営業経験者は職種を変えず、業界と会社を変えるべきだ──サラタメが勧めるAI時代の転職先4業界

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概要

転職チャンネルを運営するサラタメ氏が、転職を考えている営業経験者に向けて語った動画である。中心の問いは「営業を続けるべきか、別の職種に移るべきか」。これに対して話者は、営業経験が少しでもあるなら営業職を続けたほうが得だと主張する。不満の多くは営業という仕事ではなく今いる会社や環境から生じているので、変えるべきは職種ではなく業界と会社だという立場だ。そのうえで、ワークライフバランス、キャリアアップ、高年収という3つの希望別に、転職先としてSaaS、人材紹介、コンサル、M&Aの4業界を勧めている。

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前提としての主張:営業は続けたほうが得

話者は冒頭で、営業が苦労の多い仕事であることは認める。ビジネスの最前線で顧客の矢面に立ち、ノルマとも向き合い続けなければならない。それでも「営業は最強」であり、続けたほうが得だという。理由として挙げたのは2つで、営業はAI時代にも強いこと、そして「自分は営業に向いていないかも」という悩みの9割は勘違いであることだ。

話者は2020年から約6年間、転職チャンネルを続けてきた。その中で多くの転職成功事例を見てきたが、営業で悩んでいた人が会社を変えたら状況が大きく改善した、同じ営業でも会社によってまったく違った、というケースばかりだったと振り返る。ここから、大事なのは業界選びと会社選びだという結論を導いている。

理由1:営業はAIに真似されにくい

話者によれば、AIに仕事が奪われるという話は遠い未来の予測ではなく、すでに進行している。例として、みずほが事務職を5000人削減すること、SBIが新卒採用を抑え「よほど優秀でないと採らない」としていることを挙げた。そのうえで、AIに真似できない数少ない仕事が営業だと主張する。泥臭く人間臭い仕事だからこそ真似されない、という見方だ。具体的には、AIがどれだけ賢くなってもできないこととして次の3つを挙げる。

1つ目は「イレギュラーな動き」である。営業担当者は、あえてメールではなく手書きの手紙を送ったり、休日に顧客のゴルフに付き合ったり、顧客を喜ばせるためにスナックでモーニング娘。を熱唱したりする。話者によれば、こうした一見不合理な動きはAIにとって謎でしかなく、AIは真似できないし、真似しようともしない。

2つ目は「人間関係の積み上げ」である。長く付き合い、時に怒られ、時に喜び合いながら、親戚ほどの距離に近づいて「あなたにこそ頼みたい」「あなただからこそ許せる」と思わせる関係に持ち込む。話者はこれを「いわゆる癒着関係」と表現し、AIには真似できないという。逆に、その場限りで正確性が求められる接客のようなコミュニケーションは、今後AIに駆逐されていくはずだと予測する。単発の接客的な仕事をしている人は危ないので、長期的な付き合いが生まれる営業に移ったほうがいい、とまで述べている。

3つ目は「グレーな交渉」である。話者によれば、営業では曖昧さが意外に大事で、常に損か得か、白か黒かをはっきりさせようとすると、ほぼ確実に揉める。優秀な営業担当者は、長期的な関係のために時には意図的に交渉で負けたり折れたりし、その分次回に向けて大きな「貸し」をつくる。AIの自動判定のような仕事ではなく、人間だからこそできる技だという。

話者はこの3つをまとめ、これまで「合理的でない」「泥臭い」と揶揄されてきた営業の価値が、AI時代にはむしろ高まっていると主張する。

理由2:「営業に向いていない」の9割は環境の問題

2つ目の理由として、話者は営業担当者の悩みの大半が仕事そのものではなく、今いる会社から生まれていると述べる。主な要因は「昭和すぎる社風」「しょぼすぎる商材」「モンスターすぎる得意先」の3つだという。

社風については、気合・根性・ノルマを押しつける会社が今も残っていると指摘する。そうした会社にいれば、やる気がなくなり心が折れて当然だ。話者は、周りにいる人が変われば、仕事のやりがいや楽しさはまったく別物になると述べる。

商材については、本心では売りたくない商品を、ほぼ嘘をつくような形で売り込めば心が死ぬのは当然だという。本来の営業は詐欺的な売り込みではない。必要とする人に、必要な量を、必要な形で届けるための全体設計を提案する、人の役に立つ仕事だと話者は定義する。これを聞いて「そんなわけあるか」と即座に感じた人は、ひどい商材を売りすぎて毒されている、とも言う。今売っている商材より良く売りやすい商材を扱う会社は必ず存在するので、営業をやめるのではなく会社と商材を変えれば、メンタルの負担は劇的に軽くなるという。

得意先については、個人向け(B2C)より法人向け(B2B)の営業に移るほうが安全だと勧める。話者によれば、モンスタークレーマーのような顧客は責任を負わない個人に多く、法人営業のほうが遭遇率が低いため、ストレスが大きく減る。

大枠の結論:無形商材の法人営業を狙う

具体的な業界の話に入る前に、話者はチャンネルで繰り返し伝えてきた大枠の結論を示す。広告、人材サービス、ITサービスといった形のない商材を法人に売る「無形商材の法人営業」が最もおすすめだという。最大の理由は転職市場での評価が高く、キャリアアップにつながり、食いっぱぐれないことだ。評価が高いのは、仕事の難易度が高いからだと話者は説明する。

有形か無形かの比較では、トヨタの車、サントリーのお酒、カルビーのポテトチップスのような有形商材は商品力による目に見える差別化があり、比較的売りやすい。一方、無形商材は商品の質が同じくらいになりやすく、営業担当者の提案力を含めて買ってもらうことが多いため、高い提案力が求められる。

個人向けか法人向けかの比較では、たとえば生命保険なら親戚や友人に買ってもらうこともできる。しかし法人向けでは会社のキーマンを説得しなければならない。高単価の商材であれば、先方の社内の複数部署から承認を取るための稟議書を一緒に作り、稟議が滞りなく通るよう準備も手伝う必要がある。ノリと勢いで売れることはない。

こうした難しさがあるからこそ鍛えられ、人材としての価値が上がると話者は言う。実際に求人を検索すると、ソニー、サイバーエージェント、日立、Sansan、SmartHRといった人気企業の募集には、法人営業経験が必須で、無形商材やIT商材の経験があればなお良い、と書かれているものが多いと紹介している。

そのうえで、4業界の位置づけが示される。総合的な働きやすさを求める人にはSaaS業界、逆転のキャリアアップを狙う人には人材紹介業界、高年収を狙う人にはコンサル業界かM&A業界である。後者2つは、法人向けに形のないサービスを提供する点では同じジャンルだが、もはや営業職という括りではなく、営業経験を生かして挑むより高度でハードな仕事だと話者は位置づける。固定給で年収1000万〜1500万円程度を安定して狙いたいならコンサル、歩合制でも年収2000万円、さらには1億円を狙いたいならM&Aという切り分けだ。

SaaS業界:働きやすさ・年収・成長性のバランス

SaaS業界とは、Sansan、freee、SmartHRのように、クラウドで使えるITサービスをサブスクリプション課金で提供する業界である。話者は個人的に最もおすすめだと言い、動画を見てSaaS業界に転職した人は、LINEやコメント欄で報告を受けただけでも確実に200人を超えていると述べる。

人気の理由として話者はまず働きやすさを挙げる。社員の労働力を売る労働集約型のビジネスではなく、自社のプロダクトで勝負する商売なので、構造的にホワイトになりやすいという。動画で示されたデータとして、営業職に限っても7割以上が月の残業20時間以内、8割以上が30時間未満に収まっており、リモートワークを使えている人も7割近くいると紹介している。成長業界の営業職は本来ハードワークになりがちなのに、というのが話者の評価である。年収については、大手SaaSなら平均700万円を超え、成果を出せば1000万円超も狙えるという。コンサルやM&Aほどではないが、十分な水準だとしている。

話者が特に強調するのは、自分に合った営業スタイルを選べる点だ。他の業界では一人の営業担当者が新規開拓から交渉、クロージング、アフターフォローまで担うことが多い。一方、SaaS業界ではインサイドセールスが新規開拓、フィールドセールスが交渉とクロージング、カスタマーサクセスがアフターフォローと分業している。今の営業が微妙に合わないと感じている人には、SaaS業界が最適ではないかとさえ話者は述べる。

「AIの進化でSaaSは死ぬ」という最近よく聞く説については、実態は「SaaSは弱肉強食」というだけだと話者は答える。今の時点で弱いSaaS企業は確かに生き残れない。しかし、複雑な法規制に関わる領域でデータを蓄積し、AIに大きく投資できる資金を持つ企業にとっては、AIはむしろ追い風になるという。IDC Japanの調査でも、SaaS市場は2026年、27年、28年と伸びていく見通しだと紹介している。

デメリットは2つある。1つは門戸の狭さだ。話者の感覚では内定の難易度は年々上がっており、以前は個人向け営業の経験者も内定を取れていたが、最近は法人営業経験がないと基本的に難しいという。もう1つは、弱肉強食の業界なので企業選びを誤ると痛手になる点で、慎重な選択を求めている。

人材紹介業界:門戸の広さと年収の伸びしろ

人材紹介業界とは、リクルート、doda、マイナビのような転職エージェントの業界を指す。話者が最大の魅力として挙げるのは、門戸の広さが4業界で一番であることだ。紹介された転職成功例には、学歴が「失礼ながらFランク」で接客業の経験しかない営業未経験者、8か月の離職期間があったカフェの店長、30代で営業未経験のスマホショップ店員などが含まれ、いずれもポテンシャル採用的に内定を得たという。

年収面では、転職直後に40万円、100万円上がった事例を示したうえで、成果報酬で社員にしっかり還元する会社を選んで成果を出せば、20代で年収1000万円も狙えると話者は述べる。人材紹介業界で年収1000万円に達している人は最近「ゴロゴロいる」とし、学歴が弱くても営業未経験でも入れる業界でこのチャンスがあるのは「社会のバグ」だとまで表現する。年収が高い理由については、転職市場が盛り上がり、各社の業績が好調で、それが社員の給与に還元されているためだと説明している。加えて、転職という人生の転機に関わる仕事なので、本気でコミットすれば大いに感謝され、やりがいもあるという。

デメリットとしては、まずハードワークであることを挙げる。コンサルやM&Aほどではないが、SaaSと比べれば明らかにハードな傾向がある。もう1つは人を選ぶ特徴で、法人向けの営業だけを担うポジションもあるものの、基本的には転職希望者個人との面談が必要になる。他人の人生の転機に向き合う重いコミュニケーションを避けたい人には向かず、逆にそこにやりがいを感じられる人には非常に合っていると話者は言う。

また話者は、人材紹介業界は企業のタイプが豊富で、会社によって働き方がまったく違う点も面白いと述べる。ハードワークと言いながら、ワークライフバランスを重視する会社もある。逆に、平均年収が1000万円を超え、コンサルより高いのではないかという会社もあるという。

コンサル業界:高年収とスキル、ただし履歴書が問われる

コンサル業界のメリットとして、話者はまず年収の高さを挙げ、30代で年収1000万円に十分届くと言う。論理的思考、プロジェクトマネジメント力、資料作成スキルといった総合的なビジネス戦闘力が身につき、キャリアの選択肢も広がる。コンサル業界内でのキャリアアップ転職、事業会社への安定志向の転職、フリーランスとして独立して月100万〜150万円を稼ぐ道などが挙げられた。

「AIでコンサルは不要になる」という煽りについては、話者は「ない」と否定する。根拠として、アクセンチュアの最近のレポートで直近1年の生成AI関連の売上が3倍になっていることを示した。採用市場も大いに盛り上がっており、アクセンチュア、Big4、ベイカレント、ノースサンドなど好調なコンサル会社は年間数百名の採用が当たり前で、多いところは2000〜3000名規模で採用していると話者は述べる。今最も採用の勢いがあるのはコンサル業界だと断言している。

難点は内定の取りにくさである。システムエンジニアなどIT系の業務経験があれば学歴はそれほど見られない。しかし営業出身で未経験から挑む場合は、学歴と地頭をかなり見られるという。GMARCH以上の学歴があるか、なければ上場レベルの大手企業出身か、といった履歴書上のスペックが入念にチェックされる。そのため話者は、学歴や職歴に見栄えがあり、一定のハードワークを受け入れてでも高年収とAI時代に通用するスキルを求める人に限って勧めるとしている。企業選びも難しく、戦略系・総合系・独立系があり、独立系の中にも業界特化型と機能特化型がある。未経験者が的確に選ぶのはほぼ不可能だと話者は述べる。

M&A業界:異次元の年収と、覚悟という条件

最後のM&A業界は、年収の高さで群を抜く業界として紹介される。平均年収ランキングでは、M&Aキャピタルパートナーズが平均2700万円で、2位に500万円ほどの差をつけて1位に立つ。ほかにもストライクが1400万円、日本M&Aセンターが1200万円と、上位にM&A業界の企業が並ぶ。話者はさらに、M&A総合研究所の採用ページに年収1.8億円に達した人の例が載っていることにも触れている。

話者によれば、これほどの年収にもかかわらず、M&A業界の採用の門戸は意外に広い。大卒の学歴、営業経験、ハードワークをやり抜く覚悟の3つがあれば誰にでもチャンスがあり、学歴については同じ高年収のコンサルよりかなり緩いという。ただし、最も問われるのは覚悟だ。話者は「激務できつい」と隠さず述べ、体力、知力、メンタルのすべてがハードで、転職後の最初の2〜3年は「ビジネス戦闘民族」として生きるしかないと言う。M&A業界へ転職する人には、起業や独立に近いレベルの覚悟が必要だと常々伝えているという。その覚悟が決まれば内定は取りやすく、幅広い業務を通じてビジネスの力も鍛えられる。年収1億円のチャンスに挑みたい人にだけ勧める、というのが話者の結論である。

結論と、動画内で示されなかったもの

話者は最後に要点を振り返る。営業経験は貴重なので、特段の理由がない限り続けるべきである。理由は、AI時代にも営業は強いこと、そして「営業が合わない」という悩みの9割は勘違いであることだ。そのうえで転職先としては、ワークライフバランス重視ならSaaS、逆転のキャリアアップなら人材紹介、高年収狙いならやや毛色は異なるがコンサルかM&Aを勧めている。

なお、タイトルでうたわれている具体的なおすすめ企業名は、動画本編では明かされていない。各業界で「今狙うべき企業」の解説は、話者のLINE登録者向けの別動画に委ねられている。本編で語られたのは、業界ごとの特徴と、自分の希望や経歴に照らしてどの業界を選ぶかという判断の枠組みまでである。