メーカー技術職の転職は「超詳細なスペックマッチ」で決まる:サラタメ氏が語る、大手を狙う理由と自己分析・企業選び

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概要

この動画でサラタメ氏が扱うのは、メーカーで研究開発、生産技術、品質管理などに就く技術職が、別のメーカーへ転職する場合の進め方である。メーカーからコンサルティング業界への転職は対象外とし、別の動画で扱うとしている。

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サラタメ氏の結論は、「今いる会社より大手のメーカーに転職すべき」というものだ。厳密には例外があり、技術の深さや独自性、投資スタンス、将来性、技術者の評価制度などを見て自分との相性で選ぶのが正解だと認めている。そのうえで、多くの人は結局大手を選ぶことになり、しかも今はそのチャンスが来ていると話す。

YouTubeで公開されたのは、全5パートのうち前半の4パートである。大手に転職すべき理由、全体に関わる超重要ポイント、自己分析、企業選びまでが含まれ、応募書類・面接などの内定ノウハウは公開部分に含まれていない。

大手メーカーの中途採用はここ10年で本格化した

サラタメ氏によれば、10年ほど前の大手メーカーは中途採用の募集枠がほとんどなく、内定を取るのが難しすぎる状況だった。それがここ10年で一変したという。

根拠として挙げたのは次の数字である。

  • 中途採用比率(日本経済新聞のデータ):2016年の約18%から、2023年には約37.6%に上がった。より新しい数字は日経から出ていないが、直近はさらに改善していると話者は推測している。
  • トヨタ:以前は中途採用が10%程度だったのが、現在は35%程度。同社は公式情報で、将来は50%程度まで引き上げたいとしている。
  • 日立:2015年に約150名だった中途採用が、2023年には約600名になり、10年で4倍の水準になった。

これらは技術職に限らず全職種を対象にしたデータである。それでもサラタメ氏は、メーカーについては技術職の採用が最も変化したと言っても過言ではないと見ている。メーカーの根幹は技術と製品であり、それを担う技術者の採用は生命線だから、というのがその理由だ。

人員削減のニュースは技術職には逆風ではない、という見方

最近は大手メーカーの人員削減のニュースもよく聞く。これについてサラタメ氏は、個人的な意見と断ったうえで、技術職にとってはむしろ良いニュースだと述べる。

理由は、技術職の正社員は削減の対象になっていないからだという。ニュースの詳細を見たり、AIに「この人員削減は技術職の正社員も対象か」と聞いたりすれば、大体はノーという答えになると話者は言う。対象になるのは主に間接部門やバックオフィス、営業職である。そのため、バックオフィスや営業の人に大手メーカー行きは勧めにくいが、技術職は別だとしている。

さらにサラタメ氏は、技術職を対象にしない人員削減を行う企業を、逆に勧めている。未来に向けて合理的な意思決定ができており、多額の費用がかかる人員整理を断行できるだけの資金力もあるからだ。技術職なら、こうした企業を狙うのもありだという。

今後も採用強化が続くと考える2つの理由

サラタメ氏は、今後も大手メーカーの採用強化は続くと見ている。代表的な理由として2つを挙げた。

1つ目は人材構成の歪みの修正である。大手は人材構成をバランスよく保ちたいが、リーマンショックやコロナの時期に新卒採用を絞ってきた。加えて「2030年問題」と呼ばれるように、団塊ジュニア世代が一斉に定年退職する。第一線で活躍してきたベテランがまとめていなくなるため、その穴を中途採用で埋めようとする、という見立てである。

2つ目はDXやAIといった技術の発展だ。発展のスピードが非常に速い時代に生き残るには、即戦力と多様性が採用のテーマになる。これは新卒採用だけでは賄えないため、中途採用が強化されていくと話者は説明する。

内定実績:業界・職種・年齢・学歴の幅

サラタメ氏は、自身がリサーチした直近の内定実績も紹介した。27歳の品質保証担当が50名規模から1万名規模の会社へ、29歳のソフトウェア開発者が500名規模から10万名規模へ、41歳の人が200名規模のメーカーから10万名規模の大手家電メーカーへ転職した例がある。中小規模から大手への転職は十分に可能だ、というのが話者の読みである。

業界は電気・電子・半導体、機械、化学、自動車、医薬品・医療機器、食料品など、ほぼあらゆる業界で内定が出ているという。職種も研究開発、評価、設計、生産技術、品質保証、生産管理、オペレーター、セールスエンジニア、サービスエンジニアと幅広い。

年齢について、サラタメ氏が主に発信している営業系の転職では若手が高く評価される。一方、技術職のメーカー転職は幅広い年齢にチャンスがあるのが実情だという。最もニーズが高いのは20代後半から30代半ばだ。即戦力として採用し、2〜5年ほど育てて自社の色に染め、管理職に上げたいというのが企業の狙いだと話者は説明する。

ただし、この層は人数が多くない。そのため採用ボリュームを埋めるには、第二新卒や30代後半、40代にも門戸が広がっている。注意点もある。第二新卒はポテンシャル採用に近くなるため、学歴や学生時代の勉強・研究内容を入念に見られる。30代後半以降はベテランの年齢なので、即戦力として十分な知識・技術・経験があるかが厳しく確認される。

学歴については、大手ならGMARCHや関関同立以上を好む傾向はあるという。それでも実態としては、日東駒専やそれ以下でも内定が出ている。さらに、技術・知識・経験があれば高専卒の内定実績もあり、ここは技術職ならではの特徴だとサラタメ氏は言う。出身企業の規模も同様で、大手出身が有利ではあるが、小規模からの転職も十分可能だとしている。まとめると、結局は技術・知識・経験次第だ、というのが話者の整理である。

大手に移るメリット5つ

内定後に得られるメリットとして、サラタメ氏は次の5つを挙げた。

  1. 待遇:年収レンジは大手と中小で大きくは変わらず、少し高い程度だという。大きく違うのは家賃手当や家族手当などの福利厚生である。年収換算で150万〜200万円ほど差がつくケースもあると話者は述べる。
  2. ワークライフバランス:特に上場企業は、コンプライアンスの面から働き方改革の進み具合をチェックされる。そのため、リモートワーク、フレックス、有給取得などが整っている企業が多いという。
  3. 技術・知識を深められる:大手ほど担当領域が細分化されるので、特定の専門領域を極めやすい。資金が豊富で、最新かつ高度な設備もある。
  4. キャリア:中小企業からでも転職はできる。ただ、大企業でビッグプロジェクトを担った経験があるほうが、次の転職もしやすいという実情があるという。
  5. 安心感:複数の事業を持ち、海外にも事業や拠点を分散しているため、中小企業より圧倒的に潰れにくい。

全体を貫く超重要ポイント:「超詳細なスペックマッチ」

大手が働きやすいことはわかっている、問題はどう内定を取るかだ。この問いに対してサラタメ氏が最初に示すのが、自己分析から面接まですべてに関わるポイント、「超詳細なスペックマッチ」である。

話者によれば、技術職の転職ノウハウの6〜7割は、文系総合職や営業職向けの一般的な転職活動と変わらない。違うのは、技術・知識・経験に加えて社風のマッチングを非常に細かく見られる点だという。

サラタメ氏は、無形商材の法人営業の書類選考と比べて説明した。法人営業では「4年制大卒、営業経験あり(扱った商材は問わない)、入社後に育てるため24〜32歳くらいの若手」程度の大まかな条件で書類を通し、あとは面接で見る。一方、メーカーの技術職は専門職なので、入社後に育てればよいとはならない。

例えば、家電メーカーで製品の筐体設計をしていた人をピンポイントで求める募集がある。さらにその中で、CADで部品設計ができること、モジュールの組み合わせや配置を最適化できること、放熱・振動・強度・安全性などを考慮できることまで見て書類を通すかを決める。これくらい細かいという。

内定はさらに厳しく、面接では社風マッチも強く見られる。メーカーは技術職の定着率を気にするからだ。技術職には社内の機密性の高い技術や情報を共有するため、2〜3年で次々と会社を移られては困る。そのため、どれだけ長く働いてくれるかが重視されるのだと話者は説明する。

この特徴を踏まえ、サラタメ氏は3つのステップを示す。

  1. 綿密に自己分析し、自分の技術・知識・経験を正確に棚卸しする。
  2. その内容をもとに、スペックに合ったメーカーとポジションを選ぶ。
  3. 応募書類と面接に臨む。

最重要は2番目だという。「ここでほぼ内定が決まると言ったら言い過ぎかもしれない」と前置きしつつ、応募先選びが「命」だと話者は強調する。相対的に応募書類や面接の重要性は低いが、致命的なミスで落ち続ける人もいるので、それだけは避けてほしいと付け加えている。

自己分析①:理想の未来――マネジメントかスペシャリストか

サラタメ氏は、自己分析を「理想の未来」と「現状」を特定する作業と定義する。転職活動とは、その2つのギャップを埋める行為だからだ。

理想の未来として明確にすべきなのは、キャリアのゴールである。具体的には、メーカーでマネジメントコースに進むか、スペシャリストコースに進むかだ。

大半の人は、開発部門のマネージャー、部長、技術本部長といったマネジメントコースを歩む。一方で、チーフエンジニアやフェローと呼ばれるような、特定技術領域の社内第一人者を目指す人もいる。今の時代はどちらも選べるので、今後変わってもよいから、現段階での考えを確認しておくとよいという。

補足として、多くの会社が用意しているのは基本的にマネジメントコースだと話者は言う。ただ最近は、大手企業を中心に、マネジメント側に行かなくても同じように昇進できるスペシャリストコースを設ける例がある。そのため、どうしてもマネジメントをやりたくない人は、特に大手メーカーへの転職が向いているとサラタメ氏は述べる。

そもそもメーカーではなくコンサルに進むという分岐もある。これは別動画で扱うとしつつ、少しだけ触れている。

  • 学歴:コンサル転職で内定を取り活躍できる人は、そもそも学歴が高い人が大半だという。技術職のメーカー転職は経験で学歴のハードルを越えられることがあるが、コンサルはGMARCHや関関同立以上でないと厳しい、というのが話者の率直な見方である。
  • 志向性:メーカーの技術職は、1つの会社で1つの技術を深めていく働き方が基本になる。それが合わず、複数の会社や事業に触れたい人はコンサル向きだという。
  • 理想像:「優秀な技術者」よりも「優秀なビジネスパーソン」を理想とする人もコンサル向きだとしている。

自己分析②:現状――担当業務・フェーズ・成果を細かく棚卸しする

現状の分析は、業務経験の棚卸しである。対象となるのは、業務経験、プロジェクトとポジション、担当製品、習得したスキル・技術、使用ツールなどの環境だ。このうち圧倒的に重要で、かつ難しいのが業務経験だという。サラタメ氏はこれをさらに「担当業務」「フェーズ」「成果」の3つに分けて説明した。

担当業務では、粗さが問題になる。「家電メーカーで製品の開発をしている」だけでは、超詳細なスペックマッチの場面で何をしている人なのかがわからない。同じ製品開発でも、設計系、ソフト系、要素技術系、先進技術系などの選択肢がある。自分がそのどこを担っているのかを語れるようにしておく必要がある。

フェーズでは、自分の仕事が上流から下流のどこに位置するかを特定する。例えば開発職なら、市場調査、技術調査、製品コンセプトの立案は上流にあたる。性能評価、改良、量産に向けた設計は下流にあたる。

目の前の仕事ばかりで位置づけがわからない人は、AIに聞いてもよいと話者は言う。プロンプトの例は次のとおりだ。「私は○○メーカーで○○をしている技術職です。具体的にはこういう仕事をしています。この職種の上流から下流の全体像を示し、私の仕事がどこに位置するかも教えてください」。

上流と下流に優劣はなく、下流のミクロな仕事を極めてすごいキャリアを築く人もいる。ただ傾向としては、一気通貫で職種全体を担える人材のほうが市場価値は高いとサラタメ氏は見ている。

成果は、どんな課題を解決し、会社にどう貢献したかである。担当業務とフェーズは「どんな技術・知識があるか」を示すにすぎない。そこから「その技術と知識でこんな課題を解決した」とアピールできるよう分析しておくことが、面接でも非常に重要になるという。例文を交えた詳しい解説は、後半の内定ノウハウ編に回されている。

残りのプロジェクトとポジション、担当製品、スキル、環境は難しく考える必要はなく、事実を並べればよいとしている。

企業選び:手っ取り早く見るなら「担当予定製品のシェア」

企業選びについて、サラタメ氏は冒頭の「とにかく大手へ」は雑といえば雑だったと認めている。8割程度の人は今より大規模な会社に行けば満足するだろうとしつつ、例外もあるという。今の会社より小さくても優良な企業はあるし、大手にもブラック企業や、その人に合わない企業がある。

企業研究に時間をかけられない人に1つだけ挙げるなら、「転職後に担当する予定の製品のシェア」を見るよう勧めている。技術の深さ、独自性、投資スタンス、将来性といった大事な要素は、大体製品シェアに現れるからだ。その製品で圧倒的なポジションを築いている企業なら、幸せな転職になる可能性が高いと話者は言う。ただし技術者の評価制度はシェアからはわからない。そこで、次の4つの観点で詳しく見ることを勧めている。

企業選びの4つの観点

1. 技術の深さ・独自性。 大手か中小かに関係なく、技術が弱く、差別化要素がなく、他社の真似をしているだけの会社に技術者として入っても、幸せにはなりにくい。良いのは、独自の特許技術やコア技術を持ち、それが主力製品に組み込まれている会社だ。さらに自分の仕事内容ともマッチしていることが確認できれば理想的だという。調べ方としては、公式サイトの技術紹介やIR資料で十分だとしている。特許の出願状況を確認できるサイトもあるが、そこまでやる人はあまりいないだろうとも述べている。

2. 技術への投資スタンス。 良いのは、最新設備が導入され、売上に対する研究開発費の比率が競合より高く、将来の技術開発に注力できている会社である。逆に、古い設備を使い回し、短期的な製品改善しかせず、基礎研究や先端研究が縮小傾向にある会社は、技術者としては微妙だという。IR資料の研究開発費の欄で確認できるとしている。

3. 企業としての将来性。 担当製品を、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3C分析で見る。特に重要なのは顧客だとサラタメ氏は言う。転職先そのものに勢いがあることに加え、その会社が製品を売っている相手にも勢いがあると理想的だという。例えば半導体部品メーカーの顧客がAI関連の世界的企業であるNVIDIAなら、今後の強さが推察できる。競合については、今はシェア首位でも巻き返されないか、参入障壁が低くてベンチャーに負ける可能性はないかを見る。ただ、大手はこうした参入障壁を高くしていることが多いので、大手なら過度な心配は要らないとしている。自社の強みは1つ目の観点と重なるため省略された。

4. 技術者の評価制度。 自己分析でスペシャリスト志向だとわかったなら、志望企業がスペシャリストとして昇進できるコースを用意しているかは必ず確認すべきだという。ただし、スペシャリストコースがあること自体が良い企業の条件ではないとも断っている。また、大手メーカーの中にも年功序列を強く守る企業と、若手でもどんどん昇進させる実力主義の企業がある。これはウェブサイトやOpenWorkなどの口コミサイトでおおむねわかるという。年功序列は古くて悪いと思われがちだが、腰を据えて目の前の研究開発に没頭したい技術者には、むしろ年功序列のほうが合う人もいるとサラタメ氏は述べる。

これら4点を詳しく見れば、大手でなくても良い企業は見つかる。技術・知識・経験が合う企業を選べるかどうかが内定に直結する、とサラタメ氏は改めて強調する。

残された問題:大手の求人は非公開が多い

企業選びのパートの最後に、サラタメ氏は「全部ひっくり返すような話」として、この企業選びを正確にやるのは難しすぎると認めている。狙うべき大手メーカーほど、求人を非公開にしているケースが多いからだ。入念に自己分析をして企業を選ぶ視点を手に入れても、肝心の求人が見当たらないことがある。

この問題への対策は、次の内定ノウハウ編で扱うとされた。しかし、その部分はYouTubeでは公開されていない。話者の説明によれば、後半では技術職ならではの応募書類と面接のポイント、そして転職エージェントの活用が扱われる。大手は非公開求人が多く、スペックだけでなくカルチャーマッチも入念に見られるため、一人で対策するのは難易度が高すぎるというのが、その理由として示されている。公開部分は、非公開求人の壁をどう越えるかという問いを残したまま終わっている。