美容外科医1年目・藤白りりの1日に密着 出勤前の勉強から注入施術、給与をめぐる考えまで

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概要

東京科学大学医学部を卒業し、美容外科医として1年目を迎えた26歳の藤白りりに、同い年のトマホークが1日密着した。出勤前の勉強、ボトックスやヒアルロン酸、コラーゲン、肌育注射といった施術の現場、トマホーク自身の肌診断、そして「美容外科医は1年目から高給」というイメージへの考えまでを追う。藤白は美容医療を「楽して稼ぐ仕事」とは考えておらず、施術と手術の腕を磨いて信頼される医師になることを目標に掲げている。

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出勤前の1時間を暗記アプリでの勉強に使う

この日の出社は9時半だが、藤白はその前に1時間勉強するため、朝から上島珈琲店に向かった。朝は頭が働かないので、勉強で「覚醒させていく」のだという。

勉強しているのは美容医療の知識である。藤白によると、施術前には患者に効果、作用機序、ダウンタイム、リスクを説明しなければならない。施術そのものについても、「この部位にはこれだけの量を打つ」「このポイントに気をつけて施術する」といった決まりごとがある。これらを忘れないように、自分で問題を作って暗記アプリに入力している。忘却曲線に沿って出題してくれるので使いやすいと藤白は話す。

筋トレは針先を安定させるためでもある

藤白は筋トレとランニングを交互に、毎日続けている。運動しているとメンタルが強くなる気がするというのが一つの理由だが、美容医療ならではの理由もある。注射器自体は重くないが、施術中は常に脇を締めた姿勢でいられるわけではなく、脇を上げた状態で手を静止させなければならない場面もある。腕や指の力が足りないと針先が震えてしまうため、腕の筋力が大事だと藤白は説明する。

ダンベルなどは使わず、腕立て伏せなどの自重トレーニングを行っている。数十分の全身筋トレメニューを調べて、それを2日に1回こなしているという。

勤務時間は一般的な職場より30分ほど長いが、残業や夜勤はない。その代わり、業務時間外に症例写真(施術を受けてどう変わったかを示すもの)を作る作業があり、これにかなり時間を取られる。さらに自身のYouTubeの動画編集も行っている。

朝礼とその日の流れ

クリニックに着くと、藤白は着替えてミーティングに出た。この日は月に1回の全社ミーティングがあり、30分ほど行った後に朝礼をした。「一度来ていただいたお客様をファンにする」という会社のモットーを朝礼で確認し、最後はハートのポーズで締めるという。

得意な施術を聞かれると、藤白は「全部好き」と答えた。現在は注入系の施術を中心に担当しているが、もう少しすると二重やクマ取りなど、美容外科1年目の医師が手がける手術も始める予定だ。

毎朝予約を確認し、あとは患者が来るまで待機する。カウンセリングからそのまま施術に入る流れなので、その日に何をするかは事前に読みにくい。カウンセリング後はカルテを受付に渡し、患者が支払いを済ませてから施術が始まる。

ボトックス:筋肉の働きを止めてシワや食いしばりを抑える

最初の患者に行ったのはボトックスだった。この患者は額のシワ、話すときに寄る眉間のシワに悩んでいたほか、歯医者でエラの筋肉の発達が強く、食いしばりで歯が削れていると指摘されていた。

藤白の説明では、ボトックスは簡単に言えば筋肉の働きを弱めるものである。額なら前頭筋、眉間ならその部分の筋肉が寄ることでシワができるため、筋肉を止めてシワを止める。エラの場合は筋肉が発達しすぎて張り出し、歯が削れる原因にもなっているので、筋肉の働きを止めてフェイスラインを整えたり、歯ぎしりをなくしたりするという。

使う針は非常に細い。通常は黄色の針を使い、エラのように筋肉が分厚い部位には、より長い青色の針を使う。細いのでそれほど痛くなく、予防接種よりずっと痛くないと藤白は言う。

施術後、スタッフが「PH」に呼ぶ場面があった。これはフォトのことで、以前カウンセリングに来た患者の1か月後の状態を撮影し、ビフォーアフターのアフター写真を残す作業である。

上司の医師が語る藤白の姿勢

撮影中、クリニックの先輩医師が藤白について語った。まず真面目で勉強熱心だという。エビデンスをもとに自分で勉強し、実際に自分でも施術を受け、良いと思ったものを提供する。勢いで施術しないところが非常に大事だと評価した。かなり慎重なタイプだが、だからこそ安心して任せられるとして、この医師は自分の妻の肌を藤白に任せているという。

昼食:コンビニを避け、1日3食を守る

昼休み、藤白はトマホークに日焼け止めをプレゼントし、その場で顔に塗らせた。トマホークは日焼け止めの塗り方すら知らなかった。

昼食はたいてい近くの弁当屋で買う。コンビニは添加物が気になるのであまり好きではないという。果物はオレンジなどを毎日食べている。

食事は1日3食を守っている。ダイエットのために1食や2食に減らす人がいるが、藤白はそれを間違いだと言う。血糖値をできるだけ乱高下させないことが大事なので、3食食べたほうがいいという考えだ。この日は忘れたが、普段はトマトを持ち歩いて昼に食べている。2回オーストラリアに留学した際、現地の人が果物やトマトにそのままかぶりついていたのを見て始めた習慣だという。

ヒアルロン酸:形を作るので時間がかかる

午後はヒアルロン酸の施術があった。口角を上げる唇へのヒアルロン酸と、涙袋をふっくらさせるヒアルロン酸である。鼻から吸うガスの麻酔を使った。

トマホークはこの施術を長く感じた。藤白によれば、ボトックスは決まった場所に注入するだけだが、ヒアルロン酸は形を作っていく施術である。患者と細かくすり合わせながら「これくらいのボリュームでどうですか」と何度も確認するため、時間がかかるという。

見学から始まる美容外科のキャリア

その後、藤白は別の医師の二重手術を見学した。見学はほぼ毎日の出勤ごとに入っているという。

藤白の説明では、保険診療のように「あなたはこの手術を担当してください」と任される仕組みではない。美容外科では、たくさん見学して学び、内々で練習し、そのうえで自分で患者を集める。だから日頃の見学が大事なのだという。

コラーゲン注入と肌育注射「プルリアル」

次は、クマを改善するためのコラーゲン注入だった。藤白は、人の体にもともとあるコラーゲンを入れるのでヒアルロン酸より馴染みが良く、いま美容業界で注目されている薬剤だと説明した。

トマホークは、針が3cmほど入っているのに麻酔を使わないことに驚いた。藤白によると、組織の抵抗があるところを進むと痛いが、抵抗のないところを探しながら進めるので、それほど痛くないという。皮膚が針の形に盛り上がって見えたのは、層を確認するために少し持ち上げ、針が適切な位置にあるかを確かめていたためである。

同じ患者には続けて「プルリアル」という注射も行った。非常に細い針で真皮内に薬液を注入する施術で、薄い真皮に薬液が入って押し広げられるため痛みがある。そのため塗るタイプの表面麻酔を使う。吸うタイプの笑気麻酔もあるという。

トマホークの肌診断:洗顔すらしていなかった

撮影の合間に、藤白はトマホークの顔を診断した。トマホーク本人は悩みはないと言うので、今は問題なくても将来気になりそうな点を挙げてもらった。

まず目尻のシワである。笑ったときに目立つので、ボトックスで軽く止めてもいいと藤白は提案した。目の横に6か所ほど打つ想定で、ボトックスは美容初心者でも一番受けやすく、注射をチクチクするだけで終わるという。シワが刻まれてしまうと老化の象徴のようになるので、刻まれる前にボトックスで止めるのがおすすめだと話した。

次に深い溝を指摘した。これは骨格によるものだが、骨膜上にヒアルロン酸を入れるとかなり浅くなるという。

最大の問題は鼻の毛穴だった。白いプツプツが多数あり、藤白によれば皮脂や角栓が詰まったものだ。トマホークはスキンケアを一切しておらず、入浴時にも洗顔料を使っていないと明かした。ニキビや吹き出物ができないので気にしていなかったという。藤白は、汚れが落ちていないのでまずハイドラフェイシャルで落とそうと提案し、関西弁で「ほんまにやばい」と驚いた。それでもこの肌なのは「ギフテッド」だとし、トマホークのチャンネルの視聴者にも男性美容を広めたいと話した。

患者の肌育注射とエラボトックス

続いて、藤白のファンだという男性患者の施術があった。ニキビ跡、赤み、毛穴、シミなどが気になり、この日は別の場所でVビームを受けてきたという。単純にきれいになりたいのが動機だ。

藤白は、シミの原因には肌の細胞の環境が悪いこともあるとし、毛穴、ニキビ跡の凹凸、シミに対して肌育注射がとても良いと説明して、プルリアルを施術した。この患者はエラボトックスにも関心があったが、肌の施術に比べて情報が少なく、まだ踏み切れていなかった。藤白は自分も受けていると伝え、この日エラボトックスも行った。

痛み対策として、患者にはボールを握ってもらった。患者はボールがあると違うと話した。韓国で施術を受けたときは顔に穴が開くかと思うほど痛かったが、今回はかなり楽だったという。

この患者が美容に興味を持ったのは昨年8月で、先輩が韓国に行くのに合わせて試しにやってみたのがきっかけだ。肌がきれいではないという意識があり、肌の不安を煽る広告も大量に流れてきた。一度やると色々試したくなり、かなり調べていたところ、以前から知っていた藤白が美容の分野に進むと聞いてうれしかったという。藤白の好きなところを聞かれると、患者は「賢いところ」「知的なところ」を挙げた。藤白によれば、高学歴だからよく勉強していそうだと感じて来院する患者は意外に多いという。

施術後、藤白はボトックスの注意点を説明した。ボトックスは熱に弱い性質があるので、当日はシャワーは問題ないが、サウナと入浴、激しい運動、飲酒は控える。一番大事なのはマッサージをしないことで、薬剤が他の部位に広がるのが最も危険だという。

昼は強いが夜は弱い

1日を終えて、トマホークは藤白の体力に感心したと話した。コメント欄では体力があるのかないのかという議論もあったが、日中は明らかにある方だという。藤白によれば、弱いのは夜である。徹夜をすると効率が落ち、不整脈が出ることもある。子どもの頃から規則正しい生活をしてきたので、夜型の生活に耐性がないのだろうと藤白は推測している。

美容医療が高い理由をどう見るか

トマホークは、美容外科医といえば1年目から高給というイメージを誰もが持つだろうと尋ねた。藤白は、はっきりとは分からないと前置きしたうえで、自由診療であることが大きいと答えた。

藤白の見方では、保険診療は国が医療の値段を決めており、病院がぎりぎり赤字にならない水準まで価格を抑えている。逆に言えば、正当な報酬が支払われていない面がある。本来、医療は研究を重ね、何百人、何千人に実際に投与して良い結果が出てはじめて医薬品として使えるようになるもので、その過程に費用がかかる。だから本来は高いものだという。アメリカでは健康を守る医療がとても高いことも例に挙げ、美容外科医の給料が高いというより、保険診療の医師の給料が低いと言わざるを得ないというのが藤白の考えである。

トマホークは、密着してみて「楽して稼いでいる」イメージの楽さではないと感じたと話した。藤白も、医療である以上責任が重く、仕事が終わってからも勉強やSNSの発信があると応じた。

今後の目標

最後に今後の目標を聞かれ、藤白は「施術と手術がうまい美容外科医になること」と答えた。スキルを磨き、この先生に任せれば安心だと思ってもらえる医師になりたいという。美容に来て毎日が楽しく、この道を選んで良かったとも語っていた。