船舶免許の実技試験はFR20でも同じ準備で通用するのか:船外機艇の点検項目の違い

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概要

「船舶免許独学で取ろう」というチャンネルを運営する堀越氏は、これまで実技試験の解説動画を「LS17」という船で撮ってきた。しかし現在、試験は主に「FR20」という船で行われている。今回の動画は、LS17の動画で学んだ受験者がFR20などで試験を受ける場合に何が違うのかを、教本を見ながら説明したものである。堀越氏の結論は、基本は同じで、船外機特有の点検がいくつか加わるだけ、というものだ。

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LS17とFR20、試験艇が変わった事情

堀越氏によれば、LS17はこれまで海洋レジャーをはじめ各地の試験で使われてきた船で、今も使っている会場はある。ただ、現在はFR20で試験を行うところが多いと話者は見ている。FR20はレンタルボートとして借りても動画撮影に使えず、準備もできないため、同氏はFR20の実技動画を作れていない。

それでも、LS17の動画を見てFR20で受験した人はこれまでにもおり、その人たちも合格しているという。そこで今回は、同氏が使っている教本に載っている船の図を使い、これから実技試験を受ける人向けに見方を説明している。教本にはLS、FR20、もう1隻(字幕では「カマラ」と聞こえる船)が載っている。LS以外の2隻は船外機で、LSだけが船内外機のためエンジンが船内に隠れている。今回説明するのは主にこの違いである。

教本の青字はすべて覚える

LSの説明は実技動画と同じ内容なので、堀越氏は手短に済ませている。教本の機関室や操縦席の図では、項目が青字で書かれている。青字は試験に全部出るので覚えるように、というのが同氏の指示だ。試験員からの「これをやってください」という指示や、「ワイパーを点検してください」「電圧計に問題がないか見てください」といった点検項目がこの部分から出るためである。マスト灯や航海灯など、船のどこに何が付いているかも青字の部分を覚える。

操縦席の配置についても補足がある。試験艇はすべてシフトレバーがハンドルの左側にある。危ないときに試験員がすぐ握れるようにするためだという。レンタルボートではシフトレバーが右側にあることが多いので、試験艇の配置として覚えておく必要がある。

FR20のハッチ内:バッテリーと燃料コックの点検

FR20も船の形は基本的に同じなので、LSの図で覚えた青字を参考に「何が何か」を押さえればよいと堀越氏は言う。船首側の設備は大体同じで、ワイパーや航海灯などが並ぶ。

違いが出るのは教本の一番下の図、ハッチを開けたところだ。左からプライマリーポンプ、燃料フィルター、燃料ホース、燃料コック、燃料タンク、メインスイッチ、バッテリーが並んでいる。リーフレットにもあるように、よく出るのは「バッテリーの点検と燃料コックの確認をしてください」という指示だ。この場合はハッチを開けてバッテリーを揺すって確認する。点検方法の詳細は別の動画を見るよう同氏は案内している。燃料コックは、これから出航する前の点検なので、開いているかどうかを確認し、開いていれば問題なしとする。

点検が終わったらハッチを必ず閉め、レバーでロックがかかる仕組みになっているのでロックもしっかりかける。そのうえで「準備オッケー、異常ありません」と報告する。

FR20の操縦席はデジタル表示

FR20の操縦席も、堀越氏の動画に出てくる船と基本は変わらない。違うのは計器がデジタルになっている点だ。

メインスイッチを入れないとエンジンはかからないので、まずメインスイッチを入れて計器を動かす。次にイグニッションキーを右に回すと、車のようにエンジンがかかる。緊急エンジン停止スイッチには爪のようなものが刺さっている。これは基本的に刺さったままでよく、抜けるとエンジンが止まる仕組みだと覚えておけばよいという。

コンパスは、方位を指示されたときに使う。たとえば「20°の方向に変針してください」と言われたらコンパスを見る。燃料計や回転計は車やバイクと大差ない。モードボタンを押していくと冷却水の温度やバッテリーの電圧が表示される。トラブルシューティングの項目で「電圧の異常はありませんか」と聞かれた場合は、モードボタンで表示を切り替えて確認することになる。

試験員に聞いてもよいこと

計器の場所や見方が分からない場合について、堀越氏は具体的な助言をしている。試験の採点に関係しないことなら、試験員は聞けば答えてくれる。ただし「メインスイッチはどこですか」のようなあまりに基本的な質問はいい顔をされない、と同氏は言う。試験員が採点しているのはあくまで点検の方法で、何がどこにあるかは嫌な顔をされても教えてもらえる、という位置づけである。

船外機で増える点検:プライマリーポンプ

LSの動画を見た人から「船外機の船で動画を上げてほしい」と言われるが、堀越氏は大して変わらないと答えている。同氏の動画で点検項目と点検方法を覚えれば、あとは基本的に同じだという。

船外機で1つ増えるのがプライマリーポンプである。同氏は記憶をたどりながら、ポンプを押して燃料を送る操作が必要だったはずだと話し、それもポンプをにぎにぎするだけだと説明している。ワイパーや航海灯などの点検は同じで、船外機でもやることは基本的に一緒だとしている。

3隻目の船:バッテリーの位置は左右を確認

教本に載っている3隻目の船について、堀越氏は乗ったことがないと断っている。FR20のほうはどこかで乗ったことがあり、日産の船だったかもしれないと曖昧に振り返っている。

この船も図は基本的に同じだ。教本の下段中央の写真のようにハッチを開けると、LSならエンジンがあった場所に何もなく、燃料タンクになっている。ハッチは左右にあり、写真ではバッテリーが左側に付いている。ただ船によって違うかもしれないので、左になければ反対側を開けるくらいは自分で考えてほしいと同氏は言う。もう一方にはプライマリーポンプ、燃料ホース、燃料フィルターなどがある。

点検が終わったらすべてのハッチを閉め、必ずロックをかける。ハッチを閉めたかどうかも点検項目の1つに入っているので、忘れないよう注意を促している。

操縦席も同じ構成で、こちらは燃料計がアナログ、回転計・冷却水温計・電圧計がデジタルになっている。燃料計はスイッチを押すと作動し、満タンかどうかを確認すればよい。コンパスは中央にあり、基本的にどの船にも付いている。

試験艇は正常な状態で用意されている

表示の読み方が分からないときは、遠慮なく聞いてよいと堀越氏は繰り返す。FR20は今の主流だが、たとえば回転計に「15」と出ている状態で「電圧を見てください」と言われても、分からない人には分からない。Vの表示があればボルトだが、分からなければ「どれが電圧か分かりません」と聞けばよい。本当は良くないが、それを見て異常がなければ「異常ありません」でよい、と同氏は言う。

その理由として同氏は試験の実態を挙げる。試験員は試験前にすべてを点検しており、燃料は満タン、電圧も水温も異常のない状態で試験を行う。つまり答えは基本的にすべて「異常なし」になる。ただし引っかけに近いものとして、燃料コックを閉めておくことはある。バッテリーを緩めておくような面倒なことはしないが、燃料コックは開けるだけで済むのでそういう仕掛けはあるという。試験で見られているのは点検をどういうやり方で行うかであり、回転計を見ているのに電圧を見たつもりになる人もいるかもしれないので、分からなければ確認するよう勧めている。

自分の試験艇は申請時に確認する

どの船で受けるかは、試験を申請するときに確認する。同氏の記憶では申請の案内に書いてあり、書いていなければ海洋レジャーに電話して聞くよう勧めている。

堀越氏は、実技の前にいつも受講者に今回と同じ説明をしているという。座学中に教本を見ながら説明する時間はあまりないので、授業が終わった後などに教本を使って説明し、「次の日は海に来てください」という流れにしている。今回の動画はそれと同じことをしたもので、同氏の実技動画を見ながら教本の同じ箇所を確認し、繰り返してほしいとしている。教本をさらにめくると点検方法が詳しく書いてあるので、それを1から10までできるようにするとよいという。

船外機のエンジンオイル点検と検水口

船外機では「エンジンオイルの点検をしてください」と言われる。そのためには船外機のカバーを外す必要があるが、ロックを外して開けた後に落とす人がいるので、試験員が開けた状態で行うことが多いはずだと堀越氏は見ている。一人でやれと言われることはなく、試験員に任せてよいという。

船外機が何か分からない人向けに、同氏は教本の図を示しながら、船の外に付いているのが船外機だと説明する。船外機でない船は、LSのようにエンジンルームのハッチを開けるとエンジンがそのまま見える。試験では見やすいが、後々のことを考えると船外機のほうが全体的に良く、今はほとんど船外機になっている、というのが同氏の見方だ。オイルの点検方法は車と同じで、動画を見てやってほしいとしている。

もう1つの重要な違いが検水口である。エンジンをかけると船外機から水が勢いよく出るので、それを確認する。「機関の始動をしてください」と言われたら、プロペラ周りの安全を確認し、中立にしてエンジンをかけ、船外機の人は船外機を見に行く。左側から水がちょろちょろ出ていれば「エンジン始動、問題ありません」と報告する。LSの場合はプロペラを確認したら座ったまま始動を報告すればよい。つまりFR20や3隻目の船で受ける人は、エンジンをかけたら必ず検水口を見に行く必要がある。

始動の手順自体も大差なく、普通なら鍵を挿して回すだけだが、船外機の場合はロックプレートの爪を刺す動作が1つ入る程度だという。

「こんな内容で受かる」ことの意味

最後に堀越氏は、これで試験は大丈夫だと述べつつ、逆に言えば「こんな内容で受かるのだから、何かあったときは大変だ」とも付け加えている。教習所に通っても独学でも、この程度の内容を頭に入れて試験に行ったところで翌日には忘れてしまう。教習所で船外機について詳しく説明されても分からないだろうし、分からないことを教えても仕方がない、というのが同氏の考えだ。実際の受講者にもこの程度の説明で大体できるようになっており、動画で受けようとする人はより意欲的に自分で学ぶはずなので問題ないとみている。

同氏が勧める勉強法は、教本の船の図だけを見て、頭の中で操作を再現することだ。ハッチの左側を開けたらバッテリー、右側を開けたら燃料ホース、船外機の蓋を開けてエンジンオイルを確認する、といった流れを頭の中ですべてできるようになれば問題ない。これからはFR20で受ける人が多くなるが、同氏の動画で点検項目さえ分かっていれば、車などに乗っている人なら運転席に座って見れば何が何か分かるはずだ、というのが同氏の締めくくりである。