「ホテらすネツタイヤ」から「無条件においしい」まで 歌詞と広告コピーを言語学で読む
ゆる言語学ラジオゆる言語学ラジオの「広告コピーを読む会」の回である。広告コピーに限らず、歌詞、看板、帯の文句など、日常会話では出会わない変わった言葉づかいを取り上げ、どこが面白いのかを言語学の観点から話している。話し手は言語学を専攻した水野太貴と、堀元見の二人だ。一つ一つの例から、日本語の文法のどの性質が使われているのかを考えるのが回の軸になっている。
促音に音符を与えた「ホテらすネツタイヤ」
最初の話題は、水野が「衝撃的だ」と言うRIP SLYME「熱帯夜」の歌い出しである。歌では「ネッタイヤ」ではなく「ネツタイヤ」と歌われ、歌詞カードも「ホテらすネツタイヤ」になっている。堀元は最初「熱帯夜が熱タイヤになっているだけでしょ」と反応したが、水野によれば、ここには歌の中で促音(小さい「っ」)をどう扱うかという問題が関わっている。
水野がこれまでよく見てきた処理は、促音の直前の音節の母音を伸ばすやり方だという。例に挙げたのはMr.Children「箒星」のBメロで、「君は知ってんだろう」が「しーてんだろう」と歌われる。もう一つはヨルシカ「太陽」のサビで、「ゆっくりゆっくりと」が「ゆうくり」になっている。
なぜそうなるのかについて、水野は促音の発音の仕組みを説明した。「ゆっくり」と言うとき、小さい「っ」の間、口はすでに次の「く」の形を作っており、息を止めて一拍置いている。「ゆったり」なら、舌先を前歯の付け根に当てて閉鎖を作った状態で止まっている。空気を流さずに間を作るだけなので、促音の部分には音程をつけられない。それでもメロディ上この位置に音符を置きたいとき、前の母音を伸ばすのがセオリーだと水野は思っていた。
ところが「熱帯夜」は「ネえタイヤ」ではなく、「ツ」という音を出して音符に当てている。しかも水野の聞き方では、声帯の振動を伴わない無声化した「ツ」を音として置いている。前の母音だけを残すのではなく、促音を「ツ」に変えて音程を与えた点が、水野にとって衝撃的だったという。堀元は響きが面白いとしか思っていなかったと応じた。
ここから二人は、この曲で踊った高校生たちの動画(再生1000万回ほどと堀元は言う)と、10年後に社会人になった同じメンバーが踊る動画の話に脱線した。堀元は公開当日に見に行ったほど好きで、クラスで目立っていた4〜5人組が、そのまま「一軍の社会人」になっている、つまりスクールカーストが変わっていない点にぐっときたと語った。ただし水野が指摘したとおり、踊っているのはRIP SLYME本人ではないので、促音の処理とは関係がない。二人も「この話、別にいらなかった」と認めている。
「お姫様気分で楽しめる天蓋ベッド」の二通りの読み
堀元が最近感動したというのは、収録場所の近くにあるラブホテル「ホテルバリアン」のコピー「お姫様気分で楽しめる天蓋ベッド」である。堀元が注目したのは、「お姫様気分を楽しめる」ではなく「お姫様気分で楽しめる」になっている点だ。
堀元の読みはこうだ。このコピーは一見女性向けで、多くの女性は「この天蓋ベッドで寝たらお姫様気分になれそう」とまっすぐ受け取るだろう。一方、セックスへのモチベーションが高い男性が読むと、「お姫様気分で(セックスを)楽しめる天蓋ベッド」に読める。「お姫様気分を楽しめる」だったら、少なくとも堀元自身は「自分向けのコピーではない」と感じて引きつけられない。「で」にしたことで男女を同時に引きつけている、というのが堀元の評価である。
水野の読みはまったく違った。これは連体修飾節が名詞を修飾する構造で、英語なら関係節にあたる。言語学を学ぶと、節の中のどこに空所(ギャップ)があるかを考えてしまう。英語の "the book I bought yesterday" なら、bought の目的語が抜けていて、その空所に the book が対応する。同じように「お姫様気分で楽しめる」を見ると、「何を楽しめるのか」という目的語が空所になっており、それが後ろの「天蓋ベッド」と対応していると解析する。生成文法でいうトレースと先行詞のインデックスが一致する、と水野が言いかけたところで、堀元は「勉強しすぎ」と止めた。結果として水野は「天蓋ベッドを楽しむ」という読みしか出せず、セックスを楽しむ読みには堀元に言われて初めて気づいたという。
「お姫様気分を」にすると性的な読みが消える理由について、水野は「二重ヲ格制約」を挙げた。一つの文にヲ格が二つあるとおかしくなるという制約で、「私は部屋で友達を訪ねた」は言えても「私は部屋を友達を訪ねた」は不自然になる。「お姫様気分を楽しめる」では「セックスを」を入れる余地がない。堀元は、名前がつく前から自分は感覚で知っていたと返している。
さらに水野は、性的な要素を明示的に埋め込んでも「お姫様気分でセックスを楽しめる天蓋ベッド」として自然な文になることを確認した。「楽しむ」は「どこどこで楽しむ」とも「何々を楽しむ」とも言える、つまり場所も目的語も取れる動詞であり、コピーはその性質を利用していると二人はまとめている。
英語に訳せない点も水野は強調した。英語の関係節は、抜けているのが何なのかを明示しなければならない。場所なら at や where を使い、目的語なら動詞の直後を空ける。日本語の連体修飾は空所の格を曖昧にしたままにできるので、「お姫様気分で楽しむのは天蓋ベッドそのものか、その上でのセックスか」がぼかせる。
水野はもう一つ、読み手の前提によって別の解釈も生まれると指摘した。ベッドの上でドライヤーをかけて髪をとかしたい人にとっては、「お姫様気分で髪をとかすことを楽しめる天蓋ベッド」にもなる。天蓋ベッドでお姫様気分でしたいことが人それぞれ違うから多義性が生まれている、という整理である。堀元は、看板を見て「なんてエッチなんだ」と思い、しばらく歩いてから「エッチなのは俺か」と気づいたと話し、読み手を映す鏡のようなコピーだと評した。
水野は、分析をやりすぎるとかえって解釈の豊かさを失うとも言う。例として、知人の研究者が大学院時代に日本語の主語削除の研究をやりすぎ、論文で例文を見るたびに主語を削除しようとしてしまう癖がついたと話していたことを紹介した。
「教え子の偏差値がゼロになる」と語順の極端なかき混ぜ
水野は、面白いアダルトビデオのレビューを記録しているとして、「教え子の偏差値が0になる、ボインすぎる家庭教師」という表現を紹介した。堀元は、偏差値は実際にはほとんど0にならないこと、「ゼロ」という語が強いことを挙げ、その飛距離を評価した。ただ、話し始めてから水野は「なぜこの話を始めたのか」と後悔していた。
続いて堀元が紹介したのは、千葉県鎌ケ谷市にある警察の注意喚起看板「速度落とせ 飛び出すぞ 路地から子供が自転車が」である。普通の語順に直せば「路地から子供が自転車が飛び出すから速度落とせ」になる。堀元は後ろから畳みかけるような語順が、ウエストランド井口の話し方のように聞こえると言った。
水野によれば、日本語のように助詞と一緒に要素を丸ごと動かす現象を「かき混ぜ(スクランブリング)」と呼ぶ。よくある例は「花子がりんごを買った」を「りんごを花子が買った」にする程度で、違和感はほとんどない。この看板は述語がすべて前に出て、さらに通常は前に来やすいガ格の「子供が」「自転車が」より「路地から」が先に来ている。自然な発話ではなかなか見ない語順だが、二人とも意味は理解でき、文法的におかしいとも感じなかった。水野は「ここまでかき混ぜていいんだ」という点が面白いと話している。
堀元は後半「飛び出すぞ 路地から子供が 自転車が」が五七五になっていると指摘した。ただし「速度落とせ」を含めた前半はそうなっていないので、五七五に収めるためにかき混ぜたとは言い切れない。看板では「速度落とせ」が赤、「子供」「自転車」が青で書かれていて強調したい箇所は分かるが、それでも不思議だという。堀元は、言いたい「速度落とせ」を先に書き、その後で五七五が作れることに気づいたのではないかと推測した。
水野はこれを、重要な情報を先に伝えたいという欲求の表れと見る。子供が道に出て車が来たとき、日本語話者はとっさに「危ない」と言うが、英語では "Watch out" や "Be careful" のように指示を出す。「危ない」だけでは何をすればいいか分からない。水野は、日本でも「危ない」と叫ぶと子供がうずくまってしまうので「走れ」などと言った方が安全ではないか、という話を聞いたことがあるという。看板のかき混ぜも、状況説明より先に指示を出したい欲求から来ているのではないか、というのが水野の見立てである。
堀元はここで、恋人が運転する車の助手席にいたとき、合流で横から車が来たのに「あっ」と声を出し、「『あ』じゃなくて『車来てる』って言わないと」と言われた思い出を話した。二人は、とっさの場面で指示を言えるようになるのは難しいと話し、冗談を重ねた末に「この話はやめましょう」と打ち切った。
「早くもアカデミー賞絶望」とポプテピピックの帯
ここからはリスナーがフォームで送ったコピーを読んでいる。一つ目は映画『最終絶叫計画』のキャッチコピー「早くもアカデミー賞絶望」だ。
水野は、この「アカデミー賞」の後ろに助詞がない点に注目した。「アカデミー賞が絶望した」なのか「アカデミー賞で絶望」なのかが決まらず、たとえば審査員がこれを見て絶望する、とも読めるという。堀元は、「アカデミー賞受賞」「アカデミー賞ノミネート」でも助詞は使わないので、その逆張りとして「アカデミー賞絶望」と言っている、つまり結局は賞を取れないという意味だろうと考えた。投稿者は、普通の映画ポスターはアカデミー賞受賞のような景気のいいことを書くのに、このコピーはその逆をすることでくだらない映画だというメッセージが伝わる、とコメントしていた。
これに似た例として水野は、漫画『ポプテピピック』1巻の帯を挙げた。「数々の名誉ある賞」と書かれ、その下に「このマンガがすごい!2016」「マンガ大賞2016」「第9回国際漫画賞」「第154回芥川龍之介賞」などが並ぶが、受賞したとは一言も書いていない。キャラクターが「これらは数々の名誉ある賞なのじゃ」と言っているだけである。堀元はこれを気に入り、自分たちの概要欄にもギャラクシー賞やピューリッツァー賞、イグノーベル賞を「名誉ある賞」として書いておこうと提案した。
水野は関連して、ドラマ『九条の大罪』に、芸人の「日本一面白い大崎」という芸名が景品表示法違反ではないかと言うくだりがあったと紹介した。根拠なしにそう謳えば誇大広告になる、という話である。
「無添加」が言えなくなったとろろ昆布
水野は、とろろ昆布のパッケージの新旧を見せた。旧パッケージには「無添加」と大きく書かれていたが、新パッケージでは「無」だけが大きく残り、横に米印で「無条件においしい」と書かれている。水野の説明では、「無添加」を単独でパッケージに表記できなくなった結果だという。
堀元は「ずるい」と反応した。「無」と大きく書けば添加物を使っていないように思うし、そもそも旧パッケージが無添加だったので、消費者は引き続き無添加だと思って買うだろう、というのが堀元の言い分である。水野は、たまたま「無条件においしい」と書きたくて、たまたま「無」を大きくしただけだととぼけつつ、デザインがかっこいいと評した。水野は、表示に関する法律や消費者庁からの指摘を回避するためにギリギリを攻める例をいくつか知っているという。
エビアンとパチンコ広告
その一例として水野が出したのが、エビアンの画像の下に「北斗の拳 景品フェア」と書かれたパチンコ店の広告で、これは規制されたという。堀元は最初、水を景品として入荷したという意味に受け取ったが、水野は「エビアンが景品のパチンコフェアに行きたいか」と問い返した。
水野の説明では、パチンコの「海物語」では5と6がエビとアンコウにあたり、パチンコ界隈で「エビアン」は5と6の隠語になっている。つまりこの広告は、パチスロ「北斗の拳」に設定5と6が入っていることを、分かる人にだけ暗示している。高設定であることを謳ってはいけないとされているため、エビアンの写真を載せたのだという。
堀元は、麻雀プロなど有名人の「来店」告知も、本人の集客力より「有名人を呼ぶなら設定がいいはずだ」と期待させるためのものだと理解していると話した。水野によれば、それなら有名人を呼ぶ必要はないということになり、現在では「AIが来店する」という形で高設定を暗示し、経費を削っている店があると聞いたという。水野が見せた告知には実際に「AI来店」と書かれていた。堀元は、エビアンはギリギリ言語に関係があるが、AI来店は言語と関係ないと指摘している。
「真剣にやっても勝てないんだから」とコピーを作る型
次のリスナー投稿は豊橋競輪場のポスター「競輪は真剣にやるんだよ。真剣にやっても勝てないんだから。」である。
水野は、接続助詞「から」が順接として結びついていない点を面白がった。本来なら「真剣にやっても勝てないけど、真剣にやるんだよ」と逆接でつなぐべきところを順接にしている。それだと面白くないが、「から」にすると印象が変わる。さらに主節「競輪は真剣にやるんだよ」を先に出し、従属節を後ろに回すかき混ぜも起きている。堀元はこれを、タモリが後輩芸人とゴルフに行ったときに「真面目にやれよ、仕事じゃねえんだぞ」と言ったというエピソードに似ていると話した。
投稿者は、競輪の広告なのに「勝てない」という語を使い、それでも競輪の魅力を示していると書いていた。堀元も、胴元が儲かると分かっていてもやる、真剣にやっても勝てないのに真剣にやる、というところに賭け事の本質や、夢中でやる喜びを感じると述べた。
ここから二人は「逆接を順接で言うとコピーっぽくなる」という型を取り出した。水野が出した例は「雨が降っているけど散歩に行こうと思う」で、これを「散歩に行こうと思う。雨が降ってるから」にすると、堀元は「急にコピーになる」「雨がっぱのコピーになりそう」と応じた。「彼は不器用だけどとても優しい人だ」も、「彼はとても優しい人だ。不器用だから」になる。水野は堀元への悪口を並べてこの型に流し込もうとしたが、元の文を忘れて失敗した。
水野はAIにこの型の例文を作らせてもいた。「日本語は難しいけど勉強するのが楽しい」は「日本語は勉強するのが楽しい。難しいから」に、「その映画は長いけど最後まで飽きずに見られた」は「その映画は最後まで飽きずに見られた。長かったから」になる。二人は、意味深な雰囲気が出るので、鋭いことを言う若手論客のような空気を量産できると冗談を言った。
堀元は、秦基博「ひまわりの約束」もこの型で作られた可能性があると言い出した。最初は歌い出し「どうして君が泣くの まだ僕も泣いていないのに」を挙げたが、元に戻そうとしても成立しなかった。そこで最後の「これからは僕も届けていきたい 本当の幸せの意味を見つけたから」に言い直したが、逆接に戻すと「本当の幸せの意味を見つけたけど、これからは僕も届けていきたい」となり、意味が通らない。堀元は仮説は間違いだったと認め、水野は作業仮説を立てて違っていたと確認するのは科学と同じだと引き取った。
募集フォームに投稿が集まらない理由
最後に二人は回を振り返った。結局ほとんどが広告コピーではなかったが、日常会話やメールでは見ない歌詞、コピー、看板などの用例を言語学的に見るとどこが面白いのかを話してきた、とまとめている。
コピーの募集フォームは2023年から3年近く開いているのに、あまり集まっていない。二人の結論は、フォームの存在をめったに告知せず、投稿されても読んでこなかった自分たちのせいだというものだった。実際に届いているものは面白いが、コンプライアンス上読みにくいものも多い。例として、パパ活アプリの広告コピー「友達を売ろう」が届いていたことを紹介し、アダルトビデオの話などをしてきたせいだろうと振り返っている。二人は、広告コピーに限らず歌詞なども含め、読みやすい言語表現の投稿を引き続き募集すると告げて回を終えた。
[音楽]
ゆる言語学ラジオ。RIP SLYMEのさ、『熱帯夜』っていう曲、分かる? うん。「ホテらすネツタイヤ」ですか? はい。あれさ、衝撃的だなと思って。そう。
熱帯夜なのにさ、歌ではさ、「ネツタイヤ」って読んでますよね。で、歌詞カード見ても「ホテらすネツタイヤ」になってるんですよ。これのすごさ、もう分かりましたよね。
うん。わかんないです。わかんないす。え、ネッタイヤがネツタイヤになってるだけでしょ。うん。
いや、衝撃的じゃないですか。というのも、歌の中で促音をどう処理するのかっていうのは流派があると思っていまして、僕がよく見るのは、促音が現れる1個前の音節の母音を伸ばすっていうのが多い。うん。例えば何すか?
Mr.Childrenの『箒星』っていう曲ありますね。「目を閉じても消えない光 夜空に託した祈り」ってあるんですけど、あれのBメロかな。「君は知ってんだろう 僕の大ブ式を」っていう歌詞。「しーてんだろう」か。
そうなんですよ。これ「君は知ってんだろう」が「しーてんだろう」になってるんですよね。確かに歌詞で言えないもんね。「知ってんだろう」のところの「っ」って伸ばせないもんね。
そうなんですよ。他にもですね、例えばヨルシカの『太陽』のサビとかって「ゆーくりゆーくりと」なんですね。あ、「ゆう」って伸ばしてるわ。はい。これ「ゆっくりゆっくりと」じゃないんですよ。休符になっちゃうもんな。
そうなんです。このちっちゃい「つ」って、音声的にはどういうことが起きてるかって分かりますか? 全然わかんないです。あ、そのすぐ答えない。全然わかんない。考える気がない。[笑い]
え、あの、仮説とか出す気がないです。え、それは何? 答えだけ知りたいから。ファスト教養。[笑い] 10秒で答え知りたいから、俺。え、考えるのめんどくさいから? めんどくさい。答えをすぐ教えてほしい。うん。こんなやつに答えたくないんですけれども。[笑い]
でも止めてるってことでしょ? 多分「ゆっくり」で。はい。音を出してないってことだよね。
例えば「ゆっくり」っていう時って、口の中でちっちゃい「つ」って「く」の形をした状態で、息を止めていると。「ゆっくり」の「く」の準備を口がしていて。そう。へえ。で、そこで1拍止めていると。ああ、言われたら確かにそうかも。「ゆっくり」の「く」の形になってるかもしれない。
「ゆったり」とかだったら分かりやすいと思うんですけど。「ゆった」。「た」って前歯の付け根に舌先を当てて閉鎖を作って、はは、「た」とか言う時ってのはそれを解放して一気に。そう。発音する時、前歯の付け根に舌を当ててるんだ。はい。「ゆったり」。確かにね。
はい。で、この「ゆったり」のちっちゃい「つ」で止めると、多分舌先が前歯の辺りになってると思うんですよね。つまり空気を流さずにその口の形で止めて、1拍なんかこう間を作って出すと。なるほど。
だからそこに音程をつけられないんですよね。うん。音出てないからね。
はい。ただ音楽って先にあるので、ちっちゃい「つ」のとこにも音程を入れたいとなった時の、僕が今まで知ってた処理ってのは、前の母音を伸ばす。「君はしーてんだろう」とか「ゆーくりゆーくりと」みたいにするのがセオリーだと思っていたらですね、「熱帯夜」を振り返ってみると。[咳払い] はい。「ホテらすネツタイヤ」って言っちゃってますね。そうなんですよ。確かにあれ、そうか。すごいのか。
だから「ホテらすネータイヤ」でもいいはずなのに、「ホテらすネツタイヤ」って「つ」を、しかも無声化させてますかね。これは「ホテらすネツタイヤ」じゃなくて「ホテらすネツタイヤ」って、声帯振動を伴わずに音だけ出して音符としていると。[咳払い] なるほど。これが僕の中では衝撃的だったっていう話ですね。
僕はあの「ホテらすネツタイヤ」、響きが面白いなとだけ思ってたんですけど、そうか。分析するとあれ、促音に音程を与えるっていう魅力的な歌詞だったんですね。
そうですね。しかもそれが前の音節の母音だけ残す「ネータイヤ」ではなく、「ネツタイヤ」っていう風にしているのが面白いっていう話ですね。
なるほど。あの『熱帯夜』っていう曲、何とも言えない魅力があってさ、高校生かなんかが校舎の中で踊ってる動画が1000万再生とかされてんだよね。あれのさ、10年後に社会人になった人たちが踊ってるやつもあんの知ってる? 見ましたよ。あ、見ました? てか俺、公開された当日に見に行きました。すごいな。好きだもん、あの動画。
でもなんか独特の魅力あるよね。一番背の高い男前の人が、ちゃんとうさん臭いイケメンみたいになってる。あれさ、スクールカーストが変わってないのが僕すごい良くて。ああ、一軍じゃん。
あれ踊ってた時、高校生の時、明らかにクラスで1番目立つ4人組、5人組だったかな。で、しかも校舎バージョンの時だと、クラスの女の子とかが廊下通ってる時に動画避けてこうね、走っていくみたいな。手ちょっとやったりとかしながら踊ってたやつが、そのまま一軍社会人になってて。僕なんかそれぐっときて、ああ、なんかこいつら全員営業とかやってんだろうなっていう感じがぐっときましたね。
うん。ちゃんとうさん臭いメガネとかかけてました。[笑い] かけてたかけてた。車とか売ってそうだったね、あいつね。ああ、そうね。不動産とかね。単価高いやつ売ってそうだよね。
っていう魅力があるんですけど、やっぱりそこは促音便の処理が素晴らしかったから、あの動画が生まれたということですね。あ、えっとね、あの人たちRIP SLYMEじゃない。[笑い] あ、そうか。音楽的な技巧ってあの人たちが作ってるわけじゃないのか。曲が流れてるだけなの?
はい。あと、あのカメラを回してる人のカメラワークのブレなさが、最近公開された方で異様に評価されてましたけど、あれも促音便とか関係ないですね。[笑い] あ、あれは促音便のおかげでカメラがぶれてないわけではなくて、あの人が単にそういう人だっていうことですね。なるほど。この動画の話、別にいらなかったですね。ただ僕が好きだっただけですね。関係ないです。
ゆる言語学ラジオ、広告コピーを読む回。はい。っていうのをたまにやってるんですけど、これ広告コピーに限らず、街で見かけた例えば逸脱的な用法とか、音楽の歌詞とか、なんかのタイトルとか、そういった面白い例をこう取り上げていくという。ありますからね、世の中にね、表現ね。はい。
堀元さん、なんか気になったものあります? 僕最近感動したのがさ、ホテルバリアンっていう、バリ風のラブホテルリゾートみたいなとこありますけど、この我々の収録場所からほど近いホテルバリアンが出してたコピーが素晴らしくて。「お姫様気分で楽しめる天蓋ベッド」っていうコピーで。
天蓋ベッドってあれですよね。天井がついてて、レースのカーテンみたいなのが降りてる。部屋みたいになってるベッドだね。そうだね。「蓋」ってことですよね。はい、はい。天の蓋があるベッドってことかな。そう。
このコピーすごいなと思って。うん。どこがすごいと思ったんですか? 「お姫様気分を楽しめる天蓋ベッド」じゃなくて、はい、「お姫様気分で楽しめる天蓋ベッド」にするのすごくない? 格助詞ってことだよね。
すごくない?これ。格助詞じゃないよね。[笑い] あ、ちょっとなんかやばいかも。地雷踏んだかも。なんか。そういえばそうだ、あんた格助詞好きだもんな。格助詞は好きだよ。[笑い] ゆる言語学ラジオで今度やりたいことあるとか聞いたらね、毎回格助詞って言ってるもんね。今日は格助詞の話。堀元さんは、僕そういう感じじゃなかったかもしれないけど。
あ、でもまあちょっと後でその話もしてもらっていいんですけど、僕はこのコピー聞いて1番に思ったのは、これ男も女も同時に引きつけてんのがすごい気がする。ほう。ということでも、ちょっとわかんないかも。
「お姫様気分で楽しめる天蓋ベッド」ってさ、なんか一見女性向けのコピーに見えるわけですよ。うん。で、実際一般的に女性がこれ見たら、あ、この天蓋ベッドで寝たらお姫様気分になれそうって、割とまっすぐ受け取る気がする。が、セックスへのモチベーションが結構高い男性がこれを見た場合、「お姫様気分でセックスを楽しめる天蓋ベッド」に読める気がするんだよね。ああ、そういうこと。
だからめっちゃエッチな「で」の使い方な気するんすよ、これ。はあ。これが仮に「お姫様気分を楽しめる天蓋ベッド」だったら、女性は引きつけるかもしれないけど、男性は引きつけない気がする。うん。うん、うん。というか僕だったら引きつけられないんですよ。うん。[咳払い] ああ、俺に対するコピーじゃないなっていう。でも「お姫様気分で楽しめる天蓋ベッド」にすることによって、エッチって思って僕も引きつけられるんですよ。なるほど。これすごくない?
いや、全然俺の解釈と違ったから、そこが驚きだわ。え、水野さんはどう解釈するんですか?
そのまま、まずこれって連体修飾を名詞に対してるわけですね。「お姫様気分で楽しめる」っていう部分が「天蓋ベッド」にかかってるわけですよね。英語で言うなら関係詞、関係代名詞とかで「天蓋ベッド」っていう名詞を修飾してる、っていう風になるわけですよね。で、そうするとですね、言語学を修めた人間だと、空所がどこにあるかって考えるわけですよね。何、空所って?
例えば英語で「the book I bought yesterday」みたいなのがあると、「I bought yesterday」のどこが欠けてるかって考えちゃうんですね。ああ、はい。で、そうすると、boughtはbuyの過去形ですから目的語が必要なんだけど、なくなってる。そうね。何を買ったっていうところがない部分ができるわけだよね。
はい。で、その「何を」の部分が「the book」になっているっていう風に木構造を書く。なるほど。内部構造どうなってるかなって考えるんですよね。本を「私が昨日買った」っていうので修飾してるってことですね。
そうですね。そういう風に考えると、「お姫様気分で楽しめる」って言われると、何を楽しめるんだろうと思うわけですよね。で、そうすると、その後ろに「天蓋ベッド」があるので、もう天蓋ベッドを楽しむっていう解釈が真っ先に僕出たんですよ。そう。はい。へえ。
「楽しむ」の目的語がなくて、ここが空所になってて、やっぱトレースtを残してるから、こことそのやっぱり指標が同一のインデックスを持つ。[笑い] ちょっと勉強しすぎちゃってるな。言語学、生成文法みたいなの勉強しすぎちゃってるかもな。
生成文法やると、やっぱその木構造を考えて、どこが欠けてるかとか、それがどこに移動したかみたいなことを勉強するわけですよ。そうすると、セックスを楽しむって解釈を考えられなくて。男性女性っていう風に堀元さんは今切ったけれども、どっちも天蓋ベッドを楽しむ解釈が出ちゃって、天蓋ベッドでセックスを楽しむっていう解釈が出るのを、堀元さんに言われて初めて気づいた。
あ、そうなんだ。僕はもうこれ見た瞬間に、わ、エッチさを捨ててない。「お姫様気分」「天蓋ベッド」っていう一見エッチじゃなさそうな素材にも関わらず、エッチさを捨てないギリギリのコピーだと思って感動したんですよね。
えっと、もう1回確認すると、「お姫様気分で楽しめる天蓋ベッド」。うん。これ「お姫様気分を」にされたらエッチさないからね。そうですね。その後にセックスが入れられないですもんね。いわゆる二重ヲ格制約ってやつ。[笑い] 知らない。知らないす。なんすか?二重ヲ格制約。
「を」っていうやつを1文の中に2個入れるとかなりおかしくなるよっていう。ああ、確かにね。言わないもんね。「何々を何々をする」みたいな。
例えば「私は部屋を訪ねた」。これ言いますね。で、「私は部屋で友達を訪ねた」。これも言えるけど、「私は部屋を友達を訪ねた」。うん。うん。これ変になりますよね。
これなんか、だから二重ヲ格制約によってこの部分はおかしいと判断されるので、「お姫様気分をセックスを楽しむ」っていうのはこの制約から排除できるってことですね。はい。
まあ二重ヲ格制約とか持ち出さなくても知ってましたけどね、それはね。そ、その話をしてたから。僕、日本語としての感覚で出てたからね。いや、それを研究者がかなり注目してますよって話。あ、そっか、そっか。名前をつけてくれたんですね、僕の行動にね。[笑い]
あと二重ヲ格制約って聞いた時に、アステラス製薬みたいな製薬会社があるのかなって一瞬ビクってしました。え、でも制約って言ったらコンストレイントのね、やっぱりパッと浮かびますから。[笑い] アステラス製薬の方が僕は浮かびます。あ、もう、あれはもう全然二流。
あ、そうなんですね。そうか、そっか。製薬会社とかに比べて一流の制約は二重ヲ格制約とか。[笑い] 違うと思うけどな。株価とか的にアステラス製薬の方が上だと思いますけどね。
島の制約とか[笑い]、whの島の制約とか。そう、そう。そういうの方が上。そっちの制約の方をみんな覚えてほしい。え、大正製薬とかより? あ、二流。あ、マジ?あ、世の中の製薬会社全部二流か。はい。そっか、そうなのか。
そうそうそう。その、あ、下接の原理で説明できるとかって感動を覚えてほしいですけど。うん。ちょっと賛同しかねますね、それはね。僕はやっぱ株価が高い方が偉いと思ってるんで。全然、島の制約って株価0じゃないですか。[笑い] 大正製薬の方が上です。上場してないからね。雑いですね。
でさ、今思ったのはさ、「お姫様気分で楽しめる天蓋ベッド」に、堀元さん、その性行為を読み取ったんだけど、それって元の文にそれを明示的に埋め込んだらどうなるんだ? 「お姫様気分でセックスを楽しめる天蓋ベッド」じゃない? ああ、はいはいはい。まあ自然だな。埋め込んでも自然ですね。うん。
なんか僕はそれを意図してこのコピー書いてる気がしましたけどね。「お姫様気分でこの天蓋ベッドはセックスを楽しめる」。これも自然ですもんね。うん。
え、今考えてるのは、ベッドって「何々を楽しむ」って言えるんだっていう。セックスを楽しむみたいな。そうそうそう。そうそう、とか「ベッドで睡眠を楽しむ」。まあ言えるか。言えるんじゃない? 言えますね。
だから「楽しむ」はデ格もヲ格も取れるっていう話だな。そうだと思う。「どこどこで」も言えて、「何々を楽しむ」も言えると。で、その「楽しむ」がヲ格もデ格も取ることを利用したコピーだと言ってるってことね。そう。技ありだなっていう。
で、しかもこれ英語で直訳しようと思っても、この多義性って出せないんですよね。あ、そうなんだ。
っていうのも、英語の関係詞って、欠けてる空所の名詞が何なのかって明確に明示しなきゃいけなくて。例えば「どこどこで」だったらatとか、あるいはwhereとかを使わなきゃいけないけど、「何々を楽しむ」みたいにその目的語が欠けてるんだったら動詞の後ろを空所にすればいいんで。つまりその欠けた名詞が何なのかっていうのは、前置詞とか、あるいはその動詞の直後を欠けさせることで明示しなきゃいけないから、日本語みたいにぼかせないんですね。はい。なるほどね。
日本語の連体修飾文で名詞を欠けさせるやつって曖昧なのをごまかせるんですけど、英語は結構くっきり明示しないといけないんで、これ英語にできないと思います。
英語の場合は、お姫様気分で天蓋ベッドを楽しむっていう前提になってしまうことね。果たしてお姫様気分で楽しむのは天蓋ベッドそのものなのか、あるいはその上でのセックスなのか誰にも分からないってことは作りづらいことですね。ああ、いい話だ。だから日本語の特異性を生かしたいいコピーですよね。そうですね。
だからこれさ、エッチな気持ちで見てるやつだけエッチに見えるし、そうだね、そうでもないやつはそうでもなく読めるっていう。だ、僕みたいなやつは、あ、ヲ格かなと。[笑い] エッチな目線で見てないからね。
だからその天蓋ベッドが僕の視野では移動しますよね、その位置。それやめて。トレースの話するのやめて、気持ち悪いから、それ。[笑い] tとtの指標が一致してる時にね、やっぱり。なんかお前それはそれで楽しそうだな。いいな。なんか素敵だね、それ。
そう。でもやりすぎちゃうと、堀元さんの解釈出せなくなっちゃうから、むしろ豊かさを失ってると思います。
ちょっと前に島村先生の知り合いの方と一緒に東京で会って飲んだんですけど、その先生は大学院の頃に日本語の主語削除、まあ削除、省略だと思ってくればいいです。主語を消す現象の研究をやりすぎたせいで、論文を読んで例文を見つけると、ひたすらただ主語を削除しようとしちゃう変な癖が生まれて、おかしくなってたって言ってました[笑い]。
もう全ての文に適用できないかなって考えちゃうんだ。そう。院生だしね。まあ結果出さなきゃいけないわけじゃないですか、っていう時に。うん。この主語は削除できないかなってのをずっとやりすぎてしまってたって。[笑い] 職業病って言ってたから、やりすぎるとそれはそれで、そうだね、おかしくなっちゃいますけど。
まあともあれ、堀元さんのそのコピーは、確かにね、そういう先入観がある人にだけ意味が解釈できるし。あと思って言うと、堀元さん今その性行為っていう前提を持って読みましたけど、違う前提を持ってる人からしたら違う解釈が出るかもしれないですよね。
例えばベッドの上で髪の毛にドライヤーをかけて櫛で解きたいみたいな欲があるとして、その人にとっては「お姫様気分で楽しめる天蓋ベッド」ってのは、その上でする行為って全然堀元さんと違ってくるわけですね。そうだね。お姫様気分で髪を梳かすことを楽しめる天蓋ベッドとも解釈できるよね。
そうです。だから今このコピーのすごさを改めて整理すると、天蓋ベッドの上でお姫様気分でしたいことってのが人それぞれで異なるからこそ多義性が生まれてるっていう、そういうコピーだと思いますね。
そう、だから僕はこのコピーが書かれてる看板を見た時に、うわ、なんてエッチなんだって思って、で、その後しばらく歩いてて、ん、エッチなのは俺かって思ったんですよ。だから己を映し出す鏡のようなコピーだなっていう意味で、これ素晴らしい技だなって思ったんですよね。うん。だから自分が俗物だって思った。ということです。
なんてエッチなコピーなんだと思った俺がエッチだったっていう発見ですよね。自己を教えてくれたコピーでもある。これ今リスナーの方ってどう思ってるか分かります? やだなって思ってるかもしれない。そうですね。時間を返せとか、くたばれとか。[笑い]
いやでも素晴らしいじゃない、これ。技ありでしょ、これ。はい。その英語に訳せないとかって意味でもね、連体修飾の被修飾語が連体修飾内でどのような格構造を持ってるかってのを隠してる日本語だからこそできるコピーってことですもんね。そう。バリアンさん本当素晴らしいと思う。どんどん好きになります。まあ、スケベのお前はいいのかもしれないけれども。[音楽]
堀元さんにちょっとスケベ系のね、用例あげてもらったんで、せっかくなら僕もスケベ系で、こんなコピー作れるんだって思ったものいきますね。意図としては「ボインすぎる家庭教師」っていうことが言いたいんですけど、巨乳ってことですね。そうですね。前に何を置いたらボインすぎるって強調できると思います?
まあでもあれじゃない? 僕の視線を釘付けにするとか、そういうのじゃない? そうね。僕が見たやつがですね、「教え子の偏差値が0になる」って書いてあって。あ、技ありかもしれない。偏差値って0にならないもん。そうしてさ、ゼロ出ないじゃん、あんまり。で、しかもゼロってワード強いじゃん。
で、その飛距離で「教え子の偏差値が0になるボインすぎる家庭教師」っていうコピーがあって、これ頭ひねってもなかなか出ないコピーだなと思ったんですけど、今僕損してます。なんでこの話を始めたんだろうって思ってます。
実はね。そうなんですよ。僕ね、面白いAVのレビューとか記録してるんですよ。あ、収集してるんですね。素晴らしい。素晴らしい心がけ。偏差値がゼロになってます。どんどん着々となっていきます。いや、でも素晴らしいと思う。そういうところにね、やっぱ面白い例があるせいで、ついついメモしちゃうので。わかる。めっちゃわかります。
ちょっと今なんか僕ヒンシュクを買ったんで、別の紹介してちょっと戻しますね。鎌ケ谷っていう千葉県にある市の注意喚起看板。うん。警察がさ、自動車とかに対して、子供飛び出してくるぞみたいな、注意する。速度落とせみたいなやつですか? あ、そうですね。看板があるんですけど、それがすごくて。
「速度落とせ 飛び出すぞ 路地から子供が自転車が」。語呂がいいね。うん。これさ、語順がすごくてさ、これ多分直すと「路地から子供が自転車が飛び出すから速度落とせ」。そうだね。なんですけど、それが「速度落とせ 飛び出すぞ 路地から子供が自転車が」。確かに畳みかけてるよね、後ろから。
そうですね。「路地から子供が自転車が」っていうか、あれだな。ウエストランド井口さんのツッコミで脳内再生されるな。速度落とせ、飛び出すぞ、路地から子供が自転車が!ってなるね。
てかさ、ウエストランドの井口さんって、かき混ぜしてるのか? うん。順番めちゃくちゃだよね、井口さんって喋り方。うん。「何々だろう。何々じゃないんだから。何々は何々か」っていう。[咳払い] そうだわ。あれすごいよね。あ、そういうことか。あれだから、だから面白いんだ、あれ。
そう、そう、そう。井口さんと同じ思想の人が書いたというか、井口さんが書いた看板です、これ。え、ウエストランド井口さんが受けてくれた仕事ですよね、この仕事。「路地から子供が自転車が」って。そう。CV井口す、これ。そうだね。でも確かにCV井口だね。だと思いますね。
日本語みたいな言語で、助詞とかと一緒に要素を丸々ずらすことをかき混ぜ、うん、スクランブリングとか言うんですけど、これかき混ぜの極地なんですよね。めちゃくちゃかき混ぜちゃってんだね。
そう。よくあるかき混ぜって「りんごを花子が買った」みたいな。はい、はい。よくある基本語順は「花子がりんごを買った」なんだけど、「りんごを」が前に来てもそんな変じゃないじゃん。「りんごを花子が買った」って普通に言うじゃないですか。ちょっとかき混ぜられてるだけですね。
そう。違和感覚えないレベルなんですけど。「速度落とせ 飛び出すぞ 路地から子供が自転車が」って、述語が全部前に来て、「路地から」と「子供が」「自転車が」で言うと、ガ格の「自転車が」とか「子供が」の方が前に来やすいですよね。でもこれ「路地から」が先に来ていて、その後に飛び出す主体である「子供が」とか「自転車が」っていうのが来ているので、自然発話ではなかなか見ない順番。そうだね。
だしこのコピーを聞いて何を意味するか分かりましたよね。うん。意味わかるね。ということは容認できる文ってことですよね。ね、意味がわからない文ではないし、文法的じゃないとも思わなかったわけだから、自然な文っていうことになりますよね。奇文じゃないってことですね。奇文じゃないですよね。
っていう、あ、ここまでかき混ぜていいんだってのが僕面白かった。やっていいんだポイントですね。あとさ、思ったのは、これ575になってるよね、後半。後半はなってます。「飛び出すぞ 路地から子供が 自転車が」って音気持ちいいから、なんか書いた人の気持ちも分かるよね。
でもさ、その前がさ、「速度落とせ 飛び出すぞ」。65ですかね。うん。確かにそこで乱れてますね。そう。だから仮に575にどうしても収めたかったからかき混ぜたんだったら分かるんです。でもこれ575じゃないから。そうだね。
うん。「路地から子供が自転車が」、まあ75で語呂いいけど、前半そうじゃないこと考えると、なんか必然性を、そこまでかき混ぜる必然性を感じない。で、まあ色で言うと、この「速度落とせ」は赤色になっていて、「子供」と「自転車」は青色になっている。だから強調したい箇所は分かるっちゃ分かるんだけど、なんかそれにしてもちょっと不思議だなと。そうだね。
まあ書いた人の意図としてはあれでしょうね。[咳払い] 「速度落とせ」が言いたいことだから先にそれ書いちゃって、その後の内容で、あ、575作れるじゃんって言って、「飛び出すぞ 路地から子供が 自転車が」を作った感じしますね。
そうですね。だから伝えたいものを先に持っていきたいという欲求が当然あるわけですよね。だから「速度落とせ」とか「飛び出すぞ」っていう重要な情報を先に伝えると。子供がその辺歩いてて、ボールを例えば取りに行った時に、向こうから自動車が走ってくるのが見えたら、子供に対して何て言います? 危ないとかじゃない? そうだね。危ないって言いますよね。
これ英語だったら何て言うと思います? うわあ、わかんない。え、でも気をつけろ、Watch outとかじゃない? あ、そうそうそう。まさに。なんで「危ない」じゃないの? あれ?本当だ。なんでなんかね。あとね、英語でよく言うのはBe careful。ああ、はいはいはい。気をつけろね。あれ、確かに「Dangerous」とかでいいじゃん。なんでDangerousじゃないんだろう。
これがまあ英語と日本語の発想の違いで、「危ない」って、何すればいいのかわかんないわけですよね。ああ、はあ、はあ。で、英語の場合だったらそういうWatch outとかBe careful。まあBe carefulだとちょっと遅いかもしんないけど、要は逃げろとかね、言ってパッと指示を与えた方が分かりやすいと思って英語はそうしてるし。
実際、確か日本でも本当は「危ない」とか言うと子供がこうくまっちゃうから、じゃなくて「走れ」とか言ってあげた方が安全なんじゃないかみたいな話を聞いたことがあって。要は引きで状況を見てね、「あ、危ない」っていうよりも、「速度落とせ」とか「飛び出すな」とか「こっちに走れ」とか言った方が分かりやすいと。そういう欲求がこの看板にも出ているからこそのかき混ぜ。なるほど。はあ。なんじゃないかと思いますね。
今その話聞いてて急にフラッシュバックしてたんですけど、昔、恋人が運転する車に僕乗ってる時に、助手席で。助手席で。運転席にその人がいて、助手席に僕がいて、ちょっと見通し悪い道の合流の時に、横から車来てて、で、多分その恋人が気づかないままちょっと行こうとしてる時があって。
僕はそん時に「ああ」って言ったら、「ああじゃなくて、車来てるとか言わないと」って言われて、ああごめんなさいってなった思い出があるんですよ。これだからWatch outとか言えばよかった、英語で。うん。だから「ああ」とか、なんかそのなよなよしたことを言うなよっていうことだったのかもしれないですね。
これでもさ、意識してできるようになることでもないじゃん。まあとっさのことだからね。そう、とっさの時に「止まって」とかパッて言えっていうのって結構むずいよね。むずい。そう。助手席にいる時の振る舞いって習ったことないし、できるようになってないから。
うん。まあだからこそ日本語話者とかが、子供が危ないって思った時にとっさに「危ない」って言っちゃうのとかって、そういうことですよね。「気をつけろ」とか言った方がいいかもしれないのに、それ言えないもんね。うん。「飛び出すな」とかってパッと出てこないじゃん、普通に。
うん。そうか。だからあの時の恋人は日英対照研究的な怒りをしていたってことですね。もっと英語話者的な感性を身につけろってことだったんだ。あれだ、やっぱり多分彼女が僕に求めてたのはWatch outだったのかもしれないですね。そうだね。英語で喋れってことだったのかもしれない。
か、アメリカみたいに左車線と右車線が逆になってるのが悪いと。あ、この事故も、英語話者の私だったらこっち側に来ても危ない思いはしなかったのに、なぜ日本に生まれたのだろうっていう。その通り。なるほど。この話やめましょうか、そろそろ。この話をやめましょう。限界ですね、今日。[笑い] もう面白くないです。はい。やめましょう。
続きまして、この広告コピー、リスナーからも募集してるんですよ。で、収集してるフォームっていうのがございまして。そうなんですよね。そちらにもいっぱいいいの来てるんで。宝の山みたいなね。そう。めっちゃ面白いの来てるよ。ですよね。
ちょっと読みますね。ヨ名、山田公園さん。山田公園さん、ありがとうございます。映画『最終絶叫計画』というB級ホラー映画のキャッチコピーでございます。「早くもアカデミー賞絶望」。
ん、あ、だから公開される前から絶対にアカデミー賞取らないだろうなっていうことで、「早くもアカデミー賞絶望」っていうコピーで公開されたそうです。なるほど。いいフレーズじゃない、これ。
これね、「アカデミー賞」ってゼロ助詞、助詞がないですよね。「が」なのか「で」なのかわからんな。あ、アカデミー賞が絶望したのか。そう。アカデミー賞で絶望したのかとか、なんて言うんだろう、多義的だと思うんですよね、このコピーって。
うん。え、でもアカデミー賞取れないよってことでしょ。でも例えばアカデミー賞の審査委員がこれを見たら絶望するだろうっていう意味かもしんないよね。ああ、なるほどね。アカデミー賞で絶望みたいなことかな。そうですね。はい。
この方が考察も送ってくれてて、普通映画のポスターというのはアカデミー賞受賞とか景気のいいことを言って訴求するのが当たり前なのに、このコピーは逆にしていると。だからくだらない映画だというメッセージがきちんと伝わってきて素晴らしいと思いました、っていうことなんですよね。うん。なるほど。
だから結局さ、「アカデミー賞受賞」とか「アカデミー賞ノミネート」っていう時、助詞使わないじゃん。うん。はい。そうですね。だからそれの逆張りだよね。「アカデミー賞受賞」の逆で「アカデミー賞絶望」って言っている。なるほど。うん、うん、うん。っていう意味では、結局アカデミー賞取れないですよっていうことなのかなと僕は思いましたね。なるほど。
似たので、『ポプテピピック』っていう漫画の1巻の単行本の裏表紙の帯の文句思い出したんですけど、それが「数多くの名誉ある賞」って書いてあって、[笑い] その下に「このマンガがすごい!2016」「マンガ大賞2016」とか「第9回国際漫画賞」とか、あと「第154回芥川龍之介賞」とかって書いてあるんですよ。
で、これポイントは、受賞したとは一言も言ってないんですよね。うん、うん。おお。だから、これらの賞が数多くの名誉ある賞だって言ってるだけなんですよ。[笑い] これずるいって、そんなん。本当だ。「数多くの名誉ある賞」って書いてあるから、確かに受賞したとは書いてないな。
で、キャラクターが「これらは数多くの名誉ある賞なのじゃ」って言ってるだけで、受賞したとは一言も言ってない。[笑い] あ、面白いね、それ。はい。それいいな。ゆる言語学ラジオのさ、概要欄にも書いとこうぜ。
だからピューリッツァー賞とか、イグノーベル賞とか。「数々の名誉ある賞」って言って、ギャラクシー賞とか書いとけばいいじゃん。取れんの俺ら? いや、取れないよ。取れないけど、その名誉ある賞として書いといたらいいですよね。概要欄に載せといたらいいんじゃない?これ。
これだからギリ法律で訴えられてないレベルの訴えだと思うけど、それ。[笑い] 景表法取られる可能性あるけどな。ありますね。すごい攻めてますね。ポプテピピックはこういうことをね。素晴らしい。してますね。
ちなみに、僕最近『九条の大罪』っていう法律ドラマを見てるんですけど、それの中の下りで、チャンピオンズって芸人さんのね、「日本一面白い大崎」っていう芸名について、「これ景表法違反だと思いますね」っていう下りがありました。[笑い] 確かに言われたらそうかも。確かにね。何を根拠に言ってるんだっていう。根拠なしにそれ謳っちゃったら誇大広告ですよね。
え、でもなんかモンドセレクション金賞取ればいいんです。取ってない、取ってない。モンドセレクションって人は取れないんですよ。あとあれ、金出したら取れるんすよ。お金出したら大体取れるからダメなんですよ。[笑い] そうなの? うん。あれ意味ないから。
え、芸人さんがモンドセレクション金賞取ったら日本一面白いとこ。いや、ダメです。ならないす。あれ、それ金積んだんだなって思われるだけです。あとモンドセレクション金賞を取ったのは、人類史上、合力あさんだけです。あの人だけが事務所の力で取ったらしいす。もう訴訟されろ。お前も言ってたな、てめえは。ゆるコンピュータ科学ラジオで言った気する。良くないね。
堀元さん、このパッケージ、はい、何って書いてあります? 「とろろ昆布 無添加」って書いてありますね。はい。これ旧パッケージで、新パッケージこうなったんですけど。え、とろろ昆布で、なんかあれ、添加の部分がなんかちっちゃい字になった。
そうですね。これ何が起きたかというとですね、[規制]によってですね、はあ、「無添加」って単独でパッケージに表記できなくなったんですよね。あ、無添加って言っちゃいけなくなったんだ。
はい。その結果ですね、新パッケージはですね、「無」の後に横に「無条件においしい」って書いてあるね。[笑い] なんすか? おい、ずるいぞ。なんで? それ意味ないじゃん、何も。何が? 「無」って書いたら、あ、なんか無添加とか何か使ってないのかなって思うじゃん。え、そんなこと思うんすか?
思うだろ、そりゃ。でもそもそも旧パッケージ無添加だったし。それずるいよ。たまたまね。たまたま旧パッケージは「無」って大きかったって。で、それとは独立して、新しいパッケージで「無条件においしい」ってどうしてもどこかに書きたいなって思ったわけですよね。たまたま。たまたま。で、たまたま無条件の「無」だけでっかく書いちゃったってことですね。
そうで、横に※印ね、かっこ「無条件においしい」って書いてあるっていう。[笑い] ずる。ことがあって。なんちゅうギリギリなことするパッケージだ。いや、これなんかすごい僕デザインかっこいいなって思いました。え、どこがだよ。無添加に引っ張られてる、完全に。え、そう? そう、無添加ありきじゃん。
え、これ見て無添加って思う人どこにもいないだろ。元のパッケージ無添加だったんだから、あ、無添加なんだなと引き続き思いながら買うだろ、みんな。頑迷な消費者がいると違うけどな。すごいね。ギリギリ攻めたね。
そう。こういうね、景表法とかね、消費者庁からの怒られを回避するためにギリギリを攻めるっていう、こういう事例僕いくつか知ってますから。人間の営みって感じがしますね。ギリギリを攻めようっていうね。はい。まあ似たので言うとね。はい。これありますよね。これ何?エビアン。
上にはエビアンの商品画像があって、下には何があります?これ。「北斗の拳 景品フェア」って書いてありますね。パチンコの広告ですね。パチンコ。はい。これ規制されたんですけど。なんで? え、エビアンは水を景品として入荷しましたよってことと、北斗の拳の景品フェアってことでしょ?
はい。え、冷静に考えて、エビアンが景品のパチンコフェア行きたいですか? 確かに水いらないな、別に。そうだよね。しょぼいよね。まあとはいえ、別に水と交換できますよって言われて嬉しい人もいるんじゃないの?
いや、これ実はですね、エビアンってパチンコ界隈では「エビとアンコ」の隠語なんですね。おお、なんすか?エビとアンコって。これパチンコの海物語の5と6がエビアンコなんですね。はあ。つまりパチスロ北斗の拳に設定5と6が入ってるということを、パチンコ好きにだけ暗示する広告。
あ、なるほど。景品エビアンっていうことが本質でなくて、この日は出るよっていうことを言っちゃってるんだ。はい。そういうことですね。で、パチンコってその「この日は高設定です」っていうのを謳ってはいけないとされているので、その結果ですね、エビアンの写真を載せる。[笑い] すげえ。いや、パチンコ店ってやっぱ最前線だな、それの。そうなんですよ。
なんかあれもそうでしょ。よくさ、麻雀プロの方とかがさ、「この日は誰々さん来店」って書いてあって、あれで集客効果あんのかなみたいな。その人ってそんなにパチンコ界隈で人気なのかなって思ったことあるけど、あれ別にその人が来店するからっていうよりは、こんな有名人を呼んでるってことは設定がいいに違いないってことでみんな期待していくってことなんだよね。
うん。そうですね。で、その結果ですね、有名なタレント別に呼ばんでええやんってなって、今どうなってるかって言うと、AIが来店するっていう設定を使って、高設定をこう暗示するっていう。すげえ。でも確かにそうだね。来店って言ってることに意味があるのであれば、AIでいいもんな。そう。これによって経費を削ってるパチンコ店があるって話を聞きました。[笑い]
お前、地獄みたいな情報ばっか収集してんな。いやいやいや、すごいな。言語が好きで。[笑い] とにかく言語関係なかったですよ、あんま。エビアンはギリギリ言語関係あったけど、誰々来店にAIのやつ呼んでるってのは全然関係なかったよ。そ、それ、ただのグレーの話が好きなだけでしょ。違いますよ。脱法が好きなだけでしょ、あんた。
これ、これ。「同日一斉AI来店」。[笑い] ええ、AIって書いちゃってる。めちゃくちゃAIって書いてる。しかも生成してる人物めちゃくちゃAIだ。そうですね。すご。
北島光っていうのが来店してるって言いながら、ついでにあの北島光の妹、あかりもデビュー。ついでにデビューします。内訳どうでもいいだろ。これ。だって実際来ないすもんね、この人たちは。いや、来てるんじゃないですか? いや、だから来ない。確かめたんですか?
いや、確かめてないですけど。別にフィジカルないから、この人たち来店してないでしょ。わかんないじゃん。分かるけど。確かめてないなら、じゃあ責任あなたになりますよね。な、なんで俺が責められてんのかわかんないけどな。常識を喋ってんですけど、僕はね。
AIが来店します。ご存じですか? めんどくせえ、こいつ。来店してます。すいません。ごめんなさい。僕間違いました。来てる可能性は十分ありますね。そうだよ。北島光が来てますよ、ちゃんと。すごい勉強になります。はい。
あと次、フォームに来てるいいやつありますね。ヨ名、コラージュの練り消しさん、ありがとうございます。はい、ありがとうございます。豊橋競輪場のポスターです。はい。「競輪は真剣にやるんだよ。真剣にやっても勝てないんだから」。ああ、これいいですね。いいですね。
自虐コピーというか、どうせ勝てないんだから、それでも真剣にやりなさいよという矛盾だよね。[笑い] えっと、もう1回読んでください。「競輪は真剣にやるんだよ。真剣にやっても勝てないんだから」。その「から」ですよね。ね。接続助詞「から」が全然順接として結びついてないところ。矛盾してるもんね、言ってることね。矛盾してること言ってますね。
真剣にやっても勝てないんだから真剣にやるんだよと。うん。というかこれさ、タモリさんの言葉を前提にしてない? ほう。なんか後輩芸人かなんかとゴルフに行った時にさ、「真面目にやれよ。仕事じゃねえんだぞ」って言った。ああ、面白いね。いけてるよね。そうだね。
だから結局、仕事なんで適当に力抜いてやっていいけど、遊びなんだから本気出してやれっていうことを言ったっていうエピソードありますけど、似てない?それに。
そうですね。論理的に見るといわゆる矛盾ではないんですけど、本来であれば逆接にしなきゃいけないところってことですよね。逆接じゃなきゃいけないところを順接にしてるのが面白いっていうことですね。
そう。「真剣にやっても勝てないけど、真剣にやるんだよ」だとあんまり面白くないですよね。うん。全然面白くないですね。「真剣にやっても勝てないんだから真剣にやるんだよ」の方がいいね。で、それがかき混ぜてるわけですよね。そうだね。先に「競輪は真剣にやるんだよ」が来て、その後「真剣にやっても勝てないんだから」、従属節が後ろに来ると。ってことですね。ああ。うん、うん、うん。
これいけてますよね、なんか。面白いですね、これ。で、このコラージュの練り消しさんがコメントくれてまして、競輪の広告なのに「勝てない」というワードを使用しているにも関わらず、なぜか競輪の魅力を示している、っていうことを言ってて、俺もそうだなって思います。うん。
「真剣にやっても勝てないんだから真剣にやるんだよ」って、なんか賭博の本質な感じしない? 確かにね。まあ胴元がさ、儲かるってことは分かってんだけど、それでもやるんだよっていうこととかも、真剣にやっても勝てないんだけど真剣にやってるもんね。うん。そうだね。なんか夢中でやる喜びみたいなの感じる気がしますね。
なるほど。ああ、これいいコピーですね。だよね。だから、ここから学びを抽出すると、逆接のところを順接で言うとコピーっぽくなる。そうだね。
てことですよね。例えば、雨が降ってるけど散歩に行こうと思う、みたいなのあるじゃん。
普通だね。
それを前後を入れ替えて「から」に変えると、散歩に行こうと思う。雨が降ってるから。
ああ。ああ。コピーだ。急にコピーになるな。なんか雨合羽とかのコピーになりそうだよね。
ああ、そうだね。行けそう。行けそう。お、いいね。
とか、彼は不器用だけどとても優しい人だ、とかを今の型に流し込むと、彼はとても優しい人だ。不器用だから。
ああ。え、コピーっぽい。あれ? あれ? え? コピーを産む黄金の方程式作ったんじゃない? 今。
いけた。すげえボロボケだ。
だから、堀元さんはクズでどうしようもなくてカスで銭ゲバのうんこ野郎だけれども素敵だ、とかは、堀元さんは素敵だ。カスでうんこ野郎で銭ゲバでどうしようもなくて耳くてセンスも悪いから。
違ってたし、元の文忘れちゃってるじゃん。生成失敗してるし。あとフォロー追いついてないですよ。その「素敵な人」だけで帳消しにできないぐらい悪口言ってたよ。うんこ野郎とか言って。ダメです。ダメです。悪口はなんとかならないです。
でもコピーっぽくはなるね。これコピーっぽいね。すごい黄金法則見つけたわ。
見つけましたね。ちょっといいこと言ってるっぽい名言とかも大量に生産できる。
今ね、AIにちょっと使った例文作らせてみたんですよ。
はい。はい。
そしたら例えば、日本語は難しいけど勉強するのが楽しい。これ今のにすると、日本語は勉強するのが楽しい。難しいから。になるわけですよね。とか、その映画は長いけど最後まで飽きずに見られた、とかは、その映画は最後まで飽きずに見られた。長かったから。
うん。みたいな、なんか意味深な感じになるもんね。
いけるな、これ。雰囲気出せるな、これ。儲かるぞ、これ。これを活用すれば、なんかそのむっちゃ鋭いこと言ってる言論人みたいな空気ぽいぽい出せるよね。
出せるね。それで「なんとかだけどなんとかだ」を全部その方式で言うと、一気にメディアで重宝される若手言論人みたいな感じ出せる。
そうだね。あともう1個思ったのがさ、秦基博さんの「ひまわりの約束」っていう代表曲ありますけど、あれの歌い出しさ、「どうして君が泣くの まだ僕も泣いていないのに」。これこのメソッドで生成した可能性あるよな?
えっと、だからさらにそれを直すと、まだ僕は泣いていないので、どうして君が……違うわ。ごめん、成立しなかった。あの雰囲気似てたからそれかなと思ったけど言いがかりでした。秦さんって素晴らしいですね。
ドブネズミみたいでうんこみたいで銭ゲバで下劣で、育ちがドブネズミでした。ごめんなさい。感性がドブネズミでした。
生成しようとしたら、なんか変なの出力されたもん、俺。僕が泣いているから、みたいな。失敗した。僕が泣いているから、どうして君が泣くの?
全然成立してねえ。あ、待って。違う違う違う。ごめんなさい。歌い出しって言っちゃったんですけど違いました。「ひまわりの約束」のラスト。
うん。はいはいはい。どんなんだっけ?
「これからは僕も届けていきたい 本当の幸せの意味を見つけたから」。「から」だ。これ「から」だから、このメソッドで作ってるよ。
え、だから、本当の幸せの意味を見つけたけど、これからは僕も届けていきたい。
どういうこと? 全然ダメ。全然ダメだな。
あれ? 秦基博さんがこのメソッドを使ってるって仮説は間違いでした。全く使ってなかったです。
そうですね。ま、作業仮説として立てて違ったよっていうことですよね。科学と一緒だから。
この人、言論人ということで。
秦基博さんってね、言論できないんすよ。やっぱ歌を歌うことしか能がないから。シンガーソングライターがやっとの人。
失礼すぎるだろ。やっととか言って。
違いました、僕でした。言論人じゃないの?
そうだよ。ごめんなさい。ごめんなさい。お前ゴミみたいな声で歌うのやめろ、お前みたいな。
そんなわけで本日は、いい広告コピーを読む会やってまいりました。
うん。ほぼ広告コピーじゃなかったです。
ま、違うやつも色々読みましたけど、日常会話とかメールのやり取りとかでは見ないような変わった状況、歌とかコピーとか看板とか、そういうので見た用例について、言語的に見るとどこが面白いかってのを話してきた。
はい。ということですね。
そしてですね、今回のコピー収集フォーム、常時募集してるんですけど、2023年からもう3年近く募集してるにも関わらずですね、あんまり集まってません。
これなんでだろうって考えたんですけど、僕らが皆さんに「こんなフォームあるからぜひ応募してください」って言ったのに読まないからじゃないですか?
あれ、しかも読んでない上に、こんなフォームあるんですよっていう情報すら滅多に喋ってないですよね。
うん。だから来ないのか? うん。そうじゃないですか?
あれ、フォームってもしかして存在をみんなに教えないと来ないんですかね?
それもそうですし、せっかく投稿したのに読んでくれないんかいっていう視聴者への裏切り。
確かに。
そういった声が積み重なった結果、信用既くないですよ。こんな。はい。ダメです。
なんで他人事みたいに喋ってるんですか? 僕らのせいですよ。
俺ら。ま、なので、ちょっと今日も何件か読ませていただきましたし、今後も読みたいと思っております。
実際ね、来てるやつって面白いんですよ。面白いやつ来てます。
ただですね、色々見たらですね、ちょっとコンプラ的に読みづらいなというものがいっぱいありまして。
はい。じゃ、ちっちゃい声で言うとどんな感じですか?
え、パパ活アプリの広告のコピーで「友達を売ろう」っていうコピーが来たりしてますね。
はい。ちょっと倫理観どうなってんだこの人っていう。
え、これ、この人は俺らに読んでほしいと思ってこれを送ってきた?
あ、多分そうですね。
え。なんか書いてある? そのコメントとか。
インパクトが強くて面白いって言ってます。
バカ。バカかお前。無かお前。俺ら登録者減るわ。
小番派な女子さんから来て。
そんな名前だ。帰れお前。何もかもひどいな、こいつ。
ちょっとこういうのが結構いっぱい来てまして、ちょっとポリコレ的に読みづらいなみたいな。
読めないやつ来てんの。
そう。ゆる言語学ラジオで、おそらくですけど、アダルトビデオの話とかしてるせいだと思います。
お前がしてたんだよ。率先してた。お前が始めたんだ。
教え子の偏差値が0になるっていうコピー。
ありましたね。
コイン家庭教師のやつとか言ってるせいで、ちょっと来ちゃってるんですけど、ごめんなさい。読みやすいやつもうちょっと色々募集したいと思いますので。
僕らのイメージってもっとクリーンなイメージ。
そうなんですよ。やっぱね、エッチなこととか悪口とか言わないで暮らしているっていうのを信条にしておりますので、そういうつもりで。概要欄と固定コメントにフォームのURL貼っておきますので、引き続き皆さん、広告コピーに限らず、いいなと思った言語表現ありましたら是非どしどしお寄せください。
歌詞とかでも大丈夫です。
以上、終わりにしましょう。ありがとうございました。
ありがとうございました。
堀元さん、うまく話せなくて悩むことってありません?
よくあります。
そんな悩みを抱える方にぴったりな本を書きました。
ほう。
タイトルは『会話の0.2秒を言語学する』。会話のわずかな間にフォーカスした1冊です。是非皆さん買ってください。
うん。
記事公開
