「メディアはメッセージである」と『利己的な遺伝子』を読み直す:古典の誤読から『クリックの0.2秒を科学する』構想まで
ゆる言語学ラジオゆる言語学ラジオの堀元見と水野太貴が、青森県の酸ヶ湯温泉で久しぶりの「インプット奴隷合宿」を開いた。前回の合宿では二人とも意味論の本を読んで学びを共有したが、今回のテーマは「お互いがエアプ(読んだふりを)している古典的名著をちゃんと読む」である。堀元はマーシャル・マクルーハン『メディア論』を、水野はリチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』を持ち込んだ。どちらもキーフレーズだけが広く知られている本だ。二人とも読了はしておらず、途中まで読んだ段階での発見を持ち寄っている。後半は、ドーキンスの書き方をきっかけにポピュラーサイエンスの書き方へ話が移り、堀元が書くかもしれない『クリックの0.2秒を科学する』という本の構想が膨らんでいく。
「メディアはメッセージである」は広告媒体の話ではない
堀元が『メディア論』を選んだのは、「メディアはメッセージである」という一節だけが独り歩きしていて、世間の使い方が本当に合っているのか確かめたかったからだという。堀元によれば、この言葉は広告業界でよく使われている。広告を電車に出すのかテレビに出すのかで効果は変わる、つまりどの媒体に出すか自体が大きな意味を持つ、というニュアンスである。IT系の広告スタートアップの人がこの言葉をそう使っているのを実際に見たこともあるという。
ところが、約40ページを「ちゃんと」読んだ堀元は、本にはまったく別のことが書いてあったと報告する。まず、マクルーハンのいう「メッセージ」の意味がとても広い。本文では、メッセージとは「それが人間の世界に導入するスケール、ペース、パターンの変化にほかならない」とされる。堀元はこれを「人の行動様式をガラッと変容させること」と言い換えた。よくできた広告もその一種で、二人は「そうだ 京都、行こう。」や「JR SKISKI」のように、見た人の行動を変えるコピーを例に挙げている。
では人の行動を劇的に変えるものは何か。それがメディアだ、というのがマクルーハンの主張だと堀元は説明する。本書にはメディアの定義として「人間の結合と行動の尺度と形態を形成し統制する」ものという趣旨の記述があり、堀元はこれを「人間社会を率いるリーダーのようなもの」と要約した。最初の例は電気と照明である。夜でも明かりをつけられるようになったことで夜型の人が増えた。照明は人々の行動を大きく変えたのだから、照明はメディアだということになる。スマホはもちろん、列車もメディアだ。
内容とメディアを切り分ける
堀元によると、マクルーハンの主張の核心は「メディアと内容を分けて考えよ」という点にある。新聞というものが持つ力は大きく、そこに書かれている内容はまた別の話だ、という考え方である。マクルーハンが描きたいのはメディアがどう世界を変えるかであって、内容にはあまり関心を払っていない、と堀元は読んでいる。
この点を示す一節として、堀元は9ページの記述を紹介した。電気の光は内容を持たないがゆえに、コミュニケーションのメディアとして注意されることがない、という指摘である。ここから二人は「マクルーハンは蛍光灯への広告出稿を推奨している」と冗談を広げた。水野が「照明で壁に文字を映す広告」を提案すると、堀元は、ネオンや投影で文字を出すとそれは「内容」になってしまうので、マクルーハンの意図とは違うと返す。光の本質は、それを使えるか使えないかで生活が変わることにある。だからマクルーハン的な「最強の広告」とは、「うちに100万円払わないと蛍光灯が使えなくなります」というものだ、と堀元は茶化した。本書には、エジソンこそ最大のメディアを作り上げたと言えるのではないか、という趣旨の記述もあったという。ただし「蛍光灯に出稿することを推奨している」という読み方自体は、実際には本には書いていないと堀元自身が明かしている。
この枠組みで見ると、『世界を変えた12の時計』のような「〇〇が世界を動かした」という本は、どれも「時計はメディアだ」「薬はメディアだ」と言っている本として読める、と堀元は話す。『メディア論』の副題は「人間の拡張の諸相」であり、メディアが人間をどう拡張していくかを描く本なので、どの媒体に広告を出すかという狭い話はほぼ出てこないだろう、というのが堀元の見立てだ。水野はこれを、テクノロジーが人類をどう変えたかを描くビッグヒストリーや、火の発明で消化を体外に外注したという類の文明史の議論に近いと受け止めた。
本の中には、堀元がかつて公園で叫び続けてプログラミング学習サービス「PrograMOVIE」を宣伝した動画をめぐる内輪ネタも挟まる。登録者ゼロだったので行動変容はなく、マクルーハンの定義ではメディアではない、という自虐である。このやり取りの中で、堀元は「ホットなメディア」と「クールなメディア」の区別にも触れた。ざっくり言えば、ホットなメディアは情報の洪水を浴びせかけるもの、クールなメディアは余白が多く受け手が参加できるものだという。
椅子もメディアである:「尻の絶対奪格」という難所
堀元によると、マクルーハンは椅子もメディアだと論じている。チェアかカウチ(ソファ)かで、座る人のスタンスが変わる。典型的にはチェアを使わせるのは編集者で、カウチを使うのは精神分析医である。精神分析医は患者をゆったりしたソファに座らせることで、出来事に合理的な解釈を加える必要はないという意図を示している、という説明だ。椅子自体が人の行動を変容させるからメディアだ、という理屈で、水野はアフォーダンスの議論にも近いと感じたという。
ところがその直後に、堀元が読み上げた一節で二人とも止まってしまう。人間の拡張として見れば、チェアは「専門家風に臀部を奪い取ったもの」、言うならば「尻の絶対奪格」だというのである。本には訳注があり、絶対奪格とはラテン語文法の用語で、文中でほかの要素と文法的に関係せず孤立的に用いられ、時・原因・付帯状況などを表す奪格だと解説されている。水野は、奪格は日本語の「から」や英語の from に近いものだと補足した。これで絶対奪格の意味はおおよそ分かったが、なぜチェアが「尻の絶対奪格」なのかは二人とも分からなかった。
堀元によれば、マクルーハンは冗談も言う人で、ここがふざけているのか、本当に難しいことを言っていて自分が理解できていないのか、判別がつかないという。明らかに冗談だと分かる箇所もある。テレビを見ていたネズミが突然飼い猫に勝負を挑んだという小話がその例だ。一方で、「若者たちの大好きなジョーク」として紹介される「紫色をしてブーンと唸るものは何か。答えは電気ブドウ。なぜブーンと唸るかといえば、言葉を知らないから」というくだりも、二人にはまったく意味が分からなかった。堀元は、意味不明なことを言った直後に、もう一つ意味不明なことを重ねるのがマクルーハンの「手癖」ではないかと冗談めかして分析している。英語圏では有名なジョークなのかもしれない、として視聴者に解説を求めた。
とはいえ、堀元は本全体としてはレトリックがうまく面白いと評価しており、今回は難解な箇所を恣意的に拾っただけだと断っている。
1960年代の本がインターネットを予見しているように読める
堀元が特に印象に残ったと話すのは、インターネット時代を思わせる記述である。本の刊行年について、堀元は「1962年とかじゃないか」と述べ、60年近く前、テレビが普及してきた時代に書かれた本だと位置づけた。そこには、地球は電気のために縮小し、もはや村以外の何ものでもなくなった、電気のスピードがあらゆる社会的・政治的作用を結合してしまうために人間の責任の自覚を極度に高めた、という趣旨の一節がある。
堀元の解釈では、情報が早く大量にやってくるようになった結果、地球の裏側の出来事も目に入るようになり、人々の感覚が広がったという話である。水野は、自分とは関係のない遠くの出来事に心を痛めたり怒ったりすることだと受け止めた。水野はさらに、新聞だと翌日にならないとニュースが分からず、絵も浮かばないので遠い国の悲惨な出来事にピンと来ないが、テレビは速報があり朝夕にニュースがあるので速い、と補足した。堀元はそれをホット/クールの違いと結びつける。新聞はクールで想像の余地を自分で膨らませるしかないが、ホットなメディアは脳に直接情報を流し込むようなものだ、という。
堀元は、こうした感覚はインターネット以後に生まれたと考えがちだが、マクルーハンによればテレビの時点ですでに来ていたということらしい、と述べた。TikTokやTwitterの動画がある現在こそ、マクルーハンの指摘が効いてくる時代かもしれない、というのが堀元の感想である。
『利己的な遺伝子 40周年記念版』と、著者自身の不満
水野が読んでいるのは『利己的な遺伝子 40周年記念版』である。水野は交流のある研究者から「さすがに読んでおいた方がいい」と勧められたのがきっかけだと話した。全体は581ページあり、本文だけで約460ページ、13章ある。構成を順に見ると、「30周年記念版に寄せて」「第2版のまえがき」「初版に寄せられた序文」「初版のまえがき」と続き、第1章が始まるのは38ページ目だという。巻末にも補注、訳者あとがきが版ごとに並んでいる。堀元は『7つの習慣』でも冒頭の前置きが長かった記憶を語りつつ、訳者あとがきを読むのが好きなので全部収録されているのは嬉しい、と話した。
水野によると、「30周年記念版に寄せて」でドーキンスは、「利己的な遺伝子」という概念が独り歩きしていることにうんざりした様子を見せている。堀元は、マクルーハンも独り歩きを嫌がって書いていたので「名著あるある」かもしれないと応じた。ドーキンスは、編集者からは『不滅の遺伝子』というタイトルを提案されたが断った、こんな誤解をされるぐらいならそちらのほうが良かったのかもしれない、と書いているという。「利己的」と言うと遺伝子に性格があるかのように受け取られてしまう。そのためドーキンスは、自分には擬人化の癖があることや、自分の本はこう読んでほしいというポピュラーサイエンスの読み方を説明している、と水野は紹介した。
「サイエンスフィクションではない、サイエンスだ」:たとえを使う覚悟
水野が「うまい」と評するのが初版のまえがきである。この本はほとんどサイエンスフィクションのように読んでもらいたい、想像力に訴えるように書いたからだ、しかしこの本はサイエンスフィクションではない、サイエンスだ、と続く。さらに、私たちは遺伝子という利己的な分子を盲目的に保存するようプログラムされたロボットの乗り物、生存機械なのだ、この真実に今なお驚き続けており、私の願いの一つは他の人たちを驚かせてみせることだ、という趣旨の文章がある。堀元は、本業は学者でライターの訓練はあまり受けていないはずなのに、なぜこれほど筆がうまいのかと驚いていた。
水野がもう一つ挙げたのは、執筆中に想像上の読者が3人、肩越しに覗き込んでいたという記述だ。一般の読者、専門家、門外漢から専門家へ移行中の学生である。異なる3種類の読者すべてにアピールしようとするのは明らかに危険だが、自分はその危険を十分承知しており、それでもこの試みによる利益は危険を上回るだろう、とドーキンスは書いている。
水野はここから、ドーキンスはポピュラーサイエンスを書くことに罪の意識をきちんと持ったうえで、便益が上回ると判断して書いているのだと読む。「分かりやすい説明」と「正確な説明」はよく二項対立で語られるが、分かりやすく書く人は正確さを欠くリスクを分かっていることが多い、というのが水野の見方だ。つまり、分かりやすい本は理解が浅いからそう書かれているとは限らず、不正確さを承知のうえで、分かってもらうメリットを優先している場合がある。ドーキンスは原稿を周囲の専門家に見せており、本文でも「この話は専門家仲間の誰も完全には同意してくれなかった」という箇所をきちんと明示しているという。たとえについても、このたとえはこの点の理解にぴったりだと説明したうえで、ただしこのたとえでは捉えきれない部分がある、と述べて次のたとえに移る、というスタイルで進んでいくそうだ。
ボート(ヨット)レースのたとえと、ペットを可愛がる理由
水野が「すごくうまい」と感じたのが、遺伝子と個体の関係をボートレースにたとえる箇所である(競艇を想像してしまうとずれるので、何人も乗る船のヨットのほうが分かりやすいと二人は整理した)。コーチは速いチームを作ろうとしているが、実は乗組員一人ひとりが優秀かどうかは見ておらず、船が速くゴールしたかどうかだけで判断する。大量にいる選手をランダムに乗せて競争させることを何度も繰り返すと、強い選手が選抜されていく。その結果、最強の選手をただ集めるのではなく、右利き3人と左利き3人のようにバランスの取れた配分が残ったりする。一人だけ突出して引っ張る選手は選ばれない。ヨットが生物の体、大量の選手が遺伝子プールにあたる。
水野によれば、ドーキンスは進化を「種が優れたものになること」とは捉えていない。海のコンディションやルールが変わったとき、それまで成績を出せていなかった選手がたまたま輝き出すことがある。自然淘汰とは、環境が変わったときにたまたまよいパフォーマンスを出せる遺伝子がその後選ばれ続けることであり、進化とはその小さな変化だ、という趣旨である。選手はただ速く漕ごうとしているだけで、コーチも個々の選手までは見ていない。遺伝子に意思はない、ということもこのたとえで理解できる。水野は、相当考え抜かないとここまでうまくはたとえられないだろうと述べた。
堀元はこのたとえに重ねて、以前別の本で読んだという話を紹介した。ペットをベタベタ可愛がると感染症のリスクが上がるのだから、そういう遺伝子は淘汰されていてもよさそうだ。それでも残っているのは、ペットを可愛がる性質が赤ちゃんを可愛がって育てる性質と密接にリンクしているからで、感染症を避けるためにその部分を失うと子どもも可愛がらなくなってしまう、という説明である。水野はこれを、常にセットで船に乗る双子にたとえ直した。片方はいないほうがいいように見えても、一人だけ取り除くと遅くなる、という関係だ。
水野はこの読書から、事実に基づかない説明(ダーウィンの生年を間違える、言っていないことを言ったとする、など)は論外だとしたうえで、「これはたとえで、こういうリスクもある」と明示しながらたとえるのであれば、分かりやすいが誤解を招きうる説明もそれほど悪いものだとは思わない、と考えたという。著者は責任を自覚し、あとは読者のリテラシーが試される、という形である。
『クリックの0.2秒を科学する』という構想
水野は自著『会話の0.2秒を言語学する』を書く際、こうした翻訳物のポピュラーサイエンスを手本にしたという。そこで水野が、堀元はポピュラーサイエンスを書いてみたいと思わないのかと尋ねると、堀元は「ある」と答え、水野の本を読んで同じ趣旨の本がコンピューターサイエンスでも書けると思った、と明かした。
題材は、Amazonで購入ボタンをクリックしてから購入が確定するまでの約0.2秒に何が起きているか、である。堀元の説明はこうだ。マウスのクリックが電気信号として送られ、パソコンの中で解釈され、パケットになってネットワーク回線を通り、購入の信号としてAmazonのサーバーへ届く。サーバーで解釈され、外部の決済プラットフォームを使っているならそちらへのAPIの呼び出しも走り、決済がOKで戻ってきて、エラーチェックが終わると購入処理が行われ、再びパケットが手元のパソコンに戻って「購入完了」と表示される。このドラマが0.2秒ほどで起きているはずだ、と堀元は話す。コンピューターサイエンスは大きく分けてハードウェア、ソフトウェア、通信の3つで、メモリやアルゴリズムはその下にぶら下がる。クリック一つにその全部が詰まっているので、ゆるコンピュータ科学ラジオで断片的に聞いてきた人にとっては知識が統合される本になる、というのが二人の見立てだ。
タイトルは当初「Amazon購入確定の0.2秒をコンピューター科学する」と長くなりすぎ、水野の提案で「クリックの0.2秒を科学する」に落ち着いた。
構成を時系列で考えると、まずマウスの仕組みから始まる。堀元は、左クリックで回路が一瞬オンになる電気信号ではないかと、自信なさげに推測した。信号がケーブルを伝ってパソコンに届くまではハードウェアの話で、そこからドライバーがそれを解釈する。水野はドライバーの存在を知らなかった。堀元は、昔は新しいマウスを挿すと「ドライバーをインストールしています」と表示されていたが、今は自動で入るのでメッセージすら出ない、と説明している。ドライバーは翻訳者のようなもので、Windowsに「これはクリックだ」と伝え、Windowsにもクリックを処理するプログラムがたくさんある。ただしOSだけで本が1冊書けるので、分厚くしようと思えばいくらでも分厚くなる、と堀元は言う。
水野は自分の本では体系的な理解をさせる意図を捨て、面白い話だけを書いたと振り返った。堀元は水野の本に寄せた書評で「7つの海の浅瀬だけを連れて行ってくれる弾丸ツアーコンダクター」と評したことを紹介し、体系的に理解させようとしない点を褒めたと話す。水野はまた、堀元はアルゴリズムやソフトウェアが好きでハードウェアにはあまり関心がなさそうだが、自分はハードウェアが好きなので、担当編集になれば「ハードウェアのここが面白いから書いてほしい」と言えそうだ、とも述べた。
堀元が好きなクイックソートを入れてはどうかという水野の提案に対し、堀元は「それは自分のエゴなので、本の構成として美しくないからやらない」と答えた。この立て付けなら、ネットワーク上で最短経路を探すダイクストラ法のほうがぴったりはまるという。ルートを考えるのはパケットではなくルーターだと聞いた水野が、ドーキンスに影響されて「パケットはルーターの乗り物だ」と言い出すと、堀元は、パケットには時間内にたどり着かなければ消える「TTL(Time To Live)」がプログラムされていると紹介した。
人間の失敗と、冒頭に置く「引き」
水野が気にしていたのは、自分の本では各章の冒頭に言語的な事実をうまく扱えずにすれ違った事例を置いて「引き」を作ったが、コンピューターの本では人が出てこないのではないか、という点だ。堀元は、コンピューターの本にも人は出てくると応じる。機械はそれほど失敗しないが、人間がケーブルの繋ぎ方を間違える。昔は、ルーターやハブから出ているLANケーブルが繋がっていない状態が正しいのに、掃除の人が「抜けちゃってるわね」と挿したせいでループが起きてルーターが壊れ、会社のネットワークが1日止まる、といった話があったという。最近の機器はかなり対策されているとも付け加えている。
冒頭に何を持ってくるべきかという問いに、水野は「通信が速すぎる」ことだと答えた。海底ケーブルがあることは知っていても、それで往復0.2秒になるとは思えない。会話の0.2秒は片道だったが、クリックは行って戻ってくるので2倍の距離を走っている。5Gの次の6Gが開発中と聞いても、もう十分速いのに何を直すのかと思う。通信がなぜ速いのかが分かれば、そうしたニュースも楽しくなりそうだ、と水野は話した。
Wi-Fiの話では、水野が2.4GHzと5GHzの違いについて「Gのほうが広域だが遅い」と答え、堀元は正しいと認めた。水野が中継器の仕組みも分からないと言うと、堀元はLANとWANの違いを中古車店にたとえた。LANは、その店に来た客が売った車をその店の客にしか売れない状態で、WANは中古車オークションに出して日本中で落札できるようにするイメージだ。中継器は店の中で情報を伝えるのが速い営業マンが一人増えた程度の話で、WANとは関係ない、という説明である。水野はこの説明を魅力的だと評し、堀元は「書きたくなってきた」と乗せられていった。
結論は「ゲリラ戦」かもしれない
水野は、最後に少しでも意外な結論を用意したいと言う。自分の本は、調べ終えたあとに「自分というものは、ある面では異様だ」という感覚にたどり着いた。クリックの0.2秒を調べ上げたら堀元は何を発見するのか、という問いである。
堀元は、まだリサーチしていない段階の見込みとして「ゲリラ戦」という結論になりそうだと答えた。クリック一つ取っても相手はWindowsだったりMacだったりする。統一されていれば戦いやすいのに、企業が独占せず自由に競争しているという人間側の都合で分かれている。だからドライバーという翻訳者を挟み、同じマウスがMacでもWindowsでも動くようにしている。地球上のインターネット接続先は全然足並みが揃っていないのに、互いに翻訳し合った結果、一つのインターネットとしてなんとか効率よく動いている、というのである。水野はそれを、人間側の無茶な都合をコンピューターが「ブルシット・ジョブ」として引き受けている構図だと言い換えた。そして、融通の利かないルールのもとで役所の職員がどんな工夫をしているかを調べれば、コンピューターのたとえに使えるのではないかと提案した。堀元は、千葉県松戸市が設けた「すぐやる課」はまさにOSだと応じ、各地の地名にコンピューターの挙動を割り当てる、という案まで出た。
「シリーズ0.2秒」というフォーマット
話はさらに広がり、「0.2秒を〇〇する」はどんな分野にも使えるフォーマットではないか、という話になる。握手されてから握り返すまでの0.2秒を神経科学する、流れ星が輝き出すまでの0.2秒、ビッグバン直後の0.2秒を宇宙物理学する、花火が開くまでを化学する、一目惚れの0.2秒を心理学する、ひらめきの0.2秒、といった案が次々に出た。水野は医療や薬の話は分かりやすいと言い、堀元は、普段オートでやっていて内部構造を気にしていないが、よく考えると「それが0.2秒なのか」と驚くものが向いているとして、クリックはちょうどいいと述べた。宇宙物理学のように時間スケールの長い分野は、0.2秒にそんな中身は詰まっていないだろうと思わせる点が面白い、という指摘もあった。
堀元は、このシリーズに近いものとして『「次の一手」はどう決まるか——棋士の直感と脳科学』を紹介した。Amazonの説明によれば、盤面を瞬時に把握して先の先まで読んだかのような手を指す棋士の直感を、認知科学と人工知能の研究者、そしてプロ棋士自身の分析から明らかにしようとする本である。二人は、50年後には「シリーズ0.2秒」がブルーバックスのようなシリーズ名になっている可能性もある、と冗談半分に語った。
書くのは面倒、それでも2年かけてほしい
もっとも、堀元は書く作業そのものが面倒で、構想を広げる打ち合わせだけをやりたいと本音を漏らす。水野は、人は「これだけの時間をかけた」というものを評価してくれると話した。自分の本は2年かけたと言ったことで予約が入ったと感じているという(収録は8月上旬で、発売前だった)。そして、堀元にも2年ほどじっくりリサーチして統合したものを出してほしい、35歳までに、と迫った。水野は、自分に本を書くよう勧めた小倉さんから「勉強すればするほど自由に書けなくなる。残された期間はそれほど長くない」と言われて急いだという。堀元も、「コンピューターサイエンスが分かってきたかも」くらいの時期に書かないと、完全に分かってからでは遅い気がすると同意した。
水野は、本の全体像が固まったあとに、たとえのためのリサーチが始まると話す。まったく関係ない分野から事例を集めてパッチワークにしないと、専門家が書いた面白い本には勝てない。リサーチは内容が固まったあとに第2弾が始まる、というのが水野の実感である。これに対して堀元は、数理モデル研究者の江崎先生と飲んだ際、事例のリサーチはClaude Codeで自動化し、寝ている間に1000個出させればいい、という話が出たと紹介した。そのうえで「水野の半年は意味がない」と言っていた、と冗談を足したが、すぐに自分の脚色だと認めている。
刊行時期については、「来年の誕生日」までという話が一度出たものの、1年では原稿が間に合わないということで、2年ほどかけてほしいという水野の希望が残った。堀元は前向きに検討すると答えつつ、読みたい人が一定数集まれば書く、と結んだ。そして最後まで解けなかったのが、マクルーハンのいう「尻の絶対奪格」と「電気ブドウ」のジョークの意味である。二人は、分かる人がいたらぜひ教えてほしいと視聴者に呼びかけて回を締めくくった。
ゆる言語学ラジオ。ゆる言語学ラジオ。はい。本日は久々のインプット奴隷合宿に来ております。久しぶりですね。楽しいっすね。ただ唯一の欠点は、この旅館エアコンないってことなんですけどね。
そうですね。今青森県の酸ヶ湯温泉に来てるんですけれども、その温泉の成分、湧いて出てくるお湯の析出物が多すぎて、配線を通しても大体家電が2年ぐらいで壊れるっておっしゃってましたね。そうです。だからエアコン設置したらとんでもない経費がかかるから無理って言ってましたね。うん。2年に1回買い換えるわけだもんね。しょうがないよな、それは。
はい。まずお酒飲めばなんとかなるような気がしますんで。最高。青森のこの日本酒で乾杯。はい。ああ、うまいね。すごい。あと今日昼飯抜いてるから、もう空きっ腹に直撃してくるわ。入ってくるね、これ。やばいぞ、これ。やばい。
前回の奴隷合宿の時は、お互い意味論を勉強してみましょうということで、2人とも意味論の本を持ってきて読んで、その勉強を共有するという、そういうことだったんですけど、今回はまたテーマを設けまして、それがお互いがエアプしてる古典的名著をちゃんと読もう。いいね。それやる必要あるからね、やっぱね。
はい。ということで堀元さんは何を?これはですね、マーシャル・マクルーハン『メディア論』。ああ、いいですね。僕読んだことないですね。これはね、もうみんなして「メディアはメッセージである」って一節しか知らないくせに使い倒してるから、本当にそうかなと思って、みんなの使い方合ってるかなっていうのを確認するために持ってまいりました。
で、水野さんは。はい。僕はリチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』。超名著だね。ですね。これも皆さん、利己的な遺伝子っていうワードだけとりあえず押さえてると思う。だからあれでしょ?生物は遺伝子の乗り物であるみたいなこと言ったやつだよね。うん。ああ、書いてありますね。それこそ仲良くさせてもらってる鈴木俊貴先生とかの……。はい。鈴木さんと山極先生の、僕が編集した本をやってくださった方とかから「水野さん、さすがに利己的な遺伝子読んどいた方がいいです」。
さすがに。さすがに。ちょっとよくわかんないですけど、さすがにの意味が。現代人ですよね。現代人はね、さすがに読んでた方がいい。さすがに読んでた方がいいって。そんな言い方してないだろ、多分。って言っていたので、ちょっと読んでみるかと思って開いた次第です。まだ2人とも読み終わってはないんですけど。なるほどね。でも途中まで読んで早速すでに発見あるんじゃない?そうですね。なのでちょっとそれを今日はこの後話していこうと思います。
僕のですね、メディア論をもう早くも40ページぐらいちゃんと読みましてですね。40ページ。ページぐらいちゃんと読みましてですね。全体の何分の1だろ。まあ1割は切るんじゃないですかね。あとね、1ページの情報が多いんだ。文字がもうね、ちっちゃいのよ。ああ、ストレス。僕もこんな感じ。ああ、じゃあギチギチですね。さすが。僕の方はちょっと600ページ弱あるんで。すげえな。やば。え、利己的な遺伝子そんな長いんだ。ありますね。へえ。581ページまでページ書いてありますね。
なんかさ、その手の進化系の名著意外と短いみたいな話あってさ、メンデルの遺伝学打ち立てた論文むっちゃ短いんだよね。はい。はい。なんか数ページだよね。そう、そう。数ページしかないみたいな。なんか俺そのイメージでめっちゃ短いと思ってたら、むっちゃ長いな。長いっすね。分厚いんですよ。ドーキンスさんはいっぱい書くタイプなんですね。はい。
こちらのメディア論、僕40ページぐらいちゃんと読みましてですね。もう早速発見がボロボロ出てきてます。すごいね。そんなペースで出てくるなんて、やっぱ名著だけありますね。あのね、1番最初に1番有名な「メディアはメッセージである」が出てくんだよ。うん。で、僕はそれでテンション上がりまして、あ、これよく聞くやつだ、1番有名なやつだってなって。これね、広告業界でない方はピンとこないかもしんないですけど、広告業界にいるとむっちゃ聞くんですよ。ほう。
広告関係の人ってむちゃくちゃ「その広告は何の媒体ですか?」みたいなこと聞くわけですよね。あ、だから電車広告なのか、テレビ広告なのかとかってことですね。そう。電車に出すのか、テレビに出すのかで効果的な広告って違うよね。うん。みたいな意味で、どのメディアに出すかっていうこと自体がもう大きな意味を持っている、みたいなニュアンスでみんな「メディアはメッセージである」って言ってんのよ。代理店の人、実際に「メディアはメッセージである」って言うんですか?言ってる人見たことあるよ。へえ。IT系の広告スタートアップの人とかがそれ言ってんの見たことある。あ、そうですか。
うん。だから、はいはいあれねと、聞いたことあるフレーズだと思って中読んだらですね、全然違うこと書いてありまして。何?そういう話じゃないです、これ。そのパターンですね。ありますね、そのパターンは。これエアプでさ、「メディアはメッセージである」って言われるとさ、その解釈出やすいじゃん。うん。テレビに出すのか、それとも電車に出すのかみたいなのが大事だよっていう意味っぽいから、みんな多分そうやってそこだけ見て誤解しちゃってんだけど、もっとでかい話でした。ここに書いてあったの。ふーん。
まずそもそもここでマクルーハンが言ってる「メッセージ」っていう言葉の意味がめっちゃ広くて。はあ。「メッセージは、それが人間の世界に導入するスケール、ペース、パターンの変化にほかならない」。スケール、ペース、パターンの変化。うん。これ大胆に意訳しますと、人の行動様式をガラっと変容させること。うん。これがメッセージだと言ってるわけですね。だからめちゃくちゃよくできた広告ってそうだよね。もうみんながそれ買いたくなる。
「そうだ 京都、行こう。」って言われて京都行こうって思うやつね。そういうことですね。はい。あのコピー見て京都行った人がそんなに多いのか知らんけど、名コピーとは言われてますけど。名コピーですよね。JR SKISKIのね、あれ見てスキー行きたくなるとかね。そう、いい広告ってそういうことだと思うんですけど、だから劇的に人々の行動を変容させるみたいなのがここで言うメッセージ。うん。
で、じゃあ劇的に行動を変容させるものって何かって言ったら、それはメディアであると。うん。このメディアそのものが人々の行動を変容させるのだ。これちょっと抽象的なんですけど、例を出すと一発で分かるんですよ。はい。例えば電気とそれによる照明。うん。これ人々の行動をめちゃくちゃ変容させてますよね。はい。夜でも光をつけられるようになったから夜型の人が増えました。うん。これすごい力でしょうと。電気による照明ってやばいんですよって言ってるのが「メディアはメッセージである」ですね。
ん、じゃあ照明ってメディアなの?そう。メディアの定義も出てきまして。はい。「人間の結合と行動の尺度と形態を形成し統制するのがメディアにほかならない」。え。人間社会を引っ張るリーダーみたいなのがメディアだと、というようなことを言ってます。はあはあ。じゃあスマホも、あ、スマホはまあメディアっぽいか。そう、スマホもメディアだし。照明がメディアなのやばいな。やばいよな。列車とかもメディアだよ。ああ、そうか、そうか。人の行動を劇的に変容させると。
でもその定義だとさ、堀元さんが昔YouTubeにあげてた叫んで宣伝のPrograMOVIEとかはさ、抜けてなくなっちゃうけど大丈夫なんすか?あれは。あれだって行動変容しないもんね。人々の形態を統制しないもんな。「動画で学べるプログラミング、PrograMOVIE、お願いします」。公園で僕が叫び続けるっていうね。画期的な宣伝手法を開発しましたけど、あれで登録した人0人ですから、あれメディアじゃないです。ええ。マクルーハン急に残酷すぎないですか?そうなのよ。当時のマクルーハンからすると僕の存在はメディアじゃないと。
ただね、この本1960年代の本なんで古くなっちゃってますね。ああ、その叫んで宣伝の良さが全然分かってないんだ。あれ僕がやったの多分2017年とかだから、やっぱね、50年前のことなんでケアできてなかっただけですね。そこが残念なとこ。うん。埃まみれの古臭い理論ですよね。そうそう。いくらメディア論の大家とはいえ、やっぱ僕という才能は予想できなかった。そういうことですよね。うん。そこはちょっと漏れてますね。あ、止めてもらっていいですか?え、俺そういう才能だと思われてんの?ぬるっと言っちゃったけど、叫んで宣伝、本当にそんな画期的なもんだと思ってます?え、僕は感動しました。あれでちょっとこの人に会ってみたいと思いましたね。
だからもっと劇的なことを言ってて、メディアっていうものと内容ってものは分けて考えなきゃいけないと。でもよく考えたら、堀元さんが叫んで宣伝をやった時期、PrograMOVIEの認知度は上がらなかったけど、ゆる言語学ラジオを始めて堀元さんがバズった。あ、そうか。PrograMOVIEも覚えてるから確かに。遅れてメディアになってました。あれそうか。遅効性のメディア。普通それって煽りがないメディアみたいな、普通の遅効性のメディアみたいなね。じゃなくて、ちゃうちゃうちゃう。後からバズって黒歴史として発掘されるっていう、そういう遅効性のメディアもありますよね。そういうメディアもあるんだ。それはちょっと論じれてなかったですね、マクルーハンさんがね。あ、うん。なんかバカですね。
あ、でもね、その後でホットなメディアとクールなメディアっていう話もあって。あ、なるほど。気になりますね、それも。すごいざっくり言うと、ホットなメディアがもう情報の洪水をみんなに浴びせかける。ふんふん。で、クールなメディアってのがもうちょっと余白が多くてみんなが参加できる、みたいなイメージだったから、叫んでる時はクールなメディアだったんですよ。叫んでるからそいつに話しかけたりできるじゃん。でもその後に僕がYouTubeで喋りまくるっていうホットなメディアになることによって花開いた。は。ホット向きだったのかもしれない、あの宣伝方法は。そっか。
だからマクルーハンのやつ読む時も、やっぱその堀元チャンネルとかを想定しながら読むと良さそうですね。俺マクルーハンの話したいからさ、俺の黒歴史の話持ち出すのやめてくんない?黒歴史。マクルーハンの話したいんですよ。村で「押すなよ押すなよ」って言って熱いお湯に押されて「熱っ」とかって言ってる、あのダチョウ倶楽部のしょうもない真似したやつとかね。その話をやめてほしいですよ。それホットでもクールでもないっす。メディアじゃないっす、それは。あ、違うんすか?あれ何でもないっすね。人々の行動変容しなかったな。分かりました。
そう、だからマクルーハンの言いたいことって結構過激で。うん。メディアと内容を分けて考えなきゃいけないよと。はあはあ。新聞っていうもの自体が持つパワーってのがすごくて、そこに書いてある内容ってのはまた別の話だよと。あ、なるほど。で、多分ここでマクルーハンが言いたいのって、メディアというものがいかにして世界を変えてくるかっていうことを喋りたくて、内容にあんまり興味を払ってないんですよ。
なんかそれってさ、ちょっと前に流行ったビッグヒストリー、人類の歴史を見た時に、このテクノロジーができたことで人はこういう風に変わりました、火の発明によって消化を体の中ではなく外注した、みたいななんかそういう話。うん。そう。あ、だからまさにそうだよ。メディア論ってサブタイトルが「人間の拡張の諸相」なんですよ。はあ。だから文明史っぽいような。そうね。メディアというものがいかにして人間を拡張していくかっていうことが描きたいテーマだから、狭い広告みたいな話って多分ほぼ出てこないですね、この本に。
ですよね。電車広告を出すかテレビ広告を出すかみたいなのって、すごい狭義の話というか。そうそう、そういうことになりますね。っていう話よりは、もうスマホというものが普及することによって我々は何を考えるようになったか、みたいなのを描き出したい本ですね、これ。うん。だからこれでもう今後エアプしてるやつ見つけたら、もう次々言えるなっていう。あ、マクルーハンが言いたいのはそういうことじゃないっすよって。どの媒体に出すかが大事みたいな話じゃないからねって。メディアというそのものが人を変えたという、それが大きなテーマですからねって言いますね。
ああ、じゃあ今度YouTubeじゃなくて蛍光灯に出稿してみるとかどうですかっていうとかですか?例えば。でも確かにそうだわ。蛍光灯ね。光ってやっぱでかいメディアですから。しかもね、それマクルーハンが警鐘を鳴らしてるんだよね。ほうほう。蛍光灯に出稿することですか?そう。蛍光灯に広告を出稿することをマクルーハンはね、検討してます。え。そう読める一節がありまして。そう読める一節があるんですか?広告代理店の人間よ、蛍光灯に出稿するのだ、みたいな。そう、そう、そう。そういうこと言ってますよ、マクルーハン。あ、そうなんですか。
え、9ページにですね、「電気の光は、それに内容がないがゆえに、コミュニケーションのメディアとして注意されることがない」と。あれ?うん。言ってる。だからそう。注意しろとお前ら。蛍光灯って実はメディアだから、それを関係ないもんだって思うんじゃないよということを言ってます。え、蛍光灯出稿派じゃない?それ。注意を払えって言ってんだから、注意払った結果、あ、広告あるわってなるわけだから。そう。マクルーハンは蛍光灯に出稿することを推奨しています。
だから次、堀元さんが蛍光灯に出稿したとしたら、マクルーハンって入れられますね。そうだよ。マクルーハンも推薦する驚きの広告戦略を実行、みたいなこと言えますからね。インタビューとかでもね、いや、これマクルーハンにインスピレーション受けたんですよ、とか言える。そう、そう。だから広告界の革命児として出られるよね。誰も発想しなかった蛍光灯広告の生みの親みたいな。だから実はその叫んで宣伝は布石だったんだよね。そうそうそう。マクルーハンを読む前の堀元さんの革新的な広告で、読んだ後は蛍光灯に出稿。そう。マクルーハンもこう言ってますからっていうのをね、言えるようになりましたね。これはでかい進歩。
水野さん、蛍光灯に出稿って何すか?どういうことですか?蛍光灯に広告を出稿するって。蛍光灯に出稿するってことじゃないですか?いや、だからそれ何?具体的に何すんの?え、でもこうさ、電灯を照らしたら壁にPrograMOVIEってこう書かれるような感じの照明。プロジェクターみたいなね。あ、そうそう。プロジェクターみたいに、その光るところの上に文字が出るように影をこう作って。うんうん。いや、でもね、それだとね、内容になっちゃってんだよな。結局マクルーハンは、ネオン広告とかでさ、光が出るとみんな光に注目するんだけど、でもそうじゃないんだよと。ネオンとかで文字にする以前の、そもそもこの光っていうものがメディアなんだよってことを言ってるから、投影しちゃってると、そのネオンまで行っちゃってるから、マクルーハンの言いたかったことじゃないっすね。
だからマクルーハンが本当に言いたかった出稿方法、何?だから、僕らの会社、株式会社ペダンティックに100万円払わないと、今後あなたは蛍光灯が使えなくなります。あ。こういうことですよ。そう。生活で使うか使わないかっていう、この光によって生活の変容が起きたっていうのが光というメディアの本質だから。うん。だから俺たちに金を払わないと今後電気使えなくなるぞっていう、これです。
あれ、じゃあパナソニックとか、その蛍光灯メーカー、東芝とか、ああいうところって実はマクルーハンが言ってることを実践してると。そうそうそう。俺らに金払わないとつかないよっていう。そう。だから実はエジソンが1番でかいメディア、人類のメディアを作り上げたと言えるんじゃないかみたいなことが書いてあったね。はあ、だから出稿するとかそういう話じゃねえってことか。そうそう。だから出稿するとしたらそういうことだよね。その会社のイメージを上げるために、その会社に忠誠を誓わないと光を使えなくする。これが最強の広告術。マクルーハンが説く。そう、マクルーハンが教えてくれた最強の広告術。あ、これ新書1冊書けますね。うん。
マクルーハンが教えてくれた最強の広告術。多分ね、そんなこと書いてないと思います。僕読んでないんだけど。あ、で、僕読んだんすけど、書いてなかったです。あ、読んだんだけど書いてなかったんだ。書いてなかったです。あ、そうなんですか。そう読める一節があるとか言っちゃいましたけど、読めないっすね。
え、じゃあ例えばさ、『世界を変えた12の時計』っていう本とかあるんですよ。ああ、ありますね。とか世界を動かした薬とかさ。うん。面白い。テーマ×世界みたいな本あるじゃん。あれ全部さ、マクルーハンのところの、薬がメディアだって言ってる本。そう。時計も薬もメディアですよ。はあ。そういうでかい話だね、これ。だからさ、世界を大きく動かした〇〇っていうテーマで出されてる本とかって、本当の書名は実は「薬ってメディアですよ」「時計ってメディアですよ」っていうことだよね、マクルーハンに言わせると。はあ。そうだね。だから全部のタイトル書き換えられるよ。「時計はメディアだ」とか、「薬はメディアだ」とか、メディアだシリーズっていうのでいっぱい出せますね。うん。読もうと思わないっす。そう、意味わかんないしね、本屋で見ても。
でも、まあ分かりました。そのマクルーハンが何を言いたいか。そう、そう。で、なんかね、椅子もメディアらしいんだよね。はい。椅子も。まあでもそっか。座る椅子もチェアなのかカウチなのか、ソファーなのかによって、座らせるやつのスタンスが異なる。あ、はいはいはい。ここで典型的にはチェアを使わせるのは編集者だと。はあ。だからイメージ、漫画の持ち込みに来た人に、その編集者が「じゃあ椅子座って」っていう、みたいな感じですかね。で、カウチ、ソファーを使うのは精神分析医。ほう。だから精神分析医はお客さんをソファーってゆったりしたものに座らせることによって、出来事に合理的な解釈を加える必要がないんだよという意図を表明している。ほう。みたいなことを言ってますね。
はあ。だからもうその椅子自体がその人の行動を変容させるから、それはメディアであろう、みたいなことだと思う、ここで書かれてるのは。なんかちょっとアフォーダンスの話にもなんか近づいてく。あ、似てるかもしれないね。そうだね。こういう風に座っちゃうと、人ってこういう喋り方しやすくなるよねっていう。うん。環境との相互作用みたいなね。
でね、ここで書かれてるチェアとカウチの違いについての説明がね、すごい分かりやすいから皆さんに紹介しておきたいんですけど。はい。「人間の拡張として見れば、チェアは専門家風に臀部を奪い取ったもの、言うならば尻の絶対奪格であるのに対して」。はい。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。らしいっすよ。そう、勉強になるよね。もう1回ごめんなさい。え、人間の拡張として見れば。うん。そこまで分かるよ。チェアは。はい。専門家風に臀部を奪い取ったもの。え、ですよ。衝撃。チェアって専門家風に臀部を奪い取ったものなのって。え。すごい勉強になるよな。臀部ハンター。そうですよ。尻をこうちぎって持っていく。え。そういうことですね。尻子玉を抜いていくんでしょうね。
ちょ、でもその専門家風に臀部を奪い取るものはさ、一読してもわかんないじゃない?うん。だからなんか言い換えてほしい。あ、そうですね。言うならば、尻の絶対奪格なんだって。はい。やっぱ言うならばね。言い換えたら分かりやすくなったね。尻の絶対奪格。言うならばって分かりやすくしてもらわないと困るんですよ、僕は。より難しくなってる。誰が絶対奪格知ってんだ。あ、でもごめんなさい。あのね、括弧で注意書きもあります。訳注ですね。はい。絶対奪格。「ラテン語文法の用語。独立構文。文中で他の要素と文法的に関係せず、孤立的に用いられて、時、原因、付帯状況などを表す奪格」って解説されてます。これ、絶対奪格の解説だけしてあります。あ、そうだな。あ、ラテン語の。絶対奪格が分かった。なんかラテン語の知識が分かった、これで。うん。何の例えだか分からない。
なんで尻の絶対奪格なのかはわからない。そうだね。専門家風に臀部を奪い取るものなのもわからんし。そうっすよ。言うならば尻の絶対奪格ですよね。うん。あれ、ここ難しすぎない?失敗例か。すごいよ。思ったことないもんね、チェア見て尻の絶対奪格だなって。てかマジで、その専門家風に尻を奪い取ると絶対奪格の結びつきもわからんし。わからんね。構文なんでしょ?独立して使われてて原因とかを表す格で、あれなんですよ。日本語に直すと「から」とか。はいはいはい。英語だったらfromとか。自分の家から、みたいなことですかね。あ、そうですね。家から出るとか、堀元さんから財産を奪われるとか、こういう時の「から」とかもだった。あ、なるほど。だから奪格っていうのかな。そうなのかな。うん。
だから絶対奪格のイメージはついたんですよ。多分その文の中で名詞を奪格に変えて、それがその原因を表したりできるよっていうことなんだと思うんですけど、そっから繋がってこんと思います。うん。だから椅子はやっぱりね、専門家風に臀部を奪い取ったものだし、言うなれば尻の絶対奪格。そう。俺がラテン語をちゃんと勉強できてないだけで、堀田先生とかが聞いたら、ああ、はいはいみたいな。確かに尻って絶対奪格だなってなるかな。なんか知らんけど脳内再生はされましたね。堀田先生の元気な声で。優しそうな声でね。「はあ、確かに尻の絶対奪格ですね」。言わないよ、多分。多分堀田先生も「わかんないっすね」って言うと思う。ならんか。意味わからんもん。ここ難しいな。
なんかね、だからマクルーハン結構冗談も言うのよ。うん。これふざけてる可能性もあって。でもなんかマジで難しいこと言って、俺が分からないだけの可能性もあって、2択が結構読めないね。そう。これどっちだっていうのはね、結構怖いっすね。確かにね。解けてない可能性あるもんね。そうなのよ。なんかね、一応明らかにボケてるなって分かるところもあって、テレビを見ていたネズミが突然その家の飼い猫に勝負を挑んだみたいな小話が書かれてたりして。ジェリーがね。はい。多分ネズミが見て影響されたんだと思うんだけど、そういうのは書いてるじゃん。うん。それはありがたいんですけどね。「チェアは専門家風に臀部を奪い取ったもの」はどっちかわかんないんだよな。これ教えて欲しいです、皆さんに。
これってその調子で結構、え、どういうことっていうのは頻発してる?それともここだけ?いや、これの数ページ前に、こんなようなものはあったりはしますよね。はい。「若者たちの大好きなジョーク」って言って紹介してくれたんです、ジョークを。あ、いいじゃん、いいじゃん。「紫色をしてブーンと唸るものなーんだ」。うーん。答えは電気ブドウ。はい。「なぜブーンと唸るかといえば、言葉を知らないから」。っていうのが紹介されてますけど、まあこれは非常に分かりやすいっすよね。ここは分かりやすいかな。あんまないっすね、分かりづらいの。分かりづらかったよ。めっちゃびっくりした。
これ何?全員なんか決めてない?すごくない?これ。何かを。めっちゃ難しいな、これ。なんかマクルーハンの癖として、1個意味不明なこと言った後に、被せてもう1個意味不明なこと言うっていう手癖がある。そうだ。これ芸風なんだ、多分。1個言って「はあ?」って言われて、もう1個わかんないこと言うっていう、そういうボケ方ですよね。うん。普通は「はあ?」ってなった後に分かりやすく直して、なるほどそういうことかって思わせるもんだけど。やっぱ電気ブドウ、言葉を知らないから。何が何をしないからなんだよ。何もわかんねえよ。これ難しいよね。ね。
でも「若者たちの大好きなジョーク」って言って紹介されてるから、もしかしたら英語圏の人はこれよく聞いてるのかもしれないね。確かに。今リスナーの方で、いやいや、それおもろいですよっていう方がいるなら教えてください、ぜひ。とにかくこんな感じでね、結構主張自体は多分面白くて、「メディアはメッセージである」ってそういう意味だったんだとかはありつつ、ここわからんなっていうくだりはむっちゃあります。なるほどね。なんか全体的にね、レトリックうまいから。あ、うまいんだ。楽しい。うまくなかった。あ、違う、下手なとこ恣意的に持ってきちゃうんだ。あ、じゃあチェリーピッキングしただけで。あ、そう、そう、そう。いや、面白いっすよ。全体としてはね、はーんって言わせること結構ありますよ。
なんかね、めっちゃインターネット時代の今効いてくる文章とかあって。ちなみにごめんなさい、そもそも書かれたのは初版何年?1962年とかじゃないかな?62年か。ああ、じゃあ60年近く前ですよ。うん。で、だからそんな時代、テレビとかが普及してきたなみたいなのを見て書いてんのよ、この本。そう。だいぶ前ですね。そう。なんかね、インターネット時代を予言してるなっていう感じの記述がいっぱいあって。ほほほ。「我々の世界は劇的逆転によって圧縮されてしまった」。ほ。「地球は電気のために縮小して、もはや村以外の何者でもなくなってしまった。電気のスピードがあらゆる社会的および政治的作用を一緒にして結合してしまうために、人間の責任の自覚を極度に高めてしまった」。インターネットすぎん?
え、ちょっとでもなんか抽象的であんま分かんなかったから、もうちょっと詳しく。なんか要は、むちゃくちゃ情報がさ、早く大量にやってくるようになったわけじゃない。はい。で、今までは地球の裏側のことってあんま関係ないなって思ってたけど、それが大量の情報によって自分ごとの感覚が広がっちゃって、地球全体の出来事が目に入ってくるようになった、みたいな話ですね、多分。あ、なるほどね。だから全然自分とは関係ないような遠いところで起きてる出来事に心痛めちゃったりとか、怒ったりとか、そういうことが。そう。未だかつてないぐらい世界中が村になっているっていう指摘とかをしていて、なんかインターネットだなってずっと思いながら読みましたね。
そうですね。テレビの時よりもさらに加速しましたよね。そう、だから俺らってさ、インターネット以後にこの感覚が生まれたのかなって思いがちなんだけど、マクルーハン曰く、もうテレビでかなりそれ来てるよ、すでに、っていうことだったっぽいっすね。確かにテレビの前って新聞じゃない?多分ニュースって、新聞は結局翌日になるまでわかんないから。うん。そうだね。その日にあった事件とかさ、例えば。わかんないけれども。しかもあれだね。新聞だと絵が浮かんでこないから、言うたらブラジルでこんな悲惨な出来事がありましたって言われてもピンとこないかもね。そうだね。でもそれがテレビになったらさ、速報みたいのが入ったりするかもしれないし、ニュースの時間帯も朝も夜もあったりして早くなりますもんね。
そう、そう、そう。あ、そう。それも多分ホットなメディアとクールなメディアの特徴なんですよ。新聞はクールなメディアだから、こっちで想像の余地を膨らませるしかないんだけど、ホットなメディアはもうこっちの想像の余地とかなく、脳に直接情報をめちゃくちゃ流し込まれるみたいなイメージ。なるほどね。で、今はもうTikTokとかTwitterの動画とかまでも結構ね。そう。だから今こそ読みたいものかもしれない。確かに。よりマクルーハンの指摘が効いてきている時代な気もしましたね。あ、いいタイミングで読んでますね。そう。これだから面白いよ。難しいけどおもろいんで、皆さんもぜひ電気ブドウのとことかね、読んでいただきたいですね。そこはもうちょっと読み飛ばしたいですね。ちょっと手の付けようがなかったからな。うん。
じゃあ水野さんはどうでしょう?はい。まずこの『利己的な遺伝子』、僕の手元にあるものは40周年記念版っていうやつなんですね。うん。なるほど。増補されてたりするのかな?そうですね。増補されていてですね。本の構成をちょっと順に話していきますね。「30周年記念版に寄せて」っていうのがあるんですよ。続いてこれが終わると第2版の前書き。はい。ああ、長めですね。色々ね。ってのがあって、それを読み終わると初版に寄せられた序文。じゃあ早く本題入ってくれねえかな。がありまして、それが終わると初版の前書き。あのさ、あのさ。まあまあでも、前書き来たね。しょうがないね。はいはい。そうですね。38ページ読み終わってようやく初めて第1章。すごいな。っていう。まあでも名著ってそうだよね。そうですね。それほど版を重ねているっていうことですからね。
うん。だからさ、俺『7つの習慣』かなんかがさ、最初の80ページぐらいそれだったイメージあって。前書きってこと?うん。そう。なんか「日本語版刊行に寄せて」みたいなとか。ああ、はいはい。なんか「30周年第4版に寄せて」みたいなとか、あと著名人の推薦文とかもいっぱい入ってて、全然話に入んねえじゃんって思った記憶あるけど。これもね、読み終わった後も、40周年記念版の後書きの後に補注があって、その後に初版書評集があって。あ、やっぱそうなんだ。で、初版への訳者あとがき、第2版への訳者あとがき、30周年記念版の訳者あとがき、40周年記念版の訳者あとがき、訳者補注。でもね、それ嬉しいっす。俺、訳者あとがき読むの好きだから、全部収録してくれてて嬉しい。
そうですね。で、冒頭ですね、「30周年記念版に寄せて」で何を書いてるかって言うと、もう1人歩きしちゃってるじゃん、と。お。ちょっとうんざりしてる、というか。ほう。え、ドーキンスの利己的な遺伝子っていう概念とかが1人歩きしてるって話。そうです、そうです。っていうようなことを嘆くと。はい。書いていて。あ、ちなみにね、マクルーハンも1人歩きしちゃってるじゃんっていうのを嫌がって書いてたんで、名著あるあるかもしんないね。うん。そうかもしんないですね。名著の、ある意味で条件なのかもしれなくて。
ドーキンスが書いてるのは、編集者から提案されたタイトルはこんなタイトルだったんだけど僕は断ったと。でもこっちの方が良かったのかもしんないな、こんなに誤解されるぐらいならって。利己的っていうのは、ちょっとキャッチーすぎるっていう感じかな。はい。確か編集者からは『不滅の遺伝子』。はあはあ。を提案されたのかな。うん。まあ利己的なの方が面白いな。そっちの方が売れそう。そうですね。でも利己的って言うと、遺伝子に性格があるとかね。そうだね。そのように捉えられると。誤解されちゃうんだね。
はい。だから著者のドーキンスはひたすら、何かを擬人化するって功罪があるよとか。ははは。それから、僕の本はこういう風に読んでくれないと困るよっていう、ポピュラーサイエンスの功罪みたいなことを。ふーん。喋っているんですよね。だから雑に解釈して使うなよみたいな話ですかね。そうですね。初版の前書きがね、もううまいんですよね。うん。「この本はほぼサイエンスフィクションのように読んでもらいたい。イマジネーションに訴えるように書いたからだ。しかしこの本はサイエンスフィクションではない。サイエンスだ」。うん。かっけえ。「私たちは遺伝子という名の利己的な分子を闇雲に保存するべくプログラムされたロボットの乗り物、生存機械なのだ」。おもろいね。「この真実に私は今なおただ驚き続けている」。はあ。「何年も前からこのことを知っていたが、到底それに完全に慣れてしまいそうにない。私の願いの1つは、他の人たちをなんとかして驚かせてみせることだ」。うん。やるな、ドーキンス。え、筆うますぎない?うまい。あれ学者だよね、本業。ええ。ライターの訓練とかあんま受けてないはずだよね。なんでそんなうまいんだろ。筆すご。
その後もね、僕が言い回しすごいなって思ったのは、「この本を書いてる時、想像上の読者が3人、私の肩越しに覗き込んでいた」。ドラマチックすぎるね。って言って、1人目は一般的な読者、2人目は専門家、3人目は門外漢から専門家へ移行中の学生であると。なるほど。「異なる3種類の読者全てにアピールしようとすることは明らかに危険である」。うん。「私に言えるのは、私がその危険を重々承知していることと、それでもこの試みによる利益はその危険をはるかに上回るだろうということだけだ」。あ、だから書いた方がいいと。はい。つまりドーキンス自身はポピュラーサイエンスを書く時に、罪の意識をきっちり持った上で、便益が上回るから書いてるって言ってるんですよね。みんなから誤解されるリスクはあるんだけど、それでもこうやって面白がって知ってもらうことに意味があると。そう、っていうことを書いていて。かっこいい。
よくさ、分かりやすく説明することと正確に説明することって二項対立のように語られて、どっちが良いのかっていうこととかが議論されてますけど、分かりやすく書く人って、実際はドーキンスみたいに正確に書かないことのリスクって分かってると思うんですね。うん。つまり分かりやすく書いた本ってのは、正確な理解をしてないからそう書いているとも限らなくて、不正確性がある上で、分かってもらうことのメリットが大きいから書いているケースってあると思うんですよ。わかる。本当はそうじゃないけど、まあ大体こういう話だからよかろうみたいなことね。そうですね。
あの、ドーキンスは他にも、自分が書いた原稿をかなり周囲の専門家に見せたみたいなんですけど、本の中でも「今からする話は、私の周りの専門家に原稿を見せた時に誰も頑なに同意してくれなかったことだ」とか書いてくれてるんですよね。専門家仲間も同意してくれてない部分があるんだ。そしてその部分をきっちり明示しているんですよね。ああ、そうか、そうか。だからここはあんま正確じゃないですよっていうのを分かるようにしてくれてんだ。はい。そうですね。
そしてあと彼は、さっき言ったように例えに対する罪悪感みたいなのを持っていて、何かを擬人化するっていうことが一般的な読者に誤解を招きやすいこととか。うんうん。例え難しいですからね、やっぱね。でも尻の絶対奪格ぐらいいい例えを出してほしいですよね、ちゃんとみんなには。誤解生まないから。そしたらドーキンスさんね、そんな外さない。例えめっちゃうまいんで。じゃあ、あのマクルーハンを例え外すやつだと扱うのやめて。下ネタと一緒にしないで。ちょっとうまい、うまい。多分意味あるんだよ、尻の絶対奪格。意味あると思いますよ。
この人はいずれにせよ、例える時に、この例えはこういうことを理解するのにはぴったりだと、まず説明した後に、ただしこの例えでは捉えきれない部分があるって言って、また次の例えを使ってそこを説明しようとしたりとか。うん。良いサイエンスものだね。そういうスタイルで進んでるんですよね。
で、利己的な遺伝子を勧められた時に、その勧めてくれた人に言われたのは、水野さんだったらすぐ読み切っちゃいますよって言われたの。それね、半分嘘で、本文がだって460ページ。長いね。全部で13章とかあるんで。すぐは終わらんだろう。全然すぐは終わらないんですけど、ただ一流のポピュラーサイエンス本なので、難しくて止まるみたいなことは確かにあんまりないかもしれない。はあ、そうか、そうか。分かりやすく書いてくれてるから。分かりやすく書いてくれてるから。
はい。例えば堀元さんって、利己的な遺伝子ってどれぐらい理解できてます?なんかよくブルーバックスとか読んでると、ドーキンスが引かれてるから、なんとなくイメージはあるよ。遺伝子って結局、自分が後世に残ることだけが大事だから、その個体としての幸福度みたいなのって関係ないわけですよね。遺伝子がひたすら生き残るっていうので進化の競争って説明できるよね、みたいな話だな。うん。そうすると利他行動とかって何で起きるんですか?だから利他行動も、究極的には自分の遺伝子を残すために役立つからじゃないですか?あ、うん。理解として合ってますね。あ、よかった、よかった。
なんかこのドーキンスの例えで、すごい僕うまいなと思ったのが、これはボートレースなんだと。うん。は。で、ボートってさ、先頭に乗っている人とか、後ろの方に乗って指示を出すとかさ、そういう風に役割がありますよね。僕、ボートレースって言われたせいで競艇場のイメージしかなくて、バーンって走っちゃってたから、全然言ってること違うなってなっちゃいました。ヨットの方がいいか。はいはい。そうだね。ヨットですね。そう。何人も乗る船に人が乗って、他のヨットと競争すると。うん。早くゴールした方を、優秀な乗組員が乗ってると評価するね。コーチがね。
で、強いチームをコーチは作ろうとしているのに、そのコーチはメンバー1人1人が優秀かどうか実は見ていないと。単にヨットが早く着いているかどうかってのだけを見て判断すると。で、そうすると、例えばそのヨットレースに出場する選手は大量にいて、ランダムに乗っけてとにかく競争させると。で、それを何度も繰り返して強い選手を選抜していくと、例えば右利きの選手が3人、左利きの選手が3人みたいに、ただ最強の選手をドカッと集めるというよりは、ちゃんとバランスの取れたような配分になっていたりだとか、そしてもちろん1人だけめちゃくちゃ足を引っ張る選手みたいなのは選抜されないですよね。で、ここで言うヨットってのは人体だと。はいはいはい。生物の体で、大量にいる選手ってのがそれぞれ遺伝子、つまり遺伝子プールだと。
うん。なんかさ、俺が聞いたことあるやつで言うとさ、人間がペットをベタベタ可愛がるのって、あれ進化的に不合理だと。ほう。それって、ペットをベタベタ可愛がると感染症リスクとか増えるじゃない。ああ、はい。そんな可愛がりたい遺伝子って進化の過程で淘汰されてるはずなんじゃないかっていう疑問に対する答えは、本当にそうで、ベタベタするのは生存にマイナスなんだけど、このペットをベタベタするっていうものって、赤ちゃんを可愛いから可愛がって育てるっていう遺伝子と密接にリンクしてるから、ほぼ同じなんだ。それって「可愛いうちの子」っていうのと「うちのワンちゃん可愛い」っていうのと一緒だから、仮に感染症を避けようと思ってその遺伝子部分を失うと、子供も可愛がんなくなっちゃって繁栄してないと。だから我々は不利ながらペットを可愛がるようになってるんだ。なるほど。みたいな説明を、なんかの本で読んだことがあって。うん。
これまさに分かりやすいですよね。船のレースに常に一緒に出てる漕ぎ手みたいな感じでしょ。赤ちゃん育てるのとペット可愛がるのって。
うんうんうん。
で、そいつは双子で常にセットみたいな。
ああ、で2人で船に乗ると連携がうまく取れて速く進むっていう。
そうそう。で、実はこの双子の片方っていない方がいいんじゃねみたいな話なんだけど、そいつだけを取り除くことはできないみたいな。
そうですね。とか、そいつだけ取り除いて片方だけでレースに出ると、それは弱いと。で、それをこう何百回も試行すると、どうやらこの2人が同時に乗ってる時には速そうだっていうことを、意思を持たずにそういう結論にたどり着く。
で、ここで言う、だから何百回もヨットレースをするってのは、生物でいうところの何世代にもわたって環境の中で生きることだと。
だからドーキンスは、進化っていうのは種が優れたものになるとか強いものになるっていうことではなくて、ある日、例えばヨットレースをしてる海のコンディションが変わったりとか、例えばルールが変わるとか、そういうことが起きた時に、たまたまランダムな試行の中で、その前までは全然成績を出せてなかった選手が突然輝き出すみたいなことがあると。で、これが自然なのだと。
だから自然淘汰って、急に環境が変わった時にたまたまその時にいいパフォーマンスを出せる遺伝子がいて、そいつがその後急に選ばれ続けるようになることってのが進化だと。
そうね。
だから進化ってのは、私の感覚だと優れたものになるっていうわけではなくて、自然淘汰から自然淘汰へスムーズに乗り換える時に起こるちょっとしたマイナーチェンジなのだってことを言っているんですよね。
この辺りとかヨットの例えでばっちり理解できるじゃないですか。遺伝子ってなるほど確かにそのように振る舞っているし、さっきの例えで言うと、確かに選手っていう風に人格化してしまっていますけど、選手自身はただ速く漕ごうとしかしてないんですよね。
はい。はい。
つまり生き残ろうとしかしていなくて、で、それを見ているコーチは選手それぞれ1人1人までは見てないと。ヨットが速いかどうかだけを見ているっていう意味でも、遺伝子には別に意思とかないんだよってことは今の例えで理解はできるから、すげえ上手だなって。
うん。相当考え抜かないとこんなうまく例えられないんじゃないかってことを思いましたね。
大元の話に戻りますけど、間違ってて分かりやすい説明と、正確だけど分かりにくい説明。これもよく二項対立で議論されたりしますけど、例えば「チャールズ・ダーウィンは11世紀に生まれた」、これとかも明らかに事実に反してるじゃないですか。これはもう論外だと思うんですよね。同様に、例えば「マクルーハンはこんなことを言った」って言って、ファクトチェックしたら言ってない。これもダメだと思うんです。
うん。ただ間違えてるだけだね。
はい。だからファクトに全く基づいてないものはもちろん除外するべきだと思うんですけど、僕はこの『利己的な遺伝子』読んだ時に、例えですよって、で、例えってのはこういうリスクもはらみますよって言いながら例えるんだったら良くないかって思ってるんですよね。つまり著者は責任に自覚的で、あとは読者のリテラシーが試されるっていう形でちゃんと明示してるんだったら、僕はそんなに、分かりやすいけど誤解を招く説明ってあまり悪いものだと思えないみたいなこと考えたんですよね。
そうですね。だからやっぱどんどんやってこう。
例えば勇気を持って。
どんな例えを?
「ブーンと唸る紫のものってなんだ?電気武」みたいな例えでもねえからそいつ。あ、ごめんなさい。ごめんなさい。やっぱね、尻の絶対奪格ですね。
尻の絶対奪格のこと言えたらね、いいですよね。要はだって何かと接触してたらその部位の絶対奪格って言えるんだもんね。
多分。
だからコップは唇の絶対奪格ってことですよね。
うん。多分そうですね。そうそうそうそう。専門家風に唇を奪っているわけですよね。
え、これ唇奪われてんの?専門家風にキスしてんの?
そう、キスの専門家に唇奪われてんの。
え、コップって?
コップって多分。
そうだったの?
多分。だから「コップ@キスの専門家」がTwitterアカウントあるでしょうね、こいつ。
変なナンパ師みたいな。
そう、そう。キスのやり方を教えてますっていう。
ひどいな。
本当に気持ちのいいキスの仕方みたいな情報商材売ってるでしょ。9800円で。
でコップなの?それ。
著者はコップ。あ、だから分かった。題名が『コップが教える本当に気持ちのいいキス』だ。これ売れますよ。
飲み物入れておきましょうとか言って、リンゴジュースを入れておきましょうとか言って。
コップ目線だな。役立たんな。いや、あの本めっちゃ売れた『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』だからいけると思うんすよ。『コップが教える本当に気持ちのいいキス』。これも10万いけますね。
あ、そうですか。じゃ、作ってみてください。
まあ、そんな風に僕は『利己的な遺伝子』読んで、あ、これだわと、ポピュラーサイエンスのお手本ってこういうことだなって思ったわけですけど、僕が自分の単著『会話の0.2秒を言語学する』を書いた時に、やっぱ参考にした、模範にしたのってこういう翻訳物のポピュラーサイエンスみたいなものなんですね。その難しい理論を説明するためにこんな例を使ってみて、そしたら直感的に理解できるだろうっていう。
誰にでも分かりやすく書いてくれたねっていう本ね。
はい。そういう風なものを意識したんですけど、堀元さんって今まで書いた本ってあんまりそういう文とかそういう内容じゃなかったじゃないですか。
うん。そうですね。
ポピュラーサイエンスみたいなの書いてみたいってのはないんですか?
いや、あるある。
あるんだ。
え、てか、だから水野さんの本読んで、俺あれ、これ同じ趣旨のやつ俺も書けるなってなったの。
え、その堀元さんから見た『会話の0.2秒を言語学する』の……
違う違う。あ、すごいね。換骨奪胎下手すぎるな。何にも骨変えれてないっすよね。ちょっと書き足しただけです。
いや、違います、違います。じゃなくて、コンピューターサイエンスも同じやつできるからさ、Amazonでショッピングカートに物入れて購入クリックをした後の0.2秒で購入確定するわけですけど、あの間に何が起きているのかっていうやつ書けるなとは思いました。
え、読みたいな。
これ結構いいトピックだと思うのよ。
あれ、その切り口いいな。
これ面白くない?だってまずクリックするじゃん。マウスから無線で飛ばされて、で、それがWindowsに解釈されて、みたいな。この電気信号からOSになって。
うん。それはディスプレイに行く?
ディスプレイには行かないね。で、パソコンの中でそれが解釈されて、今度はパケットになってネットワーク回線を通る。
え、マウスのその動きが?
そう、あの購入クリックっていうのがインターネット回線に、今買うよっていうポストの信号として、投稿の信号として送られて。
はあはあはあ。
それがAmazonのサーバーに行って、そのサーバーの中でまたその電気信号が解釈されて。
はんはん。
で、さらに決済処理も走るな。もしだから外部で決済やってるとしたら、決済プラットフォームへのAPIの信号みたいなのも飛んで。
うん。うん。
で、決済がオッケーって戻ってきたら、そのAmazonのサーバーに戻ってきて、で、Amazonのサーバーで全てのエラーチェックが終わったら購入処理が行われて、で、自分のパソコンにまたパケットが戻ってきて「購入完了です」っていうのが表示されるっていう劇的なドラマが、あれ0.2秒ぐらいで全然起きてると思うから。
うん。起きてると思います。おもろいな、その切り口。
これ書けるなって思った。
あれ、その切り口いいな。
そう。だからこれ次作の構想をちょっと水野さんの本読みながら膨らませましたよ。
え、僕のあの本って1個貫いてあるのは、その0.2秒間に言語学者が調べてきたことって結構詰まってますよっていう話でしたけど。
そうそうそう。Amazonの商品を購入する瞬間って、コンピューターサイエンスの重大な要素が詰まってる。だからそのクリックするっていうのってハードウェアだから。
はいはい。
このクリックどうやって処理すんだいみたいなのは、ハードウェア、ソフトウェア、通信が全部詰まってますね。
あれ、でもアルゴリズムとかは?
あ、だからそれソフトウェア。
あ、ソフトウェアの下にアルゴリズムがあってな。ちょっとほら、俺コンピューターサイエンス概観させてないからね。わけわからない断片ばっかり水野さんに詰め込んでるから。
うん。見取り図が来てない。
あ、それさ、これだから概観できますよ。この本書いたら。
ゆるコンピューター科学ラジオを見てる、コンピューターサイエンスをやってない人にとってはめっちゃ有益な本じゃないか。
うん。そうだと思う。統合される。今までやってきたことが。
しかもその話してない内容とかもかなりあるわけだよね。コンピューターサイエンスの中のさ、五大王道みたいな。ま、5じゃなくてもいいんだけど。
うん。だからざっくり3つですよ。このソフトウェア、ハードウェア、通信。
あ、この3つなんだ。ああ。で、この下に僕が習ったメモリとかアルゴリズムとかがぶら下がってる。
ぶら下がってる。そう。
はあ。
で、それ全部入ってるよ。この中に。Amazonで購入ボタン押して確定するまで。ここに全て詰まってるから、『0.2秒をコンピューター科学する』。結構できますよ。
ちょっと読みたいな。え、『Amazon購入の0.2秒をコンピューター科学する』ですね。書名はこれでバカ売れです。
あれ、なんかリズムも悪いな。なんかもちゃもちゃして。
『Amazonの購入確定の0.2秒をコンピューター科学』。悪いね。
誰も書名覚えられないな。あれ?どうすればいいんだろう?え、でも違うよ。違う、違う。
あ、違う。
『クリックの0.2秒を科学する』とかで。
ああ、いい。ああ、すごい。さすが敏腕編集者。
さすが。1万2000部予約入れるやつ違うわ。
いじってる。
完全にいじってる。
いや、でも本当にそれいける。
『クリックの0.2秒』。ま、ちょっと「コンピューター科学する」は「言語学する」に比べてちょっと長いけどね。ま、「情報工学する」とかでもいいし。
ああ、確かに。情報……
『クリックの0.2秒を情報工学する』か。うん。ま、ちょっと語呂悪いな。
うーん。ちょっと、タイトルはもう最高ですけど。
「科学する」でいい気がするよ。
うん。うん。うん。
全然成立してる気するから。
「科学する」でいい気がするな。確かに『クリックの0.2秒を科学する』。あ、なんか読みたいもん。
めっちゃいいタイトルだな。うん。
あれ、いけますわ。これ。
で、いい表紙にしましょう。あのめっちゃかっこいいイラスト。
ちょっと、自分の成功例を周りに広めようとするのダサいっす。すごいかっこ悪い。
あ、でも全然使用料とかかかんないから。
でもね、水野さんが編集してもいいですからね、これね。
ああ、でも予定あります。
まだ動き出してないから、その言い訳使えないんですよ。
そう。ちょっと、締め切り当日が予定で。
違う、違う。本書くのに対してその言い訳使えないから。イベントとかじゃないと使えないです、それ。
そっか。ああ。え、でも俺それ読者として読みたいかもしんないな。
ね、これいい本になりそうだよね。
ちょっと僕、編集の手を動かすことはめんどくさいんでしないですけれども。あ、ちょっと待って。俺編集者だからそんなこと言っちゃダメだ。
本当だ。仕事失いそう。
めんどくさいからやらないですけども。
いつもめんどくさいなって思いながら編集してる。
全く。いや、もう瑞々しい原稿いただいてもう……
嘘つけ。
ちょっと構成とかさ、考えてみたいな。クリックをして、それを時系列順に書くとしたらどういう構成になるんですか?
まずマウスの仕組みだよね。マウスの原理がどうなってるかって話から始まる。
ああ。
おそらくあれ、スイッチみたいなことだと思うんですよ。
えっと、左クリックのカチが。
そう、カチって押すと電源オンオフみたいなところが繋がって、回路が一瞬オンになるから、そういう電気信号だと思う。ちょっと知らないけど。
マウスのコードで、そのオンになったよっていう電気信号がケーブルを伝ってパソコンに入ってくから。
はい。はい。
それで今度はパソコンがそれを処理する。
ハードウェアになるか、じゃあ。
そうね。ハードウェアから今だんだんソフトウェアに繋がってきている。
パソコン、マウスはハードウェア。
マウスはハードウェア。
で、それがパソコンに行くわけだよね。
そう。で、この電気信号が伝わってるみたいな間はずっとハードウェア。これただの電気だから。
そうだね。で、このパソコンに電気信号入ってくるんだけど、それをドライバーとかが解釈して。
あ、知らないキャラ出てきた。ドライバー。
え、ドライバー知らん?
知らん。
昔さ、パソコンに新しいマウスとかUSBで刺すとさ、「ドライバーをインストールしています」って右下に出てたの知らない?
いや、わかんないな。
あ、気づいてないのか水野さん。そう、最近はね、そのドライバーインストールとか手動でやることほぼなくなって、メッセージすら出てこなくなって勝手に内側でやってくれるようになったんだけど、あれだから感謝しなさい。
新しいマウス買ってきたら刺すでしょ。で、いきなり使えるでしょ。
うん。はいはい。
あれ刺した段階で勝手にWindowsとかが気を利かせて、あ、今新しいドライバー使うな、こいつって言って入れてくれたりしてんのよ。
へえ。あ、そうなんだ。
そのおかげで使えてるから。
多分俺、そのドライバーってやつタスクマネージャーで見たら終了させますよ。うん。なんだこいつ、変なの動いてて邪魔やなって。
で、マウス動かなくなるって。いや、そう、そう、そう。
その0と1がやってきて、それを解釈するやつみたいなのもいて。
だから翻訳さん、ドライバーは。
そうだね、みたいなイメージですね。で、その解釈するやつがさらにWindowsに情報送って、これクリックだから、クリックってことでよろしくって教えてくれてるわけですよ。
うん。なるほどね。
で、WindowsはWindowsでも、そのクリックを処理するためのプログラムっていっぱいあって。
はあ。
クリックされたらこうなろうみたいなものがいっぱいあるから、問題なくクリックが動くわけですよね。
あれ、なんかさ、俺のあの本250ページ以下とかで済ましたけど、なんかもっとかかりそうやな。
うん。もっとかかると思う。
この話全部出てきてるから。
だからWindowsが解釈するって部分、もう全部OSだから。
うん。あと、OSのことも書かなきゃいけないのか。
そう。OSって、ま、ソフトウェアの一分野なんだけど、このOSだけで本1冊全然書けるから。だから、めちゃくちゃ分厚くしようと思ったら分厚くなると思うよ、これ。
はあ。僕もさ、あの本書く時って実は体系的な理解をしてもらおうっていう意図は捨てたんですよ。
うん。
面白い話だけをちゃんと書こうってしたんですね。
分かる。そう。あの、それが素晴らしいなと思って、俺あの本の書評頼まれたからそうやって書いたよ。
はい。あ、本当。
水野さんの本の1番素晴らしいところは、七つの海の浅瀬だけを連れて行ってくれる、七つの海浅瀬弾丸ツアーコンダクターだ、みたいなこと書いた。
へえ。あ、嬉しいですね。
そう。いや、あれだから素晴らしいよね。体系的な理解をさせてくれなくてありがとうって書いてある。
ああ、嬉しい。
そう、そう、そう。
え、嬉しい。
いや、だからあんた腕ありますよ、そこ。適切に浅瀬を遊ばせてくれて。
だから堀元さんの本でやるとしても、ちょっとそこは気をつけたい。で、堀元さんはアルゴリズムの話は超好きなのはもう僕分かったんですよ。ハードウェアの話はあんま好きじゃなさそうっていう。ソフトウェアの方が好きだよね。
そう、そうなんですよ。
で、僕ハードウェア超好きだから。
うん。
僕がもし担当編集になったら、いや、ハードウェアのこの部分面白いから書いてくださいよって言えるような気はしますけどね。
あ、そうだよね。なんかさ、ゆるコンピューター科学ラジオやってて思うけどさ、堀元さんソフトウェア好きでさ、俺ハードウェア好きだよね。
割とそうかもしんないね。水野さん結構ね、素材の話とかにテンション上がってるから。おもろいわ、マジかっていう。木とか紙ってメモリになるんやって。
そうだね。それに喜び覚えてましたね。
うん。てかさ、ソフトウェアってさ、ハードウェアがなきゃ動かないわけでしょ。
まあ、そうだね。
うん。て考えると、ハードウェアの方が偉いなって思っちゃうけどね。
そうだね。ソフトウェアって確かにめちゃくちゃ近代的なもの。ハードウェアありきだもんね。
僕はあの本って、あ、ここ面白いって思った感動を極力瑞々しく再現するっていうことを狙って、それを知らなかった自分に1番伝わるようにそれを書いたという感じだったんですけど、堀元さんがもしそのコンピューターサイエンスの本を真正面から書くとしたら、何については絶対触れたいとかあるんですか?
ああ。
まずあれじゃない?あのクイックソート。それは堀元さんすごい好きですけどね。
あ、でもクイックソートの話とか入らんね、この建て付けだと。
そっか、そっか。
あ、いや、ま、入らなくもないのか。Amazon側のサーバーの挙動とかの中で出てくる気はすると思うから。
え、じゃなくて、あれだと思うよ。アルゴリズムっていうのを説明する時に、僕が最も感動したアルゴリズムで分かってもらえると思うかなっていう風にはできると思うんで。
いや、でも本の構成として美しくないから、それエゴなんでやらないっすね。
あ、そうなんだ。
そう、クイックソートの話したいみたいなのって俺のエゴだから。それよりもっとドンピシャではまるアルゴリズムの話しやすいから。この建て付けだとあれができるんですよ。ダイクストラのアルゴリズム。
はいはいはい。
うん。最短経路探索。
そう。これネットワークのどこ通ると1番早いかなみたいなのを考える時に使ってるから。
ああ、なるほど。だから0.2秒の間で最短ルートを出す時にダイクストラ法を使っていると。
うん。クリックした俺んちのパソコンからAmazonのサーバーまで、1番近そうなルート、良さそうなルートはこの辺だなって言って送り出すのにそれ使ってるから。
うん。え、それって誰が考えてんの?パケットは考えないでしょ、そんなこと。
うん。ルーターが考えるかな。
あ、ルーターがそれをやってんだ。
そう。
だからパケットはルーターの乗り物ってことですよね。
ちょっと、ドーキンスの影響受けすぎじゃないですか?
で、パケットは利己的に振る舞うんだけど、それはパケットがそうなんじゃなくて、ルーターがプログラムしてるんだよね。
あ、でもね、パケットね、利己的じゃないんすよ。
え、面白い。パケットの挙動って利他?
ちょ、ちょ、ちょ。おもろいやん。お前話おもろいやん。どうした?パケットって自殺すんの?
え、あの、タイムトゥリブっていう、この時間経ってもたどり着いてなかったら死にますっていうのがプログラムされていて。
え。
すごいよ。だから毒薬を抱えて走ってるっていう。
ええ。『会話の0.2秒を言語学する』って結局人がやってることだから、僕あの本の構成、各章冒頭に、この言語的な事実ってのをうまく使えなかったせいで困った事例みたいなのを毎回雑学として持ってくことで引きを作ったんですけど、コンピューターサイエンスでそれ書こうとした時って、人がま、出てこないわけじゃないですか。
だからそこ難しいなって思ったけど、今の話とかは、ちょっと例えたら不謹慎かもしれないけど、なんか引きつけられますね。
うん。そうだね。
パケットは自殺する機能を備えているとか言ったら、レミングっぽさあるじゃん。
うん。うん。
あの集団自殺すると言われていた、崖に飛び込んでいくんでしたっけ。
ね。ま、でも結局レミングってあれ自殺じゃないらしいですけどね。
集団じゃないらしいすよ、あれ。
ふん。
だから「パケットとは、一般に誤解されていた方のレミングである」とか言えるよね。いい例ですよね、これね。マクルーハンに引きずられて下手になってる。
あ、そうか。尻の絶対奪格に引きずられちゃってる。尻の絶対奪格に。
そう。うん。引きずられて戻ってるよ。
それは。
俺の例え能力も今奪われてる。専門家的に奪われるかもしれない。
だからマクルーハンって実は、例え能力の絶対奪格なんすよ。『メディア論』。
そうなんだ。
これ読むことによってみんなの例えの力が……
そうそうそう、専門家に怒られるよ。マクルーハン財団とかに怒られるで。
確かに。気をつけますね。
あ、でもね、今聞いて思ったけど、人出てくるんすよ。コンピューターサイエンスの本書くのにも。
本当に。
うん。例えば水野さんの『0.2秒を言語学』って、ポップな失敗が面白いわけじゃん。
はい。はい。
コンピューターもそうで、機械はそんなに失敗しないけど、人間がケーブル繋ぐの失敗したりするから。よくあるので言うと、社内ネットワークでむちゃくちゃなケーブルの繋ぎ方してルーターが壊れるとか。
はあは。
そういう話あるから。
え、ケーブルの繋ぎ方をミスるとルーターって壊れんの?
壊れるんすよ。
へえ。
これ、ま、最近のやつは結構ちゃんと対策されてるけど、昔はよくあって。
はいはい。
ルーターとかハブから出ているこのLANケーブルが繋がってない状態が正しいんだけど、掃除のおばちゃんが見てプラーンってしてるから、「なんか抜けちゃってるわね。刺しといてあげよ」って刺したせいで壊れたって話聞いて。
ごめん。でも俺もそれ気を利かしちゃうかもしんないわ。わかんないもん、そんなこと。
「なんか抜けちゃってるわね」つってね。水野さんも刺すでしょうね。で、むちゃくちゃ大損害です、会社が。
ああ。
会社のネットワークが1日止まるとか、そういうこと起こります。
あ、そういうの確かに、インシデントの事例とか集めたら……
めっちゃ人っぽいじゃん、これって。
読ませられます。そうですよ。
そうね。なんか、また話発散しちゃいますけど、最終的にちょっとだけでも意外な結論を用意してあげたいんですよね。その、全部調べた後に自分はこんなことを発見しましたってのを読者に共有したいっていうのがあった時に、どうなるんだろうね。
これどうなるんだろうね。
なんか僕の場合は結構、社会構築的な話とかさ、人とか自分に関する理解が深まったって話になったけど。
最終的にそうだったよね。自分というもの異様だな、みたいな話でしたよね。
そうそう。ある面において異常だと感じたっていうこと書きましたけど、クリックの0.2秒調べ上げたら、何にどういう風に堀元さんが変わるんだろうね。
まあ、まだわかんないですけど、おそらく、これが0.2秒でできているパソコンって異様だなっていう結論、ある面では異様だなっていう、それになるでしょうね。
ド陳腐。びっくりした。ドちんちんのド陳腐。それは。
ドちんちんのド陳腐って言うんだ。むっちゃ陳腐なこと。
うん。びっくりした。でもあなたはさ、その何かを調べ上げた時にさ、その著者とか研究者とかが言ってないインサイトを引き出す能力ってすごい高いわけじゃない。
あ、ありがとうございます。
だから、なんか一定の執筆期間を設けてきっちり調べて納得のいくもの書いたら、絶対何か主張したいこと出てくるよね。
ありそう。
それをね、読者読みたいと思うよ。
はい。はい。でもね、多分、今リサーチしてないけど、出てきそうなこととかで言うと、「ゲリラ戦である」とかになりそう。
うん。ほう。え、何が?
いや、なんかつなぎ合わせだから、もうみんなまちまちなこと思ってる、バラッバラなこと考えてる奴らが、全然うまいことまとまってないのに総体として戦えているみたいな。
え、そうなの?
うん。ゲリラ戦であるみたいな感じになりそう。
え、クリックの0.2秒って、協力したらもっと早くなるってこと?みんなが。
そう。なんかさ、クリックとか1つ取ってもさ、相手がWindowsだったりMacだったりするわけよ。
うん。
で、それ統合しといてくれた方がさ、兵士としては戦いやすいわけよ。マウスとしては。同じ挙動すればいいから。
あ、そっか。そっか、そっか。なるほど。
でもなんかその分分かれちゃってるわけよ。WindowsだったりMacだったり。
で、それは人間の都合ですよね。その、一企業が独占せずに自由に競争してるっていう人間側の都合ですよね。
だからそれ困るじゃない?
うん。
でも困るんだけど、じゃあWindows用のマウスとMac用のマウスとかいちいち作ってたら大変だから、翻訳者、ドライバーみたいなやつ噛ませて。
はあ。
Mac用のドライバーとWindows用のドライバーが別であるから、ま、同じマウス使えるよね。
ま、だからプレステのコントローラーをNintendo Switchには転用できないですけど、マウスに関して言えばMacでもWindowsでも動きますもんね。確かにそれ言われたら偉いな。
だからそれってさ、本当だったら、規格化された戦争だったら、OSなんて統一されてあるべきなのよ。
ああ、つまり独占をすると悪くなるっていう人間の本性に従って、パソコンが割を食ってると。
うん。そういうこと。
おもろい。
なのに、WindowsかMacかは一例で、みんながその足並み揃えてくれたらめっちゃ効率いいのになっていうのが、全く足並み揃ってないわけよ。
うん。
地球上全てだから、インターネット接続されてる先って。
うん。
だから、なんかこの国のここやだなとか、そういうのがいっぱいあって全然不揃いなんだけど、なんかうまいことみんなで翻訳し合った結果、共同でなんとなく1個のインターネットとして効率よく動いてるってすごくない?
なんか聞いてて思ったんですけど、それって要は人間側が無茶な分とも言えるわけですよね。
そうだね。
で、その割を食ってコンピューターがブルシットジョブをしてるわけじゃない。
そうそう。
だから例えば『ブルシット・ジョブ』みたいなの読んでみるとか、あと僕思ったのは、役所とか、杓子定規なルール運用を職員たちがどういう工夫をしてるかみたいなこととか調べると、実はコンピューターと例えられそう、接続しそうとか思ったんで。
ありそう。役所とか言いたいもんね。
そうね。そうね。いや、もっとなんか具体的なのを入れたいな。その、東京都三市役所みたいな感じ。そういうさ、そういうことじゃない。市役所だと意外性ないけど、もう1個具体的に言えば。
あれさ、どうだっけ?日本のどっかの役所で「すぐやる課」を設立した場所あったよね。うわ、どうだっけ?ちょっとググるか。千葉の松戸市ですね。
ええ、え。
松戸市が「すぐやる課」設立したんだけど、すぐやる課めっちゃOSだから。
あ、そうなの。え、松戸市?あそこ。
ま、あれ松戸ですよ。Windowsで松戸っす。
分かった。堀元さん、コンピューターのその1個1個の挙動を日本とか世界の地名1個ずつに割り当てて、とコンピューターサイエンスを結びつけて、その0.2秒じるみたいにして。
あ、面白いね。
面白い。ちょっとWindows松戸はちょっとさ、松戸市に焦点合わせすぎだな。もっと有名な都市に合わせてあげたいな。Windowsは小さくない?松戸。
え、そのカリフォルニアぐらい。
そうそう。カリフォルニアとかならいいんだけどね。
いや、でもカリフォルニアより松戸の方が面白い。
Windowsは松戸。
え、それって来年の誕生日までには刊行みたいな感じですか?
あ、無理っす。無理。全然間に合わないっすね。ちょっと無理っすね。
え、あとちょっと向こう1年、僕仕事のスケジュール埋まってるんで、ちょっと書籍執筆はちょっと先ということで。
打ち合わせしましょう。今ね、広げるの楽しくない?この。
楽しい。
え、楽しい?え、そうだからこれが一番楽しいんだよ。構想広げとくから、誰か書いといていただければ。ちょっと僕やりたくないんで。
え、でも僕は堀元さんの著作を全て発売日には買って読んでるファンですけど、それが読みたいです、僕は。そういうファンはいっぱいいますよ。
うん。めんどくさいね。ちょっと、めんどくさいなって思いながらいつも書いてるから、あんま書きたくないんですよね。
めんどくさい。え、めんどくさい。
あなたがめんどくさいなって思いながら編集してるのと同じように、僕がめんどくさいなって思いながら書いてるから。
え、肩書き何でしたっけ?
作家。
うん。うん。うん。うん。今言ったね。作家。
うん。そう。仕事のね。だからそれ、めんどくさいなって。僕はね、堂々と言いますよ。水野さんはその仕事なくなるかもしれないから編集めんどくさいって言えないって言ってましたけど、僕は堂々と言いますよ。めんどくさいっす。書くのめっちゃめんどくさい。やりたくないっすね。
YouTubeの作るのもめんどくさいのよ。動画ももうめちゃくちゃめんどくさくて、台本とかもう作りたくないっすね。何にもやりたくない。
えっと、だからやりたいのは、打ち合わせで構想広げるとか。
そう、そう、そう。ここだけやりたい。ここだけ俺やっとくから、全部みんなやってほしいです、代わりに。
いや、いや、俺あなたの手で書かれたもの読みたいんですよね。
これ難しいよね。やっぱ汗かいた方がいいものになるんだけど、汗かきたくないっていう。
そう。なんか僕も今回の本書いて、思いのほか売れたわけじゃない。売れたっていうか、ちょっとまだ収録時点では、これ今8月頭なんで発売してないですけど、予約が入った。
なんか人って、そのこのぐらいの時間かけましたっていうものに評価をしてくれる。
ま、それはあるでしょうね。水野さんが丸2年かけて書いたって言うから、みんなどうしても読みたいってなったんだね。
そう分かったんで、なんか堀元さんも、ま、2年とかかけてじっくりリサーチをして統合したものを世に出してほしいなって思いますけどね。35まで。
ええ、なんでお前が締め切り切るんだよ。
え、なんで?35歳まで。
ま、でもちょうどいいか、締め切り。
僕、小倉さんっていうね、その僕のあの本をけしかけた人に言われたんですけど、勉強すればするほど自由に書けなくなるよって。
それはあるよな。
君に残されてる期間ってそんな長くないよって言われたから、僕急いだんですよ。
めちゃくちゃそう。
はいはい。
もう35とか40になったら、もういや違うけどなとか、ああいう説があるけどなとか、しがらみができたりする可能性あるから。
分別ついちゃわないうちにね、これ書いた方がいいかもしれないね。
そう。コンピューターサイエンス俺分かってきたかも、ぐらいの時に書かないと。
うん。
完全に分かったって時に書こうと思ったらもう遅い気がするけどね。
やるか。
しかもさ、各街に例えるとさ、読書しながら旅行してる感覚とかな。
それ面白いよな。だから、だから、だから全然建て付け変えてもいいよね。街で分かるコンピューターサイエンスみたいな。
そうね。ちょっとタイトル強くしたいよね。うん。
いや、でもね、パッと見はやっぱ0.2秒って数字とか面白いかな。
このフォーマットすごいぜ。何でもできるじゃん、この0.2秒シリーズ。脳科学、神経科学みたいな人だったら、握手されてからの反応を、握り返すまでの0.2秒を科学するとかできそう。
確かにな。あれなんでもできるぞ、これ。
なんかフォーマットか、あれ。
うん。これシリーズ0.2秒出せますよ、いっぱい。
シリーズ0.2秒っていいもんね。いい。
なんか読みたいもんね。
え、全部読みたいかも。シリーズ0.2秒。
ないっすけど、そんなもん。今んとこ1冊しかないけど。
本当ない。
ないっす。ないっす。ないけど。でも確かにあったら俺買っちゃうかもね。ちなみに1番読みたいシリーズ0.2秒、何の0.2秒かな?
ああ、なんだろう。なんか多分医療とかはめっちゃ分かりやすいと思うんですよね。薬を飲むとか。
あ、そうだね。
で、会話って結構絶妙だったよね。その、ちょうどいいね。
だからオートでやってることじゃないとダメかもね。オートで内部構造気にしてなくて、でもよく考えたら、え、それ0.2秒なのって。
だからやっぱクリックはすごいちょうどいいな。
ちょうどいいね。
うん。
え、あとロマンチックなので言うと、あれじゃない?『流星がきらめくまでの0.2秒を宇宙物理学する』みたいな。
あ、だから光が届くまでに時間がかかってる的な。
ってよりは、ま、きらめき出すまで、みたいな。その成層圏に入って燃え始めて輝くまでの0.2秒とか。
ああ。ああ。そういうの。それロマンチックよ。あとかあれだよ。あのビッグバンの最初の、『宇宙の始まりの0.2秒を宇宙物理学する』。
ああ、宇宙物理学は確かにあれか。だから時間のスケールが長い学問だから、それ0.2秒って言われると、0.2秒に宇宙物理学のそんな粋が詰まってないやろって思うもんね。
これいいっすよ。
ああ、確かにね。僕思ったのは、なんかあの花火が上がって開くまでの瞬間を科学するとか。
あ、あるあるある。できるわ。化学の本書けますね。炎色反応だしね、花火って。
ちょっとよくわかんないけど、できそう。その論点のすり替えはちょっとやめてほしいんだけど。
すっごい譲歩だったけどね、今。
うん。なんかロマンチックなやついいかもしんないですね。
シンプルにその一目惚れとかでもいいもんね。
ああ、いけるね。一目惚れの……
『一目惚れの0.2秒を心理学する』。
いけるね。え、お前いいフォーマット作ったの?え、これやばい仕事じゃない?実は。
これ待って。ちょっと商標取ってきます。ちょっと急いで。0.2秒。
確かに。なんでグルみたいな取り方なんだよ。
多分商標って、あの種目をつけないと。
0.2秒ってフレーズで、別に本で取ったらいけるかもね。
『一目惚れの0.2秒を心理学する』。あれ読みたいな。誰に書いてほしい?
全然わかんないな、それ確かに。ちょっと誰が書いたらいいのかわかんないか。そうだね。恋愛の研究めっちゃ面白い人みたいな。
あれですよね。キスの専門家ですよね。
コップ。
「コップ@キスの専門家」。
あ、そういうことか。
出てきちゃった。著者コップ。
「一目惚れとはまぶたの絶対奪格だ」って奥付に書きましょうか。
何を言ってるんだ、ずっと。これマジで50年後にブルーバックスみたいなシリーズ名になってる可能性あるよ。
ああ、そのレベル。0.2秒。
すごい。あ、めっちゃいいじゃん。新潮社0.2秒みたいな。
あれ、なんか取られとるな、その。俺編集者なのに。
あれ本当だ。自分の、俺で作るべきだった。あ、ダメでしたね、これ。
あ、でも払ってもらえばいいか。
まあ、まあ、そうだね。水野さんの発明としていつまでも。これめっちゃいい発明だよな。
確かにね。ひらめきとかも知りたいもんね。ひらめくって何なのかとか。
あ、知りたい。何の学問かもよくわかんないけど。
脳科学なのかな。なんかこれやると脳科学にいろんなもの寄せすぎるかも。
一目惚れもちょっと脳科学もあるもんな。
うん。そうだ。俺ね、そのシリーズ0.2秒っぽいタイトルのやつ1個知っていて。これですね。『「次の一手」はどう決まるか 棋士の直感と脳科学』。
すげえ面白い。そうか。将棋の棋士さんが一瞬で考えてるもんね、あれ。
そう、そう、そう。Amazonの説明読み上げますと、「盤面の状況を瞬時に把握し、先の先まで読んだかのような手を指す棋士たち。その背景にある人知の直感的なメカニズムとはどのようなものだろうか。認知科学と人工知能の研究者による脳科学、認知科学研究……」
面白い。
「そしてプロ棋士自身によるコンピューターと人の対局分析を通じて、次の一手を生み出す思考の不思議を明らかに」。
めちゃくちゃ面白いじゃん。
だからこれは0.2秒シリーズっぽいようなこと書いてますよね。
そうだね。『次の一手の0.2秒を脳科学する』みたいな感じだったよね。
あ、そうだね。そうだね。プロ棋士の1手って……あの、でもなんかうまくなんか長くなるね。その0.2秒の前って長くしちゃいけないんだけど。
これ長くなっちゃう。そういうルールあるんですか?レギュレーションいつ決まったんすか?それ。0.2秒の前で長くしちゃいけないっていう。
いや、なんかなんだっけ?さっきあの、Amazonの、『Amazonの購入確定ボタンクリックの0.2秒をコンピューター科学する』です。
もっちゃもちゃ。覚えられね。
覚えられない。あの本屋に行って書名聞いた時にもう全部間違う。なんかのTwitterの投稿した時の一瞬を、あのなんか調べてるみたいな本何でしたっけ、みたいな。
そうだな。それであの司書さんのアーカイブにまとめられる。
まとめられますよ。
ちょっとさ、堀元さんの新著の話に戻してさ、シリーズ0.2秒って、構成を論理的に正しい構成にできないというか、僕の方そうしてないんですよ。
あ、はい。分かるよ。ちゃんと網羅的に物を話したりとかすると面白くなくなっちゃうから。雑学みたいなのいっぱいボコボコ放り込んだりしないといけない。
あ、そういう意味もありますし、そもそもその章立てとして時系列になってないんですよね、僕の本って。
ああ。あれ、そうだっけ?
うん。僕の本って語用論、統語論、意味論って順番ですけど、でも人間って単語の意味が分かって、その後に文法的な繋がりが分かって、そして文の意味が出た後に語用論的な推論してるから、全然順番的には合ってないんですよね。
だから今、堀元さんがさっき挙げてくれた構成だと時系列順にしてたけど、人が面白って思うキャッチーなやつを頭に持ってこなきゃいけないんですよ。
そう。あ、でもさ、それ水野さんの方もそうなってたけど、鉄板のやつはなんか1番問題っぽいやつをまずドーン。
あ、そうそうそうそう。で、それ掘ってみたら、なんかここだけだと説明できないなってなって、あ、じゃあこの手前もやればいいんだみたいなことをやっていく、ミステリーハンター方式ですよね。
そうですね。読者が僕の調べ物を追体験してるような感覚で書くっていうことですけど、え、その意味で言うと冒頭って何持ってくるべきなんだろうっていうこと。
でしょうね。ま、それ逆に水野さんに聞きたいけどね。何が1番気になるんだろう。
やっぱり通信が早すぎるじゃないかな。
ああ。
その、俺が1から、文明ないところからね、作れって言われて、0.2秒以下までもってくって想定しがたい。
うん。
ま、そうだね。早すぎる、いくらなんでも。
だって知識としてなんか海底ケーブルってやつがあるとか、なんかそういうこととかもちろん知ってるんだけど、じゃあ海底ケーブル引いたら0.2秒とかになるのかって言われたら、ならない気がするから、真っ先に読者が知りたいのはそこかもね。
うんうん。そうだね。なぜこんなに通信は早いのか。
はい。
から分かれば、0.2秒の謎解けそうな感じするよな。
会話の場合はさ、喋り終わって向こうが口開くまでが0.2秒ってなってたけど、コンピューターの場合って行って戻ってきてるでしょ。
そう。
だから2倍かかってるわけだよね。行きと帰りの往復で、あの速度出てるわけじゃん。
めっちゃ早い。
あ、そうそう。だからニュース見てて、5Gの次の6Gがもう開発進んでるみたいな。
あ、すごいよね、あれ。
話聞いて。
毎年のようになんか新しいやつ生み出されてるもんな。
そうそう。もう十分早いから、何をその直せることがあるのって思ったんですけど。そう、だからその通信がなんでそんな早いのかってのを知ったら、5Gとか6Gのニュースとかも楽しくなりそうだから。
なると思う。
知りたいなって思いますね。
おそらくみんながさ、よくわからないまま使い続けてるであろう、あのWi-Fiのさ、2.4Gと5G。あのルーターの名前が「A」で終わってるやつと「G」……
で終わってるやつか。そう。なんとかGとなんとかAのやつもみんな雰囲気で使い分けてると思うんだよ。うん。あれ何が違うかわかってます?Gは広域なのに遅い?え、あってる、あってる。え、すご。4じゃないじゃん。もうそれで生きてるだけでだいぶ上位1割ぐらいのリテラシーあっちゃった。みんな雰囲気で使ってるから。
え、聞いてるか、バカども。[笑い]調子乗るの早いな。え、だいぶ調子に乗るの。炎色反応わかってなかったですけどね。炎色反応。ちょっとそれ漢字もね、ちょっとよくわかんないし。なんでだよ。炎の色の反応だよ。
あ、だからあの、あれもわかんないんですよね。あの、中継器。うん。その、それが何やってるんだったら世界中に中継器を置けばいいやんとか、例えばですけど、なんでそいつがそんなに広げられるのかもわかんないから不思議だなって思った。
ま、それはLANとWANの違いですよね。あ、はい。で、話聞きましてい、でもそれもね、面白いと言えばそれも行けますよ。[笑い]確かにWAN要るわ。ね、ローカルエリアネットワークとね、ワールドエリアネットワーク。そういうなんだ。へえ。あ、待って。だからそこも知りたいもんね。その違いとかもあんまよくわかってないですね。
それって例えて面白く説明できるもの?できるできる。多分できるよ。うまいこと言えそう。ちょ、もうお前本決まったぜ。もう生涯でこの後に書く本。[笑い]
だからローカルエリアネットワークは多分あれなのよ。中古車屋さんなのよ。ほうほうほう。その店のお客さんが車売りに来て、その店のお客さんに買わせることしかできない。うん。うん。でもその中古車のオークションに出して日本中どこでも落とせるようにするじゃない。それがそのワールドワイドだ。うん。うん。うん。うん。に回すみたいなイメージかな。
今の説明が中継器の理解に役立つの?あ、えっとね。そう、そう、そう、そう。だから中継器って結局中古車屋さんの中の話だから、中古車屋さんの中のめっちゃ情報伝えるの早い敏腕営業マンみたいなやつが入った程度の話だから、WANと関係ないすよ、それ。あ、そうなんだ。うん。へえ。説明が魅力的。[笑い]
めっちゃ褒めてくれるじゃん。あ、すごい書きたくなってきちゃった。すごい乗せられてきちゃった。今。あれな。じゃあ、じゃあやるか。読みたいね、それは。
で、僕この本執筆中に一旦マクルーハン挟んじゃうけど大丈夫ですか?このパケットの絶対脱角とか言いなけど。それ大丈夫ですか?[笑い]さん、もうすでにあなたはパケットの説明失敗したんすよ。1回前回1なんすよ。そうか。オイス用に例えるっていう失敗とかを知ってたよね。でも今度こそ俺できる気するよ。やっぱり絶対脱角とこれてるから。
何の[笑い]何の絶対脱角?あれは臀部残しもありますよ。その絶対脱角の方を捨てて臀部の部分で、臀部点で考えれば。[笑い]パケットは専門的に臀部をまでは書いて。そうだね。あと罠埋めたいな。臀部を吸うことであるみたいな。[笑い]そういうことですよね。臀部。お尻の絶対位どういうことなんだ?何にどう対応する?哲学みたいな。[笑い]たまにあるみたいな。ストなんでこういうよくわからん話あるよな。
ということで『クリックの0.2秒を科学する』、2026年のえ、5月発売ってことですか?あ、ちょ、やばいな。やばいな。固められちゃってるんだ。外堀を。大本はそこぐらいで大丈夫。あの、もう頑張ります。そういう目標で、じゃ頑張ります。善処する。はい。前向きに善処いたします。
でもリアルな話、来年の誕生日はリアリティあるけど、うん。再来年の誕生日だと急になんかちょっとこうあるよね。僕はその30になるまでって決めた。リアリティあるね。なんかね、その1年後無理じゃん、そんなんも原稿わかんねえよ。そうね。来年はなんかやれそうな感じもあるよな。
来年じゃダメだな。なんか2年ぐらい執筆期間、リサーチ期間設けてほしいな。それやったらめっちゃ見たいな。もうあれじゃん。自分のノウハウ人にやらせようとしてるじゃん。丸2年リサーチして本書かせるスタイル、人にやらせようとしてるや。もうなんか足りないんだよ。やっぱ1年じゃとても。そうだよね。あ、そうか。だから0.2秒を書くためには2年かかるっていう1つの発見かもね。あ、確かにね。すごいスケールだね、これ。
そう。なんか本の全体像が見えたとするじゃない。例えば、あ、こういう構成で行こうとか、このこと書きたいなっていうリサーチが終わった後に、例えるためのリサーチをしたくなる。そうだね。だから全然関係ないとこから事例をいっぱい持ってきて、面白いなこれっていうのを探さないといけないですね。うん。そう、そう、そう。そういうパッチワークをね、しないと専門家が書いた面白い本に勝てないので、だからリサーチって終わった後に始まるんですよね。
うん。そうだね。内容が固まった後に肉付けをする作業が大変そうですね。そう。第2弾が始まるんで。いや、2年ぐらいかけて3年後とかに読めると嬉しいですけどね。はい。
でもね、その肉付けの部分、こないだ、あの、数理モデル研究者の江崎貴裕先生、ゆるコンピュータ科学ラジオに出てくれた江崎先生と飲んでる時に、江崎先生が、いやいやもうリサーチはClaude Codeで自動化して、全部夜寝てる間に1000個事例出してくださいとかいうことによって解決しますって言ってたから、水野さんがやるそれ意味ないかもしれないです。ちょっとその、AIでいいかも。人でなしすぎる。ちょっとそのなんか[笑い]
江崎先生が言ってました。水野さんって肉付けのために半年とか費やしたっぽいですけど、あれ意味ないですって。言うてないよ、あの人。そんなこと言わないよ。優しいわ、あれ。そんなこと言わないわ。楽しみにしてますとか言ってくれる。ごめんなさい。僕が翻訳してそういうようなこと言ってたんだな。いや、翻訳しにテキが出ちゃってるから、もうそれ。[笑い]ハルシネーションすぐ起こすんすよね、僕。頼んますよ、本当に。
ということで今回はスカイ戦からお送りしました。久しぶりにね、あんまりテーマを事前に固めたり、こういう話で落とそうみたいなことを打ち合わせせずに、適当に喋りましたね。本当に思いつくままに喋りましたけれども、僕らちょっと最近雑談回やる時なんか真面目になってしまったり、なんか人生相談みたいな、こんなことに悩んでるみたいな重い話になりがちで、ちょっとそれを脱却したいと思ってこんなスタイルやってみたんですけど、やっぱ力抜けましたね。風呂上がりは。
今回はそうですね、なんか肩肘張らない回になったんじゃないかなって思いますけど、ちょっとそれを評価するのは我々ではなく皆さんですので、またこういう回やってほしいよということであれば、是非チャンネル登録とか高評価、それから感想のコメント、堀元さんの『クリックの0.2秒を科学する』読みたい人はですね、私は絶対に予約しますと言ってもらって、一定数集まれば堀元さんは結局守銭奴ですので。そう、むっちゃ儲かるなって思ったら書きますよ。ですよね。
本がさ、売れたらさ、堀元さんの格が上がったりするかもですから。そう。ちょっとね、直近の本が『読むだけでグングン頭が良くなる下ネタ大全』になっちゃったせいで、作家としての格が今グングン下がってるんですよ。あ、書くだけでグングン格が下がる。[笑い]本当あの下ネタ書いて損したなってめっちゃ思ってて、なんとかしたいからね。[笑い]あれ面白いと思うんですけどね。
近著にって言ってね、あれが入っちゃいます。最悪だよね。だからメディアで取材されるたびにあれ書かれるからさ。その1個手前は『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』ですから。あ、僕やっぱ最後の黄金律を書く人なんだなって。格変わってなかったから。変わってない。変わってない。変わってないよ、別に。[笑い]そうですね。あんだけふざけてただけだからね。ビジネス書をいっぱい読んで。
なので、ちょっと皆様からの色々なご意見などお待ちしておりますので、どしどしお寄せください。あ、そうだ。あのお尻の絶対脱角の意味マジでわかる人いたら教えてほしい。そう。それ教えてほしい。でわからんから。あ、あの、あ、そう。なんか電気。うん。意味わかる人ぜひ教えてください。言葉がわからないからね。え、そんで皆さんからのコメントお待ちしております。ありがとうございました。[笑い]ぶっちゃかった。[音楽]
堀元さん、うまく話せなくて悩むことってありません?よくあります。そんな悩みを抱える方にぴったりな本を書きました。ほう。タイトルは『会話の0.2秒を言語学する』。会話のわずかな間にフォーカスした1冊です。是非皆さん買ってください。うん。
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