蝶の羽の発色原理で合成染料を置き換える:ケンブリッジ発Sparxellの構造色ビジネス
東京大学FoundXFoundXの番組「Review Startup IdeaCast」は、海外スタートアップのアイデアをAIで分析して紹介している。今回取り上げたのは、ケンブリッジ大学発のディープテック企業Sparxell(スパークセル)だ。番組は冒頭で、AIで情報を整理しているため古い情報や誤りを含む可能性があると断っている。
Sparxellは、植物由来のセルロースで「構造色」を作り、有害な合成染料・顔料を置き換えようとしている。紹介役は選定理由として、化学物質の代替を探すのではなく、発色の仕組みそのものという物理的な側面から取り組んでいる点が面白かったと述べた。本稿では、紹介役の説明と聞き手の質問をもとに、同社の技術、市場、ビジネスモデル、創業の経緯、日本での応用可能性をたどる。
導入:平成12年度の環境基本計画の「別れ道」
本題に入る前に、話者の一人が、最近読んでいる参考書に載っていた平成12年度の環境基本計画の前文を紹介した。前文は、私たちは今「別れ道」に立っているとして3つの道を挙げる。第一は大量生産・大量消費・大量廃棄を続ける道。第二は現在の社会を否定し、人間活動が環境に大きな影響を与えていなかった時代の社会経済に回帰する道。第三は環境の制約を前提として受け入れ、資源とエネルギーを効率よく使いながら生産と消費のパターンを持続可能なものに変えていく道である。
話者は、法律に関わる文章なのでもっと硬いと思っていたが、意外に心に響く文章だったと語った。最近の環境基本計画にも、循環共生型社会を目指すことで負担を強いるだけでなく国民に希望をもたらしたい、という趣旨が書かれているという。もう一人は、国の文章も人が書いているので思いが乗るのだろうと応じた。そこから、環境制約の中で生産の仕組みを変えようとするスタートアップの話に移っていく。
全体像:規制の圧力が生んだ「代替が必要な市場」
Sparxellが目指すのは、有毒な化学物質を使った着色料を、100%植物由来の構造色で完全に置き換えることだ。対象となるグローバルの着色料市場は480億ドルと言われている。
紹介役は、同社が生まれたタイミングの背景に規制の圧力があると説明した。EUではマイクロプラスチック規制が施行され、PFASを禁止しようとする機運が高まり、米国ではFDAが合成着色料を再評価している。加えてESGへの圧力もある。産業自体も限界を迎えており、年間150万トンの有害染料が排出され、この産業が世界のGHG排出量の約2%を占めているという。
紹介役が強調したのは、エコだから代替するのではなく、規制で既存素材が使えなくなるため代替が必要になるという点だ。市場に切実な痛みがあるということである。
聞き手は、既存の代替品では規制をクリアできないのかと尋ねた。紹介役によると、Sparxellが現在参入しているのはグリッターやラメといった比較的派手な分野である。既存のグリッターの多くはアルミニウムなどの金属コーティングを必要とするため、環境対応や規制上の性能要件を満たせなくなってしまうという。ヨーロッパでは2023年10月頃から、一部のグリッターなどに対してマイクロプラスチックの制限が発効している。
構造色とは何か
耳だけで聞いている人にもわかるように、と聞き手が構造色の説明を求めた。紹介役は自分も理解できているか怪しいと前置きしたうえで、次のように説明した。
一般的な染料や顔料は、塗った物質が光の一部を吸収し、反射された色だけが見える。構造色はそうではなく、微細な構造が特定の波長の光を反射・干渉させることで色が見える。物質の化学的性質ではなく、物理的な構造によって色が生まれる仕組みだ。身近な例として、蝶の羽、CDの裏側、シャボン玉が挙げられた。
聞き手は、これが実現すれば染料を使わずにどんなものにでも色をつけられるということかと確認した。紹介役は、最終的にはそこを狙っているのだろうと答えた。
課題:色彩産業の「隠された代償」
紹介役は課題を「色彩産業の隠された代償」とまとめた。ターゲット顧客は、ESGの圧力の下で脱化石燃料を急ぐファッション、化粧品、塗料、パッケージングのグローバルブランドである。これらの顧客が抱える課題として、次の4点が挙がった。
- 環境:繊維産業から年間150万トンの有害な染料が水中に排出されている。
- 海洋プラスチック:塗料が海洋マイクロプラスチックの最大の発生源になっている。
- 倫理:マイカ(雲母)の採掘には児童労働のリスクや健康被害がある。
- 代替手段の限界:既存のエコ染料は色褪せしやすく、鮮やかさに欠ける。
ファッション、コスメ、自動車など複数の業界に共通するペインは「持続可能で美しい色がない」ことだ、と紹介役はまとめた。
聞き手は、塗料がマイクロプラスチック汚染全体のどれくらいを占めるのかを尋ねた。紹介役は、レポートによって違い正確な割合ではないとしつつ、一部のレポートでは海洋マイクロプラスチックの過半数が塗料やコーティング由来とされており、汚染源として重大な位置を占めると認識されていると答えた。エコ染料の性能の限界については、植物染料の多くは耐光性が低く色褪せしやすいこと、ラグジュアリー分野が求める輝きやメタリック感を出しにくいことを挙げた。
解決策:セルロースの自己組織化
Sparxellの解決策は、セルロースによる構造色の自己組織化である。原料は世界で最も豊富なバイオマスとされるセルロースだ。これを抽出し、特定の条件を揃えて自己組織化させ、フィルム化したうえで砕いて顔料にする。紹介役は、詳細は特許に関わるためあまり調べられなかったと断っている。
補足として紹介役は、植物から抽出したセルロースの微細な結晶が、条件を整えると自ら物理的な構造を作るように並んでいくと説明した。この技術を同社が持っているという。
特徴として挙げられたのは、原料が100%植物由来であること、無毒であること、機能面でも色褪せしないことだ。さらに、既存の製造ラインにそのまま導入できるドロップイン互換性がある。トラクションとして、化粧品会社のロレアルや、英国のサステナブルな高級ファッションブランドであるPatrick McDowellでの採用実績がある。
量産の実証:水系フォーミュレーションとロール・トゥ・ロール
聞き手は、自己組織化を工業レベルで制御するのは難しそうだと指摘した。紹介役はその通りだとしたうえで、そこがまさにコア技術であり特許になっている部分だと答えた。
量産の実証には2つの手法を使っているという。1つは水系フォーミュレーションで、化学溶剤の代わりに水をベースにインクや顔料を作る。もう1つはロール・トゥ・ロール方式で、ロール状に巻かれたフィルムを巻き出しながら表面に素材を塗って乾燥させる。他の産業でも使われている技術だ。
製品の提供形態は、顔料パウダー、ラメ・グリッター、スパンコールや箔、印刷用インクなど、さまざまだという。
市場:TAM 480億ドル、最初はラグジュアリーから
紹介役によると、TAMはグローバルの着色料市場全体の480億ドル。SAMは、着色料製造の中心であるアジア市場で170億ドル。最初に狙う市場(SOM)は、高単価でデザイン性を重視するラグジュアリー市場に絞り込んでいる。
成長ドライバーは2つある。PFASやマイクロプラスチックを禁止する法規制の施行による規制圧力と、需要の変化である。需要の変化とは、消費者の健康意識・環境意識の向上と、グローバルブランドのケミカルフリーへのコミットメントの加速を指す。
市場規模の見通しについて紹介役は、数字は揺れていると思うとしたうえで、あるレポートでは2030年までに世界の染料・顔料市場全体が1000億ドルを超えるまで拡大すると予測されていると紹介した。アジアをSAMとした理由は、繊維や塗料のサプライチェーンの製造拠点がアジアに集中しているためだ。量産フェーズではアジアへの展開が必須になるという。
ビジネスモデル:最終製品を作らないB2B素材サプライヤー
Sparxellは自社で最終製品を作らず、ドロップイン可能な素材をB2Bで提供する。顧客はファッション、化粧品、塗料、自動車のグローバルブランドで、提供物は顔料パウダー、グリッター、インク、フィルムなどだ。
価格戦略は段階的である。初期は高価なマイカやメタリック顔料と同等の価格で勝負し、利幅の高い市場で収益を確保する。スケールするフェーズでは、農業廃棄物由来の安価な原料とキログラム単位ではなくトン単位の量産によって、合成染料と競合するシナリオを描いているという。
聞き手が初期の製造コストの高さを指摘すると、紹介役は、実際に合成染料よりは高くなると認めた。ただし高級化粧品や装飾品で使われる特殊な顔料に対しては、価格競争力を持てているという。
拡張性については、紹介役は会社としても模索している段階だろうと前置きした。そのうえで、顧客ブランドごとのカスタマイズから、標準色のインク展開、さらに汎用素材の販売へと移行しようとしているようだと説明した。
戦略:IP主導と水平分業
紹介役によると、Sparxellは技術中心のIP主導型の会社だ。自社はR&Dと特許に特化し、重い資産は持たない。量産は製造技術センターなど外部パートナーに委託し、流通・販売も繊維の専門商社などと組んで市場に浸透させる。すべてを自社で抱える垂直統合ではなく、水平分業を選んでいる。
10〜20年後の理想像としては、主要産業から有害な顔料やマイクロプラスチックを排除し、自然と調和した新しい色彩のグローバルスタンダード、つまりインフラになることを掲げている。
コア特許について聞かれると、紹介役は調べるとかなり多く出てきたと答えた。セルロースナノクリスタルをフィルムや顔料の形で構造色に変える製造プロセスと、その応用方法を広く保護しているようだという。
ロードマップ:ラグジュアリーから量産、そしてマスへ
ロードマップは、高付加価値市場からマス市場への展開である。フェーズ1(現在〜2025年)はPMFと認証の取得で、ラグジュアリー市場で技術とブランド価値、鮮やかさと性能の高さを証明する。フェーズ2は量産化で、トン規模の製造設備を稼働させ、化粧品や自動車塗料の認証を拡張し、パートナーシップを広げる。フェーズ3はマス展開で、スケールによってコストを下げ、安価な化石由来の染料を置き換えていく。紹介役は、高単価から徐々にマスへ広げる、ある種教科書的な戦略だと評した。
フェーズ2の時期について紹介役は、2026年内にトン規模の生産設備の稼働を目標としていると説明した。直近のプレシリーズAで調達した500万ドルもそこに投下する考えだという。
必要な認証の中身も聞かれた。化粧品は肌に触れるため、FDAなどの安全性の担保が求められる。自動車は屋外での耐候性が問われる。業界ごとに要件は異なるが、いずれも厳しい第三者認証をクリアしていく必要があるという。
競合との比較と参入障壁
紹介役は同社の強みを、圧倒的な環境優位性とドロップイン互換性だと整理した。比較対象ごとの違いは次の通りだ。従来の化学合成顔料に対しては、無毒で環境負荷が低い。採掘されたマイカには森林破壊、採掘汚染、児童労働のリスクがあるが、それも解決できる。精密発酵のような合成生物学のアプローチと比べても環境負荷が低く、ドロップインで既存の顔料・染料と互換性がある。加えて、構造色であるため色褪せへの耐性が強いことも技術的な強みだという。
聞き手が、構造色は本当に色褪せしないのかと尋ねた。紹介役は、構造色自体は色褪せしないと答えた。そもそも研究のきっかけが、大英博物館に展示されていた、世界で最も青いとされる実が長い年月を経ても青いままだったことにあるという。
競合が同じくセルロースで構造色を作れるのかという問いには、原理自体は広く知られているので、その可能性はあり得ると認めた。ただし同社は、大面積で均一に自己組織化させる技術や、ロール・トゥ・ロールによる製造プロセスを特許で保護しており、ノウハウも参入障壁になっているようだと説明した。
参入戦略:なぜ「青」から始めたのか
初期ターゲットにはラグジュアリーファッションを選んだ。サステナビリティを満たしつつ、デザイン性を妥協できないハイエンド素材の課題に応えるためだという。MVPとして選んだのは、シグネチャーとなる青のインクとグリッターだった。青は色の表現が難しく、視覚的なインパクトも最大化できる。
PMFの確認方法としては、著名デザイナーとの協業に加え、クライアントの既存のテキスタイル印刷機で特別な調整なしに稼働し、商業用オーダーを受注できるかを検証したという。
なぜ青から始めたのかと聞かれ、紹介役はファッション的な背景もあるようだと答えた。モルフォ蝶を想像すると非常にきれいな青だが、自然界で最も鮮やかで再現が難しい構造色が青なのだという。青を再現できれば技術力の高さを証明できるため、青から始めたと説明した。
化粧品はファッションより後だったのかという問いには、開発は並行して進めていたと答えた。ただし化粧品は体に直接触れるため規制のクリアに時間がかかり、売上が立つタイミングが後になったという。
創業の経緯:大英博物館の実から10年の基礎研究へ
Sparxellは基礎研究から社会実装へ移った会社だ。着想のきっかけは、大英博物館に100年以上保存されていたポリア・コンデンサータ(マーブルベリー)の実である。ブルーベリーのような見た目の実で、色褪せずに鮮やかな青を保っていた。ケンブリッジの教授がこの構造に着目したことから基礎研究が始まり、同大学で約10年にわたり植物の構造色の研究が行われた。その過程で研究者(博士)がセルロースナノクリスタルの工業的な再現を実証し、論文としても発表したという。
2022年に材料科学の知識を持つ2人が創業してスピンアウトし、商業化のアドバイザーとしてケンブリッジ・エンタープライズなども巻き込んでチームが組成された。現在はグローバルブランドとの25件以上の資金提供付きパイロットプロジェクトを完了し、商業化を証明している段階だという。
最初は研究者だけで始めたのかという問いに、紹介役はそのようだと答えた。コアは研究者だが、現在はCOOやセールス・マーケティング責任者に、事業化や量産に精通した実務家を採用しているという。パイロットは有償で、顧客側が予算をつけて技術検証を行っているため、トラクションとして強いと考えられると紹介役は評価した。
3つの壁:イリデッセンス、スケールアップ、投資家
紹介役は、同社が直面した壁を3つ紹介した。
1つ目の技術的な壁は、イリデッセンス(玉虫色)だった。シャボン玉やCDの裏側のように、構造色は見る角度によって色が変わってしまう。服などに応用するには、均一な発色に制御しなければならない。同社は水系フォーミュレーションや結晶の制御技術を磨いて、これを実現したという。具体的な工夫を聞かれた紹介役は、自分もよく分かっていないと断ったうえで、水系で分散させるフォーミュレーションの工夫や、粒子サイズを制御して乱反射を利用することで、どの角度からも均一に見えるようにしたと説明した。
2つ目は、ディープテックにつきもののスケールアップの壁である。ラボでは数グラム作ればよかったものを、工業用には大規模に量産する必要がある。同社は外部の製造センターと連携することで、資本効率を上げリスクを減らしたという。
3つ目は投資家との対話だった。ESG投資家はCO2削減のような気候変動の指標だけで成果を評価しがちだった。そこで同社は第三者によるライフサイクルアセスメントを実施し、水質改善、無毒性、生物多様性への貢献なども定量化して、CO2削減以外の指標もあると投資家を説得したという。
25件のパイロットの優先順位の付け方については、2つの基準が紹介された。導入までの規制のハードルが低いこと、そして高付加価値を認めてもらいやすいファッションや特定の装飾用途であることだ。これらを基準に選び、リソースを集中させたという。
資金調達:グラントからロレアル関連ファンドまで
累計の調達額は、公的資金を含めて約820万ドルとされる。初期はアワードやグラントなど株式の希薄化を伴わない資金を活用した。特に欧州イノベーション会議(EIC)からの190万ユーロのグラントが、技術リスクの低減に貢献したという。その後、ロレアル関連のファンドなど事業シナジーのあるVCを巻き込み、直近ではプレシリーズAで500万ドルを調達した。
ロレアル関連ファンドからの出資に独占契約が紐づいているのかという質問に、紹介役はそうではないようだと答えた。特定企業に独占させるのではなく、業界全体への提供を目指しているという。2026年から商業生産を始めようとしており、紹介役は、かなり急いで動いている印象だと述べた。今回の資金は、量産設備の稼働、グローバルな営業体制の構築、認証の取得に使う予定だという。
日本で同様のアイデアに取り組むなら
番組では、日本で同様の事業を起こす場合のアイデアを3つ、AIに考えさせて紹介した。
1つ目は、地域の未利用バイオマスの活用である。籾殻などを日本の地域課題と結びつけて原料を調達し、助成金の獲得も狙う。上流側を日本なりに工夫する発想だ。2つ目は伝統工芸との組み合わせである。西陣織のような高度な技術に、100%ケミカルフリーというESG上の付加価値を加えて、グローバルに輸出する。3つ目はコスメOEMへの特化である。世界有数の技術を持つ日本の化粧品OEMに、海外ブランド向けの環境対応素材として入り込む。
聞き手は、今から参入してSparxellの特許を回避できるのかと問うた。紹介役は、工夫の余地はあるが難しいところでもあると答えた。構造色の原理自体は広く知られた既知の科学なので、回避すべきは製造プロセスの特許になる。そのため、異なるフォーミュレーションや、フォーミュレーション以外のアプローチでの開発が必要になるだろうという。
日本固有のハードルとしては、消費者の環境意識が欧州ほど強くない点が挙がった。環境対応による価格上昇を消費者が受け入れにくいため、初期にどの市場を狙うかの設計が難しくなると紹介役は述べた。
学びとアクション
紹介役は、今回の学びとして3点を挙げた。1つ目は、ESGやマイクロプラスチック規制のような不可逆なマクロの変化を、事業の追い風にしている点。2つ目は、ディープテックでありがちなグラントの上手な活用。3つ目は、既存のインフラを変更させず、付加価値の高いところから入るドロップイン戦略である。
具体的なアクションとして紹介役が提案したのは、自分の業界で今後3〜5年に施行される環境・安全規制をマッピングすることだ。そのうえで、改善ではなく完全な置き換えが必要になる素材があるかを考えれば、Sparxellのようなアイデアが活かせるかもしれないという。
感想:水平的に効く素材置換のインパクト
最後に聞き手は、塗料・塗装・染料は非常に水平的に多くの業界で必要とされるものであり、自動車の製造プロセスでも塗装工程はGHG排出量が多いと指摘した。ここをエコなものに変えられればインパクトは大きいと改めて感じたという。あわせて、紹介役はドロップイン型のスタートアップをよく取り上げている、ドロップインが好きなのではないかとも指摘した。
紹介役は、結果としてドロップイン型が多くなっているので好きなのだろうと認めた。そのうえで、水平的に置き換えられるものがないかという視点に加え、特定の産業の中で大きな負荷が生まれているポイントを見つけて活かす視点が面白いと述べた。狙って見つけるのは難しいとも付け加えている。
皆さん、こんにちは。FoundXの田です。
同じくFoundXの富田です。
ところで雑談なんですが、最近参考書、自然ガイドの参考書をペラペラ見てるんですけど、そこで平成12年度の環境基本計画の前文が結構エモかったので、ちょっとご紹介できたらと思うんですけど、書いてる内容をそのまま読むと、
私たちは今別れ道に立っていると言って良いでしょう。選択肢として3つの道が考えられます。第一の道はこれまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の生産と消費のパターンを今後とも続けていく道です。第2の道は現在の社会のあり方を否定し、人間活動が環境に大きな影響を与えていなかった時代の社会経済に回帰する道です。第3の道は環境の制約を前提条件として受け入れ、その制約の中で自然資源やエネルギーを効率よく利用する努力を行いながら、これまでの生産と消費のパターンを見直し、これを持続可能なものに変えていく道です。私たちはいずれかの道を選ばなければなりません、というのがあって、他にもちょっと続いていくんですけど、
これなかなか、法律の文章だからもうちょっと硬いかと思ったら結構エモくてですね。最近の環境基本計画の文章もちょっとエモくてですね、内容としては、循環共生型社会を目指すことで、国民に希望をもたらすものとしたいみたいな、その負担を強いるだけじゃなくて、希望をもたらすような社会にしていきたいっていうのとか書いてあって、結構前文面白いなというのを思ったので。
そうですね。国の文章も人が書いてるから思いが乗るところがあるっていう感じですよね。
そうですね。そうなんだなと実感しました。内容は多分読んでも私は詳細まではちゃんと理解できないかもしれないですけど、どういう思いで書かれてるかとか、どういう背景があって書かれてるかっていうのは、初めにとか前文を読むと分かって面白いなと思いました。というところで、IdeaCastコーナーに移っていきたいと思います。
FoundX Review Startup IdeaCast。海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介する番組です。これからアイデアを考える方のご参考になればという風に思います。最初にディスクレーマーですと、AIを活用して情報を整理しているので、一部の情報は古かったり間違ったりしている場合もあります。ファクトを重視される場合は必ずご自身で調べていただくようお願いいたします。
本ポッドキャストはあくまでそこからアイデアの参考情報とか考え方を引き出すことを目的としています。今回ご紹介するスタートアップですが、Sparxellといったものになります。
これはなぜ選んだんでしょう?
そうですね、ちょっと着目してる点が面白いなという風に思ったっていうところです。染料ですね、化学染料が有害なものになっているんですが、それをセルロースを使って、植物由来のセルロースを使って構造色を作って、その染料を置き換えるっていったところをなさっているようなスタートアップっていうので、なんですかね、より物理的なところにアプローチするっていうのは面白いなと思って取り上げました。
続けてご紹介できたらという風に思います。Sparxellですが、ケンブリッジ大学発のディープテックの企業になっています。染料という風に先ほどお話ししましたが、これは化学的な色素ではなくて、物理的な構造色、蝶の羽の色とかですね、といったところで色を出していくっていうようなところをやっている会社になります。このグローバルの着色料市場っていうのが480億ドルあると言われていて、こういった大きな市場をターゲットにしているような会社になっています。
では、全体像ですね。全体としては、有毒な化学染料を100%植物由来の構造色で完全に置き換えるっていったところに取り組んでいる会社になります。まず規制の圧力があります。EUのマイクロプラスチック規制の施行がされていたり、PFASを禁止するような機運が高まっていたり、それからFDAによる合成着色料の再評価っていうところから、圧力のトレンドとしてあります。プラスしてESGに対する圧力、それから産業の限界ってところで、年間150万トンの有害染料が排出されてしまっている。そして世界のGHG排出量の約2%をこの産業が占めているっていったところで限界が来ているところがあります。といったところでタイミングがあって、Sparxellが誕生したっていうところになっています。
なので、エコだから代替するっていうだけではなくて、規制ですね。規制で使えなくなってしまうので代替が必要になってくるっていったような市場の痛みがあったっていう背景になります。
ちなみに、耳だけで聞いてる人にも分かるように、構造色って後で説明あるかもしれませんが、どういうものなんですか?
これ私も理解できてるかちょっと怪しいんですが、染料とかだと、塗ったところで色を一部吸収して、反射される色だけが見えるようになるんですが、そういう風なやり方ではなくて、その微細な構造によって特定の波長の光を反射・干渉して色が見えてくるっていうような、物理的な構造によって色が見えるっていったところになるような仕組みだそうです。
確かにそれができると
あ、どうぞ。
そうです。蝶の羽とかCDの裏側とかシャボン玉とかっていったところらしいです。
確かにそれができると、これまで染料とか使わなくても普通にどんなものでも色が見せられるっていうことですよね。
そうです。多分最終的にはそういったところを狙っているのかなと思います。
既存の代替品では規制はなかなかクリアできないから、こういう構造色っていうのを使おうとしてるっていうことなんでしょうか?
そうですね。今Sparxellが対象として入っているのは、グリッターとかラメとかっていったところの割と派手なところなんですが、そこの既存の成分のグリッターだと、多くはアルミニウムなどの金属でコーティングすることが必要になってきて、そうすると環境への対応とか規制の性能の要件というのが満たせなくなってしまうようです。
その規制はいつから始まってるものなんでしょう?
そうですね。ヨーロッパだと2023年10月ぐらいからですね、一部のグリッターなどに対して、マイクロプラスチックの制限などが発効しているっていう背景があるらしいです。そういったところで、ちょっと課題についてもお話ししたので、続けて課題をお話しできたらと思います。
課題としてですね、色彩産業の隠された代償っていったところがタイトルになっています。まずターゲットの顧客ですが、ESGの圧力下にあって脱化石燃料を急ぐファッション、化粧品、塗料、パッケージングのグローバルブランドになります。こういったところには4つの課題がありますと。1点目が環境ですね。繊維産業から年間150万トンの有害な染料が水に排出されてしまっているっていったところ。2点目として海洋プラスチックです。塗料が海洋マイクロプラスチックの最大発生源になってしまっています。3点目ですが、倫理的な問題があります。マイカを採掘する際に児童労働のリスクであるとか、また健康の被害っていったような倫理的な課題があるっていったところがあります。また代替手段の限界としてですね、既存のエコ染料だと性能的に限界があります。色あせやすく鮮やかさに欠けるっていったところになります。
そういったところで色彩産業という風にまとめてあるんですが、複数の産業、ファッションとかコスメとか自動車っていったところが共通して抱えているのが、持続可能で美しい色がないっていったところで、これがペインに当たります。
最初にマイクロプラスチック汚染の最大の発生源が塗料だって話がありましたが、実際に全体の汚染の中で塗料の割合ってどれぐらいなんですか?
そうですね、レポートにもよるんですが、一部のレポートだと海洋マイクロプラスチックの過半数が、割合は正確ではないんですけど、過半数が塗料とかコーティング由来になっているので、汚染源としては重大な一角を占めているってところで認識されているようです。
既存のエコ染料もあるという風な話でしたけれども、その性能的な限界って具体的にどういう感じなんでしょう?
そうですね、植物染料っていったところがエコ染料にあるらしいんですが、そこの多くだと耐光性が低いので色あせがしやすい。プラス、ラグジュアリーっていったところが求めるような輝き、メタリック感とかみたいなのが出しにくいっていったところがあるようです。
そういったところで解決策としてSparxellが提案しているのが、セルロースによる構造色の自己組織化っていったところになります。まず原料としては、世界で最も豊富なバイオマスであるセルロースが原料になります。それを抽出して、ちょっと多分特許なのであんまり詳しくは調べられなかったんですけど、特定の条件を揃えて自己組織化する。そしてそれをフィルム化して、砕いて顔料にしていくっていう製造のプロセスを取っています。原料がセルロースなどで、100%生分解性がある。そして無毒である。そして機能的にも高くて色あせがないっていったところになります。また提供するものとしては、既存の製造ラインにそのまま導入できるようなドロップインでの互換性があるようなものになるようです。
すでにですね、ロレアル、化粧品会社とか、Patrick McDowellといったイギリスのサステナブルな高級ファッションブランドで採用の実績があるっていったトラクションがあるようです。
ちなみにこの構造色に関して先ほど少し簡単にお話ししてもらいましたけれど、もし追加でこの解決策の辺りで話があれば。
そうですね、色については多分ちょっと追加っていうところはないんですが、化学的な色素ではなくて物理の構造で発色できるようにするっていうところにはなります。ちょっと補足するとすると自己組織化っていうところかなと思っていて、植物から抽出したセルロースの微細な結晶を使って、条件を整えると自分で物理的な構造を作るように並んでいくっていったところを彼らが技術として持っていて、そういったものをフィルム化して、顔料とかにしていくっていったところをやっているそうです。
その自己組織化って工業レベルで制御するのって結構難しそうにも聞こえたんですけど、どうなんでしょう?
そうですよね。本当にそうだなという風に思います。まさにそこがコア技術で特許になっているところです。量産の実証化に成功しているところとして2つ、水系フォーミュレーションってところとロール・トゥ・ロールの方式を使って実証しているそうです。水系フォーミュレーションっていったのが、化学溶剤の代わりに水をベースにしてインクとか顔料を作っていくような手法を取っている。それからロール・トゥ・ロールっていうのは他の産業でもありますが、ロール状に巻かれたフィルムを巻き出しながらその表面に素材を塗って乾燥させるっていうような技術を使っているそうです。
あと、ドロップインで互換性があるという話でしたが、どういった形態でこれ製品提供されてるんですか?
そうですね。いくつかありますと。顔料パウダーとか、ラメ、グリッターって呼ばれるようなもの、それからスパンコールと箔、そして印刷用のインクっていったような、形式は様々あるそうです。
では次に市場についてお話できたらと思います。TAMですね、480億ドルあるという風に、グローバルの着色料の市場全体ではあるという風に言われています。SAMとしてはアジアですね。アジアが中心の着色料の製造の市場となっているんですが、そこが170億ドル。そして最初の市場、SOMとしては、高単価で意匠性を重視するようなラグジュアリー市場に絞り込んでいるっていったところになるそうです。この市場の成長ドライバーとしては、先ほどから言っているところにはなるんですが、規制の圧力、PFASとかマイクロプラスチックを禁止するような法の施行ってところと、需要の変化ですね。消費者の健康意識、環境意識の向上と、グローバルブランドのケミカルフリーに対するコミットメントっていうのが加速しているところになるそうです。
この世界の着色料市場がTAMなのかなと思うんですが、これってどれぐらいの規模感なんでしょう?
そうですね、ちょっと多分数字は揺れていると思うんですが、レポートに基づくと2030年までに、世界の染料とか顔料の市場全体が1000億ドルを超えるぐらいまでには拡大するんじゃないかなという風に予測されているそうです。
あと、アジア市場がSAMだという風に設定されてる理由があれば。
そうですね、繊維とか塗料のサプライチェーンの製造の拠点がアジアに集中しているってところのようです。なので量産するようなフェーズではアジアへの展開が必須になってくるっていったところでSAMに入っています。
そしてこのSparxellのビジネスモデルですね。先ほども少しお伝えはしているんですが、ドロップインの原料モデルを取っていますと。自社で最終製品を作るのではなくて、素材としてB2Bで提供するようなモデルになっています。構造としては、顧客がファッションとか化粧品、塗料、それから自動車のグローバルなブランドになります。提供するものとしては、顔料のパウダーとかグリッター、インク、フィルムっていったところになります。初期では高価なマイカとかメタリック顔料と同等の価格で勝負するようなものになっています。粗利の高い市場で収益を確保しているようです。スケールしていくようなフェーズでは、農業廃棄物由来の安価な原料と、キロ単位ではなくてトン単位で作るような量産で、合成染料と競合していくようなシナリオを描いているそうです。
これ初期段階の製造コストって高いんじゃないんですかね?
おっしゃる通り、合成染料よりは高くなってくるそうです。ただ、高級な化粧品とか装飾品っていったところで使われるような特殊な顔料に対しては、価格競争力が持てているそうです。
ビジネスモデルの拡張性というか、どういう風に今後拡張していくっていう風な想定なんですかね?
そうですよね。そこは多分会社としても模索している段階だろうとは思うんですが、顧客ブランドごとにカスタマイズしていくのではなくて、標準色のインクを展開していくってところとか、そういったところから汎用的な素材を販売するってところに移行をしようとしているようです。
そして彼らの戦略ですが、お話ししてるように結構技術が中心となった会社でして、IP主導になっています。Sparxell自体は技術のコア、R&Dと特許に特化して、アセットを重く持っているってところではないです。量産の製造は製造技術センターなどの外部のパートナーに委託しているそうです。流通とか販売も、テキスタイルの専門商社さんと組むようなところで市場に浸透していくところを狙っているようです。なので垂直統合、全て自社でやるのではなくて、水平分業をしていくようなところを取っているようです。そして10年から20年後の理想像としては、全ての主要産業から有害な染料とかマイクロプラスチックを排除して、自然と調和したような新しい色彩のグローバルスタンダードを目指していって、インフラになっていくっていうところを目指しているそうです。
コアとなる特許はどういうものになってるんですか?
そうですね。調べるとかなりたくさん出てきたんですが、セルロースの微細なナノクリスタルをフィルムとか顔料に、構造色に変えていくっていったところの製造のプロセスと、それからそのアプリケーション、応用の方法っていったところを広範に保護しているようです。
次ですか、ロードマップです。まずは高付加価値の市場からマスの市場へってところの展開を狙っています。彼らのフェーズ1ですね、現在とか2025年っていうところでは、まずPMFとか認証の取得に当たります。まずラグジュアリー市場で技術とブランドの価値を証明しています。鮮やかで性能が高いってところを証明しています。次にフェーズ2ですね。量産化として、トン規模の製造の設備の稼働と、それから化粧品とか自動車の塗料へ認証を拡張していく。そしてパートナーシップを展開していくところを狙っているそうです。そして次に、フェーズ3としてマスに展開するところを狙っているようで、スケールすることによってコストの削減、それから安価な化石由来の染料からのリプレイスっていうところをやっていこうという風に思って動いているそうです。なので分かりやすく、最初はニッチで高単価で、徐々にマスに広げていくところの、ある種教科書的な戦略というかロードマップになっています。
このフェーズ2のトン規模の量産っていうのはいつ頃実現する予定なんでしょう?
そうですね。今年中、2026年内にトンスケールの生産の設備の稼働を目標としているそうです。直近プレシリーズAとして500万ドル調達したそうなんですが、その資金も投下していこうという風に考えているそうです。
自動車の塗料とか化粧品での認証っていうのが具体的にどういうものがあるのか教えてもらってもいいですかね?
はい。化粧品だと肌に接するようなものなので安全性が担保されるか、FDAとかですね、ってところと、それから自動車だと屋外で耐えることができるか、耐候性があるかっていうところのものがあると。なので業界ごとに要求されるようなものが違っているんですが、それぞれ厳しい第三者認証をクリアしていくってところが必要になってくるそうです。
で、彼らのモートとか競合ですね、についてお話できたらと思います。彼らが持っているのは圧倒的な環境優位性、それからドロップインの互換性になります。代替の技術、合成生物学とかの代替の技術と、それから既存の素材との比較をちょっとお話しできたらと思いますが、従来の化学合成染料と比較すると、Sparxellが勝っているのが、環境負荷が低いというか、彼らが無毒で生分解性を持っているっていうところになります。採掘されたマイカだと、森林破壊とか採掘の汚染とか児童労働のリスクがあるっていったところがあるんですが、それもSparxellだと解決ができるっていうところ。それから発酵、精密発酵のような合成生物学と比べると、環境負荷が合成生物学と比較しても低い。それからドロップインが可能、既存の染料・顔料との互換性があるってところに強みがあるというところがあります。それとはですね、ちょっと載ってはいないんですが、構造色を彼らが再現していくようなところなので、色あせの耐性が強いってところが技術的な強みになっているそうです。
色あせないって最後おっしゃってますけど、構造色ってそうなんですかね?
そうです。構造色自体は色あせないそうで、ちょっとこの後も話すんですが、元々その構造色の研究を始めたきっかけがですね、大英博物館に飾ってあったマーブルベリーといった実が、世界で1番青いとされるようなものが、ずっと前からあるけどずっと青いというところから着想を得ているそうなので、構造色自体は色あせないってところになります。
じゃあ逆に、競合他社が同じようにセルロースで構造色を作るってのはできるんでしょうか?
そうですね、原理自体は本当に広く知られているものなので、そこはあり得るかとは思います。ただ、特許で保護しているところにはなるんですが、大きな面積で自己組織化を均一にやっていくところと、それから製造プロセス、ロール・トゥ・ロールでの製造プロセスで保護したりとか、ノウハウのところが元になっているようですね。
次に彼らの参入戦略についてお話できたらと思います。彼らはラグジュアリーから広げていきました。初期のターゲットとしてラグジュアリーファッションを彼らは選んでいます。これを選んだ理由がですね、サステナビリティを満たしつつ、かつ意匠性が高い、というか意匠性を妥協できないっていったところのハイエンド層の課題に対してアプローチをしていきました。そして彼らのMVPとしては、シグネチャーとなるようなブルー、青のインクとかグリッターを選んだそうです。これが色の表現が難しくて、かつ視覚的なインパクトが最大化されるってところで、機能性みたいなところだとは思うんですが、そこを最初に証明していったそうです。そしてPMFを確認する際の指標としてですね、有名デザイナーと協業したそうです。クライアントの既存のテキスタイルの印刷機で、特別な調整をしなくても稼働して、商業用オーダーが受注できるかってところを検証したそうです。
なんで青の、シグネチャーブルーから始めたんでしょう?
そうなんですよね。多分そこは結構ファッション的な背景もあるようでして、モルフォ蝶とか、想像するとすごく綺麗な青だとは思うんですが、そういったところで自然界で最も鮮やかで再現が難しいって言ったところの構造色が青になるそうです。なのでその青を再現できると技術力が高い、それが証明できるってところから青色から始めたそうです。
化粧品はファッションの後になるんですね。
そうですね、そのようです。開発自体は並行してやっていたようです。ただ、化粧品は体に直接触れるってところで、規制をクリアするのに時間がかかっていたというところで、売上のタイミング自体はちょっと後になったそうです。
次にですね、起業のプロセスについてお話できたらと思います。このSparxell自体は基礎研究から社会実装に移っていったようなところになります。着想を得たのがですね、大英博物館に100年以上保存されていたポリア・コンデンサータという実が、ずっと色あせずに鮮やかな青を保っているっていう構造を、ヴィニョリーニ教授が発見というか見つけたといったところになるそうです。ブルーベリーみたいな見た目の実になりますね。それがずっと青かったってところから興味を持って、基礎研究が始まっていったと。ケンブリッジ大学で約10年に渡るような植物の構造色の研究がされていきました。ドゥルゲ博士が、セルロースナノクリスタルの工業的な再現を実証して、それも論文化したようなところで証明していったようです。2022年にスピンアウトとして、材料科学の知識を持つような2人が創業して、その過程で、商業化アドバイザーとしてケンブリッジエンタープライズなども巻き込んでチームが組成されていったそうです。そして今はですね、産業パイロットとしてグローバルブランドとの25件以上の資金提供付きのパイロットプロジェクトを完了して、商業化を証明しているといったような、ストーリー、プロセスになっています。
最初は研究者だけで始めたんですね。
そのようです。コアは研究者なんですが、今はですね、COOとかセールス、マーケティング責任者っていったところでは、事業化、量産に精通したような実務家の方が採用されているそうです。
あとさっきのパイロットプロジェクトに関しては、これは無償で行ったんですか?有償で行ったんでしょうか?
有償で行ったそうで、なので顧客側が予算をつけて技術検証を行っているっていったところで、トラクションとして強いという風に考えられるかなと思います。彼らの学びと初期の歩みといったところで、いくつかあるんですがお話できたらと思います。
技術的な壁がまずはありまして、それがイリデッセンスっていったところだったそうです。先ほども構造色の例としてシャボン玉とかCDの裏側っていう風にお伝えしたんですが、それもイメージしてもらったら分かりやすいんですが、見る角度によって色が変わってしまう。こっちから見るかこっちから見るかで色が少し変わってしまうといった構造色特有の現象があったそうなんですが、それを服とかに応用するので均一な発色に制御していかないといけないところで技術的な壁があったんですが、それを水系フォーミュレーションとか結晶の制御の技術を磨いてなんとか実現したっていうところがあったそうです。また別の壁もあって、それがディープテックあるあるだとは思うんですが、スケールアップの壁ですね。ラボでは数グラム作れば良かったのが、工業用になるとトン規模に量産していく必要がある。そこの壁があったと。ただそこは外部の製造のセンターと連携することで、資本効率を上げてリスクを減らしていったっていうところのようです。
それから投資家との対話でも困難があったそうです。ESGの投資家だとCO2を削減するっていったような気候変動の指標のみで成果を評価していたようなんですが、その指標だけではなくて、第三者によるライフサイクルアセスメントも実施して、生分解性とか無毒性とか生物多様性への貢献っていったところも定量化して、CO2削減以外の指標もあるよという風に投資家を説得していったというようなことがあるそうです。
角度で色が変わらないようにするっていうのは、さっきちょっと原理に触れてましたが、どんな工夫が必要だったんでしょうか?
そうですよね。私も多分分かってはいないところではあるんですが、水系の分散するようなフォーミュレーションの工夫とか、それから粒子のサイズを制御していくところで、乱反射を活用して、どの角度からも均一に見えるように技術を作っていったそうです。
あとさっき25件ぐらいのプロジェクトみたいな話があったかと思うんですけれど、これってどういう風に優先順位をつけて、どういう風にやっていったんでしょうね。
そうですね。2点あるようでして、1点目が導入までの規制のハードルが低いこと。それから、高付加価値を認めてもらいやすいようなファッションとか、特定の装飾品から選んで、リソースを集中させていったそうです。
そして彼らの資金というところですが、グラントも取っていますし、資金調達もしているようなところになります。累計で約820万ドル、公的な資金も含めてですが、それを調達しているところになります。初期はですね、アワードとかグラントっていったところの、株式を希薄化しないような資金を活用していたようです。特にEIC、欧州イノベーション会議からの190万ユーロのグラントを活用したそうで、それが技術のリスクを減らすってところに貢献したそうです。その後ですね、ロレアルの関連するファンドといった、事業とのシナジーがあるようなVCを巻き込んで、直近ではプレシリーズAとして500万ドルを調達しているところになるそうです。
ロレアルの関連ファンドなどから投資を受けているっていうところに関しては、独占契約とかも紐づいちゃってるんですかね?
そうではないようで、ロレアルが関わっているようなファンドからの出資ではあるんですが、特定企業への完全な独占ではなくて、業界全体に提供していくようなところを目指してはいるそうです。そして今年2026年から商業生産を開始しようとしているところで、割と急ぎで色々動いてるようだと思います。なので今回の資金調達の使途としては、トン規模設備の稼働に対してっていうところと、グローバルな営業体制の構築とか、それから認証の取得っていったところに使われていくような予定だそうです。
次にですね、日本で同じようなアイデアで起業するならというところで、3つアイデアをAIに考えてもらいました。1点目がですね、地域の未利用バイオマスを利用するところになります。乳外とかですね、もみ殻といったような日本の地域課題と結びつけて、原料の調達、それから助成金の獲得ができるんじゃないかっていったところ。なので上流側を日本なりに工夫するってところになります。2点目がですね、伝統工芸・染色の産業になります。西陣織といったような高度な技術に対して、それにプラスして100%ケミカルフリーといったようなESGの付加価値を組み合わせて、グローバルに輸出するようなこともできるかもしれないところになります。3点目がコスメのOEMに特化するってところになります。世界有数の技術を持つような日本の化粧品OEMに特化して、海外ブランド向けの環境対応素材として入り込むようなアプローチも可能ではないかという風なところが提案されています。
とはいえ日本の企業が今から参入して、このSparxellの特許を回避できるのかっていうのはどうなんでしょうね。
そうなんですよね。そこはかなり工夫のしがいがあるというか、難しいところでもあると思います。ただ、構造色の原理自体は一般的に広く知られてるような既知の科学になっています。なので回避する必要があるのは製造プロセスの特許に当たると思います。なのでそれを回避するために、異なるフォーミュレーションだったり、またフォーミュレーション以外の別のアプローチでの開発が必要になるかなと思います。
あと日本固有のハードルとかあったりしますかね?
そうですね。最初の方の課題のところで、消費者のエコ意識が高まってることが追い風になってるっていう風にお話ししたんですが、日本は欧州に比べるとそこまで多分強くないので、環境対応への価格転嫁を消費者が許容しにくいですので、初期段階でどの市場を狙っていくかっていった設計が難しくなると思います。
最後に学びとアクションになります。今回お話ししたところで重要なポイントですが、まず1点目ですが、規制の波に乗るっていったところがあるかと思います。ESGとか、マイクロプラスチックから脱却していくってところの規制とかですね。といったように、不可逆なマクロの変化を事業の追い風にするっていった点がまず重要なポイントとして挙げられます。それから、ディープテックあるあるだと思うんですが、グラントをうまく活用していくところ。それから3点目として、ドロップインの戦略ですね、既存のインフラを変更させずに付加価値の高いようなところから入っていくっていったところが重要なポイントになるかと思います。これから実施できるようなアクションとしては、自身の業界において今後3年とか5年とかで施行されるような、環境だったり安全のような規制をマッピングして、その改善ではなくて完璧にリプレイスをしていくような必要があるような素材っていうのがあるかどうかっていうところを考えると、少しSparxellのようなアイデアが生かせるかなと思います。
では、今日はSparxellをご紹介しましたが、どうでしたでしょうか?
そうですね。この塗料とか塗装とか染料とか、すごいホリゾンタルにいろんな業界で必要ですし、実は自動車とかにおいても塗装工程って製造プロセスの中だとGHG排出量が多かったりするっていうところで、確かにここを顔料・塗料としてうまくエコなものにしていくことによってインパクトが大きくなるんだなっていうのを改めて思いましたというところと、田さんドロップイン好きなのかなっていう、ドロップイン系多いなっていうのを思いました。
そうですね。結果としてドロップイン多くなってるなって、その結果として好きなんだろうなっていうのは、後者のところはあるところですが、おっしゃるようにホリゾンタルに何かリプレイスができるようなところがないかっていったところと、狙って見つけるのは難しいですけれども、何かしら特定の産業の中で大きな負荷が生まれているようなポイントが何かっていうのを生かすようなところは面白いポイントだなと思います。
では今日はこちらで終了となります。FoundX Review Startup IdeaCastですが、今後も皆さんのために最新のスタートアップをご紹介していけたらと思います。ご興味のある方は是非チャンネル登録とかいいねをお願いいたします。またですね、FoundXの各種プログラムでも応募者を募集していますので、周りにもし起業を考えているような方がいらっしゃったら、是非FoundXをご紹介いただけると嬉しいです。ではまた次回よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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