転職エージェントは「特化型を最低2社」で選び、応募は慎重に:選び方と使い倒し方の完全ガイド

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概要

転職エージェントをどう選び、どう使えば転職の成功につながるのか。転職ノウハウを発信するYouTuberのサラタメ氏は、エージェント選びが転職の成否を分けるほど重要だと位置づけている。同氏は3年以上前にも同じテーマの動画を公開したが、その後も転職成功者や採用担当者への取材を重ねてきたとして、内容を改めて整理した。

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結論は2点にまとめられる。1つは、リクルートエージェント、doda、マイナビのような総合型大手よりも、支援が手厚く知見の深い「特化型」エージェントを使うこと。もう1つは、1社に決め打ちせず、最低でも2社と面談して比較し、相性の良い方に絞ることだ。動画はこの結論を、基礎知識、見分け方、使い方の4ステップ、よくある質問の順に説明していく。

転職エージェントの仕組み:企業が年収の約3割を払う

サラタメ氏はまず、転職エージェントを「登録すると無料で担当者がつき、転職活動をサポートしてくれるサービス」と定義する。担当者は面談で、どんな会社に入りたいかという希望と、これまでの経験やスキルを確認し、それに合った求人企業を紹介する。さらに面接の日程調整、面接対策、給与や入社日などの条件交渉も代行する。

これを無料で提供できるのは、転職希望者ではなく求人企業からお金を受け取っているからだ。企業から見れば、エージェントは「こういう人材が欲しい」という依頼に応えて候補者を連れてくる「人探し屋」である。紹介された人が入社すると、企業は成果報酬を支払う。相場は入社者の年収の約3割で、年収500万円の人が転職すれば約150万円がエージェントに入るという。

ここからサラタメ氏が強調するのは、エージェントはボランティアではなく、転職者を入社させて報酬を得るビジネスだという視点だ。以降のメリット・デメリットや使い方の話は、すべてこの前提から説明される。

本質的なメリット①:裏条件と選考情報を「カンニング」できる

ネット上の記事では、プロに相談できる、手間が減る、非公開求人がある、といったメリットがよく挙げられる。サラタメ氏はこれらを間違いではないとしつつ、本当のメリットは別にあると言う。それが「カンニング」と「戦略的スケジュール」の2つだ。ただし、これは優秀なエージェントに当たった場合に限るとも断っている。

カンニングの1つ目は、求人の「裏の条件」を知れることだ。公開されている求人票には学歴や転職回数の条件は書かれていない。しかし実際には、日東駒専以上やGMARCH以上の大卒でなければ採用しない、20代で転職回数2回は多すぎてNG、といった条件が設定されていることがあるという。これを知らないと、内定の可能性がない企業のために応募書類を書いたり志望動機を考えたりする無駄が生じる。

カンニングの2つ目は、応募書類や面接の中身だ。転職希望者がある企業の選考を受けるのは基本的に人生で1回だけだが、エージェントは同じ企業の選考に何度も関わっている。どんな書類が通過したか、面接でどんな質問が出たか、どう答えた人が内定したか、面接官がどんな人柄でどんな回答を好むか、といった情報を蓄積している。これを教えてもらえれば内定確率は上がる、というのが同氏の説明だ。

本質的なメリット②:戦略的なスケジュールを組んでもらえる

2つ目のメリットについて、サラタメ氏は「他ではあまり言及されていないが、個人的に非常に重要だと思っている」と述べる。転職活動では、スケジュールの立て方によって内定確率も年収交渉の強さも大きく変わるという。

同氏が挙げる例は3つある。第一に、面接は場数を踏むうちに必ず上達するので、志望度があまり高くない企業から「練習台」として受け始めるやり方がある(求人企業には怒られそうな話だと本人も付け加えている)。第二に、年収交渉をするには第1志望だけでなく、志望度が低い企業も含めて複数の内定を持っていた方が材料にしやすい。第三に、複数内定を交渉に使うには、内定承諾期限や最終面接の日程をそろえる必要がある。

同氏によれば、カンニングと戦略的スケジュールは、リクナビNEXTのような転職サイト、ビズリーチのようなスカウトサイト、最近増えている高額なキャリアコーチングでは実現できず、自分1人でもできない。

「直接応募の方が有利」という主張への反論

エージェントのビジネスモデルを知った人の中には、「企業の採用コストが下がるから、エージェントを使わず直接応募した方が内定を取りやすい」と言う人がいる。サラタメ氏はこれを「超珍しいケース」だとして否定する。カンニングと戦略的スケジュールがないと大きく不利になる、というのが理由だ。

企業側の視点でも同氏は反論する。エージェント経由の採用コストは1人あたり100万〜200万円かかるが、多くの人が転職したいと思うような優良企業にとってそれは必要経費であり、そのための予算を確保している。採用コストを節約するより、ライバル企業より早く良い人材を採用し、ビジネスを成長させる方が「ちゃんとした会社が取るべきアクション」だという見立てだ。

例外として同氏が認めるのは、まだ軌道に乗っておらず資金調達もうまくいっていないような小さなベンチャー企業だ。そうした企業に飛び込みたい人は直接応募の方がよいかもしれないが、一般的な転職ではエージェントを使うべきだ、というのが同氏の立場である。

デメリット:成果報酬目当ての「押し込み」と、その無効化

一方で、悪いエージェントに捕まった場合のデメリットもある。サラタメ氏が挙げるのは、成果報酬目当てに微妙な企業へ押し込まれるリスクだ。報酬に目がくらんだ悪質なエージェントは、ブラック企業や本人に明らかに合わない企業であっても、とりあえず入社させようとしてくることがある。同氏によれば転職エージェントは全国に約3万社あり、質はピンからキリまでだという。

ただし同氏は、このリスクは本人の一言で無効化できると言う。エージェントには紹介する権利はあっても、応募や入社を強制する権利は一切ないからだ。そのため鉄則として、面談は気軽にしてよいが、そのエージェント経由での応募は慎重にし、納得していない企業には絶対に応募しないこと。万が一応募して内定まで出た場合でも、エージェントが「今すぐ決めてください」「内定辞退は失礼だ」などと言ってくるかもしれないが、自分に合わないと思えば「要望に合わないので辞退します」と伝えればそれで終わる、と同氏は述べる。

使うべき人と、塩対応されやすい人

エージェントを使うべき人について、サラタメ氏は「明らかにキャリアが乱れている人以外は使うべき」と結論づける。キャリアが乱れている人は、使ってもよいが敬遠されやすい、というのが同氏の見方だ。

具体例として同氏は、36歳で個人向けの接客経験しかなくマネジメント経験もないなど年齢とスキルが見合わない人や、26歳で転職回数が4回以上あるなど年齢の割に転職回数が多い人を挙げる。理由はやはり成果報酬の構造にある。内定の可能性が低い人を苦労して支援して入社させても、背中を押すだけで内定が取れる人を入社させても、報酬額は変わらない。だから、キャリアが整った人を手厚く支援して早く決め、乱れた人は塩対応で手放すことが、ビジネスとしては正解になってしまう。

ただし同氏は、この状況は年々改善されているとも言う。エージェント会社が3万社以上に増えたことで、5年前、10年前と比べて対応する「ストライクゾーン」が広がり続けているからだ。そのため、転職を検討している人はほぼ全員、無料の初回面談だけでも試すべきだとする。明らかに塩対応されていると感じたら、転職サイト、有料のキャリアコーチング、直接応募など、別の手段を検討すればよい。

見分け方の原則①:大手総合型より特化型を使う

ここから動画は、信頼できるエージェントの見分け方に移る。サラタメ氏は、具体的な特徴や質問の前に押さえるべき原則として「特化型を使うこと」と「複数社で比較すること」の2つを挙げ、これを押さえないと後の見分け方が無意味になるとまで言う。

エージェントは、リクルートエージェント、doda、マイナビのようなテレビCMを打つ大手総合型と、中小規模の特化型に大きく分かれる。初めて転職する人は大手しか知らないことが多いが、同氏によればエージェントはコンビニより多い約3万社あり、その多くが特化型だ。コンサル業界特化、ITエンジニア特化など、業界や職種ごとにさまざまな切り口がある。

両者の違いを同氏は「大手は幅、特化型は手厚さ」と表現する。大手は紹介できる求人の量と幅が圧倒的で、地方の小さな会社まで網羅している。その一方で面接対策などのサポートは薄くなりがちだ。特化型は求人の幅が狭く、たとえばコンサル特化のエージェントに地方の食品メーカーを紹介してほしいと言っても対応できないが、面談や面接対策は綿密になる傾向がある。

同氏はこれを構造的な話だと説明する。大手は年間数十億円規模の広告費をかけてCMや交通広告を展開するため、膨大な数の転職希望者が登録する。一人ひとりに綿密に対応していたらパンクしてしまうので、良く言えば効率的、悪く言えば薄いサポートになる。同氏は大手を、エージェントというより求職者と求人企業を効率的にマッチングする「プラットフォーム」に近く、形態としては転職サイトに近いと評する。一方の特化型は大規模な広告ができないため登録者が少なく、一人に時間をかけられるし、口コミや紹介で集客するためにはかけざるを得ない。

志望業界がまったく絞れていない人や、地方の中小企業に転職したい人には大手の幅が役立つ。しかし同氏は、チャンネルの視聴者の多くは東京・大阪・福岡などの大都市圏で、安定した大手企業や急成長の人気企業を狙っていると想定し、そうであれば幅よりも狙った企業に向けて着実に支援してくれる手厚さが必要だとする。

ただし特化型にも弱点がある。中小規模が多いため質のばらつきが激しい。上場していたり社会的に注目されていたりする大手には一定のコンプライアンス意識があり、安定感では大手に軍配が上がる。コンプライアンスを無視して成果報酬しか見ていないような「やばいところ」も、突き抜けて頼れるところも、どちらも中小の特化型に多い。だからこそ目利きが必要だ、というのが同氏の整理である。

見分け方の原則②:必ず複数社で比較する

2つ目の原則は単純で、1社だけを見て信頼できるかどうかを判断することはできないというものだ。サラタメ氏は、自分がどれほど良いと思うエージェントを勧める場合でも、基本的に2社を紹介するようにしていると言う。エージェントは人が介在するサービスなので、相性が合わない可能性がある。そのときに選べる選択肢、比較できる相手があることが重要だからだ。同氏は、誰かに勧められたかどうかに関係なく、2社だけでもよいので必ず比較検討することを鉄則としている。

良いエージェントの特徴3つ

原則を踏まえたうえで、サラタメ氏は面談で確認できる良いエージェントの特徴を3つ挙げる。

1つ目は「グイグイ深掘りしてくれる」ことだ。面談では主にWill(今回の転職で何を望み、何を改善したいか)とCan(経験とスキル)が確認される。たとえば営業職の人が「営業はもうやりたくない」と言ったとき、「では別の職種を提案しますね」と応じるのは悪いエージェントだという。良いエージェントはそれを否定せず、なぜ嫌なのか、顧客が変わったらどうか、営業の中でも良かったタスクと嫌だったタスクは何か、と深掘りする。同氏によれば、営業が嫌だと言う人の中で本当に営業に向いていない人は実は少なく、深掘りすると問題は営業という仕事ではなく、今の会社の社風やノルマ、上司にあることが多い。

Canについても同様で、普通のエージェントは「誰に何をどうする仕事をしてきたか」を確認する程度だが、良いエージェントは「感情」と「工夫」まで掘り下げる。どんな場面で喜びを感じ、どんな場面で辞めたいほど嫌になったか。どんな場面が難しく、どう工夫し、それが周囲にどう評価されたか。同氏は、深掘りしなくても転職させること自体はできると認めたうえで、良いエージェントは内定を取らせるだけでなく、転職後にミスマッチを起こさず活躍できるか、本人のポテンシャルを最大限に引き出してなるべく高いところへ行けるかまで考えるため、結果として深掘りすることになるのだと説明する。

2つ目は「業界地図が頭に入っていて、ググっても出てこない情報を教えてくれる」ことだ。紹介された企業について、その業界のトップ3はどこか、ライバル企業や類似企業はどこか、それらと比べて何が違うのかと質問していき、表に出ない情報が次々と出てくるなら知見が深い、と同氏は言う。

3つ目は「まさに、という納得できる企業紹介をしてくれる」ことで、同氏はこれを1つ目と2つ目の総仕上げと位置づける。深掘りで引き出した本人の情報と、業界・企業の深い知識を突き合わせ、ロジカルに提案できるのが良いエージェントだ。逆に悪いエージェントの紹介には納得感がない。理由を聞くと「年収が高いんですよ」と、本人が年収を上げたいとは一言も言っていないのに答えたり、最悪の場合は「いいからとりあえず応募してみましょう」と押し切ろうとしたりするという。

「悪魔の質問」:志望企業が決まっていない場合

さらに具体的に見抜く手段として、サラタメ氏は悪質なエージェントがされたくない「悪魔の質問」を紹介する。志望企業が決まっているかどうかで、聞くべきことが変わる。

志望企業が決まっていない段階でまず聞くべきは「面談の回数」だ。同氏の目安では、3〜4回なら十分あり、5回以上ならかなり良く、10回以上は異常値だという。エージェントには面談回数の決まりがなく、効率よく売上を上げるには面談が少ない方がよいので、先に約束したがらず少なめに言いがちだ。そこを突くのがこの質問の狙いである。同氏によると、大手では1〜2回、あるいはWeb面談もなく電話だけということも多い。特化型は手厚さで差別化するので3〜4回が普通で、手厚いところは5回ほど、平均10回以上というところもあるという。

「人によります」とはぐらかされた場合は逃げの回答なので、「私は多めに面談してほしいと思っているのですが、その場合何回くらいになりそうですか」と自分のケースで聞き直すとよい、と同氏は勧める。実際に多く面談する必要はないが、熱意のあるエージェントかどうかを確認できるという。

おまけとして「面接対策の特徴」も聞くとよい。面接対策がマニュアル化・型化されているエージェントなら、専用の資料やサイト、動画などが何かしらあるはずなので、画面共有で見せてもらう。特にないと言われれば、あまり型化が進んでいないエージェントだと判断できるという。

「悪魔の質問」:志望企業が決まっている場合

志望企業が決まっていれば、より核心的な質問ができる。サラタメ氏が挙げるのは「決定実績」「面接の設問」「他エージェントとの違い」の3つだ。

決定実績とは、内定を出させた実績ではなく、実際に入社させた実績を指す。たとえばラクスに転職したいなら「ラクスで直近1年の決定実績はありますか」と聞く。同氏によれば、決定実績は厚生労働省に提出しなければならない数字なので「分からない」はあり得ない。一方、内定実績は報告義務がないので分からないと言われても仕方がない。件数の多寡で優秀さを判断するのは難しいため、1件でもあれば良く、担当者本人に実績があればなお良いという。

この質問が有効な理由として、同氏はここ2〜3年で立ち上がった新興エージェントの手口を挙げる。「ラクスを紹介できます」「サイバーエージェントを紹介できます」と大手企業の名前を出して近づいてくるが、企業と人材紹介契約を結んで紹介すること自体は誰にでもできる。実際に内定から入社まで至らせるのは難しく、決定実績があることは一定のパイプがある証拠になる、というのが同氏の説明だ。

面接の設問については、「サイバーエージェントの過去の面接の質問と、不合格になった人の理由の情報はありますか」と聞く。その企業に強いエージェントなら必ず記録を持っているはずで、はぐらかすようなら強くないと判断できる。「面接官によるので傾向はない」という答えもよくある逃げだと同氏は言う。面接官による多少の違いはあっても、企業ごとに誰を通して誰を落とすかという方針は必ずあるからだ。

最後の「他エージェントとの違い」は、ない場合も普通にあるおまけの質問だ。ただ、その企業から表彰されている、面接からの決定率が3位である、決定数が全国のエージェントの中でトップ5に入る、といった答えが返ってくれば強いと判断できるという。

使い倒す手順STEP1:自己分析は30分で終わらせる

ここから動画は、エージェントを使い倒す4つのステップに進む。最初のステップは、自己分析を30分で終わらせることだ。サラタメ氏は、年収、勤務地、ワークライフバランス、職種・仕事内容の4項目で改善したい点を整理するシートを示し、これを30分で埋めればよいと言う。逆に「10年後の理想の自分」や「幼少期から分かる私の本質」といった自分探しの沼にはまらないよう注意を促す。

同氏はこのシートについて4点を補足する。第一に、人間関係、社風、会社の将来性などを重視したい人もいるだろうが、それらはコントロールしにくく、4項目を改善していけば自然と改善されるものなので、4つに集中すればよいという。第二に、項目を4つに絞っているのは優先順位を明確にするためだ。互いに独立した軸なので、年収とワークライフバランスのどちらが大事かといった比較がしやすくなる。

第三に、最初は理想満載の表でかまわない。諦めるべきかどうかは自分ではなく転職市場が決めることであり、市場での評価が高ければそのまま突っ走れるし、低ければ妥協すればよい。複数のエージェントにぶつけて「このままいけます」と言われるか、「どちらかを諦めましょう」と言われるかを見ながら、バージョン2、バージョン3と修正していく。

第四に、この段階ではCanよりWillの整理が大事だという。自己分析はWillとCanの両面が必要だという反論は承知のうえで、同氏は、転職活動の初期段階で必要なCanは年齢、学歴、所属企業、転職回数、直近の業務が「誰に何をどうする仕事か」程度であり、面談で伝えれば10分で終わると説明する。経験やスキルの引き出しはエージェントの方がうまいことも多い。一方、Willは自分自身と向き合わないとなかなか出てこないので優先順位が高いという。

STEP2:初回面談でWillとCanを伝え、応募はしない

2つ目のステップは、初回面談でWillとCanを伝えることだ。整理したシートと、Canの簡単なまとめを伝えれば初回面談の役目は果たせる。加えて、最低限の転職意欲は示した方がよいとサラタメ氏は言う。「転職する気はないけど来ました」というような態度をとると、エージェントは途中で離脱されそうだと感じて本気でコミットしてくれない。「今すぐ転職したい」とまで演じる必要はないが、「良い求人があればぜひ転職したい」とは伝えるべきだという。

面談中は、先に挙げた深掘りをしてくれるかを確認し、悪魔の質問として面談回数や面接対策の特徴を聞く。そして同氏が最も強調するのが、初回面談では応募しないことだ。2社と面談し、すべてのエージェントから求人紹介を受け終わるまで応募しない、を鉄則にしてほしいという。

その理由として同氏が説明するのが、業界で「オーナーシップ」と呼ばれる仕組みだ。A社経由で応募すると、その応募者はA社に帰属し、同じ企業にB社経由では応募できなくなる。同氏のもとには、よく分からないエージェント経由で先に応募してしまい、後から良いエージェントに出会っても、オーナーシップを取られているためにサポートを受けられないという相談がよく来るという。すぐに応募させたがる、大量に応募させたがるエージェントは、このオーナーシップを狙っている、というのが同氏の見方だ。

自分から急いで決めたいと言った場合は別だが、慎重に検討したいと言っているのに応募を急かされたらおかしい。その場合は「他に2社のエージェントを使っていて、すべての求人紹介を受けて吟味してから応募するつもりです。何月中旬か下旬になるので、それまで待ってください」と伝えればよく、エージェントはそれ以上何もできない、と同氏は述べる。

STEP3・4:求人提案は全社から受け、選考は1社に絞る

3つ目のステップは、やり取りしたエージェント全員に、とりあえず求人提案まではしてもらうことだ。サラタメ氏によれば、コミュニケーションは微妙でも求人提案は的確、という担当者がいる。話し方が暗い、高圧的で怖いといった印象でも、実は知識があり提案が適切ということもあるので、応募はしなくても提案までは受けて、提案の質でエージェントを判断すべきだという。

4つ目のステップは、選考段階ではなるべく1社に絞ることだ。志望業界や志望企業が固まっていない「壁打ち」の段階では、複数社に話を聞いた方がチェック機能が働く。A社には高望みだと言われたが、B社には十分実現できると言われた、といった比較ができるからだ。しかし実際に書類を出し、面接の日程が組まれる選考段階では、複数社とやり取りするとコミュニケーションが大変になる。さらに、エージェントを使う大きなメリットである戦略的スケジュールも、担当者が複数いると足並みをそろえる管理が難しくなり、享受できなくなってしまう。特殊な事情がない限り1社に絞るべきだ、というのが同氏の考えだ。

絞り込みの段階では志望企業が決まっているはずなので、前述の悪魔の質問を使う。直近1年の決定実績、過去の面接の質問と合格者・不合格者の傾向、他エージェントとの違いを聞き、具体的な答えが返ってきたところをその企業に強いエージェントと判断して絞る、という流れだ。

よくある質問①:担当者に本気を出させるには

動画の最後に、サラタメ氏はコメント欄などでよく受ける5つの質問に答えている。

1つ目は、担当者に本気を出させる方法だ。基本方針として同氏は、エージェントが何を恐れているかを理解すべきだと言う。成果報酬で動く彼らが恐れているのは、転職希望者から急に連絡が途絶えることだ。転職市場が盛り上がっている今は、キャリアが多少乱れた人でも粘り強く支援すれば内定は取れるが、連絡が途絶えればそれまでの努力がすべてただ働きになる。だから「連絡が途絶えそうだ」と思わせないことが大事だという。

そのための具体策は4つある。第一に転職意欲を伝えること。「良い求人があれば転職したい」と「一応面談に来ただけ」は、実は同じ状態でも伝え方で扱いが大きく変わると同氏は言う。第二に返信を早くすること。すぐに答えられない場合も、何曜日までに返信すると小まめに連絡する。第三に、応募段階で絞ったら「あなただけに絞った」と伝えること。応募前は複数社と面談していると伝えてプレッシャーをかけてもよいが、ずっと併用をちらつかせるとやる気をなくすので、最初は揺さぶり、最後は「一途な愛」を伝えるとよいという。第四に率直に話すこと。本当は営業を辞めたいのに「営業でも悪くはない」と濁していると、相手も深掘りできず、良い転職につながらない。

よくある質問②〜⑤:ネガティブ情報、年収交渉、承諾期限、担当者変更

2つ目は、適応障害の診断歴や休職期間といったネガティブな情報をどこまで伝えるべきかという質問だ。サラタメ氏は判断が難しいとしつつ、絶対にばれず配慮も必要ないなら伝える必要はないとする。たとえば完全に治った一時的なものや、2週間程度の休職ならそうだという。ただ、こうした心配をする人で配慮がまったく不要なケースは少なく、休職期間は所得税や住民税の関係で転職後に判明することもあるので、多くの人は伝えざるを得ないだろうと同氏は言う。最初から全部を明かす必要はないが、信頼できるエージェントを見つけたら率直に話し、面接でどこまで開示すべきか前向きに相談するのが最善だという。

3つ目は、年収交渉を頑張ってもらう方法だ。同氏は、頼み方よりも複数の内定を取れるかどうかが根本的に重要だと答える。年収が上がればエージェントの報酬も増えるので、複数内定があれば交渉してくれるが、交渉材料がなければ動いてもらえない。複数内定を取ったうえで積極的な交渉をお願いすればよいという。

4つ目は、内定承諾を急かされたときの対応だ。承諾期限は基本1週間程度、長くて2週間程度だという。悪いエージェントは本来1週間の猶予があるのに「明日か明後日までに」と急かすことがあるので、その場合は1週間待ってもらうよう伝えてよい。ただ、2週間、3週間と延ばすのはエージェントにも企業の人事にも難しい。同氏は、承諾期限はコントロールしにくいが面接日程は比較的融通が利くので、最終面接の日程を複数社でそろえ、同じ時期に内定とオファー面談が来るようにしておくことが本質的な対策だと述べ、ここでも戦略的スケジュールの重要性に立ち返る。

5つ目は、担当者を変えたいときの方法だ。担当者本人に言いにくい場合は、公式サイトの問い合わせ窓口から伝えるのが正式な手順だという。担当者変更専用の窓口があるところは少ないので、多くの場合は新規登録画面から再登録し、備考欄に「現在利用中だが担当者を変えたい」と書くことになる。ただしサラタメ氏自身の本音としては、担当者が微妙ならエージェント会社ごと変えた方がよいという。同じ会社の中では担当者の質はあまり変わらず、B社、C社と会社を変えた方が担当者の質は大きく変わるからだ。コミュニケーションも求人提案も微妙だったなら、担当者を細かく替えるより別のエージェントに切り替える方が転職成功の近道だ、というのが同氏の最終的な答えである。