未来予測本を読み込んだサラタメが勧める、AI時代の転職先は「無形商材の法人営業」

YouTubeで開く ↗
概要

転職ノウハウを発信するYouTuberのサラタメ氏は、2030年前後を扱う未来予測本をまとめて読み、Excelで整理した。そのうえで「AI時代に食いっぱぐれない仕事は何か」という問いに答える。話者の結論ははっきりしている。AIの進化は多くの人の想像を大きく上回っていて、先進国のホワイトカラーこそ危ない。そのなかで現実的な逃げ道として挙げるのが「無形商材の法人営業」への転職である。

10分で読めます

調べた動機と、参照した材料

サラタメ氏は、自分自身が不安になったことを調査のきっかけに挙げる。妻と3歳になったばかりの子どもを養っていく立場にあるからだという。参照したのは、夫馬賢治『データでわかる2030年 雇用の未来』、落合陽一『2030年の世界地図帳』、ピーター・ディアマンディスとスティーブン・コトラーの『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』などの未来予測本である。加えて、有識者の最新の発信や、オックスフォード大学から出た「雇用の未来」という論文にも目を通した。

その結論を話者は「皆さんが想像しているちょうど7倍、AIがやばい」と表現する。ここ1年だけでも状況が様変わりした、というのが話者の実感だ。動画は3部構成で進む。2030年を待たずに消えるとされる仕事、最近になって急に危ないと言われ始めた仕事、そしてAI時代でも生き残る仕事である。

2030年を待たずに消えるとされる5つの仕事

最初のパートで話者は、これは自分の主張ではなく、オックスフォード大学のオズボーン教授が論文「雇用の未来」で述べていることだと前置きする。挙げられたのは次の5つだ。

  • 工場のライン作業者
  • 電車・バスの運転手
  • 銀行の窓口
  • 小売店のレジ
  • 書類管理やスケジュール調整を担う事務職

話者は、一定のリテラシーがある人ならもう驚かない話だろうと言う。5年前なら少しは驚けたかもしれない、とも付け加える。手書きの手紙やファックスのように、技術が発達しても特殊な用途のためにうっすら残ることはある。それでも職業として選べば間違いなく損をする、というのが話者の立場だ。

理由として話者は、これらの仕事に共通する特徴を挙げる。単純作業や繰り返しの作業が中心で、高度な思考力も高度な対人スキルも要らない。オズボーン教授によれば、こうした仕事は現時点の技術でもAIで実装できる。AIは24時間文句を言わずに働き、生活に必要な最低限の給料も求めない。経営者はボランティアではなく、コストを削って利益を出そうとしている人たちなので、どんどんAIに切り替えていく。その結果、仕事がなくなるか報酬が極端に下がる。話者はこれを「確定の未来」と表現している。

論文は10年前のもの。今はホワイトカラーも射程に入った

話者が「ここからが本題」と強調するのは第2パートだ。「自分の仕事は高度な思考力と対人スキルが必要だから大丈夫」と考える人に対して、話者は「悲報です」と告げる。

根拠として話者が挙げるのは、先の論文が10年前の2014年に出たものだという点である。当時は「高度な思考力と対人スキルが要らない仕事」が危ないとされていた。しかし今のAIはその両方を身につけ始めている。だからこそ、このチャンネルの視聴者層の中心である先進国のホワイトカラーが非常に危ないと言われている、と話者は説明する。パソコンに向かう知的労働も、店頭で対人スキルを生かして接客する仕事も、AIの射程圏内に入ったというのが話者の見立てである。

思考力の面:推論モデル、AGIの到来予測、孫正義氏の発言

話者は、思考力の進化が特に大きいとみている。まず、動画収録時点で「今年9月にリリースされた」ChatGPTの最新モデルを挙げる。このモデルは推論という高度な思考までこなし、数学や科学の複雑な問題も解けるレベルにあると紹介する。

次に取り上げるのが、OpenAIで今年まで働いていたというアッシェンブレナー氏の記事「The Decade Ahead(今後10年の展望)」である。話者の紹介によれば、同氏はこの記事で予告している。今のAIを超え、人間と同じかそれ以上の仕事をこなすAGIと呼ばれる水準に、2027年までには到達しうる。OpenAIの内部はそのペースで開発が進んでいた、という内容だ。

さらに話者は、ソフトバンクの孫正義氏が公の場で警鐘を鳴らしていたことにも触れる。近い将来、AIは平均的な人間の100万倍賢くなるので、そのための準備をすべきだという発言である。これらをもとに話者は、思考力の面では数年以内に人間はAIに太刀打ちできなくなると述べる。

対人スキルの面:ChatGPTの音声会話による実演

対人スキルについて話者は、説明するより見てもらうのが早いとして、ChatGPTの音声会話機能を使ったやり取りを見せる。

実演ではまず「AIに取って代わられやすい仕事の特徴を短く教えて」と頼み、AIは「反復的で予測可能なタスクが多い仕事」と答える。続けて「自分はホテルの受付スタッフだが、取って代わられやすいか、率直に教えて」と尋ねる。AIの答えは次のとおりだった。直接のコミュニケーションや柔軟な対応が求められる部分が多いので、完全には取って代わられにくい。ただし予約管理などの一部業務は自動化される可能性がある。

話者はこのやり取りについて、特殊なアプリではなく、今あるChatGPTの音声会話機能を使っただけだと強調する。そのうえで「そこら辺の接客スタッフより能力が高い」と評価する。数年前まで人間ならではの強みとされていた思考力と対人スキルは、AIでも十分に対応できる。あと数年でAIのほうが上になり、人間である必要がなくなる、というのが話者のまとめである。

人間に求められる4つの要素と、話者の結論

話者はここで、全人類の仕事が奪われるわけではないと述べ、AI時代だからこそ輝く人間ならではのスキルがあると続ける。先に結論として示したのが次の4つだ。

  • イレギュラーな運動
  • 人間関係の積み上げ
  • グレーな交渉
  • ずるいポジション取り

話者のアクションプランは、この4つが絡む仕事に就くことである。具体的には営業職、それも厳密には「無形商材の法人営業」を勧める。無形商材の法人営業とは、個人ではなく法人を相手に、Webサービス、広告、人材関連サービスのような形のない商品を売る営業のことだ。

話者はこの仕事の利点として、重要性に気づいた今からでもなれる点を挙げる。調べた情報のなかには、プロデューサー、政治家、経営者、戦略人事など、AI時代に活躍できるとされる仕事もほかにあった。しかしそれらは限られた人が特殊なルートをたどってようやく就ける仕事で、今からなれと言われても現実的ではない。一方、無形商材の法人営業は完全未経験から転職した人を話者が「100人以上余裕で」知っているほどで、未経験からでも目指せる。とくに今、個人客向けに接客・販売・営業をしている人には、すぐに検討してほしいと話者は訴える。

なお話者は、AIや未来予測とは関係なく、以前から転職市場の観点で無形商材の法人営業をキャリアアップに最適だと勧めてきたと述べる。今回はそれとは別に、AI時代に強いという文脈で話す、という位置づけである。

4要素と法人営業の対応

話者は4つの要素それぞれが、無形商材の法人営業にどう結びつくかを説明する。

1つ目の「イレギュラーな運動」は、AIには真似できない動きを仕事に取り入れることを指す。デスクでパソコンを打つだけでなく、あえてメールではなく手書きの手紙を送る。休日に得意先のゴルフに付き合う。顧客を喜ばせるためにスナックでモーニング娘。の曲を熱唱する。こうしたAIから見れば謎とも言える動きは、まさに営業の仕事だと話者は言う。

2つ目の「人間関係の積み上げ」について、話者は二つの仕事を対比する。その場限りで正確性が求められる接客的なコミュニケーションは、今後AIが主役になる。一方で、長期にわたって関係が深まり、「あなたにこそ頼みたい」「あなただからこそ許せる」と思わせるような信用を勝ち取る仕事は人間に残る。そのため、単発の接客より、会社対会社で長く付き合う法人営業がよいという。

3つ目の「グレーな交渉」では、白黒や勝ち負けをつけすぎないことが大事だと話者は述べる。AIの自動判定のような仕事ではなく、深い人間関係を土台にして、ときにはあえて物事をうやむやにする。意図的に交渉で折れて、次回のために貸しを作る。こうした仕事は「もろに法人営業の仕事」だというのが話者の説明である。

「ずるいポジション取り」と、有形商材との比較

4つ目の「ずるいポジション取り」について話者は、営業というより「無形商材」を扱う意味に関わる内容だと位置づける。AIを含めて技術の進化が速く、業界の流行り廃りも速まっていく。そのため、特定の業界や一つの会社に居続けるリスクが高まる、と話者は予測する。だからこそ、人間らしい法人営業スキルを身につけながら常に良い居場所を探し、その時々で勢いよく儲かっている業界や会社を見つけたら身軽に移るべきだという。

この点で、無形商材の営業担当者は圧倒的に有利だと話者は主張する。対比として挙げるのが有形商材の営業だ。例として、カルビーのポテトチップスのようにブランド力の強い商材を売っていた人や、専門知識が必要な薬を売るMRを挙げる。こうした人は汎用性が低く、他の業界の他の商品を売れるイメージがつきにくい。話者は「あくまで傾向として」と断ったうえで、有形商材の営業経験者は他社で通用する可能性が低めで、転職市場でもあまり人気がないと述べる。

その裏付けとして話者は、求人サイトでの確認を勧める。マイナビ転職やリクナビNEXTで、SaaS、人材、コンサルといった人気業界の求人を検索すると、必須条件にかなりの確率で「法人営業経験2年以上かつ無形商材」と書かれているという。無形商材を売ってきた経験があれば次の転職先を幅広く選べる。業界の流行り廃りが猛スピードで移り変わるこれからの時代には、この身軽さが欠かせなくなる、と話者は強調する。

補足1:他の仕事ではだめなのか

本編のまとめの後、話者は視聴者が気になりそうな点を2つ補足する。1つ目は、無形商材の法人営業以外の仕事ではだめなのかという疑問だ。

話者の答えは「大丈夫」である。例外として、AIを完全に使いこなせるなら、4つの要素を無視してもどんな仕事でも食いっぱぐれないだろうという。ただしそのハードルは高いと話者は付け加える。ChatGPTのような有名な文章生成AIを使うのは当然で、最低ラインとしてPerplexityのような検索AIツールやtl;dvなども使いこなす水準を求めている。

一方で話者は、AIは万能ではなくあくまで補助的なツールだとも強調する。AIに詳しいというだけで稼ぐのは至難の業で、まったく勧めないという。マーケティング、プログラミング、法人営業など、分野は何でもよいが、AIと掛け合わせる軸となるビジネススキルが必ず必要になる。AIの最新情報を追いかけるだけで軸となるスキルがない人材になると、仕事につながらず稼げない、と話者は注意を促す。

補足2:誰に転職を勧めるのか

2つ目の補足は、未経験から無形商材の法人営業にどうなるかという点だ。話者はまず、AIを活用できる人材になるとしても軸となるスキルは要ると改めて述べる。そのうえで、無形商材の法人営業スキルはAIとの相性が抜群だと考えていると話す。

話者が特に対象として名指しするのは、34歳以下の比較的若い人のうち、次のような人である。

  • 接客・販売の仕事をしている人
  • 公務員や学校の教員
  • 法人営業だが有形商材を扱っている人
  • 無形商材の営業だが売り先が個人の人

こうした人に対して話者は、10年後のために今10分だけでも考えてみてほしいと呼びかける。ただし、今の仕事を心から愛しているなら無視してかまわないとも言う。話者自身も「仕事は愛だ」と考えているからだ。

一方で、今の仕事がしっくりこず、40歳、50歳になったときに後悔しないと言い切れない人には、具体的な転職方法を検討してほしいと話者は結ぶ。狙うべき会社や業界、最短ルートといった具体的な方法については、本編では詳細を語っていない。