たく言うとゴミ屋敷」だと認めている。ロング動画は机で撮り、ショート動画はiPhoneのインカメラで撮る。スタンド代わりに使っているのは段ボールだ。グリーンバックは持っておらず、トマホークは「ショートやっててグリーンバック持ってないの初めて見た」と驚く。井たくまは、CapCutのAI切り抜きのような機能で十分な仕上がりになると説明する。台本はメモ帳アプリに書き、照明の代わりに窓を開けて自然光で撮っている。

40分の時点で、ショート2本の台本ができあがった。1本は、手術で使う天井クレーンとフォークリフトの資格を取りに行かされたという視聴者コメントを紹介するネタである。何度か言い直してから撮り終えた。もう1本は、貧血で氷をたくさん食べる人に病院へ行くよう勧める、氷食症の話だった。1本あたり8〜9分ほどで撮れている。散らかった部屋でも、画角に入る部分だけ片づけておけば良い部屋に見えるという工夫も明かした。ロング動画は、トマホークの知人が実習で出会った「やばい医者」の話を受けて、実際にそういう医者はいるという内容で撮った。出かける前には、ファンレターを保存していることを映してほしいと頼み、「いい人アピール」だと笑った。

バイト医の仕事と「ニート医師」という名乗り

出勤途中、トマホークはバイトの中身を尋ねた。井たくまによれば、健康診断もあれば一般的な内科の診察もあり、美容系の軽い仕事もある。募集サイトには応募に必要な資格が書かれていて、「医師免許だけで応募可」の求人なら誰でも応募できる。専門の科を持たない自分を、井たくまはポケモンのイーブイにたとえた。弱いけれど何にでもなれる状態だという。求人は時給で示され、応募したあとに先方の審査はあるものの、基本的には早い者勝ちだと説明した。

なぜこの働き方を選んだのかという質問には、医学部に入ってから進路が違うと感じ、どうにか逃げようとして別の食べ方を探した結果ここにたどり着いた、と答えた。医師免許を利用している後ろめたさはあるという。「ニート医師」という名前もそこから来ている。きちんと医者をやっている人たちに対して医者を名乗るのはおこがましく、医者としてはニートのようなものだ。それでも医師免許を持ち、医療の情報も発信しているので「ニート医師」だ、というのが本人の説明である。

昼休み:編集の進み具合と大きすぎる声

昼休みに合流すると、井たくまは勤務の合間にショート4本に字幕をつけ、1本の編集を終えていた。編集はかなり速くなったという。トマホークが声の大きさと発声の良さを褒めると、本人は、自分の動画では音割れが一番困るのだと明かした。これは芸人を始める前からの性質だそうだ。診察中に声が大きすぎて、隣の人に聞こえると患者から注意されたこともあり、「声質的には医者向いてないかもしんない」と話す。音量には「オンかオフしかない」らしい。

仕事については「普通の診察」をして、いつもどおりやることをやったと話した。

心配性と、同期への焦り

話は井たくまの精神面に移った。ここ1年ほどで白髪が急に増えたという。家族には公務員が多く、自分はもともとかなりの心配性で、今のような自由な働き方は本来向いていないと自己分析する。朝から出勤して定時に帰り、将来は年金ももらえて安泰、という生き方がおそらく一番合っているのに、そこを間違えて苦しみながら自由業をやっている、というのが本人の見方だ。同期が普通に働いて専門医を取っていくのを見ると、「めちゃくちゃやべえな」と思う。自分はもう終わったのだから、終わった中で生きていくしかない。最近はそう考えていたという。

それでも生き方を変えるつもりはない。井たくまによれば、去年動画がそれほどバズらなかったら、普通に辞めて「まともに働く」ようになっていたかもしれない。ここでいう「辞める」は、医者を辞めることではなく、今の活動を諦めることを指している。たまたまこうなったのだから、行くところまで行くしかないし、ここまで来て辞める意味がわからない、と話した。

心が折れかけることはあるかと聞かれると、あると答えた。2週間ほど前には、仲の良い友達の前で「もう終わりかもしれない」と号泣したという。自分は「めちゃくちゃメンヘラ」だと言い、追い詰められていることも認めた。

ラーメン屋で聞いた体重と持病の話

昼食は井たくまおすすめのラーメン店でとった。井たくまは中学まで野球をしていて、やめてから徐々に太り始め、32歳まで一歩一歩確実に体重が増えたという。YouTubeを始めて1年目ぐらいにライザップへ通い、15kg減量した。医者はライザップを半額で受けられると本人は説明する。医者がやって痩せたと言えば宣伝になるからではないか、という見立てだった。ところがその後18kgリバウンドしたので、ライザップ側からすれば「半額で通わせといて」と言いたくなるだろう、と笑った。

去年初めて胃と大腸のカメラ検査を受けたところ、難病が見つかったことも話した。難病なら医療費が安くなると思って問い合わせたが、症状が軽すぎて指定は取れなかったという。

食べるのが速いことをトマホークに指摘されると、医者あるあるかもしれないと答えた。短い時間で食べて仕事に戻らなければならないからだ。加えて、ご飯は一度にたくさん口に入れたほうがうまいという持論も語った。

上下白の私服と身バレ

井たくまは出勤にも休日にも、上下白の同じ格好で出かける。本人はこれを、アメリカ映画で病院に捕らえられた天才犯罪者が武器を持てないように着せられている服に似ていると表現した。この格好のまま、病院で身バレしたこともあるという。女子高生ぐらいの患者が父親と一緒に来て、説明をしていると「井たくまさんですよね」と声をかけられた。写真を撮ったあとにBeRealも頼まれ、病院で人生初のBeRealを撮ったそうだ。

トマホークは変装しないのかと聞いた。井たくまは、自分程度の知名度で変装するのは逆に恥ずかしいと答える。トマホークは格好が「まんますぎる」と返し、ばれに行っているのではないかとからかった。散歩の途中でも、通行人に見られていると気づく一幕があった。

午後:勤務10時間のあいだにできたこと

勤務を終えた井たくまによると、午後のうちに動画を3本公開し、案件動画2本も作って送ったという。本人は「スーパーハイスピード編集」と冗談めかして言う。ただ、勤務開始から数えれば10時間たっていて、バイトにはそれなりの時間を費やしているとも付け加えた。

バイト医の仕事は、基本的に病院を出れば何もすることがない。単発の勤務なので呼び出しもないはずだという。常勤医はばっちり呼び出されるので、そこが大きな違いかもしれないと話した。バイト医歴5年は長いのかと聞かれると「めちゃくちゃ長い」と答えた。ほかにもいるとは思うが、顔を出して言うようなことではない、という。

夜の部屋にあるもの:巨大注射器、実用書、ガイドライン

帰宅すると、井たくまは急に元気になり、ナイトルーティン動画風の語りを始めた。先に見せたのは小道具の「指」だ。以前ライブでやった、『呪術廻戦』の宿儺の指を題材にしたコントで使ったもので、そのネタは大きく滑ったという。このときトマホークに使ってもらい、動画に入れると約束させた。帰宅後はまず猫をかわいがる。月・水・金の21時半ごろからは生配信をしている。

医療関係のものはあるかと聞かれて出してきたのは、ネタ用の巨大な注射器だった。井たくまは「パワー系お笑い」もやっているが、あまりウケないという。本棚には、若手向けのお金の本と並んで、バイト医になって最初に読んだという医師アルバイトの実践マニュアルがあった。井たくま自身「怪しいでしょ」と言う。その本のメリット欄には給料の高さが挙げられ、時給1万円という記載もあった。一方でデメリット欄には、ほかの医師から白い目で見られ、楽して稼ぐ奴というレッテルを貼られる可能性があると書かれている。それでも、健診や外来など仕事の種類ごとに勉強すべきことがまとまっていて役立つそうだ。美容医療のQ&A本もあり、バイトに行くときはその仕事の知識を入れていくという。本人は自分を「真面目なバイト医」と呼び、バイト医の専門医があれば取れる、と冗談を言った。

ショート動画のネタ元としては、『日本人の食事摂取基準』を挙げた。たとえばネットで「炭水化物は体に良くない」という主張を見かけたら、この本で国が炭水化物について何と言っているかを調べる。肥満症のガイドラインも置いてあり、肥満はバズりやすい話題だという。本を並べているラックは、メーカーにアクリル板をカットしてもらい、磁石をつけて自作したものだ。ジャズのベースも少し弾いてみせた。

生配信と「不安で動いている」という自己分析

最後に、トマホークが井たくまの生配信に出演した。調子の良い日には同時接続が1000人ほどになるという。配信で話した内容はほとんど覚えていないが、「その時の自分が判断してくれてるだろう」と過去の自分を信頼しているそうだ。

なぜそこまで配信をするのかと聞かれ、井たくまは理由を説明した。生配信をしたり動画を撮ったりすればその分お金になるので、何もしていない時間がすごく無駄に思えてきた。だから編集中も配信をしている。どうせ編集しているなら、しゃべってスーパーチャットをもらいながら盛り上がったほうが登録者も増える。それに、いつ稼げなくなるかわからない。稼げなくなったとき、稼げていた頃の自分に「何やってんねん」と思うはずだ、という。

配信していないと怖いのかと問われると、それもあるかもしれないと認めた。配信中は不安を忘れられるし、まだこれだけ自分を見たい人がいる、まだ社会から見放されていない、と確かめられる。井たくまは「だから不安からかもしんないですね、全部が結局」と話し、「不安で動いてるかも」と自分の1日をまとめた。

密着の最後、2人はもう友達だと言い合い、今後の付き合いを約束して撮影を終えた。